アルジェリア向けMiG-29受領拒否にまつわる刑事裁判が終了/インド向けMiG-29UPGが引き渡される/ロシア空軍がSu-30SMを正式に受領する/PAK-FA/T-50の4号機が初飛行する/ロシア空軍兵員(パイロット含む)の訓練不足について

アルジェリア向けMiG-29受領拒否にまつわる刑事裁判が終了

http://en.rian.ru/military_news/20121204/177916582.html

アルジェリア向けMiG-29×34機の輸出契約が結ばれたのは2006年で、翌年になり15機が輸出された時点で、同国から仕様を満たしていないとして受領拒否され、正式キャンセル、Su-30へ振り替え導入と続いた。

意図的に仕様を満たさない低品質な製品を引き渡したのであれば、それは詐欺罪にあたるわけであるが、この12月4日、契約時点から6年が経過したことで、時効成立ということになったらしい。

この裁判で捜査の対象になったのは当時の副社長Sergei Tsivilev氏とその補佐役だったOleg Fadeyev氏の2名。であるが、この件にはポーランド向けのパーツにも波及しており、問題のコンポーネントを納めたAviaremsnabという企業の社長と副社長が既に有罪判決を受けている。

http://en.rian.ru/military_news/20090918/156171853.html

2005~2006年の契約で前払いで170万ドル受け取ったのに、新造ではなく1982年から1996年にかけて製造された部品を納めたとある。出荷や検査の証明を偽造したようなので、これはわかりやすすぎる不正だ。

こういうケースでは、元請の方の責任はやっぱり微妙な感じになるのだろう。政治的決着という奴だな。

訴えられたMiGの元副社長は辞めてるみたいだけど。

アルジェリアの受領拒否は当時もかなり話題になったが、ロシア国内ではミサイル作ってる工場がROSBORONEXPORTを訴えたりと、相当揉めている。

http://en.rian.ru/russia/20090914/156118433.html

こっちはどうなったのかよくわからん。

陰謀説まで飛び出したが、ダメだったという事実はかわらん模様。

http://en.rian.ru/analysis/20080530/108905942.html

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インド向けMiG-29UPGが引き渡される

http://www.flightglobal.com/news/articles/russia-delivers-indias-first-upgraded-mig-29s-380053/

http://en.rian.ru/military_news/20121211/178064533.html

インド空軍のMiG-29は、69機が近代化改修されることになっている(金額にして9億ドル程度)が、12月10日、RAC MiGは最初の3機をインドへ引き渡したと発表している。機体はAn-124に搭載されて運ばれたとのこと。

MiG-29UPGの概要については以前から公表されている通りであるが、レーダーとアビオニクスの換装、新型兵装のインテグレーションと40年までの寿命延長となっている。

MiGでの改修は6機の予定で、残り63機はHALにて改修を実施する計画。これらのエンジン、RD-33シリーズ3×120基は、2007年にロシア国内で製造許可が出ている。

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ロシア空軍がSu-30SMを正式に受領する

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-russian-air-force-receives-first-su-30sm-fighters-380051/

12月5日、ロシア国防省はアフトゥビンスク空軍基地にて受入検査を行っていたSu-30SM×2機を、正式に受領したと発表。

11月22日に同基地に到着したこれらの機体は、2012年3月に発注した同型機30機のうち最初の2機にあたり、2015年までに全機が引き渡される予定。

9月21日初飛行だから、2ヶ月半ぐらい経過している。

機体には、赤い星以外のマーキングはほとんど見当たらない。

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PAK-FA/T-50の4号機が初飛行する

http://en.rian.ru/military_news/20121212/178100717.html

12月12日、スホーイは開発中のPAK-FA、T-50の4号機が、コムソモルスク・ナ・アモーレのガガーリン記念工場にて40分間の初飛行を実施したと発表している。なお、1号機が初飛行したのは2010年1月29日だった。当初2007年の予定だったと言われているので、計画は遅れ気味で進行している。遅延の大きな理由の一つに、エンジン開発の難航があった。

現在の計画では2015年からロシア空軍の評価用の機材として10機、続いて最初のバッチの60機が発注見込み。最初の10機がLRIPに相当するのか、試作原型の延長になるのかとか、位置付けはよくわからない。少なくともここまでの4機については、外見上の大きな変化はないように見える。

また記事中、ノボシビルスクの方(NAPO)ではSu-34の製造が進行中であり、近日中に10機をロシア空軍へ引き渡す予定と書いてある。

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ロシア空軍兵員(パイロット含む)の訓練不足について

http://en.rian.ru/military_news/20121207/177979621.html

ロシア国防相は、ロシア空軍のパイロットとその他の専門的な技術者について、訓練が不足していると述べた。その対策として訓練大系の改善と最適化を進めるとしている。

装備の更新は進み始めたが、人員の面では甚だ心許ない状況という話だが、これはロシアが直面している急激な高齢化にも関連している。作戦機数の減少もあるが、冷戦終結からこっちの20年で退役したパイロットは数千人というから話がでかい。

http://en.ria.ru/analysis/20121128/177792414.html

記事中のリンク先は、11月28日付の論評記事になってる。ジューコフスキーの空軍工学アカデミーで、ここ3年、1人の生徒も受け入れてない事や、史上初の宇宙飛行士公募でも300人しか応募がなかった事に触れられている。ここから選抜された人数は8人だった。
同様のリクルートを行ったNASAには、応募者6000人が集まったということからも、ロシア国内での不人気が半端でないことが判る。

長らく続いた賃金・待遇の問題は改善の方向に向かっているものの、宇宙飛行士に関して言えば、長期的なビジョンの欠如が不人気に繋がっているとの見方がある。軌道輸送系と有人宇宙計画では大きな実績を残しているものの、一般国民には何が成果なのかよくわかんないというのが大きいようだ。

以下、セルジュコフ前国防相の空軍の機構改革が失敗して毛嫌いされた話に続く。興味深いがやたらと長いので略。

ブラモスの誘導システムはGRONASSに対応する/IAIがインド向けUAVの近代化改修を受注/インドとロシアがMTA開発で合意

ブラモスの誘導システムはGRONASSに対応する

http://www.spacedaily.com/reports/Indian_BrahMos_using_Russian_GPS_system_999.html

イズベスチヤ紙が報じたところでは、ブラモスの長距離誘導システムはGRONASSに対応しているとのこと。ロシアの装備としては、Kh-555とKh-101(2013年配備予定)において採用されているとの情報がある。
匿名の関係者によると、GRONASSを利用することで、その射程距離は300マイル以上に達するという。
核搭載可能という話は前から出ていたっけか。下手な弾道ミサイルより対処しにくいような気がするが。

また、タイムズ・オブ・インディア紙の記事によると、10月8日の週にTalwar級第2バッチの1番艦、INS Teg(カリーニングラードのYantar造船所で竣工、4月27日引渡し)からブラモスの試射が行われ、成功している。この試射では、高機動飛行して目標に命中したと伝えられている。

海軍向けは2005年から配備されており、現在は空軍向けの空中発射型の調達が進行中。8月時点では金額11億6000万ドル、200発以上という装備計画が明らかにされている。これらは45機のSu-30MKIが搭載可能。

これとは別に、Su-30MKIのうち約40機を近代化改修する計画がある。金額は37億7000万ドルで、内容はHUD、Sigma-95航法システム(GPSと慣性航法装置の複合)、レーダー、LITENINGターゲティングポッドのインテグレーションなど。11月1日予定のプーチン大統領訪印時に調印となる見通し。
両国が合意すれば、2014年から2015年にかけて引渡しというスケジュールになる。

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IAIがインド向けUAVの近代化改修を受注

http://www.spacedaily.com/reports/Israels_IAI_wins_958M_India_drone_deal_999.html

