ホンダジェットHA-420とその後の展開について/Unusual Attitude Training/Aerionが超音速自然層流翼のフェーズ2試験を開始/ガルフストリームがソニックブーム低減技術の実現に「極めて近付いている」と発表

ホンダジェットHA-420とその後の展開について

http://www.flightglobal.com/news/articles/nbaa-honda-aircraft-describes-plans-for-ha-420-follow-on-378253/

NBAA2012においてホンダエアクラフトの藤野社長から、いわゆるホンダジェット、HA-420の型式証明完了を待って、新型機の開発に着手する旨の発言が出ている。
現時点では、HA-420のFAAの型式証明取得は来年後半予定なので、本格的に開発が始まるのは2014年以降になりそう。

詳細についてはコメントを避けているが、Phenom 100/300に近いクラスであるということは認めた。HA-420は5座のVLJであり、クラス的にはPhenom 100に相当するので、仮に大型化する方向性なら、もう少し大きい7座のPhenom 300をターゲットにして開発することになるだろう。
性能で言うと、HA-420は、Phenom 100に対しては最大巡航速度で30ktas速く、300に対しては43ktas遅い。なお100はHA-420同様の直線翼だが、300は後退翼を採用している。

ホンダエアクラフトの基本的な方針としては、パフォーマンス重視で進めたいとしている。つまり単純にストレッチ型を作るといった話ではなく、パフォーマンス面での得失によっては、別の設計を選択することもあり得る。
もし新規設計となれば金も時間もかかるけど、この事業を将来にわたって継続するつもりなら、もっとノウハウを蓄積したいというのはありそうだ。実績はまだ1機種だけだし、後退翼だったりしたら、全く新しいチャレンジとなる。

若干興味深いのは、ホンダが長年自動車メーカーでやってきた経験から、デザインアイコンの重要性について触れてる下り。一目見てホンダの飛行機と認識してもらえるよう、一部のデザイン、主翼上面のエンジンや膨らんだ曲面構成の風防ガラスなどは、HA-420から引き継がれるだろうとしている。

かつて航空機のデザインでは、実験や設計者の経験からうまくいった形を踏襲するなど、メーカー毎のカラーが出るケースもあった。しかし現在は、設計レベルではCAD/CAMと数値解析の普及、製品レベルではエンジンメーカーの淘汰と寡占化によって、一つの正解(今は「効率」がキーワードだが)に近付けようとする傾向が強い。このため、デザインも同クラスなら似たような感じになるパターンが増えた。
もっと言えば、材料技術の進歩などでデザインの自由度そのものは上がってるはずだけど、定石を外したデザインでは売れるもんも売れない、と見られてる節も、業界内にはあるように思える。ホンダは異業種からの参入で、そこに一石を投じた形。

型式証明プロセスの状況については、HF120の認証待ち状態だそうで、2013年5月まで続く見通し。ただし飛行試験自体はそれより早く開始することになっていて、型式証明取得までの累計飛行時間は、試験機5機で1500時間程度を見込んでいる。

記事の最後では、新型機のエンジンについても軽く触れられている。GEとのJV、GEホンダエアロエンジン社は、HF120のコアを拡大、高出力化したタイプを検討しているものの、これが使われるかどうかは不明。もし採用されなければ、必然的に他社から調達することになるだろうが、ここも明言は避けられた模様。まだまだそういう段階ではなさそうな感じだ。
無理矢理HF120の3発とかになったら面白いが、エンジン数は増やさないだろうなあ。

なお、HA-420と同じくHF120を搭載予定の機種としては、Spectrum Aeronautical社のフリーダムS40というのがある。

http://www.spectrum.aero/the-freedom-s-40

独自技術によるCFRP製(エポキシ系)の機体が売りで、アルミ合金に比べて重量は2/3程度、同級で最も大きなキャビンを持つ。このため予定性能は、HA-420を含めた競合機すべてを大きく上回る。ことになっている。HA-420と同エンジンながら、性能が1クラス上になる予定。

S40の前段階として開発されているのがインデペンデンスS33で、S40よりもちょっと小振りな機体にエンジンはFJ33の双発。性能はVLJとしてはやっぱり高い。ことになっている。

http://www.spectrum.aero/images/stories/downloads/brochures/Independence_S33_Competitive_Advantages.pdf

S40の開発状況は不明。

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Unusual Attitude Training

http://www.flightglobal.com/news/articles/nbaa-stallion-51-introduces-unusual-attitude-training-378254/

STALLION 51というフロリダ州に拠点を置く企業が、Unusual Attitude Trainingと称する訓練プログラムを立ち上げようとしている。
同社は民間向けの、特にビジネス機クラスのパイロット訓練を、練習機とセットで提供するサービスをメインの業務とする。記事中、有視界飛行訓練にTF-51、計器飛行及び有視界飛行訓練にL-39を運用するとあり、公式の方を見てみると、このほかにもT-6(IIじゃなく元祖の方)も訓練機として保有しているみたい。

http://www.stallion51.com/

Unusual Attitude Trainingというのは、文字通り、飛行中の異常姿勢から回復する訓練を行う目的で考えられている。同社CEOによれば、従来こうした訓練は、軍用機(一部の法執行機関とかも含む?)のパイロット向けに限られていたため、民間航空の世界では浸透せず、パイロットが経験することも少なかった。

訓練は特殊な電子機器を搭載したL-39で行い、高高度からスタートして回復操作をシミュレートできる。また自社の医学部門であるAVMED51が航空生理学の座学を担当し、空間識失調、バーディゴなどについて学べるそうだ。

ちなみに、P-51の整備や売買を行う部門もある。何この趣味と実益を兼ねて最強に見える会社。

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Aerionが超音速自然層流翼のフェーズ2試験を開始

http://www.flightglobal.com/news/articles/nbaa-aerion-details-second-phase-of-supersonic-wing-tests-378159/

AerionはSSBJの開発でNASA(DFRC)と協力しており、フェーズ2としてF-15Bを使った超音速自然層流翼の試験を実施することになっている。試験用の構造物は大きさ80インチ×40インチ。元々は2011年後半に計画されたが、機材手配の関係で遅れた。
2年前のフェーズ1では、比較対照としてただの板をF-15に取り付けて飛ばすところまでやった。それからCFDで検討を重ねて形状を変更したりといった過程があった模様。

試験では、高度40000ft、Mach 2での飛行を行い、IRカメラでもって亜音速、遷音速、超音速それぞれの遷移時の気流の状態を調べ、計画通りの効果が発揮されるかどうか、また製造上の問題点を洗い出すためのデータ取りも兼ねる。超音速自然層流翼は、Aerionの独自技術の核心部分と言っていいものであり、かなり重要だ。

試験期間は1ヶ月から2ヶ月。6~10回の飛行が見込まれており、1回の超音速飛行は30~40分程度とされる。まあこんなんじゃ、機材繰りが無理だからって別をあたるわけにもいかんわな。

とは言うものの、2008年からこっちはSSBJを取り巻く状況が劇的に改善することがなかった上、予定したエンジン、JT8D-200シリーズの-219が早期に終了する可能性も出てきた。これはJSTARSなどのリエンジンがお蔵入りしそうな流れになったためで、防衛予算削減のあおりを受けた格好になる。

http://www.flightglobal.com/news/articles/nbaa-aerion-talks-up-transonic-options-as-f-15-tests-resume-378162/

メーカーの状況は回復しつつあるとは言うものの、すぐにどうこうという話にもなってないのが実情。
そんなこんなで、民間の潜在顧客の要望に応えるべく、自社の技術を用いて遷音速程度での性能改善を提案することも考えてるみたいだ。自社の技術はスケーラビリティに富んでいるから、どんな機体にも適用できる、というのが同社の主張。
Aerionが挙げたのは、ビジネスジェット機のうちサイテーションXとガルフストリームG650で、これらの最大速度をMach 0.99まで引き上げる事が可能としている。

