米陸軍がUAVからの迫撃砲弾発射をテスト/米海軍はUCLASSのRfP(草案)を2012年内に発出する見込み/トルコがAerostar UAV運用を打ち切り?/イラン空軍機が米国のUAVを攻撃

米陸軍がUAVからの迫撃砲弾発射をテスト

http://www.generaldynamics.com/news/press-releases/detail.cfm?customel_dataPageID_1811=18078

米陸軍ARDECは、ゼネラルダイナミクスと協力してUAVから迫撃砲弾を発射するテストを行った。小型UAVが搭載可能なPGMのデモンストレーションとされている。

使用されたUAVは、L-3のタイガーシャークUAVで、オクラホマ州フォートシルに近いレンジにて、高度7000ftから3発の迫撃砲弾を発射した。これらは標準的な81mm迫撃砲弾であり、GPSとINSを利用して目標に指向される誘導キットと組合せ、目標地点の7m以内に着弾したとのこと。
メーカーではAir Drop Mortar (ADM)と呼んでおり、この実験では10ポンドクラス誘導弾の例を示した形となった。なおタイガーシャークUAVのペイロードは30ポンド。
また誘導キットはゼネラルダイナミクスが特許を取得したもので、Roll Controlled Fixed Canard (RDFC)と名付けられている。
詳細は陸軍の資料にて。

http://www.dtic.mil/ndia/2012armaments/Wednesday13995habash.pdf

これの空中発射型がADM。普通のM821砲弾と信管で9.1ポンドのところ、RDFCを追加した重量は10.8ポンド。また120mm迫撃砲弾にも適用可能。

http://www.defenseindustrydaily.com/Mortars-from-Aircraft-The-Shadow-Knows-05226/

このクラスでは、レイセオンのSTMが12ポンド(製品名がPyroとなっている)でGPS/INS誘導またはSAL誘導の小型PGM。またLMがシャドウホークという11ポンドのSAL誘導の小型PGMのデモンストレーションを実施している。こちらはRQ-7を使ったデモンストレーションだった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-unveils-gravity-bomb-for-uav-371344/

コストでは81mm迫撃砲弾+誘導キットのADMが有利っぽいが、GPS/INS誘導のみなので精度はSALなどに比べて劣ると思われる。
このクラスになると大抵の小型UAVに搭載可能で、自衛隊が導入するRQ-21みたいのでも積めるはずだ。

 

これらに先行して、米海軍NAWCなどで開発されていたのがスパイクというやつで、重量は更に軽く5.3ポンド(試作原型時)、全長25インチだった。歩兵携行型の無誘導ロケットとATGMの中間にあたるもので、SAL誘導。小型UAVへの搭載も考慮されていた。

http://www.designation-systems.net/dusrm/app4/spike.html

http://defense-update.com/products/s/spike_laser.htm

推進システムを有するため、弾頭は1ポンドと小さい。射程距離は2200m程度。
主に低価値目標に対して用いられる安価な誘導兵器として開発が進められた。2003年末からSDD、2007年に実射が行われたようだが、その後の進展は不明。

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米海軍はUCLASSのRfP(草案)を2012年内に発出する見込み

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-to-issue-draft-rfp-for-new-unmanned-strike-aircraft-before-years-end-378562/

UCLASSについては8月に一部の要求仕様(の草案)が開示されたという話が出ていたが、2012年末までにRfP草案が出る見込みとのことで、ここで全体像がはっきりする事になる。
2020年のIOC獲得に間に合うのか微妙な気もするが、その段階では艦上機として完成させる事は必須でない上、最初から発展性なりアップグレード余地を求められているので、当初の能力は、相当限定されたものに留まるのかもしれない。

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トルコがAerostar UAV運用を打ち切り?

http://www.flightglobal.com/news/articles/turkey-set-to-axe-aerostar-uav-deal-378532/

トルコは2005年、イスラエルのIAIからヘロンUAV(地上管制ステーションはエルビット)を調達する契約を締結したが、その後、計画の遅れによってAerostar UAVを繋ぎとして導入している。
ヘロンUAVの方は、二国間の関係悪化とは関係なく運用されている模様であるが、Aerostar UAVの方はここ数ヶ月間、運用に問題があるという情報が出ていたようだ。今回の報道もトルコ側から出ているもので、運用打ち切りと機体(3機)の返還を検討、となっている。メーカーのAeronautics Defense Systemはこれを否定した。

