米陸軍がUAVからの迫撃砲弾発射をテスト/米海軍はUCLASSのRfP(草案)を2012年内に発出する見込み/トルコがAerostar UAV運用を打ち切り?/イラン空軍機が米国のUAVを攻撃

米陸軍がUAVからの迫撃砲弾発射をテスト

http://www.generaldynamics.com/news/press-releases/detail.cfm?customel_dataPageID_1811=18078

米陸軍ARDECは、ゼネラルダイナミクスと協力してUAVから迫撃砲弾を発射するテストを行った。小型UAVが搭載可能なPGMのデモンストレーションとされている。

使用されたUAVは、L-3のタイガーシャークUAVで、オクラホマ州フォートシルに近いレンジにて、高度7000ftから3発の迫撃砲弾を発射した。これらは標準的な81mm迫撃砲弾であり、GPSとINSを利用して目標に指向される誘導キットと組合せ、目標地点の7m以内に着弾したとのこと。
メーカーではAir Drop Mortar (ADM)と呼んでおり、この実験では10ポンドクラス誘導弾の例を示した形となった。なおタイガーシャークUAVのペイロードは30ポンド。
また誘導キットはゼネラルダイナミクスが特許を取得したもので、Roll Controlled Fixed Canard (RDFC)と名付けられている。
詳細は陸軍の資料にて。

http://www.dtic.mil/ndia/2012armaments/Wednesday13995habash.pdf

これの空中発射型がADM。普通のM821砲弾と信管で9.1ポンドのところ、RDFCを追加した重量は10.8ポンド。また120mm迫撃砲弾にも適用可能。

http://www.defenseindustrydaily.com/Mortars-from-Aircraft-The-Shadow-Knows-05226/

このクラスでは、レイセオンのSTMが12ポンド(製品名がPyroとなっている)でGPS/INS誘導またはSAL誘導の小型PGM。またLMがシャドウホークという11ポンドのSAL誘導の小型PGMのデモンストレーションを実施している。こちらはRQ-7を使ったデモンストレーションだった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-unveils-gravity-bomb-for-uav-371344/

コストでは81mm迫撃砲弾+誘導キットのADMが有利っぽいが、GPS/INS誘導のみなので精度はSALなどに比べて劣ると思われる。
このクラスになると大抵の小型UAVに搭載可能で、自衛隊が導入するRQ-21みたいのでも積めるはずだ。

 

これらに先行して、米海軍NAWCなどで開発されていたのがスパイクというやつで、重量は更に軽く5.3ポンド(試作原型時)、全長25インチだった。歩兵携行型の無誘導ロケットとATGMの中間にあたるもので、SAL誘導。小型UAVへの搭載も考慮されていた。

http://www.designation-systems.net/dusrm/app4/spike.html

http://defense-update.com/products/s/spike_laser.htm

推進システムを有するため、弾頭は1ポンドと小さい。射程距離は2200m程度。
主に低価値目標に対して用いられる安価な誘導兵器として開発が進められた。2003年末からSDD、2007年に実射が行われたようだが、その後の進展は不明。

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米海軍はUCLASSのRfP(草案)を2012年内に発出する見込み

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-to-issue-draft-rfp-for-new-unmanned-strike-aircraft-before-years-end-378562/

UCLASSについては8月に一部の要求仕様(の草案)が開示されたという話が出ていたが、2012年末までにRfP草案が出る見込みとのことで、ここで全体像がはっきりする事になる。
2020年のIOC獲得に間に合うのか微妙な気もするが、その段階では艦上機として完成させる事は必須でない上、最初から発展性なりアップグレード余地を求められているので、当初の能力は、相当限定されたものに留まるのかもしれない。

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トルコがAerostar UAV運用を打ち切り?

http://www.flightglobal.com/news/articles/turkey-set-to-axe-aerostar-uav-deal-378532/

トルコは2005年、イスラエルのIAIからヘロンUAV(地上管制ステーションはエルビット)を調達する契約を締結したが、その後、計画の遅れによってAerostar UAVを繋ぎとして導入している。
ヘロンUAVの方は、二国間の関係悪化とは関係なく運用されている模様であるが、Aerostar UAVの方はここ数ヶ月間、運用に問題があるという情報が出ていたようだ。今回の報道もトルコ側から出ているもので、運用打ち切りと機体(3機)の返還を検討、となっている。メーカーのAeronautics Defense Systemはこれを否定した。

Aerostar UAVについては、10月にポーランド軍が2機の調達(約3500万ドル)をキャンセルしたばかりか、補償金の支払いまで求めている。
こちらも運用上の問題とされていたので、如何に二国間関係が悪化してるとはいえ、政治的にどうこうというよりは、何かしら問題がある装備なのか、セールスがよほど巧みだったのか。いずれにしてもいただけない話ではある。

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イラン空軍機が米国のUAVを攻撃

http://www.spacedaily.com/reports/Iranian_jets_fired_on_US_drone_in_Gulf_Pentagon_999.html

米国防総省は、ペルシャ湾の公海上空でイラン空軍の戦闘機が米軍のUAV、MQ-1を攻撃したと発表している。インシデントは11月1日に起こったが、大統領選挙の後で公式発表された。
位置はイランの海岸線から16海里のあたりで、攻撃を仕掛けたのはSu-25、警告ではなく撃墜を意図した発砲だったとされている。MQ-1に命中弾はなく、そのまま帰投した。以後、攻撃を受けるケースは発生していない。ミッション自体は、ルーチンとなっているイラン側の監視であり、今後も継続するとのこと。

米国はペルシャ湾方面に対して、2個CVBGの配備や、UAEへのF-22の展開といった形で軍事的プレゼンスを強めている。
またこれと別に米国務省は、国際衛星放送の妨害とインターネット接続における検閲を止めるよう要求しており、後者については検閲を外部から強制的に停止させるような言い回しをしているみたいだ。

