米海軍研究所がガスタービン機関用の燃料を海水から精製する技術を研究/レイセオンがUSN向けの次世代電源技術開発で契約/INSヴィクラマーディティヤの引き渡しは年内間に合わない/ウクライナ海軍がイルカの軍事訓練を再開

米海軍研究所がガスタービン機関用の燃料を海水から精製する技術を研究

http://www.gizmag.com/jet-fuel-seawater/24287/

必要なエネルギーとかを度外視してすごく簡単に言うと、海水から炭化水素っぽいものを得られれば良いわけで、つまり海水中の二酸化炭素と水素を取り出して液化すると一丁上がりという構想。

現在、米海軍の活動は、15隻の補給艦によって支えられている。燃料の供給量は年間6億ガロン、22億7000万リットルに及ぶが、化石燃料は基本的に海外依存する部分が多く、戦略的な弱点ともなり得るため、それを自前である程度まかなえるようになるとしたら、話が大きく変わってくる。

さて海水中の二酸化炭素は、炭酸、炭酸塩、重炭酸塩のような形で存在しており、重量比だと3%ほどになる。これは大気中の二酸化炭素の1.4倍に相当する。
NRLの化学者は、炭化水素を作る方法としてフィッシャー・トロプシュ法(FT法)という、効率は悪くコストも掛かるが、確立された手法を採用した。石炭を液化したりするのに使われているものの、前述のように効率が悪いので、実用できる範囲は限られている。
海水の電気分解から始まる細かい化学的プロセスの話は原文参照として結論だけ書くと、触媒の改良などである程度効率を改善する見通しが立ったということらしい。

NRLではメキシコ湾上で試験を行い、より効率を高めて実用レベルまで引き上げることを目標として、研究を続けている。価格見積としては1ガロンあたり3ドルから6ドルといったあたりで、高く見積もれば航空用ジェット燃料の2倍程度となる。
コスト面の他にも問題はあり、できる炭化水素の純度が極めて高いために漏出時の危険が大きかったりもするし、何と言っても膨大なエネルギーを投入しなければならない。

海上で完結して大出力の動力源といえば、まあ原子炉というわけであるが、そういう工場船みたいのを作るかどうかとなるとまた別の話。

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レイセオンがUSN向けの次世代電源技術開発で契約

http://www.spacewar.com/reports/Raytheon_to_develop_next_generation_power_technology_for_naval_systems_999.html

レイセオンはONRと、Compact Power Conversion Technologies (CPCT) programという名目の2つのフェーズ2契約を締結した。水上艦艇と潜水艦の両方に適用する電源技術で、効率化による燃料消費の低減と構造設計上の自由度を高めるというものになっている。期間は1年間。

主な要素はBi-Directional Power Converter (BDPC)とPower Management Controllerの2つ。
BDPCは双方向電力変換器を艦艇に応用、装置の重量と容積を減らし、効率98~99%を達成する。1種類のBPRCで複数の種類の機器電源に対応可能となるので、冗長性を高める。適用範囲は高出力レーダー、蓄電装置、モータと、他の脈動する負荷とある。

PMCは名称そのまま、艦艇全体の電力制御をインテリジェント化して、その配分を最適化する。
従来はシステムごとに分散していた電源系の機器を大幅に減らすことができ、蓄電装置系統を一元化したり、既存の機器をより効率的に動作させたりすることも可能となる。

レイセオンでは、これらの技術により、フットプリントを減らして将来の人員削減に繋がるとしている。

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INSヴィクラマーディティヤの引き渡しは年内間に合わない

http://www.spacewar.com/reports/Russia_to_Deliver_Indian_Carrier_in_Fall_2013___Minister_999.html

INSヴィクラマーディティヤ、旧アドミラル・ゴルシコフは当初、インド海軍への引き渡しを2008年に定めていたのだが、遅延を重ねてかれこれ4年。最新の引き渡し予定は2012年のインド海軍記念日、12月4日に定められ、この日程で公試や艦載機の試験が行われてきた。

しかしここにきて、間に合わないどころかほぼ1年延期、という悪い意味でのビッグサプライズが発生。原因は機関不良。英ウィキペの記述では9月17日、公試において全速運転ができず失格という判定が下った、となっている。8基のボイラーのうち何基が故障したのかは不明。

そして10月10日、インドのA・K・アントニー国防相との会談を終えた後の、セルジュコフ国防相の発言によれば、同艦の引き渡しが2013年Q4まで先送りされることが確実となったようだ。
インド側はこれに関して多くを語っていないが、インドのメディアは1億ドル以上の違約金を要求するかもしれないと予想している。

ここまでの経緯は何度か書いたような気がするが、2005年の最初の契約時点では改修費用9億4700万ドルだったのが、2度の遅延を経て23億ドルまで膨れあがった。

この艦は、改修前から機関に問題を抱えていたことで知られている。1994年にはボイラーが爆発するという事故に見舞われ、1年間のドック入りを余儀なくされた。そして修理が終わってわずか1年で退役、売りに出されている。どう考えてもこの時ちゃんと修理できてなかったくさいが、機関部は軍艦として極めてクリティカルな部分。引き渡し前提ならさすがにちゃんとしたのかと思いきや、なってなかったみたい。
某コピペ風に言うなれば、アドミラルゴルシコフちゃんは生まれつきしんぞうが弱く…という感じで救われない。

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ウクライナ海軍がイルカの軍事訓練を再開

http://www.spacewar.com/reports/Ukraine_Brings_Back_Naval_Killer_Dolphins_999.html

イルカの軍事利用に関してはUSN、サンディエゴ基地のが有名だが、東側ブロックでこれに匹敵するのは、旧ソ連が1973年頃、黒海艦隊の根拠地セバストポリに設置した訓練施設となる。現在この施設はウクライナ海軍の管轄下にあり、冷戦終結後、イルカは水族館に移った。これらは対人セラピー活動などを名目として部隊を維持しつつも、軍事訓練は長らく行われていなかったようだ。
しかし、セバストポリのある情報源によると、最近ウクライナ海軍によって、イルカ10頭の軍事訓練が再開されたとのこと。

かつてイルカの任務とされたのは、海中警備と侵入者(ダイバー)の排除、敵艦艇への爆薬の設置(というか自爆攻撃?)、機雷の探知といったものだったが、今回明らかにされているのは、港湾の防御・警備に関するもので、頭部に装置を取り付けてブイや水中武器(水中銃やナイフ)を装備させ、海底を警備して不審物を発見したらその位置にブイを浮かべる、またはダイバーを殺傷する訓練とされている。今年は既に海中での警備行動について訓練を実施しているという。

オランダ軍のスキャンイーグルUAVがソマリア沖へ展開/スペイン軍のサーチャーUAVがアフガニスタンで500ソーティを記録/ポーランドが独自開発のVTUAV、ILX-27を公開/イスラエル空軍がIAI Heron TP/Eitanの飛行を再開させる/EADS Talarionの実大モックアップが名無しになってILAに展示される

オランダ軍のスキャンイーグルUAVがソマリア沖へ展開

http://www.flightglobal.com/news/articles/dutch-fly-first-scaneagle-mission-off-somalia-375990/

8月8日、オランダ国防省は、ソマリア沖に展開したHNLMSロッテルダム(LPD)からスキャンイーグルUAVを飛行させたと発表している。この任務では、アデン湾上空を9時間にわたって飛行したとのこと。同国のスキャンイーグルUAVは陸軍の保有するもので、19人の分遣隊が乗艦して運用に当たっている。
NATOの対海賊作戦Ocean Shieldにおける活動の一環で、HNLMSロッテルダムは8月4日から旗艦の任に就いた。

