米陸軍がUAVからの迫撃砲弾発射をテスト/米海軍はUCLASSのRfP(草案)を2012年内に発出する見込み/トルコがAerostar UAV運用を打ち切り?/イラン空軍機が米国のUAVを攻撃

米陸軍がUAVからの迫撃砲弾発射をテスト

http://www.generaldynamics.com/news/press-releases/detail.cfm?customel_dataPageID_1811=18078

米陸軍ARDECは、ゼネラルダイナミクスと協力してUAVから迫撃砲弾を発射するテストを行った。小型UAVが搭載可能なPGMのデモンストレーションとされている。

使用されたUAVは、L-3のタイガーシャークUAVで、オクラホマ州フォートシルに近いレンジにて、高度7000ftから3発の迫撃砲弾を発射した。これらは標準的な81mm迫撃砲弾であり、GPSとINSを利用して目標に指向される誘導キットと組合せ、目標地点の7m以内に着弾したとのこと。
メーカーではAir Drop Mortar (ADM)と呼んでおり、この実験では10ポンドクラス誘導弾の例を示した形となった。なおタイガーシャークUAVのペイロードは30ポンド。
また誘導キットはゼネラルダイナミクスが特許を取得したもので、Roll Controlled Fixed Canard (RDFC)と名付けられている。
詳細は陸軍の資料にて。

http://www.dtic.mil/ndia/2012armaments/Wednesday13995habash.pdf

これの空中発射型がADM。普通のM821砲弾と信管で9.1ポンドのところ、RDFCを追加した重量は10.8ポンド。また120mm迫撃砲弾にも適用可能。

http://www.defenseindustrydaily.com/Mortars-from-Aircraft-The-Shadow-Knows-05226/

このクラスでは、レイセオンのSTMが12ポンド(製品名がPyroとなっている)でGPS/INS誘導またはSAL誘導の小型PGM。またLMがシャドウホークという11ポンドのSAL誘導の小型PGMのデモンストレーションを実施している。こちらはRQ-7を使ったデモンストレーションだった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-unveils-gravity-bomb-for-uav-371344/

コストでは81mm迫撃砲弾+誘導キットのADMが有利っぽいが、GPS/INS誘導のみなので精度はSALなどに比べて劣ると思われる。
このクラスになると大抵の小型UAVに搭載可能で、自衛隊が導入するRQ-21みたいのでも積めるはずだ。

 

これらに先行して、米海軍NAWCなどで開発されていたのがスパイクというやつで、重量は更に軽く5.3ポンド(試作原型時)、全長25インチだった。歩兵携行型の無誘導ロケットとATGMの中間にあたるもので、SAL誘導。小型UAVへの搭載も考慮されていた。

http://www.designation-systems.net/dusrm/app4/spike.html

http://defense-update.com/products/s/spike_laser.htm

推進システムを有するため、弾頭は1ポンドと小さい。射程距離は2200m程度。
主に低価値目標に対して用いられる安価な誘導兵器として開発が進められた。2003年末からSDD、2007年に実射が行われたようだが、その後の進展は不明。

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米海軍はUCLASSのRfP(草案)を2012年内に発出する見込み

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-to-issue-draft-rfp-for-new-unmanned-strike-aircraft-before-years-end-378562/

UCLASSについては8月に一部の要求仕様(の草案)が開示されたという話が出ていたが、2012年末までにRfP草案が出る見込みとのことで、ここで全体像がはっきりする事になる。
2020年のIOC獲得に間に合うのか微妙な気もするが、その段階では艦上機として完成させる事は必須でない上、最初から発展性なりアップグレード余地を求められているので、当初の能力は、相当限定されたものに留まるのかもしれない。

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トルコがAerostar UAV運用を打ち切り?

http://www.flightglobal.com/news/articles/turkey-set-to-axe-aerostar-uav-deal-378532/

トルコは2005年、イスラエルのIAIからヘロンUAV(地上管制ステーションはエルビット)を調達する契約を締結したが、その後、計画の遅れによってAerostar UAVを繋ぎとして導入している。
ヘロンUAVの方は、二国間の関係悪化とは関係なく運用されている模様であるが、Aerostar UAVの方はここ数ヶ月間、運用に問題があるという情報が出ていたようだ。今回の報道もトルコ側から出ているもので、運用打ち切りと機体(3機)の返還を検討、となっている。メーカーのAeronautics Defense Systemはこれを否定した。

Aerostar UAVについては、10月にポーランド軍が2機の調達(約3500万ドル)をキャンセルしたばかりか、補償金の支払いまで求めている。
こちらも運用上の問題とされていたので、如何に二国間関係が悪化してるとはいえ、政治的にどうこうというよりは、何かしら問題がある装備なのか、セールスがよほど巧みだったのか。いずれにしてもいただけない話ではある。

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イラン空軍機が米国のUAVを攻撃

http://www.spacedaily.com/reports/Iranian_jets_fired_on_US_drone_in_Gulf_Pentagon_999.html

米国防総省は、ペルシャ湾の公海上空でイラン空軍の戦闘機が米軍のUAV、MQ-1を攻撃したと発表している。インシデントは11月1日に起こったが、大統領選挙の後で公式発表された。
位置はイランの海岸線から16海里のあたりで、攻撃を仕掛けたのはSu-25、警告ではなく撃墜を意図した発砲だったとされている。MQ-1に命中弾はなく、そのまま帰投した。以後、攻撃を受けるケースは発生していない。ミッション自体は、ルーチンとなっているイラン側の監視であり、今後も継続するとのこと。

米国はペルシャ湾方面に対して、2個CVBGの配備や、UAEへのF-22の展開といった形で軍事的プレゼンスを強めている。
またこれと別に米国務省は、国際衛星放送の妨害とインターネット接続における検閲を止めるよう要求しており、後者については検閲を外部から強制的に停止させるような言い回しをしているみたいだ。

ポーランド軍の回転翼機入札が70機に拡大される/ブラジル向けEC725とAS565/550のアップグレード/ポーランドはエアロスターUAVの導入をキャンセル/ロシアンヘリコプターのサプライチェーン再構築の試み

ポーランド軍の回転翼機入札が70機に拡大される

http://www.flightglobal.com/news/articles/poland-ups-military-helicopter-contest-to-70-aircraft-377192/

10月2日、ポーランド首相の発表によると、ポーランド軍向け回転翼機の予定発注数が、26機から70機まで拡大されるとのこと。これに伴って10月上旬に新たな入札プロセスが開始される見込みで、手始めにメーカーとの技術的な協議が行われる。
元々はMi-8/17の代替機を導入する計画だった。

