JA2012関連

最近、FlightGlobalの日本関係の記事がまともになってきている。普段シンガポールで記事を書いてるグレッグ・ウォルドロンさんがすごい勉強したのか、まともな情報源とのコンタクトを作ったのかはともかく、9日から名古屋で開催のJA2012取材のために来日中。

日本のイベントなので普通に報道もされると思うけど。

http://www.flightglobal.com/air-shows/japan-expo/

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輸出関連。

・C-2民間型のYCX

http://www.flightglobal.com/news/articles/kawasaki-seriously-exploring-commercial-potential-of-c-2-airlifter-377428/

パンフレット類はそのうちネットでも出回ると思われるが、資料の概要を少し。

MTOW141tonはA400Mと同等、現存するC-130民間型L-100の2倍相当。貨物室の高さは4.29mで、747-400Fなど旅客機ベースの貨物機よりも高く、大型貨物(シコルスキーS-60など)を積載可能。エンジンはGE90双発。最大ペイロード30ton時の航続距離は3080nm(5700km))となっている。が、潜在顧客からのフィードバックにおいてはCF6搭載型も有望だったという。CF6ならC-2と全く同じか。

川崎の市場予測としては、この種の大型貨物輸送機の需要は2020~2030年にかけて最大100機。
今のところC-2の開発は2014年度いっぱい続く予定なので、民間型はその先の話だ。

・US-2

http://www.flightglobal.com/news/articles/shinmaywa-looks-to-india-for-us-2-amphibian-sales-377407/

インドは1月、海軍のSAR用飛行艇についてRfIを発出。発注数は9機で、オプション含めると最大18機となる。
一応、建前的には、非武装の救難機が求められているので、三原則見直しの以前からUS-2の輸出は支障なしと判断されている。
国内向けが両手の指で足りる程度という馬鹿げた製造数のため、新明和にとって輸出の成否は死活問題。

インド海軍向けについては、競合するのはCL-415とBe-200あたりが想定されている。これらに対して、US-2の性能以外に特筆すべき点の一つはエンジン。US-2はインドが既に保有するC-130Jと同型式のエンジン、RR AE2100を4発搭載する。
性能に関してはUS-2が突出している(速度性能だけはジェットのBe-200が上だが)ので、問題は値段とサポート体制だろう。輸出がなかなかできないBe-200と状況は若干似ている。
インド向けは基本、軍用なので、US-2のまま売れるというのも大きい。

インド国内民間向けも売り込み中。というのは国内報道されたとおり。

http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0005008823.shtml

・MRJ関連の分析

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-mrj-continues-to-defy-the-doubters-376868/

MRJは開発の遅れなどいろいろ言われはしたが、ボーイングの支援でサポート体制を構築できる点や、初期の段階でGTFを最初に選定したアドバンテージが、競合(この場合は同じく新型機のMS-21やCSeriesなど)に対して優位に立つ要因となっている。と分析されている。
逆に既存の大手2社が同等のエンジンを備えるようになったら、厳しくなるとも。買う方はキャリアにせよリースにせよ、保守的な選択に至るのが普通であるから、わりと当たり前な話。新規参入はとにかく評判を上げていくしかないだろう。

・株式会社リンクが2013年からATR72-600を国内導入

http://www.flightglobal.com/news/articles/atr-marks-entry-into-japan-with-start-up-airline-deal-377404/

http://linkairs.jp/index.html

リンクは4月に設立された企業で、2013年度からリースのATR72-600×3機体制での運航を開始する計画。

ATR72-600の国内導入は、なにげに初だ。日本市場は、とりあえず傍目には巨大と映るし、サーブ340やQ400の後継が不在の状況とあって、ATRには大きな一歩と考えている模様。滑走路が短いところに小型のATR42が入る余地もある。

・警視庁がAW139を2機追加、国内のAW139は40機に

http://www.flightglobal.com/news/articles/japanese-police-order-two-aw139-helicopters-377488/

2014年納入予定とのこと。40機のうち11機は法執行機関向けとなる。

AW169のプレゼンテーションを行ったらしい。

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軍用機関連。

・F-35のFACO稼働予定など

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-martin-working-with-mitsubishi-on-f-35-line-377480/

LMの発表によると、名古屋に設置するFACOラインで最初の機体が組み立てられる時期は、2017年とされている。

この他にLMと空自の関わりと言えば東日本大震災で損害を受けたF-2の再生作業における協力、というのがある。しかし申し訳ないがLMはボッタクルイメージしかない。

・ボーイングと空自の関係

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-and-japanese-partners-to-research-manufacturing-technology-373604/

ボーイングは空自に色々ご提案してますよというのが出ている。F-X選定では失敗したが、有事に生命線となるE-767もKC-767もF-15もボーイングが扱ってるので、関与する度合いは大きい。

特にF-15に関してはマーケティングの段階とは言え、レーダー、アビオニクスを含め様々なプランが挙がっているようで、一例として主翼を強化しハードポイントを増設、AAMの搭載数を4発増やす、というのが出ている。巡航ミサイル対処では搭載数が重要なファクターとなる場合がある、という話のようだ。SEよりは日本向きのプランか?

KC-767は、誰がどう見ても足りないが、実際に防衛省からは全く動きが無いらしい。将来はKC-46を4~8機程度の単位で提案する可能性もあるようだ。KC-46はブームシステムが新しくなって、KC-767より燃料搭載量が多いっぽいという以外はよくわからんけど、まあ双子みたいなもんではある。

E-767は年内に4機全てのレーダーアップグレードが完了する。737AEW&Cについても書かれているが、E-2C後継とかその辺を指してるのかな。

最後にUAV。今年のファーンボロにて、評価用のスキャンイーグル×2機の契約が明らかとなっていた。去年予算要求されてた分にあたる。
この先、本格調達に繋がる可能性は十分にある。まあJA2012で発表されるようなもんでもなさそうな気はするが。

 

…というのを解説する上で、日中の空軍力パワーバランスの記事があった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-china-crisis-adds-urgency-to-japanese-air-force-modernisation-377060/

まとめ的な内容なので特に目新しい話ではないが、あちらの記事にしては珍しくだいたいあってる。
以下要点。

・空自は、F-15後継としてF-22が導入できなかった時点でケチがついている。
・中国では、この10年で第4世代戦闘機の数は400~500機に達し、短距離弾道弾や海軍力(この場合は防空能力の向上がポイント)が飛躍的に増強されている。
・中国の第5世代戦闘機は2018年から配備される可能性がある。
・一方日本ではまだF-4が防空戦力として現役。10年前に保たれていたバランスは完全に崩れた。
・F-XはF-4の後継で空対空戦闘中心の選定だったはずがなぜかF-35にしちゃった。ステルス大好きという以外に、米国との関係を継続・強化する選択だったとも言える。(が、それで空軍力低下の問題が解決するわけではない)
・F-15の近代化改修でAESA装備はいまだ話題にも上らない。(F-2のJ/APG-1について触れられてないのは多分ミス)
・国産機に投じられる技術は高いが、輸出できないからアホのように高い。
・調達数が40~50機にとどまるなら、ATD-Xから実用機に発達する可能性は極めて低い。ただしF-35のオフセットなりライセンス生産なりを分捕る手段にはなるかもしれない。

うむ、大体間違ってない。
最後のは、開発自体が失敗しない限りF-15/F-2の置き換えで100機近く行きそうな気がするけど。これはF-35の運用実績と調達状況に左右されるだろう。
F-15のAESAは、USAF向けが動き出したらそれに追随するんじゃないかと思ってたのだが、それも出てきてない。