IAIは、インド向けに提案していたヘロン及びサーチャーUAVの近代化改修案が採用され、総額9億5800万ドルの契約を締結したと発表した。
UAVはイスラエル防衛産業の主要な輸出品であるのは周知の事実であるが、グローブス・ビジネス・デイリー紙(が引用したインド国内報道)によれば、1990年代以来、インドはIAIから合計150機程度のUAVを購入しているというから、相当の数になる。改修の大きなポイントは衛星通信を経由した管制・操作への対応とのことで、機体の能力の範囲でより長距離のミッションが可能となる。
現在、陸軍の運用するサーチャーUAVは約100機で、西、東、北の国境線(要するに海以外全部)に沿って配備されている。空軍はサーチャーII及びヘロンUAVを運用している。

8月の米議会の調査では、イスラエルの兵器輸出額は2004年から2011年までに129億ドルとのことで、世界で8番目(米露仏英独中伊の次)とされている。世界的な軍縮の流れに影響を受けはしたものの、特にIAIに関してはインド向けの取引が支える形となった。
主なものだけでも、2004年、Phalcon AWACS×3機(11億ドル)、2006年、IAIとDRDOがミサイル共同開発(4億8000万ドル)、2009年、バラク8艦載SAMシステムの調達と共同でのインテグレーション(11億ドル)、およびSpider SAMシステム×18セット(10億ドル)といったものがある。2007年には、インド向けの兵器供給に関してフランスを上回り、ロシアに次ぐ2番目ともなった。
この他にもインドはアロー2 ABMシステムについても興味を示しているというが、これは共同開発した米国が技術移転を抑えているみたいだ。

イスラエルの防衛産業界は、アジア向けの売り込みを強化しており、2010年は大手3社の従業員数30600人、金額ベースで96億ドルの売り上げがあった。
しかし今年3月に、2009年の贈収賄スキャンダルが発覚したことで、当事者のIMIは10年間のブラックリスト入り、その他のイスラエル企業に対しても、締め付けが厳しくなったと伝えられている。

最後にイスラエル防衛産業について、Oxford Analyticaの分析が出ている。
こんにちイスラエルの防衛産業を支える製品群の開発は、1973年のヨム・キプル戦争と1970年代後半から1980年代にかけてのハイジャック対策における経験から始まった。そこにはUAV、空港警備ネットワークといったものが含まれ、イスラエル軍の装備とされたが、これらは長らく輸出先のいない状態が続いた。イスラエルにとっては一度通った道であるというわけだ。

とは言え、無人兵器システムの普及については、搭載機器の小型高性能化もでかいと思う。

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インドとロシアがMTA開発で合意

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-russia-launch-delayed-medium-transport-aircraft-377608/

10月12日、ニューデリーにおいてインドとロシアのJVによる中型輸送機MTA(=Il-214)について、最終合意に至ったと発表。このためのJVはMTALと呼ばれ、インドのHALと、ロシアのUACが出資して設立される。

MTAの計画進行は遅延を重ねてきたが、インドの政治家からは、これ以上遅延した場合は計画を破棄せよという声もあった。The Hindu紙によれば、インドのAKアントニー国防相も手放しでは歓迎しておらず、別の情報源によれば、計画遅延によって生じたギャップはKC-390などの競合機種を利するかもしれないとの懸念が示されたという。

実のところこの手のグダグダの末に、まともな製品が完成した例が多くないというのは確かかもしれない。インドは特に自国産が失敗続きだ。

ロシア側のUACは、例によって成功を確信しているという類のコメントを出している。なお開発はロシア主導になる模様で、HALの技術者多数が近いうちにモスクワ入りする予定とのこと。

MTAについて復習しておくと、MTOW65ton、ペイロード18~20tonという規模のターボファン双発中型輸送機で、新規開発のPD-14エンジンを搭載する。スパン30mで、計画上は最大速度800km/h。インド軍はAn-32とHS 748、ロシア軍はAn-26とAn-30の後継機として配備する計画となっている。
機体規模はA400MやC-2よりも小さく、C-130Jとほぼ同等でより高速、KC-390とはかなり被る、といった感じ。C-1に近いと言えば近いが、特殊な機体なので比較対象として適切かは微妙。でも大きさだけはだいたい同じと言っていい。
なおPD-14は、MS-21のエンジンとしても使われる予定。設計面ではGE Leap-Xにかなり似ているとの指摘もある。

製造機数については、今年初めの時点で軍用輸送機型がインド向け45機、ロシア向け100機、民間輸送機型が60機程度を見込むとなっていた。

米海軍研究所がガスタービン機関用の燃料を海水から精製する技術を研究/レイセオンがUSN向けの次世代電源技術開発で契約/INSヴィクラマーディティヤの引き渡しは年内間に合わない/ウクライナ海軍がイルカの軍事訓練を再開

米海軍研究所がガスタービン機関用の燃料を海水から精製する技術を研究

http://www.gizmag.com/jet-fuel-seawater/24287/

必要なエネルギーとかを度外視してすごく簡単に言うと、海水から炭化水素っぽいものを得られれば良いわけで、つまり海水中の二酸化炭素と水素を取り出して液化すると一丁上がりという構想。

現在、米海軍の活動は、15隻の補給艦によって支えられている。燃料の供給量は年間6億ガロン、22億7000万リットルに及ぶが、化石燃料は基本的に海外依存する部分が多く、戦略的な弱点ともなり得るため、それを自前である程度まかなえるようになるとしたら、話が大きく変わってくる。

さて海水中の二酸化炭素は、炭酸、炭酸塩、重炭酸塩のような形で存在しており、重量比だと3%ほどになる。これは大気中の二酸化炭素の1.4倍に相当する。
NRLの化学者は、炭化水素を作る方法としてフィッシャー・トロプシュ法(FT法)という、効率は悪くコストも掛かるが、確立された手法を採用した。石炭を液化したりするのに使われているものの、前述のように効率が悪いので、実用できる範囲は限られている。
海水の電気分解から始まる細かい化学的プロセスの話は原文参照として結論だけ書くと、触媒の改良などである程度効率を改善する見通しが立ったということらしい。

NRLではメキシコ湾上で試験を行い、より効率を高めて実用レベルまで引き上げることを目標として、研究を続けている。価格見積としては1ガロンあたり3ドルから6ドルといったあたりで、高く見積もれば航空用ジェット燃料の2倍程度となる。
コスト面の他にも問題はあり、できる炭化水素の純度が極めて高いために漏出時の危険が大きかったりもするし、何と言っても膨大なエネルギーを投入しなければならない。

海上で完結して大出力の動力源といえば、まあ原子炉というわけであるが、そういう工場船みたいのを作るかどうかとなるとまた別の話。

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レイセオンがUSN向けの次世代電源技術開発で契約

http://www.spacewar.com/reports/Raytheon_to_develop_next_generation_power_technology_for_naval_systems_999.html

レイセオンはONRと、Compact Power Conversion Technologies (CPCT) programという名目の2つのフェーズ2契約を締結した。水上艦艇と潜水艦の両方に適用する電源技術で、効率化による燃料消費の低減と構造設計上の自由度を高めるというものになっている。期間は1年間。

主な要素はBi-Directional Power Converter (BDPC)とPower Management Controllerの2つ。
BDPCは双方向電力変換器を艦艇に応用、装置の重量と容積を減らし、効率98~99%を達成する。1種類のBPRCで複数の種類の機器電源に対応可能となるので、冗長性を高める。適用範囲は高出力レーダー、蓄電装置、モータと、他の脈動する負荷とある。

