2013年前半のUSAF爆撃機群に関するまとめ/F-22 Combined Test Forceが1000ソーティを達成/2012年度のCollier TrophyにMC-12がノミネートされる/F-15SAが2月20日に初飛行/ドイツ駐留の81st FWが解散、欧州のA-10装備部隊が姿を消すことに

USAF関連。

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2013年前半のUSAF爆撃機群に関するまとめ

今年はB-2配備20周年。

http://www.afgsc.af.mil/news/story.asp?id=123336776

2月19日、ミズーリ州ホワイトマンAFBにおいて、B-2配備20周年を記念する式典が催されている。509th BW指揮官、Thomas Bussiere准将の訓辞によるとB-2は過去4つの武力紛争(後述)に投入されたとのこと。
また、4月1日はIOC獲得から16年の節目にあたり、12月17日はライト兄弟の初飛行の日(1908年)として有名だが、509th BWの前身、509th Composite Wingが1944年にユタ州Wendoverで編成された日でもあり、更にホワイトマンAFB所属の最初のB-2、スピリットオブミズーリが配備された日でもある。

B-2の起源を辿れば1979年スタートのATB計画にまで遡る。言うまでもなく当時は冷戦の最中であり、核戦力三本柱いわゆるトライアッドの一つを担うものとして考えられていた。今では核爆撃というオプションは現実味を失いつつあるものの、最初から高度のステルス性を与えられていることで、今なおB-2は最も厳重に防御された領域への侵攻すら可能で、核戦力としての意義を保持し続けている…と、少なくともUSAFの公式見解はそうなっている。

1980年代に設計、製造が進められ、1988年初公開。75機の製造が計画されていたが旧ソ連崩壊により21機に削減され、1機が事故で失われて20機となり現在に至る。機体名はスピリットオブアメリカとキティホークを除けば州名が付けられた。

戦略爆撃機として配備された後、最初の改修は通常兵器の運用能力の付与となった。そして1999年、コソボでNATOの作戦に参加。このときのソーティ数はNATO軍全体の1%に過ぎなかったが、目標の11%を攻撃したとされている。
2001年9月11日以降は、アフガニスタンで「テロとの戦い」が始まる。
2003年、「イラクの自由」作戦において開戦後最初の爆撃(“shock and awe” campaign)を行う。戦争全体では投下した爆弾の量は、100万ポンド以上に達した。
2012年、NATOの対リビア軍事行動である「オデッセイの夜明け」作戦に3機が参加。25時間かけて欧州へ進出し、航空機のシェルター破壊任務を遂行、2000ポンドJDAMを45発投下した。

 

同じ4月1日にはスピリットオブフロリダが7000飛行時間を記録。

http://www.af.mil/news/story.asp?id=123343279

この機体は2007年5月に最初に5000飛行時間に達した機体でもあり、6000時間を記録したのは2010年1月で、これも最初だった。

 

最近の改修計画としては、衛星通信に関するものと自己防御システムに関するものがある。

前者は5月15日付。

http://www.irconnect.com/noc/press/pages/news_releases.html?d=10032612

Advanced Extremely High Frequency (AEHF)通信衛星に対応するための改修で、現時点では地上での実証試験が進められている状態。レドンドビーチのノースロップグラマンの施設で4月15日にデモンストレーションを行ったとある。
自社製のAESA型アンテナと海軍のマルチバンド端末により、AEHFの模擬ペイロードを使って行われた。当然ながら、メインはアンテナ。この改修については他にもいろいろなものが含まれてる件は前にも書いたので省略。

現用のMilstarの後継となるAEHF衛星は2001年から開発が始まっているが、まだ6機中2機しか軌道に上がってない。

http://en.wikipedia.org/wiki/Advanced_Extremely_High_Frequency

後者は2月14日付。

http://www.irconnect.com/noc/press/pages/news_releases.html?d=10021861

Defensive management System (DMS)と呼ばれ、現在TDフェーズ2という段階にある。ノースロップグラマンがシステムインテグレータとして受注しており、想定される脅威・環境に対抗可能なシステムを設計、アンテナやアビオニクスといったハード、ソフトをとりまとめてEMDフェーズに備えることになる。新規開発の技術を避けて、実証済みの技術を用いて開発リスクを下げると称している。

 

B-2が20年目を迎えた一方、それよりも更に以前の爆撃機もアップグレード改修が行われてる。

B-1の最新の改修については、

http://www.acc.af.mil/news/story.asp?id=123334294

337th TESが、Sustainment-Block 16(SB-16)と呼ばれる大規模な改修計画の実証試験を担当する。B-1の改修としては最も大がかりなものとされ、Fully Integrated Data Link(後方操縦席のデジタルアビオニクス部分を変更してLink 16に対応、Joint Range Extension Applications ProtocolによりBLOSでも運用可)とCentral Integrated Test System(後方操縦席のコンピュータ交換とカラーMFDの追加)、Vertical Situation Display Upgrade(前方操縦席(パイロット席とコパイロット席)の2台のモノクロディスプレイを4台のカラーMFDに交換)など。

肝の部分はデータリンクで他はそれを使うためのUIの改善といった感じ。Link 16およびJREAPなどの実証にはUHF無線とLink 16のネットワークが必要なため、その設備を準備するのに50万ドルかかったとある。
337th TESの実証試験は訓練計画にも関連しており、7th BWでの訓練が円滑に行えるよう、機材到着前から整備班含め準備しているとのこと。実証試験は4月からエドワーズAFBで開始予定。

実際にFIDL、VDSUの試験で改修機を飛行させた経験があるパイロットは、全く新しい機体だと思って扱わなければならないぐらい、劇的に変わった、と述べている。

Sniper ATP-SEがダイスAFBのB-1に装備される。

http://www.acc.af.mil/news/story.asp?id=123345084

4月15日付。ATP-SEはネットワーク関係が強化されたもので、Link 16相当の双方向データリンクに対応するため、地上との交信・情報共有が迅速化され、中継能力も備えるようになる。前世代型は1方向データリンクだったので、その違いは大きい。
またデータリンクの情報を保存できるというのも新しい機能で、訓練や分析に有用なデータが残せる。
ATP-SEは前世代のATPと互換性があり、ATPが搭載可能な機種全て(USAFではB-52、F-15E、A-10、
F-16)に搭載できることになっているが、予め訓練が開始されていたこともあってダイスAFBのB-1が最初に装備することになった。

 

2nd BWのB-52HにはSniper XR、AN/AAQ-33が装備される。

http://www.afgsc.af.mil/news/story.asp?id=123341194

ATP-SEよりは旧式だが、従来はLGBを投弾するのに5分間程度、30から40のボタン操作を行う必要があったのに対して、わずか2、3秒で済むという。60年物の爆撃機でも金をかければここまでやれる。あと25年飛べるという調査結果もあるので、数は減らしつつもしぶとく飛び続ける公算。

またティンカーAFBでは7月から衛星通信システムCombat Network Communications Technology (CONECT)の装備がスタートする。

http://www.tinker.af.mil/news/story.asp?id=123353771

これまでB-52では飛行前にアップロードされたミッションデータに従って任務を遂行することしかできなかったが、CONECTの装備によって飛行中にミッションデータを入れ替えることが可能となる。よつて、より柔軟な運用ができることになる。試験はここ数年、エドワーズAFBで行われていた。
主体は衛星通信装備だが、乗員向けの装備としては、最新端末への更新、ノイズキャンセル型のヘッドセットやデジタルインタホンなども含まれてる。
ボーイングが主契約で金額は7600万ドル。この中にはメンテナンスほかの支援と、LRIPの製造が含まれる。LRIP 1は3月契約で8機分、LRIP 2は来年3月契約予定で10機分。全率生産は2015年1月契約見込みで10機分。FY2014での予算は30機分。

