Africa Aerospace & Defence show関連

Africa Aerospace & Defence show関連

南アフリカの首都(のひとつ)、プレトリアで航空宇宙および防衛産業のイベントが行われた。
関連する話題を幾つか。

・デネル・エアロストラクチャがA400Mの製造分担についてエアバスと再調印

http://www.flightglobal.com/news/articles/aad-denel-airbus-military-renew-a400m-pact-376655/

南アフリカ空軍は、2005年にA400Mを8機発注し、デネル・エアロストラクチャは、A400Mの製造に参画する事を決めたのだが、2009年、南アフリカ政府は調達契約をキャンセルしてしまった。この頃はデネルにとっても財政的に非常に厳しい時期で、政府共々、エアバスとの関係をどうするかで大きく揺れることになる。
結局同社は、自らの構造改革を進めながら、A400M計画への参画を続けることで命脈を保った。改革は今年いっぱいで終了する見込みといい、これまでにエアバスへ引き渡した部品は12機分にのぼる。

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-denel-aerostructures-hopes-a400m-will-finally-establish-it-in-first-tier-of-global-manufacturers-376147/

結果的に得したのは確かだが、その見返りにA400Mの調達を復活させるのではないかという観測は根強くある模様。ただし今のところメーカー、南アフリカ政府とも、その可能性は否定している。
現在、デネル全体としての財務状況は良好になっている。エアロストラクチャ単体でも、構造改革の効果とA400Mへの参画を継続することにより、3~4年で黒字化の見込みだそうだ。

・Hungwe UAV

http://www.flightglobal.com/news/articles/aad-denel-offers-hungwe-uav-376687/

デネルが開発中のHungwe UAVが公開されている。
最近、初飛行したとのことで、性能としては滞空時間6時間、航続距離54nm、飛行高度12000ftといった数字が明らかにされた。大きさはスキャンイーグルに近いが、形はデルタ翼でちょっとバルカン似。
アフリカでの運用を念頭に置いたものだそうで、貧困国でも導入できるよう、取得から運用に至る経費を徹底的に抑える方針で開発された。地上管制も、普通のラップトップと通信装置を組み合わせた程度であり、最小限の設備で使えるようになっているという。
用途は一般的なスモールUAVとさほど変わらない。監視や国境警備、情報収集に加え、土地柄から密猟対策という文言も加えられている。

開発は終盤に差し掛かっており、年内に完了する見込み。最初のカスタマーは明かされていないが、他の交渉も進行中とのこと。まずは南アフリカの政府機関っぽいが。

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VliegMasjien C-Wolf水陸両用機

http://www.flightglobal.com/news/articles/aad-picture-vliegmasjien-unveils-prototype-amphibian-376659/

南アフリカの航空機メーカー、VliegMasjienは、開発中の水陸両用機C-Wolfの原型機を展示した。カスタマーの注文と前金もとっているが、まだ開発段階であり、初飛行は2013年に実施される見込み。

メーカーによると、比較的大きなペイロード(800kg、機体自重900kg)と航続距離(1910nm)を備えた機体で、未開地での運航を想定。いわゆるブッシュプレーンとしての役割を強く意識したものになっており、アフリカよりも、カナダやオーストラリアといった国々に狙いを定めているという。
胴体はどちらかというとヘリコプター風、推進式の5枚プロペラ、高翼配置のT尾翼で、微妙なカナードがついており、外観はなかなか特徴的。ダブルファウラーフラップを備え、高いSTOL性能、小回りがきく設計となっている。

エンジンは6気筒ガソリンエンジンのADEPT-320、出力320hp。プロペラの回転数は1900rpmというから静粛性は高いと思われる。機体の大部分と主翼はケブラー製で耐久性は高い。無骨な感じの着陸脚は、3gの衝撃に耐える。

ブツシュプレーンと言えば、「最も危険なゲーム」に登場するDHC-2ビーバーだが、

http://www.aviation.technomuses.ca/collections/artifacts/aircraft/deHavillandCanadaDHC-2Beaver/

一回り小型の機体で航続距離が5倍近いとか時代が進みすぎ。1947年だもんなあ。半世紀以上の差が‥

ついでなのでビーバー愛好者の人の頁。

http://www.dhc-2.com/

・サーブがSkeldarを売り込む

http://www.flightglobal.com/news/articles/aad-saab-offers-unmanned-skeldar-for-anti-piracy-duties-376715/

南アフリカと直接関係はないが、サーブからはグリペンを導入しているので、産業界としての繋がりはある。
アフリカでは海賊対策の機材として売り込みたいようだ。

Skeldarは回転翼タイプのVTUAVだが、機体規模はMQ-8Bなどよりも小さく、スキャンイーグル等と同じくスモールUAVに属する。サーブが自主開発したもので、年内に市場投入の見込み。陸上だけでなく艦上でも運用可能なのが一つのセールスポイントで、有人ヘリコプターの運用設備があれば問題なく使えるという。
その他のハードウェア上の特徴としては、55hpの多燃料型エンジンにより、ディーゼル用の燃料が使える点が挙げられる。このエンジンにより、滞空時間5~6時間と航続距離100kmを達成した。

現在は幾つかの顧客(政府)と交渉している状況で、地元スウェーデンの国内市場、米陸海軍と特殊戦といったあたりとの話し合いが活発らしい。

http://www.youtube.com/watch?v=WozyI_Cq4E0

A400Mの最初の引き渡しが遅延の見通し/PZL-ŚwidnikがSW-4 Soloヘリコプターの有人型を展示/ポーランドは空中給油機の入札準備を進める

A400Mの最初の引き渡しが遅延の見通し

http://www.flightglobal.com/news/articles/first-a400m-delivery-suffers-fresh-slip-376002/

A400Mの最初のカスタマーはフランス空軍で、MSN7に相当する機体がそのまま2013年3月31日(つまりQ1)までに引き渡されるという契約になっていたのだが、どうやらこれは困難となっている模様。

遅延の直接の原因となっているのは、ファーンボロ直前の7月のエンジントラブルの一件で、原因調査のためにfunction and reliability (F&R)試験の日程が滞る結果となってしまった。ユーロプロップインターナショナル(EPI)の発表によると、調査に300飛行時間ほど要しており、F&R試験は160飛行時間にわたって中断されたとのこと。現問題となったエンジン内の金属片、MSN6のTP400-D6エンジンのうち1基の内部で発見されたそれは、カバープレートのクラックによって生じたものであり、ギアボックスの隙間で孤立した位置にあるため、エンジンの運転に支障は無いものと判断されている。
しかしだからといって、無害として放置するわけにも行かず、結局現存するエンジンのカバープレートを全て交換する措置をとることが決まった。つまり、EASAの型式証明の上では、変更を加えたパーツの再承認が必須ということになり、そこまでの手続きが済んで初めてF&R再開が確定するわけだ。

