RAAFがホーク127をT2同等へアップグレードする計画/MBDAが将来型の精密攻撃兵器システムを公開/フィンメカニカグループがロシアにMPAのミッションシステムを提供/EADSが銀行設立を検討

RAAFがホーク127をT2同等へアップグレードする計画

http://www.flightglobal.com/news/articles/australia-to-upgrade-hawk-trainers-to-rafs-t2-standard-374492/

オーストラリア国防相は、RAAFのホーク127について、最新のRAF向けと同等のT2相当にアップグレードする計画を明らかにした。総額は2500万オーストラリアドル。
ホーク127の機数は33機で、すべて1999年から2001年にかけて引き渡されたもの。RAAFウィリアムスタウンと同ピアースに配備されている。

BAEシステムズによると、この改修はMLUにあたるもので、T2やサウジ向け165と同じ、OC2ソフトウェアスタンダードへの変更が計画されている。

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MBDAが将来型の精密攻撃兵器システムを公開

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-mbda-unveils-future-vision-for-armed-uavs-373994/

7月9日のファーンボロにおける恒例イベント、Concept Visionにて公開されたもの。3回目の今年は、20年以内に実現可能な将来のUAV兵器システムというお題で、CVS301 Vigilusというのを公開している。

http://www.mbda-systems.com/files/docs/DS-vigilus-2012.pdf

http://www.mbda-systems.com/mediagallery/#/videos/2922

Caelusは監視用のUAVで重量は約100kg、最大で2時間滞空でき、1kgのペイロードには弾頭もしくは散布用センサが搭載できる。これと対になるGladiusは小型のPGMで、重量7kg、弾頭重量1kgで、最大射程は16nm(30km)とされる。
イメージ映像に出てくるのは飛行船タイプの無人プラットフォームで、4基のランチャーを下面に搭載している。これはArmatusと呼ばれ、独自機構のラッチを有し、無線で制御されるため配線などを必要とせず、様々なプラットフォームにインテグレーションできるのが特徴。
初期の概念の段階で、BAEシステムズやCassidian、SELEXガリレオ、またMBDAと取引のある各国軍とも話し合いを持って揉んだアイディアだそうだ。

20年後の戦場で、のんびり飛行船だの小型UAVだのが飛べるかどうかというと疑問も残る。そのくせ重装備の敵を相手にしてるあたりがまあ何というか、あくまでプロモですよねという感じだが、あくまで非対称戦の延長で考えられてるように見える。

古い意味の大戦争が一回あったら、そのときは携帯端末や衛星データリンクなんかが丸ごと使えなくなるようなケースも出てくるんじゃないかなあ。非対称戦が日常になりすぎてて忘れられがちだが、対抗策は常に研究されてるはずで、有事には衛星が落とされる可能性だって高い。

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フィンメカニカグループがロシアにMPAのミッションシステムを提供

http://www.spacedaily.com/reports/Russia_and_Italy_to_jointly_develop_patrol_aircraft_999.html

ファーンボロにおいてフィンメカニカとRosoboronexportが、Il-38とBe-200のミッションシステム開発に協力することで合意とある。SELEXガリレオなど、フィンメカニカ傘下の3社の名前が挙がっている。第三国への輸出が考えられているようだが、まずは市場調査からスタートすることになる。
協力の形としては、イスラエルとロシアが協力したAWACSなんかと同様とされる。

先進的なMPAは伝統的な哨戒任務(ASW含む)のみならず、領海の監視や組織犯罪への対応(対海賊なども含むいわゆるローエンフォースメント)、環境および資源調査も可能であり、それなりの市場があるだろう、という見込みに基いている。

大型機はあんまり受けないんじゃないかと思わないでもないが、A-50EIとかがインド向けで進行したのと同じく、既に売る相手がいるのかもしれない。つーかインドの可能性も高いなこれ。

近年、イタリアとロシアの軍事協力が拡大する傾向にあるのは確かだ。Yak-130からM.346を開発した後も協力関係は続いており、またロシア非常事態省がアグスタウェストランドのヘリコプターを導入し、共同生産の予定もある。陸ではイヴェコLMVが採用されている。

他のファーンボロでのロシア関係の話題として、イリューシンファイナンスがパナマのSouth America Aircraft Leasingとの取引で、An-148/158×12機の引渡しが確定してるそうだ。
SSJ110を東南アジア某エアラインへ40機というのは成立したか不明。

UPIの記事の方が詳しい。

http://www.spacewar.com/reports/Finmeccanica_gains_multinational_deals_999.html

SELEXガリレオはATOSミッションマネジメントシステム、これは空中監視プラットフォームの核となる部分。WASSは軽量の航空魚雷を、SELEX Elsagは通信系をそれぞれ担当する。このうちSELEX Elsagは1990年代からロシアと協力関係にあったという。

契約条件は明らかにされていない。

あと、こっちはフィンメカニカグループ側の記事なので、NATO AGSにおいてSELEXガリレオが地上管制局を担当したことや、SELEX Elsagが広帯域データリンクを担当したことなどが書かれている。

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EADSが銀行設立を検討

http://www.spacewar.com/reports/Defence_group_EADS_eyes_launching_own_bank_999.html

EADSグループの資産は100億ユーロぐらいあって、その辺の銀行に置いといたらどうなるかわからん、ということで、自衛のための銀行設立が(ある程度)現実味を帯びている模様。
欧州金融危機もここまで?という感じの話題。なお、最悪のケース、つまりユーロ圏崩壊の場合の影響は「予測不能」であり対策もへったくれも無いらしい。

艦載兵器関連/台湾に雄風IIEが配備される?/LCS-3が予定より2ヶ月早く引き渡される/オーストラリアが次世代潜水艦の建造計画に着手

艦載兵器関連

・RAMのランチャーからグリフィンBの発射試験が行われる

http://navaltoday.com/2012/04/20/usa-navy-fires-raytheons-griffin-b-missile/

http://www.spacedaily.com/reports/US_Navy_Fires_Raytheon_Griffin_Missile_From_RAM_Launcher_999.html

4月の記事。
USNの発表によると、レイセオンは2011年Q3に、小型空対地ミサイルのグリフィンBを、改修したRAMのランチャーから発射するデモンストレーションを行った。地上に設置されたランチャーから約2マイル先の静止目標に対して発射され、命中している。
グリフィンの誘導方式はGPSまたはレーザで、空中発射型のグリフィンAはHARVEST HAWKにインテグレーションされた。グリフィンBは回転翼機、固定翼機からの運用に加えて地上発射も可能となったタイプ。信管は目標に応じて空中爆発、着発、遅発のモードが選択できる。全長43インチ、重量33ポンド、弾頭重量13ポンド。

改修は必要だが、RAMのランチャーから撃てるASuMということで、FACとの交戦や対地攻撃にRAMが使えるようになる。
砲ほど柔軟に運用できるわけではないにせよ、対空戦闘以外へ用途を広げるのは比較的容易になりそうだ。

・LMがExLSをオーストラリアで試験

http://www.spacedaily.com/reports/Lockheed_Martin_New_Standalone_Launching_System_Significantly_Reduces_Weapons_Integration_Costs_999.html