中国の軍用機輸出について/TAI Hurkus練習機の初飛行遅れる/ポーランドがC295を追加発注

中国の軍用機輸出について

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-china-awaits-fighter-export-breakthrough-373313/

特に戦闘機についての記述が多い。CATICなどのコメントは飛ばして外部の分析などを中心にメモ。
目新しい情報はなし。

・JF-17(J-10も)の市場は非常に狭い。現代において、性能より機数を重視するのはパキスタンと、あとエジプトぐらい。

・興味を示す国は、西側から輸入できない事情のある国に偏っている。
例として、K-8武装型を買ったのはザンビア、ガーナ、スーダン。それぞれ少数に留まる。

・マーケティングはすごい頑張ってる。ロシア以上。

・2010年珠海でのJF-17のキャッチフレーズ ”affordable, survivable, flexible, supportable, lethal ”

・競合するロシアに対するアドバンテージとなり得るのはサポート体制の充実(エンジン国産化してないのですごくむずかしい)。

・そんなことよりPLAAFの装備を何とかする必要がある。

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TAI Hurkus練習機の初飛行遅れる

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-tai-rolls-out-turkeys-first-hurkus-trainer-373621/

Hurkusは2006年から開発が始まった、トルコ国産のターボプロップ初等練習機。1億5000万ドルの予算で静強度試験機2機と飛行試験機2機を製作する計画だったが、予定は遅延を重ねている真っ最中。2007年時点では2009年末の初飛行予定だったのが、2011年になり2012年になり、ついに2013年4月までずれ込む見通しとなった。

民間型(-A)、軍用練習機型(-B)、CAS型(-C)の3種類の派生型が検討されており、飛行試験日程は18~24ヶ月、2015年内のEASA耐空証明を獲得というスケジュールになっている。
トルコ空軍の練習機としてはKT-1が運用中だが、オプション契約のトルコ国内製造分15機をHurkus-Bに振り替え、ロンチカスタマーとなる可能性がある。

Hurkus-Cの位置づけは、COIN機的なイメージではあるが、トルコ空軍は攻撃ヘリコプターの支援用途で興味を示しているとのことで、FLIRなどを搭載した比較的高級な装備が考えられているようだ。この型は不整地滑走路からの運用も可能でペイロード1500kg程度。

TAIでは更に別の派生型として、沿岸警備隊向けの監視機を検討している。これはFLIRのオペレータを後席に乗せて運用することが想定されている。

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ポーランドがC295を追加発注

http://www.flightglobal.com/news/articles/poland-orders-five-more-c295-transports-373626/

ポーランドは2003~2005年にかけてC295の最初のバッチ8機、2007~2008年に次のバッチ4機を加え、12機を配備した。が、2008年1月に1機が事故で失われ(20名が死亡)、現役には11機が残る。
7月2日のエアバスミリタリーの発表では、5機が追加発注になるとのことで、ポーランド空軍のC295は16機まで増勢する見込みとなる。金額は米ドルにして2億6200万。年末までに2機が引き渡され、2013年までに残り全部が揃う予定。

ポーランドの第8空軍基地(Krakow-Balice国際空港)をホームベースとしており、うち1機はアフガニスタンで空輸(空中投下)と救急搬送任務に貼り付けられている。

米国で余剰となったC-130Eの追加導入(5機が現役)も検討されたものの、ポーランド空軍はC295の方が費用対効果に優れるとの評価を下した。ということは中古C-130Eの1機がC295の新造機5機相当なのか…

なお最初のバッチ8機については、今年2012年から2014年にかけて順次オーバーホールが計画されており、EADS PZLのWarszawa-Okecie工場入りすることになっている。

エアバスミリタリー側から見ると、セビリャが組み立てられるC295とCN235は今年だけで30機となる。受注は全部で113機となり、うち85機は納入済み。

メドベージェフ首相がPAK-DAの開発推進について発言/EADSがチリにラテンアメリカ諸国への足掛かりを求める/韓国AHX選定について

メドベージェフ首相がPAK-DAの開発推進について発言

http://www.spacedaily.com/reports/Medvedev_confirms_fifth-generation_bomber_999.html

RIAノーボスチの報じたところでは、先週末、メドベージェフ首相はカザンの航空機工場を視察した場で、将来の軍用機計画について言及。PAK-DAが第5世代戦闘機PAK-FAと同様に重要であると述べた。
次世代爆撃機PAK-DAという計画が公式に認められたのは2009年だが、その必要性については政府首脳から産業界に至る議論の焦点ともなった。このところの一連の流れは、それが表面化したものと捉えることができる。
前週にドミトリ・ロゴージン副首相は、否定派の立場でPAK-DAの有効性に疑問を投げかけたが、すぐに参謀総長が反論した。反論の内容は、計画は予定通り進行中で、(PAK-DAが)生産に入るところまで行けば、米国製を含むあらゆる爆撃機よりも優れるといったもので、特に根拠は示されてない。
2011年の段階で、当時のウラジミール・ポポフキン副国防相は、PAK-DAは早くとも2015年まで開発が本格化せず、現用のTu-95MSとTu-160を2025年から2030年あたりまで延命する計画について述べた。
開発が行われるとしても、製造開始は2025年頃になると見られるため、いずれにしても延命は必要となる。

RIAノーボスチの記事の解説では、2040年代に爆撃機戦力が消滅する危険性を主張し、重爆撃機に代わるものが具現化するまでは、研究開発を続ける必要があろう、としている。

この発言と関連してセルジュコフ国防相は、将来の爆撃機製造を可能とするよう、カザンの工場増築を発注したと述べた。新工場は(より短いタームでは)An-70の製造にも使われる計画という。