これに最も影響を受けるのは、引き渡しの迫るフランス向けの1号機、MSN7。引き渡しの遅れは「わずか」であると述べられている一方、8月23日の初飛行予定は順延されたままで、新しい日付すら出てきてない状態にある。
しかしエアバスミリタリーでは、それ以降の引き渡しスケジュールには影響なしとしている。なお2013年の引き渡し予定は、フランス空軍向けが3機とトルコ空軍向けが1機。

‥というのが8月末の記事で、9月12日の記事ではF&Rの再開が11月見込みとの声明。ILAで言及されている。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-a400m-reliability-tests-to-resume-by-november-376424/

ILAでは飛行展示が再開された。記事の写真は120度バンクをキメて高速でフライパスする様子。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-a400m-makes-flying-return-to-show-circuit-376271/

この他ILAでは、ドイツの民間防衛団体Technisches Hilfswerk (THW)が、これまでの災害救援にかかった航空機のチャーター費用を示し、ドイツがA400Mを導入することに対する期待感を表明している。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-airbus-pitches-a400m-for-disaster-relief-role-376399/

THWの代表者によれば、中国の大地震(2008年の四川大地震だろう)における救援活動で、Il-78をチャーターして浄水装置を空輸。このときかかった費用は片道34万5000ドルだった。また、昨年の東日本大震災において、ボーイング767をチャーターしてSAR要員を送り込んだ際も、同様の費用がかかったが、チャーター会社が原子力災害を嫌ったため、別料金を請求されたという。
この組織の予算でA400Mを購入することは不可能だが、ドイツは2014年から53機を調達する予定となっている。これを利用できればロシアの輸送機をチャーターするよりずっと良い。

エアバスでは、A400Mは不整地滑走路から運用できることから人道援助などに向いた機体であるとしており、ドイツがその種の能力について熱心に調査しているとも述べている。

エアバス・コーポレート・ファウンデーションは、2008年から試験機を使って物資輸送などの災害救援活動を行っており、9度の災害に対して27回のフライトを実施しているとのこと。

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PZL-ŚwidnikがSW-4 Soloヘリコプターの有人型を展示

http://www.flightglobal.com/news/articles/pzl-swidnik-reveals-optionally-piloted-solo-rotorcraft-376154/

PZL-ŚwidnikのSW-4 Soloは、ポーランド空軍の訓練ヘリコプターSW-4を原型とした有人/無人ヘリコプターとなる。このメーカーは2010年からアグスタウェストランド傘下で、イタリア軍向けの提案も考えられているようだ。
Soloの初飛行は2013年6月までに実施予定だが、メーカーではもっと早く飛ばしたい意向を表明している。

PZL-Świdnikは昨年から無人型開発のデータ収集のため、有人機の試験飛行を繰り返している。一方、地上管制とフライトマネジメントといったソフトウェア関連はイタリアで開発する。

SW-4のエンジンはRR(旧アリソン系) M250 C20R/2(457shp)の単発。ベル206と同系のエンジンであり、性能も似通っているが、出力が大きい分は性能が高い。
用途としては軍用および法執行機関向けを想定しており、監視装置と通信装置を搭載、軽武装も可能。貨物輸送や救急搬送も考えられている。
無人ヘリコプターとしては、MQ-8CやK-MAXより更に小さい。

在来のSW-4との見た目の違いは、操縦席上方のカメラとか兵装搭載のためのスタブウイングなど。

http://www.flugzeuginfo.net/acdata_php/acdata_sw4_en.php

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ポーランドは空中給油機の入札準備を進める

http://www.flightglobal.com/news/articles/two-bidders-await-polish-tanker-battle-376149/

ポーランド国防相によると、同国は2機の空中給油機調達を予定しており、9月末に入札を開始する事になっている。入札に先立ってポーランド開催のイベント、MSPOエキシビションにおいて2チームが名乗りをあげた。
ポーランド側では、原文見れば判るけど空中給油と輸送の両用型を求めてる。

一方は、ポーランドの航空機整備大手企業Bumarと、イスラエル、IAIのタンカー転換担当部門Bedekが組んでおり、中古のボーイング767-200ERを改修して引き渡す計画を進めている。つまり改修をIAI、運用にまつわる様々な支援はBumarが担当するという形。
もう一方は、エアバスミリタリー。機種はA330 MRTTで、こちらはEADS傘下のPZL Warszawa-Okecie工場にて整備が可能と主張している。ここはC295を整備(オーバーホールまで)する施設として建設され、昨年11月に落成したもの。C295のオーバーホールについても、8月に1機の実績がある。

コンソーシアムに署名後34ヶ月以内の引き渡しと、最低20年の運用を想定している。

リンクスワイルドキャットがファーンボロエアショー期間中に1号機引渡し/AW169が登場し、アグスタウェストランドのラインナップ出揃う/RAFにおけるVC-10退役のスケジュール/RAF向けのA400Mフライトシミュレータの契約/A400Mのエンジン問題未解明で飛行展示見送り/ユーロファイターの能力向上について4カ国が合意/トレント152,455とRRの次期トレント関係

ファーンボロ、英国関係。無人機関係は別項で。

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リンクスワイルドキャットがファーンボロエアショー期間中に1号機引渡し

http://www.flightglobal.com/news/articles/uk-to-take-delivery-of-first-lynx-wildcat-at-farnborough-air-show-373762/

リンクスワイルドキャットの、メーカーの型式番号はAW159。英陸軍と海軍のリンクスを更新する機体であり、当面は陸海合同でRNASヨービルトンにて編成と訓練が行われる事になっている。機数は62機。去年の段階では、陸軍向けを4月に引き渡すことになっていた。海軍型は2013年配備予定。

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AW169が登場し、アグスタウェストランドのラインナップ出揃う

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-aw169-debuts-at-air-show-373965/

今年のファーンボロではAW169の実機が初めて展示され、AW139、AW189とともにアグスタウェストランドの新世代機ファミリーが出揃った形となった。これらの設計はある程度共通性があり、運用や訓練にかかるコストを低減できるというのも重要なコンセプトの一つ。

ただし開発完了までまだ先は長く、最初の試作原型機が5月、2号機がイタリアで7月6日に初飛行したところで、型式証明取得は2年後の2014年とされている。
今年後半には3号機が飛行試験計画に加わり、2014年には4号機まで製作予定。

AW139の受注状況は、カナダのCHCヘリコプターが次の3年間で10機(ガス・原油採掘向け)、ロシア政府機関のパラパブリック用途が2013年に3機、日本の三井物産エアロスペースが2013年に2機(消防と横浜市向け)、イタリアの警察が2013年に2機(オプション6機)といった感じ。
AW169については上記の様な段階で、本格的な販売にはたどり着いてないものの、南アフリカから1機の受注があるとのこと。民間のVIP/企業向けとある。