5月5日、LMは、オーストラリア南部でRAAF管理下のウーメラ・テストレンジにおいて、ExLSからの発射試験を実施した。

この垂直型発射機はExtensible Launching System(ExLS)と呼ばれるもので、Mk.41から派生した小規模VLS。ランチャー外部のサブシステムから制御されて、大型ミサイルを撃てるMk.41やMk.57などとは異なり、単体で完結したシステムとなっている。ただし、底部に制御系を納めたため、キャニスタを上げ底したような形になり、小型のミサイルしか搭載できない。これに適合するのはNLOS-LS/PAMやRAM Block 2、Nulkaデコイなどで、1基につき4発が搭載可能。

http://media.defenseindustrydaily.com/images/ORD_ExLS_Insert_Explained_lg.jpg

NLOS-LSとの関連が強かったが、周知の通り、同計画は2010年正式キャンセル。
ExLSは、単体でセル1基から搭載できることから、既存のVLSよりも小型の艦艇に搭載でき、在来艦艇へのインテグレーションか容易というのを前面に押し出している。

Nulkaは艦船そのもののデコイで、主に対巡航ミサイル防御用となる。豪州BAEシステムズで開発された。
この試験では2発のNulkaの発射が行われている。

http://www.nrl.navy.mil/tew/5710/

他のミサイル等に対しては、上げ底部分(アダプター)を変更することで対応でき、コスト的な効率も良いとしている。

・USNがトマホーク Block IVを発注

http://www.spacedaily.com/reports/US_Navy_awards_Raytheon_contract_for_Tomahawk_999.html

2011年のオデッセイ・ドーン作戦で射耗した分を含む追加発注で、総額3億3800万ドル。

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台湾に雄風IIEが配備される?

http://www.spacedaily.com/reports/Taiwan_deploys_anti-China_missiles_report_999.html

5月28日、台湾の地元マスコミが雄風IIEの配備を報じた。雄風IIEは射程500kmクラスの巡航ミサイルと言われており、中国本土を射程に収める可能性がある。
言い換えると、台湾が中国本土を攻撃可能なミサイルを初めて装備したと言うことになる。詳細は不明だが、100発程度が配備されたとも。

これとは直接関係無いが、

http://www.spacewar.com/reports/Taiwan_probes_stealth_boats_missing_computer_999.html

6月11日、台湾の最新鋭ミサイル艇、光華6号艦の1隻でラップトップコンピュータの紛失事故が発生と報道される。5月下旬のこととされており、場所は左営海軍基地。初期の調査では、紛失の状況などがほとんど判明していないという。
この機材は民間所有となっているものだが、6ヶ月間にわたって秘話通信装置の試験のために持ち込まれていた。物が物だけに、情報漏洩となれば結果は重大なものになる。

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LCS-3が予定より2ヶ月早く引き渡される

http://www.spacewar.com/reports/US_Navy_Littoral_Combat_Ship_Delivered_Two_Months_Early_999.html

LMの方のLCSとしては2隻目、全体では3番艦のLCS-3 フォートワースは今年5月、予定より2ヶ月早くUSNの受入検査(五大湖で行われた)に合格し、引き渡された。
新世代の艦艇としては異例の前倒しスケジュールであり、これにはUSNも大喜び。

http://www.spacewar.com/reports/Third_US_Littoral_Combat_Ship_Completes_Acceptance_Trials_999.html

トライアルの内容について報じられた記事。4月30日から5月4日までの日程で行われ、4時間の全速航行と対空・対水上戦のデモンストレーションなどを行っている。

LCS-3フォートワースはLCS-1フリーダムに続く2隻目で、さらにLCS-5ミルウォーキー、LCS-7デトロイトが建造中。LCS-9リトルロック、LCS-11スー・シティは3月に予算がついたので、部材調達などがスタートしている。
こっちのLCSチームにはフィンカンティエーリも入ってるのね。

偶数番のLCS、ノースロップグラマン/オースタルの方は、LCS-2インデペンデンスの後がLCS-4コロナードで、1月に進水し、今年後半に受入検査を経て引き渡し予定、LCS-6ジャクソン、LCS-8モンゴメリーはモジュール建造がスタートしている。

http://www.austal.com/us/media/media-releases/12-01-11/Austal-Launches-2nd-Littoral-Combat-Ship.aspx

LCSでは押され気味だが、オースタルは高速輸送艦のJHSV-2チョクトー・カントリーとJHSV-3を受注して建造が始まっている。元々の計画だと10隻建造予定で、艦名もだいたい付いてたのだが、番号と名前が振り直されてるようだ。過去の予算で部材調達が先行していたようなので、2隻目以降の建造が決まってからの着工は早かった。

http://www.austal.com/en/products-and-services/defence-products/naval-vessels/joint-high-speed-vessel-jhsv.aspx

しかしTSV-1XスピアヘッドとJHSV-1スピアヘッドは別物であったりしてややこしい。
ただでさえあの辺の高速輸送艦試用期間の流れは陸軍が絡んでややこしいのに。名前変えてください。

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一方DD(X)ことDDG-1000の方は中々話が進んでないが、建造は進行中。
艦体ブロックが構内を移動して組み立てられる様子を早送りで。3月にバス鉄工所で撮影されたもの。

http://defensetech.org/2012/04/05/awesome-video-ddg-1000-coming-together/

搭載センサなどの中身については、レイセオンの関与する部分が大きい。

http://www.raytheon.com/capabilities/products/zumwalt/

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オーストラリアが次世代潜水艦の建造計画に着手

http://www.spacewar.com/reports/Australia_kicks_off_submarine_replacement_999.html

オーストラリア国防省は、Expert Panel of the Future Submarine Industry Skills Planという将来潜水艦計画専門の組織を設け、関連する造船・防衛産業各メーカー及び教育機関との協議を始めた。産業界からはLM、レイセオン、ボーイング、タレス、サーブシステムズ、BAEシステムズなどの主要な海軍システムインテグレータと、ASC、オースタル、BAEシステムズとフォルガーチエンジニアリングなど、主要な地元造船会社が参画する。次の30年にわたって造船業界の雇用にも大きな影響を与えるので、政府機関の代表者だけではなく、組合の代表者も加わる。
オーストラリアでは5月に、将来潜水艦を建造するための最初の段階として、2億1400万ドルの研究費用を計上した。推進システムの地上試験設備も計画されている。Future Submarine Projectと呼ばれ、数は12隻、通常動力潜水艦となるところまでは確定。オーストラリア最大の軍事的プロジェクトとなる見込み。

この組織の管轄には、各種システムの設計計画から建造計画、部材調達、リスクマネジメント、予算及び財務管理までが含まれ、難易度の高い作業にあたる熟練工(溶接、ボイラー、電気などの各専門工)が足りるかどうかも調査されることになっている。コリンズ級のときは溶接の問題もあったんだっけ。今は一応、世界最強通常潜みたいな持ち上げられ方になってるけど…

またオーストラリア政府は、独自開発以外の選択肢として、フランスのDCNS、ドイツのHDW、スペインのニルヴァーナから購入することも検討している。ここら辺もコリンズ級のときと同じだ。DCNSならスコルペヌ型、HDWならType212か214、ニルヴァーナならS-80が代表的。
昨年暮れの2011年12月には3社に対してRfIが発出され、地上試験設備についてはバブコック造船に研究を委託した。

また、これとは別に現用のコリンズ級6隻を維持する必要もある。1996年から就役し、退役は2025年以降とされているので、継続的なアップデートが欠かせない。起こり得る旧式化問題について、同級の設計を提供し、建造にも携わったスウェーデン、コックムス造船と検討を進めているとのこと。

オーストラリアのタイガーARHが飛行を再開など/イスラエルのAH-64Aアップグレードは少数機に留まる?/OH-58D Wartime Replacementの納入が始まる

オーストラリアのタイガーARHが飛行を再開など

http://www.flightglobal.com/news/articles/australia-lifts-suspension-of-tiger-helicopters-372439/

