グリペンNGデモンストレータがスイスへ飛来/ダッソーがAESA装備のラファール生産型1号機を納入/エルビットがコロンビアにてミッション・トレーニング・センター建設を受注/イスラエル空軍のF-16が任務復帰/インドネシア空軍にスーパーツカノ、CN295が引き渡される

グリペンNGデモンストレータがスイスへ飛来

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-gripen-demonstrator-arrives-for-latest-swiss-promotion-377312/

10月3日、グリペンF開発機にあたるデモンストレータと随伴機のグリペンDが、スウェーデンのLinköpingからスイス、エメンの第7空軍基地に到着した。飛行時間は2時間ほどだった。
10日間の滞在期間中、スイスの国防委員会に公開されるほか、スイス側のパイロットの操縦でAxalpエアショーにも参加することになっている。

Axalpエアショーは、スイスアルプスの山中、標高2000mあたりにある演習場において実弾射撃とフライトディスプレイが行われる事で有名。死ぬ前に一度ぐらい見てみたい。

参考:地元スイス在住、Daniel Rychcikさんの個人頁。

http://airshow-reviews.com/index.html

スイスでは、今のところF-5後継としてのグリペンE/F選定は覆っていないものの、契約にも至っていない。ダッソーの物言いがついて以来、議論は継続している。今のところ2013年後半から2014年中頃にかけて契約見込み(2018年から納入)と言われている。

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ダッソーがAESA装備のラファール生産型1号機を納入

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-france-accepts-first-aesa-equipped-rafale-377216/

AESA(タレスRBE2)を搭載したラファール最初の生産型は、機体番号C137となる単座型。10月2日、ダッソーのMerignacにて最終組立の後、DGAに引き渡された。Mont-de-Marsan空軍基地に到着するのはもう少し先のことで、さらに実戦配備となるのは2013年中頃とされている。

C137以降の規格はF3-04Tと呼ばれ、RBE2搭載の他にも、機体前部の光学センサ(タレス製)、DDM-NG受動ミサイル接近警告装置(MBDA製)が搭載されている。フランス向けの最新バッチは、空海軍合わせて60機。

ユーロファイター、グリペンに先んじてAESAを搭載することは、選定済みのインドMMRCAだけでなく、ブラジルF-X2向け提案などにおいても重要な要素の一つとなっている。

なおDGAの発表によると、フランス軍が発注したラファールは合計180機で、うち111機が引き渡し済みとなっている。内訳は、海軍向けM型が36機、空軍向け単座のC型が37機、同じくD型が38機。

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エルビットがコロンビアにてミッション・トレーニング・センター建設を受注

http://www.flightglobal.com/news/articles/elbit-lands-colombian-mission-training-centre-deal-376844/

エルビットシステムズは、コロンビアからミッション・トレーニング・センター(MTC)の建設を受注した。金額は1850万ドルで、2014年竣工予定となっている。正確には顧客名は明かされていないものの、情報筋によるとコロンビアで間違いないとのこと。
コロンビアでは、イスラエルで余剰となったクフィルを導入していることもあるので、状況から見ても不自然ではない。

MTCは、一言で言えば様々な任務シナリオを想定した訓練が可能な施設であるが、同社ではイスラエル空軍向け(主にF-15とF-16のパイロットを対象とする)のMTCを建設した実績がある。

なおコロンビア空軍の主要装備機としては、クフィルの他にA-37やEMB-314スーパーツカノ、OV-10などがある。

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イスラエル空軍のF-16が任務復帰

http://www.flightglobal.com/news/articles/israel-clears-repaired-f-16cd-fighters-for-duty-377190/

イスラエル空軍のF-16C/D Barakは7月、インテイク内の塗装剥離がFODを引き起こし、離陸直後に緊急着陸するというインシデントが2件発生。以来、対策がとられるまで飛行停止措置が続いていた。

対応として、9月末までに古い塗料を除去、再塗装を実施している。原因は、今夏イスラエル国内を襲った異常な高温によるものと結論づけられた。

8月20日付だがロイターの動画ニュース
47度…

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インドネシア空軍にスーパーツカノが引き渡される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-indonesian-air-force-inducts-first-four-super-tucanos-376603/

インドネシア空軍は、OV-10の後継機として2010年11月、スーパーツカノ8機を発注した。2012年7月には8機の追加発注を発表している。
9月初め、ジャカルタのハリム空軍基地に到着したのは、このうち最初のバッチ4機に該当するもの。サンパウロで8月6日に引き渡し式典が行われてから、12カ国を経由して飛来したとのこと。
残りも2013年内、さらに追加分の8機は2014年内の引き渡しが計画されている。

時代がかった巨大なシャークティースが目立つ。OV-10でもこんなのあったなあと思ったが、インドネシアじゃなかったみたい。フィリピンかこれは。

http://www.flightglobal.com/blogs/asian-skies/2012/02/something-fishy-about-this-phi.html

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インドネシア向けのCN295引き渡し式典

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-receives-first-two-c295s-376711/

もう一つインドネシアの新装備の記事。

エアバスのセビリア工場最終組立ラインにおいて、インドネシア向けのCN295、2機の引き渡し式典が行われている。2月のシンガポールエアショーで合意に至った発注機数は9機で、2014年夏までに完納の見込み。

この調達計画では、インドネシア側の作業分担が相当量に上る。地元のPT Dirgantara Indonesia (PTDI)は、後部胴体から尾翼、外板パネルを製造し、整備センターと最終組立ラインも設置することになっている。
セビリアで引き渡された2機に続いて、7機目まではPTDIからの引き渡しという形になり、8機目と9機目はインドネシアで最終組立まで行う。

これらの機体は輸送と救急搬送、人道支援に用いられる。

インドネシア空軍の今後の調達計画について/イスラエルのCH-53にインシデント、飛行停止措置がとられる/インドが最初のEMB-145 AEW&Cを受領/シンガポール向けM-346がロールアウト

インドネシア空軍の今後の調達計画について

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-to-rely-on-upgraded-f-16s-and-k-fx-fighters-375272/