本命のSSBJ(Aerionの呼び方ではSBJ、Sがひとつ少ない)の方は、JT8Dの双発でMach 1.6、乗客8~12席といった仕様だった。製造はメーカーに委託するので、いわばファブレス。テクノロジー・プロバイダーと称している。

JT8D-219が無理なら、当然別のエンジンが必要となる。同社は代替案を検討中というが、どのみち低バイパス比で使うのだし、内容的には戦闘機用のエンジンをそのまま使うのが簡単っぽい。JT8Dと同級というだけならCFM56系あるけど。

http://www.as.northropgrumman.com/products/e8cjointstars/assets/PW_me_jt8d-219_product_card.pdf

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ガルフストリームがソニックブーム低減技術の実現に「極めて近付いている」と発表

http://www.flightglobal.com/news/articles/nbaa-gulfstream-very-close-to-supersonic-business-jet-design-378243/

SSBJだけに限った話ではないが、超音速飛行時に発生するソニックブームは航空機の高速化にとって、大きな障害となっていた。

ガルフストリームのソニックブーム研究は、2000年代に入ってからNASAとの協力関係に発展、2008年のNBAAではX-54というディジグネーションを与えられた実験機の存在も明らかにされた。が、X-54の姿は一向に明らかにならぬまま。しかしここに来て、quiet boom技術を適用した機体設計がほぼ完了したとの発表に至る。X-54が公表されてちょうど4年になった。

でもやっぱり具体的な形はわからずじまい。F-104似とも言われるが…

ヒントというか、エンジンが在来のガルフストリーム機に用いられたもので足りる、ということには言及されている。つまりG450のRRテイ、G650のRR B725のいずれか。ただし超音速巡航時に燃焼温度が高くなることは避けられないので、通常運転時の燃焼温度自体を引き上げる何らかの対策は必要であろう、とのこと。

JA2012関連

最近、FlightGlobalの日本関係の記事がまともになってきている。普段シンガポールで記事を書いてるグレッグ・ウォルドロンさんがすごい勉強したのか、まともな情報源とのコンタクトを作ったのかはともかく、9日から名古屋で開催のJA2012取材のために来日中。

日本のイベントなので普通に報道もされると思うけど。

http://www.flightglobal.com/air-shows/japan-expo/

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輸出関連。

・C-2民間型のYCX

http://www.flightglobal.com/news/articles/kawasaki-seriously-exploring-commercial-potential-of-c-2-airlifter-377428/

パンフレット類はそのうちネットでも出回ると思われるが、資料の概要を少し。

MTOW141tonはA400Mと同等、現存するC-130民間型L-100の2倍相当。貨物室の高さは4.29mで、747-400Fなど旅客機ベースの貨物機よりも高く、大型貨物(シコルスキーS-60など)を積載可能。エンジンはGE90双発。最大ペイロード30ton時の航続距離は3080nm(5700km))となっている。が、潜在顧客からのフィードバックにおいてはCF6搭載型も有望だったという。CF6ならC-2と全く同じか。

川崎の市場予測としては、この種の大型貨物輸送機の需要は2020~2030年にかけて最大100機。
今のところC-2の開発は2014年度いっぱい続く予定なので、民間型はその先の話だ。

・US-2

http://www.flightglobal.com/news/articles/shinmaywa-looks-to-india-for-us-2-amphibian-sales-377407/

インドは1月、海軍のSAR用飛行艇についてRfIを発出。発注数は9機で、オプション含めると最大18機となる。
一応、建前的には、非武装の救難機が求められているので、三原則見直しの以前からUS-2の輸出は支障なしと判断されている。
国内向けが両手の指で足りる程度という馬鹿げた製造数のため、新明和にとって輸出の成否は死活問題。

インド海軍向けについては、競合するのはCL-415とBe-200あたりが想定されている。これらに対して、US-2の性能以外に特筆すべき点の一つはエンジン。US-2はインドが既に保有するC-130Jと同型式のエンジン、RR AE2100を4発搭載する。
性能に関してはUS-2が突出している(速度性能だけはジェットのBe-200が上だが)ので、問題は値段とサポート体制だろう。輸出がなかなかできないBe-200と状況は若干似ている。
インド向けは基本、軍用なので、US-2のまま売れるというのも大きい。

インド国内民間向けも売り込み中。というのは国内報道されたとおり。

http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0005008823.shtml

・MRJ関連の分析

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-mrj-continues-to-defy-the-doubters-376868/

MRJは開発の遅れなどいろいろ言われはしたが、ボーイングの支援でサポート体制を構築できる点や、初期の段階でGTFを最初に選定したアドバンテージが、競合(この場合は同じく新型機のMS-21やCSeriesなど)に対して優位に立つ要因となっている。と分析されている。
逆に既存の大手2社が同等のエンジンを備えるようになったら、厳しくなるとも。買う方はキャリアにせよリースにせよ、保守的な選択に至るのが普通であるから、わりと当たり前な話。新規参入はとにかく評判を上げていくしかないだろう。

・株式会社リンクが2013年からATR72-600を国内導入

http://www.flightglobal.com/news/articles/atr-marks-entry-into-japan-with-start-up-airline-deal-377404/

http://linkairs.jp/index.html

リンクは4月に設立された企業で、2013年度からリースのATR72-600×3機体制での運航を開始する計画。

ATR72-600の国内導入は、なにげに初だ。日本市場は、とりあえず傍目には巨大と映るし、サーブ340やQ400の後継が不在の状況とあって、ATRには大きな一歩と考えている模様。滑走路が短いところに小型のATR42が入る余地もある。

・警視庁がAW139を2機追加、国内のAW139は40機に

http://www.flightglobal.com/news/articles/japanese-police-order-two-aw139-helicopters-377488/

2014年納入予定とのこと。40機のうち11機は法執行機関向けとなる。

AW169のプレゼンテーションを行ったらしい。

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軍用機関連。

・F-35のFACO稼働予定など

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-martin-working-with-mitsubishi-on-f-35-line-377480/

LMの発表によると、名古屋に設置するFACOラインで最初の機体が組み立てられる時期は、2017年とされている。

この他にLMと空自の関わりと言えば東日本大震災で損害を受けたF-2の再生作業における協力、というのがある。しかし申し訳ないがLMはボッタクルイメージしかない。

・ボーイングと空自の関係

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-and-japanese-partners-to-research-manufacturing-technology-373604/

ボーイングは空自に色々ご提案してますよというのが出ている。F-X選定では失敗したが、有事に生命線となるE-767もKC-767もF-15もボーイングが扱ってるので、関与する度合いは大きい。

特にF-15に関してはマーケティングの段階とは言え、レーダー、アビオニクスを含め様々なプランが挙がっているようで、一例として主翼を強化しハードポイントを増設、AAMの搭載数を4発増やす、というのが出ている。巡航ミサイル対処では搭載数が重要なファクターとなる場合がある、という話のようだ。SEよりは日本向きのプランか?