もう一つ書かれてるのはGrandNewの話題で、EASAが定めた航法衛星による着陸誘導系、satellite-based precision approaches with vertical guidance (SBAS/LPV)の、ヘリコプターの認可第1号となったそうだ。SBAS/LPVは、悪天候などILSを使えない状況でも安全な着陸を可能とする(衛星も常時使えるとは限らないが)。

http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seisan/juntenchoueisei/004_05_00.pdf

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RAFにおけるVC-10退役のスケジュール

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-raf-squadron-commander-details-vc10-retirement-plans-373990/

現在RAFのVC-10(C1K/K3/K4)は、ブライズノートンの101Sqnに8機が在籍している。同機種は6月29日に初飛行50周年を迎えたが、これを花道とするかのように退役スケジュールを進め、2013年3月31日をもって全機が現役を退くことになる。
C1Kの1機は7月2日をもって退役したので、残りはC1Kが3機、K3が4機とK4が1機。日常的に飛行しているのは4機で、K4はフォークランドに展開してタイフーンのQRAを支援する任に就き、
他に各1機がRAFカニングスビーとRAFルーカーズのQRAにつけられ(RAFではQ態勢(“Q State”)と呼ぶ)、オマーンに1機が派遣されている(アフガニスタンのへリック作戦に従事)。
またタイフーンはロンドンオリンピックの防空(警備)のため7月と8月にRAFノーソルトに展開するので、101SqnのVC10はブライズノートンから支援にあたる。現在稼動してる空軍基地としては、ノーソルトがロンドンに一番近いようだ。

各型のうち、C1Kは輸送型の改造タンカー。翼下のパイロンに給油ポッドを搭載したもので、燃料搭載量は70tonと少ない。
K3とK4はともに民間旅客機のスーパーVC10を改修した機体で、K3はメインデッキに燃料タンクを増設して燃料搭載量を82tonに引き上げている。K4は燃料タンクの増設が行われていないが、大型のポッドと中心線の長大なホースを有するので、大型機への空中給油が可能となっている。
タンカーとしての能力ではK3が最も優れているので、最後に残すのはこれらの機体とされる。9月以降はK3のみの4機態勢とするようだ。ただし退役スケジュールは若干変動しながら進行していて、今後も変更の可能性はあるという。去年の予定だと既に6機態勢になってるはずだったとか。

前述の通り、RAFでの経歴が最も長いのは輸送型からキャリアが始まっているC1Kで、中でもテイルナンバーXR808は、1966年7月引渡しの最古参となる。6月中旬現在の累計飛行時間は43655時間、12255回の着陸を記録しており、退役後はRAFコスフォードの博物館に移動、保存される予定が決まっている。

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RAF向けのA400Mフライトシミュレータの契約

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-uk-places-order-for-a400m-simulator-374025/

エアバスミリタリーが受注、タレスが英国内で製造する契約となっており、サポートなど含む金額は5000万ポンド。2014年春に引き渡し予定。英仏共同で製造される形になり、エアバスミリタリーと傘下企業、英国の訓練・シミュレータ部門とは2007年から協力関係にあった。
RAFではA400Mを22機導入予定。

これでシミュレータの設置場所は、セビリアにあるエアバスミリタリーの訓練センターと、ドイツ、フランス、それと英国の4ヶ所となる。

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A400Mのエンジン問題未解明で飛行展示見送り

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-fresh-engine-issue-restricts-a400m-atlas-to-static-display-373954/

問題のエンジンはまだ点検中で結論は出ていない。以下、RIATの時に出た情報とあまり違いは無いので省略。
命名式典のときは土砂降りだったらしい。
なお、飛行展示の見送りは去年のパリショーでもあった。

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ユーロファイターの能力向上について4カ国が合意

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-eurofighter-confirms-enhancement-programme-374072/

ユーロファイターコンソーシアムのメディアブリーフィングで発表予定だったのが、初日にキャメロン首相がパビリオン訪問した後、発表したとか。

発表によると、独伊西英のユーロファイターのパートナー4カ国は、以前から話し合いを進めていたユーロファイターの能力向上について合意したとのこと。これでフェーズ1エンハンスメントの正式なスタートが決まったことになり、トランシェ2の後期生産型から適用される。この型はP1EAと呼ばれ、輸出型のP1EBとは区別される。P1EBは今のところサウジアラビア向けと同義で、P1EAと類似した仕様になると予想される。タレスのダモクレス・ターゲティングポッドも提案されている。
BAEシステムズでは試験機のIPA6を使用し、7月20日からP1EB向けの装備の試験を始めることにしている。

P1EAでは、AESA、進歩した自己防御装置が搭載され、MeteorとペイヴウェイIVのインテグレーションまでが含まれる。
搭載機材の目処がついてきたから話がまとまったという感じか。

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トレント152,455とRRの次期トレント関係

http://www.rolls-royce.com/civil/news/2012/120709_lego_jet_engine.jsp

レゴで再現された1/1スケールのトレント1000。RRのブースに展示されている。152455という数字はブロックの数を表しており、製作には1280時間かかったとのこと。
作動はしないが可動部分は忠実再現されており、その機構を学ぶことができる優れもの。全長2m以上、重量は300kgを超えており、レゴで作った構造物としては最も複雑なものの一つと称している。

レゴのエキスパートとして、Bright Bricksというところのエド・ダイメント氏が協力したそうだが、ジェットエンジンだけに直線部分というのがほとんど無く、物凄く苦労したみたいだ。機構部分もだいたい回転運動だし、ファンブレード1枚再現するだけでも簡単ではない。というかもはや正気の沙汰じゃない感じに。

http://www.bright-bricks.com/index.php

一応、教育目的で制作されており、金曜のFutures Dayでは10000人以上の児童が来場する予定になっている。

本業の方の展示では、トレント1000の787向け高出力タイプと、

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-rolls-royce-prepares-to-power-growth-variants-of-787-373576/

777X向けの社内呼称RB3025などが出てる。

http://www.flightglobal.com/news/articles/rolls-royce-reveals-more-details-of-trent-proposal-for-777x-373609/

トレント1000の、787-9に対応するタイプはパッケージCと呼ばれ、2014年前半にNZ航空向けの機体に搭載される予定で開発中。このタイプは2014年後半以降、-8の新造機にも搭載することになっている。現在、パッケージCの試験運転は76時間ほど行っており、747テストベッドを使った飛行試験は今年後半から開始予定。計画通りなら型式証明は2013年6月となり、製造も合わせて787-8と-9の飛行試験開始に間に合う。
パッケージCの推力は、試験では最大80000ポンドまで達しているが、型式証明では74000ポンドに留まる予定。-10Xの就航は2016年となるから、その時点では推力は更に高められると思われる。中圧圧縮機(IPC)がパッケージBとの最大の違いで、これはKHIが納入している。はず。

http://www.khi.co.jp/news/detail/20110323_1.html

デモフライトを実施したカタール航空の787はGEnXを搭載していたが、RRの公式見解としては、短距離の路線、3000nm程度であればこちらが有利と主張している。またライフサイクルコストでも、15年で100万ドル安上がりとか何とか。