今のところ、正式提案に至りそうなのはユーロコプターEC725、PZL-Świdnik/アグスタウェストランドAW149、PZL Mielec/シコルスキーS-70i。このうちユーロコプターは、アグスタウェストランドと共同でNH90を提案することも検討していたが、9月の段階で撤回、EC725に切り替えた。シコルスキーは、要求仕様に応じてS-76DやS-92を提案する準備もあるとしている。
またAW149に関しては、政府機関向け(Mi-2の後継機)としても提案予定。
以上は9月上旬、ポーランドで開催のMSPOにて出た情報。

http://www.flightglobal.com/news/articles/poland-nears-lift-off-in-military-helicopter-contest-376162/

今回の70機は、現地通貨にして100億ズロチ、米ドルで31億ドルに相当する金額で、陸軍の戦術輸送型48機、空軍のSAR型10機、海軍のASW型6機とSAR型6機を含む。

ポーランド当局としては、入札時期は2012年末から2013年初めで、契約は2013年5月まで、2014~2015年から2022年にかけて納入、といったスケジュールを想定している。

ポーランドへの技術移転と現地生産が条件となっていて、その点では、PZL各社とのJVを設立済みのAWとシコルスキーが先行、ユーロコプターが参入を伺うという図式と言える。また整備やオーバーホール全般は、ポーランド国内、ウーチの軍事航空工廠WZL-1に集約されることになる。

当初の情報では、導入リスクを考慮してか標準的な設計のプラットフォームと規定し、改修などは認めない方向だったが、今回は1機種で複数のタイプをカバーする都合からか若干緩和される模様。

ポーランドでは、VIP輸送機とMi-24後継機の選定も計画されている。後者は2018年入札予定。

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またこれに関連して、ユーロコプターはEC725の選定に自信を見せた。性能面でリードしている、というのが主な根拠であり、ポーランド政府および業界とも話し合いを進めているとのこと。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ec725-will-lead-polish-competition-claims-eurocopter-boss-377237/

10月2日、ブラジルのHelibrasが建設したEC725組立ラインの落成式典にて、ユーロコプターのCEOがインタビューに答えている。

そちらの詳細記事。

ブラジル向けEC725とAS565/550のアップグレード

http://www.flightglobal.com/news/articles/brazils-ec725-introduction-gathers-pace-377239/

ブラジル軍はEC725を合計50機発注していて、ここまで4機(陸海空軍向けとVIP輸送向けの各1機)の引き渡しを受けている。2012年に3機を受領した後、今回完成した組立ラインが稼働し始める2013年からはペースを上げ、年に8機、13機と増加する見込み。

50機のうち、16機が海軍向けで、その更に半数はエグゾゼAM39を装備する。エグゾゼはMBDAの製品であるが、その推進システムは地元ブラジル企業のAvibrasが供給することになるため、一部が現地調達という形。インテグレーション作業が進行中で、2013年完了予定となっている。

これと別に、Helibrasが担当するAS565のアップグレード、パンテラMk.2の引き渡しが12月予定。2機目は2013年3月予定で、問題がなければ22機の改修契約につながる。
このアップグレードでは、エンジン強化とそれに伴うギアボックスの改良、4軸自動操縦装置と自己防御装置が 追加される。
また同様の改修は、AS550フェネックにも施されることになっており、11月から計画がスタートする予定。

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ポーランドはエアロスターUAVの導入をキャンセル

http://www.flightglobal.com/news/articles/poland-cancels-aerostar-uav-purchase-377210/

ポーランド軍は2010年、IAI製のエアロスターUAVを2機導入することで合意し、同年の後半からアフガニスタンへ配備したが、これには実戦環境における、強風下あるいは他の地面効果が影響を受ける環境での自動離着陸(ATOL)能力の強化という条件が付けられていた。
結論から言えば、この部分で能力不足の問題が発覚し、両者の意見は一致しなかったため、キャンセル→補償請求、という流れになっている模様。IAIからの公式声明は出ていないが、ここ数ヶ月では他にも問題が発生していて、それにも取り組んでいたという情報もある。

エアロスターの全長は4.5m、スパン7.5mで、MTOW210kg。滞空時間12時間、巡航速度60kt。

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ロシアンヘリコプターのサプライチェーン再構築の試み

http://www.flightglobal.com/news/articles/mil-kamov-aftersales-system-to-battle-counterfeit-parts-problem-377197/

旧ソ連時代に作られたヘリコプターの大量の予備部品は、ソ連崩壊以降、特にCIS各国とアフリカから流出、メーカーが公式に確認できない状態で出回ることになって、独立系の整備工場が乱立、サプライチェーンは崩壊状態となった。

サプライチェーンの再構築は、ロシアンヘリコプター設立の動機の一つにもなっている。2012年内には、まずCIS各国と欧州の全てのパートナーに対して認証体制を確立する。窓口はロシアンヘリコプターの子会社である、ヘリコプター・サービス・カンパニーという企業。
運用当事者や認証を受けた整備工場は、インターネットから予備部品を発注できる上、ドキュメンテーション類も電子化され、取り扱いを容易とする。

アフリカ方面の対策としては、南アフリカのデネル・アビエーションと協定を結び、サハラ以南の地域における定期整備の実施を委託した。実際には組立とコンポーネントのオーバーホールまで実施する能力があるので、最終的にはそこまで任せることになる。

イスラエルはガス貯蔵施設の防衛にUAVを使用する/ヘルメス450のリエンジン/イランが自国製UAVを公開する/中国はUAVによる海洋監視能力を強化する/パキスタンは自国製UAVの製造を準備中

イスラエルはガス貯蔵施設の防衛にUAVを使用する

http://www.flightglobal.com/news/articles/unmanned-systems-to-help-protect-israeli-gas-reservoirs-377185/

近年、イスラエルの領海内の地中海にてガス田が発見されており、イスラエル空軍と海軍がその防衛に当たっている。このうち空軍は、IAI Heron 1 “Shoval”を海洋監視任務に就けている。他のプラットフォーム(有人のMPAや巡視船を指す?)に比べると能力は劣るものの、そのソーティ数は増加傾向にある。

これらのHeron 1は能力向上が継続的に行われているようで、Elta製のELM-2055 SAR/GMTIペイロードの供給が始まっている。ELM-2055は、モジュラー構造とオープンアーキテクチャが特徴で、小型の戦術UAVから搭載可能な、軽量のシステムとして運用可能ということになっている。

http://www.iai.co.il/34481-34548-en/Groups_ELTA_EltaNumber_Products-ELM.aspx?btl=1

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ヘルメス450のリエンジン

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-air-force-re-engining-hermes-450-fleet-376841/

