ポーランドが練習機選定を仕切り直してRfIを発出/インドが2機種のMPAについてRfPを準備中/インド向けMQ-4C BAMSは6~8機程度必要?/RAFのボイジャー空中給油機が部隊配備される

ポーランドが練習機選定を仕切り直してRfIを発出

http://www.flightglobal.com/news/articles/poland-launches-new-trainer-contest-370438/

ポーランドは2011年10月、LIFT選定を取り下げた。選定候補に残ったのはT-50とM.346だった。
取り下げたと言っても、同国がF-16を保有し続ける以上、練習機の需要が無くなるわけはなく、条件を下方修正して仕切り直すことが予告された。それからおよそ半年経った4月2日、新たなRfIが発出され、正式に仕切り直しとなる。

前回の要求にあったうち、戦闘能力に関する項目(FBW、対空/対地兵装搭載能力、AESAレーダー搭載)がごっそり削られたので、候補機は増える。兵装搭載能力に関しては、設計上可能かどうかというレベルに留められた。

入札締切は4月30日。引き渡し時期は2015~2017年とされ、機数は16機。シミュレータと兵站サポート付き契約になり、年間200~250時間程度の飛行時間で30年間運用した場合の経費見積を求めている。

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インドが2機種のMPAについてRfPを準備中

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-to-issue-rfp-for-maritime-patrol-requirements-370218/

Defexpoで明らかにされた。2010年のRFIに続くものとなる。2機種の内訳は、沿岸警備隊向けの中型機、medium maritime patrol (MMP)と、海軍向けの中距離偵察機medium-range maritime reconnaissance (MRMR)となり、いずれも6機程度の発注にオプション6機とされている。業界筋では、MMPは9機程度という情報もあり。

MRMRは現用のBN-2アイランダー(12機が現役)を更新する機種に相当し、長距離哨戒を主体とするP-8Iを補完する。海洋監視を主任務としてASW能力は不要で、ASMを携行可能という要求がついている。2010年のRFIでは、巡航(哨戒時)速度200kt、最高速度300kt以上で監視用のAESAレーダーと前方IRセンサを有し、レーダー/レーザ警報装置を含む自己防御装置一式などが要求されていた。

候補としてP-8Iの派生型という可能性があるものの、ボーイングは詳細な要求仕様を得るのが先と述べているようだ。ASW装備などを大幅に削るとしても、機体そのものはP-8Iと大差ないはずであり、乗員訓練などでもメリットは大きい。が、何らかの理由で飛行停止になったら、同系統の機体が全部飛べなくなったりするといったリスクもある。

もう一方のMMPの方は、あんまり現実的な要求が判明していないみたいだ。ある欧州メーカーがRFIに関して語ったところでは、要求がSAR、ASW、環境モニタリング、救急搬送など何でもアリすぎて、RFIの段階では当事者もどれが優先されるとかよくわかってなかった模様。

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インド向けMQ-4C BAMSは6~8機程度必要?

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-could-require-six-to-eight-northrop-mq-4c-bams-370233/

Defexpoでノースロップグラマンの偉い人が、MQ-4C BAMSはP-8と連携して任務を果たすように最適化されており、インドにおいて24時間365日、常にオンステーション状態とするには、6~8機が必要である、と述べた。
インド海軍は無人機運用部隊として、イスラエル製の無人機ヘロンとサーチャーIIで2個飛行隊を編成しており、この手の装備には高い関心を持っていると見られている。それでなくてもMQ-4CとP-8は抱き合わせ状態なわけであるが。
ただし輸出仕様がどういう感じなのかはよくわからん。SIGINTペイロードを外す他にもUSN向けと同じ能力を発揮できるようにするとは思えない。

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RAFのボイジャー空中給油機が部隊配備される

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-uks-voyager-tanker-makes-service-debut-370540/

4月8日、RAFブライズノートンにおいて、A330ベースの空中給油機ボイジャーが、部隊配備後初の飛行を実施した。
昨年12月に同基地へ移動した後、主翼下のコブハム504Eプローブ&ドローグ給油ポッドの型式証明が終わるまでは飛行を行わず、地上整備訓練などの活動に使われていた。この飛行の後も、まだ完全な任務を遂行できる状況ではなく、あと12ヶ月ほどかけて慣熟訓練やその他の環境整備が行われる事となる。

飛行はAirTanker Serviceという民間企業のクルーによって行われている。この企業は、24年契約でボイジャーを維持運用、さらにはRAFのインストラクター及び乗員の訓練と、予備役の支援までを請け負う。契約では2016年までに14機を取扱う事になっており、このうちRAFでトライスターとVC-10を代替して空中給油機の中核となる9機については、2014年9月までに揃えられる予定。

現在他の機体は、1機がスペインのヘタフェで飛行試験中、2機がボーンマスのコブハム・アビエーション・サービスで転換改修中となっている。

ボーイングがインド向けC-17輸出について契約を締結する/RAAFのF/A-18A/Bの改修/イタリアはF-35の発注機数削減を検討/台湾のF-16A/Bアップグレード交渉進行中/AT-3が空中衝突事故/イスラエルのAH-64Aアップグレード

ボーイングがインド向けC-17輸出について契約を締結する

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-confirms-178-billion-contract-for-india-c-17s-367749/

2月2日、ボーイングはインドと17億8000万ドルの契約を締結したと発表している。ただし内容は明らかでない。2010年のオバマ大統領訪印時のステートメントでは、10機で41億ドルとされていたので、その一部の契約に留まった可能性がある。なおF117エンジンを搭載したC-17の参考価格は、1機あたり2億5000万ドルとされている。

C-17の製造は、USAF向けの発注が、FY2010の10機(全体で223機)を最後に止まってしまうという事情に、大きく影響を受けた。それ以降の製造は、海外顧客の発注状況次第となり、単価を据置のまま継続するためには、年間10機を製造する必要がある。
RAAFなど既存顧客への追加提案や、新たな市場の開拓といった努力が続けられているものの、製造終了の時期を睨みつつ、サプライチェーンの方をコントロールしていかなければならない時期に来ている。現状のまま、5月以降に部品発注を続けるとしたら、それは買い手が付くか判らない機体の分になってしまう。