インドネシアはSu-27/30を合わせて10機調達している。将来はSu-30×6機を加え、1個sqの定数まで引き上げることを計画していたが、予算上の制約からこれを断念し、より優先度の高い輸送機調達を急ぐことにした模様。現用の輸送機はC-130B×4機とC-130H×9機だが、C-130の1機(H型の民間仕様、L-100-30(P)とウィキペに書いてある)は、2009年に墜落事故を起こし、100名近い死者が出ている。墜落原因はちょっと調べたところでは出てこない。詳しく報じられないままだったようだ。
これらに代えて新しく調達する機材は、RAAFで余剰となったC-130H×4機と、CN-295となる。

戦闘機に関してはSu-27/30は現有機で十分ということにして、それを補うのは、こちらもUSAFで余剰となったF-16×24機となり、今後20年ほど使う計画。その先に来るF-16とF-5の後継機がKFXということで、今の所3個sqの配備を計画している。1個sq定数は16~22機というから、予備機を合わせても最大70機前後か?
既にKT-1を導入してT-50も選定済みなので、韓国側産業界との繋がりも当面は強固だろう。
しかしKFXは、何のかんのでF-50のステルス版というか、今のJF-17みたいな事になりそうな気がするのだが。対米依存はどうしょもなさそうな。

その他、OV-10の後継機はEMB-314を選定しており、最初のバッチにあたる4機は受領済み。次は12機なので最終的に16機を調達予定となっている。主な任務としては、暴動鎮圧、監視、偵察といったもの。
AS332を更新する回転翼機と、無人または有人MPAへの需要もある。

インドネシア国軍及び官僚としては、新しい航空機の調達を巡り、次の5ヵ年計画(2014~2019年)で予算を付けたい意向とされている。政府の意向では20%のオフセット、あるいは共同生産を求めているとかで、請けるメーカーも限定されてきそうな流れだ。

ちなみに引き渡されたEMB-314の写真。アジア太平洋地域では同国が最初のカスタマーとなった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-receives-first-four-super-tucanos-375185/

あと、陸軍と海軍はベル412EPを調達している。

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesian-army-receives-four-bell-412s-375500/

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イスラエルのCH-53にインシデント、飛行停止措置がとられる

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-air-force-grounds-ch-53-fleet-after-emergency-landing-375598/

8月16日、イスラエル空軍のCH-53 Yasurの1機が、Tel Nof空軍基地から離陸直後に緊急着陸するというインシデントが発生した。乗員3名に怪我などはなし。現在、原因を調査中であるが、初期の調査ではローターブレードの問題という可能性が指摘されている。

これらの機体はYasur 2025という計画に基づいて近代化改修が施されたばかりだが、老朽化は否めないのが現状。交換用のギアボックスをシコルスキーから調達するだけでなく、頻繁なクラック検査が必要とされている。今のところ、CH-53Kの導入までは使い続ける予定。

なお改修に際しては、EWシステムとSATCOMを中心に、20程の新機材がインテグレーションされた。その中には独自の高度維持/ホバリング安定化システムとレーザ妨害装置、ディスプレイの更新なども含まれる。

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インドが最初のEMB-145 AEW&Cを受領

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-receives-its-first-emb-145-aewc-aircraft-375588/

これはインドが2008年に発注した3機のEMB-145 AEW&C(金額は2億800万ドル)のうち最初の機体にあたるもので、このほどエムブラエルの本拠地であるブラジルのSão Josė dos Camposにて、インドに引き渡されている。飛行試験と地上試験はここを中心に行われたようで、エムブラエルとDRDOが定めた設計仕様に沿って開発された。この後、DRDOのミッションシステム統合を経て、インド空軍に加わる見込み。

インド向けのEMB-145 AEW&Cは、DRDOの設計したレーダーを搭載し、空中給油能力が付与され、冷却性能が強化されているとのこと。
同型機はこれまでに10機が製造され、ブラジル、ギリシャ、メキシコで運用されているが、インド向けとは異なり、全てサーブのErieyeレーダーを搭載している。
冷却云々は、より長時間の滞空を想定したためか、単に技術的に厳しかったからか、あるいは高性能なレーダーを搭載したものと思われる。

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シンガポール向けM-346がロールアウト

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-alenia-aermacchi-rolls-out-first-m-346-for-singapore-375218/

8月7日、イタリアのベニスに近いVenegono Superiore工場にて、シンガポール向けM-346のロールアウト式典が行われた。納入時期は今年後半となっている。
2010年9月に受注した12機のうち最初の機体ということになる。アレニアはシンガポールの地元STエアロスペースと共同して働いており、2011年から20年にわたって後方支援を行う契約。

シンガポールの訓練課程はフランスのCazaux空軍基地で行われているので、M-346の配備先はフランスということになり、現用のA/TA-4SUと交代する。なおパイロットの最初の2名は、イタリアで訓練を受けた。

イタリアの航空当局DNAは、7月にM-346の耐空証明を与えたが、これは同時にシンガポール空軍の耐空証明を兼ねることで合意している。

C919のエンジンナセル実証試験が完了/インドネシアNTSCがデモンストレーション飛行時の高度規定などを勧告/MS-21の初飛行は2015年か/CSeriesの初飛行と市場予測について

C919のエンジンナセル実証試験が完了

http://www.flightglobal.com/news/articles/nexcelle-completes-key-c919-nacelle-test-373337/

C919には、CFM Leap-1Cの搭載が予定されており、5月、米国で先進技術ナセルの実証試験が行われた。
請負はNexcelleで、エンジンにはCFM56-5C、GEアビエーションのオハイオ州ピーブルズの工場を使っての地上燃焼試験となる。この試験はpylon and nacelle advanced configuration for high efficiency (Panache)と呼称された。
Nexcellによると、このナセルは燃料消費を2%減らす効果があるとしている。

また試験項目にはelectrical thrust reverser actuation system (ETRAS)という電動スラストリバーサと、複合材製で一体構造のOダクトも含まれる。Oダクトはスラストリバーサ作動時に後退し、バイパスの気流を逆転させるもの。従来の2ピース構造のDドアの代わりとなるものだが、これは長年の整備上の難点でもあった。利点としてはメンテナンス性の向上のほか、気流の向きを変える際の損失を低減することで、逆噴射効率を10%向上できるという。
詳細は分解図と動画で。