オーストラリアでは22機のタイガーARHが導入されているが、まだFOC獲得には至っていない。最終的な試験は今年2012年後半に予定されている。

2週間前の5月16日、訓練飛行中のコクピット内に煙が出たとかで飛行停止状態に。

http://www.flightglobal.com/news/articles/australia-grounds-tiger-helicopters-after-detection-of-cockpit-fumes-371992/

現在、要求性能を満たすための機体改修が進行しており、22機中19機が完了し、3機が改修中。これらは今年後半に部隊へ戻される事になっている。

この他タイガーに関しては、

http://www.flightglobal.com/news/articles/germany-and-eurocopter-start-negotiations-over-tiger-cuts-367382/

ドイツで調達数を半減させるという話題が今年1月に取り沙汰され、ドイツ政府とユーロコプターが話し合いを持つ展開になっていた。

当初計画の80機から、40機に削減されるとの報道だったが、ユーロコプターのCEOが語ったところでは、ドイツ向けが40機の製造で終了することを意味しないとした。
具体的には、初期調達分を早期退役、あるいは売却する方向。正確な数字は出せないとしつつ、メーカーとしては総数55機から70機程度を見込む。ユーロコプターとしては、タイガーが減らされた分を他機種で補填するような変更を望んでおり、タイガーの発注の一部をNH90に切り替えるなどの例を挙げている。
ドイツ政府も新型機導入のための予算は確保する方針のようで、これだと機種の比率は変更されても総額は維持するということになる。

これまでに引き渡されたタイガーは22機。自己防御装置と通信機器更新などのAsgardアップグレード改修が施されている。

近年は対戦車ヘリコプターの存在意義が揺らいでおり、わかっちゃいたけど、やっぱり損耗率高いよね、みたいな見方が大勢になっている。
対地攻撃より武装偵察の方がメインになったり、極端な場合はAH-64D Block IIIのように、UAVの運用能力が付与されるケースまで出てきた。運用にもよるが、武装偵察だと機数は少なくても済むケースが多いと思う。UAVで補完される部分もあるし。

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イスラエルのAH-64Aアップグレードは少数機に留まる?

http://www.flightglobal.com/news/articles/israel-runs-out-of-time-for-more-apache-upgrades-372408/

イスラエルは現在、AH-64×50機程度と、18機のAH-64D×18機(新造機と再生機の合計)を保有している。以前からAH-64AをD相当にアップグレードする改修計画が進行しているが、ボーイングが改修ラインを閉鎖するという情報が出ている。その通りになれば、改修される機数は少数に留まって、新造のAH-64D Block III調達に移行する可能性が高いとのこと。

ボーイングの工場では3機が試改修されており、最近になって初期の飛行試験が始まったところ。2012年後半から2013年前半にかけてイスラエルへ戻される計画となっている。

イスラエルのAH-64は、わりと頻繁にニュース映像で姿を見ることができる。見方によってはある種の悪の象徴ともなっているが、本筋は機数を揃えて大規模な対戦車戦闘などに備えることだろう。

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OH-58D Wartime Replacementの納入が始まる

http://www.flightglobal.com/news/articles/first-new-build-bell-oh-58-wartime-replacement-delivered-372756/

OH-58D Wartime Replacementというのは、OH-58Dの戦闘損失分を補う機体を指す。戦時補充型とでも訳せばいいのか。Wartime Replacementと呼ばれる機体には、OH-58Aを基にD仕様にリマニュファクチャリングした再生機と新造機の2種類があり、前者は23機、後者は26機の製造が予定されている。

米陸軍のOH-58Dは定数が368機だが、現在は42機が不足した状態にある。戦闘損失には、敵からの攻撃によるものと、老朽化に起因する事故によるものがあるが、いずれもイラク、アフガニスタンで失われたものがほとんどとなっている。
現在の計画では、FY2014の末まで1ヶ月に1機のペースで納入されることになっているものの、これも議会の決定に依存する。

OH-58Dの損失は、部隊のローテーションにも支障を来す深刻なレベルに達している。今回引き渡された機体はフォートライリー陸軍基地に配備されるが、ここでは定数30機に対して9機しかない状態。
これと前後する6月6日にも、アフガニスタン、Ghazni地区で地上砲火により1機が失われていたりする。

ARH正式キャンセルからすぐにOH-58D補充に動けばまだマシだったかもしれないが、暫定ARH導入とかの方向で粘ったのが、却って悪い結果に繋がったというのは否めないところ。

ノースロップグラマンがカナダにRQ-4B Block 30を提案/カナダ空軍がホーク練習機の後継機を検討か/LMがHarvest HAWKの輸出版Vigilant Watchキットを提案/RAAFがWedgstail AEW&Cの最終号機を受領/C-295の小改良について

ノースロップグラマンがカナダにRQ-4B Block 30を提案

http://www.flightglobal.com/news/articles/northrop-grumman-pitches-global-hawk-variant-for-canada-372485/

ノースロップグラマンは、カナダ向けにRQ-4B Block 30を提案した。Polar Hawkと称する通り、北極圏にかかるカナダ領の哨戒機としての提案となり、L-3 MASと共同して売り込みを図る。
極地での運用となると、MQ-4C BAMSの方が要求に近い仕様の機体になる(USAF向けのRQ-4B Block30は天候に関しては弱い)が、BAMSは元が高価かつ納期が10年先になるとかで今回は提案しておらず、RQ-4B Block30の主翼とエンジンに凍結防止装置を搭載して、衛星通信網が不備な環境に適合させる改修が行われる予定。

コスト面はノースロップグラマンとしても配慮しているようで、センサへの変更は最小限に留めるよう勧めている。もちろん要求通りにも出来るが、高価に付くし、試験にも時間を要するから、というのがその理由。カナダ国内の哨戒が主なら、SIGINTペイロードも不要。コストもかかる。
哨戒に特化して能力を限定したタイプというより、できるだけ基本型のまんまで済ましましょうよ安上がりだし、というご提案。

ノースロップグラマンの試算では、最低3機編成の1部隊でカナダ北部の哨戒任務を遂行できるとしている。これは夏季なら1機の1ソーティで、西北ルートを3~5回横断できるという仮定に基づいているが、冬季は若干減じる可能性があり、5機が最適であろうとの結論を示した。また1機のRQ-4は、大雑把に6機のMALE-UAVに匹敵するとも述べている。

平時の任務以外においては、例えばカナダの東海岸からアフリカ西部までの進出が可能であり、海外派兵に先立つ戦略偵察が可能。

コストについては、1機あたり3000~5000万ドルを提示した。ただしこれは地上管制ステーションなどの付随する装置は含んでいない、エアフレーム単体価格に近い数字。
なお、USAF向けの参考価格は、全部込みで1機あたり2億1500万ドル。小規模の導入でもあるし、支援設備はもうちょい安いか?

