USAFのF-16近代化改修計画の変更について/台湾向けF-16アップグレードの契約が締結される/B-2向けEHF通信機アップグレード/定期整備中のJSTARSにサボタージュの痕跡が発見される/F-35の低率生産分のアップグレード改修について

USAFのF-16近代化改修計画の変更について

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-air-force-changes-acquisitions-strategy-for-f-16-radar-modernization-377627/

USAFのF-16近代化改修計画は、F-16 Combat Avionics Programmed Extension Suite (CAPES)と呼ばれるもので、レーダーの関する部分はF-16 Radar Modernization Programとされ、CAPESに含まれている。改修を施す機数は、最終的には300機程度が考えられている。

従来計画だと、F-16 Radar Modernization ProgramにおいてはCAPESの主契約(prime integrator)のLMに対し、発注側がレーダーを支給しLMが機体に組み込む、という形式になっていたのだが、このレーダーはCFE (Contractor Furnished Equipment)として取り扱われることになった。つまりは主契約のLMがレーダー選定、調達から組み込みまでを行うことになるらしい。

何度か出ているが、F-16向けAESAはノースロップグラマンのSABRとレイセオンのRACRの2機種が存在する。前者はF-22のAPG-77、F-16E/FのAPG-80、F-35のAPG-81と関連しており、後者は同様にF-15CのAPG-63(v)3、F/A-18E/FのAPG-79、F-15EのAPB-82と関連する。今のところF-15系の改修でレイセオンの方に実績がある。

LMでは、既に両方のレーダーを自社のシステムインテグレーションラボにおいて試験したとのことで、実際に飛行試験まで行われているようだ。しかし自分のところに決定権が回ってくるとは考えてなかったため、どちらがどうという判断はしていない。ただ、どちらもUSAFの要求性能を満たしているのは確認済とのこと。
とは言え、2018年Q4までに24機の引き渡しというCAPESのスケジュール、実際のインテグレーションと標準化に2~3年かかることから逆算すると、時間はあまりない。レーダーだけでなくアビオニクス統合、コクピットの中央表示装置の交換、EW能力の強化、データリンクなどのインテグレーションがあるため、レーダーは最重要ではあるものの、要素としては一部分に過ぎない。

なお、このあたりの開発は台湾向けと共通で進められるようだ。LMとしては、世界で使われているF-16の新たな標準仕様とすることを望んでいる(例外となるのはBAEシステムズと契約した韓国のF-16アップグレード)。
このアップグレード改修キットは、台湾向けとUSAF向け合わせて550セットが確定。
これと別に輸出向け新造機は100機程度が契約見込みとなっている。

AESA以外で進行中の案件としては、機体寿命延長に関する研究。試験機はジグ上に設置済みで、10月11日に事前チェックを終えた。本試験は年内に開始予定となっている。

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台湾向けF-16アップグレードの契約が締結される

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-martin-wins-185bn-contract-to-upgrade-taiwans-f-16s-377178/

7月の政府間合意(総額38億ドル)の一部となるもので、金額は18億5000万ドル。ROCAFのF-16A/B×145機について改修を実施する。
内容は概ねUSAFのCAPESに準じるが、この時の発表では、レーダーに関して未定とされていた。
上の記事はこの直後に出てきたので、USAF向けと同様の経過を辿ると考えられる。輸出と共通化するから、LMの方に主導権を移したような感じなのかな。

一方、韓国の方はLMから離れたのでどうなるか全くわからん。同国の調達官庁DAPAによると2013年に選定予定ということにはなっている。こちらはC/D型で機数は134機。

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B-2向けEHF通信機アップグレード

http://www.flightglobal.com/news/articles/northrop-begins-production-of-b-2-satcom-upgrade-377584/

ノースロップグラマンはB-2のEHF通信機アップグレード、インクリメント1の生産を開始した。9月28日に契約したもので、金額は1億800万ドル。このインクリメント1では、単に無線機を交換するだけでなく、プロセッサの交換、ネットワークケーブルの光ファイバ化やディスクドライブの大容量化といった内容が含まれており、メーカーでは全体的な情報処理能力が大きく拡大されるとしている。

EHFインクリメント1のOTは、ソフト、ハードとも7月末に完了。ノースロップグラマンによると、SDD段階で少数の機体に新しいサブシステムを搭載しはじめているとのこと。

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定期整備中のJSTARSにサボタージュの痕跡が発見される

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-investigating-potential-jstars-sabotage-incident-377576/

ルイジアナ州レイク・チャールズ(ノースロップグラマンが保有・運営する施設)にて定期整備中のE-8の1機で、ワイヤが切断されているのが発見された。
同施設内の他の機体を点検したところ、もう1機でも同様の状況が確認され、USAFは何者かによる意図的なサボタージュの疑いありとして、調査を開始している。

現在E-8の整備と保管は、ノースロップグラマンがこの施設で一手に引き受けている状態となっているようだ。
ノースロップグラマンからのコメントは記事の時点では無し。

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F-35の低率生産分のアップグレード改修について

http://www.flightglobal.com/news/articles/jpo-plans-to-award-lockheed-upgrade-contract-for-93-f-35s-377526/

F-35 JPOではLMに対し、標準仕様のBlock 3未満に該当する低率生産分の機体について、アップグレード改修を発注予定。具体的にはLRIP-2からLRIP-5までの93機がこれにあたる。3iとか3Fというのはよくわからんが、LRIP-5ではBlock 2Bにとどまった。

参考:Acrobat起動注意。

www.f-16.net/f-16_forum_download-id-16260.html

http://s3.documentcloud.org/documents/274217/dod-quick-look-ahern-report.pdf

現状、JPOは競争入札を想定していない(=LMへの指名発注)が、競争入札を求めるメーカーなどが出てくる可能性には触れている。
LMではこれに対し、経費見積のデータを出すなどの対応を行う。

ただしLRIPの初期の機体をアップグレードするには多大な経費がかかるとの指摘もある。そうした見解を提示している一人がレキシントン研究所のダン・グール氏。
製造スケジュールを先送りしたのは、Block 3で本格的な量産を開始して、事後の改修にかかるコストを下げるためであり(その分Block 3未満の機数は減ってるのだから)、あえて遡って手を加えるのは本末転倒、という結論となる。
加えて、Block 3未満の機体でも現用のF-16などよりも優れている部分はあるのだから、そのまま使ってもいいのではないか?というような意見も出されている。

F-16というか、Block 2まではイメージ的にはF-117みたいな感じなのだが。レーダーとかは強いけどガンもないし。
せめて機外搭載ぐらいはできるようにした方がいいのでは。

KC-46の開発進捗についてUSAFがコメント/E-8 JSTARSの近代化改修の試験が進む/アグスタウェストランドとノースロップグラマンがAW101の米軍採用に向けて協力/RRがT56エンジンの最新タイプを初飛行させる/ノースロップグラマンがSABRの開発状況などを公表/NATO AGSの見通しについて