スキャンイーグルUAVは、公称では16時間以上の滞空が可能とされている。非武装で、EO/IRペイロードから不審船舶の動向を監視・追跡し、リアルタイムで映像を地上ステーションへ送ることが可能。

またHNLMSロッテルダムには、空軍RNLAFのNetherlands Defence Helicopter CommandからAS532クーガー×2機が、対海賊作戦の支援のために配備されている。

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スペイン軍のサーチャーUAVがアフガニスタンで500ソーティを記録

http://www.flightglobal.com/news/articles/spanish-uav-unit-marks-afghan-milestone-375991/

ISAFの発表によると、アフガニスタンへ展開中のスペイン軍は7月、IAIサーチャーII UAVの500ソーティを記録したとのこと。この部隊はISAFの一部としてヘラート空軍基地を拠点に活動しており、西部地区におけるISR能力を担っている。

スペインのUAV装備計画は、PASI unmanned air system programmeと呼ばれるもので、2008年から現在までIAIサーチャーIIを6機導入した。

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ポーランドが独自開発のVTUAV、ILX-27を公開

http://www.flightglobal.com/news/articles/polish-companies-unveil-rotary-wing-uas-376163/

ポーランド、ウーチにあるMilitary Aviation Works (WZL-1)は、同国の国立航空大Institute of Aviation (ILot)、空軍工科大Air Force Institute of Technology (ITWL)とともに回転翼型のVTUAVを開発中で、最初のデモンストレータILX-27は完成間近であると発表した。

機体としては、原型機3機(疲労試験用、地上試験用、飛行試験用にそれぞれ1機ずつ)が製作中で、制御系はITWLが開発を行っているとのこと。
エンジンはライカミングO-540-F1B5で出力は260shp。主な用途は市街および山岳地における特殊作戦の支援とされ、ペイロード300kgを含めたMTOWは1100kg。全長7.74m、主ローター3枚ブレード、テールローターはフェネストロン式の5枚ブレード、巡航速度215km/h、上昇限度4240mといった性能になる予定。
その他にもインフラ監視、国境警備、偵察、輸送、人員避難(緊急時にストレッチャーに載せて飛ばす感じ?)などに対応可能とされる。また想像図にある通り、ロケット弾等による武装が可能となっている。

機体規模としては、同クラスのエンジンを搭載するロビンソンR-44に近い。キャビンを撤去してコンパクト化、ローターシステムを高級にしたイメージか。

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イスラエル空軍がIAI Heron TP/Eitanの飛行を再開させる

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-air-force-resumes-heron-tp-operations-376204/

イスラエル空軍では今年1月29日の墜落事故を受けて、IAI Heron TP/Eitanの飛行試験を停止していたが、このほど事故調査に一定の結論が出され、飛行が再開される見通しとなっている。事故調査は空軍とメーカーの合同で実施され、IAIの最終的な結論は、製造プロセスに起因する主翼構造の破壊が原因である、とするものだった。事故当初は、離陸した直後の墜落であったことから、(操作もしくは飛行制御のミスか何かで)フライトエンベロープを外れたために墜落したのではという推測もあったが、これは否定されたことになる。

Heron TP/Eitanはイスラエル空軍が保有する最大のUAVで、Heronとは別物。
全長13m、スパン26m、MTOWは4ton以上。離着陸を自動化するなどの特徴がある。実用上昇限度45000ft、連続滞空時間70時間で、MALE-UAVに分類されるが、プレデター系の3倍近い滞空時間を持ち、長距離の進出と海洋監視などにも適合する。

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EADS Talarionの実大モックアップが名無しになってILAに展示される

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-axed-talarion-reborn-as-european-uas-376273/

EADS Talarionは、ドイツ、フランス、スペインに対して提案され、開発資金の提供を要請していたのだが、今年初めにその可能性が絶たれ、プロジェクトは頓挫した形になっている。
そのため、今更ILAで展示されること自体がEADS未練たらたらというか恨み辛みというか、まあそんな感じ。
今回の展示ではTalarionという名称自体が引っ込められて、単にEuropean unmanned aerial systemとだけ書かれているみたい。

基礎的な研究までは完了しているだけに、何とか実用機まで持って行きたかったところだろう。
ある程度はTAIに引き継がれる事になるのかな。

http://www.eads.com/eads/int/en/news/press.a73074f7-f808-4ed6-a92b-373fb92b34b8.html

しかしこれに関連してか、Cassidianのトップ交代が9月3日に起こっており、どうあってもTalarionのお蔵入りは避けられない状況に。新たに就任したBernhard Gerwert氏は、ユーロファイター計画に深く関わってきた人物で、MBDAの大株主でもあるという。

Type 26 Global Combat Shipの概要が公式発表/ACTUV フェーズ2でDARPAが一社と契約/CAAT水陸両用車

Type 26 Global Combat Shipの概要が公式発表

http://www.royalnavy.mod.uk/News-and-Events/Latest-News/2012/August/20/120820-Future-Type-26

http://www.mod.uk/DefenceInternet/DefenceNews/EquipmentAndLogistics/DesignUnveiledOfRoyalNavysFutureWarships.htm

英海軍の計画としては、2020年以降のType22/23の後継艦種ということになっているフネ。英国防省とBAEシステムズが共同で検討を進めていた。
今度のコンセプト図では、Type45の小型版の様な初期案よりも更に小排水量の中央船楼型となっており、米国のLCSに影響を受けた感じになった。ただしあれほどの高速艦ではなく、速度は28kt超、航続距離11000kmとされる(CODOGかな?)。モジュラー化設計も取り入れられるものの、任務に応じたモジュール換装まではできなそうだ。中身のコンセプト的にはMEKOに近いのかもしれない。
基準排水量は、当初案の6850tonから5400tonになり、全長は141mから148mになった。この案自体は、SDSRからコスト削減圧力が強まった2010年5月が初出のようだ。
この時、1隻あたり5億ポンドから、2億5千万~3億5千万ポンドに下げなければならなかったというから、えらい安物にされた感は否めず。

以前のは、どことなくType 23にも似ていたと思う。

http://www.defenseindustrydaily.com/Britains-Future-Frigates-06268/

建造開始まではまだ時間があり(造船所の方でも揉めてるみたい)、詳細仕様はこれから詰めるとのこと。特殊作戦や無人兵器運用への対応、シーセプターSAM、Type 23から引き継ぐ曳航ソナー、リンクスワイルドキャットとマーリンの搭載というあたりまでは確定としても、砲は中口径となってるから、BAEシステムズの新型127mm砲から76mm砲とかに変更されそう。

現在のType42とType22/23の世代は、防空艦の開発に失敗が続いて汎用艦との区切りがおかしくなってたので、今後のType45とType26である程度まとめられることにはなる。
ただし、これらの主力艦艇が十分な数だけ揃えられるかはまだ不透明だ。無理に下げても造ってみたら余計な出費が必要になっちゃったとかよくある話だし、既にType45はコスト高騰で隻数減らされてる。

詳しくは来月か10の《再来月》世艦で。

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ACTUV フェーズ2でDARPAが一社と契約

http://www.darpa.mil/NewsEvents/Releases/2012/08/16.aspx

http://www.gizmag.com/robot-sub-hunter/23759/

Anti-Submarine Warfare (ASW) Continuous Trail Unmanned Vessel (ACTUV) は、対潜作戦を実施可能なUSVとして計画されている。2011年4月に無料ゲームを配布して、そのアルゴリズムに関するデータ収集を行ったのが話題になった。
最初の段階にあたるフェーズ1には大手を含む数社が関係していたようだが、このほどDARPAが契約を締結したのはそのうちの1社、Science Applications International Corporation (SAIC) という企業。契約はフェーズ2から4までに該当し、設計から建造、デモンストレーションまでが含まれる。海上でのトライアルは2015年中頃を予定。

ACTUVの運用構想について、DARPAでは長距離(数千km単位)かつ長期間(数ヶ月単位)に及ぶディーゼル潜水艦の探知と追尾を第一に挙げている。
海事法に沿ってというから、必然的に相手国沿岸から遠く離れた距離から浅海域のディーゼル潜水艦を追跡する形になると思われる。浅海域でのASWについては、重視され始めたのが比較的最近だし、フネのハードウェアとしても、ある程度の速度と高度な自律制御を必要とするので、ハードルは高い。
それでもDARPAの見積では建造及び運用コストは普通に対潜艦艇を整備する金額の1/10程度で済むとしている。これは無人であるために、スタビライザの類や予備浮力を必要としないこと、さらに有人では危険と見なされる状況にも対応可能なことも加味されてるようだ。

あまりあてにならない想像図はアウトリガの張り出した3胴船となっており、底面に独立したソナーのポッドを有している。
寸法は不明だが、トップの航海用レーダーの長さからすると、少なくとも全長20~30mぐらいはありそうな感じ。いやもっとでかいか?