PMCは名称そのまま、艦艇全体の電力制御をインテリジェント化して、その配分を最適化する。
従来はシステムごとに分散していた電源系の機器を大幅に減らすことができ、蓄電装置系統を一元化したり、既存の機器をより効率的に動作させたりすることも可能となる。

レイセオンでは、これらの技術により、フットプリントを減らして将来の人員削減に繋がるとしている。

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INSヴィクラマーディティヤの引き渡しは年内間に合わない

http://www.spacewar.com/reports/Russia_to_Deliver_Indian_Carrier_in_Fall_2013___Minister_999.html

INSヴィクラマーディティヤ、旧アドミラル・ゴルシコフは当初、インド海軍への引き渡しを2008年に定めていたのだが、遅延を重ねてかれこれ4年。最新の引き渡し予定は2012年のインド海軍記念日、12月4日に定められ、この日程で公試や艦載機の試験が行われてきた。

しかしここにきて、間に合わないどころかほぼ1年延期、という悪い意味でのビッグサプライズが発生。原因は機関不良。英ウィキペの記述では9月17日、公試において全速運転ができず失格という判定が下った、となっている。8基のボイラーのうち何基が故障したのかは不明。

そして10月10日、インドのA・K・アントニー国防相との会談を終えた後の、セルジュコフ国防相の発言によれば、同艦の引き渡しが2013年Q4まで先送りされることが確実となったようだ。
インド側はこれに関して多くを語っていないが、インドのメディアは1億ドル以上の違約金を要求するかもしれないと予想している。

ここまでの経緯は何度か書いたような気がするが、2005年の最初の契約時点では改修費用9億4700万ドルだったのが、2度の遅延を経て23億ドルまで膨れあがった。

この艦は、改修前から機関に問題を抱えていたことで知られている。1994年にはボイラーが爆発するという事故に見舞われ、1年間のドック入りを余儀なくされた。そして修理が終わってわずか1年で退役、売りに出されている。どう考えてもこの時ちゃんと修理できてなかったくさいが、機関部は軍艦として極めてクリティカルな部分。引き渡し前提ならさすがにちゃんとしたのかと思いきや、なってなかったみたい。
某コピペ風に言うなれば、アドミラルゴルシコフちゃんは生まれつきしんぞうが弱く…という感じで救われない。

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ウクライナ海軍がイルカの軍事訓練を再開

http://www.spacewar.com/reports/Ukraine_Brings_Back_Naval_Killer_Dolphins_999.html

イルカの軍事利用に関してはUSN、サンディエゴ基地のが有名だが、東側ブロックでこれに匹敵するのは、旧ソ連が1973年頃、黒海艦隊の根拠地セバストポリに設置した訓練施設となる。現在この施設はウクライナ海軍の管轄下にあり、冷戦終結後、イルカは水族館に移った。これらは対人セラピー活動などを名目として部隊を維持しつつも、軍事訓練は長らく行われていなかったようだ。
しかし、セバストポリのある情報源によると、最近ウクライナ海軍によって、イルカ10頭の軍事訓練が再開されたとのこと。

かつてイルカの任務とされたのは、海中警備と侵入者(ダイバー)の排除、敵艦艇への爆薬の設置(というか自爆攻撃?)、機雷の探知といったものだったが、今回明らかにされているのは、港湾の防御・警備に関するもので、頭部に装置を取り付けてブイや水中武器(水中銃やナイフ)を装備させ、海底を警備して不審物を発見したらその位置にブイを浮かべる、またはダイバーを殺傷する訓練とされている。今年は既に海中での警備行動について訓練を実施しているという。

RAFのトーネードGR.4退役スケジュールほか/タイフーン トランシェ3A仕様の1機目が最終組立へ/オマーン、UAE、インドへのタイフーン売り込み/RAF 1Sqnがタイフーン装備で再編成される

基本的に遡らないようにしてるのだけども、メモだけして貼ってなかった記事が出てきたので。

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RAFのトーネードGR.4退役スケジュールほか

http://www.flightglobal.com/news/articles/uk-tornado-fleet-to-retire-in-2019-says-bae-375014/

8月2日付。

BAEシステムズの上半期中間発表において、RAFのトーネードGR.4が2019年3月に退役するとの記述があった。これはMoDの決定事項として確認済みのようだ。

現用のトーネードGR.4は、124機が存在する(FlightGlobal調べ)。これらの機体はRAFロシーマスとRAFマーハムにそれぞれ配置されており、アフガニスタンのカンダハルにも分遣隊が送られている。

F-35Bの配備について、最終的な決定には至っていないものの、現在の予定では2018年からRAFマーハムで運用がスタートすることになっている。これによってハリアー以来のS/VTOL攻撃機部隊が復活し、GR.4の一部と交代できるようになる見込み。

これとは別にサウジアラビア向けトーネードIDSのアップグレード、Tornado Sustainment Programmeにおける73機の改修が、2012年前半の12機の引渡しをもって一応完了している。今後はインテグレーションされた新兵器の引渡しが活発になるとのこと。

2007年の改修試作の時期の記事。

http://www.flightglobal.com/news/articles/saudi-arabia-reveals-progress-of-tornado-upgrade-216775/

ストームシャドウやブリムストン、ダモクレス・ターゲティングポッドなどが使用可能になる。

一方、ドイツではトーネードIDSを2025年まで運用する計画としている。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-german-tornado-upgrade-on-track-as-laser-jdam-tests-near-376386/

F-4Fなどもそうだったが、ドイツは物持ちが良い。ドイツ軍は1990年代後半に至るまで海外展開しなかったから、エアフレームも長持ちしている、というのも理由の一つだろう。
RAFの機体などは、多国籍軍の中核として長年酷使されてきた。ハリアー退役後を支えたのもトーネードだったわけだし。

ASSTA 3.0仕様の近代化改修機は、6月下旬に3機が引渡し済み。Büchel空軍基地のJBG33に配備されている。写真の機体はそのうちの1機ということらしい。
ASSTAでの改修計画は、2018年までに85機予定となっており、1ヶ月に1機のペースで進行している。
ASSTA 3.1仕様は2015年以降で、MIDSの完全なインテグレーションのほかに、後席の表示装置を交換、チャフ/フレアディスペンサの一新するなどの予定がある。

GBU-54 レーザJDAM(LJDAM、500ポンド)のインテグレーションはOT&Eの段階にあり、10月からスウェーデンの射爆場で試験を実施予定。これには4機が使用され、実弾5発を用いることになっている。

以前書いたのと重複するが、ASSTAの内容ではMIDS/Link 16データリンクへの対応が最も大きなもので、その他に機体前部へ追加したサーブ製のRWRや、デジタルデータ/ビデオレコーダ、通信機と、タイフーンに採用されたのと同系のデジタルムービングマップ等が追加・更新される。

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タイフーン トランシェ3A仕様の1機目が最終組立へ

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-first-tranche-3-eurofighter-takes-shape-375776/

8月24日付。

トランシェ3A仕様の1機目はRAF向けの、機体番号BS116となる。8月下旬にSamlesbury工場で機体構造が作られ、ウォートン工場での最終組立に移行する。
BAEシステムズによると、トランシェ3Aの胴体部品には、350以上の設計変更が加えられているとのこと。AESA搭載に伴って電力供給量を増加し、冷却システムを強化したのが大きく影響した。

2009年に発注されたトランシェ3Aは、RAFの導入予定数が40機で、独31機、伊21機、西20機まで合計すると、112機となる。

また、9月下旬にはアレニアが製造する左主翼と後部胴体が出荷されている。

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-alenia-delivers-sections-for-first-tranche-3-eurofighter-376899/