そういえばUHXの件が出てないなあ。この記事。

ハネウェルがイスラエル向けM346のエンジンを受注/イラク空軍向けC-130Jが初飛行/RNZAFはP-3K2の乗員訓練を開始する/ボーイングがF-15KのMROセンター建設を発表

ハネウェルがイスラエル向けM346のエンジンを受注

http://www.flightglobal.com/news/articles/honeywell-receives-israeli-order-for-m-346-engines-376125/

ハネウェルが、イスラエル(イスラエル国防省、IMOD)向けのM346に搭載するエンジンF124-GA-200を受注したと発表している。金額は7億3500万ドルとされるが、基数は明らかにされていない。この契約にはスペアパーツとメンテナンスサポートが含まれる。

プレスリリースによれば、F124/F125シリーズの累計飛行時間は70万時間以上に達しているとのこと。
TFE731の軍用タイプとして始まった同型式のエンジンは、1979年に初めて運転された。AIDC経国に搭載されたのが始まりで、以後、大口の採用としてはホーク/T-45でアドーアに負けてたが、M346でやや復活した。
推力倍増計画(F125X)も存在したが、実現はしないだろう。12000ポンド級双発の経国とか胸厚。

イスラエルのM346に関するまとめがあったのでついでに。

ttp://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-firms-to-support-but-not-assemble-nations-m-346-trainers-376324/

結局のところ、イスラエル国内での組立というのが無くなって、1億ドルほどのオフセット契約で決着する模様。

M-346×30機について、イスラエル国内で面倒見るのはIAIとエルビットのJV、TORシステムズ。金額は全部足して6億300万ドルでIMOUと合意。

イタリア側は、ガルフストリームG550 AEW&Cを2機、地上管制系と兵站支援などのパッケージ合わせて7億5000万ドル。

またイタリアのTelespazioとIAIが、監視衛星の共同開発および製造で合意している。金額1億8200万ドル。

イスラエルの企業の分担をまとめると、IAIはAEW&C機と監視衛星、エルビットはM-346の運用と若干のアビオニクス機器の供給という感じらしい。

http://www.ibtimes.com/prnews/20120910/tor-the-elbit-systems-iai-partnership-and-israeli-ministry.htm

TORはエルビットの方が主体っぽい。訓練にまつわるインフラ整備は3年で1億1000万ドル、20年分の運用経費3億1000万ドル。

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イラク空軍向けC-130Jが初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-iraqs-first-c-130j-makes-flight-debut-376108/

9月5日のLMの発表によると8月中旬、マリエッタ工場でイラク向けC-130Jの1号機が初飛行したとのこと。
この機体は今年後半に引き渡し予定で、ストレッチ型のC-130J-30となっており、発注数は6機。軍用および人道支援用途で運用される。

イラク空軍は既にC-130Eのリファービッシュ機を3機運用している。これらは1963年から1964年にかけてUSAFに配備された機体だった。

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RNZAFはP-3K2の乗員訓練を開始する

http://www.flightglobal.com/news/articles/nz-conducts-training-sorties-with-upgraded-orion-376013/

王立ニュージーランド空軍のP-3K2は、L-3コミュニケーションズがアップグレード改修を施した近代化改修機で、航法および通信機器を一新、グラスコクピット化され、新しいセンサシステムとミッションシステムを有する。
ニュージーランド政府は2010年の防衛白書にて、現用のP-3とC-130の扱いについて触れた。これによれば、2030年まで運用してその後は無人機という選択肢を含めて選定するとされている。

P-3K2改修については、2004年10月に2億9100万米ドルで契約し、改修原型機となるs/n:NZ4204は、2005年9月からテキサス州グリーンヴィルにて改修を受けた。これは2008年後半にニュージーランドへ戻される予定だったが、改修に伴うトラブルが複数発生した。アビオニクス入れ替えとグラスコクピット化の際の飛行制御にまつわる問題の他、主翼ストラップのファスナに不良が発見された2010年には、半年もの飛行停止措置がとられたりしている。結局、RNZAFがこれを受領したのは3年遅れの2011年5月になった。

この9月下旬には新たに2機が引き渡し予定で、うち1機が受入試験中となっている。試験・評価計画においては、まずSARと海洋監視任務に関する能力を確認する。
訓練任務は、オークランド近郊のRNZAF Whenuapaiを中心に行われる。

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ボーイングがF-15KのMROセンター建設を発表

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-to-set-up-f-15k-mro-centre-in-s-korea-376031/

ボーイングは、F-15KのMRO(maintenance, repair and overhaul)センターを韓国の大邱に建設すると発表した。大邱空軍基地に隣接する経済特区に建てられるようだ。

次のF-X IIIに向けて外堀を埋めてきてるが、既に韓国のF-15Kは60機ほどの勢力になっているので、これらの稼働率を高めるというだけでも意義は大きいと言える。

USAFのF-15近代化改修について/LMなどがF-22墜落事故にまつわる訴訟に和解/33FWにおけるF-35の訓練スケジュールが活発に/F-35 BF-3が初めて飛行中の兵装投下を実施/オランダのF-35 AN-1

USAFのF-15近代化改修について

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-plans-f-15-modernization-but-pilots-want-better-displays-375612/

USAFは、今後数年をかけてF-15C/Eの近代化改修を計画している。だんだん詳細が確定しつつあるようだ。
計画は、ジョージア州のロビンスAFBに置かれたF-15システムプログラムオフィス(SPO)が統括。

F-15Eについては、開発途上のAPG-82(v)1レーダー、advanced display core processor II (ADCP II) ミッションコンピュータ、Eagle passive/active warning and survivability system (EPAWSS) EWシステム、デジタルビデオレコーダ、モード5 IFFと、前席パイロット用のJHMCSなどが統合され、ソフトウェアも最新ブロックに更新される。

F-15Cも、E型と近い仕様の改修が計画されているが、レーダーはAPG-63(v)3で、フライトデータレコーダやSATCOM(衛星通信)無線機なども追加される。

ただしパイロットからは、インターフェースの改善が伴わないと性能を発揮しきれないとの声もあるようだ。
E型の(今となっては旧式の)グラスコクピットでも十分ではないとの指摘もあるが、C型に至ってはレーダースクリーンの大きさが4インチ角であり、単純な探知能力の向上はどうにかなったとしても、情報量を増やすのはほぼ無理。
F-15 SPOの方では今の所、コクピットに手をつけることは考えてない。よって輸出型新造機の方が、USAFの改修機よりもずっと高級な装備になる可能性は高い。
予算の都合が大きいと思われるが、このへんはHMDである程度カバーできるかもしれない。

以下、各々の要素についての状況を簡単に。

APG-82は、APG-79の本体にAPG-63(v)3のアンテナを組み合わせたもので、2013年3月からのOTを予定。FY2014の初めに生産型を搭載する計画となっている。

EMPASSはまだ開発計画の段階であり、FY2015Q2にEMD契約を目指す。

ADCP IIは2012年11月にマイルストンBに達する見込みで、インテグレーションする時期は、C型にはFY2017Q4、E型にはFY2016Q4予定。

C型のレーダー換装と同時期に途中まで進んでた(はずの)IRSTについては、C型のみでFY2015より調達再開。USNと同じく空対空戦闘での使用を想定しているため、E型では省かれる。

これらの要素を加えることで、USAFのF-15C/Eは2030年代まで運用が続けられる事になる。
機体構造に関する改修計画は現在は無いが、これまでも多くのパーツについて再設計が行われ、改善されているとのこと。またprogrammed depot maintenance (PDM)プロセスによって構造強度を維持することが可能としている。
なお寿命延長に関しては別の研究が進められているので、その結果と必要性によっては、追加で改修されるかもしれない。