最初の改修は、ティンカーAFBでのprogrammed depot maintenanceに合わせて行われる。7月から翌年4月までというから約9ヶ月を要する。

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F-22 Combined Test Forceが1000ソーティを達成

http://www.edwards.af.mil/news/story.asp?id=123345680

4月24日付。

4月19日、エドワーズAFB所属のF-22 CTFにおいて、1000ソーティが記録された。機体は2001年10月に配備されたテールナンバー4007で、飛行しているF-22としては最も古い。AIM-9Mを初めて発射し、2度目にQF-4を撃墜した機体でもある。
着陸後、末尾の007にちなんでジェームス・ボンドのテーマで出迎えられたそうだ。
この飛行は、最新のソフトウェア改修であるインクリメント3.2Aでの初の試験飛行だったため、パイロットはボーイング社のテストパイロットだった。

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2012年度のCollier TrophyにMC-12がノミネートされる

http://www.acc.af.mil/news/story.asp?id=123339451

米国航空界のアカデミー賞的なものであるが、MC-12とかえらく地味だなと思ったが、本機はUSAFとしてP-51以来のスピード採用であり、かつアフガニスタンで目覚ましい働き(記事によると710名のタリバン指導者、爆弾製造者、野戦指揮官の殺傷および逮捕に直接関わり、プロジェクトリバティ全体で3000名の反政府勢力の兵員を排除したとある)を見せた、というのがノミネート理由となっている。

ちなみに結果は3月12日に発表、5月9日に授賞式が行われ、

http://naa.aero/html/awards/index.cfm?cmsid=62

JPLの火星科学研究所とキュリオシティのチームが選ばれている。

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F-15SAが2月20日に初飛行

http://www.wpafb.af.mil/news/story.asp?id=123339926

各国に改修が進んだ新造F-15が輸出されるようになって、何かUSAF本国仕様のF-15が相対的に性能低くなりそうな情勢であるが、2月にサウジアラビア向けF-15SAが初飛行している。この機体はF-15シリーズとしては試験機F-15 S/MTD以来のデジタルFBWを備えたものとなり、その他ハードポイント増設やIRST、スナイパーXR、AESAレーダーなど、イスラエル配慮で微妙にダウングレードされていたS型を、E型相当以上にアップグレードする形になる。

当面は3機体制で米国内での試験が続けられ、2015年から2019年にかけてデリバリ予定。

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ドイツ駐留の81st FWが解散、欧州のA-10装備部隊が姿を消すことに

http://www.af.mil/news/story.asp?id=123352839

ドイツ駐留の52nd FWは、F-16とA-10を運用してきて、隷下の81st FW(シュパンダーレム基地)にはA-10が配備されていた。この部隊は71年の歴史がある飛行隊であったが、6月18日をもって解散となり、A-10を運用する部隊は無くなった。これは欧州でのA-10の歴史が終わることも意味する。

欧州のA-10は、最大で6個SQが配備されていた。押し寄せるワルシャワ条約機構軍の戦車軍団をちぎっては投げちぎっては投げ(最後は核でry)いった情景がよくイメージされていたものである。

最後のソーティの様子が公式動画であった。

http://www.youtube.com/watch?v=yNUhA_qffqM

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米陸軍がUAVからの迫撃砲弾発射をテスト/米海軍はUCLASSのRfP(草案)を2012年内に発出する見込み/トルコがAerostar UAV運用を打ち切り?/イラン空軍機が米国のUAVを攻撃

米陸軍がUAVからの迫撃砲弾発射をテスト

http://www.generaldynamics.com/news/press-releases/detail.cfm?customel_dataPageID_1811=18078

米陸軍ARDECは、ゼネラルダイナミクスと協力してUAVから迫撃砲弾を発射するテストを行った。小型UAVが搭載可能なPGMのデモンストレーションとされている。

使用されたUAVは、L-3のタイガーシャークUAVで、オクラホマ州フォートシルに近いレンジにて、高度7000ftから3発の迫撃砲弾を発射した。これらは標準的な81mm迫撃砲弾であり、GPSとINSを利用して目標に指向される誘導キットと組合せ、目標地点の7m以内に着弾したとのこと。
メーカーではAir Drop Mortar (ADM)と呼んでおり、この実験では10ポンドクラス誘導弾の例を示した形となった。なおタイガーシャークUAVのペイロードは30ポンド。
また誘導キットはゼネラルダイナミクスが特許を取得したもので、Roll Controlled Fixed Canard (RDFC)と名付けられている。
詳細は陸軍の資料にて。

http://www.dtic.mil/ndia/2012armaments/Wednesday13995habash.pdf

これの空中発射型がADM。普通のM821砲弾と信管で9.1ポンドのところ、RDFCを追加した重量は10.8ポンド。また120mm迫撃砲弾にも適用可能。

http://www.defenseindustrydaily.com/Mortars-from-Aircraft-The-Shadow-Knows-05226/

このクラスでは、レイセオンのSTMが12ポンド(製品名がPyroとなっている)でGPS/INS誘導またはSAL誘導の小型PGM。またLMがシャドウホークという11ポンドのSAL誘導の小型PGMのデモンストレーションを実施している。こちらはRQ-7を使ったデモンストレーションだった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-unveils-gravity-bomb-for-uav-371344/

コストでは81mm迫撃砲弾+誘導キットのADMが有利っぽいが、GPS/INS誘導のみなので精度はSALなどに比べて劣ると思われる。
このクラスになると大抵の小型UAVに搭載可能で、自衛隊が導入するRQ-21みたいのでも積めるはずだ。

 

これらに先行して、米海軍NAWCなどで開発されていたのがスパイクというやつで、重量は更に軽く5.3ポンド(試作原型時)、全長25インチだった。歩兵携行型の無誘導ロケットとATGMの中間にあたるもので、SAL誘導。小型UAVへの搭載も考慮されていた。

http://www.designation-systems.net/dusrm/app4/spike.html

http://defense-update.com/products/s/spike_laser.htm

推進システムを有するため、弾頭は1ポンドと小さい。射程距離は2200m程度。
主に低価値目標に対して用いられる安価な誘導兵器として開発が進められた。2003年末からSDD、2007年に実射が行われたようだが、その後の進展は不明。

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米海軍はUCLASSのRfP(草案)を2012年内に発出する見込み

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-to-issue-draft-rfp-for-new-unmanned-strike-aircraft-before-years-end-378562/

UCLASSについては8月に一部の要求仕様(の草案)が開示されたという話が出ていたが、2012年末までにRfP草案が出る見込みとのことで、ここで全体像がはっきりする事になる。
2020年のIOC獲得に間に合うのか微妙な気もするが、その段階では艦上機として完成させる事は必須でない上、最初から発展性なりアップグレード余地を求められているので、当初の能力は、相当限定されたものに留まるのかもしれない。

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トルコがAerostar UAV運用を打ち切り?

http://www.flightglobal.com/news/articles/turkey-set-to-axe-aerostar-uav-deal-378532/

トルコは2005年、イスラエルのIAIからヘロンUAV(地上管制ステーションはエルビット)を調達する契約を締結したが、その後、計画の遅れによってAerostar UAVを繋ぎとして導入している。
ヘロンUAVの方は、二国間の関係悪化とは関係なく運用されている模様であるが、Aerostar UAVの方はここ数ヶ月間、運用に問題があるという情報が出ていたようだ。今回の報道もトルコ側から出ているもので、運用打ち切りと機体(3機)の返還を検討、となっている。メーカーのAeronautics Defense Systemはこれを否定した。

Aerostar UAVについては、10月にポーランド軍が2機の調達(約3500万ドル)をキャンセルしたばかりか、補償金の支払いまで求めている。
こちらも運用上の問題とされていたので、如何に二国間関係が悪化してるとはいえ、政治的にどうこうというよりは、何かしら問題がある装備なのか、セールスがよほど巧みだったのか。いずれにしてもいただけない話ではある。