イスラエル空軍は、運用中のヘルメス450について、リエンジンによる能力向上を計画している。新型のエンジンR902(W)を搭載することで、騒音を減らし、より長時間の滞空と長距離の進出が可能になるとのこと。一部の機体には既に搭載され、静粛性を必要としない任務に就く機体や、訓練用の機体は、そのままになっている。

リエンジンの前には、騒音を低減するためのマフラーのようなものを試したが、結果は芳しくなかったようだ。

R902(W)は燃焼室が拡大され、出力は70hp(52kW)まで増加、滞空時間は従来型の20時間を上回るとされる。

http://www.israeli-weapons.com/weapons/aircraft/uav/hermes_450/hermes_450.html

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イランが自国製UAVを公開する

http://www.spacedaily.com/reports/Iran_unveils_indigenous_drone_999.html

Witness 129 unmanned droneと書かれている。航続距離2000kmで、武装できるということになっているらしい。

ITNの映像ソース。9月25日付。

http://www.youtube.com/watch?v=vRTASaX7XAo

見た目はRQ-170というより、ヘルメス一族に近いというかほぼそのまんまというか。
パレスチナかシリアかどっかで墜ちたのを買い取って解体研究したかトルコ経由か?

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中国はUAVによる海洋監視能力を強化する

http://www.spacedaily.com/reports/China_to_promote_drones_for_marine_surveillance_999.html

新華社通信の報道によると、連雲港でUAVを使用した海洋監視の実験を行ったとのこと。
日本語記事あった。

http://www.xinhua.jp/socioeconomy/politics_economics_society/310767/

記事だけ読むとなんか凄そうなことを始めたかと思わされるも、写真を見ると機体が雑多すぎて何がしたいのかよくわからんという。

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パキスタンは自国製UAVの製造を準備中

http://www.spacedaily.com/reports/Pakistan_readies_production_of_UAVs_999.html

パキスタン国防相が国内メディアとの対談において、自国製UAVの製造について言及している。
同国におけるUAVに関わる産業は、パンジャブ行政区、イスラマバードの東に位置するKamraの、Pakistan Aeronautical Complex (PAC)という国有企業が最大手になる。

PACでは、SELEXガリレオの技術協力によりファルコUAVを製造している。

http://www.selexgalileo.com/EN/Common/files/SELEX_Galileo/Products/FALCO.pdf

http://www.airforce-technology.com/projects/falco-uav/

この機種は元々非武装で気象観測と情報収集のために作られたものであるが、PACでは武装型を開発する予定。これがファルコXNと呼ばれるタイプで、自国製としているものにあたる(後述)。
当初パキスタンは米国製のUAVを欲していたが断られ、PACに独自開発を進めさせるも失敗に終わった経緯がある。

一方、小型UAVの分野においては、Integrated Dynamicsという地元企業が1997年以降、政府と民間向けの市場にUAVを供給している。

またPAC以外のUAVメーカーも数社が存在するものの、世界で7番目という規模の設備を持ち、パキスタン軍向けの航空機をも製造するPACが、飛び抜けて大きな存在であるのは間違いない。

ファルコXNについては、MALE-UAVに分類される機体で、基本的な形態はファルコに準じる。

http://www.pac.org.pk/falco.html

MTOW500kgで、滞空時間14時間。自律飛行モードも備えるなど、それなりに進歩的な機体となっている。

Africa Aerospace & Defence show関連

Africa Aerospace & Defence show関連

南アフリカの首都(のひとつ)、プレトリアで航空宇宙および防衛産業のイベントが行われた。
関連する話題を幾つか。

・デネル・エアロストラクチャがA400Mの製造分担についてエアバスと再調印

http://www.flightglobal.com/news/articles/aad-denel-airbus-military-renew-a400m-pact-376655/

南アフリカ空軍は、2005年にA400Mを8機発注し、デネル・エアロストラクチャは、A400Mの製造に参画する事を決めたのだが、2009年、南アフリカ政府は調達契約をキャンセルしてしまった。この頃はデネルにとっても財政的に非常に厳しい時期で、政府共々、エアバスとの関係をどうするかで大きく揺れることになる。
結局同社は、自らの構造改革を進めながら、A400M計画への参画を続けることで命脈を保った。改革は今年いっぱいで終了する見込みといい、これまでにエアバスへ引き渡した部品は12機分にのぼる。

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-denel-aerostructures-hopes-a400m-will-finally-establish-it-in-first-tier-of-global-manufacturers-376147/

結果的に得したのは確かだが、その見返りにA400Mの調達を復活させるのではないかという観測は根強くある模様。ただし今のところメーカー、南アフリカ政府とも、その可能性は否定している。
現在、デネル全体としての財務状況は良好になっている。エアロストラクチャ単体でも、構造改革の効果とA400Mへの参画を継続することにより、3~4年で黒字化の見込みだそうだ。

・Hungwe UAV

http://www.flightglobal.com/news/articles/aad-denel-offers-hungwe-uav-376687/

デネルが開発中のHungwe UAVが公開されている。
最近、初飛行したとのことで、性能としては滞空時間6時間、航続距離54nm、飛行高度12000ftといった数字が明らかにされた。大きさはスキャンイーグルに近いが、形はデルタ翼でちょっとバルカン似。
アフリカでの運用を念頭に置いたものだそうで、貧困国でも導入できるよう、取得から運用に至る経費を徹底的に抑える方針で開発された。地上管制も、普通のラップトップと通信装置を組み合わせた程度であり、最小限の設備で使えるようになっているという。
用途は一般的なスモールUAVとさほど変わらない。監視や国境警備、情報収集に加え、土地柄から密猟対策という文言も加えられている。

開発は終盤に差し掛かっており、年内に完了する見込み。最初のカスタマーは明かされていないが、他の交渉も進行中とのこと。まずは南アフリカの政府機関っぽいが。

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VliegMasjien C-Wolf水陸両用機

http://www.flightglobal.com/news/articles/aad-picture-vliegmasjien-unveils-prototype-amphibian-376659/

南アフリカの航空機メーカー、VliegMasjienは、開発中の水陸両用機C-Wolfの原型機を展示した。カスタマーの注文と前金もとっているが、まだ開発段階であり、初飛行は2013年に実施される見込み。

メーカーによると、比較的大きなペイロード(800kg、機体自重900kg)と航続距離(1910nm)を備えた機体で、未開地での運航を想定。いわゆるブッシュプレーンとしての役割を強く意識したものになっており、アフリカよりも、カナダやオーストラリアといった国々に狙いを定めているという。
胴体はどちらかというとヘリコプター風、推進式の5枚プロペラ、高翼配置のT尾翼で、微妙なカナードがついており、外観はなかなか特徴的。ダブルファウラーフラップを備え、高いSTOL性能、小回りがきく設計となっている。