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EADSがチリにラテンアメリカ諸国への足掛かりを求める

http://www.spacedaily.com/reports/EADS_sees_S_America_entry_with_Chile_deal_999.html

チリはブラジルほどに大きな防衛調達計画を持っているわけではないが、産業を育成して国内の需要を満たし、将来は輸出産業にという思惑を持ってるところは共通する。

南米におけるEADSの売り込みは、ブラジルF-X2で早々に脱落するなど、あまりうまく行っていなかった。チリにおいては地元航空機メーカーのENAERをパートナー企業として、新会社を設立する計画を持っている。主に航空機の製造とメンテナンスサービスを行うことになっており、ここを足がかりにしてラテンアメリカおよびカリブ海諸国での販売とサービスを強化する。ついでにチリの低賃金も、EADSにとっては魅力的に映る。
EADSが売込みを図っている機種として、固定翼輸送機でC-212、C-235、C-295、回転翼機でシュペルピューマその他、そして各種人工衛星が挙げられている。

と、これだけだと過当競争気味のラテンアメリカ市場にしては、妙にうまい話で終わるわけであるが、実際のところはそこまで単純ではない。まずENAERは財務状況がよろしくなく、2009年の景気悪化で赤字を出してからは熟練工の解雇などに踏み切らざるを得ないところまで行っている。何とかやっているのは、初等練習機のT-35 Pillanが一応の成功を収めていることと、チリ空軍にメンテナンス他のサービスを提供していることが大きい。また民間機の修理など、一通りの業務をこなす能力はある。
とはいうもののEADSが負うリスクは決して小さくない。

ENAERの出自はチリ空軍の整備部隊そのもので、1980年代初めにパイパー・エアクラフトと提携、PA-28の組立と製造を経て、T-35を開発している。これはPA-32パイパー・サラトガの胴体を流用して中央部を新設計、主翼を曲技飛行に耐えられるものに換装した機体で、スペイン、パナマ、パラグアイほか数カ国へ輸出され、一定の成功を収めた。旧CASAとの関係はこの頃から続いていることになる。

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韓国AHX選定について

http://www.flightglobal.com/news/articles/ah-64d-ah-1z-and-t-129b-pitch-for-korea-attack-helicopter-requirement-372995/

韓国は次期攻撃ヘリコプターのAHX選定において、AH-64D Block III、AH-1Z、T-129Bの3機種に候補を絞っているという話。それぞれの提案は5月10日にDAPAへ提出された。
以下、各メーカーのコメントなどの内容。

ユーロコプターも候補に入ると思われたものの、AHXでタイガーを提案することは取り止めた。KAIと共同開発の汎用ヘリコプター、KUH スリオンにリソースを集中する決定を下している。

ベルは、今後数ヶ月以内に試験と評価が実施されるものと考えているものの、具体的な日程はまだ承知していない。

ボーイングは今年Q3またはQ4に選定されると予想。

さてAHXは36機に留まるが、韓国ではKAHというのも計画している。海岸線やDMZからの浸透を阻止するのが主目的の自国産攻撃ヘリコプターと言われ、AHX計画のオフセットの一部に含まれると予想されている。
このパターンは、F-16輸入からFA-50開発の流れと同じだ。
KAHはまた、MD500の代替となる小型ヘリコプターとしても考えられており、これは輸出も期待されている。

以前はKUHの派生型としてKAHを開発するとされていたような気がした。ユーロコプターが言ってるのは、KUH派生型開発案を生かすためにAHXはパスという話か?
2009年に展示された模型はこんなんだった。まだKUHの派生型だったと思われる。上の方はAH-64のARH型か?

http://koreansentry.19.forumer.com/viewtopic.php?t=1799

http://htka.hu/2009/08/26/del-korea-harci-helikoptert-fejleszt/

AHX派生のMD500代替型というのはこれかしら。
2011年の。

http://www.network54.com/Forum/211833/thread/1311104426/KAI+revamps+KAH+program+to+develop+%26quot%3Blight%26quot%3B+attack+helicopter+to+replace+MD+500’s

OH-1みたいな武装偵察専用設計から汎用小型ヘリの武装型に変更したような感じ。

http://www.aviationweek.com/Article.aspx?id=/article-xml/asd_07_12_2011_p01-01-346767.xml

計画が二転三転してるようだ。珍しい話でもないけども。

ここの書き方だと、KAHの概念研究は2012年末までとなっており、全面開発に進めば2013~2018年あたりになる。
当初はKUH派生のKAHで全て賄う計画で、KAHはAH-1×約70機、MD500×約270機の代替として260機ほど製造予定だった。その後最高で274機という時期があり、この記事の時点では200機以上と言われている。
2005年にはKUHからKAHを開発するという話になっていたが、2008年になると次期攻撃ヘリコプター導入計画は、重攻撃ヘリコプター(韓国陸軍は1990年代からAH-64の導入を希望していた)と軽攻撃ヘリコプターに分割される。ここで正式に前者がAHX、後者がKAHになって、KUHよりも小型のKAHを求める流れになっている模様。

早い話、AH-1後継がAHX、MD500後継がKAHになったということみたいだ。
金額の話は省略。

マレーシアがR-77 RVV-AEを発注/インドが多用途双発ジェット機のRfIを発出/トルコ空軍にT-38Mが引き渡される/Yak-130の受注見込についてイルクートがコメント

マレーシアがR-77 RVV-AEを発注

http://www.flightglobal.com/news/articles/malaysia-orders-35-r-77-air-to-air-missiles-for-su-30-fleet-370927/

マレーシア空軍はSu-30MKMを保有しているが、その搭載兵装としてロシアにR-77 RVV-AEを35発発注したとのこと。金額は1億600万リンギットというから3500万ドル相当。R-77はいわゆるアムラームスキー、NATOコードではAA-12。