システムの開発状況は、5月にPDRを完了し、年末までにCDR完了予定。C919がこのナセルにLeap-1Cを搭載して飛行するのは2014年半ばとなる。就航はそれから更に2年後の見込み。

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インドネシアNTSCがデモンストレーション飛行時の高度規定などを勧告

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesias-safety-committee-makes-first-recommendations-after-sukhoi-crash-373351/

インドネシアNTSCは、5月のスーパージェット100墜落に続く一連の事故調査後、初めてデモンストレーション飛行時の安全確保について、即時勧告を行った。

その内容は、まず安全とされる最低高度以上を維持すること、特に山岳地帯を飛行する際は追加的なパイロットの訓練を実施することに加え、搭乗員と乗客の名簿を地上でも保管することについて述べられている。最後のくだりは、今回の事故においてクルーの一人が名簿を持ったまま搭乗し、墜落事故に遭ってしまったが、そのコピーなどが存在しなかったことから追加されたようだ。確かに当初の報道では、人数が混乱していた(最終的には45名とされている)。

ボイスレコーダとフライトレコーダは回収され、NTSCとロシア当局間では調査協力の合意がなされている。

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MS-21の初飛行は2015年か

http://www.flightglobal.com/news/articles/pw-reveals-new-slip-for-ms-21-first-flight-372640/

イルクートが開発中の旅客機MS-21は、当初2016年就航とされたものの、後に1年先送りの2017年就航となった。また2月のシンガポールエアショーにおいては、イルクートの社長が2014年後半の初飛行を計画していると発言。
しかしその裏では、エンジンに関する交渉が難航していたようだ。同社は2年前、2010年にGTFのPW1400Gの採用を決定したが、正式合意して調印までこぎつけたのは今年6月5日。今回の情報はP&Wのプレスリリースから出たもので、ここでは2015年初飛行というのが明記されてしまっている。交渉遅れが工程に影響を及ぼさないはずはなく、飛行機はエンジンが無ければ飛ばないので、多分このまんまの話と思われる。

P&Wのプレスリリースでは、MS-21向けエンジンの概要も公表された。PW1400Gの標準仕様ではMS-21-200(150席タイプ)に推力125kN、MS-21-300(181席タイプ)に138kNがそれぞれ対応するが、MS-21向けは110kNから142kNの間という表現になっており、若干仕様が標準と異なる模様。
また、エンジンナセルがボンバルディアの子会社のショート・ブラザーズ社が供給するとも書かれている。ここはIAE V2500とGE CF34のナセルを供給した実績はあるが、GTFの実績は無い。なお親会社のボンバルディアはCSeries向けのGTF、PW1200のナセルについて、ショートではなくグッドリッチを選定した経緯あり。

MS-21は、1月1日以前に最終設計段階を完了する予定になっていたようだ。実際にはエンジン抜きの話になっていたわけであるが。
2010年代後半から新しいナローボディ旅客機の競合機種がやたらと多くなる事は確実(737MAX、A320neoの対決にCSeries、C919が加わる)だが、イルクートは1200機ほどの製造を見積もっている。うち1/3程度は、ロシアとCIS諸国の需要を見込む。

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CSeriesの初飛行とボンバルディアの市場予測について

http://www.flightglobal.com/news/articles/bombardier-adds-caveats-to-cseries-first-flight-timeline-373175/

6月19日、ボンバルディアの本部で開催された記者会見において、CSeriesの初飛行に関する質問が相次いだが、ボンバルディア経営陣は、初飛行よりもサービス・マイルストンの方が大事であるとの説明に終始した。CS100のロンチカスタマー(社名は非公開)への引渡しは2013年後半とされ、現時点から数えて、最大18ヶ月先。初飛行は遅くとも今年Q3末までに実施という形になっている。

飛ばないシステム試験機、complete integrated aircraft systems test area (CIASTA)のAircraft 0によるシステム統合試験は今月末までに完了予定で、今のところ大きな問題は出していないとのこと。
飛行試験機の状況については、機首、前部・中央部・後部胴体、尾部、主翼、垂直尾翼の各コンポーネントの完成状態の写真が示された。最終組立するには水平尾翼が足りないが、これはアレニアに外注されてるそうだ。それ程遅延する要素は無さそうに思える。

もう少し詳しい記事。

http://www.flightglobal.com/news/articles/cseries-assembly-compressed-to-meet-first-flight-target-373200/

ボンバルディアは初飛行をQ3としているが、最終期限として2013年1月1日、つまり2012年内という予定を明らかにしている。
現在、飛行試験1号機FTV-1の最終組立にかかる期間を、通常の5ヶ月から4ヶ月に圧縮する方向で考えているとのこと。

飛行試験計画の完遂には12ヶ月、飛行時間にして2400時間ほどを要するので、初飛行からすぐに取り掛かってノートラブルでも、就航はその1年後となる。
単純に見ると、18ヶ月で片付けるには厳しいスケジュールだが、飛ばないシステム試験機、いわゆるアイアンバード、Aircraft 0によるシミュレーションがボンバルディアの奥の手。これは実際に飛行する以外の機能、フライトコントロールとアビオニクス一式、油圧系、電装系、車輪などを備え、操縦翼面には油圧で実際に荷重をかけた状態をシミュレート可能となっている。
当局とは、型式証明のプロセスをこちらも使って実施する方向で調整した。既に20000時間以上のシミュレーションをもって認証を受けることとして原則同意に至っており、細部の交渉を残すのみとなっているそうだ。ここで飛行試験時間を減らせれば、型式証明プロセスが捗るという見通し。

http://www.flightglobal.com/news/articles/bombardier-forecasts-20-year-jump-for-turboprop-deliveries-but-regional-jet-demand-declines-373159/

6月19日に示された市場予測について。

ボンバルディアは今後20年の市場予測について、昨年までの予測を下方修正した。世界的な景気の悪化により全体で縮小傾向としつつ、100席以下のターボプロップ機は増加するという見通し。
2012~2031年の150席以下のクラスは、ジェット機とターボプロップ機あわせて12800機、6300億ドル規模。内訳は、20~59席クラスは300機で昨年の予測からの変更は無し。60~99席クラスの下方修正が最も大きく、昨年の予測から200機減の5600機とした。また100~149席クラス(CSeriesと110を含む)は、同じく100機減の6900機。割合にすると2.3%の下方修正となる。その理由については、世界のGDPの低落傾向が挙げられてる。