あとは製造ペースを更に減らして単価を上げるか、別の市場を開拓するかという事になる。
民間向けに転換する案はMD時代からあったが、これは商用航空輸送会社からの評価がイマイチで終了…と思ってたら、まだ完全に潰えたわけじゃなかったみたい。クレア・マカスキル上院議員はFAAに対し、民間型式証明の取得プロセスを早めるよう働きかけているとのこと。MD時代はMD-17、その後はBC-17とかBC-17Xとか呼ばれていたものだ。

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RAAFのF/A-18A/Bの改修

http://www.flightglobal.com/news/articles/bae-l-3-win-contract-extension-for-australian-hornet-modifications-367646/

2003年から続いている改修で、エアフレームのリフレッシュと能力向上を含む。BAEシステムズの現地法人とL-3MASカナダが担当している。
14機の改修が追加されたことで、期間が10か月延長、金額も8000万オーストラリアドルから1億3000万オーストラリアドルまでの増額契約となる。

Hornet Upgrade (HUG) と呼ばれており、アビオニクスや航法装置やレーダーなど、かなり大掛かりな改修になっている。MLU相当。

http://www.defence.gov.au/news/raafnews/editions/4412/story04.htm

http://www.defence.gov.au/DGTA/Documents/DAVENG/Software%20Symposium%20documents/2011/Day%202%20Presentations/HUG%202%20(Hudson%20&%20Saarenpaa)%20-%20USN%20Sw%20Development%20and%2023X%20Compliance%20Finding.pdf

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イタリアはF-35の発注機数削減を検討

http://www.flightglobal.com/news/articles/italy-committed-to-f-35-programme-but-may-cut-order-367733/

イタリアは、JSF計画にはレベル2パートナーとして参加しており、それなりにまとまった数のF-35の導入を表明していた。が、ここに来て2012年の装備調達計画では、14億5000万ユーロの減額という大幅削減が打ち出されており、F-35の発注が槍玉に上がっている模様。
当初のプランではA型×62機、B型×69機、合計131機とされていたものが、B型を中心に20~30機程度の削減幅が提示されているという。

F-35の調達に関しては、既に20億ユーロが費やされているが、全体では174億ユーロにも達する事から、計画は議会から問題視されているのが現状。

とはいうものの、レベル2パートナーとして重要な位置につけている事も確かで、パオラ国防相が建設中の最終組立ラインとFACO施設を視察したり、LMのトム・バーベッジ副社長がイタリアを訪問したりしてる。FACO施設は20の建造物と付随するインフラから構成され、敷地面積は6万平米。2012年末に完成予定という。
これらの施設はイタリア空軍向けに加えて、オランダ空軍向けの約80機も組立を行うことになる。ここでは最終組立、整備、修理、オーバーホール、将来のアップグレード改修まで実施可能。またアレニア・アエロマッキの分担である主翼も製造され、これは2023年まで約1200機分を供給する事になる。全体としては、イタリアの20社ほどが関係する。

また最初のF-35Aがイタリアに引き渡されるのはおよそ2年後で、訓練は米国で行われる予定。

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台湾のF-16A/Bアップグレード交渉進行中

http://www.flightglobal.com/news/articles/taiwan-values-f-16-upgrade-at-nt110-billion-367850/

台湾国防部は、RoCAFの保有するF-16A/B×152機のアップグレード改修について、LMとおよそ1100億台湾ドル(37億米ドル)相当の交渉を行っていると発表した。アップグレード改修の内容についてはまだ確定していないとのことだが、今回の発表は「他の予算を500億台湾ドル削ってアップグレードに充てる」とする地元報道への反論として出されたようだ。
今回の発表された数字は、2011年9月承認時に米側のDSCAから出た、53億米ドルというものより大分低い。この時はAESA×176セット、AN/ALQ-213×176セット、JHMCS×128セットに加えて、AIM-9Xなどの兵装が含まれていたが、台数か何かが削られてる可能性も無くはない。
このままやれば、Block60にも近い仕様となるはず。

AN/ALQ-213 EWMSの公式ページ。

http://www.terma.com/defense/aircraft-survivability-equipment/electronic-warfare-management-systems/

ここで業界的に注目されるのが、AESAに何が採用されるのかという点。
F-16アップグレードのAESAは、ノースロップグラマンのRACRとレイセオンのSABRのいずれかとなる。米国が採用を決めた時点で趨勢が固まると思われるものの、海外含めて大量発注はまだ無い状態が続いている。輸出で言えば、韓国向けの134機分というのも大きい。これは2011年11月から選定を開始している。

最初の発注で勝負が決まるというのが大方の予想らしい。

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AT-3が空中衝突事故

http://www.flightglobal.com/news/articles/taiwan-grounds-at-3-trainers-after-mid-air-collision-367800/

RoCAFの話題がもう一つ。台湾の国産練習機、AIDC AT-3が2月4日、訓練飛行中に空中衝突事故を起こし、1機が墜落した。衝突したもう1機は、自力で基地へ帰投している。墜落した方は乗員2名とも脱出に成功するも腕の骨折などの重傷を負った。この事故を受けて当局はAT-3の飛行停止を発表。

AT-3は1980年代末から12回の事故を起こしており、7人が死亡しているとのこと。画像は飛行展示チームのAT-3。

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イスラエルのAH-64Aアップグレード

http://www.flightglobal.com/news/articles/israel-resumes-apache-upgrade-programme-367647/

イスラエルは元々、AH-64Dの追加導入を望んでいたのだが、最終的にはA型を近代化改修する方を選んだ。3機が米国に送られたが、昨年は予算の都合で計画が凍結された。これが運用上のニーズに合わせるべく再開されたという話。これらの機体は、2012年末にはイスラエルへ戻される事になっている。

イスラエルは現在、AH-64D×18機を運用している。これらの機体は新造または再生機で、イスラエル製の兵装がインテグレーションされており、Sarafと呼ばれる。その他の型を合わせて50機程度が現役。

A型の近代化改修と密接に関連しているのが、米陸軍がAH-64Aの寿命延長を決定するかどうかという点で、余剰となれば譲り受けたい意向があるらしい。米陸軍がD型だけ残すというのは、割とあり得そう。

英国防相がF-35計画の将来に懸念/イスラエルのLIFT選定が近付く/ルノーがフランス軍に発砲検知システムを供給

英国防相がF-35計画の将来に懸念

http://www.spacewar.com/reports/Britain_voices_concern_over_future_of_F-35_in_US_999.html