この機体、BS116の初飛行は2013年に予定されている。

次の段階はトランシェ3Bとなるが、こちらはまだ未確定という状態。2013年12月までに関係各国が合意してゴーサインが出なければ、2017年後半で生産完了となる。これについては、製造ペースを落として期限を先送りにした経緯がある。

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オマーン、UAE、インドへのタイフーン売り込み

http://www.flightglobal.com/news/articles/bae-edges-towards-eurofighter-contract-with-oman-375018/

これもBAEシステムズの上半期の中間報告から。

オマーンでは2012年1月に戦闘機入札のRfQ(request for quotation、要するに見積依頼)を発出、BAEシステムズはタイフーン×12機の提案で応じており、今年後半にかけての契約を目指し、交渉を行っているという。BAEシステムズとしては、2008年中頃に初めてオマーンを潜在顧客として挙げていた。

UAE向けには、タイフーンはラファール選定の当て馬扱い風で、あまり情報が出ていない。F-16E/Fの追加発注という線も似たような扱いか?
インドMMRCA向けもまだ諦めてない模様だが、これ以上の逆転はさすがに…あるのかなあ?でもインドだし。

このほか、タイフーンの製造状況についても触れられている。2012年前半に、EADSとBAEシステムズから各国に引き渡された機体は21機で、トランシェ2仕様としては合わせて144機に達した。発注数236機の半分は超している勘定。

ILAの時のユーロファイター首脳へのインタビューもついでに。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-eurofighter-chief-casolini-outlines-priorities-376246/

ここではMMRCAについて、まだフランスとインドの間で何の契約も交わされてないことを強調しており、2月のエアロインディアに出展する予定も明らかにした。

現在進行中の商談は、上で挙がったオマーンのほか、ブルガリア、クウェート、マレーシア、カタール、ルーマニア、韓国、UAEといった国々が挙げられている。

最後の方では、今後20年間の次世代戦闘機市場予測についても触れられている。ワールドワイドでは800機規模の市場と予想しており、ユーロファイターとしてのシェアは25%程度を狙っていく。

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RAF 1Sqnがタイフーン装備で再編成される

http://www.flightglobal.com/news/articles/rafs-1-sqn-reforms-with-eurofighter-typhoon-376556/

RAFで最も長い歴史を持つ実戦部隊、1Sqnは1912年に編成された。その後、2010年にハリアーGR.9の早期退役に伴って一時解隊となるも、今年9月15日、タイフーン装備の第4の前線部隊として再編成を終えた。RAFルーカーズにて、6Sqnとともに配備されることになる。

RAFルーカーズの2個Sqnは、いずれも北方空域のQRA任務を主体とするが、マルチロール任務を発達させる役割も持つ。

なお、残りの2個Sqnは、RAFコニングスビーの3Sqnと11Sqnで、ここではタイフーンに機種転換中の29Sqn、評価部隊の17Sqnも所属しており、タイフーンの大所帯となっている。

29Sqnが機種転換を完了した時点で、タイフーン装備の前線部隊は5個Sqn体制となり、編成が完結する。

Su-30SMが初飛行/MiG-29KとM/M2の今後/Ka-52のアビオニクス等についてRDCがメーカーと契約/ロシアの新聞にAS355の写真が掲載される/セルビア空軍創設100周年

Su-30SMが初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-irkut-launches-su-30sm-test-campaign-376814/

9月21日、イルクーツクに近いIAZ工場において、Su-30SMが初飛行を実施している。スホーイのテストパイロット2名が搭乗し、2時間ほどのフライトを行った。
Su-30SMはロシア本国向けとして開発されているもので、Su-30MK系の発達型となる。初期の輸出型との違いは、レーダーと通信機、IFFのほか、ロシア空軍仕様の各種装備と射出座席とされている。最新兵装は一通りインテグレーション済み。

ロシア空軍は2012年3月、Su-30SM×30機を発注しており、今年後半から2015年までに受領予定となっている。

こっちの記事は製造現場の写真が出てる。

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-irkut-to-deliver-russias-first-su-30sm-early-376580/

PAK-FA戦力化までのギャップを埋め、マルチロール戦闘機であると同時に、訓練用途でも運用されると書いてある。
が、複操縦装置はなさそうだしPAK-FAは単座だしで何だかよくわからん。兵器システム関連の訓練のことか?

あと2011年に発注されたYak-130の引渡しについても少し書かれており、これによると55機のうち15機を年内に引き渡す予定で、ロシア空軍側も正式受領する準備を進めているとのこと。

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MiG-29KとM/M2の今後

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-mig-29-production-takes-off-as-indian-carrier-trials-near-end-376268/

INSヴィクラマーディティヤ(旧アドミラル・ゴルシコフ)の引渡しは、インド海軍記念日にあたる2012年12月4日とされている。
ILAにおける9月中旬時点の発表によると、MiG-29K/KUBを用いた同艦上でのトライアルは進行中だが、スキージャンプによる発艦は未実施のようで、引渡しまでには間に合わせると書いてある。

年間の製造数は、昨年2011年の11機に対し、2012年は24機となる見込み。目標としては年間36機の製造を掲げている。
ただしK/KUB型について言えば、インド海軍向けは最初のバッチ16機のあと29機の追加発注、ロシア海軍向けは2月発注の24機で、今のところその先は無い。必然的に、陸上型のM/M2に期待を寄せることになる。
STOBAR空母向け艦載機って結構ニッチだよな。

メーカーとしては、K/KUBに準じた新しいレーダーと拡張性のあるオープンアーキテクチャのアビオニクス、多様な搭載兵装などが既に出来上がっている事を、優位点として挙げた。あとクラシックMiG-29の大きな弱点とされたエンジン寿命も、RD-33MKでは解消された事になってる。

またコストパフォーマンスについても自信を見せ、(冷戦終結後)早い段階で西側の戦闘機導入を検討した多数の国々(※かつてのMiGのユーザーを意識した言い回しと思われる)は、その方針を見直していると述べている。どこまで本当なのかは謎。
米国からの直接的な軍事援助、あるいは多少なりとも経済的に余裕のあるところはF-16を採用し、その後も特に不満は出てないようなイメージだが、反米寄りの非同盟諸国向けという感じ?

米の国は、近年また敵が増える傾向も見えるので、MiGとしてはそれを商機と捉えてるのかもしれない。アフリカでは、エジプトで親米政権が倒れたりしたし。

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Ka-52のアビオニクス等についてRDCがメーカーと契約

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-helicopters-signs-ka-52-avionics-deal-376792/

ロシアンヘリコプター社は、Ka-52とKa-27/29のアビオニクスのアップグレードについて、ラメンスコイェ設計社(RDC)と長期契約を結んだと発表。
2013年から2020年までの期間にわたるもので、手始めにKa-52の艦載型にあたるKa-52Kのアビオニクスを供給することになる。Ka-27/29の方はグラスコクピット化と航法系のアップグレードとのことで、いずれもKa-52とKa-31で既に装備されたものをレトロフィットする。またアビオニクスについては、オープンアーキテクチャが謳われている。

RDCは、ロシアンヘリコプターと同様にOboronpromという持ち株会社の傘下にある企業なので、形式はともかく体制としては従来通りということになるのかなあ。

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ロシアの新聞にAS355の写真が掲載される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-prompt-russian-defence-ministry-to-confirm-eurocopter-purchase-376662/

問題の新聞のWeb版はこちら。Nezavixima Gazetaと書いてある。9月18日付。

http://www.ng.ru/regions/2012-09-18/5_muscles.html

記事はしらんが、特殊部隊の訓練というのは見て取れる。
写っているAS355は、これまで公式には発表されていなかったもので、報道を受けてロシア政府が説明したところでは、2011年に購入されたとのこと。
これについては、過去に地元メディアの報道で、当時の国防相が個人的に発注したものであるが使われておらず、不必要なものだったとの批判が出たことがある。ユーロコプター側はコメントを拒否した。販売元としては自家用扱いなのかな。それはないか。

