JA2012関連

最近、FlightGlobalの日本関係の記事がまともになってきている。普段シンガポールで記事を書いてるグレッグ・ウォルドロンさんがすごい勉強したのか、まともな情報源とのコンタクトを作ったのかはともかく、9日から名古屋で開催のJA2012取材のために来日中。

日本のイベントなので普通に報道もされると思うけど。

http://www.flightglobal.com/air-shows/japan-expo/

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輸出関連。

・C-2民間型のYCX

http://www.flightglobal.com/news/articles/kawasaki-seriously-exploring-commercial-potential-of-c-2-airlifter-377428/

パンフレット類はそのうちネットでも出回ると思われるが、資料の概要を少し。

MTOW141tonはA400Mと同等、現存するC-130民間型L-100の2倍相当。貨物室の高さは4.29mで、747-400Fなど旅客機ベースの貨物機よりも高く、大型貨物(シコルスキーS-60など)を積載可能。エンジンはGE90双発。最大ペイロード30ton時の航続距離は3080nm(5700km))となっている。が、潜在顧客からのフィードバックにおいてはCF6搭載型も有望だったという。CF6ならC-2と全く同じか。

川崎の市場予測としては、この種の大型貨物輸送機の需要は2020~2030年にかけて最大100機。
今のところC-2の開発は2014年度いっぱい続く予定なので、民間型はその先の話だ。

・US-2

http://www.flightglobal.com/news/articles/shinmaywa-looks-to-india-for-us-2-amphibian-sales-377407/

インドは1月、海軍のSAR用飛行艇についてRfIを発出。発注数は9機で、オプション含めると最大18機となる。
一応、建前的には、非武装の救難機が求められているので、三原則見直しの以前からUS-2の輸出は支障なしと判断されている。
国内向けが両手の指で足りる程度という馬鹿げた製造数のため、新明和にとって輸出の成否は死活問題。

インド海軍向けについては、競合するのはCL-415とBe-200あたりが想定されている。これらに対して、US-2の性能以外に特筆すべき点の一つはエンジン。US-2はインドが既に保有するC-130Jと同型式のエンジン、RR AE2100を4発搭載する。
性能に関してはUS-2が突出している(速度性能だけはジェットのBe-200が上だが)ので、問題は値段とサポート体制だろう。輸出がなかなかできないBe-200と状況は若干似ている。
インド向けは基本、軍用なので、US-2のまま売れるというのも大きい。

インド国内民間向けも売り込み中。というのは国内報道されたとおり。

http://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/0005008823.shtml

・MRJ関連の分析

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-mrj-continues-to-defy-the-doubters-376868/

MRJは開発の遅れなどいろいろ言われはしたが、ボーイングの支援でサポート体制を構築できる点や、初期の段階でGTFを最初に選定したアドバンテージが、競合(この場合は同じく新型機のMS-21やCSeriesなど)に対して優位に立つ要因となっている。と分析されている。
逆に既存の大手2社が同等のエンジンを備えるようになったら、厳しくなるとも。買う方はキャリアにせよリースにせよ、保守的な選択に至るのが普通であるから、わりと当たり前な話。新規参入はとにかく評判を上げていくしかないだろう。

・株式会社リンクが2013年からATR72-600を国内導入

http://www.flightglobal.com/news/articles/atr-marks-entry-into-japan-with-start-up-airline-deal-377404/

http://linkairs.jp/index.html

リンクは4月に設立された企業で、2013年度からリースのATR72-600×3機体制での運航を開始する計画。

ATR72-600の国内導入は、なにげに初だ。日本市場は、とりあえず傍目には巨大と映るし、サーブ340やQ400の後継が不在の状況とあって、ATRには大きな一歩と考えている模様。滑走路が短いところに小型のATR42が入る余地もある。

・警視庁がAW139を2機追加、国内のAW139は40機に

http://www.flightglobal.com/news/articles/japanese-police-order-two-aw139-helicopters-377488/

2014年納入予定とのこと。40機のうち11機は法執行機関向けとなる。

AW169のプレゼンテーションを行ったらしい。

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軍用機関連。

・F-35のFACO稼働予定など

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-martin-working-with-mitsubishi-on-f-35-line-377480/

LMの発表によると、名古屋に設置するFACOラインで最初の機体が組み立てられる時期は、2017年とされている。

この他にLMと空自の関わりと言えば東日本大震災で損害を受けたF-2の再生作業における協力、というのがある。しかし申し訳ないがLMはボッタクルイメージしかない。

・ボーイングと空自の関係

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-and-japanese-partners-to-research-manufacturing-technology-373604/

ボーイングは空自に色々ご提案してますよというのが出ている。F-X選定では失敗したが、有事に生命線となるE-767もKC-767もF-15もボーイングが扱ってるので、関与する度合いは大きい。

特にF-15に関してはマーケティングの段階とは言え、レーダー、アビオニクスを含め様々なプランが挙がっているようで、一例として主翼を強化しハードポイントを増設、AAMの搭載数を4発増やす、というのが出ている。巡航ミサイル対処では搭載数が重要なファクターとなる場合がある、という話のようだ。SEよりは日本向きのプランか?

KC-767は、誰がどう見ても足りないが、実際に防衛省からは全く動きが無いらしい。将来はKC-46を4~8機程度の単位で提案する可能性もあるようだ。KC-46はブームシステムが新しくなって、KC-767より燃料搭載量が多いっぽいという以外はよくわからんけど、まあ双子みたいなもんではある。

E-767は年内に4機全てのレーダーアップグレードが完了する。737AEW&Cについても書かれているが、E-2C後継とかその辺を指してるのかな。

最後にUAV。今年のファーンボロにて、評価用のスキャンイーグル×2機の契約が明らかとなっていた。去年予算要求されてた分にあたる。
この先、本格調達に繋がる可能性は十分にある。まあJA2012で発表されるようなもんでもなさそうな気はするが。

 

…というのを解説する上で、日中の空軍力パワーバランスの記事があった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-china-crisis-adds-urgency-to-japanese-air-force-modernisation-377060/