1月4日、ワシントン・シンクタンクの催した大西洋会議において、フィリップ・ハモンド英国防相は、レオン・パネッタ米国防長官に対して、QDRによる軍事予算削減がF-35計画に及ぼす影響に関して話し合いたいとの意向を表明した。

米国のQDRに関しては、二正面戦略の放棄と軍事予算削減(次の10年で4870億ドル削減)の2つをメインに、一般報道でも大きく取り上げられた。実際のところ、軍事予算規模が縮小するのは、この10年、大規模な海外での軍事行動が続いたからという面も大きいから、流れとしては必然と言える。問題はどれだけ減って何に影響が及ぶか、という話。
そしてQDRの大枠は発表されたものの、具体的な内容は現時点では乏しい。特に米軍向けのF-35調達プログラムは、およそ3850億ドルという史上最大規模の値札が付いてるので、一般的には予算削減の影響を免れないと考えられている。

英国はF-35B導入を取り止めてF-35Cに変更することを正式に決め、これに伴って両国間ではcarrier cooperationに関する合意が成されたとのこと。英国では絶えて久しいCTOL空母運用の準備のために、米国が乗員とパイロットの訓練を援助することが決まっている。
英海軍がCTOL空母の保有と運用を止めたのは、フォークランド戦争の後、2代目HMSハーミーズ(現INSヴィラート)退役の1984年。この時点でスキージャンプを追加されており、艦載機はシーハリアー。その前は回転翼機を搭載した対潜艦やコマンドー母艦として使われていたから、CTOL艦載機を積んでたのは、もっと古い時代の1960年代一杯、ということになる。
ウィキペによると最後期の1968~1970年当時のCAWの内訳は、

801NAS バッカニアS2×7機
893NAS シービクセンFAW2×12機
849NAS ガネットAEW3×4機とガネットCOD4×1機
814NAS ウェセックスHAS3×5機(ASW機)
救難機 ウェセックスHAS1

といったものだったようだ。時代を感じますな。

話を戻すと、英国は少なくともプリンスオブウェールズ就役に間に合わせたいと考えているので、引き渡し時期の変動には神経を使わざるを得ないわけだ。どっちも遅延気味だけども。

開発パートナー国が及び腰になり、ついに米国も折れそうになってる状況では、計画の先行きが危ぶまれるのも仕方ないことであろうが、メーカーから見るとあくまでも「輸出向けは別枠」なので、実はカギを握るのはFMS第一陣のイスラエルと日本なのかもしれない。
うまくやれるのかなあ…

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イスラエルのLIFT選定が近付く

http://www.spacewar.com/reports/Israel_out_to_wrap_up_1_billion_jet_deal_999.html

イスラエル国防相ウディ・シャニは、選定候補を製造しているメーカーを相次いで訪問した。すなわち先週イタリアのアレニア・アエロマッキを訪問、今週は韓国へ飛んでKAIと話し合いを行った。はず。
A-4後継のLIFT/軽攻撃機×20~25機(金額は10億ドル程度)の選定は大詰めに差し掛かっている。

二国間の防衛協力にも直結しているという件については以前書いた通り。
大雑把にまとめると、イタリアからM-346を買うとなればAWACS機×2機のバーター、衛星の共同開発、イスラエル製UAV導入などで10億ドル相当の取引に繋がる。マイナス要素としては、ネタニヤフ首相と個人的なパイプがあったベルルスコーニ首相の失脚、ドバイでの墜落事故(乗員は脱出に成功したが機体はペルシャ湾に沈む。原因未公表)がある。
韓国からT-50を買うとなれば、UAV、ATGMや対砲・ロケット弾・ミサイル防御システムの導入など50億ドル規模の兵器取引、回転翼機での協力、KAIとエルビットの合弁設立など。また現時点でもイスラエルと韓国は防衛に関する協定を結んでおり、年間2億8000万ドルの取引があり、T-50が選定されなかったらこれを取り止める事を表明している。
マイナス要素は特にないが、なんか韓国側が一方的に顧客になってるだけのような気はするし、金額がフカシ気味に見えなくもない。

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ルノーがフランス軍に発砲検知システムを供給

http://www.spacewar.com/reports/Renault_delivers_gunfire_detection_systems_999.html

フランス陸軍は昨年、アフガニスタンへ展開するVAB装輪装甲車に、ルノー製のSlate acoustic sniper localization systemを搭載する事を決定。ルノーは11月下旬にDGA向けとして80セットを供給した。

このシステムは、12.7mmの遠隔操作機銃(ノルウェー製のRWS、TOP12.7/プロテクターM151)と連動し、ターレットを自動的に撃たれた方向へ旋回させることが可能となっている。また口径と発砲位置をある程度識別して記憶でき、将来的には戦術情報システムでデータ共有も可能なようにできているとのこと。

01dB-Metravibの音響センサが使われてるようだ。

http://www.01db-metravib.com/uploads/media/Press_release_Slate_VAB_-_050112.pdf

記事がプレスリリースまんまだった。

リビアで散逸したMANPADSのうち約5000発が見つかる/ブラジル海軍がC-1Aトレーダーの近代化改修を計画/セルビア空軍がUtva Lasta初等練習機を受領

リビアで散逸したMANPADSのうち約5000発が見つかる

http://www.spacedaily.com/reports/US_has_found_5000_missiles_in_Libya_999.html

米国がリビアへ派遣した専門のグループが発見したとのことで、その数は約5000発。ただしNATOの航空攻撃で破壊された分などもあるため、全体でどれだけ残っているかは定かでない。民兵を武装解除する手助けの一環ということみたいだ。

一部では米国が、リビアから散逸した兵器の「買い戻し」を試みたとの噂もあったようだが、これは公式には否定され、MANPADSなどの破壊についていろいろな方法を試みていると述べるに留まった。

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ブラジル海軍がC-1Aトレーダーの近代化改修を計画

http://www.flightglobal.com/news/articles/brazilian-traders-set-for-modernisation-365929/

ブラジル海軍はFMSによりC-1Aトレーダー×8機の購入を決めているが、そのうち4機について近代化改修の予算が付いたとのこと。米海軍の先代COD機で、1980年代まで使われてたもの。