RB3025については、トレントXWBとの違いなどについて発表されている。
ファン径は、300cmちょうどから337cmに拡大し、ファンブレードがチタニウムの22枚から複合材の18枚(数が減った分、1枚あたりの面積は増加する)になる。これは機体のグラウンドクリアランスの違いによる変更だが、RRのエンジンとしては最大の直径であり、最適なファン径に近いとする。推力は100000ポンド級でバイパス比12:1、圧縮比は62:1に達し、現用777のGE90-115Bよりも1割ほど燃料消費率が改善される見込み。

カタールがMH-60R/Sを22機導入/A400Mの公式愛称がアトラスに決まる/オランダ議会でJSF計画撤退論が拡大/F-35の弾道ミサイル探知/追尾能力についてデモンストレーションが行われる

カタールがMH-60R/Sを22機導入

http://www.flightglobal.com/news/articles/qatar-requests-seahawk-helicopter-purchase-373730/

DSCAはカタール向けのMH-60R/Sについて、6月26日に議会へ通知した。内訳はMH-60S×12機と武装キット、MH-60R×10機となる。金額は25億ドル。オプションは武装型MH-60S×6機。

これらはカタールのウェストランド・シーキングを代替する物となる。
2週間前には、同じく米国のFMSでUH-60M×12機の購入を要請している。こちらの金額は11億ドルだった。

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A400Mの公式愛称がアトラスに決まる

http://www.flightglobal.com/news/articles/riat-a400m-reborn-as-atlas-373861/

RIATにおいて、RAFのSir Stephen Dalton元帥が命名者となった模様。
ということは、少なくともRAFではアトラスC1とかそんな呼称になるわけか。

A400Mは、MSN6のTP400エンジンの1基から金属片が発見されるというトラブルがあり、今年のRIAT、ファーンボロでも地上展示に留まる。
このエンジン自体は既に交換されているが、個体差によるものか設計などの不備によるものかはまだわかっていない。MSN6は信頼性試験のうち160飛行時間を消化しており、エンジンの点検結果如何では、160時間分をやり直しにする必要が生じる可能性がある。

来年3月の引き渡しは契約で確定しているが、既にエンジンの問題で1回延期を使っており、今年後半の引き渡し予定から期限ギリギリに先送りしているので、条件は厳しい。

6月7日に飛行試験機5機がトゥールーズに集められたときの画像(空撮あり)が出てる。

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-five-grizzlies-go-wild-in-toulouse-372747/

このうちMSN2は、タンカー型を想定した付属物をランプ下に追加されている。

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オランダ議会でJSF計画撤退論が拡大

http://www.dutchnews.nl/news/archives/2012/07/parliament_reaches_a_majority.php

オランダでは財政緊縮を巡る5月の政変で連立与党がほぼ崩壊した。元々労働党中心の少数与党でやっていたので、議会勢力としては劣勢になり、総選挙も近いと言われていた。
野党側もかねてより反対姿勢を明確にしていたため、今更意外というほどでもない。

なお現状、キャンセルすると10億ユーロぐらいをドブに捨てる結果となるらしい。今後の展開は総選挙の結果次第であるが、ここを決断するのは中々難しいだろう。
戦闘機の保有数も減らす勢いでないと決められないんではないかと思うが‥

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F-35の弾道ミサイル探知/追尾能力についてデモンストレーションが行われる

http://www.irconnect.com/noc/press/pages/news_releases.html?d=260297

http://www.youtube.com/watch?v=qF29GBSpRF4

地上から5回連続して発射された模擬弾道ミサイルを、AN/AAQ-37 DASとAN/APG-81によって追尾するデモンストレーションであるが、実はNASAのAnomalous Transport Rocket Experiment (ATREX)を利用したもの。

http://www.nasa.gov/mission_pages/sunearth/missions/atrex.html

ATREXは気象観測用ロケットを80秒間隔で打ち上げ、高度60~65マイルのジェット気流を観測するという実験だった。人工的に雲を発生させ、どのように吹き流されるかを観測して電離層のモデル化に役立てる。5基のうち2基には気圧計と温度計が搭載された。場所はバージニア州みたい。
いずれも低軌道までは到達しないから、中距離以下の弾道ミサイルに比較的近い挙動を示すと言える。
使用されたのはテリアとその改修型で、全て2段式。

http://www.nasa.gov/mission_pages/sunearth/missions/terrier-improvedMalemute.html

http://www.nasa.gov/mission_pages/sunearth/missions/terrier-improvedOrion.html

http://www.nasa.gov/mission_pages/sunearth/missions/terrier-improvedOriole.html

 

ノースロップグラマンではATREXにBAC1-11 CATバードを持ち込んだ。弾道ミサイル追尾のための軽微な改修を施したソフトウェアが組み込まれていたとのこと。

結果、5基全てを別々に探知、追尾することに成功。DACの視野は広いので、パイロットはセンサの向きを気にせず活動できるとしている。
探知距離などのデータは公表されていない。

ノルウェーがC-130J×2機の追加発注を要請/RAF仕様に改修されたBAe 146-2000QC/A400Mの回転翼機積載の画像が公表される/英軍のヘリコプター機種集約、SARの民間移行について

ノルウェーがC-130J×2機の追加発注を要請

http://www.flightglobal.com/news/articles/norway-requests-two-c-130js-to-replace-crashed-transport-373244/

ノルウェー空軍はC-130Jを4機保有していたが、3月15日に1機が墜落し、残りは3機になってしまっていた。
損失を補充する為、ノルウェーはDSCAに対してC-130J×2機の追加発注を要請している。金額は3億ドル程度で、スペアパーツと各種装備、サポート一式を含む。結果として1機増やすことになるが、実は以前の輸送機部隊はC-130H×6機で構成されていた。それを踏まえてやっぱり数が足りんよね、ということになったのか、1機使えなくなっても最低4機使えないとまずい、という結論になったのかは定かでない。
DSCAの発表では、補充分はアフガニスタンへ展開見込みと言っているし、海外展開に自前で輸送機出せないNATO諸国との連携も考えると、4機でギリギリなのかもしれん。

また、事故調査はまだ継続中のようだ。墜落現場が冬山の絶壁みたいなところだったので、雪解けまで調査は困難と伝えられていた。
事故機は2010年6月納入の機体だった為、墜落原因がハードウェアの致命的なトラブルといった可能性は高くない。