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カナダ空軍がホーク練習機の後継機を検討か

www.flightglobal.com/news/articles/canada-may-launch-programme-to-replace-ct-155-hawk-trainer-fleet-372579/

カナダのホークは、CT-155という識別番号が与えられている。業界筋の情報では、これらの後継機導入が検討されているとの噂。
カナダではF-35A導入(現計画では65機)が既定路線なので、自前で訓練を行うには、高度なシミュレータおよび練習機からなる訓練システムを一新する必要があると見られる。

ただし新型練習機を導入するほかにもホークの近代化改修を実施するという選択肢もある。シミュレータで訓練する範囲も広がっているので、限定的な改修+高度なシミュレータでも十分かもしれない、とする見方もある。

現状では文書化されるところまでは行ってないとされるが、5月31日、オタワで催されたCANSEC防衛装備ショーにおいては、アレニアとBAEシステムズがそれぞれM.346とホーク128の模型を持ち込んだことが確認されており、カナダ国防省側と話し合いが持たれたとの情報もある。この他に提案されそうなのはT-50あたりと考えられている。
話が進めば比較的早期にRfIが出るかもしれない。

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LMがHarvest HAWKの輸出版Vigilant Watchキットを提案

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-martin-hopes-to-make-vigilant-watch-sale-within-15-months-372616/

LMはCANSEC防衛装備ショーにおいて、KC-130J向けの武装化/ISRプラットフォーム化キット、Harvest HAWKの輸出版で、輸送型C-130Jに対応してISR専用となるVigilant Watchキットを提案し、これに複数のNATO加盟国が関心を示したと発表した。15ヶ月以内に最初の受注が確定する見込みとしている。

Harvest HAWKは元々、USMCのKC-130J向けに採用されており、最初のバッチで3セット、先月は第2バッチでさらに3セットが追加発注された。LMとしてはFY2013から2014にかけてもう3セットの追加を期待しているところ。米国向けとしては、DIA向けのShadow Harvestというのも進行中みたい。

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-marines-order-additional-kc-130j-harvest-hawk-kits-372024/

NAVAIRの発表では、改修、アップデートなどの能力維持まで含めた単価は900万ドル程度とのこと。既にアフガニスタンで実戦投入され、改修も施されているようだ。
火器管制コンソールは貨物質に置かれる。右舷パイロンの給油ポッドはAN/AAQ-30 IR/EOセンサを取付る改修が行われ、左舷パイロンは通常の給油ポッドか、それに代えてAGM-114が搭載できる(4発)。またカーゴランプからのAGM-175またはGBU-44B発射も可能となる。

米国向け仕様との能力の差は基本的に無いとされているが、顧客要望に沿ってセンサを変更することが可能で、SIGINTペイロードなんかも可能としている。またセンサの機能はおそらくHarvest HAWKより高いとも述べた。
パイロン配線が無い普通のC-130Jでも、無線で制御するシステムとすればインテグレーションは可能、ただし改修には多少お時間を頂くという寸法。

Vigilant Watch搭載機には武装化への発展余地ができるみたいだが、それはまだ将来計画に留まっている。

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RAAFがWedgstail AEW&Cの最終号機を受領

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-raaf-receives-final-wedgetail-aewc-aircraft-372622/

RAAFでは737改修のWedgetail AEW&Cを6機導入する計画で、この度最終の6号機がRAAFに引き渡されたとのこと。
現在Wedgetail AEW&Cは、RAAFウィリアムタウン所属の2Sqnに配備されており、2012年内にIOCを獲得する予定。

今後については、先月報じられたとおり、ボーイングが主契約でEW関係の改修が実施されることになる。

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C-295の小改良について

http://www.flightglobal.com/news/articles/winglets-and-anti-ship-missile-top-latest-additions-to-c295-372474/

エアバスミリタリーでは、中型輸送機に属するC-295の派生型を模索しているが、AEW化などに付随した機体の改修として、ウイングレットの付与とASMの搭載などを計画している。
映像増強システムと連動したHUDや、OBIGSSの搭載についても同様、今後12ヶ月間の日程で試験が行われる。ASMはMBDA Marteで、8月までには模擬弾での飛行試験を予定しているとのこと。翼下パイロンに兵装を搭載した場合の空力的な影響を調べることになっている。基本的にはチリ空軍向けに装備されたMk.46魚雷用と同型のパイロンだそうだ。OBIGSSは2012年Q4、ウイングレットは2013年前半。このうちウイングレットについては既存機へのレトロフィットも可能とされる。

画像は風洞実験のもの。AEW型にウイングレットがついている。

オーストラリアの防衛予算削減とRAAFの関係など

RAAFがC-27J×10機を調達で合意

http://www.flightglobal.com/news/articles/australia-confirms-a14-billion-deal-for-10-c-27js-371648/

現用のDHC-4 カリブーを代替する機種として、Air 8000 Phase 2において要求されていた。
米国のFMS経由での取引となり、金額は14億ドル。競合していたのはC-295だが、公式声明では航続距離と速度などの飛行性能、輸送能力、短距離離着陸性能などでC-27Jが勝り、要求性能を満たしたとしている。

DHC-4の弱点とされたのは自己防御装置の欠如で、戦場に展開するには脆弱だったというものが挙げられる。C-27Jは自己防御EW機器、ミサイル警報装置、装甲を備え、MANPADSや小火器からの防御が可能となっている。また速度、運動性もDHC-4より高いので、生残性は向上すると見られる。

また、メーカーのアレニアによると、C-130Jとの共通性もメリットとされている。エンジンが同じRR AE2100で、アビオニクスや貨物ハンドリング装置も類似しているという。

なお、14億ドルという金額は、2011年12月23日にDSCAが議会に通知した金額9億5000万ドルよりもずいぶん高い。交渉の結果と考えられるが、ここには詳細は書かれてない。

幾分興味深いのは、RAAFがC-130H×8機を早期退役させてC-27Jを導入する形になったこと。当局はオーストラリア国内でC-130が利用可能な飛行場500カ所に対し、C-27Jは1900カ所、国境地帯では同じく200カ所、400カ所と、C-130(現用はJ型12機となる)に比べて柔軟な運用ができるとした。

これに対してUSAFでは、C-27Jでは輸送能力が不足するし、C-130JでもC-27Jが離着陸可能な飛行場の大部分にアクセス可能である、として、C-27Jの減勢を進めようとしている。島嶼部への進出なども重視されるRAAFと、海外展開なども視野に入れなければならないUSAFでは運用イメージが全然違うが、全く逆の結論となった(LMの政治力とかもアレだけども)。

C-27Jの主契約はL-3コミュニケーションズ。RAAFリッチモンドに配備される予定で、2015年引き渡し、2016年末のIOC獲得を目指す。

エアバスは、C-295×10機の発注に対してA330MRTT/KC-30の転換作業をオーストラリア国内で実施するというオプションを提示していた

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関連して防衛予算削減に絡むC-130Hの早期退役と、F-35調達先送りの話など。

http://www.flightglobal.com/news/articles/australia-axes-c-130h-fleet-in-sweeping-defence-cuts-371592/

RAAFのC-130Hは、2009年から既に4機が任務から外れていた。2011年11月になって、これらの機体を、改修と維持費を譲渡先に持たせる条件で、インドネシアに譲渡する提案が行われる。これに関してはまだ公式発表はないものの、ほぼ確定だろうと見られる。

現時点で残ったC-130Hは8機あったが、これらの早期退役は、今後4年間で2億5300万ドル程度の経費節減になるとのこと。
任務を引き継ぐのはC-130JとC-17となる。

しかしオーストラリア政府が目標とする国防費の削減額は、今後4年間で55億オーストラリアドル(うち2012年から2013年にかけて9億7100万オーストラリアドル)。
先にF-35Aの調達計画(Air 6000 Phase 2A)先送りが発表され、2013年の2機の後、続く12機の調達を2年遅らせ2014~2015年としたが、これでも13億ドル。5月9日の声明では、Phase Bの58機の一部を延期して7億ドル節減という可能性も示唆された。最大100機という調達計画は、だんだん怪しくなっている。
その他、軍組織全体では間接費用削減、1000人規模の民間人員縮小、正面装備では陸軍の装甲車輌削減などが計画中。

RAAFに関しては、DHC-4後継機以外にもAP-3Cの近代化、F/A-18Fの一部をEA-18G相当にコンバートすることなどが計画されている。

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RAAFのWedgetail AEW&CのEW装備についてボーイングが契約

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-wins-ew-support-contract-for-raaf-wedgetails-371489/