エンジンは6気筒ガソリンエンジンのADEPT-320、出力320hp。プロペラの回転数は1900rpmというから静粛性は高いと思われる。機体の大部分と主翼はケブラー製で耐久性は高い。無骨な感じの着陸脚は、3gの衝撃に耐える。

ブツシュプレーンと言えば、「最も危険なゲーム」に登場するDHC-2ビーバーだが、

http://www.aviation.technomuses.ca/collections/artifacts/aircraft/deHavillandCanadaDHC-2Beaver/

一回り小型の機体で航続距離が5倍近いとか時代が進みすぎ。1947年だもんなあ。半世紀以上の差が‥

ついでなのでビーバー愛好者の人の頁。

http://www.dhc-2.com/

・サーブがSkeldarを売り込む

http://www.flightglobal.com/news/articles/aad-saab-offers-unmanned-skeldar-for-anti-piracy-duties-376715/

南アフリカと直接関係はないが、サーブからはグリペンを導入しているので、産業界としての繋がりはある。
アフリカでは海賊対策の機材として売り込みたいようだ。

Skeldarは回転翼タイプのVTUAVだが、機体規模はMQ-8Bなどよりも小さく、スキャンイーグル等と同じくスモールUAVに属する。サーブが自主開発したもので、年内に市場投入の見込み。陸上だけでなく艦上でも運用可能なのが一つのセールスポイントで、有人ヘリコプターの運用設備があれば問題なく使えるという。
その他のハードウェア上の特徴としては、55hpの多燃料型エンジンにより、ディーゼル用の燃料が使える点が挙げられる。このエンジンにより、滞空時間5~6時間と航続距離100kmを達成した。

現在は幾つかの顧客(政府)と交渉している状況で、地元スウェーデンの国内市場、米陸海軍と特殊戦といったあたりとの話し合いが活発らしい。

http://www.youtube.com/watch?v=WozyI_Cq4E0

MQ-8Bの連続墜落事故に関して原因が公表される/X-47B AV-2がNASパタクセントリバーで初めて飛行を行う/UCLASSの要求仕様は秋頃確定の見込み/X-48C BWBの飛行試験がスタート/X-51Aの最後の飛行実験が失敗に終わる

MQ-8Bの連続墜落事故に関して原因が公表される

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-details-recent-mq-8b-crashes-374996/

USNのMQ-8Bは今年、2012年の3月30日と4月6日に連続して墜落事故を起こし、一時飛行停止を余儀なくされた。飛行停止は間もなく解除されているが、原因が公表されたのはこれが初めてとなる。
3月30日の事故は、西アフリカの沖合いでUSSシンプソンに着艦できず着水、翌朝になってから回収された件で、自動着艦装置の故障が原因。
4月6日の事故は、アフガニスタン北部での墜落で、こちらは航法システムの故障。高度計が作動しなくなったと見られている。

いずれのケースでも、機体が回収される時点までの飛行停止措置がとられた。その他のMQ-8Bは、2機がアフガニスタンでNATO各国の部隊と共同して活動中、4機がUSS Klakringに搭載されてホーンオブアフリカ沖へ展開、ソマリア及び周辺諸国での特殊部隊の活動を支援している。航海は6ヶ月間の予定。

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X-47B AV-2がNASパタクセントリバーで初めて飛行を行う

http://www.flightglobal.com/news/articles/northrop-grumman-x-47b-flies-at-navy-base-anticipating-2014-shipboard-trials-374994/

7月29日、NASパタクセントリバーにおいてX-47Bの2号機、AV-2が35分間の飛行を行った。エドワーズAFBでのチェックアウト・フライト後、NASパタクセントリバーへ移動して以来初めての飛行となる。US当局からは、今後の飛行試験日程は明言されていない。

今年の7月29日は日曜日だったが、10年前のこの日は関係者が集まってどのように艦載UAVを開発するかを話し合った日とか何とかで、計画の上では節目の日付になってるみたい。10年前のこの日付のあたりではUCAV-Nが進行中で、X-47Aのタキシー試験とかがあったようだ。チャイナレイクで初飛行するのはその更に2年後。

http://www.youtube.com/watch?v=crfLkasFp68

2014年の艦上トライアルの前段として、有人機でのソフトウェア開発はかなりの前進を見ているとのこと。
カタパルト試験はNASレイクハーストでもできるが、VX-23はパタクセントリバーがホームベースなので、こちらが主体になる。

UCLASSに繋がる技術デモンストレータというのが現在の位置付けなので、X-47Bを基礎にした機体が実用化に最も近いとは言え、その開発で得られた情報はUCLASSを提案する各社にも公開されることになっているから、アドバンテージは絶対的なものではない。

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UCLASSの要求仕様は秋頃確定の見込み

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-expects-fall-approval-for-uclass-requirements-375585/

海軍航空システムコマンド(NASC)によると、UCLASSの要求仕様に関し、海軍作戦部長(CNO)の承認がまだ下りていないものの、初秋には承認され、確定するだろうとのこと。
ただし業界筋によれば8月5日の週には要求の草案が配布されたとのことで、空中給油無しでの滞空時間に関する条件が示されていたという。草案なので、承認前の書類ということになる。
何度も出ている通り、UCLASSの有力候補と目されているのは、ゼネラルアトミクスのプレデターC、ボーイングのファントム・レイ、LMのシー・ゴーストとなる。

スケジュールについては、2016年に1機種に絞り、2020年にIOC獲得を目指す。ここで言うIOCは、6機が艦載機として空母に搭載されることを指しているものの、この時点では6ヶ月の航海の全行程に渡って任務に付くことは意味しないとのこと。

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X-48C BWBの飛行試験がスタート

http://www.flightglobal.com/news/articles/blended-wing-body-flight-test-campaign-resumes-at-nasa-dryden-375342/

前のX-48Bによる試験は、2007年から2010年にかけ、92回の飛行を実施した。C型では、エンジン数を3から2に減らして1基あたりの推力を増やし、翼端の垂直尾翼を廃して中心線付近に双垂直尾翼を立て、機体後方を60cmほど延長するといった設計変更が加えられた。
設計はボーイングだが、製作は英国のCranfield Aerospaceという企業になる。
計画された飛行性能としては、最大速度120kt、最大高度10000ftという数字が出ている。スパン6.4m、重量230kgというサイズは、実用機(スパン73mの亜音速機)の8.5%スケールモデル。
ボーイングでは、従来の胴体と翼からなる形態に対してより高効率・低騒音を実現し、重量物輸送、空中給油などの用途で15~20年後の実用化を想定している。

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X-51Aの最後の飛行実験が失敗に終わる

http://www.flightglobal.com/news/articles/x-51a-waverider-test-flight-ends-in-failure-375529/