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インドが多用途双発ジェット機のRfIを発出

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-issues-rfi-for-nine-multimission-turbofan-aircraft-370928/

ジェット機と書いたが、記事ではturbofan aircraftとある。求めている機数は全部で9機で、2機がSIGINTプラットフォーム専用、残り7機が監視と標的曳航を主任務とし、うち3機は通信妨害装置(COMJAM)を有す、とある。

任務は違っても機種は共通の1機種で、インド特有の事情として、熱帯から標高の非常に高い山岳地までの運用を前提としている。
またCOMJAMの中では、フレアディスペンサ(自己防御装置?)を有することや、通常の運用の範囲で貨物や人員輸送に転用可能とし、厨房とトイレを備えた15名程度の人員輸送能力というのも要求されている。

SIGINT能力としては、最高水準の高度に自動化されたシステムを要求しており、その中には地上とのデータリンクも含まれている。

RfIの締切は5月24日。

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トルコ空軍にT-38Mが引き渡される

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-turkish-air-force-receives-upgraded-t-38m-370997/

T-38Mは、TAIが近代化改修を担当したT-38Aで、2007年に契約が交わされていたもの。改修によりT-38Mは、2020年以降までの運用が可能となる見込み。Ariアップグレードと呼ばれており、55機の改修が計画されている。Ariとはミツバチの事らしい。

主な改修内容としては、新型セントラルコンピュータ、MFD追加、HUD追加、HOTAS化、通信/航法系の近代化で、エアフレームの寿命延長も含まれてると思われる。コクピット周辺をそっくり入れ替えた感じ。

まず改修試作2機と量産改修3機がトルコ空軍に引き渡され、2013年いっぱいまでかけて改修作業が実施される見通しとなっている。
現用のT-38Aは67機とのことなので、機数は若干減じることになる。T-38Mの後継機については、2020年代半ばからの導入を検討中。単にT-Xと呼ばれてるようだ。

米軍とは機数も環境も違うとはいえ、えらく安直に改修してる感じはある。

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Yak-130の受注見込についてイルクートがコメント

http://www.flightglobal.com/news/articles/more-than-10-nations-considering-yak-130-says-irkut-boss-370980/

Yak-130は昨年末、ロシア空軍から55機を受注、初の輸出としてアルジェリアに16機を引き渡しているが、今年はさらに10ヶ国程度の海外顧客からの受注が見込まれてるという話。
ただし通例から考えると、売り込んだ時点で受注見込み、みたいな発表になってる可能性は否定できん。

具体的な国名は言及されていない。この中にはシリア国内のゴタゴタ(1年続くとは…)で棚上げに近い扱いになった分が含まれていそうだ。その他にはバングラディシュ、以前の情報では中東、ラテンアメリカ、アフリカ諸国という話が出ていた。フィリピンに対しても売り込みがかけられている。

プロモーションの一環として、RIATとファーンボロエアショーに出展予定だそうだ。

K-MAXにNATO加盟国が興味/イスラエルが艦載VTUAVを検討/グルジアが自国製UAVの初飛行を実施/トルコはAnka UAVを10機発注予定/MQ-8Bの事故が連続し、飛行停止となる

K-MAXにNATO加盟国が興味

http://www.flightglobal.com/news/articles/nato-allies-expressing-interest-in-optionally-manned-k-max-370694/

LMのK-MAX責任者(ビジネス方面の)によると、有人型のK-MAXに対してNATO加盟国が興味を示しているという。ただし具体的な国名は挙げられていない。この書き方だと複数ともとれる。

現在、K-MAX無人型は2011年12月から6か月間の契約で、2機がUSMCの無人空輸/補給システムの実証に投入されている。この契約は6か月延長のオプションがあるようだ。
運用状況としては、1日につき2か所の前進基地に対して、5ないし6回のフライトを実施している。累計で230ソーティ、任務効果率94%、1時間のフライトにつき整備にかかるのは0.8人時で、任務達成率は100%とのこと。

有人型が浮上した背景として、現状のK-MAXがまともなデータリンクを装備した普通の軽ヘリコプターでもあるから、というのが挙げられる。つまりここから武装化したりISRプラットフォーム化するのも難しくない。
生残性は知れているが、滞空時間は長く、小回りが利く事から、市街地やその周辺部など無人機を飛ばすことに問題あるような地域にも投入しやすいかもしれない。その上で無人でも使えるので、両方の利点を兼ね備えることができる。

これまでの良好な運用実績と併せて前途は明るい…かのように見えるものの、カマンのK-MAXの製造ラインは2003年で閉じられてしまった。このため、新造機を用意するには製造ラインを再稼働する手間がかかる。
それにアフガニスタンの作戦が一段落したら、その先の需要があるかないかよくわからん。米軍向けにも売り込んでいるようだが、輸出の方がまだ可能性はあるかも。

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イスラエルが艦載VTUAVを検討

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-navy-seeks-ship-launched-uas-370445/

イスラエル海軍はDvora級哨戒艇に小型のVTUAVを搭載することを検討している。産学協同で取り組んでおり、Beer Sheva大などが関与しているそうだ。
この手の無人機開発については、IAIほか複数の企業が以前から取り組んでいるとされ、最近では3月にテルアビブで催された国際展示会において、Steadicopter社がBlack Eagle 50というのを公開した。
具体的に軍用としては紹介されていないものの、MTOW35kg、滞空時間3時間という性能が伝えられてる。

http://www.steadicopter.com/Page.aspx?ID=128286576

Dvora級はいわゆるFACにも分類される小型艇で、イスラエル海軍は同種の艇を多数保有している。IAI-Ramtaが建造。最初の型は満載45tonだったが、重武装化と大型化が進められ、Mk.II、Mk.IIIでは満載60ton、速度も37ktから50ktまで向上した。
ここで言われてるのが具体的にどの型かは不明。1988年頃から就役しており、まだ現役の艇も多いようだ。