KC-46の開発進捗についてUSAFがコメント

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-kc-46-tanker-programme-on-track-says-us-air-force-376640/

USAFのKC-46プログラムマネージャによると、KC-46空中給油機の開発は現在までのところ、スケジュールの21%まで進んでいるとのこと。部品の製造は、テールブームの外皮が作られたところで、まだまだ先は長い。

現在のところ最優先となっているのは、来年に予定されるCDRの準備であるが、2013年7月の予定は前倒しされる可能性もあるという。CDR通過から製造が本格化しするので、需要度は高い。

原型試作機の初飛行は2015年予定で、そのまた原型となる767-2Cの初飛行は、一年先行の2014年に予定。

問題は議会を通さずに強制的に予算縮小(Sequestration)される可能性があることで、当局は2013年1月に予定通り実施されれば影響は甚大なものになるだろう、との強い懸念を表明している。

http://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_syokuryo/h23/pdf/chapter3.pdf

債務上限引き上げ法BCAに関連するもので、予算を強制的に一律削減という、役人にとっては世にも恐ろしい措置が発動する可能性あり、という話。賃金切り下げみたいなことを国家予算でやっちゃうのか。

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E-8 JSTARSの近代化改修の試験が進む

http://www.flightglobal.com/news/articles/northrop-progresses-e-8-joint-stars-modifications-376693/

8月に、レーダーの探知精度を大幅に向上させるというenhanced land and maritime (ELM)改修機が実戦展開している。

これに続く更に本格的な改修は、prime mission equipment diminishing manufacturing sources (PME DMS)改修と、JSTARS radar modernization (JSRM)と呼ばれるもので、前者は機載コンピュータとコンソール(ワークステーションと呼ばれる)の刷新(Linuxへの変更、ディスプレイの置き換え含む)によって情報処理能力を向上する改修、後者はレーダーのアップグレードを含む。メーカーでは、2014年前半には展開可能となる見通しを示した。
なお、JSRMは議会命令による予算措置で行われているから、そっち方面から横槍が入る心配はないそうだ。

3月のハンスコムAFBのプレスリリースから。
PME DMS改修後は27インチモニタになるみたい。

http://www.hanscom.af.mil/news/story.asp?id=123295363

JSTARS radar modernizationの方は、メーカーのPR動画があった。

http://www.youtube.com/watch?v=9LkJQbjfdtE

側視レーダー片面につき、戦闘機用AESAのアレイアンテナ20個分を並べるということしかわからんが。

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アグスタウェストランドとノースロップグラマンがAW101の米軍採用に向けて協力

http://www.flightglobal.com/news/articles/northrop-grumman-agustawestland-make-new-us-bids-with-aw101-376639/

アグスタウェストランドは、AW101を2つの入札に提案することで、ノースロップグラマンと協力することを明らかにした。一つは大統領含む要人輸送で、一度はVH-71として採用されたが、金がかかりすぎてキャンセルされた経緯がある。米軍側からかなり無茶な要求が出たために、開発が滞り予算もオーバーした、という話もあった。
しかし今回は、VH-71のときのチーム、LMとベルは一切関与していない。AWが直接開発するような感じかも。
当時はまだEH-101と呼ばれていた。

もう一つはCSAR。前身のCSAR-Xが2010年に正式キャンセルされ、USAFが目論んだUH-60系の指名発注も失敗したので、遅かれ早かれ再選定せざるを得ない状況にある。

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RRがT56エンジンの最新タイプを初飛行させる

http://www.flightglobal.com/news/articles/modified-rolls-royce-t56-makes-first-flight-376638/

旧アリソンのT56と言えば、P-3とC-130だけとっても数限りなく使用されてるようなイメージであるが、RRではシリーズ3.5と呼ばれる最新タイプを開発、C-130に搭載して初めて飛行試験を行ったとのこと。
このタイプは、圧縮機、タービンブレードと翼断面、圧縮機インレット部のハウジングとシールなどが変更されており、全体としては古い設計(1954年製造開始)のエンジンに新技術を適用した形の製品となって、燃料消費率などが改善される。

USAFではエンジン換装を決めていないものの、3年以内に燃料消費量を10%削減するという目標を掲げている。USAFが試算したところでは、既存のエンジンをシリーズ3.5に改修すると、長期的には20億ドルほどの経費節減になるとのこと。

RRは、世界で稼働しているT56エンジンの数を約6000基としている。USAFで使われているC-130Hは約220機。USNのP-3もまだ現役に残ってる。1割以上は米国で動いてる勘定か。

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ノースロップグラマンがSABRの開発状況などを公表

http://www.flightglobal.com/news/articles/northrop-grumman-to-pitch-new-aesa-radar-to-export-customers-376369/

ノースロップグラマンのF-16用AESAはSABR REPと呼ばれている。これはF-35のレーダー(APG-81)のアンテナアレイと、新開発のバックエンド部(レシーバ、エキサイタと情報処理系)を組み合わせたもので、安価ながらレーダーそのものの能力はAPG-81に近いとされる。またAPG-81から流用する利点としては、既に輸出承認を受けた部品として扱われる、というのがある。つまり輸出向け商品としては手続きが楽。

APG-81では情報処理を機体のコンピュータに投げるので、同様のバックエンド部は持たない。従って、SABRをF-35にレトロフィットするのは不可能。

これまでノースロップグラマンは、F-16用AESAの提案としては、レイセオンと対等の条件で競合関係にあるとの立場を貫いてきたものの、ここに来て自国内USAF向けは諦め気味というか、やや弱気な感じになっている。F-15とF/A-18E/FのAESAがレイセオンの独占状態になってるからというが、それはまあ前からなんで、外部からはわからん情報が入ってるのかもしれない。

5月9日、BAC-111をテストベッドとして空中試験を実施したとのこと。写真はAPG-81の試験の時のだと思う。

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NATO AGSの見通しについて

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-nato-ags-on-course-for-2015-flight-debut-376335/

ILAでのノースロップグラマン側の発表から。
NATO AGSは1996年からスタートしているが、調印は2012年5月。16年かかった。
しかしその後の進展は、まずまずといったところらしい。

2017年までに引き渡される5機のRQ-4のうち、最初の機体が到着するのは2015年9月が目標。Block 40に該当する仕様で、MP-RTIPレーダーを搭載。シシリーのNAS Sigoneraを拠点とする。
調達計画は、6月1日スタートで60ヶ月とされており、NATOが運用を開始するのはその後ということになる。

AGSに協力する欧州の企業は、13カ国から10社であり、ノースロップグラマンの主要パートナーとしてはEADSとSELEXガリレオが挙げられる

AGSへの資金拠出については、NATO加盟28カ国のうち26カ国となった。これに含まれない2カ国は英国とフランスで、いずれも独自の手段でAGSに相当する能力を整備する意向(最終的には英仏共同開発になると思われる)。