KC-767は、誰がどう見ても足りないが、実際に防衛省からは全く動きが無いらしい。将来はKC-46を4~8機程度の単位で提案する可能性もあるようだ。KC-46はブームシステムが新しくなって、KC-767より燃料搭載量が多いっぽいという以外はよくわからんけど、まあ双子みたいなもんではある。

E-767は年内に4機全てのレーダーアップグレードが完了する。737AEW&Cについても書かれているが、E-2C後継とかその辺を指してるのかな。

最後にUAV。今年のファーンボロにて、評価用のスキャンイーグル×2機の契約が明らかとなっていた。去年予算要求されてた分にあたる。
この先、本格調達に繋がる可能性は十分にある。まあJA2012で発表されるようなもんでもなさそうな気はするが。

 

…というのを解説する上で、日中の空軍力パワーバランスの記事があった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-china-crisis-adds-urgency-to-japanese-air-force-modernisation-377060/

まとめ的な内容なので特に目新しい話ではないが、あちらの記事にしては珍しくだいたいあってる。
以下要点。

・空自は、F-15後継としてF-22が導入できなかった時点でケチがついている。
・中国では、この10年で第4世代戦闘機の数は400~500機に達し、短距離弾道弾や海軍力(この場合は防空能力の向上がポイント)が飛躍的に増強されている。
・中国の第5世代戦闘機は2018年から配備される可能性がある。
・一方日本ではまだF-4が防空戦力として現役。10年前に保たれていたバランスは完全に崩れた。
・F-XはF-4の後継で空対空戦闘中心の選定だったはずがなぜかF-35にしちゃった。ステルス大好きという以外に、米国との関係を継続・強化する選択だったとも言える。(が、それで空軍力低下の問題が解決するわけではない)
・F-15の近代化改修でAESA装備はいまだ話題にも上らない。(F-2のJ/APG-1について触れられてないのは多分ミス)
・国産機に投じられる技術は高いが、輸出できないからアホのように高い。
・調達数が40~50機にとどまるなら、ATD-Xから実用機に発達する可能性は極めて低い。ただしF-35のオフセットなりライセンス生産なりを分捕る手段にはなるかもしれない。

うむ、大体間違ってない。
最後のは、開発自体が失敗しない限りF-15/F-2の置き換えで100機近く行きそうな気がするけど。これはF-35の運用実績と調達状況に左右されるだろう。
F-15のAESAは、USAF向けが動き出したらそれに追随するんじゃないかと思ってたのだが、それも出てきてない。

そういえばUHXの件が出てないなあ。この記事。

日産リーフ・リムジン(非公式)/蘭デルフト工大が英国の学生フォーミュラに水素燃料電池車を参戦させる/グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2012で走ったEV/最初の速度記録挑戦車

日産リーフ・リムジン(非公式)

http://www.gizmag.com/nissan-leaf-limousine/23367/

何でも延ばせばいいってもんじゃないのはもちろんだが、ミズーリ州のImperial LimoLandというところが、わりと簡単にリーフのリムジンを作った。同社は「世界初のリムジンEV」と主張している。
Embassy Suites Nashville Southというホテルが発注したもの。

400ポンドの重量増に対しバッテリの増設などは行われていない上、どうみても空力台無し(後部を絞ればボートテール風になって向上しそうだが座席が狭くなるので論外)のため、連続走行距離は相当縮んでると思われるが、ホテルのVIP客送迎用(だいたい5マイルぐらいしか走らないとか)ゆえに問題はないようだ。その辺の仕様や金額は未発表となっている。
6人乗りまたは8人乗りというのは、前部座席に運転手含む2人、後部の客席に6人ということらしい。

http://www.venere.com/ja/embassy-suites/franklin/embassy-suites-nashville-south-cool-springs/

ここかしら。ナッシュビル国際空港まで往復すると30マイルぐらいあるな。

基本構造には手を入れず、ストレッチして内装を豪華にしたという改造。EVは駆動系がシンプルで済むから、延ばすだけならガソリン車とかよりずっと簡単そうだ。

リーフ自体の評判がどうなのかイマイチ分からんが、エコとかグリーンとか言いたい向きには少なくとも好評のようで、

http://www.gizmag.com/portugal-worlds-first-nissan-leaf-police/23300/

ポルトガル警察(Polícia de Segurança Pública)が、リーフ8台をパトカーとして導入したそうだ。これも世界初ということになっている。
5000台からのパトカーの中では微々たる数で、性能的にも十分かどうか意見が分かれるところであるものの、低騒音なのは静かな住宅街のパトロールや張り込みとかには便利かも。

このカラーリングは魚っぽさを際立たせる縞々ですね。

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蘭デルフト工大が英国の学生フォーミュラに水素燃料電池車を参戦させる

http://www.gizmag.com/forze-v-hydrogen-race-car/23332/

英国の学生フォーミュラ選手権は、今年が14回目の開催となる。会場はシルバーストンサーキット。
これまでは、全てガソリンエンジン車によるエントリーで行われてきたが、今大会では初めて水素燃料電池を動力源とする車が正式に参加した。オランダのデルフト工大のチームがそれで、Forze Vというマシンを持ち込んでいる。昨年もエントリーしたものの、技術的トラブルで記録が残せなかったようだ。
結果は、参加100台中の29位。

同校のチームが燃料電池のレーシングカーに取り組み、形にしたのは2008年のフォーミュラ・ゼロが最初で、Forze Vが最新となる。
重量280kgで2モータ。通常時出力18kW(24HP)だが、60mphまで5秒以下の加速と最大速度120km/hを達成している。またエネルギー回生の併用によって、出力は短時間ながら60kW(80HP)まで上積みできる。

水素ガス600gでレーシングスピードを1時間持続でき、3リットルぐらいの水が出るそうだ。
現存するEVレーシングカーではここまで持続できない。やはり本命は燃料電池か。

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グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2012で走ったEV

・Lola-Drayson B12/69EV

http://www.gizmag.com/drayson-ev-goodwood-record/23218/

http://www.draysonracingtechnologies.com/home.html

4モータの合計出力が850HPに及ぶレーシングEVで、最大速度は320km/h、ほとんど200mphとされている。
グッドウッドではヒルクライムのEVコースレコードを樹立した。総合タイムでは11番目。

http://www.gizmag.com/lola-drayson-b1269ev-electric-racing-car/21212/

Drayson Racing Technologiesは、英政府で科学技術担当相を努めた経験のあるPaul Drayson卿が設立した。
まずE85バイオ燃料で走るアストンマーチンを開発し、GT2カテゴリでALMSとル・マンに投入し、2010年にはローラB10/60にジャドの多燃料仕様のV10を載せたLMPマシンで成功を収める。
B12/69EVは2012年1月に公開されたもので、サーキットコースにおけるEVのラップタイム記録樹立を目標としており、ローラ製のLMP1のシャシに、独自開発のEVのパワートレーンを載せている。
加速性能は60mphまで3秒、または100mphまで5.1秒とされるが、短時間のタイムアタックに割り切ったため、最新のLithium Nanophosphate電池を搭載しても全開走行時間は15分がいいところという。

http://www.a123systems.com/lithium-iron-phosphate-battery.htm

充電システムは無線のHaloIPTになっている。これは去年クアルコムが買収した技術に基づく。

http://www.qualcomm.co.jp/news/releases/2011/11/08/qualcomm-acquires-haloipt-team-and-its-wireless-electric-vehicle-charging-t

・インフィニティ EMERG-E

http://www.gizmag.com/infiniti-emerg-e-goodwood/23148/

http://en.infinitiemerg-e.com/

もう一台は日産が開発したEMERG-Eで、ここではマーク・ウェバーがドライブしている。初公開は今年のジュネーブだった。こちらも英国政府の支援を受けてる。
出力は2モータで402HP(300kW)。加速性能は60mphまで4秒。

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最初の速度記録挑戦車

http://www.gizmag.com/le-jamais-contente-first-land-speed-record/23094/

100年前は今よりたくさんのEVメーカーが存在した、という類の話は段々認知されてきたような気がするが、速度記録挑戦専用の車が生まれたのもEVが先だった。
1898年12月18日、フランスの自動車雑誌La France Automobileが陸上速度記録大会を開催。Gaston de Chasseloup-Laubat伯(あるいはElectric Count、人呼んで電気伯爵)がJeantaudという電気自動車をドライブし、知られている限りで最初の自動車の陸上速度記録を打ち立てた。その速度は63.13km/h(1km区間を走った時間を測定し、平均速度で表した記録)だった。モータ出力は36馬力だった。
記事中の画像は1/43スケール、Touchwoodというメーカーの木製モデル。
なおこのタイプの特徴として、史上初のステアリングホイールの採用、というのがある。現在の乗用車とは異なり、ホイールが水平に取り付けられているのがわかる。今でも作業車などでは見られる形だ。