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イラン空軍機が米国のUAVを攻撃

http://www.spacedaily.com/reports/Iranian_jets_fired_on_US_drone_in_Gulf_Pentagon_999.html

米国防総省は、ペルシャ湾の公海上空でイラン空軍の戦闘機が米軍のUAV、MQ-1を攻撃したと発表している。インシデントは11月1日に起こったが、大統領選挙の後で公式発表された。
位置はイランの海岸線から16海里のあたりで、攻撃を仕掛けたのはSu-25、警告ではなく撃墜を意図した発砲だったとされている。MQ-1に命中弾はなく、そのまま帰投した。以後、攻撃を受けるケースは発生していない。ミッション自体は、ルーチンとなっているイラン側の監視であり、今後も継続するとのこと。

米国はペルシャ湾方面に対して、2個CVBGの配備や、UAEへのF-22の展開といった形で軍事的プレゼンスを強めている。
またこれと別に米国務省は、国際衛星放送の妨害とインターネット接続における検閲を止めるよう要求しており、後者については検閲を外部から強制的に停止させるような言い回しをしているみたいだ。

ブラモスの誘導システムはGRONASSに対応する/IAIがインド向けUAVの近代化改修を受注/インドとロシアがMTA開発で合意

ブラモスの誘導システムはGRONASSに対応する

http://www.spacedaily.com/reports/Indian_BrahMos_using_Russian_GPS_system_999.html

イズベスチヤ紙が報じたところでは、ブラモスの長距離誘導システムはGRONASSに対応しているとのこと。ロシアの装備としては、Kh-555とKh-101(2013年配備予定)において採用されているとの情報がある。
匿名の関係者によると、GRONASSを利用することで、その射程距離は300マイル以上に達するという。
核搭載可能という話は前から出ていたっけか。下手な弾道ミサイルより対処しにくいような気がするが。

また、タイムズ・オブ・インディア紙の記事によると、10月8日の週にTalwar級第2バッチの1番艦、INS Teg(カリーニングラードのYantar造船所で竣工、4月27日引渡し)からブラモスの試射が行われ、成功している。この試射では、高機動飛行して目標に命中したと伝えられている。

海軍向けは2005年から配備されており、現在は空軍向けの空中発射型の調達が進行中。8月時点では金額11億6000万ドル、200発以上という装備計画が明らかにされている。これらは45機のSu-30MKIが搭載可能。

これとは別に、Su-30MKIのうち約40機を近代化改修する計画がある。金額は37億7000万ドルで、内容はHUD、Sigma-95航法システム(GPSと慣性航法装置の複合)、レーダー、LITENINGターゲティングポッドのインテグレーションなど。11月1日予定のプーチン大統領訪印時に調印となる見通し。
両国が合意すれば、2014年から2015年にかけて引渡しというスケジュールになる。

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IAIがインド向けUAVの近代化改修を受注

http://www.spacedaily.com/reports/Israels_IAI_wins_958M_India_drone_deal_999.html

IAIは、インド向けに提案していたヘロン及びサーチャーUAVの近代化改修案が採用され、総額9億5800万ドルの契約を締結したと発表した。
UAVはイスラエル防衛産業の主要な輸出品であるのは周知の事実であるが、グローブス・ビジネス・デイリー紙(が引用したインド国内報道)によれば、1990年代以来、インドはIAIから合計150機程度のUAVを購入しているというから、相当の数になる。改修の大きなポイントは衛星通信を経由した管制・操作への対応とのことで、機体の能力の範囲でより長距離のミッションが可能となる。
現在、陸軍の運用するサーチャーUAVは約100機で、西、東、北の国境線(要するに海以外全部)に沿って配備されている。空軍はサーチャーII及びヘロンUAVを運用している。

8月の米議会の調査では、イスラエルの兵器輸出額は2004年から2011年までに129億ドルとのことで、世界で8番目(米露仏英独中伊の次)とされている。世界的な軍縮の流れに影響を受けはしたものの、特にIAIに関してはインド向けの取引が支える形となった。
主なものだけでも、2004年、Phalcon AWACS×3機(11億ドル)、2006年、IAIとDRDOがミサイル共同開発(4億8000万ドル)、2009年、バラク8艦載SAMシステムの調達と共同でのインテグレーション(11億ドル)、およびSpider SAMシステム×18セット(10億ドル)といったものがある。2007年には、インド向けの兵器供給に関してフランスを上回り、ロシアに次ぐ2番目ともなった。
この他にもインドはアロー2 ABMシステムについても興味を示しているというが、これは共同開発した米国が技術移転を抑えているみたいだ。

イスラエルの防衛産業界は、アジア向けの売り込みを強化しており、2010年は大手3社の従業員数30600人、金額ベースで96億ドルの売り上げがあった。
しかし今年3月に、2009年の贈収賄スキャンダルが発覚したことで、当事者のIMIは10年間のブラックリスト入り、その他のイスラエル企業に対しても、締め付けが厳しくなったと伝えられている。

最後にイスラエル防衛産業について、Oxford Analyticaの分析が出ている。
こんにちイスラエルの防衛産業を支える製品群の開発は、1973年のヨム・キプル戦争と1970年代後半から1980年代にかけてのハイジャック対策における経験から始まった。そこにはUAV、空港警備ネットワークといったものが含まれ、イスラエル軍の装備とされたが、これらは長らく輸出先のいない状態が続いた。イスラエルにとっては一度通った道であるというわけだ。

とは言え、無人兵器システムの普及については、搭載機器の小型高性能化もでかいと思う。

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インドとロシアがMTA開発で合意

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-russia-launch-delayed-medium-transport-aircraft-377608/

10月12日、ニューデリーにおいてインドとロシアのJVによる中型輸送機MTA(=Il-214)について、最終合意に至ったと発表。このためのJVはMTALと呼ばれ、インドのHALと、ロシアのUACが出資して設立される。

MTAの計画進行は遅延を重ねてきたが、インドの政治家からは、これ以上遅延した場合は計画を破棄せよという声もあった。The Hindu紙によれば、インドのAKアントニー国防相も手放しでは歓迎しておらず、別の情報源によれば、計画遅延によって生じたギャップはKC-390などの競合機種を利するかもしれないとの懸念が示されたという。

実のところこの手のグダグダの末に、まともな製品が完成した例が多くないというのは確かかもしれない。インドは特に自国産が失敗続きだ。

ロシア側のUACは、例によって成功を確信しているという類のコメントを出している。なお開発はロシア主導になる模様で、HALの技術者多数が近いうちにモスクワ入りする予定とのこと。

MTAについて復習しておくと、MTOW65ton、ペイロード18~20tonという規模のターボファン双発中型輸送機で、新規開発のPD-14エンジンを搭載する。スパン30mで、計画上は最大速度800km/h。インド軍はAn-32とHS 748、ロシア軍はAn-26とAn-30の後継機として配備する計画となっている。
機体規模はA400MやC-2よりも小さく、C-130Jとほぼ同等でより高速、KC-390とはかなり被る、といった感じ。C-1に近いと言えば近いが、特殊な機体なので比較対象として適切かは微妙。でも大きさだけはだいたい同じと言っていい。
なおPD-14は、MS-21のエンジンとしても使われる予定。設計面ではGE Leap-Xにかなり似ているとの指摘もある。

製造機数については、今年初めの時点で軍用輸送機型がインド向け45機、ロシア向け100機、民間輸送機型が60機程度を見込むとなっていた。

RAAFがホーク127をT2同等へアップグレードする計画/MBDAが将来型の精密攻撃兵器システムを公開/フィンメカニカグループがロシアにMPAのミッションシステムを提供/EADSが銀行設立を検討