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CAAT水陸両用車

http://www.darpa.mil/NewsEvents/Releases/2012/06/26.aspx

http://www.gizmag.com/caat-disaster-relief-darpa/23828/

DARPAが開発中のCaptive Air Amphibious Transporter (CAAT)試作原型の映像が出ている。これはTactically Expandable Maritime Platform (TEMP)という軍事目的っぽい計画の一部に含まれるものではあるが、一応、(特に空輸と陸路、港湾すら使用できない状況でも)海上の船から陸への迅速な展開を可能とする人道支援目的のものということになっている。そのため、モジュラー化設計を取り入れ、負傷者などの輸送から物資の陸揚げなど多様なミッションに対応できる上、自航可能だからクレーンつきの普通のコンテナ船からも運用可能となる。
もちろん、そのような性能が水陸両用作戦においても有用であることは言うまでもない。

この試作車輌は20%スケールなのだが、全長は10m以上、重さは4tonあり、下手な重機よりごつい。足回りはキャタピラにフロートを取り付けたような構造となっており、水上では浮力を確保しながら水をかくことができる。映像を見たところ接地圧はかなり低く、旧陸軍の湿地車の末裔のように見えないこともない。喫水線が低く見えるものの、シュノーケルを備えているというから、波をかぶる程度なら支障なく行動できるだろう。

実用車輌となると全長50m超、重さ450tonとなり、ペイロードは数百ton単位。これ自体に貨物を積載することもできるし、状況が許せば筏の曳き船としても使う事ができる。
こうなるとLCACよりはるかに大きく、さすがに小回り利かなくないかと思わないでもないが、浮き桟橋がそのまま自走してくるようなもんだと思えば使い勝手は…いいのかなあ?

 

艦載兵器関連/台湾に雄風IIEが配備される?/LCS-3が予定より2ヶ月早く引き渡される/オーストラリアが次世代潜水艦の建造計画に着手

艦載兵器関連

・RAMのランチャーからグリフィンBの発射試験が行われる

http://navaltoday.com/2012/04/20/usa-navy-fires-raytheons-griffin-b-missile/

http://www.spacedaily.com/reports/US_Navy_Fires_Raytheon_Griffin_Missile_From_RAM_Launcher_999.html

4月の記事。
USNの発表によると、レイセオンは2011年Q3に、小型空対地ミサイルのグリフィンBを、改修したRAMのランチャーから発射するデモンストレーションを行った。地上に設置されたランチャーから約2マイル先の静止目標に対して発射され、命中している。
グリフィンの誘導方式はGPSまたはレーザで、空中発射型のグリフィンAはHARVEST HAWKにインテグレーションされた。グリフィンBは回転翼機、固定翼機からの運用に加えて地上発射も可能となったタイプ。信管は目標に応じて空中爆発、着発、遅発のモードが選択できる。全長43インチ、重量33ポンド、弾頭重量13ポンド。

改修は必要だが、RAMのランチャーから撃てるASuMということで、FACとの交戦や対地攻撃にRAMが使えるようになる。
砲ほど柔軟に運用できるわけではないにせよ、対空戦闘以外へ用途を広げるのは比較的容易になりそうだ。

・LMがExLSをオーストラリアで試験

http://www.spacedaily.com/reports/Lockheed_Martin_New_Standalone_Launching_System_Significantly_Reduces_Weapons_Integration_Costs_999.html

5月5日、LMは、オーストラリア南部でRAAF管理下のウーメラ・テストレンジにおいて、ExLSからの発射試験を実施した。

この垂直型発射機はExtensible Launching System(ExLS)と呼ばれるもので、Mk.41から派生した小規模VLS。ランチャー外部のサブシステムから制御されて、大型ミサイルを撃てるMk.41やMk.57などとは異なり、単体で完結したシステムとなっている。ただし、底部に制御系を納めたため、キャニスタを上げ底したような形になり、小型のミサイルしか搭載できない。これに適合するのはNLOS-LS/PAMやRAM Block 2、Nulkaデコイなどで、1基につき4発が搭載可能。

http://media.defenseindustrydaily.com/images/ORD_ExLS_Insert_Explained_lg.jpg

NLOS-LSとの関連が強かったが、周知の通り、同計画は2010年正式キャンセル。
ExLSは、単体でセル1基から搭載できることから、既存のVLSよりも小型の艦艇に搭載でき、在来艦艇へのインテグレーションか容易というのを前面に押し出している。

Nulkaは艦船そのもののデコイで、主に対巡航ミサイル防御用となる。豪州BAEシステムズで開発された。
この試験では2発のNulkaの発射が行われている。

http://www.nrl.navy.mil/tew/5710/

他のミサイル等に対しては、上げ底部分(アダプター)を変更することで対応でき、コスト的な効率も良いとしている。

・USNがトマホーク Block IVを発注

http://www.spacedaily.com/reports/US_Navy_awards_Raytheon_contract_for_Tomahawk_999.html

2011年のオデッセイ・ドーン作戦で射耗した分を含む追加発注で、総額3億3800万ドル。

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台湾に雄風IIEが配備される?

http://www.spacedaily.com/reports/Taiwan_deploys_anti-China_missiles_report_999.html

5月28日、台湾の地元マスコミが雄風IIEの配備を報じた。雄風IIEは射程500kmクラスの巡航ミサイルと言われており、中国本土を射程に収める可能性がある。
言い換えると、台湾が中国本土を攻撃可能なミサイルを初めて装備したと言うことになる。詳細は不明だが、100発程度が配備されたとも。

これとは直接関係無いが、

http://www.spacewar.com/reports/Taiwan_probes_stealth_boats_missing_computer_999.html

6月11日、台湾の最新鋭ミサイル艇、光華6号艦の1隻でラップトップコンピュータの紛失事故が発生と報道される。5月下旬のこととされており、場所は左営海軍基地。初期の調査では、紛失の状況などがほとんど判明していないという。
この機材は民間所有となっているものだが、6ヶ月間にわたって秘話通信装置の試験のために持ち込まれていた。物が物だけに、情報漏洩となれば結果は重大なものになる。

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LCS-3が予定より2ヶ月早く引き渡される

http://www.spacewar.com/reports/US_Navy_Littoral_Combat_Ship_Delivered_Two_Months_Early_999.html

LMの方のLCSとしては2隻目、全体では3番艦のLCS-3 フォートワースは今年5月、予定より2ヶ月早くUSNの受入検査(五大湖で行われた)に合格し、引き渡された。
新世代の艦艇としては異例の前倒しスケジュールであり、これにはUSNも大喜び。

http://www.spacewar.com/reports/Third_US_Littoral_Combat_Ship_Completes_Acceptance_Trials_999.html