前回のE型のフルスケール疲労試験では、16000飛行時間でも問題が生じなかったとのこと。E型の平均飛行時間は9000時間程度というから、当分は大丈夫という判断であるが、FY2010からの追加の試験が2015年9月までの予定で進行中。これは2035年までの運用を前提とするもの。

C型では18000飛行時間まで検証されており、平均飛行時間は8600時間。こちらもFY2009から2014年9月までの予定で、2030年までの運用を前提とした追加の試験が行われている。

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LMなどがF-22墜落事故にまつわる訴訟に和解

http://www.flightglobal.com/news/articles/Settlement-reached-in-Haney-F-22-crash-lawsuit-375445/

原告は2010年11月16日に墜落したパイロット、ジェフ・ヘイニー空軍大尉の未亡人で、2012年3月5日、イリノイ州クック郡の裁判所に訴え出ていたようだ。容易に想像できる通り、機体の欠陥が墜落原因であったとし、メーカー相手の裁判となっていた。なお、補償を求めていたのは未亡人+娘二人。

8月13日に和解が成立したようだが、メーカーの反応は微妙に別れた。
条件は明かせないが和解した、とプレスリリースを出したのがLMとボーイング(生命維持装置周りの主契約者)。P&W(エンジンとブリードエア周り)はリリースは出していないものの、広報は前2社と同じく和解したと述べている。OBOGSとECSのハネウェルはこの記事の時点で間に合ってないけど、出してないみたい。

公式の調査結果を待って和解した感じなので、ボーイング以外はあんまり関係ないのかもしれん。

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33FWにおけるF-35の訓練スケジュールが活発に

http://www.flightglobal.com/news/articles/f-35-flight-training-accelerates-at-eglin-afb-375444/

33FWの指揮官クラスの発言によると、F-35の訓練フライトは、3月の週2回のフライトから、5月4週目には12回のフライト(この時は実施11回)となり、8月は週16回、9月には週20回のフライトを計画しているとのこと。週20回が標準的な訓練スケジュールになり、通常は2機一組で飛ぶ。
急激に増加しているのは、飛行資格を有するパイロットが増え、教官の養成がスタートしたためという理由がある。
現在33FWにはUSAFのF-35A×9機、USMCのF-35B×9機とRAFのF-35B×1機で、計19機が在籍している。33FWとしての飛行時間は、A型とB型合わせておよそ160時間とのこと。
USMCの方の部隊はVMFAT-501となるが、ここでは5名のパイロットが飛行資格を持ち、あと2名が資格を取ろうとしている。
USAFの方では3名の教官を養成し、訓練中が2名。訓練中のうち1名は33FW司令のAndrew Toth大佐となっている。

機体のほうの成熟はゆっくりとしたペースであり、現在はBlock1Aから1Bへの最初のソフトウェアアップグレードが進行している。
準備中のBlock2Aでは、兵装のシミュレーションとセンサフュージョンが可能となるので、作戦機としての訓練はそこからが本番と言えるだろう。

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F-35 BF-3が初めて飛行中の兵装投下を実施

http://www.flightglobal.com/news/articles/video-first-in-flight-weapon-release-for-f-35-375380/

8月8日、NASパタクセントリバーに近い大西洋上のテストレンジにおいて、F-35 BF-3が初めて飛行中の兵装投下に成功した。高度4000ft、速度400ktで、ウェポンベイからGBU-32 JDAMを投下したとのこと。

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オランダのF-35 AN-1

http://www.flightglobal.com/news/articles/first-dutch-f-35-flies-around-fort-worth-375582/

8月6日、フォートワース周辺でチェックフライトを実施し、10日と13日にも飛行したとのこと。
オランダへの引渡しが近いことを予想させるが、LMからもオランダ政府からも公式声明は出ていない。オランダの選挙が近く、政局がグダグダなためと考えられている。

RRスネクマが設立される/F-15SEデモンストレータにJHMCS IIがインテグレーションされる/韓国がF-16のアビオニクスアップグレード(レーダー除く)でBAEシステムズを選定

RRスネクマが設立される

http://www.flightglobal.com/news/articles/rolls-royce-snecma-powers-up-next-generation-military-engine-study-374930/

7月30日、名称そのまんまの英仏エンジンメーカー2社のJV設立が発表されている。これは次世代軍用機エンジン研究を主目的とするもので、より大きなfuture combat air systems (FCAS)というデモンストレーション計画においても、JVとして契約を結ぶことになる。
FCASも英仏共同研究計画であり、英国のBAEシステムズとフランスのダッソーが協力して行う。7月始めに調印された最初の契約では、18ヶ月ほどの共同研究が予定され、次世代航空戦力のあり方にも踏み込むという題目を掲げるが、当面は両国のUCAVデモンストレータ、TaranisとNEURONの成果をもとに話を進めるようだ。

これらの機体はいずれもアドア951を搭載しているので、短いタームではこれを実用UCAV向けに発達させる、という流れのようだ。アドア開発当時はRRとチュルボメカだったが、今はここも(サフラングループ傘下の)スネクマ傘下になっている。将来的にエンジン単体で外国に輸出することもありえなくはない。
アドアは英仏共同エンジンの成功例と言える(日本に輸出したときは揉め事の種になったが…)。最新の共同開発エンジンと言えばドイツとスペインのメーカーも参加したユーロプロップのTP400、ということになるものの、成功例と言い切れるかはまだわからない。開発も難航したし。

将来、この枠組みを基礎としてユーロファイターやラファールの後継機のエンジンも共同開発ということになれば、EJ200とM88の次が統合されることになるが、あるとしても当分先だろう。

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F-15SEデモンストレータにJHMCS IIがインテグレーションされる

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-integrates-joint-helmet-mounted-cueing-system-into-f-15se-374904/

ボーイングは、ビジョンシステムズインターナショナル(VSI)製のJHMCS II/Hを、F-15SEデモンストレータにインテグレーションしたと発表。これは現用のJHMCSの改良型とのことで、小型化してバランスが改善され、ケーブル類も軽く取り回しが良くなっているそうだ。

http://boeing.mediaroom.com/index.php?s=13&item=2027

見たところ、バイザー部分が出っ張る感じはあまりなくなっている。

http://www.vsi-hmcs.com/index.php/jhmcs-ii

JHMCS IIは、低コストで従来の装備にレトロフィット可能という点は従来のJHMCSと同様であるが、HMDの向きを検出する方式などの違いで2種類ある。
II/Mは磁気トラッキング式で従来のサブシステムと互換性があるタイプ。
II/Hはopt-inertialとあるので、光学式とジャイロの併用みたいな感じ?で従来サブシステムとの互換性はなく、新しいAircraft Interface Unit (ACIU)と接続される。これは軽量化されて冷却も不要となったもので、こちらのII/Hが全くの新型ということになる。
600KEASまで対応。

ボーイングによると、デモンストレータの最近の飛行試験はこのシステムのインテグレーションも含んでおり、期間としては3ヶ月以内に完了したとのこと。

ちなみにF-35のHMDの次ではSTRIKEYE HMDSというのが開発中。機能面ではJHMCS IIから更に発達し、イメージ映像ではF-35Bにインテグレーションされている。CASに完全対応みたいな。

http://www.vsi-hmcs.com/index.php/jhmcs-ii?id=55

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韓国がF-16のアビオニクスアップグレード(レーダー除く)でBAEシステムズを選定

http://www.flightglobal.com/news/articles/seoul-names-bae-systems-for-f-16-avionics-upgrade-374962/