この記録に挑んだのはベルギー人ドライバーのCamille Jenatzyで、翌1899年1月17日にCGA Dogcartというマシンをドライブした。この車に関する情報は乏しく、80セルの鉛蓄電池を積んでいたということしか伝えられていない。この日、記録は66.17km/hでわずかに上回るも、Chasseloup-Laubat伯のJeantaudはすぐにこれを上回る70.17km/hを達成したため、記録を保持していたのはごくわずかな時間に過ぎなかった。

10日後の1月27日、再びCGA Dogcartが記録に挑み、80.35km/hを出した。
さらに6週間後の3月4日、Chasseloup-Laubat伯は以前と同型の新車を改造車に仕立てて巻き返しを図る。Jeantaud Duc Profiléeと呼ばれたそれの記録は、92.7km/hに達した。

Jenatzyがこれに対抗して製作した車両が、世界初の速度記録専用車となる。
魚雷型のボディを与えられたマシンはJamais Contente(英語ではNever Satisfiedというから不満足号?)と名付けられた。材料にはプラチナ、アルミ、銅、亜鉛などの合金と、それまで自動車には用いられなかった鉄が使われ、25kWモータ2基を直結、200V/124Aのバッテリを積んで、合計出力は68馬力ほどだったという。
記事にあるのはその復元車。

このマシンによって4月29日、105.9km/hの記録が打ち立てられる。この記録は1902年、蒸気自動車によって破られるまで保持された。

以降の半世紀、陸上速度記録は内燃機関、レシプロエンジンの時代に移っていく。唯一の例外は蒸気自動車のスタンレー・スチーマーで、195.65km/hの記録を1905年から4年間保持していた。
その次に来たのはタービンエンジンの時代ということになる。この間、ジェットとロケットで100mphぐらいずつ記録が伸びた後、1997年スラストSSCに至るが、その記録は未だに破られていない。

ボンバルディアCSeries関係/MRJとスカイウェスト

ボンバルディアCSeries関係

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http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-bombardier-confident-on-cseries-sales-373976/

景気が悪いと安いほうが売れる原則はボンバルディアのCSeriesにもプラスに働いており、ファーンボロ直前の7月8日には15機の受注を加え、総数を153機とした。
この時点で12社から受注し、なお多数の潜在顧客と交渉中との発表。受注目標としては、2013年就航までに20~30社、300機という数字を掲げる。ここからも判る通り、大口の契約を狙いに行くのではなくて、少数ずつたくさんのカスタマーへ売り込むという地道な販売戦略をとっている。そのため、セールスをかける地域が極めて広いというのも特徴的。

開発状況については、試験用のシステムが揃ってきているところで、Liebherr Aerospaceの供給する着陸脚が7月初めに完成、最後に残っていたフライトコントロールと高揚力装置の試験装置も中旬には完成することになっている。
やや予定が押しているのはFBW周りで、Parker Hannifin(とその下請けに入るBAEシステムズ)との緊密な協力のもと、作業を進めているとのこと。就航までのスケジュールに比べれば、初飛行の日程などは(多少遅れても)さほど問題でないと言い切っているボンバルディアではあるが、その分システム試験機の完成度は相当に高めなればならない。

ファーンボロ期間中の記事では、

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-airbaltic-set-for-2015-delivery-for-first-cs300-374139/

ラトビアのエアライン、Airbalticが130席タイプのCS300を10機(オプション10機)、2015年Q4から2017年までの引渡しで合意。ボンバルディアによると、10機で7億6400万ドルと発表している。
一部を110席タイプに変更する選択権があり、その場合はB.737-300/-500を更新することになる。FlightGlobal調べではそれぞれ9機、6機が現役だそうだ。
AirBalticはCS300などの導入後も、需要を睨みつつ機材の更新を続ける方針で、B.737-800や、ボンバルディアからはQ400を検討しているとのこと。シミュレータについても導入を考えているようだ。

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-airasia-boss-confirms-talks-for-100-cseries-cs300-374312/

LCCのAirAsiaは予備的な交渉の段階ながら、最大100機の導入を検討する。
AirAsiaはA320を主力としており、A320neoを200機ほど発注して2016年から更新する計画であるが、これと別にCS300も2016年から就航させる計画。これにより、小型機でないと降りられない空港へ対応できるようになる。
この交渉の上で未定の事項になっているのが「CS300の160席タイプが可能かどうか」という点。今回持ち込まれたモックアップのシート配置は、28インチ間隔の150席程度とされていた。

 

イリューシンファイナンスもCS100(30機)の導入を交渉中とある。

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-ilyushin-finance-nears-superjet-cseries-deals-373571/

ロシアのイリューシンファイナンスが、外国の機材、それもロンチ直前のSSJと競合する機種を選定するというのは、やや意外にも思える。これについては、同社はUAC傘下ではあるものの、UACの株式の保有率は49%と半数に満たず、その立場はメーカー寄りというより銀行寄りであって、エアライン側にも安心感があり、また外国製の機体を入れたり、ロシア以外の地域への展開にも積極的になれる。

 

製造面では、中央胴体を瀋陽航空機製造に委託していたが、初期の段階ではリスク緩和策として別の外注先も使うことを発表した。

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-bombardier-dual-sources-early-cseries-centre-fuselage-barrels-373932/

ここで名前の挙がったスペインの企業Aernnovaは、以前からのボンバルディアの製造パートナーの一社で、CRJ700/900のスタビレータ(垂直・水平とも)を製造している。CSeriesにおいても最初の40機分の中央ウイングボックス構造を作る(最終組立は瀋陽)ことになっており、胴体の製造についても十分に把握しているようだ。
瀋陽では2009年8月に試験用の胴体構造をボンバルディアに納めており、2010年3月には敷地面積21000平米の新工場を起工しているが、供給不足となればスペインのこっちも使うことになるのかな。

また、ファーンボロではP&Wがエンジン技術面の特長をひとつ披露した。

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-cseries-gtf-to-feature-variable-area-fan-nozzle-373956/

CSreriesの搭載するPW1500Gは、民間向けエンジンとしては初めて可変ノズルを備える。
基本的には、離陸時には拡張してバイパス流量を増やし、燃焼効率を高めて騒音を低減するためのもので、副次的な効果としてファンのフラッターや共振の防止を期待できる。

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MRJとスカイウェスト

今年4月25日に開発スケジュール見直しを発表、2015年後半からの初号機引渡しとされたが、

http://www.mrj-japan.com/j/news/news_120425.html

ファーンボロでは米国のスカイウェストから100機の基本合意。確定すれば現時点で受注数170機。

http://www.mrj-japan.com/j/news/news_120712.html

なおスカイウェストではこれと別に、70または90席クラスの76機を6ヶ月以内に発注予定としている。

http://www.flightglobal.com/news/articles/skywest-expects-more-deals-to-follow-mrj-order-within-six-months-374416/

スカイウェストが保有する725機の内、約500機は今となっては効率の悪くなった50席クラスのリージョナルジェット機で、これらに代わる機体を求めている。つまりMRJ引渡しの2017年より前に就航させたい分、ということになる。
ボンバルディアとエムブラエルが、それぞれの76席タイプ(CRJ900とERJ175)を提案しているが、スカイウェスト自身が低成長に苦しんでいることもあって、なかなかコスト面の折り合いがつかないといった状況のようだ。