受注したのは、アリゾナ州メサに拠点を置くMarsh Aviationで、金額は1億6700万ドル程度。内容としては、機体のオーバーホールとリエンジン、アビオニクス更新、通信/航法機器のアップグレード、ホース&ドローグ式の空中給油装備追加が予定されている。
元のC-1AのエンジンはライトサイクロンR-1820-8WAで、これをハネウェルTPE331-14GRに変更、さらにHartzell HC-135MA-5という5枚プロペラ装備とする。内容としては、S-2Tと同等。

2011年3月、2機がMarsh Aviationに引き渡され、18ヶ月かけて改修を施されている。2014年4月に完了予定。そして今回契約の4機は2015年10月に引き渡しというスケジュール(当初は空中給油装備機2機だけの予定だったぽい?)。

なおこの改修により、C-1AトレーダーからKC-2ターボ・トレーダーへと改称される。
艦載機で50年ものというのはナニゲに凄い。スカイホークもだが。

残った2機はAEW化する方向で検討されており、2012年後半にも決定の見込み。
搭載するセンサは、Eliradar HEW-784とタレスのサーチウォッチャー2000が候補に挙がっている。どちらもAW101など大型回転翼機AEWシステムとして提案されてるタイプ。
システムインテグレーターとしてエムブラエルが参加するとみられる。

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セルビア空軍がUtva Lasta初等練習機を受領

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-serbia-receives-first-lasta-basic-trainers-eyes-more-mi-17s-366214/

Utva Lastaはセルビア空軍(ViPVO)ではV-54と呼ばれる。最初の機体は10月中旬、Batajnica空軍基地の第252訓練飛行隊に引き渡された。12月9日の時点で2機が配備されている。全発注数は15機で、2012年内に全機が納入される予定とのこと。

本機のエンジンはライカミング製のAEIO-540-L1B5Dで、セルビア軍の装備としては20年以上前のUlva G-4スーパーガレブ以来の新型機配備となる。なお2012年12月というのはセルビア空軍創立100周年にあたるそうだ。

同型機としては、イラク向けのLasta 95N(20機発注)がある。これに対してセルビア軍向けは、ガーミンG500など、より進歩したアビオニクスを有し、訓練にかかる経費を節減できるとしている。
またハードポイントが2カ所あり、57mm無誘導ロケット弾、機関砲ポッド、無誘導爆弾などが搭載できる。

この他セルビア軍では、Mi-17の追加導入を検討中とのこと。

 

インドのAWACSとブラモスの装備計画について/M.346のLIFT/戦闘機型などについて/JF-17の導入をアゼルバイジャンが検討

インドのAWACSとブラモスの装備計画について

http://www.spacewar.com/reports/India_more_AWACS_and_BrahMos_missiles_999.html

タイムズ・オブ・インディア紙は、インドがEltaからEL/M-2075 Phalcon AWACSを2セット追加導入する方向で交渉中と報じた。金額は8億ドルとみられる。インドは2009年から2010年にかけ、ロシアのIl-76にPhalconを搭載したAWACSを3機受領している。
2010年11月にインド国防省が発表したところでは、この契約の1機目は2015年に受領する計画。全部で6機導入という計画はあったようだが、現状そのままかよくわからない。

エムブラエルE145に国産AWACSを搭載するミニAWACSの方は、これには特に影響は受けないということになっており、3機で4億ドル程度と見積もられてる。が、公式なゴーサインはまだ出てないみたい。
インド国産のAWACSシステムは現在開発中で、国産化率85%を目標とする。
レーダー探知距離は150~225マイル、滞空時間5時間程度。ボーイングは、2010年初めにミニAWACSのプラットフォームとしてB.737-700を提案したという。これだと737AEW&Cと同等になるから、E145よりだいぶでかい。しかし実際問題としてE145でインドの領空・領海をカバーしようとすると、相当数要りそうなイメージはある。

ブラモスの方の話題は、新たに一個連隊が編成されてアルチャーナル・プラデーシュ州に配備されるとのこと。この地域はヒマラヤ山脈東部で、中国との国境地帯にあたり、インドが実効支配している側。

2010年、インドはブラモスの空中発射型(軽量型)を開発し、2012年にSu-30MKIに搭載する計画を発表した。
ブラモスの開発当時は、輸出も視野に入れていたものの、その試みはうまく行ってない。今のところ配備してるのはインド軍のみ。航空機搭載型がうまく行けば別の市場に売り込めるかもしれない。

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M.346のLIFT/戦闘機型などについて

http://www.flightglobal.com/news/articles/dubai-finmeccanica-looks-to-expand-trainer-aircraft-line-up-364715/

ドバイエアショー関連の続き。フィンメカニカも、ご多分にもれずGCC諸国向けの売り込みを強化している。アレニアなどの親会社でEADS絡みとは言え、CASAのように完全に吸収された感じでもなく、ある程度独自の製品開発と販売戦略を保持している。

大きな柱は、一連の練習機と、ATRの旅客機、C-27Jといったものだが、記事では練習機について詳しく触れられてる。

フィンメカニカは今後、練習機のラインナップを拡充、近代化するため、初等練習機SF-260TPのアビオニクスアップグレード型、中等練習機M-311の改良・リエンジン型(新型ターボファンエンジン搭載、大型化・一新されるコクピット、構造強化を含む)、M.346に戦闘能力を付与した派生型を開発する計画を発表した。

M.346のLIFT/戦闘機型に関しては従来、搭載兵装はそのままでもある程度可能で、レーダーを積めばこういうこともやれます、といった提案に留まってたと思うが、正式ロンチおよび開発スタートは来年となる。
Selexガリレオにより、このクラスに搭載可能なAESAレーダーは既に開発されているので、要素は一通り揃ってるはず。

http://www.selexgalileo.com/EN/Common/files/SELEX_Galileo/Products/Vixen_500E.pdf