AFRLは8月15日、X-51Aの3回目の飛行実験が14日に実施され、失敗に終わったと発表した。
母機(B-52)からの分離は成功したが、ロケットブースタ(ペガサス)から分離して15秒後、制御を失って墜落。原因は制御翼の動作不良とされており、スクラムジェットが作動する前に失敗ということになった。
制御翼については、これまでの2回の実験ではスクラムジェット作動中においても正常に機能していたため、全く問題視されていなかったようだ。

X-51Aの実験は3回で終わる計画ではあったが、計画目標が十分に達成されたとは言い難い状況であり、予備機はまだ存在しているので、再実験の可能性は残る。ただしUSAFとしての決定はまだ出ていない。
いずれにしても、失敗の原因を正確に把握する必要があるのは言うまでもない。

RAAFがホーク127をT2同等へアップグレードする計画/MBDAが将来型の精密攻撃兵器システムを公開/フィンメカニカグループがロシアにMPAのミッションシステムを提供/EADSが銀行設立を検討

RAAFがホーク127をT2同等へアップグレードする計画

http://www.flightglobal.com/news/articles/australia-to-upgrade-hawk-trainers-to-rafs-t2-standard-374492/

オーストラリア国防相は、RAAFのホーク127について、最新のRAF向けと同等のT2相当にアップグレードする計画を明らかにした。総額は2500万オーストラリアドル。
ホーク127の機数は33機で、すべて1999年から2001年にかけて引き渡されたもの。RAAFウィリアムスタウンと同ピアースに配備されている。

BAEシステムズによると、この改修はMLUにあたるもので、T2やサウジ向け165と同じ、OC2ソフトウェアスタンダードへの変更が計画されている。

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MBDAが将来型の精密攻撃兵器システムを公開

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-mbda-unveils-future-vision-for-armed-uavs-373994/

7月9日のファーンボロにおける恒例イベント、Concept Visionにて公開されたもの。3回目の今年は、20年以内に実現可能な将来のUAV兵器システムというお題で、CVS301 Vigilusというのを公開している。

http://www.mbda-systems.com/files/docs/DS-vigilus-2012.pdf

http://www.mbda-systems.com/mediagallery/#/videos/2922

Caelusは監視用のUAVで重量は約100kg、最大で2時間滞空でき、1kgのペイロードには弾頭もしくは散布用センサが搭載できる。これと対になるGladiusは小型のPGMで、重量7kg、弾頭重量1kgで、最大射程は16nm(30km)とされる。
イメージ映像に出てくるのは飛行船タイプの無人プラットフォームで、4基のランチャーを下面に搭載している。これはArmatusと呼ばれ、独自機構のラッチを有し、無線で制御されるため配線などを必要とせず、様々なプラットフォームにインテグレーションできるのが特徴。
初期の概念の段階で、BAEシステムズやCassidian、SELEXガリレオ、またMBDAと取引のある各国軍とも話し合いを持って揉んだアイディアだそうだ。

20年後の戦場で、のんびり飛行船だの小型UAVだのが飛べるかどうかというと疑問も残る。そのくせ重装備の敵を相手にしてるあたりがまあ何というか、あくまでプロモですよねという感じだが、あくまで非対称戦の延長で考えられてるように見える。

古い意味の大戦争が一回あったら、そのときは携帯端末や衛星データリンクなんかが丸ごと使えなくなるようなケースも出てくるんじゃないかなあ。非対称戦が日常になりすぎてて忘れられがちだが、対抗策は常に研究されてるはずで、有事には衛星が落とされる可能性だって高い。

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フィンメカニカグループがロシアにMPAのミッションシステムを提供

http://www.spacedaily.com/reports/Russia_and_Italy_to_jointly_develop_patrol_aircraft_999.html

ファーンボロにおいてフィンメカニカとRosoboronexportが、Il-38とBe-200のミッションシステム開発に協力することで合意とある。SELEXガリレオなど、フィンメカニカ傘下の3社の名前が挙がっている。第三国への輸出が考えられているようだが、まずは市場調査からスタートすることになる。
協力の形としては、イスラエルとロシアが協力したAWACSなんかと同様とされる。

先進的なMPAは伝統的な哨戒任務(ASW含む)のみならず、領海の監視や組織犯罪への対応(対海賊なども含むいわゆるローエンフォースメント)、環境および資源調査も可能であり、それなりの市場があるだろう、という見込みに基いている。

大型機はあんまり受けないんじゃないかと思わないでもないが、A-50EIとかがインド向けで進行したのと同じく、既に売る相手がいるのかもしれない。つーかインドの可能性も高いなこれ。

近年、イタリアとロシアの軍事協力が拡大する傾向にあるのは確かだ。Yak-130からM.346を開発した後も協力関係は続いており、またロシア非常事態省がアグスタウェストランドのヘリコプターを導入し、共同生産の予定もある。陸ではイヴェコLMVが採用されている。

他のファーンボロでのロシア関係の話題として、イリューシンファイナンスがパナマのSouth America Aircraft Leasingとの取引で、An-148/158×12機の引渡しが確定してるそうだ。
SSJ110を東南アジア某エアラインへ40機というのは成立したか不明。

UPIの記事の方が詳しい。

http://www.spacewar.com/reports/Finmeccanica_gains_multinational_deals_999.html

SELEXガリレオはATOSミッションマネジメントシステム、これは空中監視プラットフォームの核となる部分。WASSは軽量の航空魚雷を、SELEX Elsagは通信系をそれぞれ担当する。このうちSELEX Elsagは1990年代からロシアと協力関係にあったという。

契約条件は明らかにされていない。

あと、こっちはフィンメカニカグループ側の記事なので、NATO AGSにおいてSELEXガリレオが地上管制局を担当したことや、SELEX Elsagが広帯域データリンクを担当したことなどが書かれている。

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EADSが銀行設立を検討

http://www.spacewar.com/reports/Defence_group_EADS_eyes_launching_own_bank_999.html

EADSグループの資産は100億ユーロぐらいあって、その辺の銀行に置いといたらどうなるかわからん、ということで、自衛のための銀行設立が(ある程度)現実味を帯びている模様。
欧州金融危機もここまで?という感じの話題。なお、最悪のケース、つまりユーロ圏崩壊の場合の影響は「予測不能」であり対策もへったくれも無いらしい。

