メリーランド州でRQ-4が墜落
http://www.spacedaily.com/reports/US_drone_crashes_in_Maryland_Navy_999.html
6月11日、USNはワシントン州メリーランド、Bloodsworth島にて試験飛行中のRQ-4が墜落したと発表した。墜落地点はNASパタクセントリバーの東、約100km。沼沢地であったとのことで、けが人はなく、大きな被害なども無いようだ。事故調査において、民間人のボートなどの進入が規制された程度。
NASパタクセントリバーのRQ-4と言えば、海洋監視ミッションのデモンストレータ(GHMD)に沿って導入されたもので、BAMS-Dとも呼ばれるタイプとなる。
http://www.as.northropgrumman.com/products/ghrq4a/assets/GHMD-New-Brochure.pdf
http://www.defenseindustrydaily.com/global-hawk-uav-prepares-for-maritime-role-updated-01218/
基本的にはRQ-4Aと同型のエアフレームで、VX-20に配備。タスクフォース57としてペルシャ湾岸地域に展開した2009年時点では2機だったが、現在は5機になっていた。このうち1機が事故喪失となって、在籍している機数は4機になっている模様。これらのうち3機は米国内で試験と戦術及びドクトリン開発に使われ、1機が第5艦隊に派遣されている。
米国内でUAVの墜落事故が報じられることは少ない。同基地では2010年、RQ-8の試験中に一時的に通信が切断、遠隔操作不能となって飛行制限区域へ進入しそうになった事例がある。そのままでは撃墜までもあり得る状況となったが、通信が回復したため事なきを得た。
現在米国では、自国内の保安または災害救援ミッションにUAVを投入可能とするよう、その障害となる規制の見直しを行っているが、事故は今後の判断に影響を及ぼす可能性がある。RQ-4は、HALE-UAVの実用機としては唯一のものであり、大きなペイロードの分、用途も広い。実績も積んできた。早期に使いたい機種の一つなのは確かだろう(高いけど)。
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ファントムアイUAVデモンストレータが初飛行
http://www.boeing.com/Features/2012/06/bds_phantomeye_first_06_04_12.html
http://www.spacedaily.com/reports/Boeing_Phantom_Eye_Completes_First_Autonomous_Flight_999.html
ボーイングが開発中のファントムアイは、RQ-4を上回る性能を目指すHALE-UAVで、液体水素を燃料とするレシプロエンジンが最大の特徴となっている。ペイロード450kgで飛行高度65000ft、4日間の連続滞空を目標に掲げているが、現時点で実用型の検討はなされておらず、あくまでも技術デモンストレータとして取り扱われている。
同社がラピッドプロトタイピングで製作している一連のUAVの中では最も新しく、大きい。
軽く名前だけ出てる無人系システムの公式を並べておくと、
ScanEagle Compressed Carriage :
小さく折り畳める翼を与えられたScanEagleで、潜水艦など限られたスペースにも搭載可能とされる。
http://www.boeing.com/advertising/bma/se/se_06.html
Echo Ranger :
自律動作するROVで、ボーイングではautonomous unmanned vehicle (AUV)と呼んでいる。
http://www.boeing.com/Features/2011/08/bds_echo_ranger_08_17_11.html
Common Open Mission Management Command and Control (COMC2) :
オープンアーキテクチャのモジュール化UAS指揮命令系統で、A160Tやファントムアイはこれで操作される。
http://boeing.com/advertising/c4isr/command/common.html
ボーイングの発表では、6月1日6時22分から28分間の初飛行が実施されたとのこと。飛行中、高度は4080ft、巡航速度62ktに達している。着陸時に脚のアクシデントがあったものの損傷は軽微だった模様。ただし元々が台車で離陸するという実験機っぽさにあふれた設計なので、降着装置も贔屓目に見ても適当であったりする。
。中身はフォード製の2.3リッターだが、ロールアウト時は付いてなかったものだ。あと逆Y字みたいな尾翼も特徴的か。
育ちすぎのおたまじゃくしみたいな胴体の大半は、球状の燃料タンク×2基で占められている。あと、わけのわからんエンジンナセルがかっこいい。
http://www.aviationweek.com/Blogs.aspx?plckBlogId=Blog:a68cb417-3364-4fbf-a9dd-4feda680ec9c&plckController=Blog&plckScript=blogScript&plckElementId=blogDest&plckBlogPage=BlogViewPost&plckPostId=Blog:a68cb417-3364-4fbf-a9dd-4feda680ec9cPost:375636e1-78d8-4c8b-a25d-8e3e19558a76
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アフガニスタンにおけるK-MAXの活動
http://www.spacedaily.com/reports/3D_MAW_FWD_explores_the_use_of_unmanned_helicopters_999.html
5月の記事だが、3rd MAWに配備されてアフガニスタンに送られたK-MAXの活動について、USMCの担当者が語っている。