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RAF仕様に改修されたBAe 146-2000QC

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-ex-tnt-bae-146s-enter-conversion-for-royal-air-force-373116/

RAFはurgent operational requirement (UOR)により、アフガニスタンで使用する輸送機の新規調達を決定。ベルギー拠点のTNT航空から退役したBAe 146-2000QC×2機を入手して、軍用貨物/人員輸送機への改修を行っている。この作業はBAEシステムズリージョナルエアクラフト部門が主契約でホーカー・ビーチクラフトが請負い、見た目はRAFの現用機の色になっただけだが、改修費用は1550万英ポンドをかけている。
アフガニスタンの高温・高標高に適応するための装備の変更などが含まれ、兵員輸送仕様としたため定員は96名から若干減っているとのこと。大型のカーゴドアはそのままで、元の機体では貨物デッキの積載量10600kg。

このUORにおいてBAe146は、C-130K退役後(2012年12月に最後の1機が退役予定)の戦術輸送以外の能力を補うという位置付けになっており、A400Mまでのストップギャップという一面もある。

TNTでの現役時は、こんな感じのオレンジ頭に塗装されていた。

http://www.flickr.com/photos/airlinerart/5386910829/

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A400Mの回転翼機積載の画像が公表される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-a400m-clears-loading-trials-with-european-helicopters-373106/

エアバスミリタリーは、A400MがEC725とNH90を積載している様子を公表した。6月初めに、EC725はトゥールーズ、NH90はホルツドルフ空軍基地にて撮影されたもので、A400Mの機体は同一でグリズリー4。IOC獲得に向けた活動の一つで、今後も各種機材の積載試験が続けられることになっている。

フランス空軍向け1号機、MSN7の初飛行は8月23日予定。あと2ヵ月後に迫っている。

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英軍のヘリコプター機種集約、SARの民間移行について

http://www.flightglobal.com/news/articles/uk-review-confirms-sar-helicopter-transition-merlin-shift-373005/

英国政府は、2016年4月までにRAFのマーリンHC3/3AをRNに移管することを決めた。これにより、長きにわたってRNで活躍したシーキングは退役することになる。
英軍における将来の軍用ヘリコプターは、リンクスワイルドキャット、マーリン、チヌークとアパッチAH.1に集約される方針だが、アップグレード済みのプーマHC2は2025年まで使用される計画。

RAFはマーリンHC3/3Aを手放した代わりに、チヌークHC6を装備することになる。これは新造機14機を発注予定で、英国仕様の最新型となり、議会向けには5年間の開発及び製造期間で、約10億英ポンドという試算を提出している。機種を増やすことなしにチヌークが増勢する、という形になるわけだが、既存機も改修済みで長く使われるし、運用の上でも大きなメリットがあるだろう。
マーリンHC3/3Aは、シーキングの後継として強襲ヘリコプター部隊に編入される予定。
この他にシーキングは、英国本土とフォークランド諸島をカバーするSAR任務も帯びていたが、これはシーキングのRN退役と共に終了、以後は民間の事業者が請け負うことになっている。

A400M初のアジアツアー/エジプト向けAW139が納入される/オランダのF-16AM/BM削減とF-35導入時期について

A400M初のアジアツアー

http://www.flightglobal.com/news/articles/a400m-to-make-asian-debut-with-three-nation-tour-370553/

エアバスミリタリーは、4月15日に採用国のマレーシアへA400Mを送り込み、合わせてインドネシアとタイを訪問して、プロモーションを行うと発表した。
マレーシアの大きいイベントには間に合わなかったので、これはマレーシア空軍のパイロットがA400Mを飛ばす最初の機会ということになる。同社によるとアジア方面に飛来する機体は開発機のグリズリー4。マレーシアでは、スバン空軍基地でデモンストレーションを行う。一般公開はされず、空軍高官とVIP向けに留められるようだ。

4月20日に帰投する前に、インドネシア、ジャカルタ近郊のハリム空軍基地と、タイのチェンマイ、バンコクを訪れる予定となっている。このうちインドネシアでは、政府と空軍の関係者を試乗させてデモンストレーション飛行を行うことができるとした。
インドネシアはエアバスミリタリー(旧CASA)からC-295を買っており、ライセンス生産を通して産業界の結び付きも強い。がA400Mを導入する話は今のところ無し。高いしなあ。

マレーシアは現在のところ、A400M唯一のアジア地域のカスタマーで、4機を発注している。

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エジプト向けAW139が納入される

http://www.flightglobal.com/news/articles/agustawestland-delivers-two-aw139s-to-egypt-370659/

アグスタウェストランド北米は、FMS経由(米陸軍航空・ミサイルコマンド発注)で2機のAW139をエジプトへ引き渡した。機体はSAR仕様となっている。乗員訓練と兵站支援は米陸軍が担当する形。

AW139はアグスタ・ベル時代の開発機種で、AB139と呼ばれていた。最初の54機がイタリアで製造された後、製造拠点は北米に移り、のちにはベルとのJV解消に伴って、AW139と改称される。実質は米国機という感じ。

今年2月には北京の警察が2機を発注。SARのほかに捜索や消火活動など、法執行機関向けの各種ミッションをこなすことができる仕様。

http://www.flightglobal.com/news/articles/beijing-police-orders-two-aw139-helicopters-368610/

アグスタウェストランドの、中国の法執行機関向けヘリコプター市場におけるシェアは70%以上と言われる。機数にして40機程度とは言え、その存在感はかなり大きい。

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オランダのF-16AM/BM削減とF-35導入時期について

http://www.flightglobal.com/news/articles/netherlands-makes-final-trim-to-f-16-fleet-size-370531/

オランダでは国政選挙が2015年に予定されているので、F-35導入議論の最終結論は、そのタイミングとなる見通し。
その前段階としてF-16の削減が決まっている。現有87機のうち、19機減らして68機とするのが前提で、余剰となった機体の処遇としては3つのオプションが考えられているようだ。

(1)18機を売却して1機を部品取り用に解体
(2)15機を売却して4機を解体または訓練用途で保持
(3)売却はせず19機を解体または訓練用途で保持

売らないという選択(パイロットとともに予備役編入みたいな?)も、一応考えられてる模様。
削減は2014年からとなり、経費は年間4100万ユーロほどの節減と試算される。一方、F-16の運用を3年延長して2026年まで継続する場合は3億ドルかかる。10年続けると延長する分の経費は捻り出せるという勘定か。

オランダはF-35Aの導入計画をまだ変更しておらず、2010年に85機導入という線で45億ユーロの予算を組んだままとしている。比率で言うと、この年の防衛予算の60%に達したそうだ。

オランダ向けの1号機、AN-1は4月1日にロールアウトした。これに関しては試験用に2機を発注しており、米国内のエグリンAFBにてIOT&Eに参加する。

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-first-dutch-f-35-leaves-assembly-line-370439/