なお、AGSに署名した13カ国には、まだデンマークが含まれていない。まだ交渉中とのことで、もしデンマークも加わるとなれば、6機目の追加もあり得るとか。

USAFのF-16C/D寿命延長について/LMがイスラエル向けF-35Aのシステム統合で契約/エドワーズAFBにおけるF-35の状況/エグリンAFBのF-35が200ソーティを記録

USAFのF-16C/D寿命延長について

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-details-f-16-life-extension-programme-375914/

USAFではF-35Aが揃うまでの期間、現用のF-16C/Dを使い続けることになっており、これに伴った寿命延長(SLEP)の詳細が発表されている。
改修を加えるのはBlock 40/42/50/52、機数はおよそ300機で、SLEPに加えてcombat avionics programmed extension suite (CAPES)というアップグレードを実施する計画。ユタ州のヒルAFBにF-16システムプログラムオフィスが置かれ、ここが統括する。

能力向上にあたるのはCAPESの方で、これはソフトとハード両面のアップグレードを含む。新たに導入される主なハードウェアは、AESAレーダー、ALQ-123 EWシステム、integrated broadcast system (IBS) と、center display unit (CDU)といったもので、アビオニクス関連のソフトウェア改修も大きな比重を占める。
F-16のためのAESAに関しては、ノースロップグラマンとレイセオン、それぞれの製品が候補として存在し、長いこと話題になり続けているのは周知の通りだが、選定時期は「近い将来」とされるも具体的にはなってない状況。

ALQ-213の特徴としては、動作が自動化されており、UIも優れているため、パイロットの負担を低減することが挙げられている。

IBSは、機体のセンサと機外からの情報(データリンクなど)を統合して映像化するシステムで、脅威に関する情報を増加し、味方戦力の配置状況などを提供する。一部はCDUにも表示可能。

CDUは、SARマップ、IBS、ターゲティングポッドのカメラなどから得られる情報を表示するのに十分な解像度を備えた表示装置で、従来型計器の一部も置き換える。これに関しては、ANG向けのF-16改修機で既に導入済みのものだそうだ。

SLEPについては、現在のエアフレーム寿命8000時間から、10000~12000時間といったところで検討されており、最終的には疲労試験の結果によって決定される。またSLEPは全ての機体に同様の処置を行うことは想定しておらず、機体ごとに必要な対策を施す方向。
この寿命延長により、F-16は15年ほど長く現役に留まることとなる。

以上の改修は、一括してLMに発注される方向で調整されており、近い将来に指名契約となる見込み。
スケジュールとしては、OTの段階では2014~2015年にかけてソフトウェア改修のインテグレーションと地上試験、2016年に飛行試験。問題なければFY2017から部材調達を始め、FY2018から改修をスタートする。

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LMがイスラエル向けF-35Aのシステム統合で契約

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-awarded-207-million-contract-to-incorporate-israeli-specific-f-35-systems-375899/

イスラエル向けのF-35Aでは、自国製機材の搭載を求めたイスラエルの要求を、ある程度米国が呑む形で決着した。
これに伴って生じる作業については、主契約メーカーのLMが請けるのは当然として、発注者が米海軍のNASCとなっている。この辺の流れは軍事援助と関係してそうだがよくわからん。開発はPDRの段階までを含み、金額は2億700万ドル。期間は2016年5月まで。
今のところイスラエル向けLRIPの8機は、2016年に引き渡し予定。

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エドワーズAFBにおけるF-35の状況

http://www.flightglobal.com/news/articles/f-35-high-aoa-flights-and-weapons-separation-tests-imminent-at-edwards-afb-375964/

現在、エドワーズAFBではF-35の試験を461FTSが担当しており、今年初めからのソーティ数は350を超えたとのこと。ここまでMach 1.6の最大速度試験と、700ktの機内搭載状態での巡航飛行試験が中心だった。今後は高AOA飛行と兵装分離を開始する計画となっている。
これらと別に進行しているのは、エグリンAFBでの訓練任務とも関連したソフトウェアの完熟試験。ここまでF-35Aによる夜間空中給油とエンジン空中始動にも成功している。

エンジンの空中始動試験に当たっては、高度40000ftおよび37500ftという高高度での実施となったため、与圧システムの増強が必要になった。システムを1個増設して対応したとある。

高AOAでの挙動と回復手順を評価する試験は、9月からの予定となっており、AOA20度から50度までフライトエンベロープを拡大する。こちらは準備として、AF-4にアンチスピンシュートの増設を行っており、取付け作業はほぼ終了、タキシーテストを経て検証され、高AOA試験に臨む。
フライトエンベロープ拡大の中でも、この試験は慎重に行う必要があるが、同様な慎重さを要するもののひとつに遷音速飛行試験があった。こちらではMach 0.9~1.2の速度域で意図せぬロールが起こりやすいという問題が確認され、対策として飛行制御則に手を加え、抑制したという。高AOA試験でも同様のことが起こりうるとされている。

兵装搭載試験の方は10月からの計画で、外部搭載の分にあたる。既に地上でのピット投下試験までは完了しており、特別な準備などは無し。

ソフトウェアについては、エドワーズAFBではBlock 1Bの検証がほぼ完了した。これはエグリンAFBの訓練部隊に展開されてている。
試験の繰り返しによってソフトウェアの安定性は増加することになる。修正は次のリリースに反映されるが、小さな修正はそのまま適用された。

エドワーズAFBにおいて現在試験中なのは、Lot 4からのBlock 2Aで、試験は最終段階にあるとのこと。秋には次のBlock 2Bの試験に進む計画となっている。Block 2Bは、USMC向けF-35BのIOCに関わる重大なものだ。ミッションシステム試験は現在6機で行われているが、来年初めから3機(F-35B×2機、F-35C×1機)を加えてペースを上げることになっている。

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エグリンAFBのF-35が200ソーティを記録

http://www.flightglobal.com/news/articles/eglin-f-35s-fly-200th-sortie-375794/

8月24日、VMFAT-501のJoseph Bachmann海兵隊少佐が、エグリンAFBにおけるF-35の200ソーティ目を記録した。NASパタクセントリバーでテストパイロットだった人物で、訓練を施す側。彼の下で転換訓練を受けているのは、兵器学校のインストラクターとして非常に豊富な経験を有するMike Rountree少佐で、AV-8BからF-35Bへの機種転換となる。

エグリンAFBのF-35のソフトウェアはBlock 1Bになっているが、これは以前のBlock 1Aよりもずっと安定しているという。教官パイロットはこれからBlock 1Bに対応したコースウェアの認証を行って、年末のMCASユマでのF-35B部隊編成に備える。
現状、フライトエンベロープは極めて狭い状態であるが、徐々に改善されていく見通し。また、既に別の機種のチェイス機を必要とせず、F-35の2機エレメントで飛行しているとのこと。
また、2週間以内に空中給油訓練を開始する計画があるそうだ。