X-48C BWBの飛行試験が来月後半から開始予定/X-51の飛行試験が近日中に実施か/プラント42で詳細不明のUAVが確認される

X-48C BWBの飛行試験が来月後半から開始予定

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-x-48c-blended-wing-body-to-fly-next-month-373434/

http://www.designation-systems.net/dusrm/app4/x-48.html

ボーイングが主契約のX-48は、同社のコンセプトであるBWB(亜音速・低エミッションの将来輸送機コンセプト)のサブスケール実験機だが、最初のA型はキャンセルされ、B型の試験から本格開発が始まった。X-48CはX-48Bに続く2番目のサブスケール実験機であり、スケールはほぼ同じだが、エンジンの数が3発のターボジェットから2発のダクテッドファンとなり、ウイングレット状の垂直ラダーが無くなって普通の垂直尾翼に変更されている。
これは必ずしも問題があって変えたというわけではなく、別のコンフィグレーションの機体を使って同じ飛行パターンでの試験を行うことで、設計上の得失を判断しようという意図がある。
C型の変更は、エミッション低減と騒音低減効果を狙っているそうだが、操縦性の評価が第一目的となっている。

X-48Cの飛行試験は25回ほどの予定が組まれており、7月後半から年内にかけての約6ヶ月で実施予定。重点的に評価される対象は、低速・高AOA時の操縦性とのこと。

今のところ、これに続くBWBの研究開発計画は存在しないが、ボーイングの開発チームとしてはX-48の成果を基に、より大型のデモンストレータへ発展させたいところ。

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X-51の飛行試験が近日中に実施か

http://www.flightglobal.com/news/articles/third-x-51-hypersonic-test-vehicle-to-fly-soon-373383/

ボーイングはX-51の試験について、政府との合意が成されればすぐにでも実施されると発表している。時期ははっきりしないが、今年中ではあるようだ。
X-51の試験は、次が3機目。これまでの2回では、まだ設計通りの結果を出せていない。3機目がうまくいけば、その次の4機目では別の飛行プロファイルに基づいて試験することもあり得るが、まだわからない。

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プラント42で詳細不明のUAVが確認される

http://www.flightglobal.com/blogs/the-dewline/2012/06/lockheeds-new-mystery-drone.html

トリンブルさんブログから。
パームデールにあるLMの施設、プラント42の衛星写真で、詳細不明のUAVが「発見」され、一部で話題になった。RQ-170センチネルに似た全翼機と見られたが、スパンは隣のF-16の全長よりも長く、大型のUAVだった。
ここではLMがパテント登録したものに酷似、という説が出ている。
記事中にもあるが、

http://www.ptodirect.com/Results/Patents?query=PN/D382851

1997年に登録されたもので、P-420 Lightstarという名称も伝えられているが、真相は不明。

http://www.google.com/patents/about?id=45EnAAAAEBAJ

特許出願で見ると、ステルスUAVの形状的なものは、1990年代でもかなり煮詰まっているのがわかる。

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関係ないがボーイングの高速輸送機のパテントで、普通の旅客機の胴体にエリアルール適用する案とかあったのね。

http://www.google.com/patents/US6575406

図版の2枚目。前方座席が2-3-2列、後方座席が2-5-2列で、主翼のところは絞ってあって2-2-2列。ここまでくるとソニッククルーザーなんかより現実的だったんだか何だかよくわからん世界だ。

X-47BのエドワーズAFBでの飛行試験が一段落/X-37B OTV-2が着陸/Taranisデモンストレータの初飛行予定が2013年に延期/イスラエルのUAVメーカーが24時間滞空可能な小型UAVを開発中

X-47BのエドワーズAFBでの飛行試験が一段落

http://www.gizmag.com/x-47b-flight-test-first-phase-completed/22958/

5月15日、X-47Bの2号機は、2011年2月4日から行われてきた、エドワーズAFBにおける耐空飛行試験を完了。その後NASパタクセントリバーへ移動し、空母艦上の環境に適合させる試験の一環として、電磁波干渉試験に入っている。1号機は昨年12月から同試験に供されている状態。

耐空飛行試験の間には、初の巡航モード飛行やテイルフックの出し入れ、自律飛行による航空史上初のタッチアンドゴー、高降下率・大荷重状態での着陸などが行われた。ノースロップグラマンでは、海軍やAFFTCとの共同作業も円滑で大きな成功を収めたと結論している。

UCAS-Dとしての次の段階は、今後数ヶ月以内にスタートする艦上トライアルになるので、現在はその準備が進められているところ。カタパルト射出と着艦、艦上ハンドリングの無線操作など、ソフトウェアに関するチェックが主体となっている。
その後、2013年に発着艦から着陸復航に至るまでの一通りの自律的なフライト(launch, recovery, bolter and wave-off performanceとある)をデモンストレーションし、2014年に空中給油試験を行う。

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X-37B OTV-2が着陸

http://www.gizmag.com/x-37b-otv-2-first-flight/22980/

6月16日午前5時48分、ヴァンデンバーグAFBにX-37B OTV-2が着陸した。軌道上(LEO)での活動期間は469日に達している。

SPACECOMの下で運用されていて具体的な打ち上げ目的は公表されていないものの、再使用コストやターンアラウンドのデモンストレーションも含まれていると見られ、半年後にはOTV-1を再度打ち上げる予定。

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Taranisデモンストレータの初飛行予定が2013年に延期

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-taranis-demonstrator-tested-as-first-flight-slips-into-2013-373226/

6月19日、BAEシステムズは2010年7月から開発しているステルスUCAVデモンストレータ、Taranisの初飛行予定が、2013年初めまで延期と発表した。計画には1億4000万英ポンド程度の費用がかかっている。
進行状況については、ランカシャー、ウォートンの試験施設でRCS測定試験までが完了しているとの事。結果はMoDの防衛科学技術研究所にて評価中であるが、かなり有望なデータが得られたとしている。

この2年間、パートナー企業との協力で相当量の試験及び開発作業が行われており、RR担当のエンジンについては、ブリストルのフィルトンにてインテイクの試験を行っている。TaranisとX-45/47のぱっと見で全く違うところのひとつがインテイクの形状だ。開口面積自体を大きく取った、比較的単純な二等辺三角形になっているように見える。
それはともかくこの画像をじっと見ていると、土偶の頭みたいに見えてこないこともない。

BAEシステムズ社内でTaranisが進行する一方、来月のファーンボロでは、英仏共同でのUCAS技術要件研究に調印することとなっており、約1500万英ポンドの契約になる見込み。パートナーとなるのはダッソーで、同程度の金額で調印することになっている。
ダッソーはNeuronデモンストレータを開発中で、2012年内に初飛行予定のはず。2000年代初頭の実験機AVE-C/Dに続くものだが、2005年のパリでモックアップを公開して以来、欧州の主要メーカーに協力を求めるなどしていた。
ここら辺の情報交換が主になると思われるが、今後の展開はまだよくわからない。

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イスラエルのUAVメーカーが24時間滞空可能な小型UAVを開発中

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-manufacturers-join-forces-on-long-endurance-uav-373248/