UAV化したK-MAXを中心とする無人空輸システムCargo Resupply Unmanned Aircraft Systems (CRUAS)は、前進基地からCOPまでの補給を空中から行う事で、補給部隊の損害を減らそうという考えからスタートしている。アフガニスタンでは、険しい地形とIED含む敵の待ち伏せの中で行動しければならない補給部隊の損害が、常に大きかった。
ヘルマンド州での輸送任務に就いてからの5ヶ月間で、400回以上のミッションをこなし、輸送量は130万ポンド以上。3月だけで1ヶ月間あたりの輸送量は50万ポンドに達した。この実績は一定の評価を受け、K-MAXの派遣期間が延長されている。ただしUSMCによる信頼性などのデータ収集と評価はまだ続いており、制式化について判断される段階にはない。
現地でプロシージャ作成(地上および空中での安全管理に関する項目が大部分だったそうだ)に携わったオペレータの軍曹は、K-MAXの性能と精度に感銘を受けたと述べている。
2月以降、各国軍の撤退を支援する活動も始めており、その重要性は増しつつある。
http://www.spacedaily.com/reports/K_MAX_Unmanned_Aerial_Cargo_Hauler_Exceeds_Million_Pound_Milestone_999.html
もう一つの記事はLMの発表を中心にしている。
上記の通り、派遣期間は9月30日までの延長が決まった。3ヶ月の延長となる。これについては以前、オプションで最大6ヶ月とされていた。
輸送実績については、2機で、12月からの4ヶ月以内に100万ポンド以上という書き方になっている。
あとの内容は大体同じ。
1飛行時間に対してメンテナンスに要するマンアワーが1.0を切り、目標値をクリアしている。4月には0.8人時という数字が出されてた。
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イタリア海軍がS-100 VTUAVの艦上トライアルを実施
http://www.spacedaily.com/reports/Camcopter_S_100_First_UAS_Ever_to_Fly_from_an_Italian_Navy_Ship_999.html
これも5月の記事。イタリア海軍のソルダティ級フリゲート、ベルサリエーレはCAMCOPTER S-100の艦上トライアルを行った。これはイタリア海軍の艦艇からVTUAVを飛ばした最初の例となる。観測任務を想定したシナリオで、ラ・スペツィア海軍基地から運用され、最大風速25kt、シーステート3ないし4の環境でも支障なく活動できたとのこと。
http://www.marina.difesa.it/uominimezzi/navi/Pagine/Bersagliere.aspx
ベルサリエーレは1985年から1987年にかけ、輸出で成功したルポ級の、イラク向けとして建造された4隻のうちの1隻だが、イラン・イラク戦争のため当時のクラクシ首相の判断により、1988年まで抑留状態となる。戦後、フセイン大統領は取引について交渉を再開するが、引渡しが遅れた分の値引きを要求するなどして法廷闘争に移行。そうこうしているうちに1990年クウェート侵攻、湾岸戦争で国際的な兵器禁輸措置がとられ、短期的にイラクへ引き渡される可能性はほぼ消滅した。1993年、イタリア海軍が引き取る決定を下し、ASW装備が撤去された上で、長距離進出が可能な哨戒艦あるいはフリゲートとして就役することとなる。ベルサリエーレは1995年に就役した。
クラスネームは1番艦の艦名と同じくアルティリエーレ級とする資料もあるが、今の公式ページを見るとソルダティ級と書いてある。これらの艦名は、WW2当時の初代ソルダティ級駆逐艦からとられているので、2代目ソルダティ級と呼ぶほうがすっきりするだろう。初代ソルダティ級は、他の枢軸国艦隊型駆逐艦と同様に、その多くが戦没したが、ソ連に取られたりドイツに取られたりしたものもある。
なおソルダティ級は、2012年2月にフィリピン国防当局者が視察した対象に入っている。両国間にはイタリアから練習機を輸出した実績から、防衛協力のつながりが一応ある。
視察した分野は沿岸レーダーやAPCから、戦闘機や輸送機、哨戒機、UAV、さらには艦艇までとかなり広範囲だったようだ。別に導入が決まったわけではないが、現役艦艇はわりと早期に引き渡せる装備のひとつと言える。フィリピンの極貧ぶりからすると厳しいかもしれないが、軍事的に見てこのクラスの艦は有益だろう。
http://www.philstar.com/Article.aspx?articleId=775432&publicationSubCategoryId=63
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IndraがPelicano VTUAVを市場投入など
http://www.spacedaily.com/reports/Indra_launches_UAV_market_growth_forecast_999.html
4月末にスペイン、マドリードで開催されたUNVEX’12において、同国のUAVメーカーIndraは、ミニUAVマンティスとPelicanoの最新型を展示した。搭載機材のうちIFFトランスポンダと遠隔映像端末はCassidianの開発による。
Pelicanoは離陸から着陸までが完全に自動化され、飛行試験は順調と発表。陸軍向けと海軍向けの2つのタイプが展示された。
海軍向けは艦上運用を前提としたもので、より安全性の高い重燃料の使用に対応し、悪天候下でも安全に着艦可能な自動化システムが組み込まれている。また陸軍向けは4×4車輌に搭載でき、30分以内に飛ばせるとのこと。
警察やレスキュー向けに装備を簡略化したタイプも開発中だそうだ。
http://www.indracompany.com/sites/default/files/PELICANO_Esp_0.pdf
このイベントに合わせてFrost and Sullivanが発表した市場調査資料によると、各国独自開発のMALE-UAV(最大はRQ-1クラスだが、標的機クラスが多数派?)の開発競争が激しい一方、能力は制限される。そして高性能なHALE-UAVは、多くの国々にとって高価に過ぎるため、UAVのニーズにはギャップが出来、そこに市場が存在するという。
Pelicanoのような、比較的大型のVTUAVはまだ少数派であるし、うまくこの市場に売り込める可能性がある、と言いたいらしい。
直接競合するのはS-100だろう。