インドネシア空軍の今後の調達計画について/イスラエルのCH-53にインシデント、飛行停止措置がとられる/インドが最初のEMB-145 AEW&Cを受領/シンガポール向けM-346がロールアウト

インドネシア空軍の今後の調達計画について

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-to-rely-on-upgraded-f-16s-and-k-fx-fighters-375272/

インドネシアはSu-27/30を合わせて10機調達している。将来はSu-30×6機を加え、1個sqの定数まで引き上げることを計画していたが、予算上の制約からこれを断念し、より優先度の高い輸送機調達を急ぐことにした模様。現用の輸送機はC-130B×4機とC-130H×9機だが、C-130の1機(H型の民間仕様、L-100-30(P)とウィキペに書いてある)は、2009年に墜落事故を起こし、100名近い死者が出ている。墜落原因はちょっと調べたところでは出てこない。詳しく報じられないままだったようだ。
これらに代えて新しく調達する機材は、RAAFで余剰となったC-130H×4機と、CN-295となる。

戦闘機に関してはSu-27/30は現有機で十分ということにして、それを補うのは、こちらもUSAFで余剰となったF-16×24機となり、今後20年ほど使う計画。その先に来るF-16とF-5の後継機がKFXということで、今の所3個sqの配備を計画している。1個sq定数は16~22機というから、予備機を合わせても最大70機前後か?
既にKT-1を導入してT-50も選定済みなので、韓国側産業界との繋がりも当面は強固だろう。
しかしKFXは、何のかんのでF-50のステルス版というか、今のJF-17みたいな事になりそうな気がするのだが。対米依存はどうしょもなさそうな。

その他、OV-10の後継機はEMB-314を選定しており、最初のバッチにあたる4機は受領済み。次は12機なので最終的に16機を調達予定となっている。主な任務としては、暴動鎮圧、監視、偵察といったもの。
AS332を更新する回転翼機と、無人または有人MPAへの需要もある。

インドネシア国軍及び官僚としては、新しい航空機の調達を巡り、次の5ヵ年計画(2014~2019年)で予算を付けたい意向とされている。政府の意向では20%のオフセット、あるいは共同生産を求めているとかで、請けるメーカーも限定されてきそうな流れだ。

ちなみに引き渡されたEMB-314の写真。アジア太平洋地域では同国が最初のカスタマーとなった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-receives-first-four-super-tucanos-375185/

あと、陸軍と海軍はベル412EPを調達している。

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesian-army-receives-four-bell-412s-375500/

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イスラエルのCH-53にインシデント、飛行停止措置がとられる

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-air-force-grounds-ch-53-fleet-after-emergency-landing-375598/

8月16日、イスラエル空軍のCH-53 Yasurの1機が、Tel Nof空軍基地から離陸直後に緊急着陸するというインシデントが発生した。乗員3名に怪我などはなし。現在、原因を調査中であるが、初期の調査ではローターブレードの問題という可能性が指摘されている。

これらの機体はYasur 2025という計画に基づいて近代化改修が施されたばかりだが、老朽化は否めないのが現状。交換用のギアボックスをシコルスキーから調達するだけでなく、頻繁なクラック検査が必要とされている。今のところ、CH-53Kの導入までは使い続ける予定。

なお改修に際しては、EWシステムとSATCOMを中心に、20程の新機材がインテグレーションされた。その中には独自の高度維持/ホバリング安定化システムとレーザ妨害装置、ディスプレイの更新なども含まれる。

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インドが最初のEMB-145 AEW&Cを受領

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-receives-its-first-emb-145-aewc-aircraft-375588/

これはインドが2008年に発注した3機のEMB-145 AEW&C(金額は2億800万ドル)のうち最初の機体にあたるもので、このほどエムブラエルの本拠地であるブラジルのSão Josė dos Camposにて、インドに引き渡されている。飛行試験と地上試験はここを中心に行われたようで、エムブラエルとDRDOが定めた設計仕様に沿って開発された。この後、DRDOのミッションシステム統合を経て、インド空軍に加わる見込み。

インド向けのEMB-145 AEW&Cは、DRDOの設計したレーダーを搭載し、空中給油能力が付与され、冷却性能が強化されているとのこと。
同型機はこれまでに10機が製造され、ブラジル、ギリシャ、メキシコで運用されているが、インド向けとは異なり、全てサーブのErieyeレーダーを搭載している。
冷却云々は、より長時間の滞空を想定したためか、単に技術的に厳しかったからか、あるいは高性能なレーダーを搭載したものと思われる。

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シンガポール向けM-346がロールアウト

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-alenia-aermacchi-rolls-out-first-m-346-for-singapore-375218/

8月7日、イタリアのベニスに近いVenegono Superiore工場にて、シンガポール向けM-346のロールアウト式典が行われた。納入時期は今年後半となっている。
2010年9月に受注した12機のうち最初の機体ということになる。アレニアはシンガポールの地元STエアロスペースと共同して働いており、2011年から20年にわたって後方支援を行う契約。

シンガポールの訓練課程はフランスのCazaux空軍基地で行われているので、M-346の配備先はフランスということになり、現用のA/TA-4SUと交代する。なおパイロットの最初の2名は、イタリアで訓練を受けた。

イタリアの航空当局DNAは、7月にM-346の耐空証明を与えたが、これは同時にシンガポール空軍の耐空証明を兼ねることで合意している。

RRスネクマが設立される/F-15SEデモンストレータにJHMCS IIがインテグレーションされる/韓国がF-16のアビオニクスアップグレード(レーダー除く)でBAEシステムズを選定

RRスネクマが設立される

http://www.flightglobal.com/news/articles/rolls-royce-snecma-powers-up-next-generation-military-engine-study-374930/

7月30日、名称そのまんまの英仏エンジンメーカー2社のJV設立が発表されている。これは次世代軍用機エンジン研究を主目的とするもので、より大きなfuture combat air systems (FCAS)というデモンストレーション計画においても、JVとして契約を結ぶことになる。
FCASも英仏共同研究計画であり、英国のBAEシステムズとフランスのダッソーが協力して行う。7月始めに調印された最初の契約では、18ヶ月ほどの共同研究が予定され、次世代航空戦力のあり方にも踏み込むという題目を掲げるが、当面は両国のUCAVデモンストレータ、TaranisとNEURONの成果をもとに話を進めるようだ。