RAAFがホーク127をT2同等へアップグレードする計画

http://www.flightglobal.com/news/articles/australia-to-upgrade-hawk-trainers-to-rafs-t2-standard-374492/

オーストラリア国防相は、RAAFのホーク127について、最新のRAF向けと同等のT2相当にアップグレードする計画を明らかにした。総額は2500万オーストラリアドル。
ホーク127の機数は33機で、すべて1999年から2001年にかけて引き渡されたもの。RAAFウィリアムスタウンと同ピアースに配備されている。

BAEシステムズによると、この改修はMLUにあたるもので、T2やサウジ向け165と同じ、OC2ソフトウェアスタンダードへの変更が計画されている。

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MBDAが将来型の精密攻撃兵器システムを公開

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-mbda-unveils-future-vision-for-armed-uavs-373994/

7月9日のファーンボロにおける恒例イベント、Concept Visionにて公開されたもの。3回目の今年は、20年以内に実現可能な将来のUAV兵器システムというお題で、CVS301 Vigilusというのを公開している。

http://www.mbda-systems.com/files/docs/DS-vigilus-2012.pdf

http://www.mbda-systems.com/mediagallery/#/videos/2922

Caelusは監視用のUAVで重量は約100kg、最大で2時間滞空でき、1kgのペイロードには弾頭もしくは散布用センサが搭載できる。これと対になるGladiusは小型のPGMで、重量7kg、弾頭重量1kgで、最大射程は16nm(30km)とされる。
イメージ映像に出てくるのは飛行船タイプの無人プラットフォームで、4基のランチャーを下面に搭載している。これはArmatusと呼ばれ、独自機構のラッチを有し、無線で制御されるため配線などを必要とせず、様々なプラットフォームにインテグレーションできるのが特徴。
初期の概念の段階で、BAEシステムズやCassidian、SELEXガリレオ、またMBDAと取引のある各国軍とも話し合いを持って揉んだアイディアだそうだ。

20年後の戦場で、のんびり飛行船だの小型UAVだのが飛べるかどうかというと疑問も残る。そのくせ重装備の敵を相手にしてるあたりがまあ何というか、あくまでプロモですよねという感じだが、あくまで非対称戦の延長で考えられてるように見える。

古い意味の大戦争が一回あったら、そのときは携帯端末や衛星データリンクなんかが丸ごと使えなくなるようなケースも出てくるんじゃないかなあ。非対称戦が日常になりすぎてて忘れられがちだが、対抗策は常に研究されてるはずで、有事には衛星が落とされる可能性だって高い。

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フィンメカニカグループがロシアにMPAのミッションシステムを提供

http://www.spacedaily.com/reports/Russia_and_Italy_to_jointly_develop_patrol_aircraft_999.html

ファーンボロにおいてフィンメカニカとRosoboronexportが、Il-38とBe-200のミッションシステム開発に協力することで合意とある。SELEXガリレオなど、フィンメカニカ傘下の3社の名前が挙がっている。第三国への輸出が考えられているようだが、まずは市場調査からスタートすることになる。
協力の形としては、イスラエルとロシアが協力したAWACSなんかと同様とされる。

先進的なMPAは伝統的な哨戒任務(ASW含む)のみならず、領海の監視や組織犯罪への対応(対海賊なども含むいわゆるローエンフォースメント)、環境および資源調査も可能であり、それなりの市場があるだろう、という見込みに基いている。

大型機はあんまり受けないんじゃないかと思わないでもないが、A-50EIとかがインド向けで進行したのと同じく、既に売る相手がいるのかもしれない。つーかインドの可能性も高いなこれ。

近年、イタリアとロシアの軍事協力が拡大する傾向にあるのは確かだ。Yak-130からM.346を開発した後も協力関係は続いており、またロシア非常事態省がアグスタウェストランドのヘリコプターを導入し、共同生産の予定もある。陸ではイヴェコLMVが採用されている。

他のファーンボロでのロシア関係の話題として、イリューシンファイナンスがパナマのSouth America Aircraft Leasingとの取引で、An-148/158×12機の引渡しが確定してるそうだ。
SSJ110を東南アジア某エアラインへ40機というのは成立したか不明。

UPIの記事の方が詳しい。

http://www.spacewar.com/reports/Finmeccanica_gains_multinational_deals_999.html

SELEXガリレオはATOSミッションマネジメントシステム、これは空中監視プラットフォームの核となる部分。WASSは軽量の航空魚雷を、SELEX Elsagは通信系をそれぞれ担当する。このうちSELEX Elsagは1990年代からロシアと協力関係にあったという。

契約条件は明らかにされていない。

あと、こっちはフィンメカニカグループ側の記事なので、NATO AGSにおいてSELEXガリレオが地上管制局を担当したことや、SELEX Elsagが広帯域データリンクを担当したことなどが書かれている。

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EADSが銀行設立を検討

http://www.spacewar.com/reports/Defence_group_EADS_eyes_launching_own_bank_999.html

EADSグループの資産は100億ユーロぐらいあって、その辺の銀行に置いといたらどうなるかわからん、ということで、自衛のための銀行設立が(ある程度)現実味を帯びている模様。
欧州金融危機もここまで?という感じの話題。なお、最悪のケース、つまりユーロ圏崩壊の場合の影響は「予測不能」であり対策もへったくれも無いらしい。

ボーイングが射程延伸型JDAMを開発中/ボーイングはUCLASS向けの提案をほぼ固める/ブラジルF-X2の最近の展開とボーイング

ボーイングが射程延伸型JDAMを開発中

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-makes-progress-developing-extended-range-jdam-372885/

ボーイングは射程延伸型JDAMの初期風洞実験を完了したと発表。7月にはPDRに進むとのこと。

この射程延伸型JDAMは米国防総省が発注した物ではなく、「同盟国との共同開発」であるとされ、2014~2015年に製造開始予定。同盟国がどこを指すのかは不明であるが、オーストラリアは2006年頃にJDAMの滑空翼キットの設計について検討しているという。ここで出てるものも滑空翼を追加するらしいので、関連はありそうだ。今のところ、500ポンドのJDAMで設計されている。

ボーイングによると、滑空翼の追加で射程は3倍になる。将来必要になれば動力を追加することもでき、その場合は10倍程度の射程を有することになるとしている。
もう普通の巡航ミサイルで良いような気もするが、備蓄したJDAMを長距離攻撃でも使えると便利なこともある。かもしれない。あと対艦戦闘を考えてるのかも。

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ボーイングはUCLASS向けの提案をほぼ固める

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-is-very-close-to-competitive-uclass-design-372884/

USNはまだUCLASSのRfPを出していないが、ボーイングでは夏の終わり頃と予想している。現時点では要求自体もはっきりしているわけではないものの、予想しうる要求に応えるだけの提案を固めつつあるらしい。

ボーイング曰く、X-45C(ファントムレイ)とF/A-18を無人で飛ばすデモンストレーションの結果ということで、X-45の焼き直しではなく、既に3年ほど試験されているライバル、X-47Bからも多くを学んだとした。
3月、UCLASSプログラムマネージャがX-47Bの技術(艦上運用に関するハード、ソフトの情報は米国が保有している状態)がUCLASSに結集される的なコメントを出し、契約者候補にその情報を開示することを表明していて、X-47B云々はこれを指している。

ボーイングは、長年にわたって海軍機を扱ってきたことは大きな強みだと主張する。
まあF/A-18A/B/C/D/E/Fだけで30年ぐらいやってるし、ノースロップグラマンの方が脱落したのが早かったのは確かだ。残る競合はUAV専門のゼネラルアトミクスだしな。

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ブラジルF-X2の最近の展開とボーイング

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-expects-winner-to-be-picked-in-brazilian-fx-2-competition-this-year-372883/