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グルジアが自国製UAVの初飛行を実施

http://www.flightglobal.com/news/articles/georgia-flies-first-domestically-built-drone-370566/

グルジアは、首都トビリシ近郊の航空基地から、最初の自国製UAVを飛行させた。離陸はカタパルト式で、最大高度3000m、速度160km/hという性能が伝えられている。その他の詳細は不明。
グルジアでは以前からUAVの導入に熱心で、2008年のロシアとの軍事衝突の際にも、イスラエル製のエルメス450とスカイラークを投入したことがある。

画像ではジンバル支持のEO/IRセンサペイロードが備わっているように見えるが、メーカーなどは判らない。

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トルコはAnka UAVを10機発注予定

http://www.flightglobal.com/news/articles/turkey-in-talks-for-10-anka-uavs-370435/

TAIは、Anka UAVに関してトルコ空軍と交渉を始めており、契約から2年以内に10機を引き渡す方向で調整しているとのこと。
Ankaの運用試験は、IAI Heron UAVとの共同任務など6月からBatman空軍基地で行われる予定。
イスラエルとの外交摩擦で兵器取引が頓挫した事により、Heronに代わって無人ISRプラットフォームの主力となる流れだ。

Ankaの機体規模はMTOW1500kg、うちペイロード250kgで、飛行高度30000ft、滞空時間24時間。見た目はHeronに似てる。

SARペイロード開発はAselsan社が担当し、S-2Tをテストベッドとして試験中。
エンジンはTurkish Engine Industeiesが担当で、セスナ337がテストベッド。電源系の高出力化などが試みられているとのこと。
また、ターボプロップエンジンについても研究中のようだ。

とは言ってもHeron導入中止の余波はそれなりに大きく、トルコ空軍はキングエア350をベースとした有人ISR機をストップギャップとしてリース導入することも計画中。

http://www.flightglobal.com/news/articles/turkey-to-lease-king-air-isr-fleet-370643/

機数は5機。中古機にEO/IRセンサペイロードとデータリンクを装備させ、金額にすると2年で約7000万ドル。運用は民間に任せて空軍はパイロットを出す形式をとる。

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MQ-8Bの事故が連続し、飛行停止となる

http://www.flightglobal.com/news/articles/fire-scout-flights-suspended-due-to-crashes-370520/

1件目は3月30日、西アフリカ沖合にて夜間の着艦を試みたが、数度にわたってビーコンを捕捉できなかったため、やむなく艦から十分な距離をとって着水させる措置をとった。機体はその後回収されているので、喪失とは扱われていない。

2件目は4月6日、アフガニスタン北部で起こっているようだが、4月9日時点でISAF当局とメーカーからのコメントは無し。
ここでは3機が運用されていたので、そのうちの1機であるのは確かのようだ。そしてこの事故の後、MQ-8B全機が飛行停止となった。USS Klackringでこの夏の展開準備も中断されている模様。
飛行停止措置は、他の機種には全く影響していないので、MQ-8B固有の問題が疑われているのも間違いなさそうだ。

MQ-1/MQ-9シリーズの着陸脚強化について/ドミネーターXP UASの製造について/イスラエルはトルコとの軍事協定を破棄する

MQ-1/MQ-9シリーズの着陸脚強化について

http://www.flightglobal.com/news/articles/general-atomics-strengthens-reaper-landing-gear-366697/

ゼネラルアトミクスは、同社のMQ-9リーパーUASについて、新造のBlock 5から着陸脚を強化すると発表した。また、同系列のMQ-1CなどのプレデターUASを含む、既存機へのレトロフィットも可能とのこと。主脚にトレーリングアームが追加されているのが画像でも判る。
この変更によって着陸重量を30%ほど増やせて、より多くの燃料またはペイロード重量を搭載したまま帰投できることになり、また脚を強化しておけば離陸重量と航続距離の増加にも繋げられる。設計上は、離陸重量を4770kgから5310kg(11700ポンド)まで増やせるそうだ。

この改良は顧客要望に応える形ではあるが、ゼネラルアトミクスが自主的に実施しようとしているもので、今のところ正式な発注はない。しかし顧客との交渉は行われており、この着陸脚の試験は同社が保有するMQ-1を使って今年実施予定となっている。
顧客の名前は明かされていないが、配備状況から考えても、米軍かその同盟国と考えて間違いないと思う。

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ドミネーターXP UASの製造について

http://www.flightglobal.com/news/articles/aeronautics-boosts-production-rate-for-unmanned-dominator-366666/

Flightglobalは1月2日、イスラエルのAeronautics Defense Systemsを訪問した。
この時、同社のドミネーターXP UASは6機が製造中で、2機が飛行試験中だったとのことで、全部で8機が納入待ちになっていた。

ドミネーターXPの最初の輸出が決まったのは2011年中頃、イスラエル国防省が輸出許可を出した直後のことで、この時にはミサイル関連技術輸出規制に対応するための改修が加えられた。

ドミネーターXPは基本的に、ダイヤモンドエアクラフトの双発機、DA42を無人化したもので、MALE-UAVに分類される。性能としては、MTOW2000kgのうちペイロード重量は300kgで、最大飛行高度30000ft、最高速度190kt。同クラスで最も高性能な、ハイエンド製品と位置付けられている。
Aeronautics Defense Systemsの社長が語ったところでは、UAS市場は極めて有望であり、次の5年間に数ダースほどの販売を期待しているとのこと。