また、USEIAの平均原油価格予測が、1バレル107ドルから127ドルまで上昇したことを根拠に、ターボプロップ機の需要が増大すると予測し、次の20年で2832機という販売目標を立てた。昨年の2500機という予測を300機ちょっと上乗せした数字であり、このクラスは60~99席クラスに含まれる。つまり今年の予測に当てはめると、シェア48%を目指す、と言い換えることができる。更に言うと、ターボプロップが上方修正された分、リージョナルジェットが下方修正された形となる。

スーパージェット100事故関連

スーパージェット100事故関連

・スーパージェット・インターナショナルの公式声明

http://www.flightglobal.com/news/articles/superjet-international-stresses-confidence-in-programme-as-crash-probe-continues-372189/

5月9日の事故後、同社CEOからの初めての声明となるもので、製造は継続しており、計画には今のところ何の変更もないと述べている。ミネソタ州ミネアポリスで催されたリージョナル・エアライン協会の年次総会において発表された。
ロンチカスタマーの、メキシコシティ所在のLCC、インタージェット社への引き渡しは今年後半というスケジュールになっているが、これについてはノーコメントだった。

・事故調査の経過

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-to-lead-superjet-inquiry-372168/

事故から6日後の5月15日、現場からボイスレコーダが回収された。当初はロシア側が解析を行うような兆しがあったものの、インドネシア側は譲歩せず、自国の輸送安全委員会(NTSC)が主導することになっている。とは言え、インドネシア国内で調査を続けるには、解析のための機材や、事故状況の分析などについてロシア側の助力に頼ることになる。

また、アエロフロートへの引き渡しは延期されておらず、5月17日、生産8号機(s/n:95014)が正式受入となっている。この機体は5月23日にモスクワへ飛ぶ。

・ムルパティ・ヌサンタラ航空が新型機導入を保留に

http://www.flightglobal.com/news/articles/merpati-may-cancel-plans-for-arj21s-and-sukhoi-superjet-371888/

事故の当事者となったインドネシア国営のムルパティ・ヌサンタラ航空は、新型機導入を保留とする方針を明らかにした。これにはスーパージェット100だけでなく、ARJ21も含まれている。
具体的には、ロードファクターが9割を超えるまで新型機導入は保留とする方針で、スーパージェット100はキャンセルとなり、ARJ21の方はまだはっきりしていない。後者は2月のシンガポールエアショーで40機購入の覚書を交わした段階に留まっている(2年以内に確定見込みとされた)。ARJ21は、200機以上の受注を集めたとは言え、その大半は自国エアラインとリース(とミャンマーとラオスが各2機)であり、ムルパティ・ヌサンタラ航空は大口の海外顧客としては初のカスタマーと目されていたため、AVICにとっても影響は大きい。

計画の変更については、事故が影響を及ぼしたのは確かだが、財政的な問題が主。
先週、同社は2011年度決算で7500億Rp(8250万ドル)の巨額赤字を計上し、責任者が更迭された。昨年は5160億Rpにのぼる公的資金も注入されている。
経営が悪化した理由は、急成長中の民間航空会社との競争が激化したためで、対策として東部の遠隔地を結ぶ路線に軸足を移そうとしている。
スーパージェット100は小規模な空港でも運用できるのに最適として選定されたが、それどころでなくなったというのが実情らしい。

ボーイングが757後継機についての研究を明らかにする/P&WとGEの次世代エンジンの違い/インドネシア、ジャワ島でアジアツアー中のスーパージェット100が墜落

ボーイングが757後継機についての研究を明らかにする

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-confirms-long-haul-757-replacement-study-371163/

4月25日、ボーイングのQ1の収支報告において明らかにされたもの。
757後継には、737MAXの最大のモデルで対応するとしつつも、他のプランが社内で検討されていることについても言及した。ただし詳細は不明のまま。

ボーイング757-200型は2004年に製造終了し、米国内の路線では、その代替機種として737-900ERまたはエアバスA321が就航するようになった。が、いずれもナローボディ旅客機としては最大級の757より小さく、米国の東海岸と欧州、もしくは西海岸とハワイを結ぶ路線においては757が現役で飛び続けることになる。基本型の757-200であっても、737-900ERより航続距離、輸送能力とも大きい。
USエアウェイの場合、A321neoでは東西のハブ空港、東のフィラデルフィアから欧州、西のフェニックスからホノルルまでの距離をカバーできないとの不満を表明しているが、他の例においても757とのギャップのところで市場が形成されるのは間違いないと見られている。

757後継に関しては、昨年5月のinvestor dayで言及された際には737-700と-800に重点を置くとされたものの、この時点ではまだ757後継としての新型ナローボディ旅客機開発も考慮のうちだったし、787の短縮型についても言及されたことがある。新型は無いとして、後者であれば787-3の燃料搭載量をちょっと増やしたぐらいでちょうどいい感じ?

737MAXについてボーイングは腰が重かったのだが、蓋を開けてみれば受注は300機に達している。

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P&WとGEの次世代エンジンの違い

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-pw-doubts-readiness-of-key-technology-for-cfm-engine-371586/

ターボファンエンジンを含むガスタービン機関の性能を向上するには、一般的には燃焼効率を向上することと概ね同義となり、その手段としては、より高圧にし、燃焼温度を高めるのが手っ取り早い。しかし材料の耐熱性には限界があるので、高性能な冷却システムを設けるか、材料の耐熱性を高める必要がある。

要は、能力を向上するにあたって熱対策が最重要な課題の一つというわけであるが、P&WとGE/CFMインターナショナルのアプローチは異なった物となっている。GEのLeap-1エンジンは、セラミックマトリクス複合材(CMC)を第2高圧タービンの静翼側のリングに採用し、タービンブレード周囲の高温ガスを閉じ込める設計とした。これを同ステージの動翼部分に採用する研究も続けられているが、当面は見送られる。一方、P&Wは、CMC採用が短~中期的に採算ベースに乗るか懐疑的で、全面的に採用する見通しを立てていない。
GTFとLeap-1の最も目立つ違いは減速機を採用したかどうかという点だが、熱対策についての見解も大きく異なっている、という話。