日本向けF-35についてLMから少し言及される/LMがF-16Vをアナウンス/スイス国防相がグリペン選定を支持/A400M、生産型1号機のMSN7が最終組立中

日本向けF-35についてLMから少し言及される

http://www.flightglobal.com/news/articles/singapore-lockheed-looks-to-asia-buoyed-by-japan-f-35-win-368264/

今年のシンガポールエアショーでは韓国FX-IIIが大きな話題であるが、関連して、F-35を提案しているLMのプレゼンにおいて、直近の空自F-Xにもちょっとだけ言及されている。

空自F-XではF-35A×42機の発注が確定したが、日本との交渉は現在進行中。現時点でLMが認識してるところでは、2016年に引き渡す機数は4機とされる。これらは米国内で最終組立、米国内で乗員と地上要員の訓練に充てられる。それ以降の残り38機については、日本で最終組立を行う予定。担当メーカーは防衛省のリリースにもあった通りMHIで、政府間のみならずメーカー間の交渉も行われてる。

米軍向け調達ペースが減速しても、FY2015でLRIP 8、SDD完了に達する予定が変わらなければ、2016年引き渡しでもギリギリ完全な能力が入ってくると思われる。

http://www.flightglobal.com/blogs/the-dewline/2012/01/03/F-35%20Master%20Plan.jpg

国内のFACOの完成がいつになるか、その金額、工期などは一切不明だが、最短では2017年には機能してないといかん事にはなる。6月に合意できたら早期に着工するかもしれない。

ちなみにイタリアがいくら出してるかという参考。日本には当てはまらないことも多いので、あまり参考にはならない。
日本でもアジア向けにFACOがフル稼働すれば、元は取れそうではあるが。

http://www.aviationweek.com/aw/generic/story_generic.jsp?channel=aerospacedaily&id=news/asd/2010/04/01/01.xml&headline=Italy%20Pressuring%20U.S.,%20Lockheed%20Over%20JSF%20Work

http://www.defensenews.com/story.php?i=4768387&c=FEA&s=SPE

ついでにランド研究所が出した、JSF計画におけるFACOコスト分析の部分。

http://www.rand.org/content/dam/rand/pubs/monograph_reports/MR1559/MR1559.ch9.pdf

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LMがF-16Vをアナウンス

http://www.flightglobal.com/news/articles/singapore-lockheed-martin-announces-f-16v-development-368323/

LMによると、F-16VのVはViperのVで、主にAESAの搭載とミッションコンピュータ、コクピット内機器の換装を行ったものとしている。
大雑把にBlock 60系相当であるが、これをF-16Vと呼ぶようにしよう、といったマーケティング上の提案みたいな感じ。とは言え、C/D型のバリエーションが異常に多いのは事実。
そういやUAE向けのBlock 60はE/F型となっているが、これはこれで固有のフル装備仕様という事にするのかね。

F-16は1970年代から約4500機が製造され、26ヶ国で採用されている。LMでは初期の型でもF-16V、すなわちBlock 60に近いところまでアップグレードできることを強調するが、2種類のAESAの選択肢については、特に触れていない模様。

コクピット内の大型タッチスクリーンは、グラスコクピット化の次のトレンドになりそうではある。

またC-130Jの廉価バージョン、C-130XJのコストについても言及されており、J型より10~15%安価であるとのこと。

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スイス国防相がグリペン選定を支持

http://www.flightglobal.com/news/articles/swiss-minister-stands-by-gripen-selection-368302/

2月14日、スイスのUeli Maurer国防相は、F-5の後継機としてグリペンE/Fの導入を支持することを再確認した。
この声明が出た背景には、スイス国内でグリペンの評価レポートと称する文書が漏洩し、将来の空中の脅威に対する能力に疑問ありとの内容が報道された件があるそうだ。
国防相はこれについて、2008年の古いレポートであったとしている。つまり文書自体は本物と認めたようなものだが、最終的な選定には影響していないということだろう。

このまま行けば、今月末にも内閣は連邦議会に対し、グリペン選定を伝えることになる。ラファールの再提案については、まだ公式なものは渡っていないらしい。
グリペンE/FはグリペンNGとだいたい同じなので、AESAと強化されたエンジンを有し、能力的にはそこそこ高い。Meteorのインテグレーションも最も早い部類になるはずだ。また国防相は、単発機なのが長期的には財政に優しいとも言っている。

ちなみにグリペンカレンダー今年もある。今月はRAFの教育部隊ETPSが飛ばしてる複座型。

http://www.saabgroup.com/en/Air/Gripen-Fighter-System/Gripen-Calendar-2012/

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A400M、生産型1号機のMSN7が最終組立中

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-first-production-a400m-enters-structural-assembly-368304/

MSN7は現在、サン・パプロの最終組立ラインで、構造組立段階にあるとのこと。
だいぶ飛行機の形になっている。

A400M開発5号機、MSN6が初飛行/英リアクション・エンジン社が1月からSABREエンジンのプリクーラ試験/サウジアラビア向けタイフーンの交渉継続中/サウジアラビア向けF-15追加発注とアップグレード

A400M開発5号機、MSN6が初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-fifth-a400m-joins-grizzly-flight-test-fleet-366464/

12月20日、A400M開発5号機、MSN6が初飛行を行った。離陸重量125tonの状態で、2人のテストパイロットと3人のテストエンジニアが搭乗して2時間10分ほどのフライトを実施している。場所は例によってスペイン、セルビア。
MSN6はA400M開発計画に含まれる機体としては最後のもので、5号機に該当する。これでグリズリーと呼ばれる飛行試験機群が全部揃った。
またMSN6は生産型の1号機でもあり、開発試験機としては、EMI試験、貨物開発試験、これまでで最も厳しい低温試験とデモンストレーションのほか、300時間ほどの機能性および信頼性試験も計画されている。

飛行試験の進行状況については、2012年12月の段階で、累積飛行時間は2500時間以上に達しており、全体計画にある本格製造開始までの飛行試験3700時間のうち、ほぼ2/3を消化した勘定となる。2012年末から2013年にかけ、フランス空軍に1機目を引き渡すスケジュールで進行中。このための機体、MSN7はサン・パプロで最終組立に入っている。

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英リアクション・エンジン社が1月からSABREエンジンのプリクーラ試験

http://www.flightglobal.com/news/articles/key-tests-set-to-validate-engine-technology-for-single-stage-to-orbit-space-plane-366178/

Skylon SSTO向けに開発中の、SABREエンジンの構成要素のうち、技術的に最も難しい要素の一つがプリクーラであることは間違いない。まずそこから実証していこうという展開。SkylonはESAの正式プロジェクトに認定はされたが、プリクーラはインコネル系の材料でできたφ1mmの微細管を多数束ねるという構造で、管の作り方は鍛造だか削り出しだかわからんが、とにかく傷を作らずに作るのからして難しいのは想像できる。実現するには新たな冶金技術と、検査のための測定機を開発する必要があった。
結果として当初計画の2011年夏には間に合わせられず、期限ぎりぎりで実施可能となった模様。