ボーイングでは、ブラジルのF-X2選定が年内と予想している。先にリオ+20サミットでラファールの売り込みが行われているという話もあったが、元々は6月と言われていた。ボーイングの予想では、選定の遅れはあまり大きくならず、年内に結果が出るであろうとしているものの、その兆候について具体的な根拠は示さなかった。

今年になって同社が盛り返してきた理由としては、ブラジルの要求する技術移転について、米政府のお墨付きをもらったというのが大きい。オフセットにまつわる地元パートナー企業の選定もかなりの前進を見ているようだ。

艦載兵器関連/台湾に雄風IIEが配備される?/LCS-3が予定より2ヶ月早く引き渡される/オーストラリアが次世代潜水艦の建造計画に着手

艦載兵器関連

・RAMのランチャーからグリフィンBの発射試験が行われる

http://navaltoday.com/2012/04/20/usa-navy-fires-raytheons-griffin-b-missile/

http://www.spacedaily.com/reports/US_Navy_Fires_Raytheon_Griffin_Missile_From_RAM_Launcher_999.html

4月の記事。
USNの発表によると、レイセオンは2011年Q3に、小型空対地ミサイルのグリフィンBを、改修したRAMのランチャーから発射するデモンストレーションを行った。地上に設置されたランチャーから約2マイル先の静止目標に対して発射され、命中している。
グリフィンの誘導方式はGPSまたはレーザで、空中発射型のグリフィンAはHARVEST HAWKにインテグレーションされた。グリフィンBは回転翼機、固定翼機からの運用に加えて地上発射も可能となったタイプ。信管は目標に応じて空中爆発、着発、遅発のモードが選択できる。全長43インチ、重量33ポンド、弾頭重量13ポンド。

改修は必要だが、RAMのランチャーから撃てるASuMということで、FACとの交戦や対地攻撃にRAMが使えるようになる。
砲ほど柔軟に運用できるわけではないにせよ、対空戦闘以外へ用途を広げるのは比較的容易になりそうだ。

・LMがExLSをオーストラリアで試験

http://www.spacedaily.com/reports/Lockheed_Martin_New_Standalone_Launching_System_Significantly_Reduces_Weapons_Integration_Costs_999.html

5月5日、LMは、オーストラリア南部でRAAF管理下のウーメラ・テストレンジにおいて、ExLSからの発射試験を実施した。

この垂直型発射機はExtensible Launching System(ExLS)と呼ばれるもので、Mk.41から派生した小規模VLS。ランチャー外部のサブシステムから制御されて、大型ミサイルを撃てるMk.41やMk.57などとは異なり、単体で完結したシステムとなっている。ただし、底部に制御系を納めたため、キャニスタを上げ底したような形になり、小型のミサイルしか搭載できない。これに適合するのはNLOS-LS/PAMやRAM Block 2、Nulkaデコイなどで、1基につき4発が搭載可能。

http://media.defenseindustrydaily.com/images/ORD_ExLS_Insert_Explained_lg.jpg

NLOS-LSとの関連が強かったが、周知の通り、同計画は2010年正式キャンセル。
ExLSは、単体でセル1基から搭載できることから、既存のVLSよりも小型の艦艇に搭載でき、在来艦艇へのインテグレーションか容易というのを前面に押し出している。

Nulkaは艦船そのもののデコイで、主に対巡航ミサイル防御用となる。豪州BAEシステムズで開発された。
この試験では2発のNulkaの発射が行われている。

http://www.nrl.navy.mil/tew/5710/

他のミサイル等に対しては、上げ底部分(アダプター)を変更することで対応でき、コスト的な効率も良いとしている。

・USNがトマホーク Block IVを発注

http://www.spacedaily.com/reports/US_Navy_awards_Raytheon_contract_for_Tomahawk_999.html

2011年のオデッセイ・ドーン作戦で射耗した分を含む追加発注で、総額3億3800万ドル。

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台湾に雄風IIEが配備される?

http://www.spacedaily.com/reports/Taiwan_deploys_anti-China_missiles_report_999.html

5月28日、台湾の地元マスコミが雄風IIEの配備を報じた。雄風IIEは射程500kmクラスの巡航ミサイルと言われており、中国本土を射程に収める可能性がある。
言い換えると、台湾が中国本土を攻撃可能なミサイルを初めて装備したと言うことになる。詳細は不明だが、100発程度が配備されたとも。

これとは直接関係無いが、

http://www.spacewar.com/reports/Taiwan_probes_stealth_boats_missing_computer_999.html

6月11日、台湾の最新鋭ミサイル艇、光華6号艦の1隻でラップトップコンピュータの紛失事故が発生と報道される。5月下旬のこととされており、場所は左営海軍基地。初期の調査では、紛失の状況などがほとんど判明していないという。
この機材は民間所有となっているものだが、6ヶ月間にわたって秘話通信装置の試験のために持ち込まれていた。物が物だけに、情報漏洩となれば結果は重大なものになる。

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LCS-3が予定より2ヶ月早く引き渡される

http://www.spacewar.com/reports/US_Navy_Littoral_Combat_Ship_Delivered_Two_Months_Early_999.html

LMの方のLCSとしては2隻目、全体では3番艦のLCS-3 フォートワースは今年5月、予定より2ヶ月早くUSNの受入検査(五大湖で行われた)に合格し、引き渡された。
新世代の艦艇としては異例の前倒しスケジュールであり、これにはUSNも大喜び。

http://www.spacewar.com/reports/Third_US_Littoral_Combat_Ship_Completes_Acceptance_Trials_999.html

トライアルの内容について報じられた記事。4月30日から5月4日までの日程で行われ、4時間の全速航行と対空・対水上戦のデモンストレーションなどを行っている。

LCS-3フォートワースはLCS-1フリーダムに続く2隻目で、さらにLCS-5ミルウォーキー、LCS-7デトロイトが建造中。LCS-9リトルロック、LCS-11スー・シティは3月に予算がついたので、部材調達などがスタートしている。
こっちのLCSチームにはフィンカンティエーリも入ってるのね。

偶数番のLCS、ノースロップグラマン/オースタルの方は、LCS-2インデペンデンスの後がLCS-4コロナードで、1月に進水し、今年後半に受入検査を経て引き渡し予定、LCS-6ジャクソン、LCS-8モンゴメリーはモジュール建造がスタートしている。

http://www.austal.com/us/media/media-releases/12-01-11/Austal-Launches-2nd-Littoral-Combat-Ship.aspx

LCSでは押され気味だが、オースタルは高速輸送艦のJHSV-2チョクトー・カントリーとJHSV-3を受注して建造が始まっている。元々の計画だと10隻建造予定で、艦名もだいたい付いてたのだが、番号と名前が振り直されてるようだ。過去の予算で部材調達が先行していたようなので、2隻目以降の建造が決まってからの着工は早かった。

http://www.austal.com/en/products-and-services/defence-products/naval-vessels/joint-high-speed-vessel-jhsv.aspx

しかしTSV-1XスピアヘッドとJHSV-1スピアヘッドは別物であったりしてややこしい。
ただでさえあの辺の高速輸送艦試用期間の流れは陸軍が絡んでややこしいのに。名前変えてください。

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一方DD(X)ことDDG-1000の方は中々話が進んでないが、建造は進行中。
艦体ブロックが構内を移動して組み立てられる様子を早送りで。3月にバス鉄工所で撮影されたもの。

http://defensetech.org/2012/04/05/awesome-video-ddg-1000-coming-together/

搭載センサなどの中身については、レイセオンの関与する部分が大きい。

http://www.raytheon.com/capabilities/products/zumwalt/

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オーストラリアが次世代潜水艦の建造計画に着手

http://www.spacewar.com/reports/Australia_kicks_off_submarine_replacement_999.html