これらの機体はいずれもアドア951を搭載しているので、短いタームではこれを実用UCAV向けに発達させる、という流れのようだ。アドア開発当時はRRとチュルボメカだったが、今はここも(サフラングループ傘下の)スネクマ傘下になっている。将来的にエンジン単体で外国に輸出することもありえなくはない。
アドアは英仏共同エンジンの成功例と言える(日本に輸出したときは揉め事の種になったが…)。最新の共同開発エンジンと言えばドイツとスペインのメーカーも参加したユーロプロップのTP400、ということになるものの、成功例と言い切れるかはまだわからない。開発も難航したし。

将来、この枠組みを基礎としてユーロファイターやラファールの後継機のエンジンも共同開発ということになれば、EJ200とM88の次が統合されることになるが、あるとしても当分先だろう。

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F-15SEデモンストレータにJHMCS IIがインテグレーションされる

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-integrates-joint-helmet-mounted-cueing-system-into-f-15se-374904/

ボーイングは、ビジョンシステムズインターナショナル(VSI)製のJHMCS II/Hを、F-15SEデモンストレータにインテグレーションしたと発表。これは現用のJHMCSの改良型とのことで、小型化してバランスが改善され、ケーブル類も軽く取り回しが良くなっているそうだ。

http://boeing.mediaroom.com/index.php?s=13&item=2027

見たところ、バイザー部分が出っ張る感じはあまりなくなっている。

http://www.vsi-hmcs.com/index.php/jhmcs-ii

JHMCS IIは、低コストで従来の装備にレトロフィット可能という点は従来のJHMCSと同様であるが、HMDの向きを検出する方式などの違いで2種類ある。
II/Mは磁気トラッキング式で従来のサブシステムと互換性があるタイプ。
II/Hはopt-inertialとあるので、光学式とジャイロの併用みたいな感じ?で従来サブシステムとの互換性はなく、新しいAircraft Interface Unit (ACIU)と接続される。これは軽量化されて冷却も不要となったもので、こちらのII/Hが全くの新型ということになる。
600KEASまで対応。

ボーイングによると、デモンストレータの最近の飛行試験はこのシステムのインテグレーションも含んでおり、期間としては3ヶ月以内に完了したとのこと。

ちなみにF-35のHMDの次ではSTRIKEYE HMDSというのが開発中。機能面ではJHMCS IIから更に発達し、イメージ映像ではF-35Bにインテグレーションされている。CASに完全対応みたいな。

http://www.vsi-hmcs.com/index.php/jhmcs-ii?id=55

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韓国がF-16のアビオニクスアップグレード(レーダー除く)でBAEシステムズを選定

http://www.flightglobal.com/news/articles/seoul-names-bae-systems-for-f-16-avionics-upgrade-374962/

韓国DAPAはROKAFの134機のF-16についてアップグレードを計画しており、このほどアビオニクスに関する部分に関して、LMではなくBAEシステムズを選定すると発表した。これにはAESAレーダーが含まれておらず、そちらの選定は今のところ2013年前半まで先送りする予定としている。

同様の提案は、台湾向けでは競争入札にすらならなかったので、BAEシステムズにとっては大きな収穫となる。なおF-16絡みなので、米国のFMS経由での契約という形となり、金額は10億ドル程度。

DAPAではAESAレーダーを先送りした理由として、アビオニクス(兵器システム、ミッションコンピュータの更新、MFDの導入を含む)に比べて緊急性が低いこと、インテグレーションに要する時間がレーダーより長いことを挙げているが、現実問題としてAESAの機種がUSAFと統一されていなければインターオペラビリティや兵站上の問題も発生しうるので、そちらの動向を見てからという形になっている。

ブラジルF-X2の選定時期が2012年末まで遅れる/LMはF-16のステルス性向上策などの計画を持たない/F-35のBlock 2Aソフトウェア開発について/Yak-130のインテイク

ファーンボロと関係あったりなかったりする。

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ブラジルF-X2の選定時期が2012年末まで遅れる

http://www.flightglobal.com/news/articles/brazil-delays-f-x2-fighter-decision-until-end-of-2012-373766/

リオ+20の時の首脳会談では、フランスが新たな提案を行ったと見られているが、選定は保留で12月31日まで延期との公式発表になった。これまでは2012年中盤の選定とされていたので、半年の延期となる。とは言え、世界経済の悪化と経済成長の鈍化が重なっているので、すんなり選定に至る雰囲気ではなかった。

情報筋によると、ブラジル当局は依然としてラファールの導入と運用に掛かるコストに難色を示していると言われる。
ただ今月後半にはブラジル国防相が訪仏の予定とのことで、交渉はまだまだ続くようだ。

F-X2の選定遅れは特に驚くべきことではないのだが、タイムリミットが迫っている現実もある。最初にF-Xがスタートしたのは2000年(2003年に公式キャンセル)で、その後2005年にミラージュIIIが退役した際、ストップギャップとして選択されたのがミラージュ2000C/Bだった。これらはフランス空軍で余剰となった1984~1987年製造の12機で、繋ぎ以上の役割が求められたものではない。そのため、計画上は2013年で退役することになっている。延命などが不可能ではないにせよ、F-X2の選定遅れが状況のねじれを悪化させるのは間違いない。

http://www.defenseindustrydaily.com/brazil-embarking-upon-f-x2-fighter-program-04179/

そのミラージュ2000の話題で、

http://www.flightglobal.com/news/articles/video-clean-up-begins-after-brazilian-mirage-flyby-goes-awry-373705/

7月1日、2機が590ktでローパスして最高裁判所と国会議事堂などの窓ガラス多数を破壊したという記事が出てる。
首都ブラジリアの行政府地区での国旗掲揚に合わせて飛来したようだが、ほぼテロ。ブラジル人豪快すぎ。

なお、編隊長のパイロットは飛行任務を解かれる処分が下され、空軍の規則に従って損害に対する賠償をしなければならない。被害金額は推定62000ドル以上だそうだ。

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LMはF-16のステルス性向上策などの計画を持たない

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-lockheed-will-not-jump-on-stealth-retrofit-bandwagon-for-f-16-374188/

LMとしてはF-16の今後の計画について、ステルス性の向上(CWB追加など)を狙った改修計画は一切無いとの回答が出ている。
現時点で世界でただ1社、第5世代戦闘機を製造・輸出しようとしているメーカーにとっては、ひたすらに余計なお世話な質問と言えよう。
どうやったって第4世代は第5世代になれない、PAK-FAやJ-20に対抗できるのはF-35のみであり、(競合他社は)むしろステルス性の重要さをアピールしてくれてありがとう、みたいな余裕のコメントで返されました。

結局、F-16系でステルス性が高いのはF-2ということになるのか?僅差だろうが。

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F-35のBlock 2Aソフトウェア開発について

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-jsf-team-starts-testing-block-2a-software-374177/