φ1mmの管で内圧200bar、肉厚40μmというのは尋常な数字ではない。圧だけ見たらSTPGの倍でSTSに匹敵する。試験用では総延長にして75km作ったが、実用エンジンでは1機で2000km必要というから、まだ技術的な大ジャンプが3回や4回は必要だろう。

試験ではRRバイパーエンジンの前方にプリクーラを配置、冷媒としては実用型のような液体水素ではなく、液体窒素を使う予定。
このプリクーラには未だ秘密な部分もあり、冷媒通した微細管への結露をどうやって防止するのか(結露で管同士がくっつかないようにする)などは、企業秘密となっている。

またSABREエンジンの派生としては、極超音速機向けで、スクラムジェットのようにエアブリージングのみで作動するScimitarというものも計画されているし、更には現用のタービンエンジンの冷却系に用いれば15%程度の燃費改善も可能という。

今、SSTOを大真面目にやってるのはSkylonだけではなかろうか…

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サウジアラビア向けタイフーンの交渉継続中

http://www.flightglobal.com/news/articles/bae-confident-of-closing-improved-typhoon-deal-with-saudi-arabia-366555/

2007年、サウジアラビアはタイフーン×72機の導入に合意し、既に24機の引き渡しを受けているが、残りの分はサウジアラビア国内での組立と、一部のトランシェ3への振り替えを検討しており、BAEシステムズとの交渉が続いている状態。
BAEシステムズによると、Project Salamにおける交渉の主要な議題は金額面とのこと。当初サウジアラビアは、自国内への最終組立ラインの設置を希望していたが、現在は、整備とアップグレード作業を実施可能な施設を、自国内に設置するというところまでトーンダウンしたようだ。またトランシェ3への振り替えは、2011年2月、最後の24機について将来のトランシェ3同等のアップグレード可能な形とする案がBAEシステムズから提示されている。AESAとMeteor、あとエンジンもかな。

1月4日のBAEシステムズの公式発表によれば、サウジアラビアは12月までに、価格上昇に関する部分を除いてProject Salamの予算を認めたとのこと。この他、5年間の英国とサウジアラビアの包括的な防衛協力についても合意している。

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サウジアラビア向けF-15追加発注とアップグレード

http://www.flightglobal.com/news/articles/saudi-arabia-signs-agreement-to-order-up-to-84-new-f-15sas-upgrades-for-70-f-15ss-366422/

12月25日、サウジアラビアはF-15SA×84機の新造機発注と、現用のF-15S×70機のアップグレード発注について合意した。総額は294億ドル。米国防総省のプレスリリースはその4日後に出ている。交渉は長期に及んだが、なんとか2011年内には決着したようだ。

F-15SAの主な仕様としては、エンジンがIPEのGE F110-GE-129、レーダーがAPG-63(v)3、搭載兵装はAIM-9XとAIM-120C-7。引き渡しは2015年以降。F-15SのアップグレードにはAGP-63(v)3のレトロフィットが含まれ、2014年から実施する計画。

サウジ向けF-15は、製造ラインの維持にも関係するところだったので、ボーイングも一安心というところだろう。一時は、国防相だったスルタン皇太子死去が影響するのではという観測もあった。

INSヴィクラマーディティヤが90%完成/フランス空軍参謀長がMMRCA選定のラファール勝利宣言/オマーン空軍がF-16 Block 50を追加発注へ/南アメリカのA400M発注撤回が前払い金の払い戻しで決着

INSヴィクラマーディティヤが90%完成

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-mig-29k-gets-on-board-indian-aircraft-carrier-366104/

画像のMiG-29Kは、11月にクレーンで搭載されたモックアップらしいが、2012年5月からは公試が予定されており、その中ではSevmashが所有するMiG-29Kを2機使った離着艦も含まれるそうだ。1機は単座のMiG-29K、もう1機は複座のMiG-29KUBになる予定だったけど、後者は試験飛行中の墜落事故で失われた。このため代替として、同じ複座のMiG-35Dデモンストレータを改修して使う事になる模様。

今のところ、インド海軍への引き渡し予定日は、インドの海軍記念日である2012年12月4日となっている。インド側がこの艦に対して投じた金額は、最終的におよそ20億ドルとなった。

艦載機の方は、2003年発注の16機のうち11機が納入され、年内に全てインドに送られる予定とのこと。金額は5億3000万ドル程度だった。
2011年のオプション発注、追加29機は、その先になる。これらはインド国産空母向けとなるはずだが…

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フランス空軍参謀長がMMRCA選定のラファール勝利宣言

http://www.flightglobal.com/news/articles/french-air-force-chief-confident-of-rafale-victory-in-indian-contest-366102/

まあ宣言したってだけですが。

フランス空軍参謀長のJean-Paul Paloméros将軍は、LIMA2011でFlightGlobalのインタビューを受けた。これによると、将軍は自ら操縦桿を握った経験からラファールの性能について自信を持っており、(優れたマルチロール能力から)アジア太平洋地域における空中あるいは地上の脅威への対処によく適している、などと述べている。高い運動性を持ち、AESA、Meteor AAMの装備により、射程距離で優位に立てるとかなんとか。

ラファールのAESA搭載型は、フランス空軍向けのBlock 4以降、2013年からの配備が予定され、Meteorは2010年代半ばに装備されることになっている。

MMRCAへの言及では、ミラージュ2000のアップグレード受注の件を挙げ、印仏の産業界同士が深い結びつきを持っていることを強調している。
次がマレーシア向けの話。LIMA2011の際のインタビューなので、これが主要な話題。
RMAFは18機導入を前提にMRCA選定を行うことになっており、既にフランスにも調査団が送られているそうだ。この時は天候が悪かったみたいだが、却って能力を見せるのには都合が良かったとしている。

またアジア太平洋地域で今まで不選定に終わったのは、政治的要因が強かったからだ(特に韓国のF-X1とシンガポールでF-15E系にやられた件)と述べた。

最後にUAE向けの話が出ている。UAEはかつてミラージュ2000-9を60機も導入した上得意であり、ある意味ではMMRCAよりも必死にならざるを得ない部分もある。フランス空軍も全面協力で売り込み中だそうだ。

冷戦終結からこっち、フランスの防衛産業を取り巻く状況も様変わりしてきた観はあるが、この先はどうなるのか。ラファールが最後のフランス製有人戦闘機になっちゃったりするのか。

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オマーン空軍がF-16 Block 50を追加発注へ

http://www.flightglobal.com/news/articles/omani-f-16-deal-means-continued-wait-for-eurofighter-366030/