公式を見ても内容があんまりよくわからんのだが、ISR能力を向上するためのソフトウェア改修っぽい。金額は5500万オーストラリアドル。ソフトウェア開発・試験と修理まで含む。

http://www.airforce.gov.au/aircraft/wedgetail.aspx

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RAAFがF/A-18A/Bの整備についてRFT発出

http://www.flightglobal.com/news/articles/australia-issues-tender-for-fa-18-hornet-maintenance-371450/

RAAFの保有するF/A-18A/Bのうち、A型55機とB型16機、計71機の整備について入札が行われる事になり、RFTが出ている。
飛行訓練、地上訓練や整備訓練に関係するシステム一式を含んだパッケージとなっており、入札締め切りは2012年7月、契約は2013年4月の見込み。

これらのF/A-18A/Bは、HUGと呼ばれるアップグレードを経ているが、この契約によりF-35が就役する2020年まで現役に留まる。レガシーホーネットとして最も高性能なのは確実。JASSMの搭載まで計画してるし。

F-22、インクリメント3.1改修機が配備される/CH-53KがNAVAIRへ正式に提案される/米国の軍用ヘリコプター市場は今後縮小するとの見通し/豪Quickstep社がF-35の製造分担分を初めて納入

F-22、インクリメント3.1改修機が配備される

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-fields-first-upgraded-f-22-raptors-369886/

最新のF-22はインクリメント3.1改修が施された機体となる。インクリメント3.1では主に対地攻撃および索敵についての機能強化が施された。
インクリメント2までは1000ポンドJDAM×2による2目標同時攻撃が限界だったが、3.1ではSDB×8による4目標同時攻撃が可能となる。
これに大きく寄与しているのがAPG-73の機能強化で、SAR能力、EW攻撃能力が付与され、敵レーダーの高精度な逆探知や地形マッピングも可能となった。APG-73の能力向上については、かなり以前から謳われていたものではあるが、ここにきてF-117を大きく超える能力を備えるに至った。F-35の配備前に間に合って良かったですね。

次の改修はインクリメント3.2と呼ばれるもので、その中でさらにA、B、Cの3つのパッケージに分かれる。改修・配備スケジュールとしてはそれぞれ2014年、2017年、未定となっており、内容は、AIM-9XとAIM-120Dのインテグレーション、SDB×8による8目標同時攻撃および独立した再ターゲティング能力、墜落防止装置と自衛用EW装備など。

USAFではソフト、ハードともオープンアーキテクチャ化を進める方針としている。F-35などと共通の部分も増えてくるだろう。

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CH-53KがNAVAIRへ正式に提案される

http://www.flightglobal.com/news/articles/sikorsky-tables-new-ch-53k-proposal-369923/

NAVAIRは3月初め、シコルスキーからCH-53Kの正式なプロポーザルが提出されたことを認めた。
提案が通れば、CH-53Kは2019年から配備される計画。これは以前の発表の1年遅れとなっているものの、USMCでは200機程度の導入を希望している。
評価プロセスがいつまで続くかはまだ明らかにされていない。

K型は、USMCが装備するCH-53のうち、3発のCH-53Eの後継機となる予定で、当初は156機発注、2015年後半にIOC獲得とされていた。3年後の2007年8月には発注機数が227機まで増やされ、それからちょっと減らされて、現在は発注機数200機ということになっている。

CH-53EはCH-53K配備まで現役に留まるが、双発のCH-53Dの方は今年2012年末で全て退役する予定。かつてMV-22がCH-53系の後継機と位置付けられていた時期もあったが、そうはなっていない。
ただしCH-53をアップデートする余地は、かなりある。CH-53Dは1960年代、CH-53Eは1980年代の設計で、今日の技術で複合材料のローター、駆動系、FBWなどを適用するだけで、ほぼ別物が出来上がるはずだ。

現在、フロリダ州ウェストパームビーチのシコルスキー工場において地上試験機と飛行試験機2機が製作中。新規設計部分を含む一通りのシステム統合が試みられた後、2013年に飛行試験機の初飛行が予定されている。
サブシステム単位での地上試験は既に進行中であり、特にGE38-1Bターボシャフトエンジンは、試運転時間が1100時間以上に達したという。その最大出力7500shpは、E型の搭載するT64の7割増し、V-22のT406をも上回るという恐ろしいパワーアップ具合になっている。
同時進行で静強度試験用のエアフレームも製造された。こちらはコネチカットの工場が担当。
飛行試験機の方は開発試験機という位置付けで、開発段階を終えると前生産型4機にスイッチし、最終段階のIOC獲得プロセスに進む。
USMC側で試験を担当するのはVMX-22。

CH-53Kの要求性能は、セ氏35℃の日中に12.3ton積載して高度6000ftを110nm飛行する事などが含まれるが、これはCH-53Eのほぼ3倍の能力ということになる。
エンジン1基分以上パワーがあるとは言え、速度以外ではMV-22に見劣りしないものになる…はず。

IOC獲得後はLRIPに進むことになるが、その時期は2015年になる見通し。

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米国の軍用ヘリコプター市場は今後縮小するとの見通し

http://www.flightglobal.com/news/articles/analysts-predict-military-helicopter-market-downturn-369725/

フォーキャスト・インターナショナルの分析によると、今後10年間で製造される中~重量級の米軍向けヘリコプターは、金額にして1040億ドル、機数にして4384機程度と予測。
具体的には、2017年には399機となって、2012年の512機から大きく下落。2018年に若干持ち直すもそれ以降は下落傾向が続き、2021年は376機とされている。

こうした低落傾向は、アフガニスタンおよびイラク方面での展開が一段落するので、その反動という見方ができる。装甲トラックなどのケースとだいたい同じ構図であり、戦後の防衛予算縮小のあおりも受けることを想定される。

短期的な需要では、HH-60Gの後継となるCSAR-Xと大統領専用機VXXがあるが、更に遅延するか、中止される可能性も高いと見られている。

米国内のUH-1Nを更新するCVLSPというのがあったけど、これはFY2013で予算が付かず、実質的に終了。USAF当局は同型の再生機か、USMCで余剰となったUH-1Nを使うことになると述べた。

長期計画では、joint multi-role(JMR)がまだ生きており、技術開発の意味でも重要かつ不可欠とするも、次の10年では具体化せず、研究開発レベルでの資金供給が続けられるという見方。
ただしJMRを中止して既存機の改修で済ます方向になった場合、技術面で後れをとるリスクも指摘している。

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豪Quickstep社がF-35の製造分担分を初めて納入

http://www.flightglobal.com/news/articles/australias-quickstep-completes-first-f-35-parts-369918/

オーストラリアのQuickstep社は、ノースロップグラマンの下請という形で参画しており、複合材料製のアクセスパネルを供給する。今回の分は2011年7月に発注されたもので、グループ1パーツと呼ばれるもの。最近ではグループ1の次期発注に加え、グループ2と3の長期にわたって供給する協定にも調印したとのこと。

この企業はC-130Jのフラップ製造についても、競争入札を経てLMと契約を交わしたばかり。オーストラリアのメーカーの中でも、かなり国際競争力が高いようだ。

http://www.flightglobal.com/news/articles/australias-quickstep-to-make-c-130j-composite-flaps-369128/

こちらの記事ではF-35のアクセスパネルのほか、ウェポンベイのドア、機体外皮、燃料タンクのカバーなどと関係していると書かれている。

カナダの専門家がF-35の導入に関する問題を説明/オーストラリア政府はF-35の調達計画とストップギャップについての判断を保留する/イラク、オマーン、タイ向けのAPG-68(v)9の契約/超党派の米上院議員グループがアフガニスタン向けMi-17調達を批判