まとめ的な内容なので特に目新しい話ではないが、あちらの記事にしては珍しくだいたいあってる。
以下要点。

・空自は、F-15後継としてF-22が導入できなかった時点でケチがついている。
・中国では、この10年で第4世代戦闘機の数は400~500機に達し、短距離弾道弾や海軍力(この場合は防空能力の向上がポイント)が飛躍的に増強されている。
・中国の第5世代戦闘機は2018年から配備される可能性がある。
・一方日本ではまだF-4が防空戦力として現役。10年前に保たれていたバランスは完全に崩れた。
・F-XはF-4の後継で空対空戦闘中心の選定だったはずがなぜかF-35にしちゃった。ステルス大好きという以外に、米国との関係を継続・強化する選択だったとも言える。(が、それで空軍力低下の問題が解決するわけではない)
・F-15の近代化改修でAESA装備はいまだ話題にも上らない。(F-2のJ/APG-1について触れられてないのは多分ミス)
・国産機に投じられる技術は高いが、輸出できないからアホのように高い。
・調達数が40~50機にとどまるなら、ATD-Xから実用機に発達する可能性は極めて低い。ただしF-35のオフセットなりライセンス生産なりを分捕る手段にはなるかもしれない。

うむ、大体間違ってない。
最後のは、開発自体が失敗しない限りF-15/F-2の置き換えで100機近く行きそうな気がするけど。これはF-35の運用実績と調達状況に左右されるだろう。
F-15のAESAは、USAF向けが動き出したらそれに追随するんじゃないかと思ってたのだが、それも出てきてない。

そういえばUHXの件が出てないなあ。この記事。

イスラエルはガス貯蔵施設の防衛にUAVを使用する/ヘルメス450のリエンジン/イランが自国製UAVを公開する/中国はUAVによる海洋監視能力を強化する/パキスタンは自国製UAVの製造を準備中

イスラエルはガス貯蔵施設の防衛にUAVを使用する

http://www.flightglobal.com/news/articles/unmanned-systems-to-help-protect-israeli-gas-reservoirs-377185/

近年、イスラエルの領海内の地中海にてガス田が発見されており、イスラエル空軍と海軍がその防衛に当たっている。このうち空軍は、IAI Heron 1 “Shoval”を海洋監視任務に就けている。他のプラットフォーム(有人のMPAや巡視船を指す?)に比べると能力は劣るものの、そのソーティ数は増加傾向にある。

これらのHeron 1は能力向上が継続的に行われているようで、Elta製のELM-2055 SAR/GMTIペイロードの供給が始まっている。ELM-2055は、モジュラー構造とオープンアーキテクチャが特徴で、小型の戦術UAVから搭載可能な、軽量のシステムとして運用可能ということになっている。

http://www.iai.co.il/34481-34548-en/Groups_ELTA_EltaNumber_Products-ELM.aspx?btl=1

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ヘルメス450のリエンジン

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-air-force-re-engining-hermes-450-fleet-376841/

イスラエル空軍は、運用中のヘルメス450について、リエンジンによる能力向上を計画している。新型のエンジンR902(W)を搭載することで、騒音を減らし、より長時間の滞空と長距離の進出が可能になるとのこと。一部の機体には既に搭載され、静粛性を必要としない任務に就く機体や、訓練用の機体は、そのままになっている。

リエンジンの前には、騒音を低減するためのマフラーのようなものを試したが、結果は芳しくなかったようだ。

R902(W)は燃焼室が拡大され、出力は70hp(52kW)まで増加、滞空時間は従来型の20時間を上回るとされる。

http://www.israeli-weapons.com/weapons/aircraft/uav/hermes_450/hermes_450.html

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イランが自国製UAVを公開する

http://www.spacedaily.com/reports/Iran_unveils_indigenous_drone_999.html

Witness 129 unmanned droneと書かれている。航続距離2000kmで、武装できるということになっているらしい。

ITNの映像ソース。9月25日付。

http://www.youtube.com/watch?v=vRTASaX7XAo

見た目はRQ-170というより、ヘルメス一族に近いというかほぼそのまんまというか。
パレスチナかシリアかどっかで墜ちたのを買い取って解体研究したかトルコ経由か?

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中国はUAVによる海洋監視能力を強化する

http://www.spacedaily.com/reports/China_to_promote_drones_for_marine_surveillance_999.html

新華社通信の報道によると、連雲港でUAVを使用した海洋監視の実験を行ったとのこと。
日本語記事あった。

http://www.xinhua.jp/socioeconomy/politics_economics_society/310767/

記事だけ読むとなんか凄そうなことを始めたかと思わされるも、写真を見ると機体が雑多すぎて何がしたいのかよくわからんという。

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パキスタンは自国製UAVの製造を準備中

http://www.spacedaily.com/reports/Pakistan_readies_production_of_UAVs_999.html

パキスタン国防相が国内メディアとの対談において、自国製UAVの製造について言及している。
同国におけるUAVに関わる産業は、パンジャブ行政区、イスラマバードの東に位置するKamraの、Pakistan Aeronautical Complex (PAC)という国有企業が最大手になる。

PACでは、SELEXガリレオの技術協力によりファルコUAVを製造している。

http://www.selexgalileo.com/EN/Common/files/SELEX_Galileo/Products/FALCO.pdf

http://www.airforce-technology.com/projects/falco-uav/

この機種は元々非武装で気象観測と情報収集のために作られたものであるが、PACでは武装型を開発する予定。これがファルコXNと呼ばれるタイプで、自国製としているものにあたる(後述)。
当初パキスタンは米国製のUAVを欲していたが断られ、PACに独自開発を進めさせるも失敗に終わった経緯がある。

一方、小型UAVの分野においては、Integrated Dynamicsという地元企業が1997年以降、政府と民間向けの市場にUAVを供給している。

またPAC以外のUAVメーカーも数社が存在するものの、世界で7番目という規模の設備を持ち、パキスタン軍向けの航空機をも製造するPACが、飛び抜けて大きな存在であるのは間違いない。

ファルコXNについては、MALE-UAVに分類される機体で、基本的な形態はファルコに準じる。

http://www.pac.org.pk/falco.html

MTOW500kgで、滞空時間14時間。自律飛行モードも備えるなど、それなりに進歩的な機体となっている。

瀋陽F60あるいはJ21が飛行場で撮影される

瀋陽F60あるいはJ21が飛行場で撮影される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-new-fighter-aircraft-emerges-in-china-376526/

9月15日から16日にかけ、中国内で瀋陽F60として知られる機体と思しきものが撮影され、ネットに公開された。場所は飛行場の誘導路となっており、6月の道路上でのリーク写真(というか記念撮影)と同型と考えられる。

http://www.flightglobal.com/blogs/asian-skies/2012/06/chinese-j-21-emerges-well-some.html

F60というのはメーカー呼称で、そのスケールモデルは数年前から公開されていた。比較的小型の双発機と推測されたが、形態があまりにそのまんまなため、ラプターモドキ的な言われ方もしていたものだ。

