米海軍研究所がガスタービン機関用の燃料を海水から精製する技術を研究
http://www.gizmag.com/jet-fuel-seawater/24287/
必要なエネルギーとかを度外視してすごく簡単に言うと、海水から炭化水素っぽいものを得られれば良いわけで、つまり海水中の二酸化炭素と水素を取り出して液化すると一丁上がりという構想。
現在、米海軍の活動は、15隻の補給艦によって支えられている。燃料の供給量は年間6億ガロン、22億7000万リットルに及ぶが、化石燃料は基本的に海外依存する部分が多く、戦略的な弱点ともなり得るため、それを自前である程度まかなえるようになるとしたら、話が大きく変わってくる。
さて海水中の二酸化炭素は、炭酸、炭酸塩、重炭酸塩のような形で存在しており、重量比だと3%ほどになる。これは大気中の二酸化炭素の1.4倍に相当する。
NRLの化学者は、炭化水素を作る方法としてフィッシャー・トロプシュ法(FT法)という、効率は悪くコストも掛かるが、確立された手法を採用した。石炭を液化したりするのに使われているものの、前述のように効率が悪いので、実用できる範囲は限られている。
海水の電気分解から始まる細かい化学的プロセスの話は原文参照として結論だけ書くと、触媒の改良などである程度効率を改善する見通しが立ったということらしい。
NRLではメキシコ湾上で試験を行い、より効率を高めて実用レベルまで引き上げることを目標として、研究を続けている。価格見積としては1ガロンあたり3ドルから6ドルといったあたりで、高く見積もれば航空用ジェット燃料の2倍程度となる。
コスト面の他にも問題はあり、できる炭化水素の純度が極めて高いために漏出時の危険が大きかったりもするし、何と言っても膨大なエネルギーを投入しなければならない。
海上で完結して大出力の動力源といえば、まあ原子炉というわけであるが、そういう工場船みたいのを作るかどうかとなるとまた別の話。
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レイセオンがUSN向けの次世代電源技術開発で契約
レイセオンはONRと、Compact Power Conversion Technologies (CPCT) programという名目の2つのフェーズ2契約を締結した。水上艦艇と潜水艦の両方に適用する電源技術で、効率化による燃料消費の低減と構造設計上の自由度を高めるというものになっている。期間は1年間。
主な要素はBi-Directional Power Converter (BDPC)とPower Management Controllerの2つ。
BDPCは双方向電力変換器を艦艇に応用、装置の重量と容積を減らし、効率98~99%を達成する。1種類のBPRCで複数の種類の機器電源に対応可能となるので、冗長性を高める。適用範囲は高出力レーダー、蓄電装置、モータと、他の脈動する負荷とある。
PMCは名称そのまま、艦艇全体の電力制御をインテリジェント化して、その配分を最適化する。
従来はシステムごとに分散していた電源系の機器を大幅に減らすことができ、蓄電装置系統を一元化したり、既存の機器をより効率的に動作させたりすることも可能となる。
レイセオンでは、これらの技術により、フットプリントを減らして将来の人員削減に繋がるとしている。
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INSヴィクラマーディティヤの引き渡しは年内間に合わない
http://www.spacewar.com/reports/Russia_to_Deliver_Indian_Carrier_in_Fall_2013___Minister_999.html
INSヴィクラマーディティヤ、旧アドミラル・ゴルシコフは当初、インド海軍への引き渡しを2008年に定めていたのだが、遅延を重ねてかれこれ4年。最新の引き渡し予定は2012年のインド海軍記念日、12月4日に定められ、この日程で公試や艦載機の試験が行われてきた。
しかしここにきて、間に合わないどころかほぼ1年延期、という悪い意味でのビッグサプライズが発生。原因は機関不良。英ウィキペの記述では9月17日、公試において全速運転ができず失格という判定が下った、となっている。8基のボイラーのうち何基が故障したのかは不明。
そして10月10日、インドのA・K・アントニー国防相との会談を終えた後の、セルジュコフ国防相の発言によれば、同艦の引き渡しが2013年Q4まで先送りされることが確実となったようだ。
インド側はこれに関して多くを語っていないが、インドのメディアは1億ドル以上の違約金を要求するかもしれないと予想している。
ここまでの経緯は何度か書いたような気がするが、2005年の最初の契約時点では改修費用9億4700万ドルだったのが、2度の遅延を経て23億ドルまで膨れあがった。
この艦は、改修前から機関に問題を抱えていたことで知られている。1994年にはボイラーが爆発するという事故に見舞われ、1年間のドック入りを余儀なくされた。そして修理が終わってわずか1年で退役、売りに出されている。どう考えてもこの時ちゃんと修理できてなかったくさいが、機関部は軍艦として極めてクリティカルな部分。引き渡し前提ならさすがにちゃんとしたのかと思いきや、なってなかったみたい。
某コピペ風に言うなれば、アドミラルゴルシコフちゃんは生まれつきしんぞうが弱く…という感じで救われない。
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ウクライナ海軍がイルカの軍事訓練を再開
http://www.spacewar.com/reports/Ukraine_Brings_Back_Naval_Killer_Dolphins_999.html
イルカの軍事利用に関してはUSN、サンディエゴ基地のが有名だが、東側ブロックでこれに匹敵するのは、旧ソ連が1973年頃、黒海艦隊の根拠地セバストポリに設置した訓練施設となる。現在この施設はウクライナ海軍の管轄下にあり、冷戦終結後、イルカは水族館に移った。これらは対人セラピー活動などを名目として部隊を維持しつつも、軍事訓練は長らく行われていなかったようだ。
しかし、セバストポリのある情報源によると、最近ウクライナ海軍によって、イルカ10頭の軍事訓練が再開されたとのこと。
かつてイルカの任務とされたのは、海中警備と侵入者(ダイバー)の排除、敵艦艇への爆薬の設置(というか自爆攻撃?)、機雷の探知といったものだったが、今回明らかにされているのは、港湾の防御・警備に関するもので、頭部に装置を取り付けてブイや水中武器(水中銃やナイフ)を装備させ、海底を警備して不審物を発見したらその位置にブイを浮かべる、またはダイバーを殺傷する訓練とされている。今年は既に海中での警備行動について訓練を実施しているという。