カナダの専門家がF-35の導入に関する問題を説明

http://www.flightglobal.com/news/articles/canada-raises-the-spectre-of-abandoning-lockheeds-f-35-369577/

カナダ政府は、価格高騰の可能性が高いF-35Aの調達計画について、見直しを示唆しつつも現時点では65機程度、約90億ドルの調達を堅持している。

この記事で取り上げられているのは、同国の専門家筋によるコメント。
最初はブリティッシュコロンビア大に属して北部の主権問題を専門とする、マイケル・バイヤーズ教授の見解。

教授がまず指摘しているのは、広大なカナダ北部の哨戒飛行を実施するのにF-35は適さない可能性がある、という点。日本でも似たような事が言われるが、単発機で広大な領域をカバーするのは、CSARなどバックアップ体制の面も含めて無理があるという話。世界第二位の国土面積を有するカナダの場合、ユーコン、ノースウエスト、ヌナブトの各準州だけでも、全部合わせた面積はオーストラリア大陸の半分以上で、インド亜大陸よりも広い。またF-35Aのステルス性がどういった状況で有効かと考えたとき、最も威力を発揮するのは開戦初期の第一撃であるが、カナダがそういう段階で軍事行動に及んだケースは皆無とも述べている。
まとめると、「航続距離は必要だがステルス性は(おそらく)要らない」という主張だ。

次にSalt Spring Forumというシンクタンクのスチュワート・ウェッブ氏は、F-35Aのステルス性の維持に関して、これもカナダ北部での運用を念頭におき、極端な低温環境下(-50度以下)の運用ではどうなるのか、という疑問を提示している。
また、カナダ国防省(DND)が競争入札を行わずにF-35を選定した点にも異議を唱えた。日本と同様、競合する機種を評価する必要があったとしている。
他には哨戒用の無人機を国内で開発することも検討すべきだったとか言ってるけど、これは業界団体の代弁だろか。

これらを受け、JSF計画及びLM側の立場でコメント出してるのは、レキシントン研究所のローレン・トンプソン氏。
カナダがJSF計画から離脱するようなことがあれば、もちろん大きな痛手となるだろうが、同時にカナダ軍にとっても大きな痛手であろうと述べている。その根拠は極めて単純。20年後には、第5世代戦闘機でなければ生残性が保てない、という予測に基づく。ステルス性に関しても、2世代以上にわたって運用するならば、米国のようにパワープロジェクションでF-35を駆り出すかは別としても、あらゆる任務に備えられる機体であるべきだ、と述べている。

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オーストラリア政府はF-35の調達計画とストップギャップについての判断を保留する

http://www.flightglobal.com/news/articles/canberra-keeps-options-open-on-f-35-capability-gap-plans-369747/

オーストラリアのスティーブン・スミス国防相は、同国のF-35の調達に関連し、日本がF-35を選定しつつ価格への懸念を表明したことや、カナダでJSF計画についての議論が繰り広げられていることが、どのように影響するかという質問を受けた。
その回答は「オーストラリアに関する限り特になし」というものだったが、オーストラリアの基本方針についての言及(というか再確認)があった。それは空対空作戦能力のギャップを作らないようにするというもので、ここ半年以上は同じ話をしている。

この前提条件に立てば、F-35の遅れを埋める必要が生じた際には、F/A-18E/Fの追加調達という可能性が高い。USAFがF-16にAESA搭載改修を施すのと同様の意味合いとされる。
今のところ、オーストラリアが予定したF-35調達数100機以上のうち、確定は14機。2機は2014年に米国内で引き渡されて搭乗員と地上要員の訓練に充てられるが、残りの引き渡しは見えてない状況にある。
結論は年内に出る予定のようだ。

なお地元報道では、ストップギャップとしてのF/A-18E/Fの追加調達機数は12~24機の間で、一部をEA-18Gとするとも報じられている。

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イラク、オマーン、タイ向けのAPG-68(v)9の契約

http://www.flightglobal.com/news/articles/northrop-receives-f-16-radar-contract-369542/

ノースロップグラマンは、F-16用の新型レーダーAPG-68(v)9を、イラクに22台、オマーンに15台、タイに6台<
合計43台を輸出する契約を確定した。米国防総省が発表したもので、2015年3月31日までに完了予定となっている。
APG-68(v)9はAPG-66をそのまま取り換えられるように設計されており、AESAではないが軽量化され、空対空の探知距離が33%増大し、整備コストが低減されている。取付に要する時間はおよそ2日。

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超党派の米上院議員グループがアフガニスタン向けMi-17調達を批判

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-senators-criticise-mi-17-acquisition-369546/

3月12日付で、超党派の米国上院議員グループは、パネッタ国防長官に宛てた抗議文を提出した。
その内容は、ロシアからのMi-17の調達を批判するもので、Rosoboronexportとの取引をボイコットするよう要求している。建前はシリア関連のロシアの動き(シリアへの兵器輸出の件もある)を牽制し、あくまで強い態度で臨むべきだとする主張であるが、このグループを構成しているのは、米国内でも回転翼機とエンジンのメーカーの工場が集まってる州の選出議員が大半なので、色々とお察し。

ともあれこの文書によると、Mi-17の調達については、2016年までに21機、3億7500万ドル相当で、オプションは5億5000万ドル相当を含むという。
米国のメーカーが不満なのは確かだろうけど、UH-60とかで1機当たり2000万ドルを切る価格というのは難しそうだ。
運用インフラとサプライチェーンの問題もある。

ボーイングがインド向けC-17輸出について契約を締結する/RAAFのF/A-18A/Bの改修/イタリアはF-35の発注機数削減を検討/台湾のF-16A/Bアップグレード交渉進行中/AT-3が空中衝突事故/イスラエルのAH-64Aアップグレード

ボーイングがインド向けC-17輸出について契約を締結する

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-confirms-178-billion-contract-for-india-c-17s-367749/

2月2日、ボーイングはインドと17億8000万ドルの契約を締結したと発表している。ただし内容は明らかでない。2010年のオバマ大統領訪印時のステートメントでは、10機で41億ドルとされていたので、その一部の契約に留まった可能性がある。なおF117エンジンを搭載したC-17の参考価格は、1機あたり2億5000万ドルとされている。

C-17の製造は、USAF向けの発注が、FY2010の10機(全体で223機)を最後に止まってしまうという事情に、大きく影響を受けた。それ以降の製造は、海外顧客の発注状況次第となり、単価を据置のまま継続するためには、年間10機を製造する必要がある。
RAAFなど既存顧客への追加提案や、新たな市場の開拓といった努力が続けられているものの、製造終了の時期を睨みつつ、サプライチェーンの方をコントロールしていかなければならない時期に来ている。現状のまま、5月以降に部品発注を続けるとしたら、それは買い手が付くか判らない機体の分になってしまう。

あとは製造ペースを更に減らして単価を上げるか、別の市場を開拓するかという事になる。
民間向けに転換する案はMD時代からあったが、これは商用航空輸送会社からの評価がイマイチで終了…と思ってたら、まだ完全に潰えたわけじゃなかったみたい。クレア・マカスキル上院議員はFAAに対し、民間型式証明の取得プロセスを早めるよう働きかけているとのこと。MD時代はMD-17、その後はBC-17とかBC-17Xとか呼ばれていたものだ。

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RAAFのF/A-18A/Bの改修

http://www.flightglobal.com/news/articles/bae-l-3-win-contract-extension-for-australian-hornet-modifications-367646/