CMCの参考。

http://www.ceramic.or.jp/museum/contents/pdf/2007_12_04.pdf

GEは耐熱性の高い先進材料としてCMCを採用する事にした。密度は金属系材料の1/3だが、セ氏1480度まで耐える。この数字は、金属系材料に対して200~240度増しとなる。
P&WはGTFの冷却系を強化することで、耐熱性の高い材料を採用する事なしに対応したが、冷却剤を熱交換機を通して外気温よりも下げてからタービンへ送らなければならず、タービンへ単純に外気を導入する冷却系よりも複雑化してしまった。GEとしては、そちらの方がリスクが大きい、と判断している。

CMCは米国においてはNASAが1980年代から研究に取り組み、最新の試みではF136の第3段低圧タービンの静翼に採用された。GEがLeap-1でCMCを採用する前段にはF136があったわけだ。
が、商用ベースでのCMC製造は、コスト面と信頼性の問題のためになかなか軌道に乗らなかった。
P&Wでは、CMCがまだ通常の材料の10~100倍ほど高価になると推定している。そしてGEがCMCを採用したことに対して、むしろ冷却系の技術開発が欠けていたために、CMCを採用する以外の選択肢がなかったのではないか、とも述べた。

対するGEは、P&Wが指摘するような問題は独自の設計・製造プロセスによって問題を解決していると主張するものの、そんな機密情報を開示するはずもなく、どうなってるのかは当事者しかわからない。

総じて水掛け論という様相ながら、P&Wも長期的には、CMCの採用で性能向上させる余地があると考えているようだ。

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インドネシア、ジャワ島でアジアツアー中のスーパージェット100が墜落

http://www.flightglobal.com/news/articles/crash-site-of-sukhoi-superjet-found-indonesian-search-agency-371653/

5月9日、プロモーションのためのアジアツアーで、インドネシアを訪れていたスーパージェット100が、その日二度目のデモフライト中の14時35分、、レーダーから消失した。後の報道では離陸から12分後、14時33分になっている。
ジャカルタに近いハリム・ペルダナクスマ国際空港を出発し、4時間分の燃料を積載していたが、予定時刻を過ぎても戻らなかった。その日のうちに地上からの捜索が開始される。

翌5月10日、8機のヘリコプターが捜索に投入され、9時30分にサラク山中腹と墜落地点が特定された。その後は遺体の回収が優先され、フライトレコーダ、ボイスレコーダは未回収と報じられている。ほぼ垂直の岩肌に衝突する形となって、残骸はジャングルに散らばってしまったようだ。
これを受けてロシア非常事態省も動いた。VORの記事はさすがに詳しい。

http://japanese.ruvr.ru/2012_05_11/74456239/

生存者は無し。乗っていたスホーイの従業員8名はロシア人、他はエアライン関係者でジャーナリストなど5カ国の40人以上ともいうが、Flightglobalの記事だと47人になってる。たぶん地元報道。

http://www.flightglobal.com/news/articles/superjet-100-flew-in-low-traffic-indonesian-airspace-dgca-371704/

その後の調査で、レーダーから消失する直前、事故機パイロットが高度を10000ftから6000ftまで下げる許可をATCに求めていたことが確認されている。サラク山は標高7254ft、墜落地点は5794ft。ATCがどう応じたかは未公表であるが、ヒューマンファクターが重なったぽい印象は受ける。接近警報みたいのが出ても対処する時間なさそうな現場状況だし。

周辺は定期路線からは外れた空域で、普段からチャーター便以外は飛んでないとされる。事故当日は曇りであったとのこと。

http://www.flightglobal.com/news/articles/superjet-passed-pre-flight-check-before-take-off-airframer-371643/

事故機はテイルナンバー97004、s/n 95004で、フライト数500回以上、累計飛行時間500時間。プリフライトチェックで異常は見つからなかったといち早く発表された。
またパイロットはスホーイの民間航空機部門でチーフテストパイロットを努めた人物であり、スーパージェット100の試験飛行でも最も経験が豊富な一人だったそうだ。この辺は1988年、A320のデモフライト中の事故と若干ダブる。

VORの記事の中で、スーパージェット100の成り立ちは、旧型のエムブラエルを参考にした機体とボーイングの助言からできてる云々といった批判が載ってる。確かに技術的に継ぎ接ぎな感は否めないものの、旅客機開発の空白期間は長く、大型機の開発拠点がロシアの外になってしまい、おまけに現用機の寿命が切迫する中で設計するのは簡単でなかっただろう、とも思う。

ロシア国防省、海軍向けの戦闘艦艇を新たに発注/インドネシアが独自開発の航空用爆弾を試験/RIAノーボスチの映像ニュースなど

ロシア国防省、海軍向けの戦闘艦艇を新たに発注

http://en.rian.ru/russia/20120221/171435411.html

サンクトペテルブルグのSevernaya Verf(北方)造船所は、ロシア国防省から海軍向けで合計13隻の艦艇建造を受注したと発表。その内訳はコルベット6隻、フリゲート6隻と調査船1隻とされている。
コルベットは20385型、フリゲートは22350型。

また2月1日には20385型のGremyashchy、22350型のAdmiral Golovkoが起工された。基本型にあたる20380型はSteregushchyとSoobrazitelnyの2隻が引き渡し済となっている。

20380型は比較的シンプルだったが、20385型はロシア的に重武装化している。20381と20382というのは輸出向けに留まって、ロシア海軍向けは20380、今後は20385という事でいいんだろうか。

http://warfare.ru/?catid=271&linkid=2179

こっちだと細かいサブタイプに分かれてるみたいだが。

http://www.russian-ships.info/eng/warships/project_20380.htm

22350型は就役前でよくわからん。

http://warfare.ru/?linkid=2544&catid=270

http://www.russian-ships.info/eng/warships/project_22350.htm

というかこれらの新型艦が、最終的に何隻になるのか未だによくわかってない。
調査船は以前の契約と同じだと18280型っぽいが、これも就役前で情報がさっぱりだが、そもそも情報収集艦の類は情報があんまり表に出ないか。あっても外寸とか排水量とか武装ぐらいで。