オーストラリア国防省は、Expert Panel of the Future Submarine Industry Skills Planという将来潜水艦計画専門の組織を設け、関連する造船・防衛産業各メーカー及び教育機関との協議を始めた。産業界からはLM、レイセオン、ボーイング、タレス、サーブシステムズ、BAEシステムズなどの主要な海軍システムインテグレータと、ASC、オースタル、BAEシステムズとフォルガーチエンジニアリングなど、主要な地元造船会社が参画する。次の30年にわたって造船業界の雇用にも大きな影響を与えるので、政府機関の代表者だけではなく、組合の代表者も加わる。
オーストラリアでは5月に、将来潜水艦を建造するための最初の段階として、2億1400万ドルの研究費用を計上した。推進システムの地上試験設備も計画されている。Future Submarine Projectと呼ばれ、数は12隻、通常動力潜水艦となるところまでは確定。オーストラリア最大の軍事的プロジェクトとなる見込み。

この組織の管轄には、各種システムの設計計画から建造計画、部材調達、リスクマネジメント、予算及び財務管理までが含まれ、難易度の高い作業にあたる熟練工(溶接、ボイラー、電気などの各専門工)が足りるかどうかも調査されることになっている。コリンズ級のときは溶接の問題もあったんだっけ。今は一応、世界最強通常潜みたいな持ち上げられ方になってるけど…

またオーストラリア政府は、独自開発以外の選択肢として、フランスのDCNS、ドイツのHDW、スペインのニルヴァーナから購入することも検討している。ここら辺もコリンズ級のときと同じだ。DCNSならスコルペヌ型、HDWならType212か214、ニルヴァーナならS-80が代表的。
昨年暮れの2011年12月には3社に対してRfIが発出され、地上試験設備についてはバブコック造船に研究を委託した。

また、これとは別に現用のコリンズ級6隻を維持する必要もある。1996年から就役し、退役は2025年以降とされているので、継続的なアップデートが欠かせない。起こり得る旧式化問題について、同級の設計を提供し、建造にも携わったスウェーデン、コックムス造船と検討を進めているとのこと。

PAK-DAの任務と用途はなお不透明?/パキスタンが核搭載可能な空中発射型巡航ミサイルの試射に成功/イタリア空軍のF-16ADF全機がリース期間を終えて米国へ帰還/韓国がCBU-105D/B SFWの売却を要請

PAK-DAの任務と用途はなお不透明?

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-pak-da-bomber-in-doubt-says-minister-372687/

ロシアのドミトリ・ロゴージン副首相がイズベスチヤ紙のインタビューに答えたところでは、PAK-DAは伝統的な長距離核戦力を復活させるわけではないと述べた。防空システムやMDの発達に対して優位に立てないといった話をしている。
PAK-DAの開発はツポレフ設計局が担当し、Tu-160を大幅に改設計する案(VG翼を最後退位置にするとデルタ翼になるアレ)も公になっているものの、実際のところはわからんことが多い。2020年に原型機、2025年に配備というスケジュールもかなり大雑把な感じだ。

世界的には戦略爆撃機の時代は終焉を迎えて久しく、2030年代に戦略核積んでパトロールというのも想像しただけで時代錯誤の感は凄まじいものがある。

ただし目的がはっきりせずに迷走の気配なのは、米国のB-52およびB-1B後継も同様で、目的と手段が入れ替わってるというか空軍組織内部の縄張り争いというか、その辺も含めて似たり寄ったりだ。
違うのはロシアが伝統的に巨人機好きという点ぐらいか。

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パキスタンが核搭載可能な空中発射型巡航ミサイルの試射に成功

http://www.flightglobal.com/news/articles/pakistan-tests-nuclear-capable-raad-air-launched-cruise-missile-372647/

この巡航ミサイルは、パキスタンが自国で開発したもので、Hatf-VIII (Ra’ad)と名付けられている。初めて試射成功が伝えられたのは2011年4月。ミラージュIIIから発射される映像が流れた。

地形追従飛行が可能な、機動性の高い巡航ミサイルで、射程350km以上。
USAFのALCMを縮小した感じだが、搭載する機体がミラージュIIIまたはJF-17というから、ギリギリ1発搭載できるかどうかというレベルと考えられる。F-16の方がまだマシっぽいものの、政治的に差し支えがあるのだろう。

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イタリア空軍のF-16ADF全機がリース期間を終えて米国へ帰還

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-italys-last-f-16s-returned-to-usa-372691/

Peace Caesar計画の中でイタリア空軍へリースされたF-16ADFは、ユーロファイターの配備と入れ替わりでその役目を終えた。
段階的に返却のためのフェリーフライトが実施され、6月1日、最後の6機(単座型5機と複座型1機)がアリゾナ州ツーソンへ着陸したとのこと。イタリア空軍のパイロットが操縦し、SAR機としてC-130Jが1機随伴、USAFのタンカーが支援した。5月28日、Trapani-Birgi空軍基地を離陸、途中、アゾレス諸島で悪天候のため足止めされたが、最終的には無事にフライトを終えている。

FMS契約によりF-16ADFのリースが決まったのは2001年3月。防空戦闘機F-104ASAの退役とユーロファイター就役のギャップを埋めることを目的とし、当初は2003~2010年、累計飛行時間45000時間、単座型30機と複座型4機といった内容だった。
ホームベースとしたのはTrapani-BirgiとCerviaの両空軍基地。
2009年、ユーロファイター就役の遅れに合わせて契約期間延長が決まる。契約金額はそのまま、2012年中頃、47800時間までの延長となっていた。戻されても別に使い道は無いからサービスしたようだ。

これらのF-16は2003年12月から防空任務に就き、その一部はリビアでのユニファイド・プロテクター作戦にも参加している。

そういえばイタリアのF-16のドキュメンタリー見たなあ。確かパイロット養成が盛んに行われてた頃のイタリアのTV番組かなんかで、レポーターの女性が突撃取材してゲロゲロ吐いてたのは覚えている。

それはそれとしてTrapani-Birgi空軍基地で5月末に撮影されたF-16。

http://www.youtube.com/watch?v=1U7CkACJ8d0

と、F-104ASAの現役当時の映像。

http://www.youtube.com/watch?v=gX0NXVdGKGk

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韓国がCBU-105D/B SFWの売却を要請

http://www.flightglobal.com/news/articles/seoul-requests-325m-sensor-fused-weapon-deal-372652/

CBU-105D/B Sensor Fused Weaponは、テキストロンが開発したクラスター爆弾代替兵器の類で、重量は1000ポンド級。CBU-97にWCMDと呼ばれるPGM化キットを適用したもので、子弾のBLU-108を10発内蔵する。受動IRセンサアレイと能動レーザセンサで目標を識別し、命中しなければ高度15m程度の空中で自爆するか、着弾後に弾頭を不活性化する機能を有する。メーカーの試験を根拠とした信頼性は99%以上とされ、米国の他にインド、オマーン、トルコ、UAEなどが採用した。
DSCAでは同志討ちやコラテラルダメージを減らし、全体の攻撃効率を高めると称している。

韓国は2010年4月、SFWの導入を決めている。実弾367発の他、訓練用のキャプティブ弾が28発と模擬弾7発などを含む金額は、総額で3億2500万ドル。

先ごろF-5代替として採用が決まった、FA-50へのインテグレーションが計画されているようだ。
FA-50については、1月の最初の契約は20機で6億ドルと発表された。現用のF-5は150機が就役しているので、60機から、最大150機の採用が見込まれるところとなる。

中央日報にもちょっと書いてた。

http://japanese.joins.com/article/286/153286.html

米陸軍がAASの飛行デモンストレーションを行う見込み/MD540F AASデモンストレータ/JAGM開発は技術デモンストレータとして継続か/AH-64D Block IIIのIOT&Eが完了/C-130XJ対KC-390/MBDAが開発中のF-35向けASM、Spear 3