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イスラエルはトルコとの軍事協定を破棄する

http://www.spacewar.com/reports/Israel_scraps_military_deal_with_Turkey_999.html

イスラエルとトルコの軍事協力は、2002年にトルコで公正発展党が与党となり、2003年のエルドアン首相就任以来後退しており、新しい大きな取引は少なくなっていた。二国間の亀裂が決定的になったのは、2010年のイスラエル軍による人道支援船団急襲でトルコ人死亡の一件について、イスラエルが謝罪拒否したあたり…の前年にもダボス会議でエルドアン首相がパフォーマンスかましたりとかいろいろあったはずだが省略。

今回の決定は、イスラエルからトルコへのヘロンUAVの供給を一方的に取り止めるというもので、取引金額にして1億4000万ドル、さらにトルコ側から金銭による補償を求められたら9000万ドルほど支払わなければならず、イスラエルの産業界にとってもダメージは大きい。

両国とも関係改善を望んでいないわけではないが、イスラエルとしてはUAVの技術がイランに渡る可能性が排除できない、という安全保障上の理由を示している。トルコの全方位外交というか、イスラム回帰の姿勢は、イランとの接近にも繋がっているので、これは一定の説得力がある。
対するトルコには、イスラエルが南東アナトリア地方のクルド人武装勢力を援助しているのではないかという長年の疑念が鬱積している。具体的には、1970年代から80年代にはイラクのバース党に対抗する勢力として、近年はイランに対抗する勢力としてクルド人を訓練しているのではないか、と言われている。

これでうまくやれるほうがおかしい気もするが、まあこの手の話は、敵の敵の敵が味方だったり敵だったり無視を決め込んだりとわけがわからんので、あまり深入りしないでおく。

2010年の事件の後、トルコの報道によれば16の調達計画が凍結された。これにはメルカバMk.3数百輌で50億ドル分、哨戒機2機とAEW機1機で8億ドル分の取引が含まれていたとのこと。

以後イスラエルの防衛産業は、アジアとラテンアメリカの市場開拓と売り込みを強化していくことになる。

韓国がF-16レーダーアップグレードのRfP/トルコTAIがTFXを正式にロンチ/A400Mのフランス向け1号機が最終組立開始/中国で運輸8ベースの新型ASW機?が撮影される/中国の三胴船続報

韓国がF-16レーダーアップグレードのRfP

http://www.flightglobal.com/news/articles/seoul-kicks-off-contest-for-f-16-radar-upgrade-365207/

11月18日、韓国のDAPAはレイセオンとノースロップグラマンに対してRfPを発出した。
レイセオンはRACR、ノースロップグラマンはSABRをそれぞれ提案する見込み。F-16のレーダーアップグレードは数カ国が計画中とされているが、韓国の場合はこの後のKF-Xに繋がる可能性もある。

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トルコTAIがTFXを正式にロンチ

http://www.flightglobal.com/news/articles/dubai-tai-launches-study-on-turkish-built-next-generation-fighter-364893/

ドバイで発表されたもの。
トルコ国防省は今年8月、TAIに対して18か月のTFX開発研究を発注した。現在の計画では、2023年までに戦闘機および練習機を開発、配備することになっている。

この種の国産戦闘機開発プランとしては、(少なくとも建前上)自国主導を狙うものだと韓国KF-Xが存在する。これは実際トルコにも共同開発が持ちかけられた経緯があるが、トルコは自国単独開発という方針を明らかにして応じた。その後の目に見える動きはあまりなかったが、今回の発表により、正式にTFX開発が動き出す事になる。

とは言うものの、将来の空軍力を睨んで全くのゼロから開発を行うので、確定した仕様などはほとんど無いようだ。KF-Xに合流することも可能性としては残る。
現状、トルコはJSF計画に名を連ねており、今後9年以内に100機ほど導入する計画を立てているものの、まだ購入契約が成立した訳じゃない。

トルコ空軍の現有作戦機の構成としては、F-16のBlock30/40/50+がほとんどを占め、2020年代から確実に更新が必要なのは、20世紀のうちに導入したF-16とF-4-2020といった機体と考えられる。そこにF-35が入るとなると、残りは早期退役気味にF-16を更新するとかそういう感じ?

韓国KAIでは、2025年までにトルコとブラジルが次世代戦闘機導入と予想するが、トルコについては韓国やブラジルの事情と異なり、F-35を買い増す分には何の障害もないので、その価格と性能次第という感じになってくるのかもしれない。

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A400Mのフランス向け1号機が最終組立開始

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-frances-first-a400m-enters-final-assembly-365204/

A400Mの総製造機数は今のところ174機となる予定だが、このほどの最初の1機目が最終組立段階に入った。この機体はフランス空軍向けとなり、来年後半に納入予定。スケジュール上は3年遅れ。

11月23日、スペインのサン・パブロ工場に主要胴体が到着。その様子が掲載されている。輸送に使われているのはA300-600STいわゆるベルーガで、工場の壁面に鼻先を突っ込んで機首を開け、荷下ろししている様子がわかる。こうなってるのか。
機首、主翼、胴体がそれぞれ映ってる。また現在は主翼の結合作業が開始されており、2週間以内に水平尾翼と垂直尾翼が搬入される予定という。

次のシリーズ8機分は様々な製造段階にあるとのこと。

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中国で運輸8ベースの新型ASW機?が撮影される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-possible-new-chinese-anti-submarine-warfare-aircraft-emerges-365157/

6枚プロペラ、ウェポンベイのドア、機首のレドームとMADブームらしきものが確認できる。Y-8ASWと呼称されていた機体の可能性あり。
これまでのY-8ベースの哨戒機はセンサ積んでも武装は積んでなかったし、MADブームも付いてなかったので、戦力化されれば、装備する部隊の能力が一気に向上するのは間違いないだろう。