イスラエルのBlueBirdとUAS Technologiesの2社は、24時間滞空可能なMTOW24kgクラスの小型UAVを開発している。
UAS TechnologiesのUAS 20というタイプをもとに、滞空時間を大きく延ばした設計になっている。機体のサイズは、全長1.6m、スパン4.1m。最高速度72kt、巡航速度42ktで、最大高度16000ft、作戦可能距離は100km。

メーカーの説明では、エンジン搭載型で24時間滞空、電動モータ搭載型で12時間滞空が可能としており、現在2機の原型機が飛行試験中とのこと。

ペイロードとして挙げられているControp T-Stampというのは、Stabilized Miniature Payloadという製品ラインに属しており、TはTriple Sensorを指す。つまり昼間カメラ・夜間カメラ・レーザポインタの3つを統合しており、総重量3kg。
EO/IRペイロードほど本格的ではなく、ハード的にはいわゆるCCTV(中国のTVじゃない方)のようなものだが、ジャイロ内蔵の安定化装置付きでINS/GPS航法装置と連接し、目標追尾ができたりする。

http://www.controp.com/default.asp?catid={DB78AD58-D2ED-4CCB-8BDB-4316330FB7B7}&details_type=1&itemid={37D2B387-FD7A-4F21-A0E9-14F4533113D8}

ちなみにTD-StampというのがEO/IRペイロード版で、総重量5kgだそうだ。

戦闘状態において小型UAVの生残性は、今後厳しくなることも予想されるが、非軍事用途でなら関係ないし、何よりも機体、運用とも低コストで済む利点は大きい。

スウェーデンがAeroVironmentのスモールUASを導入/イスラエルがEW対応のUAVを開発中/USNがMQ-4Cを公開する

スウェーデンがAeroVironmentのスモールUASを導入

http://www.spacedaily.com/reports/Swedish_Defence_Materiel_Administration_Orders_AeroVironment_Puma_AE_and_Wasp_Small_Unmanned_Aircraft_Systems_999.html

スウェーデンが導入するのはプーマAEとワスプ、合わせて12機で、契約には地上管制局と兵站支援、訓練が含まれる。
メーカーでは、機種が違っても同じコンソールで操作できるので、任務や目的に合わせて複数の機種を使い分けるなど、柔軟な運用が可能であるとしている。相互運用性が大きな強みの一つということになる。

同型のUASは米国のほか、オーストラリア、チェコ、デンマーク、エストニア、フランス、イタリア、レバノン、オランダ、ノルウェー、サウジアラビア、シンガポール、スペイン、タイ、ウガンダとイギリスでも採用された。

http://www.avinc.com/uas/small_uas/

ワスプの方は、DARPA主導のMicro Air Vehicle (MAV)として開発が進められたもの。USAFとUSMCが採用した。
ワスプAE(All Environment)というのが最新タイプで、連続飛行時間は20%増加した。USAFは前モデルに続いてBattlefield Air Targeting Micro Air Vehicle (BATMAV)としてこれを採用する事を決めた。

http://www.spacedaily.com/reports/AeroVironment_Introduces_Digital_Wasp_AE_Small_Unmanned_Aircraft_System_999.html

適合性試験と評価は1年にわたって行われており、USAF以外の採用も期待できる。

もう一つあったのが、米国FCCによるAeroVironment製UASを使ったデモンストレーション。

http://www.spacedaily.com/reports/AeroVironment_to_Deploy_Small_UAV_For_Federal_Communications_Commission_Post_Disaster_Comms_Demo_999.html

Deployable Aerial Communications Architecture (DACA)と呼ばれるもので、災害時などの通信確保を主な目的とする。非軍事用途ということで、メーカーの期待も大きいようだ。

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イスラエルがEW対応のUAVを開発中

http://www.spacedaily.com/reports/Israel_encrypts_UAVs_as_cyberwar_widens_999.html

イスラエルは電子的攻撃への対抗手段を備えたUAVの開発を進めている。ここで言及されているものはエルビット製のスカイラーク1UAVをプラットフォームとし、スカイレイダー計画と呼ばれているが、こちらのデータを暗号化し、敵のデータをハッキングするといった大きな構想の一部を成している。広義のサイバー戦に含まれるものと言える。

イスラエルがこうした手段の開発に本腰を入れるようになったのは、ヒズボラによるUAVのデータ通信妨害を深刻に捉えるようになったためだった。
1997年9月、レバノン南部Ansariyaへの強襲作戦で、海軍特殊部隊Flotilla 13が待ち伏せされ、撤退中に指揮官を含む11名が戦死した事があったが、当時は単に不運だったなどとして片付けられており、これが「攻撃地点を監視していたUAVのデータ通信が妨害された結果、作戦が失敗した」と認められるまでには、長い時間がかかった。

直接のきっかけとなったのは2010年8月、ヒズボラがレバノンのハリリ元首相暗殺事件(2005年2月)にイスラエルが関与した証拠として、UAVによる監視映像を公開したことだった。ヒズボラのリーダー、ハッサン・ナスララーは、映像はハリリ元首相がベイルートの住居から議事堂に至る移動ルートをイスラエルが空中から監視していた証拠であると主張。
イスラエル軍当局はこの一件を調査して、映像が本物であると断定、上記の作戦失敗はヒズボラがUAVによる監視を逆手にとったものであったと結論づけた。

ハリリ元首相暗殺事件では、こうしたヒズボラの主張にも関わらず2011年、ハーグの国際法廷がヒズボラの人間に逮捕状出してるが、直接関係ないので省略。
参考として「中東の窓」ブログを勝手にリンク。
http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/3833510.html

ヒズボラのバックにいるのは言うまでもなくイラン、革命防衛隊であり、イラン自体の技術が脅威となっているのはもちろん、さらにその向こうにはロの国とか中の国とか北の某国とか‥まあ憶測でしかないわけですが。

この書き方だと、まだすべてが妨害されているわけではないという印象を受けるがどうだろうか。もしくは短距離でしか影響を及ぼせないとか。
どちらにしてもイスラエルとしては、ヒズボラの仕掛けるEWに対抗していく以外の選択肢はない。振り返ってみると、2000年代はヒズボラがイスラエルの想定を上回り続け、大きな損害を与え続けたが、次のラウンドはもう始まっている。

しかし大規模な軍用ワームとか、意外と出てくるの遅かったなあとか思ったり。
インフラが整備されてから産業機械系のネットワーク化が浸透するまで、時間が結構かかったという見方もできるか。

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関連で、UAVの生残性を高めることをイスラエルのメーカーが検討しているという記事。

http://www.flightglobal.com/news/articles/israel-looks-to-make-unmanned-systems-harder-to-destroy-372924/