韓国DAPAはROKAFの134機のF-16についてアップグレードを計画しており、このほどアビオニクスに関する部分に関して、LMではなくBAEシステムズを選定すると発表した。これにはAESAレーダーが含まれておらず、そちらの選定は今のところ2013年前半まで先送りする予定としている。

同様の提案は、台湾向けでは競争入札にすらならなかったので、BAEシステムズにとっては大きな収穫となる。なおF-16絡みなので、米国のFMS経由での契約という形となり、金額は10億ドル程度。

DAPAではAESAレーダーを先送りした理由として、アビオニクス(兵器システム、ミッションコンピュータの更新、MFDの導入を含む)に比べて緊急性が低いこと、インテグレーションに要する時間がレーダーより長いことを挙げているが、現実問題としてAESAの機種がUSAFと統一されていなければインターオペラビリティや兵站上の問題も発生しうるので、そちらの動向を見てからという形になっている。

QF-16の最初の引渡しが2012年内に予定される/F-15SEのCWBについて風洞試験が完了/ボーイングがサウジアラビア向けのF-15Sアップグレードについて契約締結

QF-16の最初の引渡しが2012年内に予定される

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-set-to-deliver-six-qf-16-target-drones-before-years-end-373483/

ボーイングはF-16の標的機改造型、QF-16の開発を請け負い、3月にPre EMD契約(金額7200万ドル)、5月4日には有人で初飛行させている。
今回の発表では、QF-16×6機を2012年内にUSAFへ引き渡す予定が示された。これらの機体はBlock15、25、30で全て単座というから、A型とC型に相当する。

改修は、フロリダ州ジャクソンビルの旧NASセシルフィールドで行われているが、技術的には下請けなどを使わずボーイングの直営状態で、セントルイスから支援が出てるとのこと。LMは一切関与してない。
1999年以来のセシルフィールドは、民間のセシル空港と陸軍航空とフロリダANGなどが同居する軍民共用になっている。かつての海軍機の整備施設は、ボーイングとノースロップグラマンが使っているようだ。

QF-16の開発契約は、まだPre EMDの段階なので、USAFからの要求もまだ有人または無人で飛行可能な機体といったシンプルなものに留まる。固有の装備としては飛行中断装置(FTS)、視覚増強システムなどがあり、在来の標的機制御系との互換性も求められている。
MiG-29やSu-27に相当する標的機となるため、他の改修が施される可能性もある。有人では不可能な機動が可能になったりするのかどうかは定かでないが、構造に手を加える必要も出てきそうだから多分無い。

今後は、8月にsystems verification reviewを経て、9月にEMD契約(予想金額1700万ドル、15ヶ月)で、この中でUSAFに6機を引き渡し、ティンダルAFBとホワイトサンズ試験場で試験を行われる見通し。そして順調に行けば、2014年からLRIPが始まって最初のバッチが20機、全率生産に移ると2015年中盤から4つのロットで各25機、ということは合計120機の見込みか。

ボーイングはF-16と関係ないメーカーなので、設計図その他の技術的データを持っていない。このため、機体の構造をリバースエンジニアリングするところから始める必要があった。そけには、従来の手法(普通に分解して寸法取ったり重量測ったりするやり方)だけでなく、より洗練された手法、X線後方散乱検査装置を用いた解析などを行う事で、かなり詳細なデータを得られたという。
今回は特に古い機体(耐用期限切れの場合もある)に対して、人間が乗っても大丈夫な程度の安全性を確保する必要があり、部分的な構造の改修も伴ったそうだ。

こうした作業の副産物として、ボーイングには老朽化したF-16改修のノウハウが蓄積された。ボーイングは複数の潜在顧客と予備的な交渉を行っているというが、実現するとしてもまだまだ先の話になるだろう。
今のところLMは特にコメントしていない模様。

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ボーイングがエムブラエルとKC-390計画への協力で合意

http://www.flightglobal.com/news/articles/kc-390-partnership-may-signal-coalescing-of-earlier-agreement-373439/

ボーイングはブラジルF-X2でF/A-18E/Fを提案しているが、技術移転とオフセット条件の部分で欧州勢に遅れをとる状況が続いていた。現在は、技術移転の方は政府を動かして何とかクリアする方向であり、オフセットの方は、4月からエムブラエルとの包括的な協力についての枠組みを模索する流れだった。
ただしオフセットと周辺の軍事技術協力に関しては、原潜まで持ち出してるフランスが最も必死なので、これでどこまで押せるのかは不明。

この発表では具体的な内容には言及されていないものの、KC-390に関しての協力というのは明言されている。KC-390はC-130後継に相当する輸送機であり、従ってLMとの競合関係にあるが、ボーイングはこのクラスの輸送機を持たず、競合関係は発生しない。この辺はMRJについての協力関係と似た部分がある。
だからと言って米国向けへの有望な商談が見込めるかというと、そういうわけでもなさそうだが、国際市場においてボーイングがついて売り出すとなれば話が違ってくる。かもしれない。エムブラエルに、大型軍用機の大量生産の実績が無いのは確かだ。

なお、ティールグループのアナリストによれば、米軍はターボプロップの方を好むだろうとの見解。ヘリコプターの空中給油を行うのにも(C-130Jの方が)有利としている。

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F-15SEのCWBについて風洞試験が完了

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-wind-tunnel-tests-for-f-15-silent-eagle-cwb-completed-373389/

現在のF-15SEのコンフォーマル・ウェポン・ベイ(CWB)は、最初のデモンストレータのものから変更が加えられており、まだ開発途上にある。風洞試験では、様々な対気速度と角度に対する検証に加え、シミュレーションモデルとの比較検証なども行われた。今年後半にかけては兵装搭載状態や上下のドアの開閉が性能に及ぼす影響について試験を行う予定。
真正面の画像を見る限り、増積されて下に出っ張ってる感じだが、全体形状の変化はよくわからん。CWBは、設計開発から製造までKAIが担当している。

F-15SE本体については、1月にRCS試験が行われ、生産仕様は確定しているとのこと。
先ごろ正式入札が行われた韓国F-XIIIが最大の目標であるが、今のところF-35かF-15SEという見方が有力。ちなみにDAPAは、LMとユーロファイターに対しては韓国語で再提出するよう要求したそうだ。今のところ、年内には選定されることになっている。

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ボーイングがサウジアラビア向けのF-15Sアップグレードについて契約締結

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-awarded-184-billion-contract-to-develop-saudi-f-15-upgrade-kit-373438/

サウジアラビアが保有するF-15Sを新造のF-15SAに相当する仕様にアップグレードするもので、機数は68機、FMS経由で金額18億4000万ドル。
政府間取引の色が強いようで、ボーイングより国防総省の出した情報の方が多い。

オランダの民間企業が仮想敵飛行隊の創設を提案/ラファエルがヘリコプター用のRPG迎撃システムを試験/F-15SGの訓練支援など/エムブラエルはAMX近代化改修試験機を7月までに初飛行させる計画

オランダの民間企業が仮想敵飛行隊の創設を提案

http://www.flightglobal.com/news/articles/eca-secures-funds-for-nato-aggressor-aircraft-purchase-371328/

オランダ、スキポールに拠点のある企業ECAは、NATO加盟諸国に対して軍事訓練のための仮想敵役を提供することを提案した。integrated opposing force (IOPFOR)と称しており、軽量級の戦闘機24機を自前で保有・運用する計画。5月中旬に機種選定すると発表しており、その候補としてはJ-10、MiG-35、グリペンが含まれる。