前型に当たるY-8JやY-8XよりもKJ200に似ている。KJ200同様、Y-8F-600とかがベースと思われる。

例のとこには転載されてなかった。
あんまり関係ないけど95式。ていうか95改と書いてある。フォアグリップ兼用のトリガーガード無いのね。あとドラムマガジンとか。

http://tuku.military.china.com/military/html/2011-11-24/188260_1978127.htm

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中国の三胴船続報

http://tuku.military.china.com/military/html/2011-11-25/188430_1980591.htm

9月に出ていたの同じフネっぽい。だいぶ鮮明に写っている。
前方のターレットは機関砲塔(大きくても30mmぐらい?)みたいだし、大型巡視船クラスのような感じだ。2000tonまで無さそうな。

AH-64D Block IIIとLONGBOW UTA/米軍の無人機がイラクからトルコへ移動/LMが米軍とPTDSのメンテナンス契約を締結/STSS実証衛星がTHAADの迎撃試験に参加

AH-64D Block IIIとLONGBOW UTA

http://www.spacedaily.com/reports/LONGBOW_Data_Link_Controls_UAV_From_Apache_Helicopter_For_First_Time_999.html

LONGBOW UTA(Unmanned Aerial Systems Tactical Common Data Link Assembly)はUAVとの双方向広帯域データリンクで、AH-64D Block IIIのミッションコンピュータに組み込まれ、有人機側からUAVのセンサと飛行経路を制御可能とする。またリアルタイム映像も取得可能。
開発を担当したのは、LMとノースロップグラマンの合弁企業LONGBOW LLC。

初の試験では、AH-64D Block IIIからMQ-1Cグレイイーグルを操作することに成功したとのこと。

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米軍の無人機がイラクからトルコへ移動

http://www.spacedaily.com/reports/US_shifts_drones_from_Iraq_to_Turkey_Pentagon_999.html

イラクに残った米軍の無人機は年末までに撤退し、4機がトルコへ展開するとの計画が明らかになった。今度は、クルド人武装勢力PKKとの戦闘に深くコミットすることになる。非武装で、ISR能力を提供する予定。
これらの機体は、イラク北部の基地からトルコのインシルリク空軍基地へ移動を開始している。既に2機が移動済みとのこと。

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LMが米軍とPTDSのメンテナンス契約を締結

http://www.spacedaily.com/reports/Lockheed_Martin_Wins_Major_Contract_From_US_Army_To_Maintain_Aerostat_Detection_Systems_999.html

イラクとアフガニスタンで使われてる気球ISRのPTDSについてのメンテナンス契約で、金額は3億8300万ドル。
UASより安いとは言え、結構かかるものだ。

去年のUSAトゥデイの記事では、

http://www.usatoday.com/news/world/afghanistan/2010-09-27-spy-balloons_N.htm

アフガニスタンにおいては30基以上が使われてるという話が出ている。

同時期のデイリーメールの記事も。

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-1315308/2-000ft-new-barrage-balloon-spying-Taliban.html?ito=feeds-newsxml

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STSS実証衛星がTHAADの迎撃試験に参加

http://www.spacedaily.com/reports/STSS_Demonstration_Satellites_Participate_in_THAAD_Weapon_System_Multiple_Missile_Test_999.html

10月5日のTHAAD迎撃試験(FTT-12)に、STSSが参加、2つの異なる目標を追尾し、リアルタイムデータを収集した。

目標の1つは、C-17から投下された模擬中射程ミサイルで、もう1つは160秒後に地上の移動式プラットフォームから発射された模擬短射程ミサイルだった。

ロシア空軍にA-50Uの配備が始まる/Anka UAVの開発状況/David’s Slingの配備は2012年か

ロシア空軍にA-50Uの配備が始まる

http://en.rian.ru/mlitary_news/20111031/168297656.html

A-50Uは搭載機材を更新した改修型のようだ。コンピュータ、衛星通信系、レーダーが変更されているとのこと。
たぶんA-50Mと呼ばれてたのと同じものではないかと思うが、

http://en.rian.ru/russia/20080910/116681254.html

2007~2008年に引き渡しということになってたものだ。

次世代AWACSは一応A-100、Il-476にレーダー積んだタイプで2016年という計画だが…

http://en.rian.ru/mlitary_news/20110809/165644210.html

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Anka UAVの開発状況

http://www.flightglobal.com/news/articles/video-turkeys-anka-uas-enters-new-test-phase-363984/

トルコのTAIは、Ankaと名付けられたMALE-UAVの独自開発に取り組んでおり、昨年12月30日に原型機の初飛行が報じられた。その後はあまり情報が出てこなかったが、今回の発表では10月22日に5度目の飛行試験を実施、フライトエンベロープ拡大の段階に達し、続けて数回の飛行が予定されてるとのこと。その後は自動離着陸システムなどの改良を加えることになっている。

Ankaの性能に関しては、以前の情報ではMTOW1600kg、ペイロード200kg、連続滞空時間24時間で最大飛行高度30000ftといった数字が公表されていた。

表向きはともかくとして、やっぱりイスラエルの技術協力あるんかね。
トルコの国産戦闘機もそうだけど。

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David’s Slingの配備は2012年か

http://www.spacedaily.com/reports/Israel_gets_ready_to_unveil_Davids_Sling_999.html

イスラエルの多層防空網の下から2番目になるDavid’s Slingは、ラファエルとレイセオンが共同開発中。
射程距離25~185マイルで全天候性能を持ち、迎撃体(Stunner)は二段式など、概要しかわかってないが、今回2012年から配備という情報が出た。
アロー2/3の打ち漏らした弾道ミサイルを低高度で迎撃することも可能とされる。