説明によるとこれらの機体は、ロシア軍の輸送と特殊任務に用いるもので、ロシア空軍向け訓練用途での評価を行う予定という。
モスクワ近郊のChkalovskaya空軍基地に配備され、フランスから技術者と搭乗員教育のための要員を招くことも決まっている。

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セルビア空軍創設100周年

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-serbian-air-force-marks-centenary-376315/

9月2日、ベオグラードに近いBatajnica空軍基地において、創設100周年を祝うエアショーが開催された。海外からはロシア、イタリア、米国の軍用機が飛来している。

ショーのハイライトは、各々の単独飛行展示のほか、セルビア空軍の最新装備であるUtva Lasta練習機5機による編隊飛行、4機のJ-22オラオと6機のG-4スーパーガレブによる戦術的デモンストレーション(たぶん模擬対地攻撃)と、2機のMiG-29と1機のMiG-21による模擬戦闘といったものだったようだ。

1999年には敵同士だった、USAFのF-16とセルビア空軍のMiG-29が並んで駐機される場面も見られたとのこと。

なお業界的に言うとセルビア空軍は、将来の軍用機市場が注目を集めているところでもある。

ベル525Rテストベッド機が墜落/Mi-38がクラス高度記録を樹立/中国がMi-171Eを追加発注/インドが海軍向け軽ヘリコプターのRfPを発出

ベル525Rテストベッド機が墜落

http://www.flightglobal.com/news/articles/bell-loses-525r-testbed-in-crash-375343/

8月7日、ベル525Rの駆動系テストベッドとして改修されたベル214ST(N409SB)が、テキサス州アバロンにて墜落している。人的な損害はない。
NTSBに提出された予備報告によると墜落の状況は次の通り。

機体が右旋回した後、乗員が爆発音を聞き、チェイス機はテール部から何かが脱落したと連絡。この後、ベル214STはオートローテーションで着陸したが、機体が傾いて接地し、右に転倒した。乗員に怪我はなかった。

ベル525Rは7~8tonのスーパーミッドサイズに属する新機種で、対抗はEC175とAW189。特徴として、V-22で開発されたFBW技術を投入していること、ベルとしては初めての5枚ローター機であることと、fully articulated rotor head(3軸可動する全関節型ローターヘッド)の採用が挙げられる。複合材を使用し同級の機体よりも航続距離が長くなる見込みとも言われる。
525RのエンジンはGE CT7-2F1(1800shp)の双発であり、ベルにとってはこれまでにないハイパワーかつ大型な機体として計画された。このクラスには、かつてはティルトローターで乗り込むことも考えてたのかしらんが、これまでは手をつけてなかった領域だ。
このあたり、かつてのAB139(現在のAW139)がそのままモノになっていれば少し違ったかもしれないが、ベルアグスタ解消とともに手を離れてしまった。その後はベル417/ARH-70がこけたりBA609を手放したりで、正直あんまりぱっとしない。というより204系と206系が偉大すぎた、というべきなのかもしれない。

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Mi-38がクラス高度記録を樹立

http://www.flightglobal.com/news/articles/mi-38-sets-new-world-altitude-record-375811/

ロシアンヘリコプターによると、8月27日の第14回FAIヘリコプター選手権で、10000kg~20000kg級に出場したロシアのMi-38がクラス高度記録を樹立したとのこと。新記録は28200ftで、前の記録の27880ftを320ftほど上回った。
操縦したのはミル・モスクワ・ヘリコプター工場(Drakino空軍基地と隣接)に属するテストパイロット。
Mi-38はMi-8/17の後継にあたる機体で、2015年からの生産が計画されている。箔付けにはいいデモンストレーションになった。

エンジンはクリモフだけでなく、P&WカナダのPW127/TSも選択可能となった。クリモフの方の開発遅延という事情もあったが、西側への売り込みにも有利になるだろう。
アフガニスタン向けの米国FMSによるMi-17供給でも揉めたとこだし。

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中国がMi-171Eを追加発注

http://www.flightglobal.com/news/articles/china-to-obtain-55-mi-171e-transport-helicopters-376012/

Rosoboronexportは7月、Mi-171E×55機の輸出について、中国政府と合意した。金額は1機あたり1000~1200万ドルとのことで、総額は5億5000万ドルから6億6000万ドルと見られている。これらの機体はウラン・ウデで製造される予定。

中国が、四川大地震を境にヘリコプターの増強を進めていることはよく知られているが、このクラスの国産機、シュペルフルロンのZ-8系では性能不足で、Mi-171をどんどん増やしてる、といった状況。
Z-8F以降は性能向上を果たしたということになっているが、どのみちコストではMi-171に負けそうだ。エンジンはカナダP&Wだったりするし。

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インドが海軍向け軽ヘリコプターのRfPを発出

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-issues-rfp-for-56-naval-light-utility-helicopters-375710/

インド海軍は現在、軽汎用ヘリコプターとしてHAL Chetakを運用しており、この後継機種を求めている。2010年5月のRfIに続く展開となっており、入札時期は2013年1月の見込み。
主な要求仕様は、最大重量4500kg、艦載で運用できることとローターブレードを折り畳めることなどで、同時にインド国内での実地試験を行うことも含んでいる。想定する用途は様々で、SAR、救援活動、兵站輸送支援、監視および捜索、電子情報収集など。武装については、無誘導ロケット弾と機関銃に加え、軽魚雷と爆雷を搭載して対潜作戦も可能なこととなっている。
他には、各種支援とシミュレータを含むパッケージ一式が入る。

RfPを求めた相手先はアグスタウェストランド、ベル、ユーロコプター、ロシアンヘリコプターとされている。当初インドの業界では、国産のDhruvを推す動きがあったが、その線は今年のファーンボロで公式に否定されており、選定候補にも挙がらなかったようだ。

FGの予想ではユーロコプターAS565MB Naval Panther (ドーファンの派生型で、数カ国の海軍と沿岸警備隊向けの採用実績あり)と、AW139が有力候補としている。

なおインド海軍ではこの他に、2つのヘリコプター導入計画を進めている。

多用途ヘリコプター(16機)では、NH90とS-70Bが競合しており、近いうちに結論が下されるとの見方がある。
大型海上輸送ヘリコプター(75機)は、2011年6月にRfI。こちらは9~12.5ton級で、やはり海軍多用途ヘリコプターと称されており紛らわしい。

インドネシア空軍の今後の調達計画について/イスラエルのCH-53にインシデント、飛行停止措置がとられる/インドが最初のEMB-145 AEW&Cを受領/シンガポール向けM-346がロールアウト

インドネシア空軍の今後の調達計画について

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-to-rely-on-upgraded-f-16s-and-k-fx-fighters-375272/

インドネシアはSu-27/30を合わせて10機調達している。将来はSu-30×6機を加え、1個sqの定数まで引き上げることを計画していたが、予算上の制約からこれを断念し、より優先度の高い輸送機調達を急ぐことにした模様。現用の輸送機はC-130B×4機とC-130H×9機だが、C-130の1機(H型の民間仕様、L-100-30(P)とウィキペに書いてある)は、2009年に墜落事故を起こし、100名近い死者が出ている。墜落原因はちょっと調べたところでは出てこない。詳しく報じられないままだったようだ。
これらに代えて新しく調達する機材は、RAAFで余剰となったC-130H×4機と、CN-295となる。