トライアルの内容について報じられた記事。4月30日から5月4日までの日程で行われ、4時間の全速航行と対空・対水上戦のデモンストレーションなどを行っている。

LCS-3フォートワースはLCS-1フリーダムに続く2隻目で、さらにLCS-5ミルウォーキー、LCS-7デトロイトが建造中。LCS-9リトルロック、LCS-11スー・シティは3月に予算がついたので、部材調達などがスタートしている。
こっちのLCSチームにはフィンカンティエーリも入ってるのね。

偶数番のLCS、ノースロップグラマン/オースタルの方は、LCS-2インデペンデンスの後がLCS-4コロナードで、1月に進水し、今年後半に受入検査を経て引き渡し予定、LCS-6ジャクソン、LCS-8モンゴメリーはモジュール建造がスタートしている。

http://www.austal.com/us/media/media-releases/12-01-11/Austal-Launches-2nd-Littoral-Combat-Ship.aspx

LCSでは押され気味だが、オースタルは高速輸送艦のJHSV-2チョクトー・カントリーとJHSV-3を受注して建造が始まっている。元々の計画だと10隻建造予定で、艦名もだいたい付いてたのだが、番号と名前が振り直されてるようだ。過去の予算で部材調達が先行していたようなので、2隻目以降の建造が決まってからの着工は早かった。

http://www.austal.com/en/products-and-services/defence-products/naval-vessels/joint-high-speed-vessel-jhsv.aspx

しかしTSV-1XスピアヘッドとJHSV-1スピアヘッドは別物であったりしてややこしい。
ただでさえあの辺の高速輸送艦試用期間の流れは陸軍が絡んでややこしいのに。名前変えてください。

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一方DD(X)ことDDG-1000の方は中々話が進んでないが、建造は進行中。
艦体ブロックが構内を移動して組み立てられる様子を早送りで。3月にバス鉄工所で撮影されたもの。

http://defensetech.org/2012/04/05/awesome-video-ddg-1000-coming-together/

搭載センサなどの中身については、レイセオンの関与する部分が大きい。

http://www.raytheon.com/capabilities/products/zumwalt/

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オーストラリアが次世代潜水艦の建造計画に着手

http://www.spacewar.com/reports/Australia_kicks_off_submarine_replacement_999.html

オーストラリア国防省は、Expert Panel of the Future Submarine Industry Skills Planという将来潜水艦計画専門の組織を設け、関連する造船・防衛産業各メーカー及び教育機関との協議を始めた。産業界からはLM、レイセオン、ボーイング、タレス、サーブシステムズ、BAEシステムズなどの主要な海軍システムインテグレータと、ASC、オースタル、BAEシステムズとフォルガーチエンジニアリングなど、主要な地元造船会社が参画する。次の30年にわたって造船業界の雇用にも大きな影響を与えるので、政府機関の代表者だけではなく、組合の代表者も加わる。
オーストラリアでは5月に、将来潜水艦を建造するための最初の段階として、2億1400万ドルの研究費用を計上した。推進システムの地上試験設備も計画されている。Future Submarine Projectと呼ばれ、数は12隻、通常動力潜水艦となるところまでは確定。オーストラリア最大の軍事的プロジェクトとなる見込み。

この組織の管轄には、各種システムの設計計画から建造計画、部材調達、リスクマネジメント、予算及び財務管理までが含まれ、難易度の高い作業にあたる熟練工(溶接、ボイラー、電気などの各専門工)が足りるかどうかも調査されることになっている。コリンズ級のときは溶接の問題もあったんだっけ。今は一応、世界最強通常潜みたいな持ち上げられ方になってるけど…

またオーストラリア政府は、独自開発以外の選択肢として、フランスのDCNS、ドイツのHDW、スペインのニルヴァーナから購入することも検討している。ここら辺もコリンズ級のときと同じだ。DCNSならスコルペヌ型、HDWならType212か214、ニルヴァーナならS-80が代表的。
昨年暮れの2011年12月には3社に対してRfIが発出され、地上試験設備についてはバブコック造船に研究を委託した。

また、これとは別に現用のコリンズ級6隻を維持する必要もある。1996年から就役し、退役は2025年以降とされているので、継続的なアップデートが欠かせない。起こり得る旧式化問題について、同級の設計を提供し、建造にも携わったスウェーデン、コックムス造船と検討を進めているとのこと。

メリーランド州でRQ-4が墜落/ファントムアイUAVデモンストレータが初飛行/アフガニスタンにおけるK-MAXの活動/イタリア海軍がS-100 VTUAVの艦上トライアルを実施/ IndraがPelicano VTUAVを市場投入など

メリーランド州でRQ-4が墜落

http://www.spacedaily.com/reports/US_drone_crashes_in_Maryland_Navy_999.html

6月11日、USNはワシントン州メリーランド、Bloodsworth島にて試験飛行中のRQ-4が墜落したと発表した。墜落地点はNASパタクセントリバーの東、約100km。沼沢地であったとのことで、けが人はなく、大きな被害なども無いようだ。事故調査において、民間人のボートなどの進入が規制された程度。
NASパタクセントリバーのRQ-4と言えば、海洋監視ミッションのデモンストレータ(GHMD)に沿って導入されたもので、BAMS-Dとも呼ばれるタイプとなる。

http://www.as.northropgrumman.com/products/ghrq4a/assets/GHMD-New-Brochure.pdf

http://www.defenseindustrydaily.com/global-hawk-uav-prepares-for-maritime-role-updated-01218/

基本的にはRQ-4Aと同型のエアフレームで、VX-20に配備。タスクフォース57としてペルシャ湾岸地域に展開した2009年時点では2機だったが、現在は5機になっていた。このうち1機が事故喪失となって、在籍している機数は4機になっている模様。これらのうち3機は米国内で試験と戦術及びドクトリン開発に使われ、1機が第5艦隊に派遣されている。

米国内でUAVの墜落事故が報じられることは少ない。同基地では2010年、RQ-8の試験中に一時的に通信が切断、遠隔操作不能となって飛行制限区域へ進入しそうになった事例がある。そのままでは撃墜までもあり得る状況となったが、通信が回復したため事なきを得た。

現在米国では、自国内の保安または災害救援ミッションにUAVを投入可能とするよう、その障害となる規制の見直しを行っているが、事故は今後の判断に影響を及ぼす可能性がある。RQ-4は、HALE-UAVの実用機としては唯一のものであり、大きなペイロードの分、用途も広い。実績も積んできた。早期に使いたい機種の一つなのは確かだろう(高いけど)。

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ファントムアイUAVデモンストレータが初飛行

http://www.boeing.com/Features/2012/06/bds_phantomeye_first_06_04_12.html

http://www.spacedaily.com/reports/Boeing_Phantom_Eye_Completes_First_Autonomous_Flight_999.html

ボーイングが開発中のファントムアイは、RQ-4を上回る性能を目指すHALE-UAVで、液体水素を燃料とするレシプロエンジンが最大の特徴となっている。ペイロード450kgで飛行高度65000ft、4日間の連続滞空を目標に掲げているが、現時点で実用型の検討はなされておらず、あくまでも技術デモンストレータとして取り扱われている。
同社がラピッドプロトタイピングで製作している一連のUAVの中では最も新しく、大きい。
軽く名前だけ出てる無人系システムの公式を並べておくと、

ScanEagle Compressed Carriage :
小さく折り畳める翼を与えられたScanEagleで、潜水艦など限られたスペースにも搭載可能とされる。
http://www.boeing.com/advertising/bma/se/se_06.html

Echo Ranger :
自律動作するROVで、ボーイングではautonomous unmanned vehicle (AUV)と呼んでいる。
http://www.boeing.com/Features/2011/08/bds_echo_ranger_08_17_11.html