Block 2AソフトウェアによるF-35Aの飛行試験は、既に90フライト以上に達しているという。
LMの主席テストパイロット、アル・ノーマン氏によると、F-22開発時はプログラムの複雑さが増すにつれて安定性が低下する問題に苦しめられたが、F-35においては安定性がむしろ向上する傾向が見られ、良い徴候であると語っている。F-35のプログラムコードの膨大さは、当初から話題になった部分だ。開発に時間を掛けられたのは、結果としてよかったのかもしれん。他の問題はともかく、ソフトウェア開発にとっては。

NASパタクセントリバーで進行中のB型、C型の開発は急速に進んでいる。B型の試験飛行は英軍の機体も加わって、7月初めには完全装備でのSTOVLソーティを実施した。
トラブルがちなのはHMDで、改善が中々進んでいない。根本的な改修の途上にあるのが現状。

海兵隊向けB型の配備時点(2014年後半~2015年前半)ではBlock 2Bに進む予定だが、Block 2Aソフトウェアは戦術的な任務に欠かせないものであり、配備に至るまでの訓練にも必須の重要な要素だ。

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Yak-130のインテイク

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-yak-130s-engine-intakes-cause-confusion-374258/

かつて、クラシックMiG-29のインテイク部には、不整地滑走路での運用を想定したFOD対策の蓋が取り付けられていた。これを閉じた際はLERX上面にあるルーバー状のサブインテイクから吸気する設計になっていたが、Yak-130でも同様の機構が採用されてる模様。FBWで制御が繋がっているという違いはある。

確かに離陸の時の写真を見ると、サブインテイクが開いているのもあった。主翼の付け根あたりで、わりと後ろの方にある。M346にはついてない。L-15もたぶんついてないと思うが、開発中なので何とも。

http://www.airliners.net/photo/Russia—Air/Yakovlev-Yak-130/1568205/L/

これはロシアでの撮影。

ファーンボロでは管制塔から問い合わせが来て、離陸を中断させられかけたそうだ。パフォーマンスっぽいが、まあそんなハプニングもあったと。

PAK-DAの任務と用途はなお不透明?/パキスタンが核搭載可能な空中発射型巡航ミサイルの試射に成功/イタリア空軍のF-16ADF全機がリース期間を終えて米国へ帰還/韓国がCBU-105D/B SFWの売却を要請

PAK-DAの任務と用途はなお不透明?

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-pak-da-bomber-in-doubt-says-minister-372687/

ロシアのドミトリ・ロゴージン副首相がイズベスチヤ紙のインタビューに答えたところでは、PAK-DAは伝統的な長距離核戦力を復活させるわけではないと述べた。防空システムやMDの発達に対して優位に立てないといった話をしている。
PAK-DAの開発はツポレフ設計局が担当し、Tu-160を大幅に改設計する案(VG翼を最後退位置にするとデルタ翼になるアレ)も公になっているものの、実際のところはわからんことが多い。2020年に原型機、2025年に配備というスケジュールもかなり大雑把な感じだ。

世界的には戦略爆撃機の時代は終焉を迎えて久しく、2030年代に戦略核積んでパトロールというのも想像しただけで時代錯誤の感は凄まじいものがある。

ただし目的がはっきりせずに迷走の気配なのは、米国のB-52およびB-1B後継も同様で、目的と手段が入れ替わってるというか空軍組織内部の縄張り争いというか、その辺も含めて似たり寄ったりだ。
違うのはロシアが伝統的に巨人機好きという点ぐらいか。

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パキスタンが核搭載可能な空中発射型巡航ミサイルの試射に成功

http://www.flightglobal.com/news/articles/pakistan-tests-nuclear-capable-raad-air-launched-cruise-missile-372647/

この巡航ミサイルは、パキスタンが自国で開発したもので、Hatf-VIII (Ra’ad)と名付けられている。初めて試射成功が伝えられたのは2011年4月。ミラージュIIIから発射される映像が流れた。

地形追従飛行が可能な、機動性の高い巡航ミサイルで、射程350km以上。
USAFのALCMを縮小した感じだが、搭載する機体がミラージュIIIまたはJF-17というから、ギリギリ1発搭載できるかどうかというレベルと考えられる。F-16の方がまだマシっぽいものの、政治的に差し支えがあるのだろう。

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イタリア空軍のF-16ADF全機がリース期間を終えて米国へ帰還

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-italys-last-f-16s-returned-to-usa-372691/

Peace Caesar計画の中でイタリア空軍へリースされたF-16ADFは、ユーロファイターの配備と入れ替わりでその役目を終えた。
段階的に返却のためのフェリーフライトが実施され、6月1日、最後の6機(単座型5機と複座型1機)がアリゾナ州ツーソンへ着陸したとのこと。イタリア空軍のパイロットが操縦し、SAR機としてC-130Jが1機随伴、USAFのタンカーが支援した。5月28日、Trapani-Birgi空軍基地を離陸、途中、アゾレス諸島で悪天候のため足止めされたが、最終的には無事にフライトを終えている。

FMS契約によりF-16ADFのリースが決まったのは2001年3月。防空戦闘機F-104ASAの退役とユーロファイター就役のギャップを埋めることを目的とし、当初は2003~2010年、累計飛行時間45000時間、単座型30機と複座型4機といった内容だった。
ホームベースとしたのはTrapani-BirgiとCerviaの両空軍基地。
2009年、ユーロファイター就役の遅れに合わせて契約期間延長が決まる。契約金額はそのまま、2012年中頃、47800時間までの延長となっていた。戻されても別に使い道は無いからサービスしたようだ。

これらのF-16は2003年12月から防空任務に就き、その一部はリビアでのユニファイド・プロテクター作戦にも参加している。

そういえばイタリアのF-16のドキュメンタリー見たなあ。確かパイロット養成が盛んに行われてた頃のイタリアのTV番組かなんかで、レポーターの女性が突撃取材してゲロゲロ吐いてたのは覚えている。

それはそれとしてTrapani-Birgi空軍基地で5月末に撮影されたF-16。

http://www.youtube.com/watch?v=1U7CkACJ8d0

と、F-104ASAの現役当時の映像。

http://www.youtube.com/watch?v=gX0NXVdGKGk

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韓国がCBU-105D/B SFWの売却を要請

http://www.flightglobal.com/news/articles/seoul-requests-325m-sensor-fused-weapon-deal-372652/

CBU-105D/B Sensor Fused Weaponは、テキストロンが開発したクラスター爆弾代替兵器の類で、重量は1000ポンド級。CBU-97にWCMDと呼ばれるPGM化キットを適用したもので、子弾のBLU-108を10発内蔵する。受動IRセンサアレイと能動レーザセンサで目標を識別し、命中しなければ高度15m程度の空中で自爆するか、着弾後に弾頭を不活性化する機能を有する。メーカーの試験を根拠とした信頼性は99%以上とされ、米国の他にインド、オマーン、トルコ、UAEなどが採用した。
DSCAでは同志討ちやコラテラルダメージを減らし、全体の攻撃効率を高めると称している。