同社は、MRJとの契約を発表したのはこちらの交渉材料にするのを意図したわけではないとしているが、実際には当面の新規発注を取り止め、50席タイプのリース契約を2015年あるいは2016年まで延長することもできる。そこまで来たらMRJのオプションを追加という選択肢も視野に入ってくるため、メーカー側は意識しないわけにもいかない、といったところ。

50席リージョナル機を減らしたいというのが北米のパイロットの労働協約と関連しているというのは前に書いた気がするが、デルタ航空などは50席RJ×343機中218機、76席RJ×70機に代えて、ボーイングキャピタルとサウスウェスト航空からB717-200×88機の大量リースで対応だとか、妙な事になってきている。
これらのRJは外注の数社が運行しており、その中にはスカイウェスト/エクスプレスジェットも含まれる。大型RJ特需があるのかないのか、よくわからなくなってきた。

http://www.flightglobal.com/news/articles/delta-to-replace-majority-of-its-50-seat-regional-jets-372795/

http://www.flightglobal.com/news/articles/delta-to-introduce-boeing-717-in-2013-374054/

B717-200はDC-9系の最終型で、機体としてはMD-95と大体同じ。製造は2006年で終了。
このクラスの需要が無くなった訳ではないので、ボーイングに売る気があれば(もしくはMDが健在なら)まだまだ続いたと思われるが、そうなればCSeriesも存在しなかったかもしれない。

一般的には大型RJの隆盛に押されてフェードアウト、という見方をされるが、ここでは謎の逆転現象が発生しているわけである。

MRJの100席タイプが正式発表される/ボンバルディアがリアジェット70/75を発表/セスナ・キャラバンの中国展開でJV設立/ホーカー・ビーチクラフトが80周年を祝う/セスナ・サイテーション・ロングチュード

MRJの100席タイプが正式発表される

http://www.flightglobal.com/news/articles/mitsubishi-targets-2017-18-to-deliver-100-seat-mrj-372207/

5月23日、三菱航空機はMRJ90をストレッチした100席タイプ、MRJ100Xを正式に発表した。このタイプは2017~2018年にかけて引き渡しが開始される見込み。潜在顧客となる各エアラインとの協議の結果、今回の発表に至ったとのこと。
想定する市場は欧州。欧州は米国と異なり、パイロットの労働協約(Scope Clause)による制約が無い分、リージョナル機の大型化が進みやすい傾向がある。

古い資料だが、この辺参照。

http://www.jadc.or.jp/JADCF04.pdf

100席タイプの開発が具体的になったのは2011年で、インターナショナル・リース・ファイナンスのえらい人、Steven Udvar-Hazy CEOが100席タイプの必要性に言及したこともあった(2011/5/11のエントリ参照)。そして現実に受注は伸びておらず、90席まででは市場開拓に限界が見えていた。
そのあと社長談話で100席タイプについて触れ、平成30年頃に実現としていた。つまり先月27日に発表されたように、標準型が2015年Q3就航と1年遅れても、影響はあんまり無い。遅れの原因が製造に関連する部分だから当然か。

三菱航空機では年内の200機受注を目標としている。現状はオプション抜きで70機、オプション入れても130機。

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米国では、1990年代後半からパイロットの労働協約に関係して50席のリージョナル機が山ほど就航していたが、これらの寿命が尽き始めており、また燃費も良くないため、今年になって特需が来ている、という記事。

http://www.flightglobal.com/news/articles/analysis-airframers-bet-on-big-orders-from-us-regionals-372008/

当時との変化としては、協約による制限が緩和されたため、50席から70~80席の機体に焦点が移った。エムブラエルによれば、年内に5件以上の大型契約、400機以上の受注が見込まれているそうだ。ボンバルディアも近いうちに契約が成立する見込みに関しては同意している。

FlightGlobal調べでは、この2社が製造した40~50席クラスのジェット旅客機は、9つの航空会社により508機が運航されている。エムブラエルの方がやや多く54%となるものの、シェアはほぼ拮抗状態。このクラスの耐用年数はおおよそ15年だが、導入から10年以上が経過している機体が多くなってきた。
新型機導入を計画中とされるエアラインのうち、最大手はスカイウェスト。スカイエクスプレスとスカイウェストの2つあわせて、CRJ200×132機、ERJ-145×117機、CRJ100×4機が現役。
これと似た機材構成のエアラインにはアメリカンイーグルがある。ERJ-135×21機、ERJ-145×82機(ただし破産とリストラを経てどう転ぶかはまだ不明)。
いずれにしても、より大型の機体を投入する事で、収益性の改善が見込まれるところとなっている。

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ボンバルディアがリアジェット70/75を発表

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-bombardier-relaunches-entry-level-learjet-pair-as-learjet-70-and-75-371784/

エアフレームはリアジェット40/45と共通で、内装、キャビンマネジメントシステム(CMS)、アビオニクスとエンジンが変更される。
ガーミン製の7インチポップアップ式タッチスクリーンモニタなど最新アビオニクスは、グローバル5000/6000とだいたい同じ。
エンジンはTFE731-40BRで推力が10%向上、航続距離が100nmほど延びて2000nmに達する。また、5000ft級の滑走路が使える。

同社ではウィチタにおいて、秘密裏にこれらの機体の試験を開始しており(どのみち外見では識別できなそうだが)、リアジェット75は来年前半、70はその半年以内に就航予定となっている。またこれを受けて、現在のリアジェット40/45は2013年で製造を完了する計画。

75の試験機は今後6か月で3号機から5号機が初飛行する予定で、5号機が生産型と同じ仕様になる。

リアジェットのファミリーの中では60XRが旧世代のまま残り、製造は当面継続される見込み。

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セスナ・キャラバンの中国展開でJV設立

http://www.flightglobal.com/news/articles/cessna-and-avic-unit-to-form-caravan-joint-venture-371496/

セスナ社は、中国でのセスナ・キャラバンの最終組立と販売、カスタマーサポートを行うJVの設立に関して、中国AVICのGA部門、CAIGAと石家荘市との合意に至ったと発表。製造はカンザス州で行われる。
セスナ社の中国進出に関連する話題としては、3月の共同開発機の発表に続くものとなる。

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ホーカー・ビーチクラフトが80周年を祝う

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-hawker-beechcraft-stresses-business-as-usual-371772/

ただし連邦破産法チャプター11申請中。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-hawker-beechcraft-to-be-under-new-ownership-after-25-billion-debtequity-swap-371776/

まあ出資者は居るみたいだけど。

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セスナ・サイテーション・ロングチュード

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-cessna-launches-longitude-midsize-business-jet-371790/

セスナ社は開発中のラチチュードのストレッチ型により、スーパーミッドサイズ市場に参入することを発表した。サイテーション・ロングチュードと名付けられており、全16機種の製品ラインナップ上では高速ミッドサイズのサイテーション・テンの上、最上位機種となる。
8席で価格は2590万ドル。このクラスはホーカー4000、ガルフストリームG280、ダッソー・ファルコン2000LX、ボンバルディア・チャレンジャー605、エムブラエル・レガシー650といった有名メーカーの機種がひしめく激戦区で、後発のセスナ社としては、価格競争力と4000nmに及ぶ航続距離を武器に参入する事となった。
基本が価格勝負とは言え、従来の固定した顧客をしっかり囲い込むための機種、という面も強い。

エンジンはスネクマ・シルバークレスト。推力11000ポンド双発。低騒音でカーボンフットプリントも小さいとする。
スパン87ftの主翼は新設計で後退角30度、ウイングレット付き。T尾翼。フライトコントロールはフラップ制御がFBWで、その他の動翼、昇降舵、補助翼、方向舵、多機能スポイラ、エアブレーキとスラットが油圧となっている。アビオニクスとAPUのメーカーは未発表。