米陸軍がAASの飛行デモンストレーションを行う見込み

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-army-to-hold-flight-demonstrations-for-armed-aerial-scout-370325/

現在のところ、AASの既定路線はOH-58Fの改修という方向性であって、新型機の導入予定は無し。ということは必然的に、OH-58対最新ヘリコプター5番勝負みたいな様相を呈する。あくまでエキシビションですけど。
OH-58の改修だけでは能力不足なのも把握しているので、どこまで能力差があるかを実際に試してみるといった雰囲気だ。

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MD540F AASデモンストレータ

http://www.flightglobal.com/news/articles/md-helicopters-launches-armed-md540f-370374/

上のような事情があるものの、MDヘリコプターはAASデモンストレータとしてMD540Fを正式ロンチした。

MD540Fは2013年Q1までに型式証明取得する計画で、駆動系はMD530Fと同様だがFADEC化されたRR 250-C30HUエンジンにより、セ氏35度でも6000ftでホバリングが可能となっている。MTOWは1810kgまで増加した。EO/IRセンサはエルビットから供給を受ける予定というが、詳細は未定。

ボーイングは同じくMD530系の発展型のAH-6Sを提案しているが、これに対してMD540Fはやや上の市場を狙えると称している。

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JAGM開発は技術デモンストレータとして継続か

http://www.flightglobal.com/news/articles/raytheon-boeing-to-continue-jagm-development-370332/

当初JAGMの開発は、今年から製造技術開発が立ち上がる予定とあって佳境に差し掛かると見られていたのだが、FY2013予算は1000万ドルと大幅に減額され、開発自体が危ぶまれる状況となった。しかしメーカー(レイセオンとボーイング)も必死なので、技術デモンストレータ開発という名目での3億ドル規模の予算獲得に向けて、DoDを動かしている、という話。これが通れば8月に契約が締結される見通しとのこと。
この流れで、選定落ちしたLMの方にも予算が付き、並行して配備される可能性すら出てきたという。えーと何、この官製談合みたいな。

今後の開発については、弾頭とロケットモータから、シーカの3つの動作モードそれぞれに対応する誘導システムに焦点が移る。これはSDB II(現在FSD段階で2014年末までに製造開始予定)で開発されている誘導キットと関連。
その後は弾頭とロケットモータの更なる改良が進められる可能性がある。JAGMはモジュラー化された設計にも特徴があるので、こうした変更は比較的容易だ。

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AH-64D Block IIIのIOT&Eが完了

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-army-completes-initial-tests-on-block-iii-apache-370347/

IOT&Eは主にカリフォルニア州フォートアーウィンの訓練施設で進められ、まだ結果は公表されていないものの、全ての評価を完了したとのこと。
BLock IIIの大きな特徴の一つが、UAVを直接指揮し、センサの情報を共有するためのKuバンドデータリンク、LM製のunmanned aerial system data-link assembly (UTA)で、ロングボウレーダー搭載型とだいたい同形状のポッドに納められる。現在はMQ-1Cグレイイーグルが制御可能であるが、データリンクのアップグレードにより、RQ-7シャドーやその他のUAVにも対応する予定。

またこれとは別に、Block IIに地上砲火検出システムの試作品を搭載する試験も行われている。多数のカメラを並べてアレイを形成する型式のようだが、今のところ試験段階に留まるとのこと。

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C-130XJ対KC-390

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheeds-c-130xj-muscles-in-on-embraers-turf-370143/

C-130Jは、機体とともに装備も順当に高度化したため、コスト面ではかつてのC-130シリーズよりも高価になって、旧式化したC-130の代替とするには予算的に難しいというケースもある。そこら辺を狙ってC-390などが開発されているわけだが、LMとしてはC-130Hまでの代替需要をみすみす明け渡すつもりなど無く、C-130Jの装備を簡略化したC-130XJをロンチした。
結果としてC-130XJは、KC-390とは正面から競合する存在になる。

エムブラエルが開発中のKC-390は、コロンビアやアルゼンチンが興味を示しているほか、ポルトガルやブラジルF-X2と関連した取引の中でも話が出ており(スウェーデンとフランス)、最近では2010年8月、チリが6機を発注するとともに、開発への参加を表明した。輸出に向けた動きは活発になっている。

LMのC-130XJ責任者は、チリを交渉相手とは明言しなかったものの、多くの南米諸国から問い合わせがあるとし、C-130XJのコストについて、米空軍向けC-130Jよりも10~15%安価であると述べている。

米軍向けC-130Jは、2008年のフライアウェイコストで6500万米ドルらしいので、そのまま単純計算すると5500万~6000万というあたりか。
KC-390は5000万ドルクラスと言われているのでちょっと安いものの、基本的には予定より安くあげるのは難しい。

ちなみにC-2は100億円(8000万ドル程度)…という話のあとどうなってんのかしら。C-130J以上A400M並と考えれば意外に安いと思ったが。
100機ぐらい作ればなー。

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MBDAが開発中のF-35向けASM、Spear 3

http://www.flightglobal.com/news/articles/mbda-clears-spear-3-missile-reviews-369995/

正確にはSpear Capavility 3と表記されるもので、ブリムストン2ASMの発達型にあたる精密誘導兵器。英空軍のF-35に搭載する兵装として開発が進行しており、クリティカルデザインレビューとシステムデザインレビューを通過したのこと。評価フェーズはあと2年続き、2013年から2014年初頭にかけては実射試験が予定されている。2013年末にSpear Capavility 2 Block 1を配備予定。
この兵器は米空軍などの関心も集めている。

詳細は7月のファーンボロで発表される予定。

Tu-160の近代化改修について/B-1BがBLU-129の投下試験を行う/英海軍の将来の航空母艦と艦載機について/パキスタンのF-16D Block 52完納、MLUなど

Tu-160の近代化改修について

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120207/171200584.html

2月7日、ロシア国防省は、2020年までに10機以上のTu-160を近代化すると発表した。公式には、現在配備されているTu-160は16機とされ、その数を30機まで増加させる事も、暫く以前から宣言されている。

Tu-160の近代化改修型は、例によってTu-160Mと呼称されるタイプとなり、電子機器とアビオニクスの更新によって戦闘効率を2倍に引き上げるとされる。この機体は、先日改修計画が公表されたTu-22M3Mと同様、PAK-DA登場まで任務に就くことが想定されている。

図解。

http://en.rian.ru/infographics/20100615/159430934.html

エンゲルス空軍基地からの作戦行動をイメージした図が付いている。実際に長距離飛行したという話はあんまり報じられてないが、2度の空中給油を行いアラスカ沖まで進出して帰投できることになっている。

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B-1BがBLU-129の投下試験を行う

http://www.acc.af.mil/news/story.asp?id=123287910

1月27日、USAFの337th TESは、B-1BでBLU-129の投下試験を実施した。BLU-129は副次的被害を極限して目標を攻撃可能な500ポンド爆弾で、鋼製ではなくカーボンファイバ製の弾殻を有する。それでいて形状と質量はMk.82と全く同じになっており、PGMキットがそのまま適用できる特長がある。投下試験においては、高速度カメラで撮影し、その映像を鋼製のGBU-38と比較する形で、BLU-129の特性を確認したとのこと。
B-1BはBLU-129とその他の兵装を混載可能であり、スナイパーATPも装備されているので、極めて柔軟に任務に対応できるとしている。

B-1Bと同規模(以上)のTu-160も、これぐらいできなきゃ存在価値が以下略な感じだがどうなるか。

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英海軍の将来の航空母艦と艦載機について

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-royal-navy-chief-looks-to-the-future-with-carrier-f-35-programmes-367441/