韓国は2010年4月、SFWの導入を決めている。実弾367発の他、訓練用のキャプティブ弾が28発と模擬弾7発などを含む金額は、総額で3億2500万ドル。

先ごろF-5代替として採用が決まった、FA-50へのインテグレーションが計画されているようだ。
FA-50については、1月の最初の契約は20機で6億ドルと発表された。現用のF-5は150機が就役しているので、60機から、最大150機の採用が見込まれるところとなる。

中央日報にもちょっと書いてた。

http://japanese.joins.com/article/286/153286.html

米軍用機で見つかった中国製パーツ偽装問題の顛末/MC-130Jのフルモーションシミュレータ訓練が開始される/台湾へのF-16売却を認める法案が米下院を通過

米軍用機で見つかった中国製パーツ偽装問題の顛末

http://www.flightglobal.com/news/articles/china-made-counterfeit-parts-found-in-us-military-aircraft-senate-372155/

米上院軍事委員会は、一部の米軍機(C-27J、C-130J、P-8Aなど)で見つかった、機能しない偽装電子機器の供給元が中国であった事を報告した。調査は個別のパーツ数にして100万、1800ケースが対象となり、報告書は112ページにのぼる。

報告書には、具体的なルートについての調査結果もある。2011年11月にL-3ディスプレイシステムズで生産したコクピットの表示装置の例では、偽のメモリチップが入っており、発見された時点で500以上が取り付けられていた。カリフォルニアの卸業者を通してシンセンの会社から買ったものだった。報告書では、2009年と2010年に数万個単位で同じ会社から買ったと結論されている。

P-8Aの例は凍結を検出する部品で、2011年8月17日にボーイングから海軍へ報告が上がったが、その18か月前、2010年1月に製造者のBAEシステムズも海軍に報告を上げている。こちらもカリフォルニアの会社から買ったが、さらにそこはフロリダの会社から買っており、製造元まで辿るとこれも別のシンセンの会社に行きついた。

対策としては、元請に渡す前にちゃんと試験しましょう、という話になるのだが、サプライチェーン的な意味で国防上の弱点となる深刻な話でもあるので、同委員会では対策を法制化する準備を進めているそうだ。

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MC-130Jのフルモーションシミュレータ訓練が開始される

www.flightglobal.com/news/articles/afsoc-mc-130j-crews-start-training-in-new-full-motion-sims-372209/

ニューメキシコ州のカートランドAFBにおいて、空軍特殊戦(AFSOC)のMC-130Jの乗員訓練が開始される。2月からAETCにて準備が進められていたもので、フルモーションシミュレータを使用した訓練となる。MC-130J weapons system trainer (WST)は、FAAのレベルDフルモーションシミュレータと同等のものに、実機同様のミッションシステムのシミュレータを組み込んだもので、各種センサ、EW、NVG環境と戦場における脅威などを再現する。さらにシミュレータをネットワークで結び、複数の基地に設置されたシミュレータで同じ仮想環境における訓練が実施できたりもする。

MC-130J専任となるコンバット・システム・オペレータ(CSO)は3月から転換訓練を開始した。またHC-130Jの搭乗経験があるCSOの訓練は4月からで、同じくパイロットとロードマスターは5月から開始されている。なおHC-130JとMC-130Jは同じシミュレータで訓練できる。

シミュレータでできることが拡大されたため、訓練のうち80%は座学とシミュレータ、残り20%は飛行訓練となった。AFSOCはmulti-function training aid (MFTA)を導入を命じられた最初の組織でもあり、今後も日常的な訓練などに、その役割は広がっていく見込み。将来のAC-130Jでもシミュレータ訓練が大きな役割を果たしそうだ。

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台湾へのF-16売却を認める法案が米下院を通過

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-house-of-representatives-mandates-taiwan-f-16-sale-372084/

5月18日、台湾へのF-16売却を認める法案が米下院にて賛成多数で可決。ただし上院で同様の結果になる可能性は低いと見られている。

台湾への輸出に関する部分は、テキサス州選出のKay Granger共和党議員が防衛関連法案に書き加えたものだった。上院での支持は限定的で、同じテキサス州選出の上院議員などはこれを評価している。
オバマ大統領はここ数カ月、F-16売却についての対応を変更することを示唆しているが、一連の動きはF-16改修に関して中国側の反応が予想されたほど激しくなく、実際には一部のイベントが流れた程度に留まっ、て事務レベル協議と高レベル対話は継続されていた事と関連している。

少数のF-22パイロットが飛行を拒否する/LASの改訂版RfPが発出される/A2ADと第5世代戦闘機、nano-UAV/台湾向けF-16に関する新たな動き

少数のF-22パイロットが飛行を拒否する

http://www.flightglobal.com/news/articles/some-f-22-pilots-decline-to-fly-371339/

ACCの長であるMike Hostage大将は4月30日、ラングレーAFBでの共同会見において、ごく少数のF-22パイロットが飛行を拒否している事について述べた。まだ進行中の事象らしく、センシティブな問題であるとしたが、F-22における酸素発生装置関係のトラブル(11例あった)が完全に解決されないまま、任務に復帰させた事が理由になっている。この件は何度も報じられた通り、5ヶ月の飛行停止と調査が行われ、その後も累計12000時間ほど飛行しているが、未だ原因は明らかとなっていない。このため、不安を抱くパイロットがいるのも全く不思議ではないと言える。

彼らの処遇については、搭乗するよう強制することも、簡単に他の任務に就けることも難しいようだ。結局のところは再発リスクを可能な限り抑えたから大丈夫、と説得するしかないみたい。

会見の中でもう一つ、UAEへの展開についても触れられている。昨年と同じくAl  Dhafra基地へ展開したと見られるが、公式にはコメントが出ていない。ある情報源によると、UAEへの展開は航空遠征軍のルーチンに組み込まれ、ホロマンAFBの49FW / 7FSから派遣されたとのこと。

で、ここの記事に出てる写真の最後のF-22は5月2日、ジョージアのマリエッタ工場でUSAFに引き渡されている。

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-usaf-receives-last-f-22-raptor-371401/

式典が催され、USAFからは参謀長のノートン・シュワルツ大将なども出席した。テイルナンバーは10-4195。
5月4日には4193とともにエレメンドルフ統合基地へ移動したはず。