この他、8月のアイアンドームの迎撃戦闘について少し書かれてて、ベールシェバとアスカロンの郊外に展開した2個部隊で18発を迎撃した。このうち数発の迎撃には失敗し、都市に損害を出したとのこと。この件では軍当局と国防省で技術的な問題(細部は非公表)が議論されたようだ。
しかしそれ以前に数があまりに少ないというのは確かで、南北の国境地帯をカバーするには15~20個は要る、というのが軍当局の認識。
イスラエル中央部、中枢と言える大都市圏に到達しうる長射程ミサイルを迎撃するには、David’s Slingが不可欠であるが、予算難はやっぱり深刻みたい。

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F-15の製造完了時期について/F136エンジンのリフトファンがLMに引き渡される/ラファエルが次世代AAMにドルフィンヘッドノーズを検討/イスラエルがT-50採用に傾く?/中東地域の再編に積極関与するトルコ

F-15の製造完了時期について

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-backs-away-from-2012-prediction-for-f-15-shutdown-363003/

ボーイングは、サウジアラビアからF-15SA×72機を受注しているが、政府のFMSの承認が1年近く保留状態となっているため、製造に取り掛かれない。このままだと早ければ来年、2012年にもラインを閉じなければならなくなる可能性が出てきたとのこと。これには新造機だけでなく、先に販売したF-15SAのアップグレードも含む。

米政府の判断で止まってるのは、同じくF-15を主力戦闘機とするイスラエルの抗議が背景にある。自国の優位が失われてミリタリーバランスが不安定化するという言い分。

関連してボーイングは、去年中頃の段階で、当時のF-15の受注状況(韓国向けF-15K、シンガポール向けF-15SG、いずれも2012年で納入完了)からすると、2011年内に新たな契約に至らなければ、早期の製造ライン閉鎖が起こり得るとしていた。
その後は、韓国のFX-IIIでF-15SEというのがあり得そうだが、選定は早くても2012年10月なので、間に合わない。

F-15の製造は、E型という大きな改設計・派生型開発を経て40年続いてきた。しかしよく考えたらF-22の製造は2012年4月で終わるし、E型の後継と言える機体はまだ無い。
その他では今のところ、F-16は2014年、F/A-18E/Fは2015年まで製造計画がある。以後F-35の製造だけは25年ぐらい続く。

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F136エンジンのリフトファンがLMに引き渡される

http://www.flightglobal.com/news/articles/rolls-royce-to-deliver-first-f-35b-lift-fan-from-us-factory-362997/

10月4日、F136エンジンの最初のリフトファンがLMの最終組立工場に引き渡された。
ただし最近では、F-35B自体がキャンセル間近とも伝えられている。

RRの工場はインディアナポリスにあり、B型×520機の製造計画があった頃には年間84基を製造するとしていた。去年の段階で発注機数は400機になり、生産は2013年まで凍結とされているものの、RRとしては製造ラインの見直しなどは考えてないとのこと。

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ラファエルが次世代AAMにドルフィンヘッドノーズを検討

http://www.flightglobal.com/news/articles/rafael-eyes-dolphin-head-nose-design-for-air-to-air-missiles-362593/

言葉通り、イルカの頭のような垂れ下がったノーズコーンを指すようだ。
これは多層防空システムの一つDavid’s Slingの迎撃体、Stunnerで開発された形状で、デュアルシーカの装備を特徴とする。2つのシーカは独立しており互いに干渉しないため、ECMや悪天候といった条件下でも十分に能力を発揮できるとしている。

2段式のロケットモーターはATK製っぽい。

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イスラエルがT-50採用に傾く?

http://www.spacewar.com/reports/Israel_eyes_S_Korean_T-50_jet_trainer_999.html

イスラエルは緊縮財政のため、練習機導入計画を延び延びにしてきたが、LMがT-50売り込みのパートナーに加わり優位に立った、かも知れないという話。

予算が足りない中で取引を成立させるのは、正攻法では難しい。米国の軍事援助に頼るのが一つの方法だが、米国からの軍事援助は米国に還元されるという基本的な流れが存在し、それがT-50優位とする大きな根拠となる。
T-50は厳密には米国製ではないが、LMが入るので一部は米国に還元されることになる。また韓国としてもイスラエル製兵器の顧客になってるので、結びつきは強い。最近ではスパイクNLOSの導入と、アイアンドームに関心を持っている国の一つとして挙げられた。

M.346のイタリアはどうかというと、ベルルスコーニ首相がネタニヤフ首相に売り込みに行ったとかいう話のほかに、バーター取引を交渉してる件が書かれている。IAIの提供するAWACS機×2機とM.346を交換する取引が検討されている模様。

いずれも苦肉の策であり、実際にうまく契約条件がまとまるか、それ以前にまた先送りとなる可能性すら否定できないものの、イスラエル当局は2011年末までに選定、2012年初頭に契約という予定を明らかにしている。初期導入機数は25~35機の見込み。

2012年の軍事予算は相当厳しいようで、イスラエル空軍当局が言うには、作戦機の1/3が飛べなくなるとのこと。

軽攻撃機としてはT-50の方が高性能になるのは確かだが、ライフサイクルコストはおそらく高くつく。M.346の性能はそこまでではないが、A-4スカイホークの能力には十分匹敵するとも言われる。
どこまでの事態を想定するか次第、という面はあるかもしれない。20世紀の一連の中東戦争みたいのが起こるとも考えにくいが…

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中東地域の再編に積極関与するトルコ

http://www.spacewar.com/reports/Turkey_builds_Mideast_profile_999.html

大雑把にまとめると、EUとの結びつきの強さを利用して、北アフリカと中東への影響力を拡大しつつあるという話。
エルドアン首相は近年、イスラエルを叩いてみたりしてアラブからの人気が高い。単に食えないおっさんという印象も強いが、ムバラク政権後のエジプトへいち早く通商団を派遣したり、リビア和平の仲立ちなど、うまく存在感を拡大させている。