小型なので性能はそれなりだが、AESAなのでMTBFは長い。
同種の機体では、1990年代にホーク200のレーダーとしてAPG-66系が計画された例がある(実際には搭載されなかった)。
またYak-130向けレーダーは、NIIPのOsaというのが提案されてる。

http://www.deagel.com/Aircraft-Warners-and-Sensors/Osa_a001865001.aspx

レーダーの他には、LINK16対応の通信系、HMD、ElettronicaのRWR、自己防御システムなどがインテグレーションされ、機体側はハードポイント9箇所(中心線1、翼端2、翼下6)の機外搭載量3000kgに変更される。空対空、空対地の各種兵装とガンポッドが搭載可能となる予定で、例としてはMBDA Marte Mk.2/S-AやブリムストンASM、外部燃料タンク、ターゲティング/偵察/EW/訓練ポッドなど。
アレニア・アエロマッキでは、ロンチから18~24か月で製造可能になるとしている。LIFTに戦闘能力を求めていたイスラエルの発注を踏まえての発表なのかどうかは、今のところ定かでない。

Yak-130と比べてみたら、ハードポイント数と機外搭載量はほぼ等しいようだ。
電子装備と兵装の分だけ若干高性能になる感じか。

http://www.airforce-technology.com/projects/yak_130/

ロシア空軍向けの最終仕様はレーダー搭載されてるのかどうかよくわからんが、搭載されてないみたい?

http://www.yak.ru/ENG/FIRM/art_switch.php?art=3

競合するのは例によって(T/A-50相当の)T-50になるが、こちらの機外搭載量自体は3tonに満たないとする数字もある。
「日本周辺の軍事兵器」から。F/A-50の項で2725kgとある。

http://www6.atwiki.jp/namacha/pages/157.html

パワーはあってもM.346より翼下ハードポイントが2つ少ないので、積むとこがないのは確かだ。

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JF-17の導入をアゼルバイジャンが検討

http://www.airforce-technology.com/news/newsazerbaijan-eyes-pakistan-jf-17-thunder-aircraft

パキスタン側のPACが公表して、アゼルバイジャンの地元メディアが報じたようだ。
まだ契約には至っていないものの、既に複数回の交渉を行っており、初期導入機数については、ある程度見えてるという。

アゼルバイジャン空軍の主力戦闘機はクラシックMiG-29のフルクラムAらしいので、下手に近代化を試みるよりは、初めから運用も安上がりな単発機で…という流れになるのもわからんではない。

最初の報道は2年前か。

http://news.am/en/news/8954.html

UAE向けM.346の契約交渉延期中/Yak-130がデモフライトを実施/イスラエルのLIFT選定で韓国と揉める

UAE向けM.346の契約交渉延期中

http://www.flightglobal.com/news/articles/dubai-alenia-still-confident-of-securing-m-346-sale-in-uae-364662/

UAEは2009年、新高等練習機(戦闘任務向けと曲技飛行チーム向けを含む)としてM.346の選定を決めているが、その後のアレニアとの契約に至る交渉は不調となり、現在に至るも無期限で交渉が中断・延期された状況となっているそうだ。契約まで進めば、M.346としては初の海外輸出になるはずだった。

この件について、大きな進展は発表されていないものの、アレニアはこの地域での売り込みを続けており、7月にはクウェートでは高温環境下でのトライアルが実施されるなどの動きがあった。またサウジアラビアも関心を示してるという。

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Yak-130がデモフライトを実施

http://www.flightglobal.com/news/articles/dubai-irkut-flying-high-with-yak-130-programme-364693/

M.346の元になったYak-130の方は、アルジェリアへの輸出について、今月中にも契約すると発表。こちらも初の海外輸出で、今年末から2017年頃までに16機納入というスケジュールが計画されてるようだ。
また既にアルジェリア空軍のパイロットがロシアに派遣され、最初の飛行訓練を実施しているとのこと。配備後は、Su-30MKAのパイロット訓練に使われる。

Yak-130はロシア空軍で採用され、今年4月から8機が訓練任務に就いている。また、65機が追加発注されたことも発表された。

メーカーのイルクートによると、競合機に対する優位点としては、安価であることと軽攻撃機としての能力が高いこと。

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ドバイ関係ないが練習機の話題。

イスラエルのLIFT選定で韓国と揉める

http://www.spacewar.com/reports/Israel_South_Korea_scrap_over_jet_deal_999.html

イスラエルのLIFT選定は数度の延期を経てT-50とM.346の2機種に絞られていた。最近では韓国との軍事協力などの絡みと、T-50の方が(おそらくはやや高価ながら)明らかに高性能であることから、T-50有利、とも言われていたものの、数週間前に韓国側が、イスラエルとイタリア間で予備協議の合意に至ったとして不満を述べる。

この予備協議については、半年前にハーレツ紙が報じているもので、イスラエルとイタリアの包括的な軍事協力に関する内容であり、M.346だけでなく、衛星の共同開発や、おそらくはIAIとのUAV共同開発まで含まれるとされた。イスラエル側から提案されたもののようだ。
そこから更に、AWACSとのバーターというところに繋がってる。こういうバーター取引って結構イイのか?確かに国家予算的には調整しやすいかもしれないが、IAIも国営企業なんだけども。民の部分に転嫁しやすいということなのか。あるいは、この場合は機体を一から作るわけじゃないあたりにカラクリが?

また同紙ではLIFT選定にあたって明らかに「経済的要因」が重視されてるとも報じていた。
価格の問題ということなら、M.346が有利とも読める。

さて、これが事実であれば、韓国側にとってはかなり決定的なダメージになるため、M.346を選定したらイスラエルとの兵器取引を全てご破算にすると通告した。
近年のイスラエルから韓国への兵器輸出総額は年間2億8000万ドルに達しており、実質的な最後通牒という感じだが、今のところアイアンドームやDavid’s Slingのような神経症的対ミサイル/ロケット弾防空システムはイスラエル以外から買えないので、韓国にとっても痛手のはずだ。

波乱含みの展開が続くが、2012年早々には選定される予定となっている。

ポーランドがLIFT選定をキャンセル/IAIがイタリアに対してG550 AEW&Cを提案/KF-Xについてのソウルエアショーのまとめ/アフガニスタン派遣中の英海軍シーキングHC.4+が撤退

ポーランドがLIFT選定をキャンセル

http://www.flightglobal.com/news/articles/lift-off-poland-cancels-armed-trainer-contest-364024/

10月27日、選定期日の前日になってLIFTの選定がキャンセルとの発表があった。RfPも取り下げ。最終的に提案されていたのは、M.346とT-50Pの2機種、機数は16機だった。