戦闘機に関してはSu-27/30は現有機で十分ということにして、それを補うのは、こちらもUSAFで余剰となったF-16×24機となり、今後20年ほど使う計画。その先に来るF-16とF-5の後継機がKFXということで、今の所3個sqの配備を計画している。1個sq定数は16~22機というから、予備機を合わせても最大70機前後か?
既にKT-1を導入してT-50も選定済みなので、韓国側産業界との繋がりも当面は強固だろう。
しかしKFXは、何のかんのでF-50のステルス版というか、今のJF-17みたいな事になりそうな気がするのだが。対米依存はどうしょもなさそうな。

その他、OV-10の後継機はEMB-314を選定しており、最初のバッチにあたる4機は受領済み。次は12機なので最終的に16機を調達予定となっている。主な任務としては、暴動鎮圧、監視、偵察といったもの。
AS332を更新する回転翼機と、無人または有人MPAへの需要もある。

インドネシア国軍及び官僚としては、新しい航空機の調達を巡り、次の5ヵ年計画(2014~2019年)で予算を付けたい意向とされている。政府の意向では20%のオフセット、あるいは共同生産を求めているとかで、請けるメーカーも限定されてきそうな流れだ。

ちなみに引き渡されたEMB-314の写真。アジア太平洋地域では同国が最初のカスタマーとなった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-receives-first-four-super-tucanos-375185/

あと、陸軍と海軍はベル412EPを調達している。

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesian-army-receives-four-bell-412s-375500/

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イスラエルのCH-53にインシデント、飛行停止措置がとられる

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-air-force-grounds-ch-53-fleet-after-emergency-landing-375598/

8月16日、イスラエル空軍のCH-53 Yasurの1機が、Tel Nof空軍基地から離陸直後に緊急着陸するというインシデントが発生した。乗員3名に怪我などはなし。現在、原因を調査中であるが、初期の調査ではローターブレードの問題という可能性が指摘されている。

これらの機体はYasur 2025という計画に基づいて近代化改修が施されたばかりだが、老朽化は否めないのが現状。交換用のギアボックスをシコルスキーから調達するだけでなく、頻繁なクラック検査が必要とされている。今のところ、CH-53Kの導入までは使い続ける予定。

なお改修に際しては、EWシステムとSATCOMを中心に、20程の新機材がインテグレーションされた。その中には独自の高度維持/ホバリング安定化システムとレーザ妨害装置、ディスプレイの更新なども含まれる。

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インドが最初のEMB-145 AEW&Cを受領

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-receives-its-first-emb-145-aewc-aircraft-375588/

これはインドが2008年に発注した3機のEMB-145 AEW&C(金額は2億800万ドル)のうち最初の機体にあたるもので、このほどエムブラエルの本拠地であるブラジルのSão Josė dos Camposにて、インドに引き渡されている。飛行試験と地上試験はここを中心に行われたようで、エムブラエルとDRDOが定めた設計仕様に沿って開発された。この後、DRDOのミッションシステム統合を経て、インド空軍に加わる見込み。

インド向けのEMB-145 AEW&Cは、DRDOの設計したレーダーを搭載し、空中給油能力が付与され、冷却性能が強化されているとのこと。
同型機はこれまでに10機が製造され、ブラジル、ギリシャ、メキシコで運用されているが、インド向けとは異なり、全てサーブのErieyeレーダーを搭載している。
冷却云々は、より長時間の滞空を想定したためか、単に技術的に厳しかったからか、あるいは高性能なレーダーを搭載したものと思われる。

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シンガポール向けM-346がロールアウト

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-alenia-aermacchi-rolls-out-first-m-346-for-singapore-375218/

8月7日、イタリアのベニスに近いVenegono Superiore工場にて、シンガポール向けM-346のロールアウト式典が行われた。納入時期は今年後半となっている。
2010年9月に受注した12機のうち最初の機体ということになる。アレニアはシンガポールの地元STエアロスペースと共同して働いており、2011年から20年にわたって後方支援を行う契約。

シンガポールの訓練課程はフランスのCazaux空軍基地で行われているので、M-346の配備先はフランスということになり、現用のA/TA-4SUと交代する。なおパイロットの最初の2名は、イタリアで訓練を受けた。

イタリアの航空当局DNAは、7月にM-346の耐空証明を与えたが、これは同時にシンガポール空軍の耐空証明を兼ねることで合意している。

ホークの販売数が1000機目前に達する/インド向けP-8Iの2号機が初飛行/C295の対艦ミサイル搭載試験

ホークの販売数が1000機目前に達する

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-bae-close-to-selling-1000th-hawk-trainer-374394/

画像はRAFのホークT2。4Sqn(1912年創設)の100周年記念塗装を施されている。

BAEシステムズは、ホークAJTの販売数が990機に達したと発表。6月調印のサウジアラビア向けホーク165×22機が最新だが、インドの飛行展示チーム、スルヤ・キラン向けの20機が数週間内に確定する見込みとしている。現用はインド国産のHAL HJT-16 キランMk.2。

http://indianairforce.nic.in/show_gallery.php?cat_id=17&pg_id=3

本来の後継機は同じくインド国産のHJT-36 Sitaraであるはずだが、初飛行から10年近く経った今も調達は進んでないみたいなので、まだ開発中に近い状況と思われる。

http://www.airforce-technology.com/projects/hjttrainer/

それはともかくとして、この交渉がまとまればホークの累計は1010機になる勘定だ。
なおホーク165の仕様は、RAF向けのホークT2と同一であり、EWなどを含む戦闘訓練用のシミュレータを組み込んであるのが特徴。これにより、レーダーや武装を実際に搭載しなくても訓練が行える。

将来型として2015年以降のOC4+という仕様がアナウンスされているが、これは米国のT-X向け提案と関連したものということしかわからない。ソフトウェアを指してるようだが。

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インド向けP-8Iの2号機が初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-indias-second-p-8i-makes-flight-debut-as-testing-advances-374442/

P-8Iの2号機は、インド海軍機としての登録番号IN321をつけた機体となる。
7月12日、ボーイングのテストパイロットの操縦で、レントンからシアトルまで2時間14分間飛行した。飛行中にはシステムチェックが実施され、最大高度は41000ftだったとのこと。
この5日前には、1号機にあたるIN320が飛行試験を開始。今のところ計画通りに進行しており、2013年に引き渡し予定とされる。

今後は、ワシントン北西のニア湾(東日本震災の漂着物で話題になったとこ)と、カナダと米国の共有するジョージア海峡(ブリティッシュコロンビア州とバンクーバー島の間)のテストレンジにて、数ヶ月間の試験日程が組まれている。これにはミッションシステムと翼下パイロンに模擬弾を搭載しての試験などが含まれる。

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C295の対艦ミサイル搭載試験

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-c295-makes-first-test-flight-with-anti-ship-missile-374391/

C295のMPA型開発の一部として、対艦ミサイルを搭載しての飛行試験が行われている。
翼下パイロンに搭載されているのは、MBDAのMarte Mk.2/Sで、重量は310kg。Mk.46魚雷の搭載試験は2010年に実施済みで、インテグレーションまで完了している。

比較的好調なセールスを記録するC295であるが、チェコでは自己防御システムの能力不足が指摘されたりもした。

http://www.spacewar.com/reports/Czech_armys_CASA_planes_fail_anti-missile_tests_999.html

チェコでは、An-26の後継機としてC295Mを4機導入している。海外展開に備えて対ミサイル装備DASの試験を行ったところ、17箇所のうち7箇所が作動しなかったとか何とか。機体設置のセンサの話?
当局はメーカーに対応を依頼済みだが、この話はこれだけで終わることではなかった。同機種が2010年以来、数度の飛行停止を経ているのが問題を大きくしているようだ。
アビオニクスと通信装置の不具合は修正され、平時の輸送任務と訓練には問題ないとされたが、海外展開などには安全性が不足しているとの判定になった。