ついでに2010年7月時点でのロシア海軍配置図

http://en.rian.ru/infographics/20100729/159992089.html

今年の全艦艇リストらしい。

http://russian-ships.info/eng/today/

サンクトペテルブルグ周辺の造船所では、CFRP製の船体を作ったというニュースが去年あった。

http://japanese.ruvr.ru/2011/08/22/54991256.html

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インドネシアが独自開発の航空用爆弾を試験

http://en.rian.ru/world/20120224/171510284.html

試験を実施した場所は、スラウェシ島の南部、州都マカッサルに近いHasanuddin空軍基地。第11飛行隊所属のSu-30が少なくとも3機使用されたという。
これらの爆弾はインドネシア軍の兵器製造センターであるPINDADで作られたもので、試験はSu-30MKで実施されたようだ。型式はBTN-250とBLA-50と書いてある。

情報がさっぱりであるが、BTN-250は250kg爆弾、BLA-50は50kg爆弾のようだ。

http://defense-studies.blogspot.com/2011/10/sukhoi-dilengkapi-bom-pindad.html

言葉のカベが。無誘導の低抵抗小型爆弾っぽい。

インドネシアは人権問題に絡んで米国から禁輸措置を受けたまんま、かれこれ十年以上が経過しており、軍装備面ではロシアへの接近を強めた。航空用の搭載兵装を国産化も、これに沿った動きとなる。

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RIAノーボスチの映像ニュースなど

Tu-22M3Mに関連するもの。

http://en.rian.ru/video/20120203/171118298.html

マイクロUAVのテストがモスクワ近郊の演習場で行われてるようだ。

http://en.rian.ru/video/20120210/171248710.html

それはそうと最近のつべは旧ソ関係が凄すぎて怖い。
Tu-22M3のローパスと着陸。

http://www.youtube.com/watch?v=o-osnXmmAlo

全く関係ないがYak-36の動画なんて初めて見たわ。

http://www.youtube.com/watch?v=ZLAvU22kueQ

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更に全く関係ないが、2人のロシア人がソニーに対し、特許権侵害の訴えを起こしたとか。

http://en.rian.ru/business/20120224/171515346.html

背面タッチパネルの特許を持ってると主張し、販売差し止めを求めているみたい。

ロシアがS-400など新防空システムの配備計画/ロシア空挺軍がSteyr SSG-69狙撃銃を購入/ロシアがSu-30MK2をインドネシアへ売却の見込み/インド向けMi-17V-5

ロシアがS-400など新防空システムの配備計画

http://en.rian.ru/news/20111201/169210478.html

12月1日、ロシアは2012年に新型の防空システム及び対空レーダーを配備すると発表した。その数は約60で、S-400長距離SAM、Nebo-U対空レーダー、Pantsir-S1短距離ミサイル/ガン防空システムが含まれるとのこと。

S-400とPantsir-S1の図解。

http://en.rian.ru/infographics/20091217/157272520.html

http://en.rian.ru/infographics/20100319/158254598.html

この他、作戦機ではSu-34×10機(最大)、Su-25SM×約10機、Su-35S フランカーEなどが、攻撃ヘリコプターではMi-35の近代化改修と同時に、Ka-52とMi-28Nを合わせて20機以上が、輸送ヘリコプターではMi-8×30機、Mi-26T×5機などが引き渡される予定となっている。

その記事はこっち。11月12日付。

http://en.rian.ru/mlitary_news/20111122/168934211.html

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ロシア空挺軍がSteyr SSG-69狙撃銃を購入

http://en.rian.ru/world/20111209/169519072.html

購入した数は30丁あまりとされ、空挺軍の特殊部隊に支給される模様。空挺軍としては初めての外国製装備と言うことになるようだ。
今回のは2010年に契約した分の一部で、より多くが納入されるとのこと。発表では正確なモデル名などが伏せられていたが、7.62mmで有効射程2000mなどの仕様から、オーストリアのSteyr SSG-69、10連マガジン付、と推定される。何名かのロシア軍の兵員が、取り扱いなどを理解するための特別トレーニングコースを受講したという。
10連ボックスマガジン付のボルトアクションライフルなどというものは、そう多くない。ほとんど使われてないみたいだけども。
特殊作戦部隊や法執行機関での採用実績は、それなりにあるはずだ。ロシアのボルトアクションと言えばSV-98があったけど、SSG69の方が軽くてコンパクト。

そういやAK-200のテストってどうなってんのかしら。

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ロシアがSu-30MK2をインドネシアへ売却の見込み

http://en.rian.ru/world/20111207/169441067.html

LIMA 2011においてコメルサント・ビジネス紙が報じたもの。LIMAの初日に予備交渉を行って仮合意し、2011年内にもSu-30MK2×6機の売却で合意する見通しとしている。契約金額などは明らかでないが、インドネシアの装備に合わせた仕様になる。インドネシア代表団の一人は少なくとも5億ドルと語った。ロシア側当事者のRosoboronexportはコメントを拒否している。

同国のSu-27/30については、2003年の契約でSu-27SK×2機とSu-30MK×2機、2007年の契約でSu-30MK2×3機とSu-27SKM×3機が発注され、最近になって引き渡しが完了している。このうち2007年の契約は3億ドルだった。
インドネシア国防相は昨年、2010年の10月に、Su-27/30の1個sqが必要であると発言しているので、それに沿った発注と見ることができる。Su-30MK2はどちらかというと海軍向けだ。

インドネシアは1999年、人権侵害絡みで米国からの兵器輸入が止められた後、ロシア(と中国)兵器産業の顧客になった。禁輸は2005年頃に解除されてるが、装備調達の方針はそのまま継続している。

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インド向けMi-17V-5

http://en.rian.ru/business/20111108/168506094.html

11月8日付。インドが2008年にロシアに発注したMi-17V-5×80機のうち、最初のバッチの引き渡しが始まった。この取引の総額は13億4500万ドルに相当する。製造を担当するのはカザンヘリコプター工場(KVZ)。

インドは現時点でもMi-8/17を合わせて200機以上現役で運用しており、カスタマーの規模としては世界最大。
なおMi-8/17は110カ国以上、11000機以上が製造され、歴史上最も多く製造されたヘリコプター(ファミリー)だそうだ。