資金は、4月に発行した2億8300万ユーロの転換社債で賄う。これは最初の14機分の購入に充てられるとのことで、成功したら更に10機分を追加する形となる。その場合の合計金額は4億3000万ユーロに達する。

IOPFORの装備機は、第5世代の特徴の幾つかを備えるとされている。AESA、IRST、EW装備、スーパークルーズ能力など。候補に挙がってる機体は一通りの条件を満たし得るということになるか。
また実際の演習においては、作戦機の運用に留まらず、艦艇、データリンク、指揮統制、民間衛星の情報利用などによって敵性勢力をシミュレーションする。

次の段階はデモンストレーションおよび評価となり、2013年初めに予定される、北大西洋上のNATO軍事演習において、3週間の日程で参加することになっている。ここでは制約のないあらゆるシナリオに対応するとのこと。

軍事演習の支援を行う民間企業というのはそれ程珍しくないが、丸々1個飛行隊を装備するというのはあまり聞いたことがない。この書き方だと新造機を発注するみたいだが、中古機とかじゃないというのも珍しい。
またコスト面の兼ね合いからか、多機種編成にはならない。オランダ国内ではF-16の減勢が進行するから、設備や人員の面では意外とハードル低いのかもしれない。

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ラファエルがヘリコプター用のRPG迎撃システムを試験

http://www.flightglobal.com/news/articles/rafael-tests-rpg-interceptor-for-helicopters-371368/

これはラファエルが開発した戦闘車両(現用のメルカバ4に装備)のアクティブ防御システムTrophyに類似したもので、Flickerと呼称されている。
イスラエル空軍のヘリコプターは、自己防御手段としてEW装備を有するが、ソフトキル可能な物にしか対応できないから、RPGのような、無誘導ロケット弾等に対しては別個の手段が必要になる。役割はほぼTrophyと同様であるが、迎撃体はロケット弾とのこと。ヘリコプターの装甲はメルカバの比ではない薄さだから、なるべく遠く、破片も届かないような位置で撃墜したいということだろう。
あまり高速で飛行していると使えなさそうな気もするが、それだとRPGも当てられそうにないからいいのか。高速飛行中に飛んでくるようなまともな誘導ミサイルなら、理屈の上ではソフトキル可能だし。

現在は試験段階にあり、迎撃体でRPGの弾頭を起爆させるところまでは成功している。このほか、ヘリコプターに搭載するため、システム全体の小型化に取り組んでるとのこと。

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F-15SGの訓練支援など

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-offers-singapore-435-million-f-15sg-support-package-371354/

米政府はシンガポール向けF-15SGの訓練支援などに関連したパッケージについて承認した。DSCAの発表によると金額は4億3500万ドル。マウンテンホームAFBにおけるシンガポール空軍搭乗員の訓練とその他の支援機材、GBU-10×40、GBU-12z×85なども含まれる。
なおシンガポール空軍が装備するF-15SGの数は24機。

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エムブラエルはAMX近代化改修試験機を7月までに初飛行させる計画

http://www.flightglobal.com/news/articles/embraer-hopes-to-fly-first-modernised-amx-before-july-371292/

ブラジルは保有するAMXのうち43機を近代化改修する計画で、エムブラエルが主契約となって改修を実施する。同社のQ1の収支報告によると、現在2機の改修試験機と8機の量産改修機が工場入りしており、7月までに初飛行させる見通しとのこと。
AMXは元々イタリア、アエロマッキとの共同開発だったが、改修についてはイタリア関係ないみたい。

近代化改修の中身は、グラスコクピット化とEW装備追加など。
またエムブラエルでは、海軍のA-4/AF-1スカイホーク×12機の近代化改修も受注しており、現在も進行中という。こちらは2機が工場入りしている。仕様は2011年の段階で確定しており、どのように適用していくかという段階。

エムブラエルはLAS選定で一度はスーパーツカノ採用まで勝ち取ったものの、先日RfPから仕切り直しとなっている。が、同機のセールスは好調のようで、特にアフリカ向け、ブルキナファソ、アンゴラ、モーリタニア向けの輸出契約に至っている。金額は、全部合計すると1億8000万ドル程度との発表があった。

なおKC-390については、サプライヤーを選定している状況のようだ。

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イスラエルはF-35に国産AAMをインテグレーションする意向/ボーイングがイスラエルのCH-53後継機としてCH-47系を提案/サウジアラビアのF-15Sアップグレード/ポーランドが軍用ヘリコプター×26機の入札/シンガポールのG550 AEWがFOC獲得/RAFのセンチネルR.1についてレイセオンUKが有用性を主張

イスラエルはF-35に国産AAMをインテグレーションする意向

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-f-35s-to-carry-indigenous-missiles-370819/

匿名の情報源によると4月17日、イスラエルの装備するF-35Aは、少なくとも1つの主要な兵器システムが自国製であると述べた。イスラエル空軍は、以前から次世代AAMをF-35に搭載する意向を表明しており、それを指すものと考えられている。
詳細は不明ながら、有力なメーカーはラファエルと見られる。ラファエルはレイセオンとDavid’s Slingの迎撃体、Stunnerを共同開発しており、これは空対空兵装としての派生型もある、とされている。

イスラエル国産AAM、DerbyもPythonもラファエル製なので、主契約はほぼラファエルで確定だろう。
DerbyはPythonから発達してできたBVRAAMだが、この後継みたいな感じか?もしくはAIM-120の派生みたいなやつか。

http://www.rafael.co.il/Marketing/331-887-en/Marketing.aspx

今のところ、イスラエル空軍向けのF-35Aは、2017年前半から20機の最初のバッチが引き渡される見通しで、これに続く調達、20~25機の交渉は2013年から開始される予定。
次のバッチでは、イスラエルで開発されたEWシステムによる能力向上も計画されている。

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ボーイングがイスラエルのCH-53後継機としてCH-47系を提案

http://www.flightglobal.com/news/articles/israel-offered-chinooks-as-service-eyes-v-22-deal-370904/

イスラエルはV-22への強い関心を示しており、昨年は特殊作戦向けの評価を実施するため、パイロット他の人員を米国に派遣、徹底的な調査を行ったとされている。が、イスラエルの財政上の問題から簡単に入手可能となりそうにはないのが現状。
空軍としては、V-22を多年度契約で導入したい意向であるようだが、どうなるかまだわからない。

ここで問題となってくるのはCH-53の老朽化で、3~4年以内に何らかの決定を下す必要が生じるだろうとの見方もある。

CH-53にはK型というUSMC向けの次世代型も存在するが、ボーイングとしては座して見てるつもりは無く、CH-47Gというのを提案した模様。CH-47Gは、コクピット等が大改修されたCH-47Fの次の型という事になるが、USAFのF型とは違って新造機となり、特殊戦向けのMH-47Gの仕様も採り入れられるとされる。

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サウジアラビアのF-15Sアップグレード

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-martin-bae-awarded-contracts-to-support-saudi-f-15sa-upgrades-370494/

サウジアラビアは、新造機のF-15SAを発注する一方で、既存のF-15S×70機のアップグレード改修を実施する。APG-63(v)3搭載でFBW化されたF-15SAと同等、とまではいかないが、能力は大きく向上し、イスラエルのF-15Iの優位性はかなり薄れる。これは同国がF-35A導入に拘る理由の一つになっている。

契約は、兵装とFCS関連がLM、電子戦関連がBAEシステムズという形で分担される。
前者はスナイパーATP×95セット、小型マルチバンドデータリンク×35セット、IRSTシステム×70セット、同バイロン×75セット、およびスペアパーツで固定額4億1060万ドル。
後者はDEWS/CMWS×70セットと、その試験ステーション×3セット、およびスペアパーツで固定額3億6650万ドル。
付随して兵站や修理などに関連する契約が、地元のAl Rahaグループと結ばれている。9500万ドル。