Common Open Mission Management Command and Control (COMC2) :
オープンアーキテクチャのモジュール化UAS指揮命令系統で、A160Tやファントムアイはこれで操作される。
http://boeing.com/advertising/c4isr/command/common.html

ボーイングの発表では、6月1日6時22分から28分間の初飛行が実施されたとのこと。飛行中、高度は4080ft、巡航速度62ktに達している。着陸時に脚のアクシデントがあったものの損傷は軽微だった模様。ただし元々が台車で離陸するという実験機っぽさにあふれた設計なので、降着装置も贔屓目に見ても適当であったりする。
。中身はフォード製の2.3リッターだが、ロールアウト時は付いてなかったものだ。あと逆Y字みたいな尾翼も特徴的か。
育ちすぎのおたまじゃくしみたいな胴体の大半は、球状の燃料タンク×2基で占められている。あと、わけのわからんエンジンナセルがかっこいい。

http://www.aviationweek.com/Blogs.aspx?plckBlogId=Blog:a68cb417-3364-4fbf-a9dd-4feda680ec9c&plckController=Blog&plckScript=blogScript&plckElementId=blogDest&plckBlogPage=BlogViewPost&plckPostId=Blog:a68cb417-3364-4fbf-a9dd-4feda680ec9cPost:375636e1-78d8-4c8b-a25d-8e3e19558a76

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アフガニスタンにおけるK-MAXの活動

http://www.spacedaily.com/reports/3D_MAW_FWD_explores_the_use_of_unmanned_helicopters_999.html

5月の記事だが、3rd MAWに配備されてアフガニスタンに送られたK-MAXの活動について、USMCの担当者が語っている。
UAV化したK-MAXを中心とする無人空輸システムCargo Resupply Unmanned Aircraft Systems (CRUAS)は、前進基地からCOPまでの補給を空中から行う事で、補給部隊の損害を減らそうという考えからスタートしている。アフガニスタンでは、険しい地形とIED含む敵の待ち伏せの中で行動しければならない補給部隊の損害が、常に大きかった。

ヘルマンド州での輸送任務に就いてからの5ヶ月間で、400回以上のミッションをこなし、輸送量は130万ポンド以上。3月だけで1ヶ月間あたりの輸送量は50万ポンドに達した。この実績は一定の評価を受け、K-MAXの派遣期間が延長されている。ただしUSMCによる信頼性などのデータ収集と評価はまだ続いており、制式化について判断される段階にはない。
現地でプロシージャ作成(地上および空中での安全管理に関する項目が大部分だったそうだ)に携わったオペレータの軍曹は、K-MAXの性能と精度に感銘を受けたと述べている。
2月以降、各国軍の撤退を支援する活動も始めており、その重要性は増しつつある。

http://www.spacedaily.com/reports/K_MAX_Unmanned_Aerial_Cargo_Hauler_Exceeds_Million_Pound_Milestone_999.html

もう一つの記事はLMの発表を中心にしている。
上記の通り、派遣期間は9月30日までの延長が決まった。3ヶ月の延長となる。これについては以前、オプションで最大6ヶ月とされていた。
輸送実績については、2機で、12月からの4ヶ月以内に100万ポンド以上という書き方になっている。

あとの内容は大体同じ。
1飛行時間に対してメンテナンスに要するマンアワーが1.0を切り、目標値をクリアしている。4月には0.8人時という数字が出されてた。

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イタリア海軍がS-100 VTUAVの艦上トライアルを実施

http://www.spacedaily.com/reports/Camcopter_S_100_First_UAS_Ever_to_Fly_from_an_Italian_Navy_Ship_999.html

これも5月の記事。イタリア海軍のソルダティ級フリゲート、ベルサリエーレはCAMCOPTER S-100の艦上トライアルを行った。これはイタリア海軍の艦艇からVTUAVを飛ばした最初の例となる。観測任務を想定したシナリオで、ラ・スペツィア海軍基地から運用され、最大風速25kt、シーステート3ないし4の環境でも支障なく活動できたとのこと。

http://www.marina.difesa.it/uominimezzi/navi/Pagine/Bersagliere.aspx

ベルサリエーレは1985年から1987年にかけ、輸出で成功したルポ級の、イラク向けとして建造された4隻のうちの1隻だが、イラン・イラク戦争のため当時のクラクシ首相の判断により、1988年まで抑留状態となる。戦後、フセイン大統領は取引について交渉を再開するが、引渡しが遅れた分の値引きを要求するなどして法廷闘争に移行。そうこうしているうちに1990年クウェート侵攻、湾岸戦争で国際的な兵器禁輸措置がとられ、短期的にイラクへ引き渡される可能性はほぼ消滅した。1993年、イタリア海軍が引き取る決定を下し、ASW装備が撤去された上で、長距離進出が可能な哨戒艦あるいはフリゲートとして就役することとなる。ベルサリエーレは1995年に就役した。
クラスネームは1番艦の艦名と同じくアルティリエーレ級とする資料もあるが、今の公式ページを見るとソルダティ級と書いてある。これらの艦名は、WW2当時の初代ソルダティ級駆逐艦からとられているので、2代目ソルダティ級と呼ぶほうがすっきりするだろう。初代ソルダティ級は、他の枢軸国艦隊型駆逐艦と同様に、その多くが戦没したが、ソ連に取られたりドイツに取られたりしたものもある。

なおソルダティ級は、2012年2月にフィリピン国防当局者が視察した対象に入っている。両国間にはイタリアから練習機を輸出した実績から、防衛協力のつながりが一応ある。
視察した分野は沿岸レーダーやAPCから、戦闘機や輸送機、哨戒機、UAV、さらには艦艇までとかなり広範囲だったようだ。別に導入が決まったわけではないが、現役艦艇はわりと早期に引き渡せる装備のひとつと言える。フィリピンの極貧ぶりからすると厳しいかもしれないが、軍事的に見てこのクラスの艦は有益だろう。

http://www.philstar.com/Article.aspx?articleId=775432&publicationSubCategoryId=63

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IndraがPelicano VTUAVを市場投入など

http://www.spacedaily.com/reports/Indra_launches_UAV_market_growth_forecast_999.html

4月末にスペイン、マドリードで開催されたUNVEX’12において、同国のUAVメーカーIndraは、ミニUAVマンティスとPelicanoの最新型を展示した。搭載機材のうちIFFトランスポンダと遠隔映像端末はCassidianの開発による。
Pelicanoは離陸から着陸までが完全に自動化され、飛行試験は順調と発表。陸軍向けと海軍向けの2つのタイプが展示された。
海軍向けは艦上運用を前提としたもので、より安全性の高い重燃料の使用に対応し、悪天候下でも安全に着艦可能な自動化システムが組み込まれている。また陸軍向けは4×4車輌に搭載でき、30分以内に飛ばせるとのこと。
警察やレスキュー向けに装備を簡略化したタイプも開発中だそうだ。

http://www.indracompany.com/sites/default/files/PELICANO_Esp_0.pdf

このイベントに合わせてFrost and Sullivanが発表した市場調査資料によると、各国独自開発のMALE-UAV(最大はRQ-1クラスだが、標的機クラスが多数派?)の開発競争が激しい一方、能力は制限される。そして高性能なHALE-UAVは、多くの国々にとって高価に過ぎるため、UAVのニーズにはギャップが出来、そこに市場が存在するという。
Pelicanoのような、比較的大型のVTUAVはまだ少数派であるし、うまくこの市場に売り込める可能性がある、と言いたいらしい。
直接競合するのはS-100だろう。