今のところ公式発表は無いものの、J20の時と同様に政治的意図を持って、つまりパネッタ米国防長官の訪中に合わせて姿を現したのは明白。後まあ日本に対しても…って言っても、飛んでこれんじゃろこれ。

機体については現地ウォッチャーからの情報しかないが、エンジンはRD-93の双発ではないかとのこと。その他の特徴としては、前輪がダブルになっていることが判明している。ただし艦載機には見えないし、陸上機のJ10も同様だったりするので、あまり意味はないのかもしれない。

まとめると、MiG-29に近い規模で機内容積の大きなステルス風戦闘機。RCS的にはカナード付きデルタ翼のJ20よりマシっぽい。

というところだが、個人的な意見としては米国で言うXプレーン相当の、実戦機風実験機ではないかと。
それでもRCSを小さくして中身は第4世代、みたいな感じでなら戦力化できるかも。J20ともどもこれから飛行試験機が増えて、さらに頻繁に飛ぶようになったら本気、ということにはなるだろう。

今回のは、アビオニクスやステルス設計は見た目でわからんので何とも言えないが、目に見える部分だけでもエンジンまわりは暫定ぽい。
第5世代のエンジンはロシアでさえ難航してるからなあ。
そういえばFTBでなんか試験してたという類の話もあんまり出てこない。その辺はガード固いのか、はたまた内陸のひみつきちでやってるのかとか考え出すとキリがない。

J20が、現用のJ8やJH7に続く大型迎撃機または戦闘爆撃機的な位置付けでPLAAFのニーズを満たしそうなのに対し、こちらはやや中途半端な印象がある。Su-27/30系よりも規模が小さく、単発のJ7やJ10を置き換えるには高価につきそうだ。
F60という呼称からして輸出メインなイメージなのだが、そうだとすれば、この形状だけで飛びつく顧客もいるのだろうか。

確かに、政治的・経済的理由で、F-35もPAK-FA/FGFAも買えない国は少なくないだろうから、潜在的な市場は存在し得る。わりと安価で、ステルス性を保持するコストもかからない、という条件を満たせれば、興味を示す国が出てくるかもしれない。
…となると直接競合はKF-Xか?

ベル525Rテストベッド機が墜落/Mi-38がクラス高度記録を樹立/中国がMi-171Eを追加発注/インドが海軍向け軽ヘリコプターのRfPを発出

ベル525Rテストベッド機が墜落

http://www.flightglobal.com/news/articles/bell-loses-525r-testbed-in-crash-375343/

8月7日、ベル525Rの駆動系テストベッドとして改修されたベル214ST(N409SB)が、テキサス州アバロンにて墜落している。人的な損害はない。
NTSBに提出された予備報告によると墜落の状況は次の通り。

機体が右旋回した後、乗員が爆発音を聞き、チェイス機はテール部から何かが脱落したと連絡。この後、ベル214STはオートローテーションで着陸したが、機体が傾いて接地し、右に転倒した。乗員に怪我はなかった。

ベル525Rは7~8tonのスーパーミッドサイズに属する新機種で、対抗はEC175とAW189。特徴として、V-22で開発されたFBW技術を投入していること、ベルとしては初めての5枚ローター機であることと、fully articulated rotor head(3軸可動する全関節型ローターヘッド)の採用が挙げられる。複合材を使用し同級の機体よりも航続距離が長くなる見込みとも言われる。
525RのエンジンはGE CT7-2F1(1800shp)の双発であり、ベルにとってはこれまでにないハイパワーかつ大型な機体として計画された。このクラスには、かつてはティルトローターで乗り込むことも考えてたのかしらんが、これまでは手をつけてなかった領域だ。
このあたり、かつてのAB139(現在のAW139)がそのままモノになっていれば少し違ったかもしれないが、ベルアグスタ解消とともに手を離れてしまった。その後はベル417/ARH-70がこけたりBA609を手放したりで、正直あんまりぱっとしない。というより204系と206系が偉大すぎた、というべきなのかもしれない。

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Mi-38がクラス高度記録を樹立

http://www.flightglobal.com/news/articles/mi-38-sets-new-world-altitude-record-375811/

ロシアンヘリコプターによると、8月27日の第14回FAIヘリコプター選手権で、10000kg~20000kg級に出場したロシアのMi-38がクラス高度記録を樹立したとのこと。新記録は28200ftで、前の記録の27880ftを320ftほど上回った。
操縦したのはミル・モスクワ・ヘリコプター工場(Drakino空軍基地と隣接)に属するテストパイロット。
Mi-38はMi-8/17の後継にあたる機体で、2015年からの生産が計画されている。箔付けにはいいデモンストレーションになった。

エンジンはクリモフだけでなく、P&WカナダのPW127/TSも選択可能となった。クリモフの方の開発遅延という事情もあったが、西側への売り込みにも有利になるだろう。
アフガニスタン向けの米国FMSによるMi-17供給でも揉めたとこだし。

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中国がMi-171Eを追加発注

http://www.flightglobal.com/news/articles/china-to-obtain-55-mi-171e-transport-helicopters-376012/

Rosoboronexportは7月、Mi-171E×55機の輸出について、中国政府と合意した。金額は1機あたり1000~1200万ドルとのことで、総額は5億5000万ドルから6億6000万ドルと見られている。これらの機体はウラン・ウデで製造される予定。

中国が、四川大地震を境にヘリコプターの増強を進めていることはよく知られているが、このクラスの国産機、シュペルフルロンのZ-8系では性能不足で、Mi-171をどんどん増やしてる、といった状況。
Z-8F以降は性能向上を果たしたということになっているが、どのみちコストではMi-171に負けそうだ。エンジンはカナダP&Wだったりするし。

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インドが海軍向け軽ヘリコプターのRfPを発出

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-issues-rfp-for-56-naval-light-utility-helicopters-375710/

インド海軍は現在、軽汎用ヘリコプターとしてHAL Chetakを運用しており、この後継機種を求めている。2010年5月のRfIに続く展開となっており、入札時期は2013年1月の見込み。
主な要求仕様は、最大重量4500kg、艦載で運用できることとローターブレードを折り畳めることなどで、同時にインド国内での実地試験を行うことも含んでいる。想定する用途は様々で、SAR、救援活動、兵站輸送支援、監視および捜索、電子情報収集など。武装については、無誘導ロケット弾と機関銃に加え、軽魚雷と爆雷を搭載して対潜作戦も可能なこととなっている。
他には、各種支援とシミュレータを含むパッケージ一式が入る。