2016年中盤の初飛行を目指している。
製造はウィチタかその他の海外拠点ということだが、中国も含まれてそうだな。

エストニア空軍がR44に夜間暗視装置を装備/AW169が初飛行/カザフスタンでEC725を現地組立、EC145を追加/Mi-38の製造と型式証明取得について/Ansatの民間型式証明取得について/ホンダジェット原型3号機が初飛行

エストニア空軍がR44に夜間暗視装置を装備

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-estonian-air-force-r44s-get-night-vision-upgrade-371099/

エストニア空軍は、4座のロビンソンR-44を4機保有している。これらの機体は捜索・救難活動を主任務としており、今回その能力を高めるべく、2機について夜間暗視システムを装備したという話。米企業のREBTECHが、サプライヤのNight Flight Conceptと協力し、エストニア空軍の採用したNVGと互換性のある機材を納めた。

艶消しオリーブドラブ単色のR-44は結構珍しい。機体のシンプルさもあって1960年代の雰囲気が漂う。

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AW169が初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-agustawestland-completes-first-flight-of-aw169-371819/

AW169は、6tonのAW139と10tonのAW189の下に来るlight intermediate級、中軽量級に属する4.5tクラスの新型機で、2010年のファーンボロで発表された。2014年の型式証明取得を目指して開発されている。
初飛行したのは試作原型機で、アグスタウェストランドの主任テストパイロットらが飛ばし、システムと操縦性についての基本的な確認を行ったとのこと。
今後、試験機として今年後半に2機が追加されて3機となり、2013年には4機目が追加されることになっている。

同社では、これまで50機以上の受注があるとした。

特徴の一つとして挙げられているのが、タービンエンジンをAPUとして運転するモードを備えることで、別途APUを搭載する必要が無くなっている。

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カザフスタンでEC725を現地組立、EC145を追加

http://www.flightglobal.com/news/articles/kazakhstan-to-assemble-20-ec725-helicopters-371737/

ユーロコプターは、今月初めにカザフスタンの首都で開催されたKADEX-2012において、EC725×20機の現地生産と、EC145×8機の追加発注でカザフスタンと合意した。

カザフスタンでは空軍向けでEC145を45機発注しており、既に6機が引き渡されている。今回の追加分は、SAR仕様の2機と、国家非常事態省向けの6機、合わせて8機の追加となった。
追加分のEC145は、アスタナ空港に隣接したユーロコプター・カザフスタンの施設で組立が行われる予定で、EC725も同施設でのラインで組立する計画となっている。

カザフスタン政府はこの他、民間モデルのEC225をVIP輸送用途で選定した。
従来、空軍が保有する回転翼機はロシア系で占められていた。機種はMi-17、Mi-24、Mi-26など。
微妙に被ってないような気もするな。旧ソ連では中型双発に相当する機体が無いも同然だったから。

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Mi-38の製造と型式証明取得について

http://www.flightglobal.com/news/articles/mi-38-ready-for-serial-production-soon-with-certification-in-2015-371299/

ロシアンヘリコプターのカザン工場では、Mi-38の原型3号機を製作中。Mi-38は最大40人乗り。機体規模としては、36人乗りのMi-17と82人乗りのMi-26の中間にあたる。MTOWは15.6ton、スリング可能な貨物重量は6ton。

この原型3号機には、遅れてきたクリモフの新型エンジンTV7-117Vが搭載されている(1、2号機は、暫定的にP&Wのエンジンを搭載した)。

カザン工場によると、Mi-38の連続製造準備は既に完了しており、2015年にはTV7-117V搭載機の型式証明が取得可能としている。

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Ansatの民間型式証明取得について

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-helicopters-in-push-to-certificate-ansat-for-civil-use-by-year-end-371309/

Ansatはロシア初のFBW採用ヘリコプターで、双発軽量機。ロシア製としては比較的手薄だが、市場規模の大きなところを狙っていた。しかし10年前に初飛行したものの、型式証明取得には至っていない。MTOWは3600kg、乗客9名。
カザンヘリコプターでは、操縦系をFBWから油圧に変更したタイプを計画し、現在までに2機の試作機が製作された。うち1機は最近、初のデモンストレーション飛行を実施している。
このタイプは、年内にロシア当局の民間型式証明を獲得見込みとのことで、比較的順調に進行中。

FBWを当面諦めるような形になっているが、遠因は2008年7月の韓国で起こった墜落事故。事故調査では外部要因による事故だったと結論付けられたが、メーカーの立場としては、FBWで民間型式証明が取得できない場合を考えて在来型の操縦系を持ったタイプを開発する必要があった、としている。

Ansatの設計はミル設計局が担当し、伝統に則ってシンプルで堅牢な設計を採用、昼夜を問わず、また悪天候下でも運用できるように考えられている。Ansatはタタール語でeasyという意味だそうだ。

MTOWを4.5tonまで引き上げたタイプでは、クリモフが開発中のVK-8エンジンを搭載する事になっているものの、設計に着手するかどうかはロシアンヘリコプターの判断に委ねられている。

一方、販売面ではうまくいってない。今のところまとまった数を発注したのはロシア軍のみ。機数は非公表だが訓練用のAnsat-U(FBWありの型)が30機程度と見られる。
2008年7月の事故の時点では、韓国に対して林業向け1機と警察向け4機を引き渡し済みで、ラオスから1機、タタールスタン市から救急搬送用の1機発注を受けていた。また別の1機は、カザフスタン国内でミサイルの誘導装置を試験するために使われているという。

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ホンダジェット原型3号機が初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-hondajet-flies-third-test-aircraft-371795/

ホンダジェット開発においては、F1、F2、F3の3機が飛行試験機、ST1が構造試験機で、ST1については設計の150%荷重までの試験を完了している。
原型3号機、F3では、主にアビオニクスと電装系の試験が実施される予定。

EBACEの展示では、オプションのガーミン3000を含んだコクピットが公開された。操縦士席と副操縦士席それぞれに14インチのprimary flight display (PFD)が取り付けられる。また新たな機能として、乗客が操作できるiPadを使っての機内環境コントロール(音響、照明、室温など)も披露された。

開発状況の方では、昨年10月からエンジンの再設計に取り組んでいるが、GE側の発表では8月にも型式証明を取得できるとの見通しが示されている。

日本向けKC-130R再生機の詳細/スウェーデンにおけるグリペンのアップグレードについて/シンガポールがKC-135の後継機を検討中

日本向けKC-130R再生機の詳細

http://www.flightglobal.com/news/articles/japan-may-acquire-six-former-us-kc-130rs-368678/

米国のDSCAは、日本向けにKC-130R×6機の売却を提案した。30台のRR T-56-A-16エンジン、オーバーホール費用と兵站支援を含み、金額は1億7千万ドルという。
訓練はCAE、機体の改修とオーバーホールは米政府が担当する形となる。

海上自衛隊のYS-11M/M-Aの後継機に該当するもので、空中給油装置は外される。もとUSMCの機体。米側から話が出たのは初めてかな。

http://www.mod.go.jp/j/press/news/2011/10/14d.html

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スウェーデンにおけるグリペンのアップグレードについて

http://www.spacewar.com/reports/Sweden_needs_up_to_80_new_Gripen_fighter_jets_military_999.html

スウェーデン空軍は、2020年に現用のグリペンの大幅なアップグレード型が必要であるとの報告をまとめた。その機数は少なくとも60~80機程度とされている。
まだあまり具体的な話にはならないが、スウェーデン空軍としては、大型化し、より強力なエンジンを搭載した機体を望んでいるようだ。アップグレードに要する金額は大雑把に300億クローネ、45億米ドル程度としている。全体的に、いわゆるMLUの範疇に収まる程度ではなさそうに見える。
スウェーデン1国ではなく、有力なパートナー国が少なくとも1つあって開発費を分担する見込みらしい。