ただLIFTの導入が完全に消えるというわけではなく、条件を変更して来年改めて選定するとのこと。変更されるのは戦闘能力に関する項目で、軽攻撃機としての能力については削除される。よって、普通の高等練習機の仕様でRfPが出ると予想されている。機数は未定。ミッションシミュレータとの併用も考えられてるようだ。

ポーランド国防相によると、プログラムコストは30~40%も下げられる見通し。これまでの計画では、16機で4億7600万ドル相当だった。
条件が違うので機数がその比率で減らされるわけでもないと思うが、減額が大きいので16機確保は難しいかもしれない。
ちなみにT-50×16機と言えば、インドネシア向けのが4億ドルぐらいだった。

次の計画では、新練習機は2015年配備予定。それまでの訓練については、米国派遣(T-38による訓練)とPZL TS-11を使った体制を継続することになる。

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IAIがイタリアに対してG550 AEW&Cを提案

http://www.flightglobal.com/news/articles/iai-offers-italy-airborne-early-warning-system-deal-363978/

現在イスラエル空軍のLIFT選定が進行中だが、同国では予算削減圧力が強い。そのため、予算確保が困難な状況の打開策として、M.346を提案するイタリアとはバーター取引という可能性を模索中と伝えられた。
今回、IAIがこれに応えて、AEW&Cの具体的な提案が出てきた格好。内容としては、G550 AEW&C×4機分のフルパッケージというもの。イタリア空軍はAEW&Cを8機配備する計画みたいなので、半数がこの取引で供給されることになる。

イスラエルのLIFTの導入機数ははっきりしないが、25~35機ということなら交換レートは1:6~9だな。

G550 AEW&Cは、イスラエル空軍のほかにシンガポール空軍でも導入している。またイスラエルとイタリアはUvda空軍基地での合同演習において相互運用性を確認している(イタリアのトーネードがG550 AEW&Cの誘導を受けてミッションを実施した)ので、導入のハードルは低いと見られる。これが無くても、導入する可能性は比較的高い。
これと競合するのはB.737AEW&Cとのこと。

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KF-Xについてのソウルエアショーのまとめ

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-south-korea-outlines-strategy-for-indigenous-fighter-363847/

記事としては今までの流れのまとめで、まあちょっと楽観的すぎますよねっていうかスケジュールもコストも性能も全体的に無理だろこれ、というのが書いた人の感想。

根幹部分は結局海外頼りになる可能性が高く(AESAのハードはできてもソフトは無理とかDAPA自身も認めてる)、現時点ですらエンジン買うならうちの他の技術も買えやみたいな状況になってきてる模様。ユーロファイターもボーイングも、自社プレゼンで勝手なKF-X想像図を紛れ込ませていた。

以下トリンブルさんブログから、

ボーイングの。

http://www.flightglobal.com/blogs/the-dewline/2011/10/boeing-sneaks-a-peek-at-kf-x-d.html

ちょっと興味深いのは、ユーロファイターがEADS MAKO/HEATの焼き直しみたいなのを出してきたことだ。

http://www.flightglobal.com/blogs/the-dewline/2011/10/seoul-air-show-eurofighter-sha.html

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アフガニスタン派遣中の英海軍シーキングHC.4+が撤退

http://www.flightglobal.com/news/articles/uk-withdraws-sea-king-transports-from-afghanistan-363839/

英海軍は、2007年からシーキングの輸送型であるHC.4+を派遣していたが、9月30日で最後のミッションを完了、AW101マーリンHC.3/3Aと交代することになる。
RNASヨービルトン所属の、845Sqnと846Sqnのシーキングは、キャンプ・バスチョンに展開し、3800回以上のミッションをこなして累計飛行時間12500時間以上を記録した。この間の、のべ輸送兵員数80000、物資700ton以上となる。
ヨービルトンに戻った後は活動を縮小、訓練支援任務に就き、2016年まで運用される予定。輸送任務はRAFが担当する形となり、そちらは2010年代後半からCH-47が配備予定。

RAFが保有するマーリンHC.3/3Aの機数は24機。

南アフリカが軽攻撃/観測機AHRLACを独自開発/エクアドルが中古SH-2の導入を計画/PZL-130の近代化/ブラジル空軍のP-3AMが配備

南アフリカが軽攻撃/観測機AHRLACを独自開発

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-south-african-firms-unveil-indigenous-light-attack-aircraft-362595/

http://www.flightglobal.com/news/articles/south-africas-ahrlac-draws-numerous-potential-buyers-362612/

AHRLACはadvanced high-performance reconnaissance light aircraftのアノニム。
自主開発したのは南アフリカ企業のAerosudとパラマウントグループで、外観は2人乗りのキットプレーンか、ツインテイルブームの中型UAVの有人タイプといったところ。既存機でいえばOV-10を縮小して単発にしたような感じ?
昔、スケールドコンポジットがこんなの作ってたような気もする。構想だけだったっけ。

エンジンはPWカナダのPT6A単発、ペイロード800kgで、7~10時間の滞空が可能という。
想定する任務は沿岸/国境警備と密輸対策など。作戦行動半径2130km、最大巡航速度555km/hとそこそこ高性能で、STOL性を有する(ペイロード込みでも離陸に必要な滑走距離は550m)。
ハードポイントは主翼下6カ所、20mm機関砲、無誘導ロケット弾ポッド、その他の対地兵装やBVR-AAMの搭載も潜在的には搭載可能という。

現在、風洞実験モデルの他、実寸のコンセプトモデルとコクピットレイアウトモデルが製作されている。製造段階まで進めばAerosudの工場を使って量産されるとのこと。南アフリカにはCenturion Aerospace Villageという航空宇宙専門の国策工業団地みたいのがあって、同社の施設もここに位置してるようだ。

http://www.cav.org.za/

無人機で実現しているようなミッションを有人機で実行可能というのが売り。
有人なら普通の作戦機として扱えるし、即応性も高い。地上側のミッションシステムも最小限で済む。一方、長時間滞空するとなれば、搭乗員の負担が大きくなるのは難点と言える。
民間航路が死んでて無人機を勝手に飛ばしていいような地域でなければ、有人機のメリットはそこそこ大きい。ただエアフレームとしてはUAVと大差ないので、やろうと思えばわりと簡単に無人機にもできそうだ。
あとは機体強度とかその辺か。