2003年から続いている改修で、エアフレームのリフレッシュと能力向上を含む。BAEシステムズの現地法人とL-3MASカナダが担当している。
14機の改修が追加されたことで、期間が10か月延長、金額も8000万オーストラリアドルから1億3000万オーストラリアドルまでの増額契約となる。

Hornet Upgrade (HUG) と呼ばれており、アビオニクスや航法装置やレーダーなど、かなり大掛かりな改修になっている。MLU相当。

http://www.defence.gov.au/news/raafnews/editions/4412/story04.htm

http://www.defence.gov.au/DGTA/Documents/DAVENG/Software%20Symposium%20documents/2011/Day%202%20Presentations/HUG%202%20(Hudson%20&%20Saarenpaa)%20-%20USN%20Sw%20Development%20and%2023X%20Compliance%20Finding.pdf

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イタリアはF-35の発注機数削減を検討

http://www.flightglobal.com/news/articles/italy-committed-to-f-35-programme-but-may-cut-order-367733/

イタリアは、JSF計画にはレベル2パートナーとして参加しており、それなりにまとまった数のF-35の導入を表明していた。が、ここに来て2012年の装備調達計画では、14億5000万ユーロの減額という大幅削減が打ち出されており、F-35の発注が槍玉に上がっている模様。
当初のプランではA型×62機、B型×69機、合計131機とされていたものが、B型を中心に20~30機程度の削減幅が提示されているという。

F-35の調達に関しては、既に20億ユーロが費やされているが、全体では174億ユーロにも達する事から、計画は議会から問題視されているのが現状。

とはいうものの、レベル2パートナーとして重要な位置につけている事も確かで、パオラ国防相が建設中の最終組立ラインとFACO施設を視察したり、LMのトム・バーベッジ副社長がイタリアを訪問したりしてる。FACO施設は20の建造物と付随するインフラから構成され、敷地面積は6万平米。2012年末に完成予定という。
これらの施設はイタリア空軍向けに加えて、オランダ空軍向けの約80機も組立を行うことになる。ここでは最終組立、整備、修理、オーバーホール、将来のアップグレード改修まで実施可能。またアレニア・アエロマッキの分担である主翼も製造され、これは2023年まで約1200機分を供給する事になる。全体としては、イタリアの20社ほどが関係する。

また最初のF-35Aがイタリアに引き渡されるのはおよそ2年後で、訓練は米国で行われる予定。

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台湾のF-16A/Bアップグレード交渉進行中

http://www.flightglobal.com/news/articles/taiwan-values-f-16-upgrade-at-nt110-billion-367850/

台湾国防部は、RoCAFの保有するF-16A/B×152機のアップグレード改修について、LMとおよそ1100億台湾ドル(37億米ドル)相当の交渉を行っていると発表した。アップグレード改修の内容についてはまだ確定していないとのことだが、今回の発表は「他の予算を500億台湾ドル削ってアップグレードに充てる」とする地元報道への反論として出されたようだ。
今回の発表された数字は、2011年9月承認時に米側のDSCAから出た、53億米ドルというものより大分低い。この時はAESA×176セット、AN/ALQ-213×176セット、JHMCS×128セットに加えて、AIM-9Xなどの兵装が含まれていたが、台数か何かが削られてる可能性も無くはない。
このままやれば、Block60にも近い仕様となるはず。

AN/ALQ-213 EWMSの公式ページ。

http://www.terma.com/defense/aircraft-survivability-equipment/electronic-warfare-management-systems/

ここで業界的に注目されるのが、AESAに何が採用されるのかという点。
F-16アップグレードのAESAは、ノースロップグラマンのRACRとレイセオンのSABRのいずれかとなる。米国が採用を決めた時点で趨勢が固まると思われるものの、海外含めて大量発注はまだ無い状態が続いている。輸出で言えば、韓国向けの134機分というのも大きい。これは2011年11月から選定を開始している。

最初の発注で勝負が決まるというのが大方の予想らしい。

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AT-3が空中衝突事故

http://www.flightglobal.com/news/articles/taiwan-grounds-at-3-trainers-after-mid-air-collision-367800/

RoCAFの話題がもう一つ。台湾の国産練習機、AIDC AT-3が2月4日、訓練飛行中に空中衝突事故を起こし、1機が墜落した。衝突したもう1機は、自力で基地へ帰投している。墜落した方は乗員2名とも脱出に成功するも腕の骨折などの重傷を負った。この事故を受けて当局はAT-3の飛行停止を発表。

AT-3は1980年代末から12回の事故を起こしており、7人が死亡しているとのこと。画像は飛行展示チームのAT-3。

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イスラエルのAH-64Aアップグレード

http://www.flightglobal.com/news/articles/israel-resumes-apache-upgrade-programme-367647/

イスラエルは元々、AH-64Dの追加導入を望んでいたのだが、最終的にはA型を近代化改修する方を選んだ。3機が米国に送られたが、昨年は予算の都合で計画が凍結された。これが運用上のニーズに合わせるべく再開されたという話。これらの機体は、2012年末にはイスラエルへ戻される事になっている。

イスラエルは現在、AH-64D×18機を運用している。これらの機体は新造または再生機で、イスラエル製の兵装がインテグレーションされており、Sarafと呼ばれる。その他の型を合わせて50機程度が現役。

A型の近代化改修と密接に関連しているのが、米陸軍がAH-64Aの寿命延長を決定するかどうかという点で、余剰となれば譲り受けたい意向があるらしい。米陸軍がD型だけ残すというのは、割とあり得そう。

オーストラリア政府がF-35の納期修正について検討/F-35の射出座席にトラブルで一部が飛行停止/次期英空母艦載機にF-35Cが間に合わなければラファールの導入も検討?

オーストラリア政府がF-35の納期修正について検討

http://www.flightglobal.com/news/articles/canberra-to-review-f-35-delivery-schedule-367523/

従来オーストラリア政府は、F-35の2次引き渡し分、12機の納期について、2015年から2017年までに引き渡される計画としてきたが、オーストラリア国防相は、米国の調達ペース低下に応じて計画を修正すると述べた。
なお最初の引き渡しは2機で、2014年引き渡し、RAAFの訓練に用いられることになっている。

F-35導入を巡るオーストラリアの動きとしては、2011年8月から年末まで計画を精査すると発表していた。これに伴ってF-35を減らし、F/A-18Fの調達数を増やすといった案が一部で取り沙汰されるも、最終的にそのような決定はなされなかった様子。
RAAFのF-35Aは、F/A-18A/B後継機という位置付けになっており、機数は最大100機とされる。が、現段階では確定発注数は14機のままだ。

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F-35の射出座席にトラブルで一部が飛行停止

http://www.flightglobal.com/news/articles/backwards-parachutes-ground-some-f-35s-367560/

問題になっているのはF-35のうち、マーチンベイカーUS16E-21、-23という型の射出座席を備えた機体で、新しい方の機体に採用されている。従って、NASパタクセントリバーのB/C型合わせて8機には影響が無く、エドワーズAFB、エグリンAFBとフォートワースにある機体が飛行停止となった。

プログラムオフィスの公式発表によると、パラシュートの収納に問題があった(後ろ向きに入れてしまった?)とのことで、対応策としては射出座席を取り外して英国に送り返し、マーチンベイカーの工場で組み直すことになる。

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次期英空母艦載機にF-35Cが間に合わなければラファールの導入も検討?

http://www.bloomberg.com/news/2012-01-26/u-k-still-planning-for-carrier-strike-planes-by-2020-mod-says.html