イスラエルの情報筋によると、ロシアは既に小型UAVを探知するレーダーシステムの開発を行っているとされ、イスラエルではこうした技術の拡散に備えて、UAVの生残性を高める必要があると考えられている。

具体的なことは言及されなかったものの、ある程度大型のUAVであればEW装備を搭載する方法があり、小型UAVを敵の警戒が厳重な地域に投入するケースでは多数のUAVを同時に運用するなどの手段が例示されている。

UAVが有人の作戦機と同様にありふれた物になった結果と言える。ロシアの場合はグルジア侵攻などの戦訓も影響してそうだ。

従来のUAVは、そのペイロードのほとんどをISR機材などに充てていたが、近いうちにパワーソースの許す限り自衛EW装備などを持たなければならない時代が来るのかもしれない。
ラジコン機クラスだと煙幕ぐらいしか思いつかんが。

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USNがMQ-4Cを公開する

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-northrop-unveils-first-mq-4c-triton-for-us-navy-373027/

開発中は単にBAMSと呼ばれてきたものだが、愛称はTritonとなっている。カタカナだとトリトーンもしくはトライトンだな。
公開された機体は、2機の試験機のうちの1機で、2号機は約1ヶ月前にロールアウトしているとのこと。

アンヴェイル・セレモニーの動画。

http://www.youtube.com/watch?v=9pi06lQw7PA

少数のF-22パイロットが飛行を拒否する/LASの改訂版RfPが発出される/A2ADと第5世代戦闘機、nano-UAV/台湾向けF-16に関する新たな動き

少数のF-22パイロットが飛行を拒否する

http://www.flightglobal.com/news/articles/some-f-22-pilots-decline-to-fly-371339/

ACCの長であるMike Hostage大将は4月30日、ラングレーAFBでの共同会見において、ごく少数のF-22パイロットが飛行を拒否している事について述べた。まだ進行中の事象らしく、センシティブな問題であるとしたが、F-22における酸素発生装置関係のトラブル(11例あった)が完全に解決されないまま、任務に復帰させた事が理由になっている。この件は何度も報じられた通り、5ヶ月の飛行停止と調査が行われ、その後も累計12000時間ほど飛行しているが、未だ原因は明らかとなっていない。このため、不安を抱くパイロットがいるのも全く不思議ではないと言える。

彼らの処遇については、搭乗するよう強制することも、簡単に他の任務に就けることも難しいようだ。結局のところは再発リスクを可能な限り抑えたから大丈夫、と説得するしかないみたい。

会見の中でもう一つ、UAEへの展開についても触れられている。昨年と同じくAl  Dhafra基地へ展開したと見られるが、公式にはコメントが出ていない。ある情報源によると、UAEへの展開は航空遠征軍のルーチンに組み込まれ、ホロマンAFBの49FW / 7FSから派遣されたとのこと。

で、ここの記事に出てる写真の最後のF-22は5月2日、ジョージアのマリエッタ工場でUSAFに引き渡されている。

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-usaf-receives-last-f-22-raptor-371401/

式典が催され、USAFからは参謀長のノートン・シュワルツ大将なども出席した。テイルナンバーは10-4195。
5月4日には4193とともにエレメンドルフ統合基地へ移動したはず。

以下、沿革と改修予定について書かれてる。改修に関する部分を要約しておくと、

2014年内にインクリメント3.2A、これはソフトウェア改修で、電子的保護技術と戦闘情報識別の強化、Link 16と機載センサ情報の統合などが含まれる。

そのフォローアップにあたるのが3.2Bで、3.2Aのソフトウェア改修にAIM-120DとAIM-9Xのインテグレーションが加えられる。改修キットの調達に関するマイルストンBが2012年12月予定。これが通るとFY2016から調達開始、FY2017Q3から引き渡し、FY2018Q1に改修を実施となる。
3.2Bはさらに細かくアップデートが分かれており、兵装関連は2017年以前に搭載可能となる計画。2013年のアップデート4でAIM-120D、2015年のアップデート5でAIM-9Xを、一応運用できるようにする。
一方、GAOの勧告で削られた要素もある。SDBの独立8目標誘導と対地衝突防止システムAuto-GCASがそれで、後者は機上酸素発生装置のトラブル対策としても謳われていたものだ。これさえあれば安心というものではないが、最後の安全装置としては重視されていた。

その先はまだLM社内の研究段階ながら、搭載コンピュータのオープンシステムアーキテクチャ化というのがあって、うまく実現すれば、第5世代の枠を拡げるような、大きな可能性が開けるかもしれない。

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LASの改訂版RfPが発出される

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-issues-new-rfp-for-afghan-las-programme-371483/

5月4日夕刻、USAFはLASのRfPを改めて発出した。入札締切は6月4日。以降のスケジュールは、2013年早々に機種選定、2014年Q3に最初の機体をアフガニスタンへ引き渡す、となっている。

前のLASに関しては、シエラネバダ/エムブラエルのA-29スーパーツカノ、ホーカー・ビーチクラフトのテキサンIIの2機種が選定を争う形となっていたが、今度も入札者は同じと見られる。機数は20機で金額は3億5500万ドル。
前回よりも条件は若干緩められているようだ。デモンストレーション無し。中小企業の参加に関する部分も削られた。

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A2ADと第5世代戦闘機、nano-UAV

http://www.flightglobal.com/news/articles/future-nano-uavs-could-collect-isr-in-heavily-defended-airspace-alongside-raptors-and-f-35s-371189/

A2AD環境に対する偵察、ISR能力を、F-22とF-35、2機種の第5世代戦闘機に与えるという研究が始まっている。その先にはnano-UAV群による同様の能力が提供されることになるだろう、という話だが、実現にはまだ時間がかかる。

F-22とF-35、いずれも高度なセンサを備えており、潜在的な情報収集能力に関して不足はないが、収集したデータをどのように送出するかが課題になっているとのこと。ACCとUSAFの科学諮問委員会が共同で研究に当たっている。

この手の話は、機体規模に限界のあるnano-UAVの方がさらに難しそうな気もするが。

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台湾向けF-16に関する新たな動き

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-to-re-visit-f-16-cd-sales-to-taiwan-371349/

テキサス州選出のJohn Cornyn上院議員が、ウェブサイト上で台湾へのF-16売却に関して触れている。大統領副補佐官兼 director of the office of legislative affairs (OLA、立法問題室長?)からの書簡というもので、台湾へのF-16を含む軍事援助は、次期国防副長官にとり高いプライオリティを持つとかなんとか。言うまでもないがテキサス州にはLMの本拠、フォートワースがある。

もし実現すれば例のF-16V (Block60相当)が提供されることになる可能性が高い。