下の方の記事では、パラマウントグループの社長の話として、西欧諸国をはじめ、アフリカ、東欧、ラテンアメリカ、中東といった多数の潜在顧客が興味を示し、協議も進行中であるというのが出てる。これらは軍用機としての引き合いがほとんどだが、より安価な装備の民間向け観測機タイプもある。
公海上を別にしたら、イラクやアフガニスタンみたいな航空無法地帯は例外的だしなぁ。実は有人機の方が求められるケース、というのは無視できない。

9月27日、プレトリア近郊のAerosudの研究施設で公開されたそうだ。最初の原型機は2012年Q2に初飛行を予定。24ヶ月以内に量産体制に入れるとしているが、当初の製造能力は月産2~3機ペースとなる見込みで、需要を満たせるレベルではないとされる。

原型機から初期の量産機の段階では、機体材質は複合材を限定的に用い、大部分は金属。複合材の割合は将来的には増加する可能性がある。また2年以内にジェットエンジンを積んだタイプも開発したいとのこと。
進出速度の分は滞空時間縮むかと思うけど、エンジン止めて滑空で滞空時間稼ぐのかねこれ。

なお、こっちの記事の概念図にはMokopa ASuMが積まれてる。

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エクアドルが中古SH-2の導入を計画

http://www.flightglobal.com/news/articles/ecuador-eyes-sh-2gs-to-counter-drug-smuggling-mini-subs-362694/

米海軍を退役したSH-2シースプライト、ということはSH-2Fなので相当古い代物だが、エクアドルはこれを購入して改修を施し、麻薬密輸に使われるミゼットサブ狩りに使用する計画。

米議会の承認は必要となるが許可が出るとすると、購入する機数は2機、L-3コミュニケーションズHELRASソナー、テレフォニクスAPS-143C(v)3レーダー、FLIRシステムズAAQ-22などを新たに統合する。金額はおよそ6000万ドルという。

麻薬戦争という枠組みで見れば米国の問題でもあるので、たぶん通るんではないかと。

HELRASは吊下げ式のアクティブソナー。

http://www2.l-3com.com/os/airborne_helras_spec.html

APS-143C(v)3の商品名はオーシャンアイ。SARモードのある海洋監視レーダー。

http://jproc.ca/rrp/rrp3/ch148_aps143.pdf

http://www2.l-3com.com/os/pdfs/HELRAS_DS100_Nov07_low.pdf

AAQ-22の商品名はStarSAFIRE III HD。

http://defense-update.com/products/s/starSAFIRE.htm

わりと本格的なISR能力も備える事になる。
SH-2Fのハードポイントは2カ所で、搭載兵装としてはMk.46かMk.50を2発積める。

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PZL-130の近代化

http://www.flightglobal.com/news/articles/polands-orlik-trainer-to-get-glass-cockpit-362034/

ポーランドのPZL-130 Orlikはターボプロップ単発の練習機。エアバスミリタリーPolskaはポーランド空軍のITWLと協力して、PZL-130のアビオニクスなどを近代化する開発を行う。
デモンストレータはOrlik TC-IIGCと呼ばれ、2013年に初飛行を実施して、同年中に型式証明を取得する計画とのこと。

国際市場向けにも考えてるみたい。既存機改修というか、新型機扱い?

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ブラジル空軍のP-3AMが配備

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-brazilian-air-force-fields-first-p-3am-orion-362764/

9月30日、ブラジル空軍はP-3AMの最初の機体をサルバドル基地、1º/7º GAvに配備した。
エアバスミリタリーに対し、機体のオーバーホールとアビオニクスから兵器システムまで全面的な近代化改修を依頼していた機体の最初の1機。年内にあと2機を加えて3機が配備される見通し。改修はマドリッド近郊のヘタフェ工場で行われた。このほか5機の改修機が2012年に引き渡される計画で、それ以外の未改修の機体は訓練用途で残る。

元は米海軍のP-3Aで、2002年に中古で12機を購入、EADSと改修で契約したという流れ。
つまり未改修は4機ということになる。この他2005年にスペア用として3機を取得したようだ。これはP-3BRと呼ばれる。

今回のP-3AM配備は、15年ぶりの航空対潜作戦能力の再獲得ということにもなる。
先代はP-95B/EMB-111A Banmdeirulha。

http://www.airliners.net/search/photo.search?aircraftsearch=Embraer%20EMB-111A%20Bandeirulha&distinct_entry=true

EMB-110バンディランテを元にしたMPAだったらしい。資料が少ないので、本格的な対潜作戦能力があったかよくわからない。

2009年4月29日付のプレスリリースでP-3AM改修機が初飛行とある。

http://www.eads.com/eads/int/en/news/press.710f342a-ab3b-4af1-b60e-001e8dbd250a.08af92a7-2c53-400a-8429-8b135733cbcc.html?queryStr=P-3&pid=1

搭載するミッションシステムはEADS CASAが開発したFITS(Fully Integrated Tactical System)というもので、C-212/CN-235/C-295その他の旧CASAの機体に載ってる。

http://www.eads.com/eads/int/en/news/press.d55cdb42-e580-4e96-85aa-64851d5274ba.08af92a7-2c53-400a-8429-8b135733cbcc.html?queryStr=FITS&pid=1

スペインのP-3Bもこれを載せたらしい。あとA319MPAとかにも載る。

http://www.eads.com/eads/int/en/news/press.2c92f583-d2bb-4193-ad2a-60801c92089f.08af92a7-2c53-400a-8429-8b135733cbcc.html?queryStr=P-3&pid=1

EADSの提供するMPAはだいたい全部これと思ってよさそう。

オーストラリア海軍のヘリコプターについて/インドネシア空軍がグロブG120TPのロンチカスタマーに/韓国が艦載ヘリコプターのRfPを準備中か/韓国F-16のアップグレードRfP

オーストラリア海軍のヘリコプターについて

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/19/362199/australian-navy-to-lease-three-bell-429s.html

記事はベル429をリースという内容だが、次世代のヘリコプターに関する話に繋がってる。
ベル429×3機を2012年から4年間リースし、海軍のMRH90の乗員訓練に充てる。年間飛行時間は1500時間程度を計画しているとのこと。費用はサポートとメンテナンス含み26万ドル相当。