中国の056型コルベットが進水/停泊中の022型/J-20の2号機など

056型コルベットが進水

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-23/200423_2141607.htm

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-24/200499_2142518.htm

5月23日に進水したようだ。ウィキペだとフリゲートと書いてあるが、2000ton未満と推定される排水量からするとコルベットに近い。
ウィキペの元ネタ中国網記事。

http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2011-05/23/content_22623157.htm

と、日本国周辺の軍事兵器の該当項目。

http://wiki.livedoor.jp/namacha2/d/056%B7%BF%A5%B3%A5%EB%A5٥åȡ%CA056%B7%BF%B7ڷ%BF%B8%EE%B1Ҵϡ%CB

これらの記述は基本的には模型の写真から装備を予想しているもので、現物は喫水線下はもとより見えないし、甲板上の兵装にはカバーが掛けられてて、まだ詳細不明ということになっている。
タイ向けの艦(パタニ級)の自国版という感じではある。ヘリ格納庫はたぶん無い。

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停泊中の022型

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-21/200249_2139206.htm

この手の波浪貫通型船型は、近くで見るとやたらと大きく見える。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-18/200161_2137803.htm

演習中の映像のようだ。

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J-20の2号機

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-14/199756_2132433.htm

5月中旬から写真に撮られるようになってきた。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-11/199624_2133904.htm

5月10日にタキシー試験が目撃される。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-17/200002_2135691.htm

で、初飛行。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-15/199846_2133605.htm

#2001と比べると、シート背面の角度が違う。従来の13度傾斜のものではなくて30度ではないかという推測。これはF-16と同じ‥なんだっけ?

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-18/200144_2137592.htm

あと空中給油装置のドアらしきものが確認されていたり、

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-14/199756_2132433.htm

インテイク部分に何か可変式のベーンみたいのが追加されている。この辺はそのうちもっと明瞭な写真が撮られると思う。

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よくわからんがUAVの展示会みたいのがあったみたい。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-22/200359_2140815.htm

S-100も展示されている。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-22/200359_2140822.htm

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2月だが昇竜UAVが撮影されている。飛行してるのかなこれ。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-02-02/192848_2039792.htm

SELEXガリレオがグリペンE/F向けの新型AESAを準備/ロシア空軍はSu-25の後継機を発注、PAK-FAのスケジュール、An-124-100Mなど/日本近海で中国艦艇とVTUAVが確認される/米国防総省はJ-20が2018年頃配備されると予測する

SELEXガリレオがグリペンE/F向けの新型AESAを準備

http://www.flightglobal.com/news/articles/selex-nears-aesa-radar-delivery-for-gripen-372125/

SELEXガリレオは、数週間以内にグリペンデモ向けのAESA、レイブンES-05の最新タイプを納入すると発表。試験はスコットランド、エジンバラにあるフィンメカニカの施設で行われていて、7月のファーンボロで展示されたあと、飛行試験が開始されることになっている。

スウェーデン空軍向けのグリペンアップグレードとしては、AESAに続いてIRSTの開発も進められている。製品名はスカイワード-Gで、2012年末から2013年初頭にかけて試験用に納入される見通し。これはグリペン専用の内装IRSTとして開発されているが、SELEXガリレオではより多くの機種にインテグレーションできるよう、ポッド型で供給する事も想定している。

記事の残りはタイフーン向けのCAPTOR-Eについてで、現在のスケジュールは2013年Q2に試験用レーダを納入し、2013年内にタイフーンに搭載して飛行試験を開始するといったものになっているようだ。生産契約もこのあたりになり、製品として納められるのは2015年頃の予定。まだ主要4ヶ国での話し合いは続いており、不透明な部分が多い。
今のところ確定しているのはサウジアラビア向けで、新造のトランシェ3A向けと、トランシェ2の改修オプションに入る予定。UAEとマレーシア、他の潜在顧客向けは提案中。

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ロシア空軍はSu-25の後継機を発注、PAK-FAのスケジュール、An-124-100Mなど

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-air-force-to-order-su-25-replacement-372103/

ロシア空軍でSu-25の後継となる次期対地攻撃機については、Yak-130の本格的な攻撃機型、Yak-131も提案されていたが、こちらは正式にキャンセルし、新しい全天候攻撃機の発注に踏み切ることを決定した。これは既に調達計画に加えられ、2020年までの配備を目指すとのこと。
現用のSu-25の最新型はSu-25SMとなるが、新造機ではなく、80機程度の改修が発注されている(このうち30機以上が引き渡し済)。

次期攻撃機については、以前も出た情報程度しか出てない。ステルス性を有し、新型レーダーを装備して、STOL性を特徴とする云々。

また、Yak-131キャンセルの理由として乗員防護の不足が挙げられてる。シュトルモビクの伝統を受け継ぐとなれば、練習機程度じゃ無理なのも道理と言えよう。

PAK-FA/T-50については、2013年に空軍へ原型機が引き渡され、性能試験が行われる見込み。開発は計画通りに進行中とされている。なお以前の発言では2015年までに14機が製作される事になっていた。

An-124-100Mは最初の3機がロシア空軍に引き渡された。既存機10機程度を改修、これと別に、ペイロードが150tonまで増加したAn-124-300について、新造機10機程度を導入する計画としている。

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日本近海で中国艦艇とVTUAVが確認される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-schiebel-camcopter-s-100-operated-from-chinese-frigate-372045/

画像は054A型フリゲートから小型の無人ヘリコプターが離着艦しているところ。海上自衛隊が撮影して公表した。同様の写真が公表されたのは2011年6月に続いて2度目となるが、艦船に搭載されている様子がはっきりわかるのは初めて。
実運用に入っているのか試験中なのかは定かでない。

業界筋ではオーストリアのSchiebelが製造したCamcopter S-100であるとされており、このタイプは2年前に中国が18機ほど購入したことが公然の秘密となっている。このサイズで艦上運用できるVTUAVは他に存在せず、他の中国製のVTUAVとも似ていない。
ただしSchiebelは、個々の取引についてはノーコメントということで、公式には中国への販売を認めていない。

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米国防総省はJ-20が2018年頃配備されると予測する

http://www.flightglobal.com/news/articles/chengdu-j-20-could-enter-service-by-2018-372082/

米国防総省は年次報告の中で、J-20が2018年前半までに部隊配備されるという予測に言及した。J-20が姿を見せた後も、配備されるのは2020年代であろうという予測を変えていなかったが、今回はそれが訂正された形になる。
operational capabilityという言葉で表現されているが、機数が揃って要員の訓練も十分にできた状態として定義されるとのこと。

 

ロシアがチェンタウロ装輪戦闘車を試験/ヨルダンがTOS-1を導入/インドがM777超軽量りゅう弾砲を導入/ロシア海軍は年内に新型防空システムを試験する/ロシア副首相が極超音速兵器への懸念を表明/ロシアの2022年以降の新型ICBMについて/対独戦勝67年パレードの様子

ロシアがチェンタウロ装輪戦闘車を試験

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120512/173407220.html

5月12日、オットー・メララの発表では、ロシアがチェンタウロを試験中であり、採用を検討しているとのこと。

試験車輌は、105mm砲搭載型と125mm砲搭載型の2輌で、既にモスクワ近郊の試験場に持ち込まれているという。またこれに加えて120mm砲搭載型と30mm砲搭載型も送られ、6週間の日程でトライアルが実施予定となっている。
その後はトライアルの結果次第となるものの、ロシア側は年内に評価を完了し、採用となれば共同生産のためのJV設立も検討している。Rosoboronexportの情報筋によればKAMAZが関与する可能性が高いとのこと。

ただしライセンス生産の可能性は高くないと見られ、ロシア側の関係者からは、生産技術の研究のために導入する程度という話も出ている。イヴェコのLMVも、半ノックダウン生産で組立をロシアで実施するに留まった。