RfPを求めた相手先はアグスタウェストランド、ベル、ユーロコプター、ロシアンヘリコプターとされている。当初インドの業界では、国産のDhruvを推す動きがあったが、その線は今年のファーンボロで公式に否定されており、選定候補にも挙がらなかったようだ。

FGの予想ではユーロコプターAS565MB Naval Panther (ドーファンの派生型で、数カ国の海軍と沿岸警備隊向けの採用実績あり)と、AW139が有力候補としている。

なおインド海軍ではこの他に、2つのヘリコプター導入計画を進めている。

多用途ヘリコプター(16機)では、NH90とS-70Bが競合しており、近いうちに結論が下されるとの見方がある。
大型海上輸送ヘリコプター(75機)は、2011年6月にRfI。こちらは9~12.5ton級で、やはり海軍多用途ヘリコプターと称されており紛らわしい。

EC175の開発/ベル525Rが欧州デビュー/Ka-62のモックアップ展示/ロシアンヘリコプター成立の経緯と将来

EC175の開発

http://www.flightglobal.com/news/articles/eurocopter-advances-on-certification-for-ec175-373613/

EC175は新型のミディアムツイン、中型双発ヘリコプターとして開発されている。ユーロコプターの量産ヘリコプターとしては最新機種にあたり、同クラスの他機種と同じく、まずはガス・油田採掘産業向けで売り込み中。搭載エンジンはP&WカナダのPT6C-67E。

EASAの型式証明プロセスは2012年Q4完了予定、2013年初頭にロンチカスタマー(未契約なので厳密には「見込み」)のBristow Helicoptersへ納入というスケジュールになっている。
現在、量産型2機がマリニャーヌ工場にて最終組立が行われており、6週間前後で飛行を開始することになっている。これらのうち、S01が3番目の飛行試験機となって各種の計測機材を搭載、S02が顧客向けの機体となる。

現在のところ、飛行試験は2機で300時間ちょっと、試験用リグいわゆるアイアンバードによる試験は200時間に達したとのこと。最近の進展はEASAの型式証明プロセスのうち、緊急避難に関する実地検査が行われている。乗員乗客合わせて15名が30秒以内に機外へ退避させることができたとしている。EASAの基準では90秒以内とされる項目だそうだ。
今後は寒冷地での検査とガス・原油向けの特殊装備(緊急用のフロートなど)、TCAS II安全システムの検査等が残っている。
また中国Aviacopterが製造を担当する、ファィバーグラスの胴体後部フェアリングの形状に改修が加えられた。

安全面では、エンジンがFADEC化されているほか、テールローターが傾斜して取り付けられ、滑空時に若干の揚力を発生するなどの特色がある。

現時点で確定受注数は29機。内訳は、ロシアのUTair(15機)、フランスのヘリ・ユニオン(4機)、ベルギーのNoordzee Helikopters Vlaanderen (10機)で、2013年内に10機、2014年に20機以上を引き渡す計画という。

 

http://www.flightglobal.com/news/articles/eurocopter-in-advanced-talks-for-launch-of-sar-ec175-373620/

最初はガス・原油産業向けでスタートするEC175であるが、中距離SARプラットフォームとしての販売活動も積極的に進められている。ただし現段階では、交渉先は幾つか存在するものの、ロンチカスタマー未定の状態である。

SAR型では機首下面に視界360度となるレドームを増設し、Wescam MX-15などのEO/IRイメージングシステムを搭載する。これは当初はWescamの機器を搭載するが、顧客要望などによりSagemやFLIRシステムズの同種センサをインテグレーション予定。
その他、サーチライトや気象レーダー、ウインチと、機体底部および尾部のカメラを追加することになっているが、基本的なところで機内容積の余裕がそこそこあるため、オペレータの要望に応えるだけの装備は十分可能だろうと考えられている。
またアビオニクス周りはEC225のSAR型から流用。

この型の行動半径は半径250nm(463km)以上といい、英国のSAR向けとしても対応可能と宣伝されている。納期は2015年であるが、ユーロコプターでは、もしそれで選定されるなら2014年に引き渡しが可能と主張している。

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ベル525Rが欧州デビュー

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-bell-525r-relentless-makes-its-european-debut-374151/

ベル525は、ベル社の民間向け製品としては3年前のベル429に続く最新機種となるもので、現在は詳細設計段階にある。2月のヘリエキスポで初公開され、今度のファーンボロでは欧州市場へ初めて紹介された形となる。

機体規模はスーパーミディアム、中型双発の大きい方で、用途としては海上(沖合、offshore)向けを想定している。525というモデルナンバーの最初の5はローターブレード枚数、2はエンジンの数、2番目の5は航続距離500nm(925km)を示すそうだ。
エンジンはGE CT7-2F1、BAEシステムズのFBW、ガーミンG5000H統合アビオニクスを採用する。

詳細設計とともにサプライヤーを選定中で、全部で80社程度のうち半分が決定しているという。16席タイプが公開されているが、オペレータの要望を想定して20席タイプも検討中。今のところ、具体的な型式証明と就航に至るスケジュールは公表されていないが、初飛行は2014年を予定している。

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Ka-62のモックアップ展示

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-russia-pitches-ka-62-with-scale-mock-up-374068/

Ka-62はKa-60の民間型として開発中の機体で、5月にロシアでアンヴェイルイベントをやったのがファーンボロに持ち込まれたみたい。なんだけど画像がない。

http://www.youtube.com/watch?v=Pw4tLNp00n0

http://www.kamov.ru/en/production/ka62/

初飛行は2012年末から2013年初頭にかけて実施予定。輸送能力としては、操縦士、副操縦士と別に13名(最大17名)が搭乗できるという。人員輸送のほか、SAR、救急搬送、消防、VIP向けの用途に適するとされ、西側の機体で言えば、AW139やS-76Dといったあたりと競合する。
ロシアンヘリコプターではロンチカスタマーが既に決まってるようなことを言っているが、詳細は不明。

Ka-60自体、何機作られたのか定かじゃない状態だしなあ。旧ソ連崩壊のゴタゴタで消えていく装備の一つになるんだろうか。ロシアンヘリコプター以後も何のかんのでMil系の方が重宝されてるような感じが。

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ロシアンヘリコプター成立の経緯と将来

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-russian-helicopters-plots-ambitious-path-373325/