英国防省の公式な立場は、次期空母への艦載機はあくまでもF-35Cであり、2020年デリバリとの計画に基づいている。
が、英タイムズ紙は1月27日、英海軍がF-35Cの遅延とコスト増をきっかけとしてラファールMの導入を検討していると報じた。この記事では艦隊司令官Trevor Soar元帥の談話が引用されているものの、問題の談話をホストした側の業界団体ADSは、その表現は正確でないとの声明を出している。

また国防省の調達担当大臣Peter Luffは、SDSRに基づき2020年からJoint Combat Aircraftの引き渡しを計画していると従来の立場を強調。電話での取材に応じた報道官は、米国のQDRがF-35Cの導入計画に影響を及ぼすことはないと述べたそうだ。これは国防長官のフィリップ・ハモンドが1月5日、米国防総省での会議に出席した後のインタビューに関連する。この時、艦載機(CV)型の引き渡し日程について再度の確約を得たという話が出た。

しかし今となっては、空母をフランスと共同運用するといった展開も現実になりそうだし、PA2と同型艦みたいになりそうだし、もうラファールMでいいんじゃね的な感じが無くもないが、むしろ政治的な影響の方が興味深いかも。欧州への回帰的な意味で。

なお、F-35Cの開発で、かなり深刻な問題とされているのがテールフックの問題。一時は対策不可能ではないかとも言われた。
これに対しLMは、対策のための作業が確実に進行していると発表。

http://www.navytimes.com/news/2012/01/dn-design-blamed-for-f35c-tailhook-issues-011712/

1月17日付。

LMによると、フック本体の修正で問題は解決可能で、機体側への二次的な影響は無く、フック収納部やドアやその他のコンポーネントの設計には問題はないとのこと。修正案の事前チェックは、NASCとF-35統合プログラムオフィスの両者が行い、新たな試験結果に基づいた設計変更は、既に行われた。
この新しいテールフックは、あと2ヶ月ぐらいで完成予定。予定通りに事が運べば、今年Q2からレイクハーストでの試験に供されるという。

F-35Cは艦上運用ができない、という分析を示したのは、ティールグループのアナリストだったが、当然ながらLMはこれを強く否定。YF-17が艦上機になったのを例に挙げ、F-35Cの問題も致命的ではなかったとしている。
LMの言い分ではテールフックの問題の大部分はステルス性の追求に起因する。フックを上げたときに機体の外形線から無駄に出っ張るとまずいし、フェアリングで完全に覆う必要がある。結果として取付可能な位置が限定され、F-35Cにおいてはフックの位置自体を他の海軍機よりも前方に寄せなければならなかった。これは主脚とフックの距離が縮まることも意味し、フックがワイヤを捉えにくい事にもなってしまう。

この辺の問題を、フック本体の設計変更のみで対応しようというのが現状のようだ。

オーストラリア海軍のシーキングが退役/アグスタウェストランドがヴェクターからメンテナンス業務を引き継ぐ/AW189原型機が初飛行/無人型K-MAXがアフガニスタンで活動を始める

オーストラリア海軍のシーキングが退役

http://www.flightglobal.com/news/articles/australian-navys-sea-kings-make-final-flight-366040/

12月15日付。オーストラリア海軍のシーキングは35年間現役にあったが、このフライトを以て全機が退役ということになった。HMAS Albatrossから離陸し、シドニーとキャンベラの上空を飛行したとのこと。

これらのシーキングはウェストランド製だった。うち5機を海外へ売却予定となっている。
後継機はMRH90。ただしこれはまだ運用上の問題を抱えており、今後の動向が注目される。

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アグスタウェストランドがヴェクターからメンテナンス業務を引き継ぐ

http://www.flightglobal.com/news/articles/agustawestland-takes-sea-king-work-back-from-vector-366215/

ヴェクター・エアロスペースは、シーキングとリンクスAH.9のメンテナンス業務について、英陸海軍と10年契約を結んでいたが、これをアグスタウェストランドが引き継ぐことになる。具体的にはトランスミッション、ローター、ローターヘッド部についてのメンテナンスだった。
ヴェクターは今年6月末にユーロコプターに買収された。つまりEADS傘下となったわけだが、この件については英軍事予算の縮小に影響された部分が大きい。ヴェクター自体の仕事ぶりについては満足いく物だったとされているが、国防総省は回転翼機部隊の規模縮小を決定している。結果、今後の主力であるAW101やAW159については、組立工場にて修理やオーバーホールまで対応できる規模になってしまうとのこと。つまりは外注に出すほどの仕事が無くなるという話だ。

これに伴い、メンテナンスの拠点は、ヴェクターの施設があるパースシアのAlmondbankから、ヨーヴィルへ移転され、シーキングの大規模なメンテナンス計画であるSKIOS (Sea King Integrated Operational Support)も引き継がれる事となる。
なおヴェクターはAlmondbankから撤退する訳じゃなく、オーバーホール施設として存続させるそうだ。他では人員削減を進めるところもある。ロンドンにあるクロイドン工場ではRRコンウェィエンジンしか扱ってないので、これらの運用寿命が尽きる2013年には閉鎖予定。またゴスポートにあるフリートランズ工場でも人員削減が実施された。これもチヌーク、リンクス、シーキングの整備をやってたところだ。

以下はアグスタウェストランドの話で、リンクスワイルドキャットの引き渡しは2012年3月で4月から配備というスケジュールになっている。これに関連してWildcat Integrated Support and Training (WIST)と呼ばれる、配備に向けた訓練と支援計画が存在するが、これはまだ交渉中とのこと。

さらにはアグスタウェストランドの親会社の話が続く。今年に入ってからフィンメカニカの財政状況が危機的という話が出ていて、部門単位での売却を余儀なくされるも、航空宇宙関連は基幹事業と位置付けられ存続する模様。ただしDRSとSELEXは大規模リストラ予定で、Alenia AeronauticaとAlenia Aermacchiは合併という形になる。
なお他の売却部門は、道路・鉄道部門とエネルギー事業部門と伝えられている。

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AW189原型機が初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/agustawestlands-aw189-takes-to-the-skies-366329/

12月21日、AW189の原型1号機が、アグスタウェストランドの有するCascina Costaにおいて初飛行を実施した。
ハンドリングと基本的なシステム確認を実施し、予定通りに飛行を終えたとのこと。
原型1号機はアビオニクスの試験と、海洋向け装備の型式証明に用いられる予定で、原型2号機は来年から飛行試験に加わり、2013年には型式証明を取得、運用可能となる計画。

AW189はAW149の民間型、8ton級双発で、Bristow Helicopters、Bel Air、Weststar Aviation Servicesなどのoffshore operatorから受注見込みとされている。

初飛行の様子。

http://www.agustawestland.com/mediagallery

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無人型K-MAXがアフガニスタンで活動を始める

http://www.flightglobal.com/news/articles/unmanned-k-max-operational-in-afghanistan-366340/

無人型K-MAXが9月のQRAで選定されてから3ヶ月経った。12月15日から16日にかけ、貨物無しの状態で試験飛行を実施したとのこと。中央軍管轄のどこかとしか発表されていないが、USMCの大規模な拠点がある場所は限られているので、アフガニスタン中央部か南部の辺りを飛行していると予想されている。

K-MAXはforward operating bases (FOB)からcombat outposts (COP)間の補給にのみ使用される計画となっており、従来この種の任務は、実行するのが米軍自身にせよ請負業者にせよ、最も危険で高価値な任務とされているものだった。そして空輸の需要は常に高い。
基本的にはMQ-8Bなどと同様の、評価目的の派遣という形をとるが、夜間の山岳地への補給など、K-MAXでないと難しい状況も想定されている。基本的には夜間だからといって特別な装備を必要としないのが売りだ。IRサーチライトは付いてるらしい。

2012年にはA160Tも派遣されることになっている。