125mm砲搭載型って2A46系?
どっちかというと国際貢献用途って感じだが、広大な国土と装輪の相性が悪いというわけでもないだろう。あんまりロシア人好みな感じとも思えないけども。

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ヨルダンがTOS-1を導入

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120510/173368204.html

アンマンで開催された特殊作戦関連のSofex-2012にRosoboronexportが参加し、その中で発表されたもの。
TOS-1(30連装MLRS)の砲塔部分を、T-72じゃなくてM60の車体に搭載する形で改修するらしい。

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インドがM777超軽量りゅう弾砲を導入

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120511/173396191.html

なぜかロシアの報道だが、記事の元はインドのIANS通信社のようだ。
M777は米国製だが、BAEシステムズの陸上兵器部門が製造している。インドの発注は145門で、金額は6億6000万ドル。

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ロシア海軍は年内に新型防空システムを試験する

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120512/173404790.html

Almaz-Anteiは、年内に新しい艦載防空システムの試験を実施すると発表した。Poliment-Redutと呼ばれ、陸上型のVityaz中距離防空システム(ミサイルは9M96、いわゆるS-400)を、艦載型に転用したものとなる。開発遅れも指摘されていた。
射程などは、だいたいスタンダードSAMに相当するはず。

同社の他の発表としては、S-500防空システムの開発が進行中であることと、航空機搭載用の防空レーザシステムの開発についても触れている。後者はAL-1に相当するものになるはずだが、そちらは主にMD用途での費用対効果が疑問視され、計画が凍結されてしまった。それを踏まえた上で、同社は有望な計画と称しており、開発進行中とのこと。

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ロシア副首相が極超音速兵器への懸念を表明

http://en.rian.ru/world/20120511/173391392.html

極超音速兵器はロシアにとっても脅威であり、新たな軍拡競争につながりかねないという発言。そのまんまなのであまり書くことはないが、ロシア政府の指導的立場の人物が、この手の兵器に関して表立って言及したのは初めてかもしれない。

と思ったけど昨年、ロシア国防相による「我が国の防空システムはAHWなどの極超音速兵器にも対処可能」との発言があった。

http://en.rian.ru/mlitary_news/20111122/168930933.html

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ロシアの2022年以降の新型ICBMについて

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120508/173310124.html

昨年後半、現用のR-36M2(SS-18サタン)に代わるICBMの開発について言及されたが、開発期間を10年とみて、2022年という時期が設定されたようだ。NPO Mashinostroyeniyaによると、新ICBMは液体燃料で、重量100tonクラスの大型ミサイルとなる。

http://en.rian.ru/infographics/20091228/157404221.html

1970年代に開発、1991年から配備。70基ほどが現役。

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最後に5月9日の対独戦勝67年パレードの様子。

http://en.rian.ru/russia/20120509/173265643.html

http://en.rian.ru/photolents/20120509/173333389.html

T-90MS/IMIの新型125mm砲弾/その他ロシア関連いろいろ

T-90MS

http://defense-update.com/20120329_international-debut-for-the-russian-t-90ms-tank-upgrade-at-defexpo-2012.html

インド向けT-90Sのアップグレードでもあり、T-90Mの最終的な仕様でもあるという感じだが、予告通り実車輌がDefexpo 2012にて公開された。映像だけなら去年から広まってたみたい。

車輌自体については、砲が2A46-M5、エンジンがV-92S2Fという最新型になって、全自動変速機とハンドル式操向装置を備える。砲塔の最大の変更点は、弾薬庫を隔離してブラストドア付きの別区画にしたことだろう。T-84 Oplotでも似たような事をやっているが、元がT-80Uだから雰囲気はちょっと違う。というかあっちの方が強そ(略)

http://www.morozov.com.ua/eng/body/t84.php

http://armor.kiev.ua/Tanks/Modern/T84/

T-72以来、弱点と言われ続けた弾薬の搭載方法であるが、この変更によって弾庫から手動で砲弾を取り出して弾倉に装填、自動装填装置へ送るという形になったようだ。

両側面と後面に各270度をカバーするセンサにより全周を警戒でき、前方90度の円錐内のEO装置を妨害可能。平面アンテナみたいな奴がそれか?

FCSはカリーナと名付けられており、EOシステムと統合されている。車長用パノラミックサイト、砲手用サイトとも2軸安定化装置を有し、昼夜モード切替+熱映像式CCD、レーザ測距装置(LRF)とATGM誘導用レーザが組み合わされ、映像解析により移動目標を自動追尾できる。
RWSはUDP T05BV-1という7.62mm機銃で、車長用パノラミックサイトと連動する。

カクタス装甲とスカート部などの重装甲化が謳われているが、アクティブ防御は無し。戦闘情報システムやATGMについても特に触れられてない。

アップグレードで簡単にできそうなのは装甲ぐらいかなあ。エンジンが1000馬力級(たぶん)では、重量増に対応しきれない気もするが。あとは砲塔全交換とか。
インド向け発注残のT-90の仕様を変更していくという可能性はある。

 

関連でIMIが開発した新型125mm砲弾。

http://defense-update.com/20120327_israeli-multi-purpose-tank-ammo-redesigned-to-fit-the-125mm-gun-of-the-t-90s.html

同じくDefexpo 2012で公開された物で、M710 MP弾とMk-2 AP弾の2種類がある。

M710は多目的HE弾で、High-Explosive Multi-Purpose Tracered (HE-MP-T)と表記される。信管の動作モードとしてはPDD (Point Detonation Delayed)、 PD (Point Detonation/ Super Quick)、Air Burstの3種類があり、目標に応じて選択することで、強化コンクリートから軽装甲車輌、歩兵までの様々な目標に対応する。
105mm砲弾のM117/1、NATO 120mm砲弾のM329/M339と同ファミリーとなる。

Mk-2 APはいわゆるAPFSDS-T。タングステン弾芯。

インドも125mm搭載の戦車を山ほど保有する上得意のはずであるが、IMIなどイスラエルの6社はインド国防省のブラックリスト入りしている。

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演習中のロシア海軍太平洋艦隊とワリヤーグ

http://englishrussia.com/2011/12/19/cruiser-varyag-exercise/

カムチャツカ沖合の演習海域での写真。
RBU-1000はさすがに最近の艦には載ってないな。

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太平洋艦隊の原潜基地

http://englishrussia.com/2012/02/11/the-pacific-fleet-submarines/

新旧の写真が混ざっているようだ。雑誌などで見覚えがあるものも。太平洋艦隊か怪しいというかそもそも無関係っぽいのも。

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Zvezdochkaで建造/修理中の艦船

http://englishrussia.com/2012/02/10/visiting-leading-shipbuilding-enterprises-of-russia/

建造中及び修理中の877型、修理中の949A型、の次に、なにげなく旧アドミラル・ゴルシコフ=ヴィクラマーディティヤの脇にユーリ・ドルゴルキーが舫われていたりする…

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バーレーンでのRusskie Vityazi

http://englishrussia.com/2012/01/23/the-russian-knights-in-bahrain/

2012年1月19日から21日にかけてバーレーン国際航空ショーに参加した際の様子。

 

で、このあと帰路ではイランを経由したようで、

http://englishrussia.com/2012/01/30/the-russian-knights-flying-over-iran/

なにげにイラン革命防衛隊のF-14とF-4がエスコートしており、編隊飛行するという珍しい絵面に。
まさかF-14がイランでここまで長生きするとは、グラマンの人も考えてなかったろう。詳しい状況が伝わってこないのが残念だ。エンジンは確実にパワーアップしてそうだが。元がTF30だけに。

 

普段の様子。

http://englishrussia.com/2012/02/02/are-the-russian-knights-and-swifts-circus-performers-or-combatant-officers/

Il-38もいる。

 