この世代の戦闘機としては次期型の話が最初に出てきたが、サーブが以前から大規模アップグレード型の提案に熱心だったというのはある。韓国向けのがちょっと有名。KFXがまんまこれだったら面白いが。

http://forum.keypublishing.com/showthread.php?t=87160

小型の機体は安価な一方、ミッションによっては効率が悪く、改修余地が小さくなるという側面もあるので、寿命が短めになるのが当然ではある。製造規模もユーロファイターやラファールに比べれば小さく、関わってる国も少ないから動きやすくもあるだろう。どのみち資金は要るけど。

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シンガポールがKC-135の後継機を検討中

http://www.flightglobal.com/news/articles/singapore-explores-kc-135-replacement-options-368626/

現時点では公式な要求は出てないが、シンガポールがF-15SGなど、新型の作戦機導入を機にタンカーを更新しようと考えているようだ。現在シンガポール空軍はKC-135×6機を運用しているが、米軍のと同様に老朽化が進んでおり、能力も不足してくる可能性がある。

候補としてはKC-46AとA330MRTTが最右翼と見られるが、シンガポールにとって身近なのは、RAAFも採用したKC-30/A330MRTTの方だろう。シンガポールエアショーではRAFのボイジャーが飛来しているし、RAAFのKC-30はLIMAにも飛来し、シンガポール代表団の訪問を受けている。
一方KC-46Aは鋭意開発中であり、正直なところ比較のしようがあんまり無い。KC-767Jなら割と近所にあるけど、箱入り状態だしなぁ。

VR6 Horex Roadster/二輪車ライダー用エアバッグコンセプトSafety Sphere/ベルトーネ・ヌッチオ・コンセプトカー/キャンピングカーの容積を倍増するDoubleBack Sliding Pod

VR6 Horex Roadster

http://www.horex.com/startseite.html

http://www.gizmag.com/horex-v6-set-for-production/21423/

VR6はドイツで完全受注生産(1台に職人1人が付き、最後まで組立調整)される二輪車で、最大の特徴は15度の狭角V6エンジン。排気量1.218リットルで過給付、最大出力は200bhpを発生する。価格は低率生産で2万ユーロから。
今のところドイツ、オーストリア、スイスでしか入手不可だが、2013年にはフランスとベネルクス三国、イタリアでも発売予定となっている。

この手の多気筒エンジンとしては、大手メーカーだとドカティのV8とかBMWの直6がある。

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二輪車ライダー用エアバッグコンセプトSafety Sphere

http://www.gizmag.com/safety-sphere-motorcycle-airbag/21354/

カナダ在住の発明家Rejean Neronさんが考案したコンセプトで、ライダースーツ全体が風船のように膨らむという斬新な代物。同様のエアバッグ技術応用という括りでは、主に上半身、背骨や首や肩までを守るスーツであったり、自動車のエアバッグと同じくハンドル中央に組み込むもの(ホンダが大型スクーター向けで開発)が存在したが、全身防護というものは発表も実現もされてこなかった。

二層構造で、外側はパラシュートの材質に似た硬い素材、内側は柔らかい素材で作られる予定。車体とライダーを接続するコードが切断されると作動する、電気的な仕掛けになるようだ。作動すると内部にセットされたニトロセルロースが発火し、0.05秒で完全に展開する。

ツッコミどころは満載であるが、ビジュアルのインパクトが半端でない。なんとなくトニーたけざき風。
というか作るだけなら技術的には特に問題なく実現できちゃいそうなところが恐ろしい。

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ベルトーネ・ヌッチオ・コンセプトカー
http://www.gizmag.com/bertone-nuccio-concept-car/21421/

1970年、ヌッチオ・ベルトーネがデザインしたストラトスHF Zeroは、トリノ・モーターショーで初めて公開され、その時代を代表する一作となった。生産車としてのストラトスはもっと普通の形になっている…と言っていいのかは微妙な気もするが、少なくともここまで低くて(全高は僅か33インチという)楔形にはなってない。このデザインは40年経ってもあんまり色褪せず、2011年にはRMオークションにおいて76万1600ユーロで落札された。

今年は、ベルトーネ創立100周年を記念するコンセプトカー、ヌッチオがジュネーブモーターショーに合わせて準備されているとのことで、先行してデザインスケッチが公開されている。その姿はHF Zeroを再解釈したものである…という話。

正面は似せられている感じだが、後ろは別物っぽいな。
ジュネーブモーターショーは3/5から開催予定。

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キャンピングカーの容積を倍増するDoubleBack Sliding Pod

http://www.doubleback.co.uk/

http://www.gizmag.com/vw-transporter-doubleback-sliding-pod/21404/

DoubleBackは、フォルクスワーゲンT5トランスポーター(2.o TDIのロングホイールベース)を改造したキャンピングカーで、停車時には車内スペースを引き出すような形で室内長を2倍ぐらいに延ばす事が可能。天井だけ跳ね上げる「ポップ・トップ」は、VWが30年以上前に採り入れたのが最初だそうだが、改造を行ってる英国のウェルシュ・カンパニーとしては、それを後ろに延ばしたようなものと言いたいらしい。また、特許を取得している。

2007年の日産NV200コンセプトカーを思い出す人もいそうだが、

http://www.nissan-global.com/JP/DESIGN/CONCEPTCAR/2007/NV200/index.html

結局のところ、製品化には至っていない。

DoubleBackは電動で展開でき、45秒で出し入れが可能。また引き出した状態では部屋が車軸後方に2mばかり出っ張る格好だから、付属する折り畳み式の2本脚で支える構造となる。600kgほどの荷重に耐えるこの脚は、不整地にも対応可能。
価格は54995英ポンド。

スペースが倍増するのが画期的にことは間違いないのだが、移動することも考慮すると荷物の収納が難しそうだ。いや、テント張るようなもんだと思えばいいのか。

F-15SEの試験がスタート/韓国FX-IIIのRfP/ダッソーがスイス空軍に新たな提案/ハンガリー空軍がグリペンのリース期間延長を決める/海上自衛隊がMCH-101向けのALMDSを発注

F-15SEの試験がスタート

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-makes-big-push-with-f-15-silent-eagle-tests-for-south-korea-367495/

ボーイングによると、近くF-15SEの新たな試験がスタートする予定とのこと。これは風洞試験、地上試験と新造機による飛行試験を含み、重要な新規技術の幾つかを実証するものとなる。目標としているのは明らかに韓国のFX IIIで、2016年就役に間に合わせるスケジュールを組んだ。

風洞試験は3月か4月に開始される。コンフォーマルウェポンベイの付いたスケールモデルを使う予定とのことだが、デモンストレータについてたものとどう違うかとかは不明。
また現在のコンセプトでは垂直尾翼が15度外側に傾けられているが、この角度についても風洞で幾つか試すとのこと。空気力学的には、わずかだが性能向上が得られるとしている。

新造機による飛行試験は、2012年Q4末から2013年前半にかけて行われる予定。これは2009年のコンセプト公開時にあった、新しいコクピット、デジタルEWシステムとセンサを備える。ボーイングではadvanced international F-15とも呼んでいるようだ。

FX IIIのRfPについては、今のところ10月の発出が有力視されてる。機数は最大で62機。

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と言ってたのだが1月30日、韓国DAPAからRfPが出てる。

韓国FX-IIIのRfP

http://www.flightglobal.com/news/articles/seoul-kicks-off-f-x-iii-competition-367569/

現時点ではF-15SE、F-35Aとユーロファイターが応じた事は確定、PAK-FAは不参加、グリペンはメーカーが公式に発表していないが、出席していたようだ。

Yonhapの報道では、選定基準は、価格、性能、インターオペラビリティと自国産業界の利益で、これらは更に150の小項目に分けられ、評価されるとのこと。またKFX関連の技術移転やら何やらも要求する可能性がある。選定は2012年6月18日、最終判断は2012年後半とされ、機数は明らかでない。F-4代替となれば60機前後とされている。