成立の経緯というのは要するに、旧ソ連の崩壊とともに混乱に陥った回転翼機メーカーを、ロシア主導の元に結集させて20年分の遅れを取り返そうといった話に尽きるわけであるが、そもそもMilとKamovは一体のものではなかったわけで、困難な状況は続く。

20年越しの混乱の一例として挙げられてるのが、Mi-8/17系の独自の発達型についてで、かつてMilが束ねていたカザンとウラン・ウデが別々にやってしまったため、できあがりが似たような物でもパーツ単位の互換性が怪しい事態になっちゃってる件。メーカー的には一切保証できないとしており、両社がロシアンヘリコプター傘下になった今でもあまり関係がよろしくない様子。
そうした中でも西側メーカーと直接競合してやっていく気は満々であり、2011年の計画では資産の2億5000万ドルに2億5000万ドル増資して(つまり5億ドル)ロンドン証券取引所に上場しようとしていた。これは市況の悪化で先送りになったままだが、今後どうなるか微妙。

ロシアンヘリコプターの国際的な競争力については様々な見方ができるが、カザンひとつとっても、その製造能力と技術力は半端な物ではなかった。WW2の期間を通じて11000機のPe-2を送り出したし、1951年には最初のヘリコプターMi-1を、1956年には最初の輸出型ヘリコプターMi-4を製造、Mi-8/17は世界で最も成功したヘリコプターで80カ国で約4500機が使用された。その累計飛行時間は500万時間とも言われる。
しかもMi-17は輸出商品としてまだまだ現役であり、インド向けの80機は2013年まで製造が続く。
このシリーズの新たな派生型として、より大きくなったMi-38も存在する。これは3番目の原型機が製造中で、乗客最大40人、MTOWは15.6ton、機外懸架重量は6ton。クリモフのエンジンTV-7の遅れで遅延したが、2015年にはロシア国内の型式証明が獲得できる見込みとなっている。

これらに対し、小型のAnsatは完全な新機種であったが、FBW関係の認証がネックとなって10年足踏み状態が続いた。これは非FBWモデルを開発することで、輸出への道を開こうとしている。

カザンの工場では、設備の現代化が2008年から2015年までの計画で進行中。工作機械は日本と米国から導入される。以前の機械は1991年に西ドイツから導入されたものだった。
Mi-8/17の民間パイロット向けシミュレータ設備についても開発中で、8月に認証される見込み。
幾分興味深いのは、工場の正面に鎌と大槌とCCCPの文字がまだ残っている点。

さて製造能力は申し分ないとしても、世界に向けて売って行くには、予備部品の潤沢な供給とサービスネットワークの充実が欠かせない。旧ソ連時代にはそれが存在したが、その崩壊とともにネットワークも消滅した。結果、認証されてないパーツが下取りされてばらばらに出回り、手が付けられない状態となる。
そういう前科のため、メンテナンスサービスに関してロシアンヘリコプターを見る目は厳しい。事態を収拾するには現地の修理工場を指導・公認していって再びネットワーク化するしかないが、それは決して簡単なことではない。

抱えている問題がどうであれ、ロシアンヘリコプターを過小評価すべきではない、というのがこの記事の結論で、昨年の実績を見てもユーロコプターに次ぐ262機を輸出しているし、高速ヘリコプターに近い技術(Kamovの同軸二重反転ローター)も、大型ヘリコプターの技術もあるし、Ansatも有望そうに見える。さらに売上げ、利益とも成長を続けており、財政的にも不安要素は少ない。

一言で「ロシア経済とともに復活してきている」というのが適当かも。

中国の軍用機輸出について/TAI Hurkus練習機の初飛行遅れる/ポーランドがC295を追加発注

中国の軍用機輸出について

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-china-awaits-fighter-export-breakthrough-373313/

特に戦闘機についての記述が多い。CATICなどのコメントは飛ばして外部の分析などを中心にメモ。
目新しい情報はなし。

・JF-17(J-10も)の市場は非常に狭い。現代において、性能より機数を重視するのはパキスタンと、あとエジプトぐらい。

・興味を示す国は、西側から輸入できない事情のある国に偏っている。
例として、K-8武装型を買ったのはザンビア、ガーナ、スーダン。それぞれ少数に留まる。

・マーケティングはすごい頑張ってる。ロシア以上。

・2010年珠海でのJF-17のキャッチフレーズ ”affordable, survivable, flexible, supportable, lethal ”

・競合するロシアに対するアドバンテージとなり得るのはサポート体制の充実(エンジン国産化してないのですごくむずかしい)。

・そんなことよりPLAAFの装備を何とかする必要がある。

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TAI Hurkus練習機の初飛行遅れる

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-tai-rolls-out-turkeys-first-hurkus-trainer-373621/

Hurkusは2006年から開発が始まった、トルコ国産のターボプロップ初等練習機。1億5000万ドルの予算で静強度試験機2機と飛行試験機2機を製作する計画だったが、予定は遅延を重ねている真っ最中。2007年時点では2009年末の初飛行予定だったのが、2011年になり2012年になり、ついに2013年4月までずれ込む見通しとなった。

民間型(-A)、軍用練習機型(-B)、CAS型(-C)の3種類の派生型が検討されており、飛行試験日程は18~24ヶ月、2015年内のEASA耐空証明を獲得というスケジュールになっている。
トルコ空軍の練習機としてはKT-1が運用中だが、オプション契約のトルコ国内製造分15機をHurkus-Bに振り替え、ロンチカスタマーとなる可能性がある。

Hurkus-Cの位置づけは、COIN機的なイメージではあるが、トルコ空軍は攻撃ヘリコプターの支援用途で興味を示しているとのことで、FLIRなどを搭載した比較的高級な装備が考えられているようだ。この型は不整地滑走路からの運用も可能でペイロード1500kg程度。

TAIでは更に別の派生型として、沿岸警備隊向けの監視機を検討している。これはFLIRのオペレータを後席に乗せて運用することが想定されている。

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ポーランドがC295を追加発注

http://www.flightglobal.com/news/articles/poland-orders-five-more-c295-transports-373626/

ポーランドは2003~2005年にかけてC295の最初のバッチ8機、2007~2008年に次のバッチ4機を加え、12機を配備した。が、2008年1月に1機が事故で失われ(20名が死亡)、現役には11機が残る。
7月2日のエアバスミリタリーの発表では、5機が追加発注になるとのことで、ポーランド空軍のC295は16機まで増勢する見込みとなる。金額は米ドルにして2億6200万。年末までに2機が引き渡され、2013年までに残り全部が揃う予定。