元々のMi-8とは見た目がかなり変わっている。ローターは複合材製とか。しかし、大きめのスタブウイングは付いたものの、やっぱり胴体から支えてるし、後輪の取り付け方も変わってない。

http://www.militaryimages.net/photopost/showphoto.php/photo/15079

http://www.army-technology.com/projects/mi8t/

メキシコ海軍がCN-235 MPA型の追加分1機目を受領/インドネシア向けF-16輸出の概要/ボーイングがレーザ兵器向け補償光学系開発契約を受注

メキシコ海軍がCN-235 MPA型の追加分1機目を受領

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-mexican-navy-accepts-new-cn-235-365035/

現在メキシコ海軍は2機のCN-235を運用中で、後から4機を追加発注した。今回のがその1機目(#AMP-122)ということになる。
この契約では、北米EADSが、米国のFMS経由でメキシコに売る、という形をとり、金額は1億5800万ドル程度。なおCN-235は、USCGにもHC-144Aオーシャンセントリーとして採用されており、北米EADSの主力製品の一つとも言える。

CN-235 MPA型は本来用途の海洋監視以外に、人員及び貨物輸送、SAR、麻薬取締、環境保護といった任務にも対応できるとのこと。

この画像はスペイン、セビリャ近郊のサン・パプロ最終組立工場で撮影された。戦術ミッションシステムがインテグレーションされているほか、外形からも胴体前半部下面に海洋監視レーダーのレドーム、機首にEO/IRセンサのターレットが付いてるのが確認できる。
2010年に引き渡された2機については、搭載エンジンがGE CT7-9Cとのこと。

発注4機のうち残り3機は、2012年前半に引き渡される計画となっている。

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インドネシア向けF-16輸出の概要

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-outlines-upgrades-for-indonesian-f-16-deal-365092/

インドネシア空軍向けのF-16は、米国のANGで余剰になったBlock 25を24機、アップグレード改修を施した上、FMS経由で引き渡すというもので、金額は7億5000万ドル程度となる。DSCAの説明では、インドネシア空軍が現用中のF-16 Block 15は能力不足、F-5は老朽化でメンテナンスコストが増大しているとのこと。

別のステートメントでは、二国間のLoA(覚書)を作成中で、2012年早々にもホワイトハウスがサインする予定。そのまま計画が進行した場合、2014年から引き渡しを開始することになる。

取引のメインになるのはBlock 25×24機とエンジン28台で、エンジンはP&W F100-PW-200もしくはF100-PW-220E。このほかに予備がBlock 25×4機とBlock 15×2機。
レイセオンのALR-69 RWR、TermaのALQ-213 EWマネジメントシステム、LMのAN/AAQ-33 スナイパーATPとAN/AAQ-28 LITENINGポッドが含まれ、その他の改修の内容としては、無線機、データリンク、自己防御システムなど。試験装置、技術文書も含む。
概ねBlock50相当。

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ボーイングがレーザ兵器向け補償光学系開発契約を受注

http://www.spacewar.com/reports/Boeing_Receives_Phase_II_Contract_for_High_Power_Adaptive_Optic_System_999.html

米国防総省、高エネルギーレーザ兵器開発を統括するHEL-JTO(High Energy Laser – Joint Technology Office)はボーイングと、High Power Adaptive Optic Systemの開発を15か月間継続することで契約を締結した。金額は非公表。
これは大型望遠鏡の補償光学系(観測の妨げとなる、大気による光のゆらぎを排除する)に類似したシステムで、戦術レーザシステムに適用され、光線の歪曲を抑え、指向性を高めてエネルギーロスを最小限にするというもの。
今回のフェーズII契約では、HEL TDを用いて技術実証を行うことになっている。

このシステムは望遠鏡の光学補償の逆で、光源からの光を目標に到達させる働きになるが、極めて高いリアルタイム性が必要なことから、最先端の処理系とセンサ技術を要求される。ビーコンイルミネータと可変形鏡を組み合わせると書いてあり、構成要素は望遠鏡のそれと大体同じと思われる。

参考:NICTでレーザ通信を研究してるグループによる補償光学系の説明。

http://spacecom.nict.go.jp/optcom/ao_sys0-j.html

フランスのE-2Cアップグレード/通算300機目のユーロファイターが納入される/RAFのNo.6 SqnがBERSAMA LIMA 11演習に参加/インドネシア空軍が中古F-16とC-295を導入

フランスのE-2Cアップグレード

http://www.dsca.mil/PressReleases/36-b/2011/France_11-24.pdf

10月18日、米国防総省はフランスのE-2CアップグレードをFMSで実施する事で合意した。金額は1億8000万ドル。4機分のアップグレード機材、装備品と訓練、兵站支援までを含む。
フランスが求めたウェポンシステム及びセンサアップグレードは、Mode 5/S IFFのAPX-122およびAPX-123、ALQ-127 ESMシステムで、数はそれぞれ5セット分。元請けはノースロップグラマン。
これによりフランスのE-2Cは、最新のNATO標準に準じたIFFを備えるということになる。

http://www.sisostds.org/StandardsActivities/StudyGroups/Mode5SIFFSGMode5SelectIdentificationFri.aspx

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通算300機目のユーロファイターが納入される

http://www.eurofighter.com/media/news0/news-detail/article/press-release-eurofighter-delivers-to-the-spanish-air-force-the-typhoon-nr-300.html

300機目を受領したのはスペイン空軍となり、Ejercito del Aireで引き渡しが行われたようだ。ただしスペシャルマーキング(カッティングシート?)は身震いするほどダサい。

現時点でのユーロファイターの納入実績が書かれてるので少し書き写しておくと、これまで6カ国(英独伊西、サウジアラビア、オーストリア)、16の部隊で、11機種の戦闘機を更新した。リビア展開を含めて平均以上の運用実績を示し、累計飛行時間は13万時間に達する。