6月にはS-70Bを更新するMH-60R×24機の導入を発表している。こちらの金額は31億ドル以上。

MRH90は陸軍のUH-1、UH-60と海軍のシーキングを更新し、46機を導入予定。

しかしMRH90は初期の導入が始まったものの、評価が芳しくない。

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/16/362137/australia-to-conduct-diagnostic-review-of-army-mrh90s.html

10月に正式なレポートが上がってくることになっているが、ここまでエンジンや駆動系のオイルクーラーファンのトラブル、スペアパーツの可用性不足といった問題が相次いでおり、受領機数は陸軍向け(UH-1を更新する分の)13機に留まる。これらは現在、試験と乗員訓練に用いられている。

2010年4月20日、RR/チュルボメカRTM322の1基が故障したインシデントでは、安全に着陸できたものの、その後の事故調査で3か月ほど飛行停止となっている。事故原因は、コンプレッサのブレードがケーシングに接触して分解したためと結論され、検査体制の見直しが行われた。

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インドネシア空軍がグロブG120TPのロンチカスタマーに

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/19/362222/indonesian-win-launches-grobs-g120tp.html

9月19日、グロブは自社のターボプロップ練習機、G120TPがインドネシア空軍の初等練習機として採用されたと発表した。他の候補機種はフィンメカニカ(アレニアアエロマッキ)SF-260TP、パシフィックエアロスペースCT-4とあるが、後者は入札に参加してないと表明している。いずれにせよPC-21やテキサンIIよりは安価で、概ね純練習機と言っていい。

契約にはシミュレータとサポートその他を含み、2012年から納入される予定。機数は18機と見られる。
インドネシア空軍では、6月にEMB-314スーパーツカノ×8機の新規導入を決めており、来年から納入が始まることになっている。こちらは軽攻撃機としての導入となる。

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韓国が艦載ヘリコプターのRfPを準備中か

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/20/362219/seoul-may-issue-naval-helicopter-rfp-in-2012-13.html

米国政府情報筋によると、韓国の次期艦載ヘリコプターは、自国産のKAIスリオン海軍型が第一候補であろうが、独島型に載せるには大きすぎる可能性があると指摘。導入機数の予想などは伝えられていない。

http://www.army-technology.com/projects/kaisurion/

スリオンはUH-1などの代替、KUHとして開発された。一見してわかる通りユーロコプター系で、2009年初飛行。

独自開発が無理と判断されれば輸入しかないわけで、RfPは2013年と予想されている。
現用の艦載ヘリコプターのリンクスで、欧州のNH90やAW101も候補に挙がる。ただし2009年の掃海ヘリコプター×8機の導入では、MH-60Sが選定された(未契約)ため、LM/シコルスキーとしてはMH-60Rが有力と考えているようだ。

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韓国F-16のアップグレードRfP

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/13/361951/south-korea-f-16-upgrade-rfp-imminent.html

9月16日にRfP発出、12月2日締切という日程。
韓国国防庁の発表では、LM、BAEシステムズ、ノースロップグラマン、レイセオンが入札者に含まれる。

主なアップグレード内容はAESAの搭載なので、ノースロップグラマンのSABRか、レイセオンのRACRか、が大きな競合点となる。
業界筋によると、F-15Kに近いミッションコンピュータやデータリンクも提供可能であろうとしている。

ROKAFのF-16保有機数は、F-16C×118機、F-16D×51機。

インドが軍用気球に関するレポートでダメ出し/インド空軍がSaras双発ターボプロップ機を練習機として導入/インドDRDOが太陽電池動力のUAVおよびUAV向けカヴェリエンジン開発を目標に掲げる

インドが軍用気球に関するレポートでダメ出し

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/20/362295/indian-report-slams-military-aerostat-use.html

インドはイスラエルから、レーダーを搭載した軍用気球を、約1400万ドルかけて2セット導入したものの、運用実績はかなり微妙だった様子。

以下はインドの会計監査を担当するComptroller and Auditor General (CAG)が出したレポートによる。

西部国境地帯に配備された一基は2009年、天候予測が不適切だったために損傷、以降2年間はほとんど使用不可能になってしまっている。

別の一基では想定以上のヘリウム漏れが発生した。対策として、ラファエルと保守契約を締結して解決を図るも、これを補てんするためのヘリウム代は年間1000万ルピーにのぼるという。

そんなわけで、報告書はインド空軍当局を厳しく批判する内容になっている。 軽航空機の弱点とされる、悪天候に弱いとかヘリウム漏れとかを一通りやっちゃった感じ。

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インド空軍がSaras双発ターボプロップ機を練習機として導入

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/19/362205/indian-air-force-to-buy-15-saras-twin-turboprops-as-trainers.html

Sarasはインド、HALが独自開発した15人乗りの双発ターボプロップ機で、後退翼、機体後部のエンジンポッドに推進式プロペラという形態。

インド空軍では主にC-17、Il-76、An-32など大型機の乗員訓練に用いる計画で、 2014年に3機、続く3年間でさらに4機を納入予定とのこと。HALとしては50機以上の製造を見込んでいるそうだ。また現在、洋上環境への適合を目指して予備設計を進めているところで、海軍向けは25機ぐらいの需要を想定してる。
多用途機として大成するかどうかはまだわからんが、うまくいけばこのクラスはそこそこ応用が利くと思われる。

この機体は、開発が始まってから2004年の初飛行まで18年かかった。重量過大が大きな泣き所で、開発主体のNALは、試作1号機のあと複合材料の翼を導入し、3号機では隔壁の数も減らしたそうだ。
試作機3機のうち2号機は墜落して失われ、乗員3名全員が死亡した。これはパイロットエラーが原因だったということになっている。3号機は2号機の代替として製作されたもので、グラスコクピット化されている。

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インドDRDOが太陽電池動力のUAVおよびUAV向けカヴェリエンジン開発を目標に掲げる

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/20/362296/indias-drdo-targets-solar-powered-uav.html

DRDOの発表では、目標としては少なくとも1か月飛び続けられる機体とのことで、すなわち滞空時間の長い大型のHALE-UAVということになる。長距離進出が可能でセキュアなデータリンクを備えるもの、とされている。
今の技術だと、現実的なのは飛行船タイプだろか。

また別の情報筋では、DRDO内のガスタービン研究開発センターが、自ら開発したカヴェリエンジンの無人機向け派生型開発を決めたとのこと。これは戦闘用のUCAVに搭載することが見込まれているようだ。