ポーランドの第8空軍基地(Krakow-Balice国際空港)をホームベースとしており、うち1機はアフガニスタンで空輸(空中投下)と救急搬送任務に貼り付けられている。

米国で余剰となったC-130Eの追加導入(5機が現役)も検討されたものの、ポーランド空軍はC295の方が費用対効果に優れるとの評価を下した。ということは中古C-130Eの1機がC295の新造機5機相当なのか…

なお最初のバッチ8機については、今年2012年から2014年にかけて順次オーバーホールが計画されており、EADS PZLのWarszawa-Okecie工場入りすることになっている。

エアバスミリタリー側から見ると、セビリャが組み立てられるC295とCN235は今年だけで30機となる。受注は全部で113機となり、うち85機は納入済み。

C919のエンジンナセル実証試験が完了/インドネシアNTSCがデモンストレーション飛行時の高度規定などを勧告/MS-21の初飛行は2015年か/CSeriesの初飛行と市場予測について

C919のエンジンナセル実証試験が完了

http://www.flightglobal.com/news/articles/nexcelle-completes-key-c919-nacelle-test-373337/

C919には、CFM Leap-1Cの搭載が予定されており、5月、米国で先進技術ナセルの実証試験が行われた。
請負はNexcelleで、エンジンにはCFM56-5C、GEアビエーションのオハイオ州ピーブルズの工場を使っての地上燃焼試験となる。この試験はpylon and nacelle advanced configuration for high efficiency (Panache)と呼称された。
Nexcellによると、このナセルは燃料消費を2%減らす効果があるとしている。

また試験項目にはelectrical thrust reverser actuation system (ETRAS)という電動スラストリバーサと、複合材製で一体構造のOダクトも含まれる。Oダクトはスラストリバーサ作動時に後退し、バイパスの気流を逆転させるもの。従来の2ピース構造のDドアの代わりとなるものだが、これは長年の整備上の難点でもあった。利点としてはメンテナンス性の向上のほか、気流の向きを変える際の損失を低減することで、逆噴射効率を10%向上できるという。
詳細は分解図と動画で。

システムの開発状況は、5月にPDRを完了し、年末までにCDR完了予定。C919がこのナセルにLeap-1Cを搭載して飛行するのは2014年半ばとなる。就航はそれから更に2年後の見込み。

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インドネシアNTSCがデモンストレーション飛行時の高度規定などを勧告

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesias-safety-committee-makes-first-recommendations-after-sukhoi-crash-373351/

インドネシアNTSCは、5月のスーパージェット100墜落に続く一連の事故調査後、初めてデモンストレーション飛行時の安全確保について、即時勧告を行った。

その内容は、まず安全とされる最低高度以上を維持すること、特に山岳地帯を飛行する際は追加的なパイロットの訓練を実施することに加え、搭乗員と乗客の名簿を地上でも保管することについて述べられている。最後のくだりは、今回の事故においてクルーの一人が名簿を持ったまま搭乗し、墜落事故に遭ってしまったが、そのコピーなどが存在しなかったことから追加されたようだ。確かに当初の報道では、人数が混乱していた(最終的には45名とされている)。

ボイスレコーダとフライトレコーダは回収され、NTSCとロシア当局間では調査協力の合意がなされている。

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MS-21の初飛行は2015年か

http://www.flightglobal.com/news/articles/pw-reveals-new-slip-for-ms-21-first-flight-372640/

イルクートが開発中の旅客機MS-21は、当初2016年就航とされたものの、後に1年先送りの2017年就航となった。また2月のシンガポールエアショーにおいては、イルクートの社長が2014年後半の初飛行を計画していると発言。
しかしその裏では、エンジンに関する交渉が難航していたようだ。同社は2年前、2010年にGTFのPW1400Gの採用を決定したが、正式合意して調印までこぎつけたのは今年6月5日。今回の情報はP&Wのプレスリリースから出たもので、ここでは2015年初飛行というのが明記されてしまっている。交渉遅れが工程に影響を及ぼさないはずはなく、飛行機はエンジンが無ければ飛ばないので、多分このまんまの話と思われる。

P&Wのプレスリリースでは、MS-21向けエンジンの概要も公表された。PW1400Gの標準仕様ではMS-21-200(150席タイプ)に推力125kN、MS-21-300(181席タイプ)に138kNがそれぞれ対応するが、MS-21向けは110kNから142kNの間という表現になっており、若干仕様が標準と異なる模様。
また、エンジンナセルがボンバルディアの子会社のショート・ブラザーズ社が供給するとも書かれている。ここはIAE V2500とGE CF34のナセルを供給した実績はあるが、GTFの実績は無い。なお親会社のボンバルディアはCSeries向けのGTF、PW1200のナセルについて、ショートではなくグッドリッチを選定した経緯あり。

MS-21は、1月1日以前に最終設計段階を完了する予定になっていたようだ。実際にはエンジン抜きの話になっていたわけであるが。
2010年代後半から新しいナローボディ旅客機の競合機種がやたらと多くなる事は確実(737MAX、A320neoの対決にCSeries、C919が加わる)だが、イルクートは1200機ほどの製造を見積もっている。うち1/3程度は、ロシアとCIS諸国の需要を見込む。

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CSeriesの初飛行とボンバルディアの市場予測について

http://www.flightglobal.com/news/articles/bombardier-adds-caveats-to-cseries-first-flight-timeline-373175/

6月19日、ボンバルディアの本部で開催された記者会見において、CSeriesの初飛行に関する質問が相次いだが、ボンバルディア経営陣は、初飛行よりもサービス・マイルストンの方が大事であるとの説明に終始した。CS100のロンチカスタマー(社名は非公開)への引渡しは2013年後半とされ、現時点から数えて、最大18ヶ月先。初飛行は遅くとも今年Q3末までに実施という形になっている。

飛ばないシステム試験機、complete integrated aircraft systems test area (CIASTA)のAircraft 0によるシステム統合試験は今月末までに完了予定で、今のところ大きな問題は出していないとのこと。
飛行試験機の状況については、機首、前部・中央部・後部胴体、尾部、主翼、垂直尾翼の各コンポーネントの完成状態の写真が示された。最終組立するには水平尾翼が足りないが、これはアレニアに外注されてるそうだ。それ程遅延する要素は無さそうに思える。

もう少し詳しい記事。

http://www.flightglobal.com/news/articles/cseries-assembly-compressed-to-meet-first-flight-target-373200/