2011年10月のソウルエアショーでは、米国の2社がそれぞれF-15SEとF-35を強くプッシュしていたが、最有力なのがこの2機種というのは間違いないだろう。両機種を取り巻く状況としては、F-35Aが空自FXに選定され(42機)、F-15SAの新造機(84機)とS型のアップグレード(70機)がサウジアラビアから正式発注されている。

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ダッソーがスイス空軍に新たな提案

http://www.spacewar.com/reports/French_jet_firm_makes_Swiss_new_offer_report_999.html

スイス空軍はF-5の後継として、2011年11月に一旦グリペンを選定したものの、その後選定落ちしたダッソーが抗議したり、スイスの左の野党が凍結を主張したりで、議会での承認には至っていない。

この記事では、ダッソーが新たに18機で27億スイスフラン(ユーロでは22億4000万、ドルでは29億6000万)の提案を行ったという話が出ている。
これについてスイス側、内閣安全保障委員会のハンス・ヘス氏は提案を受領した事を認めており、2月13日に上院で検討されると述べた。内容については言及していない。
一方、Sonntags Zeitungの取材を受けたウェリ・マーラー国防相は、まだ話を聞いてないと述べた。

単に隣国ってだけじゃなくて、ミラージュIIIを長年使ってるのもあるし、政治的にまだひと揉めありそうな流れとなっている。

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ハンガリー空軍がグリペンのリース期間延長を決める

http://www.saabgroup.com/en/About-Saab/Newsroom/Press-releases–News/2012—1/Hungary-extends-Gripen-contract/

1月30日、ハンガリーはグリペンのリース期間を10年延長して2026年まで運用を続ける事でスウェーデンと合意、両政府間での契約に至ったとのこと。

ハンガリー空軍のグリペンのリース契約は、2001年に合意の後、2003年の修正を経て、単座のグリペンC×12機、複座のグリペンD×2機の計14機を、最終的にハンガリーが買い取る形となっている。これらの機体は2006年から2007年にかけて引き渡され、2008年から作戦運用がスタート。当初は2016年がリース期限となっていた。

2026年になったことで、契約が切れる頃には後継機が選定されるぐらいのタイミングになると思われる。
F-35が今のF-16並に入手しやすくなるとかはありそうだが、地域的な事情が全く別の展開になってるかもしれず、正直想像もつかない。

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海上自衛隊がMCH-101向けのALMDSを発注

http://www.flightglobal.com/news/articles/japan-buys-mine-detection-system-for-mch101s-367751/

ALMDSはAirborne Laser Mine Detection Systemのことで、ノースロップグラマンが開発したレーザ式の機雷探知装置。米海軍向けとしてはSH-60/MH-60Sに搭載する事が想定され、ディジグネーションはAN/AES-1。

http://www.as.northropgrumman.com/products/almds/index.html

http://www.youtube.com/watch?v=pTNHZ74vt-U

LIDER技術と4台のカメラを組み合わせたシステムで、自動的に海面近くの機雷を探知し、データを艦上のオペレータが解析して分類蓄積するといった使い方になる。日本側の主契約はKHIと富士通だそうだ。

空自F-X選定まとめ

プレスリリースだけ貼っておこう。

http://www.mod.go.jp/j/press/news/2011/12/20a.html

国内メーカー関連

http://www.mod.go.jp/j/press/news/2011/12/20b.html

選定の経緯など

http://www.mod.go.jp/j/press/news/2011/12/20a.pdf

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順を追っていくと、F-35が主要な候補に挙がったのは、ゲイツ国防長官(当時)がF-22輸出と追加発注にとどめを刺したついでに日本に持ってきた時で、2009年だった。この時の提案の時点で既に2個sqという話で、えっ3個sqじゃないの、とか、全数ノックダウンに近い展開なんでは、とかのツッコミが一部から入り、某国の手のメディアが大騒ぎした。
結果としては、この提案をベースに話が進んだという認識でいいのかな。

2009年当時の、JSF計画不参加で国内メーカー絡むの無理だろ的ムードから一転、国内製造分担(おそらく米国分から)4割を引き出し、さらにエンジンのライセンス生産まで取り付けたのは大きな収穫と言えるだろう。どの程度かは不明ながら、そもそも第5世代戦闘機のエンジンで量産化に成功したものは数えるほどしかない。というか、F135以外にはF119しかない。PAK-FAやJ20はまだ暫定エンジンで飛んでる。
これはF-2後継機の件が具体化する際にも効いてくると思う。

何にせよ、F-35の能力についてはステルス性単体よりもセンサフュージョンとか情報処理能力の高さとか、その辺は第6世代にも繋がる道筋でもあるし、導入の意義は大きいはずだ。
似たようなことを陸でやろうとして失敗したのがアパッチ導入という話もあるが。乱暴過ぎか。

不具合の件も微妙に論点ずらして報じられてるけど、そこまで致命的とは思えない。若干の飛行制限掛かるとかその程度じゃないかという。ただIOC獲得スケジュールの方がどうなるもんやらさっぱりだ。どうせ訓練は米国内だし、いっそ空自の人員を参加させてみてはどうかという気もするが、流石に無理ぽいな。

判らないといえば、パートナー国入りしないで情報提供料10億でカタが付くのかどうかという点が判らない。
この辺りは来年度の概算要求、8月までにLMと交渉を詰めるということになっている。最初の4機は間違いなくFMSだ。

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ただ10年で40機であれば、1個sq編成するだけで2020年代に突入するペースと予想され、どう見てもF-4EJ退役後の戦力の空白を容認する決定と思える。だが、それでいいということになったんだろう。たぶん。
F-22が前方展開すれば済むという面もある。

こうなったら凄いMLUで既存機を能力向上して貰いたいところだが、あんまり熱心じゃなさそうだな。
でもF-2なんかは既にJ/AAQ-2も装備し始めてるし、かつてのスーパー改まであと一歩じゃよね。あ、CFTは無くていいです。

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評価の詳細に関しては、一部報道にあった配点と一緒にまとめておくと。

F-35が決定的に優位に立てたのは、100点中50点が「性能」に振られていたからで、ここで最高評価を取っている。

またその次に地味に効いてるのが経費評価(22.5点)。取得費用でF/A-18E/F、燃費でタイフーンが高評価だったにも関わらず、両機ともそのままでは、プローブ&ドローグ式の空中給油にしか対応してなかった。対して、F-35Aは米空軍機であるため普通にフライングブーム式。これはKC-767Jをそのまま使えるかどうかという話に直結した。
これについては、イタリアのKC-767Aの方は初めから両方に対応しているので、改修すれば何とかなるのはわかっている。が、ポッドを追加するとかしないと無理で、そのコストを入れるとF-35が僅差のトップ評価となったとある。ただ、一時は空自のJ型にもプローブ&ドローグ対応させる検討が行われた、という話もあったような気はする。

その一方、明確に劣ったのは国内企業参画(22.5点)。事前の情報通りならタイフーンが9~10割+ブラックボックス無し(?)、F/A-18E/Fが7~7.5割、F-35Aが4割という比較になったはずだ。4割というのはF-2の6割よりも更に低く、かなりギリギリの線と言える。ボーイングも、技術開示はやっぱり渋かったんだなあ、という感想。
後方支援は大差なしだが、元々の配点5点だったので大勢に影響しなかった。

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最後に米国防総省が出したプレスリリースを貼っておこう。

http://www.defense.gov//news/newsarticle.aspx?id=66555

eye-wateringというのは目を見張るようなとかそんな感じ?