F-15関連では4月2日、韓国空軍のFX-II契約で最後となるF-15K(2機)が引き渡されたとのニュースがあった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/south-korea-receives-final-two-f-15k-fighters-370365/

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ポーランドが軍用ヘリコプター×26機の入札

http://www.flightglobal.com/news/articles/poland-launches-military-helicopter-tender-370379/

3月29日、ポーランドは軍用ヘリコプターの入札を開始した。陸軍の兵員輸送型×16機、空軍と海軍のSAR型×4機、海軍のASW型×3機で、合計すると26機になる。契約には5台のシミュレータと兵站支援と訓練を含み、入札締切は5月7日予定。
導入スケジュールは、2015年11月までに19機、次の1年で6機、最後はASW型×1機といった流れ。ポーランドとしては、現地生産を前提としている。

この条件であれば、シコルスキー傘下のPZL Mielec、アグスタウェストランド傘下のPZL Swidnikの2社による一騎打ち状態と見られる。それぞれS-70i系とAW149系が主力商品であり、AW149のASW型にはリンクスの装備を流用可能とのこと。

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シンガポールのG550 AEWがFOC獲得

http://www.flightglobal.com/news/articles/singapore-declares-g550-aew-fully-operational-370768/

シンガポール空軍のG550 AEWを運用する部隊は111Sqnで、TEngah航空基地に配備されている。機数は4機で、2009年から納入されたもの。1980年代に調達したE-2Cを代替することになる。

シンガポール空軍仕様のG550 AEWはイスラエル空軍向けとほぼ同等で、Eltaによれば高度41000ft、進出距離100nmで9時間滞空可能、前後のSバンドレーダーと両側面のLバンドレーダーにより、監視範囲は360度とされる。イスラエル空軍型では、オペレータは6人乗れる。

機体にはESM機器を収容したポッドや衛星通信、LOSデータリンクも追加されているが、飛行性能はほとんど損なわれていないということになっている。

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RAFのセンチネルR.1についてレイセオンUKが有用性を主張

http://www.flightglobal.com/news/articles/raytheon-touts-future-roles-for-rafs-at-risk-sentinel-r1-370715/

英国ではSDSRの結果、アフガニスタン方面の活動が終わった時点で、RAFのセンチネルR.1とシャドーR.1は早期退役となる方針が決まっているものの、メーカー側のレイセオンUKでは、本来の戦場監視と異なる任務に対しても有用であるとの主張を展開している。

現役のセンチネルR.1は5機。全てボンバルディア・グローバルエクスプレスを改造した機体であり、SAR/GMTIセンサを積んで、映像分析要員2名が搭乗。Airborne Stand-off Rader(ASTOR)システムの根幹となるISTAR能力を提供する。
RAFの5Sqnが運用しており、アフガニスタンへは2008年11月から展開、2011年3月には地中海(リビア)方面へと展開した。特にリビアでは個々のフライトが12時間以上に及ぶ事もあり、飛行時間は2000時間以上に達したという。この作戦での活動は、スカッドミサイルの発射機を捜索したり、いわゆるpattern-of-lifeのデータ収集(情報戦の領分だ)、攻撃後の評価、戦闘領域の最先端の特定など多岐にわたり、極めて効果的であったとされている。任務達成率は95%以上と良好だった。

レイセオンはこれらの実績を踏まえた上で、ASTORに新しい2つの役割を提案している。具体的には、RQ-4を柱としているNATO AGSへ英国としてセンチネルR.1を出すという案と、海洋監視機への転換という案。前者としてはほぼそのまま使えるはずだし、後者はソフトウェア改修によって十全の能力を発揮する予定となっている。搭載するデュアルモードレーダーは、それだけの能力があるという主張。
このレーダーは、U-2が搭載した側視レーダーの系譜にあたる。
AGSとしても、有人機があった方が便利かもしれん。

レイセオンは兵站支援について2016年9月までの契約があり、最近ウェールズ北部のブロウトン工場で1機(ZJ690)の改修を実施した。RAFに戻された後、1月からアフガニスタン方面へ展開し、2週間後にへリック作戦に投入されている。改修内容は明らかでないものの、ISTAR能力は強化された模様。

RAFのもう1機種のISR機、シャドーR.1については、長期的には海洋監視レーダーの搭載などで海洋監視機に転換可能としている。

http://www.airforce-technology.com/projects/astor/

ISAF本部が2011年8月のEQ-4B墜落を公式に認める/NGMのキャンセルが決まる/MRMUASのキャンセルが決まる/F-15SEの透視図と解説

ISAF本部が2011年8月のEQ-4B墜落を公式に認める

http://www.flightglobal.com/news/articles/isaf-confirms-2011-global-hawk-crash-368257/

ISAFによると2011年8月21日、EQ-4Bがパキスタン領内、南西部のジャララバード市内に墜落したとのことで、原因などは明らかにされていない。
事故当日には、ISAFからUAVが不時着したとのプレスリリースが出ているものの、その内容は明らかになっていなかった。

EQ-4BはRQ-4 Block 20を改修して戦場航空機搭載通信ノード(Battlefield Airborne Communication Node、BACN)を搭載したタイプで、2機が存在し、もう2機が改修中とされている。

事故の模様を伝える非公式な情報によると、墜落地点はNaranj Bagh地区で、空港からは離れた所らしい。民家2件が損害を受けたが、死傷者は無かったとされている。また、事故状況を撮影したとされる映像からは火災の発生が見て取れるという。
ISAFの初期の報告では機体トラブルの可能性が示唆されている。
また、ジャララバードにグローバルホークは常駐していないことになっている。

USAFの事故調査委員会AIBによると、事故の区分はクラスAで、これは200万ドル以上の損害または死亡事故を含むものになっているので、事故機が全損となった可能性は高いようだ。

グローバルホークの運用に近い情報源によると、アフガニスタンでは2度の緊急着陸事例が起きており、米中央軍コマンド管轄地域内(アフガニスタン、パキスタン、イラク、イランetc)では2機が墜落していると言われる。

現時点でノースロップグラマンはコメントを出していない。

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NGMのキャンセルが決まる

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-cancels-amraam-replacement-368249/

2月13日、USAFは、NGMの開発計画を正式にキャンセルした。AIM-120 AMRAAMとAGM-88 HARMを代替するものとして主要メーカーが熱心に開発を続けており、2011年末の時点では当局も優先度が高いなどと発言していたのだが、最終的には総額150億ドルともいわれるプログラムコストが重荷となったようだ。
しかし2015年にはMeteorが配備されるし、ロシアや中国の次世代AAMも出てくるので、技術的な優位が失われる危険性も大きい。

なお、NGMの技術開発に深く関わる、DARPAのT3計画については、去就は不明。

空対空戦闘の蓋然性が恐ろしく低くなっているのは確かだが、下手するとMeteorとAARGMで凌ぐことになりかねん感じ。
でもよく考えたら、今までだってAIM-54退役からこっちは最大射程距離で負けてんだよな。AIM-120Dが最終的に射程100km台まで達すればそれでいいのかもしらん。

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MRMUASのキャンセルが決まる

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-cancels-medium-range-uas-contest-368241/

MRMUASは、USNが主体となり、MQ-8A/Bの後継機となるVTUAVを選定するというもので、途中から米陸軍との共同プロジェクトになった。ただし、MRMUASとしてはキャンセルになるものの、MQ-8A/Bの後継機としては、単にMQ-8Cファイアスカウトが選定された格好。28機の導入が予定されている。