ボンバルディアは初飛行をQ3としているが、最終期限として2013年1月1日、つまり2012年内という予定を明らかにしている。
現在、飛行試験1号機FTV-1の最終組立にかかる期間を、通常の5ヶ月から4ヶ月に圧縮する方向で考えているとのこと。

飛行試験計画の完遂には12ヶ月、飛行時間にして2400時間ほどを要するので、初飛行からすぐに取り掛かってノートラブルでも、就航はその1年後となる。
単純に見ると、18ヶ月で片付けるには厳しいスケジュールだが、飛ばないシステム試験機、いわゆるアイアンバード、Aircraft 0によるシミュレーションがボンバルディアの奥の手。これは実際に飛行する以外の機能、フライトコントロールとアビオニクス一式、油圧系、電装系、車輪などを備え、操縦翼面には油圧で実際に荷重をかけた状態をシミュレート可能となっている。
当局とは、型式証明のプロセスをこちらも使って実施する方向で調整した。既に20000時間以上のシミュレーションをもって認証を受けることとして原則同意に至っており、細部の交渉を残すのみとなっているそうだ。ここで飛行試験時間を減らせれば、型式証明プロセスが捗るという見通し。

http://www.flightglobal.com/news/articles/bombardier-forecasts-20-year-jump-for-turboprop-deliveries-but-regional-jet-demand-declines-373159/

6月19日に示された市場予測について。

ボンバルディアは今後20年の市場予測について、昨年までの予測を下方修正した。世界的な景気の悪化により全体で縮小傾向としつつ、100席以下のターボプロップ機は増加するという見通し。
2012~2031年の150席以下のクラスは、ジェット機とターボプロップ機あわせて12800機、6300億ドル規模。内訳は、20~59席クラスは300機で昨年の予測からの変更は無し。60~99席クラスの下方修正が最も大きく、昨年の予測から200機減の5600機とした。また100~149席クラス(CSeriesと110を含む)は、同じく100機減の6900機。割合にすると2.3%の下方修正となる。その理由については、世界のGDPの低落傾向が挙げられてる。

また、USEIAの平均原油価格予測が、1バレル107ドルから127ドルまで上昇したことを根拠に、ターボプロップ機の需要が増大すると予測し、次の20年で2832機という販売目標を立てた。昨年の2500機という予測を300機ちょっと上乗せした数字であり、このクラスは60~99席クラスに含まれる。つまり今年の予測に当てはめると、シェア48%を目指す、と言い換えることができる。更に言うと、ターボプロップが上方修正された分、リージョナルジェットが下方修正された形となる。

中国の056型コルベットが進水/停泊中の022型/J-20の2号機など

056型コルベットが進水

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-23/200423_2141607.htm

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-24/200499_2142518.htm

5月23日に進水したようだ。ウィキペだとフリゲートと書いてあるが、2000ton未満と推定される排水量からするとコルベットに近い。
ウィキペの元ネタ中国網記事。

http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2011-05/23/content_22623157.htm

と、日本国周辺の軍事兵器の該当項目。

http://wiki.livedoor.jp/namacha2/d/056%B7%BF%A5%B3%A5%EB%A5٥åȡ%CA056%B7%BF%B7ڷ%BF%B8%EE%B1Ҵϡ%CB

これらの記述は基本的には模型の写真から装備を予想しているもので、現物は喫水線下はもとより見えないし、甲板上の兵装にはカバーが掛けられてて、まだ詳細不明ということになっている。
タイ向けの艦(パタニ級)の自国版という感じではある。ヘリ格納庫はたぶん無い。

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停泊中の022型

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-21/200249_2139206.htm

この手の波浪貫通型船型は、近くで見るとやたらと大きく見える。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-18/200161_2137803.htm

演習中の映像のようだ。

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J-20の2号機

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-14/199756_2132433.htm

5月中旬から写真に撮られるようになってきた。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-11/199624_2133904.htm

5月10日にタキシー試験が目撃される。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-17/200002_2135691.htm

で、初飛行。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-15/199846_2133605.htm

#2001と比べると、シート背面の角度が違う。従来の13度傾斜のものではなくて30度ではないかという推測。これはF-16と同じ‥なんだっけ?

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-18/200144_2137592.htm

あと空中給油装置のドアらしきものが確認されていたり、

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-14/199756_2132433.htm

インテイク部分に何か可変式のベーンみたいのが追加されている。この辺はそのうちもっと明瞭な写真が撮られると思う。

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よくわからんがUAVの展示会みたいのがあったみたい。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-22/200359_2140815.htm

S-100も展示されている。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-22/200359_2140822.htm

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2月だが昇竜UAVが撮影されている。飛行してるのかなこれ。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-02-02/192848_2039792.htm

SELEXガリレオがグリペンE/F向けの新型AESAを準備/ロシア空軍はSu-25の後継機を発注、PAK-FAのスケジュール、An-124-100Mなど/日本近海で中国艦艇とVTUAVが確認される/米国防総省はJ-20が2018年頃配備されると予測する

SELEXガリレオがグリペンE/F向けの新型AESAを準備

http://www.flightglobal.com/news/articles/selex-nears-aesa-radar-delivery-for-gripen-372125/

SELEXガリレオは、数週間以内にグリペンデモ向けのAESA、レイブンES-05の最新タイプを納入すると発表。試験はスコットランド、エジンバラにあるフィンメカニカの施設で行われていて、7月のファーンボロで展示されたあと、飛行試験が開始されることになっている。

スウェーデン空軍向けのグリペンアップグレードとしては、AESAに続いてIRSTの開発も進められている。製品名はスカイワード-Gで、2012年末から2013年初頭にかけて試験用に納入される見通し。これはグリペン専用の内装IRSTとして開発されているが、SELEXガリレオではより多くの機種にインテグレーションできるよう、ポッド型で供給する事も想定している。

記事の残りはタイフーン向けのCAPTOR-Eについてで、現在のスケジュールは2013年Q2に試験用レーダを納入し、2013年内にタイフーンに搭載して飛行試験を開始するといったものになっているようだ。生産契約もこのあたりになり、製品として納められるのは2015年頃の予定。まだ主要4ヶ国での話し合いは続いており、不透明な部分が多い。
今のところ確定しているのはサウジアラビア向けで、新造のトランシェ3A向けと、トランシェ2の改修オプションに入る予定。UAEとマレーシア、他の潜在顧客向けは提案中。

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ロシア空軍はSu-25の後継機を発注、PAK-FAのスケジュール、An-124-100Mなど

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-air-force-to-order-su-25-replacement-372103/