4月4日は創設21周年だったようだ。そんなに経つか…

http://englishrussia.com/2012/04/05/happy-birthday-to-russkiye-vityazi/

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S.A.チャプルイギン科学研究所

http://englishrussia.com/2011/10/12/famous-siberian-aircraft/

応用数学と流体力学の偉い人セルゲイ・チャプルイギンの名を冠した航空研究施設で、静強度試験とかを一手に引き受けてるみたい。というかいろいろ無造作に転がりすぎ。

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第18自動車化狙撃旅団の装備など

http://englishrussia.com/2011/10/17/military-equipment-of-a-rifle-brigade/

T-72B、T-72B(M)とコンタクト-5増加装甲、BTR-80(2011年内退役予定)、BTR-82A、R-149 BMR観測/通信車、P-166指揮統制車、P-142H指揮統制車(旧装備)、TOR防空システム、新型のウラルとKAZの各種装甲トラックと支援車輌いろいろ。
2S3 、BM-21、野戦サウナ車(1時間に60人入れる)、自動化電子妨害ステーション一式、P-934野戦レーダー(2007年配備、レーダー捜索、逆探知、分析機能があり、他のステーションとも自動的に連動して作動する)、BRDM-2M、3C-82ラウドスピーカー車。

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国後島の旧装備がロシアへ送り返されるところ

http://englishrussia.com/2011/10/08/what-should-be-done-with-old-military-equipment/

物凄く年季の入ったT-62。

CHEETAHが歩行型ロボットの陸上速度記録を更新/NRLの消防ロボットSAFFiR/Robo-Gloveの開発

CHEETAHが歩行型ロボットの陸上速度記録を更新

http://www.gizmag.com/cheetah-robot-speed-record/21723/

ボストンダイナミクスがDARPAと開発契約を結んで約1年、4足歩行型ロボットのCHEETAHが、速度記録を達成したと発表している。

走りはチータというよりウサギみたいだが。

速度は18mph(29km/h)で、MITが制作した1989年のPlanar Bipedによる13.1mph(21km/h)を上回った。ただアレは時代が時代とは言え、2足歩行というより割り箸が歩いてるような感じだったので、見た目はさすがに進歩を感じさせる。

http://www.ai.mit.edu/projects/leglab/robots/robots.html

記録と言ったところで、単に歩く速度が必要とされるかどうかの話で、誰もやんなかっただけのような感じでもあるが、1年でここまで組み上げるのは中々できないと思う。

機構的にはかなり固まってるように見えても、現時点でのCHEETAHは、動力となる油圧系が外部に置かれている。自律的に動き回るまでには、まだまだ時間がかかると思われる。

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NRLの消防ロボットSAFFiR

http://www.nrl.navy.mil/media/news-releases/2012/nrl-designs-robot-for-shipboard-firefighting

http://www.gizmag.com/saffir-shipboard-autonomous-firefighting-robot/21783/

米海軍研究所NRLは、艦船上での消火活動を乗組員と協同して行うという人型ロボット、Shipboard Autonomous Firefighting Robot (SAFFiR)を開発している。
可燃物を満載した作戦行動中の艦船上において、火災が発生する事の恐ろしさは、USNで言えば1960年代のフォレスタルやエンタープライズの事例が真っ先に出てくると思われるが、平時だってボヤ騒ぎはわりとある。それへの対策は、ダメージコントロールの面から見ても疎かにはできない。
しかし、消火活動に当たる乗組員は大きな危険に晒されるし、原則的には外から消防士を呼べるわけでもないから、人的なリソースにも制約がある。

これを解決するためにロボット開発、ということになったものと思われるが、艦船の中というのは、そこかしこに段差があり、垂直方向の移動は主に梯子だったりするので、車輪などでは移動しがたい。艦内を改修するわけにもいかず、結局は乗組員の人間と同じ動きができるものを開発するのが近道だ。…というところまでは論理的に正しい。

NRLはここから更に一歩進めて、乗組員とコミュニケーションをとったり、ある程度の自律判断ができるものを考えているようだ。コミュニケーション手段としては、指差しやジェスチャ、自然言語インターフェースなど。
その場の指揮者を識別して、指示に従うというのは、相当に高度な話のよう思えるが、NRLの研究領域はやたらと手広く、The Navy Center for Applied Research in Artificial Intelligence (NCARAI)では1981年からAIなどの研究を続けてきたし、Laboratory for Autonomous Systems Researchではインテリジェントな自動化システムやセンサ技術、UI、ネットワークと通信プラットフォームなど、自律系の研究を一括して取り扱う。
そういうのを集大成して何とかする、という方針みたい。

ハードウェアとしては、バージニア工科大とペンシルベニア大のCHARLI-L1がベースになり、視覚センサ、ガス検知センサ、ステレオIRカメラなどの複数の感覚器を備え、propelled extinguishing agent technology (PEAT) グレネードを投げることができ、6軸の荷重/トルクセンサにより2本の脚で自由に移動したり、荒天時の艦上でもバランスを取って行動可能なものとなっている。主要な構造材はアルミニウムで、関節部はチタニウムのバネが使われ、内部電源で30分程度の消火活動を行える。

PEATグレネードというのはハロンなどに代わる消火器のようなもの。
こんなのとか。

http://www.pyrogen.com/Pyroleaflet.pdf

完成するのはまだ先の話で、2013年9月末頃に実地試験が行われる予定となっている。本物の艦艇を使うわけにはいかないが、退役して実験施設となったUSS Shadwell (現役時LSD-15)の艦内で行う。これもNRL傘下のNavy Technology Center for Safety & Survivabilityが保有するもので、チェサピーク湾に係留されており、様々な条件での火災を想定した実験が可能となっている。

http://www.dcfpnavymil.org/R&D/shadwell.htm

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Robo-Gloveの開発

http://www.spacedaily.com/reports/Robotic_Technology_Lends_More_Than_Just_a_Helping_Hand_999.html

NASAとGMは、2007年から共同してRobonaut 2(R2)を開発し、2011年にISSへ送り込んだが、次のプロジェクトとしてR2の技術をフィードバックしたRobo-Gloveを開発しているとの事。

Robo-Gloveは補助動力のついたごつい手袋のようなもので、何かを長時間握っている際の疲労を軽減するように考えられている。調査によると、連続して工具を握り続けた際、疲労を感じるまで2~3分という結果があるそうで、つまり軽く握るだけで済むなら、もっと長時間握り続ける事ができる。

宇宙服を着て作業する事を想定すると、工具を握る力は15~20ポンド。Robo-Gloveを使えば5~10ポンドで済むという試算がある。無重量状態であることも考えれば、さほど大したことではないようにも聞こえるが、そんなに簡単に終わる作業ばかりじゃないだろうし、メリットはそれなりに大きいようだ。

他のメリットとして、長時間労働や反復動作に起因する負傷を減らせるかもしれない、というのがある。このあたりは本業が自動車のGMらしい着眼点で、要するに力まなくていいなら大分楽、ということか。

R2の手と物を握る動作については、多数の特許が出願されている。R2計画全体での46件の出願のうち、21件は手に関するもので、さらにRobo-Gloveの2件が含まれている。
センサで腱の動作を制御し、適切な力で握るという機構は、R2もRobo-Gloveも基本的に同じ。

Robo-Gloveの最初の試作品は2011年3月に完成、2番目の試作品は3か月後の6月に作られた。ちなみに手袋自体の生地はR2と同じものが使われる。
この2番目の試作品は重量2ポンドで、制御基板とアクチュエータ、小型ディスプレイが取り付けられ、動力工具用のリチウムイオン電池がベルトに外付けされる形になっている。
次はシステムをコンパクト化して再設計する方針で、近々完成するとのこと。