MRMUASが立ち上がって競争入札になっても、MQ-8Cがかなり先を走っていた事実は変わらないし、ファイアスカウトがMQ-8A/Bの拡大型である利点も大きかったと言える。陸上運用でも特に問題は出てないようだし、つまるところMQ-8のエアフレームをシュバイツァー303からベル407に置き換えただけで、能力的には十分だったわけだ。

一方、固定翼の艦載UASにあたるUCLASSは、2年先送りされつつ継続となる模様。これで期間はFY2020までとなる。

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F-15SEの透視図と解説

http://www.flightglobal.com/news/articles/cutaway-technical-description-how-boeing-developed-the-f-15-silent-eagle-367978/

タダ見だと解像度が足りないが、まあ雰囲気程度は。

記事の方は1970年代後半、F-111後継機としてF-15Bを改造したところからスタートしている。MDとヒューズが最大離陸重量を2割増しにするため内部構造を改設計し、後席をWSO席にしてCFTを付けた。その後、MDはボーイングになり、ヒューズはレイセオンになったが、1984年、F-16E(XL)を退け、F-15Eとして選定される。
ここまでが30年近く昔の話で、現在、E型系列は5ヶ国の空軍に400機以上が配備されることとなった。
最新の状況では、サウジアラビア向けF-15SAの契約が確定したことで、あと6年以上にわたって製造が継続する事も決まっている。

この記事では、F-15SEの構想が出てくるきっかけは2007年、韓国がFX選定の中で「第5世代戦闘機であること」を要求仕様に入れた時点であるとしている。この条件は後に撤回されるが、F-15がF-35と直接競合した最初の例だった、というのは確かかもしれない。2007年と言えば、まだF-22輸出型とかも可能性があった頃だ。

2008年後半から社内で検討が始まったというが、何しろF-15はステルス戦闘機の概念が確立するはるか以前の設計なので、後からどうこうできる部分はかなり限られている。

設計の修正によって得られるステルス性は限定的となるが、ボーイングでは最も有望な顧客(韓国)の求めるミッションへの適応は十分であると見ている。つまりCFTの分の燃料は必要ないし、ステルス性は「防御的」な空対空戦闘に対応可能といったものだ。厳重に防御された敵性空域への縦侵攻撃は初めから想定していない。CFTをウェポンベイにした理由がこれだ。
なお、RAM塗布によるステルス性の向上について、当初ボーイングは正面RCSがF-35と同等になるとしていたが、その後はステルス性が目標に達したと述べるに留まっている。また垂直尾翼の傾斜はオプションらしい。

試験機が公開された2009年3月の時点では、AESAのAPG-63(v)3はまだシンガポール向けのSG型にしか搭載されていなかったし、電子戦装備もアナログのTEWSだった。このうち後者はBAEシステムズがdigital electronic warfare suite (DEWS)を供給することになって、大きく能力が向上する見込み。
BAEシステムズはF-22搭載のALR-94、それから発達したF-35搭載のASQ-239「バラクーダ」を供給していることもあり、DEWSの能力はそれらに匹敵すると考えられている。たとえばTEWSなどでは単機では電波源のベクトルしか特定できず、寮機とのデータリンクによる三角測量方式でなければ位置は特定できないが、ASQ-239などでは単独で位置を特定できる。
これらの能力から、DEWSとHARMを組合せれば、EF-111に近いものにもなる。

試験機公開後にわかった他の情報としては、操縦系統のFBW化というのがある。これはサウジアラビアがF-15SAを発注する際、DEWSの導入とともに要望したもので、それをSE型にフィードバックするようだ。
また大型タッチスクリーンの導入、暗視装置を統合してケーブルを軽量化した第2世代JHMCSの試験も開始されているとのこと。
残った要素はIRSTで、ステルス性に配慮してパイロンに搭載せず内装式とする。これは搭載位置をはじめとして未定の部分が多い模様で、F-35のEOTSのような平面構成のバルジを付ける、または胴体の上面か下面かも決まっていないようだ。F/A-18のインターナショナルに似た取り付け方法も考えられる。

USNがE-2DのIOT&Eを開始/USAFの予算縮減でA-10など早期退役/RQ-4 Block 30の調達数削減案

USNがE-2DのIOT&Eを開始

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-to-launch-e-2ds-operational-test-and-evaluation-367779/

E-2Dの開発は、2014年Q4のIOC獲得を予定しており、これに向けて今年、FY2012Q2からIOT&Eを開始する事になっている。IOT&EのプロセスはVX-1が担当してQ4まで実施される。既に4機が配属されたとのことで、米国内の各所で活動することになる。
IOT&Eが順調に進んで、運用と艦隊配備の関係が評価されれば、全率生産に移ることができる。

E-2Dの主となるセンサはAPY-9で、探知距離が拡大され、巡航ミサイルなどの小型目標の探知能力が向上すると言われている。
1月23日時点で7機(うち2機が開発試験機)のE-2Dが存在し、開発及び飛行試験を合わせた累計飛行時間は、3600時間に達する。またノースロップグラマンでは1月末にLRIPの準備段階のロジスティクスサポート契約(金額3180万ドル)を受注しており、次の製造契約であるlot 4の6機が発注見込みとしている。
E-2Dの需要予測として、USN向けは総数75機、現在E-2を運用する海外顧客(エジプト、フランス、日本、シンガポール)向けは25~30機と見込んでいるようだ。

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この辺は雑誌とかでまとめられると思うが一応。

USAFの予算縮減でA-10など早期退役

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-proposes-to-cut-a-10s-defers-questions-on-f-35a-fleet-size-367823/

先日発表された米国の予算案の中で、USAFでは今後5年間に作戦機の1/3を削減する案を発表、手始めにA-10×5個Sqの早期退役を打ち出している。削減機数は102機に及ぶが、ノートン・シュワルツ参謀長は、CAS任務に支障は生じないとする見解を発表した。現役に残るA-10の機数は246機あり、AC-130もPGM運用可能になっているから問題ないとしている。A-10が真っ先に削減される理由は、これがCAS専門の機種であって、できる任務が限定されるからで、今より小規模な空軍で同等の能力を維持しようとするなら、装備機種全体についての多任務化は避けて通れない、といった事も述べている。

A-10以外の削減案には、F-16×1個Sq、アグレッサーのF-15×1個Sqが上げられてる。

この案が通れば、USAFの実働Sq数は54まで減少、またSq定数の変更も考えられてるので、作戦機総数は1080から1300機といったラインに落ち着くようだ。一方F-35の導入予定数は依然として1763機であり、F-15、F-16、A-10がほぼ1機種にまとまるという状況に変化はない。
これも削減後の作戦機数に応じて減らされる可能性はあるが、今のところは調達ペースを減速し、2017年までに160~170機というところまでが決定事項になったのみ。

ここで気になるのが、余剰機の無人機化の話がどう繋がってくるかという点。DARPAが2010年2月からCAS向けの無人機開発を求めてるが、

http://www.flightglobal.com/news/articles/darpa-launches-search-for-unmanned-a-10-replacement-338278/

この中にはQF-4、QF-16、UA-10といった文字がある。既存UAVより運動性が高いことが要求されていた。
CAS任務をこなすUAVはMQ-Xが本命だが…

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もう一つ大きなトピックが出てる。

RQ-4 Block 30の調達数削減案

http://www.flightglobal.com/news/articles/dod-cuts-block-30-global-hawk-but-spares-other-uavs-367461/