SDSRからこっちの空母CVFについては、いろんな話が出ていた。2009年に2隻体制はどうも無理っぽいとなった直後は、1番艦クイーン・エリザベスを正規空母、2番艦プリンス・オブ・ウェールズを売却またはモスボールまたはオーシャン代艦にという話だったが、艦載機がF-35BからF-35Cに変更された時点で、方針が大きく変更される事になる。

艦の最終的な仕様は、2020年就役から逆算して年内に確定する予定とされているが、現在のところ2番艦のみにEMALS同等の電磁式カタパルトと着艦拘束装置が搭載される可能性が高いようだ。1番艦の処遇はまだはっきりしていない様子。S/VTOL空母のまま建造してHMSオーシャン代艦とする報道もある。ただしオーシャンは比較的新しい艦なので、退役となれば異例の早さになる。

F-35の配備については、今年5月にBK-1とBK-2が引き渡され、そのままエドワーズAFBでのIOT&Eに参加する事が決まっている。3機目は、SDSRの決定によりC型に変更することでUSMCと合意したものの、その機体(たぶんCK-1になる)の引き渡しは2014年まで遅れる。
英国でのF-35C配備の日程は来年決められるが、機数はまだ不透明なままで、2015年の次期レビューまでは確定しない。

他の艦載機は、シーキング後継のAEW機をAW101とする研究がある程度で、あまり決定事項はない。長期的にはUAVやUUVの運用も考えられる。
E-2D導入とかも有り得るのだろうか。

英海軍がCTOL空母を再保有する(というかQE型はロイヤルネイビー史上でも最大の艦になる)のは実に40年ぶりとなるので、それまでにクリアすべき問題は数多い。
まず、パイロットの訓練については、FAAから最初の1人がUSSジョン・ステニスに出向してF/A-18Eを飛ばしている。同様の体制で4人が追加され、今後10年間で10数名を出向させる事になっている。またRAFの人員も空母運用に関わる訓練を受け、1または2名の海軍パイロットはフランス海軍に出向という計画がある。RAFが絡むのは規定路線だな。
空母を運用するために必要なパイロット以外の人員も、同等以上に重要視されている。管制要員、LSO、デッキクルー、兵装担当要員、迅速さを要求されるエンジニアetc.

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パキスタンのF-16D Block 52完納、MLUなど

http://www.flightglobal.com/news/articles/pakistan-receives-three-f-16s-from-usa-368002/

パキスタンは米国製のF-16D Block 52の最終18号機と、米国でMLU改修されたBlock15を2機受領した。MLU改修機としては、これと別にトルコTAIから3機を受領予定。

米国でのMLU改修は4機が米国に戻されており、今回帰ってきたのがその中の2機。残りの2機は今年後半に引き渡し予定となっている。

Block 52の最終18号機については、一時はキャンセルされるのではとも言われていた。当初2011年に納入予定だったのが、3月のビンラディン強襲の一件とそれに続く政治的ゴタゴタが影響している。
これらの機体は、APG-68(v)9レーダー、ALQ-211(v)9、F100-229エンジンなどを装備する。兵装パッケージとしては、AIM-120C5×500発、AIM-9M-8/9×200発、JDAM×500発、GBU-12/24×1600発、BLU-109×700発など。

MLUについては、パキスタンは「ピースドライブII」計画に基づき、TAIにF-16A/B Block 15×41機の改修と飛行試験、72名の技術者教育をまとめて発注している。期限は2014年9月。
既に最初の3機は改修済みで、アンカラにてパキスタン当局者に公開されたが、まだトルコ国内にあるようだ。

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トルコ空軍がT-37の事故を受けて飛行停止に

http://www.flightglobal.com/news/articles/turkey-grounds-t-37-fleet-for-safety-checks-367952/

トルコでは過去6ヶ月にT-37が2度の墜落事故を起こしており、トルコ空軍は同型機を飛行停止とし、技術的な検査を実施すると発表した。1月16日の事故では、交換派遣で来ていたパキスタン人の操縦する機体が墜落、2011年7月の事故ではイズミル付近の海上に墜落した。いずれも搭乗員は死亡している。

トルコはT-37を1963年から運用しており、現在もT-37B/C×49機が現役にある。これらはイズミル空軍基地の122nd Sqnに配備されており、11月で退役することになっている。後継となるのはKAI KT-1で、これまで24機が引き渡され、今年後半に残り16機が引き渡される予定。

トルコの戦闘機パイロット訓練過程は、初等練習機SF-260、中等練習機T-37(KT-1)、高等練習機T-38というほぼUSAF式になっている。

現状のMOPでは地下核施設を破壊できない/イランがレーザ誘導砲弾を独自開発したと発表

現状のMOPでは地下核施設を破壊できない

http://www.spacewar.com/reports/US_bunker-buster_not_powerful_enough_against_Iran_report_999.html

GBU-57 MOPは、昨年9月から米空軍に配備が開始されている。その想定する目標は強化された地下施設であり、具体的にはイランや北朝鮮に存在する地下核施設であったわけだが、先週末のWSJの報道では、最初の投下試験の結果、そうした目標の破壊には不十分であると結論されたとのこと。匿名の政府関係者から得た情報とされている。
これについてパネッタ国防長官は2/1、最も深い(または硬い)壕に対しては報道が事実であることを認め、更に能力を向上するための開発が行われていると述べた。

記事ではWSJ報道の中身が引用されている。最初の試験で、貫撤深さの不足、あるいは目標の防御強化によって破壊が困難と判定されたという。
イランの核開発、爆薬を用いた試験や弾道ミサイル開発とその対応については省略するが、米国防総省は1月、MOPの能力不足に対応するため、議会に対して密かに開発資金拠出の要請を提出したとされている。その金額は約8200万ドルというから、MOP×20発分の開発費用、約3億3000万ドルの1/3ぐらいにあたる。なお開発と製造はボーイングが担当した。

34MPaの強化鉄筋コンクリート200ftを貫徹可能という話だったが、厚くするだけなら比較的容易というか地形と地質と設置場所によるか。

以上の前振りになってるのが、クム近郊のFordowに存在する新しい核施設の話。

http://www.spacedaily.com/reports/Irans_new_nuke_bunker_may_be_war_trigger_999.html

1月9日、イラン政府はFordowの地下施設でウラン濃縮が開始されたと発表。位置はテヘランの100マイル南方、グレートソルト砂漠になる。
装置は西部Natanzから持ち込まれた物で、欧米諸国では2011年夏から移設が行われたと見ている。
公式に存在が認められたのは2009年9月。Natanzよりも強固に護られているとされる。

http://www.nti.org/facilities/165/

あとイスラエルが導入した5000ポンドのバンカーバスター(GBU-28)×55発について、遅発信管が早い段階で作動する可能性があるとして米国に説明を求め、最終的にカマンが信管を改修したとかなんとか。

関連して米国防長官の見解では、イランは早ければ年内にも核兵器を開発し、2~3年内に核の運搬手段を得るだろう、としている。

http://www.spacedaily.com/reports/Pentagon_chief_sees_Iran_bomb_potential_in_year_999.html

1月26日にCBSの番組「60 minites」で発言したもの。

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微妙に関連で、

イランがレーザ誘導砲弾を独自開発したと発表

http://www.spacewar.com/reports/Iran_says_it_has_laser-guided_artillery_rounds_999.html

イラン国営放送は1月27日、自国で開発したレーザ誘導砲弾の映像を公開した。最大射程は20kmで、静止目標と移動目標の両方に使用可能とされている。イラン国防相によれば、イランはこの種の兵器を独自に開発した5番目の国になった、とのことだが、例によって詳細は公表されていない。
技術的に短距離SSMとは結構違うけど、今となっては、作るだけなら民生部品で作れそうではある。