さらに調達価格が高すぎるとの指摘から、ありがちな汚職疑惑に繋がっており結構グダグダ。
問題の人物は、2007年1月から2009年5月まで国防大臣を務めたVlasta Parkanová議員で、警察当局から内閣に対して、刑事訴追のためとして免責特権の停止要求が出てる。既に相当クロに近い感じだ。

この手のトラブルは慣れない機材のためという側面もあるはずだが(この場合は旧ソ製→スペインだし)、

MiG-29初飛行から35年/イルクートはYak-130とMS-21に注力/UAC全体としての概観

ロシアUAC関係。

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MiG-29初飛行から35年

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-unified-mig-29-has-bright-future-says-korotkov-373456/

MiG-29は1983年からソ連で就役したので、今年10月上旬がちょうど35周年ということになるらしい。FlightGlobal調べでは24カ国で約800機が現役であり、世界で使われている戦闘機の5%を占め、順位で言えば5番目とされる。
現在の発注状況は、インドとロシア向けの艦載タイプK/KUB型が53機のほか、ミャンマー向けの第2バッチがあって約75機と言われる。

輸出向けの販売は、クラシックMiG-29の終息から後、Unifiedと呼ばれるM/M2型が主体。TVCを組み合わせ、更に強力なセンサ(Zhuk-AEなど)を積んだMiG-35が最新型ということになるが、インド向けMMRCA提案で不採用となったために採用国はない。
UnifiedのM/M2型からはデジタルFBWの採用をはじめ、より強力なエンジンとそれに見合った機内燃料の増加、全般的な性能向上、自己防御装置の改善などの変更点があるが、アビオニクスに関してオープンアーキテクチャを取り入れたことも特色としてあげられている(拡張性が高い程度か?)。
多くの国においてクラシックMiG-29が早期退役することになった最大の原因、高い運用コストについても、改善が図られている。エアフレーム寿命は6000時間となり、時間あたりの運用コストはクラシックに対して1/2.5(=6割減)になったとされる。

M/M2型以降、性能は順当に向上していたはずだが、販売はいまいちだった。特にアルジェリアから返品されたのは痛かったと思うが、2011年にインド向けK/KUB型が採用されると艦載型で(ちょっとだけ)息を吹き返した観がある。
MiGとしては、他の第4世代(ロシア風に言うと4++世代)戦闘機に劣るものではなく、コスト効率の高さを前面に押し出していきたいようだ。M2型は5月のカザフスタンでのエキシビションでもデモンストレーションを実施している。
ここでMiGの重役としてコメントしているのはSergei Korotkov氏。

クラシックMiG-29を保有する国に対しては、アビオニクスなどのアップグレード改修を用意している。ロシア空軍などのSMT型がそれだが、MiG-29UPGが最新。これはインド向けを指しているはず。

MAKS 2011からインドに帰るとこ。

http://www.youtube.com/watch?v=lHGPemHQszQ

メーカーとしては機体を売るだけではなく、ライフタイムサポートという形で長期契約を目指しているとのことで、アフターサービス関連の利益が大きくなってるというが、それって単に新造機がうれてなry

アップグレードに関しては、ポーランド向けを今年初めに受注。32機のうちA型13機とUB型3機を2030年まで使うためのものだった。

戦闘機以外ではMiG-ATがまだ生きてる。1996年の原型機初飛行以来、受注はゼロのままだが、社内的には艦載機パイロット訓練用のシミュレータ開発に利用されたとある。開発用の飛行実験機みたいになってるのか。

今年のファーンボロには機体を持ち込んでいないが、関連業者や顧客との一連の会談は設定していた模様。

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イルクートはYak-130とMS-21に注力

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-yak-130-ms-21-charge-irkuts-growth-model-373523/

イルクートの現社長 Alexey Fedorovのコメントを交えた記事。

80年の歴史を持つシベリア、イルクーツク工場の製品は、年間のロシアの兵器輸出のうち15%を占める。現在はYak-130とSu-30が主力製品。いずれも2011年後半にロシア空軍から大規模な調達が決まっている(Su-30SM×30機、Yak-130×55機)。またYak-130については、最初の海外顧客となるアルジェリア向け16機の輸出が完了した。今後のSu-30の見通しはロシアとインド向けの 需要が潜在的にあるとし、メーカーとしては次の10年を安定的に乗り切れると予想している。

軍用機の製造体制で穴ができるのは、ロシア軍向けのSu-35からPAK-FAまでの間で、ここをYak-130が埋めるというのが会社としての目標となり、ファーンボロにYak-130を持ち込む大きな動機にもなった。ショーへの参加に関しては、最近の2~3年は試験が続いていて、余裕がなかったというのが実情のようだ。
今年初めに10カ国程度の潜在顧客と交渉したという報道があったが、受注目標は300~400機としており、そのうち1カ国とは2012年内に契約予定となっている。
開発の上では、軽攻撃機化などの更なる能力向上が計画されているものの、ロシア向けでは失敗した(Su-25後継機)。

 

そのルーツからして軍用機市場を中心にしてきたイルクートであるが、民間部門もMS-21の開発がスタートした5年前から存在感を増している。
MS-21は150席から210席までの3モデル展開で、エンジンはPW1400GまたはAviadvigatel PD-14。現在は詳細設計段階にある。目標売上高は2020年代の10年で40~50億ドル。短・中距離型が65~75%を占める見通しで、就航予定は当初計画から1年遅れの2017年としている(もっと遅れるという観測については否定された)。
図面と3Dモデルは既に製造施設に送られ、その他サプライヤーなどとの契約も進められている。また複合材製の長さ10mのウイングボックスを試作し、TsAGIで応力試験を行ったとのこと。

内装の検討は詳細に行われており、LCCから長距離路線まで、あらゆるカスタマーの希望に応えうる多種多様な組み合わせを提供する予定。実際に乗務する者にとってはエンジンよりも重要であり云々。
ただし今のところ発注は、ロシア国内に留まっている。今後はCIS諸国、東南アジアとインドへの売り込みを行っていく。希望としては欧州そして北米市場も狙いたいところだが、難しそうだな。
製造計画では、P&Wを含むパートナー各社と大規模な市場調査を行い、1200機程度の需要を見込む。エアバス、ボーイングの牙城を崩すところまでは難しいとしても、1~2社が食い込む余地はあるとの見方で、そこにはMS-21とおそらく中国メーカーが入ってくるだろうとし、ボンバルディアには勝つという自信を示している。まあ、露中ともお国のエアラインがあるからなあ。

最新の受注は6月27日のRostekhnologiiのリース部門、Aviakapital-Servisからの27機。オプション35機で、総額23億ドル以上とされる。内訳は、17機が150席のMS-21-200、18機がMS-21-300とのこと。これで確定受注数は全部で110機、オプションまで全部足したら235機となって、メーカーとしては現段階で満足できる数字との見解。
また、新しく選定されたロシア国産エンジンのPD-14搭載型については、2022年から2025年とだいぶ先の話のようだ。政府機関向けにはこちらが導入されるという。

ロシアの航空産業から見たMS-21とスーパージェット100の役割は、先端技術を投入した機体を大量に製造することのみに留まらず、カスタマーサポートを国際的に競争力があるレベルまで高めることであるとされ、それが最も困難であろうというのはメーカー自身も認識しているようだ。
もっと先の話では、2列通路の大型機への発展も構想されているという。ナローボディの経験を積んでその先へ、というのは中国でも似たような手順を踏むだろう。

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UAC全体としての概観

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-united-aircrafts-sky-high-ambitions-373633/