オマーンは2008年頃からタイフーン発注を検討していたものの、同国はとりあえずF-16の追加発注を選択したようだ。この決定により、タイフーンの導入があったとしても、その時期は遅れる見込みが強まった。
英国情報筋からは、2012年初頭にも政府間取引が行われるという話もあったというが。

12月14日の発表では、F-16Cが10機、F-16Dが2機の合計12機、金額は6億ドルとのこと。現在オマーン空軍は、F-16 Block50をC型8機、D型4機保有している。これらの機体は2016年11月までに納入予定で、LMのフォートワース工場で組立が行われて、支援と兵站も提供することになる。

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南アメリカのA400M発注撤回が前払い金の払い戻しで決着

http://www.flightglobal.com/news/articles/south-africa-back-in-play-for-airbus-military-a400m-after-refund-366174/

南アフリカは2005年にA400M×8機を発注、計画のパートナー国となったが、4年後の2009年11月、コスト超過と計画遅延を理由にキャンセルを決定した。この時点で南アフリカは、米ドル換算で3億7900万ドルほどの払い戻しを要求したものの、その決着まで2年かかったことになる。

長引いた理由の一つには、A400Mのサプライチェーンに、南アフリカの産業も深く関わってるから、というのもある。エアバスミリタリーによれば、デネル傘下のDenel AerostructuresとAerosudは機体の上部構造、翼胴フェアリングウイングチップ、断熱材とギャレーなどを製作しているし、コブハム南アフリカでも衛星通信アンテナを製作してるそうだ。

今回の払い戻しに関しては、具体的な金額は明らかになっていないが、エアバスミリタリー側が代替機種かA400Mを提供するという形になるみたいだ。南アフリカ側の窓口は、南アフリカ軍装備を公式に取り扱うArmscorとなる。公社?

南アフリカのA400Mのキャンセルに対して積極的に仕掛けたのはLMで、先日C-130XJを提案したばかり。

A400Mの現状については、今も飛行試験が忙しい。型式証明はエンジンの問題と、性能不足によって2012年Q2、つまり最大3ヶ月の遅延となる。生産1号機は最終組立中のMSN7そのもので、2013年3月フランス納入予定。製造ペースについては、2015年には月産2.5機まで引き上げる事になっている。今のところ発注数は8カ国で174機。

韓国がF-16レーダーアップグレードのRfP/トルコTAIがTFXを正式にロンチ/A400Mのフランス向け1号機が最終組立開始/中国で運輸8ベースの新型ASW機?が撮影される/中国の三胴船続報

韓国がF-16レーダーアップグレードのRfP

http://www.flightglobal.com/news/articles/seoul-kicks-off-contest-for-f-16-radar-upgrade-365207/

11月18日、韓国のDAPAはレイセオンとノースロップグラマンに対してRfPを発出した。
レイセオンはRACR、ノースロップグラマンはSABRをそれぞれ提案する見込み。F-16のレーダーアップグレードは数カ国が計画中とされているが、韓国の場合はこの後のKF-Xに繋がる可能性もある。

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トルコTAIがTFXを正式にロンチ

http://www.flightglobal.com/news/articles/dubai-tai-launches-study-on-turkish-built-next-generation-fighter-364893/

ドバイで発表されたもの。
トルコ国防省は今年8月、TAIに対して18か月のTFX開発研究を発注した。現在の計画では、2023年までに戦闘機および練習機を開発、配備することになっている。

この種の国産戦闘機開発プランとしては、(少なくとも建前上)自国主導を狙うものだと韓国KF-Xが存在する。これは実際トルコにも共同開発が持ちかけられた経緯があるが、トルコは自国単独開発という方針を明らかにして応じた。その後の目に見える動きはあまりなかったが、今回の発表により、正式にTFX開発が動き出す事になる。

とは言うものの、将来の空軍力を睨んで全くのゼロから開発を行うので、確定した仕様などはほとんど無いようだ。KF-Xに合流することも可能性としては残る。
現状、トルコはJSF計画に名を連ねており、今後9年以内に100機ほど導入する計画を立てているものの、まだ購入契約が成立した訳じゃない。

トルコ空軍の現有作戦機の構成としては、F-16のBlock30/40/50+がほとんどを占め、2020年代から確実に更新が必要なのは、20世紀のうちに導入したF-16とF-4-2020といった機体と考えられる。そこにF-35が入るとなると、残りは早期退役気味にF-16を更新するとかそういう感じ?

韓国KAIでは、2025年までにトルコとブラジルが次世代戦闘機導入と予想するが、トルコについては韓国やブラジルの事情と異なり、F-35を買い増す分には何の障害もないので、その価格と性能次第という感じになってくるのかもしれない。

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A400Mのフランス向け1号機が最終組立開始

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-frances-first-a400m-enters-final-assembly-365204/

A400Mの総製造機数は今のところ174機となる予定だが、このほどの最初の1機目が最終組立段階に入った。この機体はフランス空軍向けとなり、来年後半に納入予定。スケジュール上は3年遅れ。

11月23日、スペインのサン・パブロ工場に主要胴体が到着。その様子が掲載されている。輸送に使われているのはA300-600STいわゆるベルーガで、工場の壁面に鼻先を突っ込んで機首を開け、荷下ろししている様子がわかる。こうなってるのか。
機首、主翼、胴体がそれぞれ映ってる。また現在は主翼の結合作業が開始されており、2週間以内に水平尾翼と垂直尾翼が搬入される予定という。

次のシリーズ8機分は様々な製造段階にあるとのこと。

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中国で運輸8ベースの新型ASW機?が撮影される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-possible-new-chinese-anti-submarine-warfare-aircraft-emerges-365157/

6枚プロペラ、ウェポンベイのドア、機首のレドームとMADブームらしきものが確認できる。Y-8ASWと呼称されていた機体の可能性あり。
これまでのY-8ベースの哨戒機はセンサ積んでも武装は積んでなかったし、MADブームも付いてなかったので、戦力化されれば、装備する部隊の能力が一気に向上するのは間違いないだろう。

前型に当たるY-8JやY-8XよりもKJ200に似ている。KJ200同様、Y-8F-600とかがベースと思われる。

例のとこには転載されてなかった。
あんまり関係ないけど95式。ていうか95改と書いてある。フォアグリップ兼用のトリガーガード無いのね。あとドラムマガジンとか。

http://tuku.military.china.com/military/html/2011-11-24/188260_1978127.htm

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中国の三胴船続報

http://tuku.military.china.com/military/html/2011-11-25/188430_1980591.htm

9月に出ていたの同じフネっぽい。だいぶ鮮明に写っている。
前方のターレットは機関砲塔(大きくても30mmぐらい?)みたいだし、大型巡視船クラスのような感じだ。2000tonまで無さそうな。