以下、沿革と改修予定について書かれてる。改修に関する部分を要約しておくと、

2014年内にインクリメント3.2A、これはソフトウェア改修で、電子的保護技術と戦闘情報識別の強化、Link 16と機載センサ情報の統合などが含まれる。

そのフォローアップにあたるのが3.2Bで、3.2Aのソフトウェア改修にAIM-120DとAIM-9Xのインテグレーションが加えられる。改修キットの調達に関するマイルストンBが2012年12月予定。これが通るとFY2016から調達開始、FY2017Q3から引き渡し、FY2018Q1に改修を実施となる。
3.2Bはさらに細かくアップデートが分かれており、兵装関連は2017年以前に搭載可能となる計画。2013年のアップデート4でAIM-120D、2015年のアップデート5でAIM-9Xを、一応運用できるようにする。
一方、GAOの勧告で削られた要素もある。SDBの独立8目標誘導と対地衝突防止システムAuto-GCASがそれで、後者は機上酸素発生装置のトラブル対策としても謳われていたものだ。これさえあれば安心というものではないが、最後の安全装置としては重視されていた。

その先はまだLM社内の研究段階ながら、搭載コンピュータのオープンシステムアーキテクチャ化というのがあって、うまく実現すれば、第5世代の枠を拡げるような、大きな可能性が開けるかもしれない。

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LASの改訂版RfPが発出される

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-issues-new-rfp-for-afghan-las-programme-371483/

5月4日夕刻、USAFはLASのRfPを改めて発出した。入札締切は6月4日。以降のスケジュールは、2013年早々に機種選定、2014年Q3に最初の機体をアフガニスタンへ引き渡す、となっている。

前のLASに関しては、シエラネバダ/エムブラエルのA-29スーパーツカノ、ホーカー・ビーチクラフトのテキサンIIの2機種が選定を争う形となっていたが、今度も入札者は同じと見られる。機数は20機で金額は3億5500万ドル。
前回よりも条件は若干緩められているようだ。デモンストレーション無し。中小企業の参加に関する部分も削られた。

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A2ADと第5世代戦闘機、nano-UAV

http://www.flightglobal.com/news/articles/future-nano-uavs-could-collect-isr-in-heavily-defended-airspace-alongside-raptors-and-f-35s-371189/

A2AD環境に対する偵察、ISR能力を、F-22とF-35、2機種の第5世代戦闘機に与えるという研究が始まっている。その先にはnano-UAV群による同様の能力が提供されることになるだろう、という話だが、実現にはまだ時間がかかる。

F-22とF-35、いずれも高度なセンサを備えており、潜在的な情報収集能力に関して不足はないが、収集したデータをどのように送出するかが課題になっているとのこと。ACCとUSAFの科学諮問委員会が共同で研究に当たっている。

この手の話は、機体規模に限界のあるnano-UAVの方がさらに難しそうな気もするが。

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台湾向けF-16に関する新たな動き

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-to-re-visit-f-16-cd-sales-to-taiwan-371349/

テキサス州選出のJohn Cornyn上院議員が、ウェブサイト上で台湾へのF-16売却に関して触れている。大統領副補佐官兼 director of the office of legislative affairs (OLA、立法問題室長?)からの書簡というもので、台湾へのF-16を含む軍事援助は、次期国防副長官にとり高いプライオリティを持つとかなんとか。言うまでもないがテキサス州にはLMの本拠、フォートワースがある。

もし実現すれば例のF-16V (Block60相当)が提供されることになる可能性が高い。

A400M初のアジアツアー/エジプト向けAW139が納入される/オランダのF-16AM/BM削減とF-35導入時期について

A400M初のアジアツアー

http://www.flightglobal.com/news/articles/a400m-to-make-asian-debut-with-three-nation-tour-370553/

エアバスミリタリーは、4月15日に採用国のマレーシアへA400Mを送り込み、合わせてインドネシアとタイを訪問して、プロモーションを行うと発表した。
マレーシアの大きいイベントには間に合わなかったので、これはマレーシア空軍のパイロットがA400Mを飛ばす最初の機会ということになる。同社によるとアジア方面に飛来する機体は開発機のグリズリー4。マレーシアでは、スバン空軍基地でデモンストレーションを行う。一般公開はされず、空軍高官とVIP向けに留められるようだ。

4月20日に帰投する前に、インドネシア、ジャカルタ近郊のハリム空軍基地と、タイのチェンマイ、バンコクを訪れる予定となっている。このうちインドネシアでは、政府と空軍の関係者を試乗させてデモンストレーション飛行を行うことができるとした。
インドネシアはエアバスミリタリー(旧CASA)からC-295を買っており、ライセンス生産を通して産業界の結び付きも強い。がA400Mを導入する話は今のところ無し。高いしなあ。

マレーシアは現在のところ、A400M唯一のアジア地域のカスタマーで、4機を発注している。

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エジプト向けAW139が納入される

http://www.flightglobal.com/news/articles/agustawestland-delivers-two-aw139s-to-egypt-370659/

アグスタウェストランド北米は、FMS経由(米陸軍航空・ミサイルコマンド発注)で2機のAW139をエジプトへ引き渡した。機体はSAR仕様となっている。乗員訓練と兵站支援は米陸軍が担当する形。

AW139はアグスタ・ベル時代の開発機種で、AB139と呼ばれていた。最初の54機がイタリアで製造された後、製造拠点は北米に移り、のちにはベルとのJV解消に伴って、AW139と改称される。実質は米国機という感じ。

今年2月には北京の警察が2機を発注。SARのほかに捜索や消火活動など、法執行機関向けの各種ミッションをこなすことができる仕様。

http://www.flightglobal.com/news/articles/beijing-police-orders-two-aw139-helicopters-368610/

アグスタウェストランドの、中国の法執行機関向けヘリコプター市場におけるシェアは70%以上と言われる。機数にして40機程度とは言え、その存在感はかなり大きい。

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オランダのF-16AM/BM削減とF-35導入時期について

http://www.flightglobal.com/news/articles/netherlands-makes-final-trim-to-f-16-fleet-size-370531/

オランダでは国政選挙が2015年に予定されているので、F-35導入議論の最終結論は、そのタイミングとなる見通し。
その前段階としてF-16の削減が決まっている。現有87機のうち、19機減らして68機とするのが前提で、余剰となった機体の処遇としては3つのオプションが考えられているようだ。

(1)18機を売却して1機を部品取り用に解体
(2)15機を売却して4機を解体または訓練用途で保持
(3)売却はせず19機を解体または訓練用途で保持

売らないという選択(パイロットとともに予備役編入みたいな?)も、一応考えられてる模様。
削減は2014年からとなり、経費は年間4100万ユーロほどの節減と試算される。一方、F-16の運用を3年延長して2026年まで継続する場合は3億ドルかかる。10年続けると延長する分の経費は捻り出せるという勘定か。

オランダはF-35Aの導入計画をまだ変更しておらず、2010年に85機導入という線で45億ユーロの予算を組んだままとしている。比率で言うと、この年の防衛予算の60%に達したそうだ。

オランダ向けの1号機、AN-1は4月1日にロールアウトした。これに関しては試験用に2機を発注しており、米国内のエグリンAFBにてIOT&Eに参加する。

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-first-dutch-f-35-leaves-assembly-line-370439/