昨年、ロシアは20兆ルーブル規模の予算で軍事力再建を目指す計画の一環として、大規模な軍用機の調達を実行に移した。これは実に20年ぶりとなるもので、2011年の契約だけで作戦機250機、2010年代を通して、さらに400機が追加されることになっている。言うまでもなくロシアの航空宇宙産業界にとっても極めて重大な意味を持つ展開となった。
前の10年は輸出を大きな柱としていたが、次の10年は自国向けの製造と第5世代戦闘機の開発が柱になる。

最近の契約状況と見込みの話は省く。

PAK-FAの状況は、最初の性能実証機がロシア空軍に引き渡されるのは2013年、それからロシア国防省では製造承認を与える見込みで、250機ほど調達されることになっている。またインド向けのFGFAは200機で、こちらは今年初めにHALの人員を加えて性能要件を確定させる作業まで来てるそうだ。
PAK-FAの売上目標は600機。これはMikhail Pogosyan社長が就任する前から公言されているのと変わらない数字だ。

またPAK-FAの販売に楽観的である理由の一つに、Su-27/30シリーズの輸出が好調であったことを挙げている。1000機という目標だったが、FlightGlobal調べでは770機が現役、この先はSu-34/35といった発達型も出てくるから、PAK-FAはともかくとして、Su-27系全体では目標に達する可能性が結構高いと言える。

PAK-DAとSu-25後継機のまとめは省き、輸送機ではIl-76の近代化タイプ、An-70(100機調達予定)とMTAが進行中。MTAは情報が乏しくて停滞してるのかと思われたが、何のかんのでロシアの支持を取り付けて動いてるみたいだ。こちらはロシアで100機、インドで45機と第三国向け60機とされる。

以下民間部門の話は省略。

インドがPC-7 Mk.II調達でピラタスと契約/サウジアラビアは新型練習機を導入する/バングラディシュはUSAFで余剰のC-130E購入を検討/オマーンがC-295を発注/サウジアラビア向けタイフーンについて

インドがPC-7 Mk.II調達でピラタスと契約

http://www.flightglobal.com/news/articles/pilatus-signs-pc-7-mkii-contract-with-india-372270/

インドはピラタスと、PC-7 Mk.II×75機の調達契約を締結した。金額は5億スイスフラン以上とされている。内容は、概ね今月初めにインド内閣が承認したと報じられた通り。
機体と訓練システム機材の引き渡しは2012年Q4からを予定しており、契約には地上訓練設備と兵站支援が含まれているとのこと。オプション契約条項は3年間の期限付きだが、ピラタスは楽観視しているようだ。

技術移転と、30年間運用する前提でのインド国内の整備施設もあり。オフセットは30%。

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サウジアラビアは新型練習機を導入する

http://www.flightglobal.com/news/articles/saudi-arabia-signs-102-aircraft-military-training-deal-372229/

BAEシステムズによると、サウジアラビアは次世代の訓練システム向け機材として、ホーク×22機とピラタスPC-21×55機の導入を決定している。
5月23日の政府間取引は、総額およそ16億英ポンドと発表された。BAEシステムズが全部まとめて請ける形。

今後、サウジアラビア空軍の主力となる機体はタイフーンとF-15SAの改修型で、これらの搭乗員訓練に用いられることになる。
現用の練習機はホーク65/65A×45機(うち29機は1987年から1988年にかけて納入された古い機体)、ピラタスPC-9×47機。これらが順当にそれぞれの後継機種に移行することになる。自国産でもないのにこういう継続性が見られるケースは、わりとまれな気がするが、それだけ両国の防衛協力の結びつきが強いということだろう。

PC-21の引き渡し時期は2014年以降で、ホークは2016年以降。この他に初等練習機25機が含まれるとのことだが、機種は公表されていない。パッケージとしてはシミュレータ、支援機材、サウジ側の人員訓練などを含む。

PC-21は今のところスイスとUAEに採用され、ホークは最新型のホークT.2/128×28機がRAFに引き渡されたが続く発注がない状態だった。

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バングラディシュはUSAFで余剰のC-130E購入を検討

http://www.flightglobal.com/news/articles/bangladesh-seeks-four-refurbished-c-130es-from-usa-372217/

バングラディシュ空軍は現在、C-130Bを4機保有している。これらは1960年から1962年にかけて配備されたもので、50年にわたって使われてきた大ベテラン。これらを近代化するため、USAFで余剰となったC-130Eの購入を打診していた。

B型と言えば相当初期型。震災後の救援で日本にも来てましたね。

http://flyteam.jp/photo/Bangladesh%20-%20Air%20Force/Lockheed%20C-130B%20Hercules%20-L-282-/28404

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/3/0330_04.html

米国DSCAによると、バングラディシュ向けに提案されているC-130Eは、機体の再生、オーバーホールと改修、兵站支援までが含まれ、訓練とその他支援機材、T56エンジン20台が加えられている。
金額は1億8000万ドルで、米国内での改修などについては、競争入札で業者を選定することになっている。

DSCA曰く、地域レベルでの人道支援や国際貢献、PKO活動、対テロなどに役立つ(そして米国の国益にも適う)とのこと。

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オマーンがC-295を発注

http://www.flightglobal.com/news/articles/oman-orders-c295s-for-airlift-maritime-patrol-duties-372092/

5月19日、オマーン空軍はエアバスミリタリーに対してC-295×8機を正式発注した。エアバスミリタリーによると、このうち5機が普通の輸送型で、3機がかねてより提案されていたMPA型とのこと。これらはスペイン国内、セビリアのサン・パブロ工場で製造される。

オマーン空軍の現用輸送機は、ショートSC7・スカイヴァン3Mが5機。これらは1970年から1975年にかけて引き渡された機体で、やはり相当に古い。C-295 MPAに該当する機体は無かったようだが、領海内の海洋監視、海賊、不法入国・密輸etcへの対応に力を発揮するはずだ。

契約金額は公表されていない。特筆すべき事項としては、原油流出に備えたpollution control systemというものが初めて装備されるとある。貨物パレットに搭載されるタイプらしい。

これかしら。

http://www.biotector.com/pages/applicationsfolder/airbusfolder/airbus.html

C295の受注は今年に入って既に24機と好調。というか去年が5機とどん底だった模様。
同社では30機受注を予想している。カメルーンとの商談などがあるようだ。オマーンのように旧式機を代替する需要が大きくなっているから、市場としてはそこそこ有望ではある。

また、もう一つの新しい派生型、C295 AEW&Cについては、3カ国と予備的な交渉が行われたというが、国名は明らかにされなかった。

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サウジアラビア向けタイフーンについて

http://www.flightglobal.com/news/articles/saudi-arabian-typhoons-to-get-capability-boost-371967/

Al Saram計画において、サウジアラビア(RSAF)向けのタイフーンは72機が発注されているが、うち48機分の契約の修正が話し合われる中で、組立作業は一端中断される形となっていた。この交渉は今年初めに修正契約が締結されて決着し、1月には組立作業が再開される。現在はウォートンのBAEシステムズの工場で、最初の機体の最終組立が始まったところ。

RSAF向けのタイフーンはトランシェ2が基本となっているが、修正後の契約では将来の改修・能力向上に備えた変更が加えられることになった。変更は大きく2つで、AESA搭載改修、およびCFTの設置点が設けられるとのこと。

現在、RSAFのタイフーンは24機が配備済みで、すべてTaif空軍基地に属している。今後は、短期的にはターゲティングポッドとPGMの装備を計画中。フランス製か米国製。
72機という大規模な導入となっているため、利益を上げるかどうかという点を除けば、ほとんどユーロファイター主要4カ国に準じた扱いになってるようだ。

BAEシステムズ・サウジアラビアは従業員5300名、うち3500名がサウジアラビア国民という。