1月26日、米国防総省はU-2の運用継続とともに、RQ-4 Block 30の調達計画の変更を発表した。この結果、RQ-4 Block 30の調達数は、直近の計画から10機削減されることになる。現在までに発注された機数は14機(引き渡された機数は11機)で、これに7機の追加が確定し、全体で21機に留まる。

こうなった理由はわりと明白で、ナン・マカーディ法(予定を25%超過すると厳しく追及される)に2回抵触するほどの開発費高騰、加えて、引き渡し後の評価がイマイチというもの。

ノースロップグラマンは失望感を表明したが、実はBlock40の方は11機発注のまま継続、MQ-4CとなるUSN向けBAMSも継続している。BAMSの構成はBlock30とほぼ同じであるものの、少し遅れて進行したのが奏功したか、Block30だけが犠牲になったという見方もできる。なおBAMSの初飛行は2012年Q2予定。

同じく無人機関連では、ゼネラルアトミクスのMQ-1B/MQ-9A/MQ-1Cなどについては、大きな影響を受けなかったようだ。
国防総省は、それぞれがMQ-9A×4機からなる65個のCAP配備を継続し、その数を85個まで急速に引き上げる計画もある。

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http://www.flightglobal.com/news/articles/northrop-grumman-fights-rq-4-block-30-cancellation-threat-367533/

これにノースロップグラマンが抵抗してる関連。

RQ-4 Block 30 について、2011年にUSAFが得た運用データとして、日本とリビア方面への展開によるものがある。
一つ明言されてるのが、U-2Sの方が運用経費が安いという事実。
公式ではないものの、FlightGlobalの持ってるAFTOC情報をもとに推定した、部隊単位での運用経費は、2011年6月現在で、U-2Sの1飛行時間あたり2830ドルに対し、RQ-4A/Bでは同じく6710ドル以上という。

これについてノースロップグラマンは、間接費の計上が不公平でU-2の方が見かけ上安く算出されている、との独自の分析を発表している。
前述のAFTOC情報でも、2年で32%ほど下落しているのが確認されるとのことで、この意見にも一定の根拠はあると見られるものの、高かった時の2009年でも4180万ドル以下だったというから、状況はあんまり違わない。

他の反論としては、この1年でセンサ能力と任務達成率の両方で相当の向上を見せたのが考慮されてないのはおかしい、というもの。任務達成率については、IOT&E時の43%に対して、2011年の展開中には平均で約83%であるという。

F-15SEの試験がスタート/韓国FX-IIIのRfP/ダッソーがスイス空軍に新たな提案/ハンガリー空軍がグリペンのリース期間延長を決める/海上自衛隊がMCH-101向けのALMDSを発注

F-15SEの試験がスタート

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-makes-big-push-with-f-15-silent-eagle-tests-for-south-korea-367495/

ボーイングによると、近くF-15SEの新たな試験がスタートする予定とのこと。これは風洞試験、地上試験と新造機による飛行試験を含み、重要な新規技術の幾つかを実証するものとなる。目標としているのは明らかに韓国のFX IIIで、2016年就役に間に合わせるスケジュールを組んだ。

風洞試験は3月か4月に開始される。コンフォーマルウェポンベイの付いたスケールモデルを使う予定とのことだが、デモンストレータについてたものとどう違うかとかは不明。
また現在のコンセプトでは垂直尾翼が15度外側に傾けられているが、この角度についても風洞で幾つか試すとのこと。空気力学的には、わずかだが性能向上が得られるとしている。

新造機による飛行試験は、2012年Q4末から2013年前半にかけて行われる予定。これは2009年のコンセプト公開時にあった、新しいコクピット、デジタルEWシステムとセンサを備える。ボーイングではadvanced international F-15とも呼んでいるようだ。

FX IIIのRfPについては、今のところ10月の発出が有力視されてる。機数は最大で62機。

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と言ってたのだが1月30日、韓国DAPAからRfPが出てる。

韓国FX-IIIのRfP

http://www.flightglobal.com/news/articles/seoul-kicks-off-f-x-iii-competition-367569/

現時点ではF-15SE、F-35Aとユーロファイターが応じた事は確定、PAK-FAは不参加、グリペンはメーカーが公式に発表していないが、出席していたようだ。

Yonhapの報道では、選定基準は、価格、性能、インターオペラビリティと自国産業界の利益で、これらは更に150の小項目に分けられ、評価されるとのこと。またKFX関連の技術移転やら何やらも要求する可能性がある。選定は2012年6月18日、最終判断は2012年後半とされ、機数は明らかでない。F-4代替となれば60機前後とされている。

2011年10月のソウルエアショーでは、米国の2社がそれぞれF-15SEとF-35を強くプッシュしていたが、最有力なのがこの2機種というのは間違いないだろう。両機種を取り巻く状況としては、F-35Aが空自FXに選定され(42機)、F-15SAの新造機(84機)とS型のアップグレード(70機)がサウジアラビアから正式発注されている。

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ダッソーがスイス空軍に新たな提案

http://www.spacewar.com/reports/French_jet_firm_makes_Swiss_new_offer_report_999.html

スイス空軍はF-5の後継として、2011年11月に一旦グリペンを選定したものの、その後選定落ちしたダッソーが抗議したり、スイスの左の野党が凍結を主張したりで、議会での承認には至っていない。

この記事では、ダッソーが新たに18機で27億スイスフラン(ユーロでは22億4000万、ドルでは29億6000万)の提案を行ったという話が出ている。
これについてスイス側、内閣安全保障委員会のハンス・ヘス氏は提案を受領した事を認めており、2月13日に上院で検討されると述べた。内容については言及していない。
一方、Sonntags Zeitungの取材を受けたウェリ・マーラー国防相は、まだ話を聞いてないと述べた。

単に隣国ってだけじゃなくて、ミラージュIIIを長年使ってるのもあるし、政治的にまだひと揉めありそうな流れとなっている。

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ハンガリー空軍がグリペンのリース期間延長を決める

http://www.saabgroup.com/en/About-Saab/Newsroom/Press-releases–News/2012—1/Hungary-extends-Gripen-contract/

1月30日、ハンガリーはグリペンのリース期間を10年延長して2026年まで運用を続ける事でスウェーデンと合意、両政府間での契約に至ったとのこと。

ハンガリー空軍のグリペンのリース契約は、2001年に合意の後、2003年の修正を経て、単座のグリペンC×12機、複座のグリペンD×2機の計14機を、最終的にハンガリーが買い取る形となっている。これらの機体は2006年から2007年にかけて引き渡され、2008年から作戦運用がスタート。当初は2016年がリース期限となっていた。

2026年になったことで、契約が切れる頃には後継機が選定されるぐらいのタイミングになると思われる。
F-35が今のF-16並に入手しやすくなるとかはありそうだが、地域的な事情が全く別の展開になってるかもしれず、正直想像もつかない。

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海上自衛隊がMCH-101向けのALMDSを発注

http://www.flightglobal.com/news/articles/japan-buys-mine-detection-system-for-mch101s-367751/

ALMDSはAirborne Laser Mine Detection Systemのことで、ノースロップグラマンが開発したレーザ式の機雷探知装置。米海軍向けとしてはSH-60/MH-60Sに搭載する事が想定され、ディジグネーションはAN/AES-1。

http://www.as.northropgrumman.com/products/almds/index.html

http://www.youtube.com/watch?v=pTNHZ74vt-U

LIDER技術と4台のカメラを組み合わせたシステムで、自動的に海面近くの機雷を探知し、データを艦上のオペレータが解析して分類蓄積するといった使い方になる。日本側の主契約はKHIと富士通だそうだ。