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RAFのNo.6 SqnがBERSAMA LIMA 11演習に参加

http://www.raf.mod.uk/news/archive/typhoon-trail-26102011

BERSAMA LIMA 11演習は、英国を含む環太平洋の5カ国(英国、シンガポール、マレーシア、ニュージーランド、オーストラリア)で構成されるFive Powers Defence Agreement (FPDA)の創設40周年を記念して行われている大規模演習。10月17日~11月4日まで、航空機68機、水上艦艇19隻、潜水艦2隻が参加する予定。

http://www.navy.gov.au/Exercise_Bersama_Lima_2011

No.6 SqnはRAFルーカーズをホームベースとする部隊で、タイフーン(トランシェ2)を装備している。ここからマレーシアのRMAFバターワースまで、ヨルダン、オマーン、スリランカを経由し、4日間かけて移動した。支援に当たったのはRAFブライズノートン、No.101 SqnのVC-10。移動距離は7000マイルに達し、トランシェ2においては、これほどの長距離展開は初めてとなった。単座と複座1機ずつかな。

No.6 Sqnは、通常任務の本土QRAから外されての部隊派遣となったが、当局としては、熱帯という厳しい環境で多くの国と連携する演習を行う意義は非常に大きいとし、タイフーンを参加させる方針は以前から決まってたようだ。

この演習に参加した主要な機種は、RAAFのF/A-18とウェッジテイルAEW&C、RMAFのMiG-29とF/A-18、シンガポール(RSAF)のF-15SGとF-16といったものだったようだ。

RAAFのF/A-18E/Fに関しては10月20日、24機が計画通りのスケジュールで納入完了している。

http://boeing.mediaroom.com/index.php?s=43&item=1980

納期について触れられているが、2007年3月発注契約して、2010年3月26日に初回5機納入、今度の2011年10月20日が最終5回目で24機に達した。
やはり納期を守れるというのは強みだ。

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インドネシア空軍が中古F-16とC-295を導入

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-to-acquire-24-used-f-16s-and-nine-cn295s-364007/

F-16×25機は全て米軍、ANGを余剰になったBlock25で、Block52+相当にアップグレードされるとのこと。業界筋によるとFMSでの取引となり、インドネシア下院は承認済み。

C-295×9機は金額にして3億2500万ドル、2014年前半に配備される計画。フォッカーF27の直接の後継ではないようだが、代替ともなる。なお10月初めには、PTDIがエアバスミリタリーと共同で製造するパートナーとして発表されている。

オーストラリア海軍のヘリコプターについて/インドネシア空軍がグロブG120TPのロンチカスタマーに/韓国が艦載ヘリコプターのRfPを準備中か/韓国F-16のアップグレードRfP

オーストラリア海軍のヘリコプターについて

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/19/362199/australian-navy-to-lease-three-bell-429s.html

記事はベル429をリースという内容だが、次世代のヘリコプターに関する話に繋がってる。
ベル429×3機を2012年から4年間リースし、海軍のMRH90の乗員訓練に充てる。年間飛行時間は1500時間程度を計画しているとのこと。費用はサポートとメンテナンス含み26万ドル相当。

6月にはS-70Bを更新するMH-60R×24機の導入を発表している。こちらの金額は31億ドル以上。

MRH90は陸軍のUH-1、UH-60と海軍のシーキングを更新し、46機を導入予定。

しかしMRH90は初期の導入が始まったものの、評価が芳しくない。

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/16/362137/australia-to-conduct-diagnostic-review-of-army-mrh90s.html

10月に正式なレポートが上がってくることになっているが、ここまでエンジンや駆動系のオイルクーラーファンのトラブル、スペアパーツの可用性不足といった問題が相次いでおり、受領機数は陸軍向け(UH-1を更新する分の)13機に留まる。これらは現在、試験と乗員訓練に用いられている。

2010年4月20日、RR/チュルボメカRTM322の1基が故障したインシデントでは、安全に着陸できたものの、その後の事故調査で3か月ほど飛行停止となっている。事故原因は、コンプレッサのブレードがケーシングに接触して分解したためと結論され、検査体制の見直しが行われた。

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インドネシア空軍がグロブG120TPのロンチカスタマーに

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/19/362222/indonesian-win-launches-grobs-g120tp.html

9月19日、グロブは自社のターボプロップ練習機、G120TPがインドネシア空軍の初等練習機として採用されたと発表した。他の候補機種はフィンメカニカ(アレニアアエロマッキ)SF-260TP、パシフィックエアロスペースCT-4とあるが、後者は入札に参加してないと表明している。いずれにせよPC-21やテキサンIIよりは安価で、概ね純練習機と言っていい。

契約にはシミュレータとサポートその他を含み、2012年から納入される予定。機数は18機と見られる。
インドネシア空軍では、6月にEMB-314スーパーツカノ×8機の新規導入を決めており、来年から納入が始まることになっている。こちらは軽攻撃機としての導入となる。

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韓国が艦載ヘリコプターのRfPを準備中か

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/20/362219/seoul-may-issue-naval-helicopter-rfp-in-2012-13.html

米国政府情報筋によると、韓国の次期艦載ヘリコプターは、自国産のKAIスリオン海軍型が第一候補であろうが、独島型に載せるには大きすぎる可能性があると指摘。導入機数の予想などは伝えられていない。

http://www.army-technology.com/projects/kaisurion/

スリオンはUH-1などの代替、KUHとして開発された。一見してわかる通りユーロコプター系で、2009年初飛行。

独自開発が無理と判断されれば輸入しかないわけで、RfPは2013年と予想されている。
現用の艦載ヘリコプターのリンクスで、欧州のNH90やAW101も候補に挙がる。ただし2009年の掃海ヘリコプター×8機の導入では、MH-60Sが選定された(未契約)ため、LM/シコルスキーとしてはMH-60Rが有力と考えているようだ。

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韓国F-16のアップグレードRfP

http://www.flightglobal.com/articles/2011/09/13/361951/south-korea-f-16-upgrade-rfp-imminent.html

9月16日にRfP発出、12月2日締切という日程。
韓国国防庁の発表では、LM、BAEシステムズ、ノースロップグラマン、レイセオンが入札者に含まれる。

主なアップグレード内容はAESAの搭載なので、ノースロップグラマンのSABRか、レイセオンのRACRか、が大きな競合点となる。
業界筋によると、F-15Kに近いミッションコンピュータやデータリンクも提供可能であろうとしている。

ROKAFのF-16保有機数は、F-16C×118機、F-16D×51機。