ロシア空軍でSu-25の後継となる次期対地攻撃機については、Yak-130の本格的な攻撃機型、Yak-131も提案されていたが、こちらは正式にキャンセルし、新しい全天候攻撃機の発注に踏み切ることを決定した。これは既に調達計画に加えられ、2020年までの配備を目指すとのこと。
現用のSu-25の最新型はSu-25SMとなるが、新造機ではなく、80機程度の改修が発注されている(このうち30機以上が引き渡し済)。

次期攻撃機については、以前も出た情報程度しか出てない。ステルス性を有し、新型レーダーを装備して、STOL性を特徴とする云々。

また、Yak-131キャンセルの理由として乗員防護の不足が挙げられてる。シュトルモビクの伝統を受け継ぐとなれば、練習機程度じゃ無理なのも道理と言えよう。

PAK-FA/T-50については、2013年に空軍へ原型機が引き渡され、性能試験が行われる見込み。開発は計画通りに進行中とされている。なお以前の発言では2015年までに14機が製作される事になっていた。

An-124-100Mは最初の3機がロシア空軍に引き渡された。既存機10機程度を改修、これと別に、ペイロードが150tonまで増加したAn-124-300について、新造機10機程度を導入する計画としている。

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日本近海で中国艦艇とVTUAVが確認される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-schiebel-camcopter-s-100-operated-from-chinese-frigate-372045/

画像は054A型フリゲートから小型の無人ヘリコプターが離着艦しているところ。海上自衛隊が撮影して公表した。同様の写真が公表されたのは2011年6月に続いて2度目となるが、艦船に搭載されている様子がはっきりわかるのは初めて。
実運用に入っているのか試験中なのかは定かでない。

業界筋ではオーストリアのSchiebelが製造したCamcopter S-100であるとされており、このタイプは2年前に中国が18機ほど購入したことが公然の秘密となっている。このサイズで艦上運用できるVTUAVは他に存在せず、他の中国製のVTUAVとも似ていない。
ただしSchiebelは、個々の取引についてはノーコメントということで、公式には中国への販売を認めていない。

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米国防総省はJ-20が2018年頃配備されると予測する

http://www.flightglobal.com/news/articles/chengdu-j-20-could-enter-service-by-2018-372082/

米国防総省は年次報告の中で、J-20が2018年前半までに部隊配備されるという予測に言及した。J-20が姿を見せた後も、配備されるのは2020年代であろうという予測を変えていなかったが、今回はそれが訂正された形になる。
operational capabilityという言葉で表現されているが、機数が揃って要員の訓練も十分にできた状態として定義されるとのこと。

 

米軍用機で見つかった中国製パーツ偽装問題の顛末/MC-130Jのフルモーションシミュレータ訓練が開始される/台湾へのF-16売却を認める法案が米下院を通過

米軍用機で見つかった中国製パーツ偽装問題の顛末

http://www.flightglobal.com/news/articles/china-made-counterfeit-parts-found-in-us-military-aircraft-senate-372155/

米上院軍事委員会は、一部の米軍機(C-27J、C-130J、P-8Aなど)で見つかった、機能しない偽装電子機器の供給元が中国であった事を報告した。調査は個別のパーツ数にして100万、1800ケースが対象となり、報告書は112ページにのぼる。

報告書には、具体的なルートについての調査結果もある。2011年11月にL-3ディスプレイシステムズで生産したコクピットの表示装置の例では、偽のメモリチップが入っており、発見された時点で500以上が取り付けられていた。カリフォルニアの卸業者を通してシンセンの会社から買ったものだった。報告書では、2009年と2010年に数万個単位で同じ会社から買ったと結論されている。

P-8Aの例は凍結を検出する部品で、2011年8月17日にボーイングから海軍へ報告が上がったが、その18か月前、2010年1月に製造者のBAEシステムズも海軍に報告を上げている。こちらもカリフォルニアの会社から買ったが、さらにそこはフロリダの会社から買っており、製造元まで辿るとこれも別のシンセンの会社に行きついた。

対策としては、元請に渡す前にちゃんと試験しましょう、という話になるのだが、サプライチェーン的な意味で国防上の弱点となる深刻な話でもあるので、同委員会では対策を法制化する準備を進めているそうだ。

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MC-130Jのフルモーションシミュレータ訓練が開始される

www.flightglobal.com/news/articles/afsoc-mc-130j-crews-start-training-in-new-full-motion-sims-372209/

ニューメキシコ州のカートランドAFBにおいて、空軍特殊戦(AFSOC)のMC-130Jの乗員訓練が開始される。2月からAETCにて準備が進められていたもので、フルモーションシミュレータを使用した訓練となる。MC-130J weapons system trainer (WST)は、FAAのレベルDフルモーションシミュレータと同等のものに、実機同様のミッションシステムのシミュレータを組み込んだもので、各種センサ、EW、NVG環境と戦場における脅威などを再現する。さらにシミュレータをネットワークで結び、複数の基地に設置されたシミュレータで同じ仮想環境における訓練が実施できたりもする。

MC-130J専任となるコンバット・システム・オペレータ(CSO)は3月から転換訓練を開始した。またHC-130Jの搭乗経験があるCSOの訓練は4月からで、同じくパイロットとロードマスターは5月から開始されている。なおHC-130JとMC-130Jは同じシミュレータで訓練できる。

シミュレータでできることが拡大されたため、訓練のうち80%は座学とシミュレータ、残り20%は飛行訓練となった。AFSOCはmulti-function training aid (MFTA)を導入を命じられた最初の組織でもあり、今後も日常的な訓練などに、その役割は広がっていく見込み。将来のAC-130Jでもシミュレータ訓練が大きな役割を果たしそうだ。

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台湾へのF-16売却を認める法案が米下院を通過

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-house-of-representatives-mandates-taiwan-f-16-sale-372084/

5月18日、台湾へのF-16売却を認める法案が米下院にて賛成多数で可決。ただし上院で同様の結果になる可能性は低いと見られている。

台湾への輸出に関する部分は、テキサス州選出のKay Granger共和党議員が防衛関連法案に書き加えたものだった。上院での支持は限定的で、同じテキサス州選出の上院議員などはこれを評価している。
オバマ大統領はここ数カ月、F-16売却についての対応を変更することを示唆しているが、一連の動きはF-16改修に関して中国側の反応が予想されたほど激しくなく、実際には一部のイベントが流れた程度に留まっ、て事務レベル協議と高レベル対話は継続されていた事と関連している。