Aerostar UAVについては、10月にポーランド軍が2機の調達(約3500万ドル)をキャンセルしたばかりか、補償金の支払いまで求めている。
こちらも運用上の問題とされていたので、如何に二国間関係が悪化してるとはいえ、政治的にどうこうというよりは、何かしら問題がある装備なのか、セールスがよほど巧みだったのか。いずれにしてもいただけない話ではある。

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イラン空軍機が米国のUAVを攻撃

http://www.spacedaily.com/reports/Iranian_jets_fired_on_US_drone_in_Gulf_Pentagon_999.html

米国防総省は、ペルシャ湾の公海上空でイラン空軍の戦闘機が米軍のUAV、MQ-1を攻撃したと発表している。インシデントは11月1日に起こったが、大統領選挙の後で公式発表された。
位置はイランの海岸線から16海里のあたりで、攻撃を仕掛けたのはSu-25、警告ではなく撃墜を意図した発砲だったとされている。MQ-1に命中弾はなく、そのまま帰投した。以後、攻撃を受けるケースは発生していない。ミッション自体は、ルーチンとなっているイラン側の監視であり、今後も継続するとのこと。

米国はペルシャ湾方面に対して、2個CVBGの配備や、UAEへのF-22の展開といった形で軍事的プレゼンスを強めている。
またこれと別に米国務省は、国際衛星放送の妨害とインターネット接続における検閲を止めるよう要求しており、後者については検閲を外部から強制的に停止させるような言い回しをしているみたいだ。

ブラモスの誘導システムはGRONASSに対応する/IAIがインド向けUAVの近代化改修を受注/インドとロシアがMTA開発で合意

ブラモスの誘導システムはGRONASSに対応する

http://www.spacedaily.com/reports/Indian_BrahMos_using_Russian_GPS_system_999.html

イズベスチヤ紙が報じたところでは、ブラモスの長距離誘導システムはGRONASSに対応しているとのこと。ロシアの装備としては、Kh-555とKh-101(2013年配備予定)において採用されているとの情報がある。
匿名の関係者によると、GRONASSを利用することで、その射程距離は300マイル以上に達するという。
核搭載可能という話は前から出ていたっけか。下手な弾道ミサイルより対処しにくいような気がするが。

また、タイムズ・オブ・インディア紙の記事によると、10月8日の週にTalwar級第2バッチの1番艦、INS Teg(カリーニングラードのYantar造船所で竣工、4月27日引渡し)からブラモスの試射が行われ、成功している。この試射では、高機動飛行して目標に命中したと伝えられている。

海軍向けは2005年から配備されており、現在は空軍向けの空中発射型の調達が進行中。8月時点では金額11億6000万ドル、200発以上という装備計画が明らかにされている。これらは45機のSu-30MKIが搭載可能。

これとは別に、Su-30MKIのうち約40機を近代化改修する計画がある。金額は37億7000万ドルで、内容はHUD、Sigma-95航法システム(GPSと慣性航法装置の複合)、レーダー、LITENINGターゲティングポッドのインテグレーションなど。11月1日予定のプーチン大統領訪印時に調印となる見通し。
両国が合意すれば、2014年から2015年にかけて引渡しというスケジュールになる。

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IAIがインド向けUAVの近代化改修を受注

http://www.spacedaily.com/reports/Israels_IAI_wins_958M_India_drone_deal_999.html

IAIは、インド向けに提案していたヘロン及びサーチャーUAVの近代化改修案が採用され、総額9億5800万ドルの契約を締結したと発表した。
UAVはイスラエル防衛産業の主要な輸出品であるのは周知の事実であるが、グローブス・ビジネス・デイリー紙(が引用したインド国内報道)によれば、1990年代以来、インドはIAIから合計150機程度のUAVを購入しているというから、相当の数になる。改修の大きなポイントは衛星通信を経由した管制・操作への対応とのことで、機体の能力の範囲でより長距離のミッションが可能となる。
現在、陸軍の運用するサーチャーUAVは約100機で、西、東、北の国境線(要するに海以外全部)に沿って配備されている。空軍はサーチャーII及びヘロンUAVを運用している。

8月の米議会の調査では、イスラエルの兵器輸出額は2004年から2011年までに129億ドルとのことで、世界で8番目(米露仏英独中伊の次)とされている。世界的な軍縮の流れに影響を受けはしたものの、特にIAIに関してはインド向けの取引が支える形となった。
主なものだけでも、2004年、Phalcon AWACS×3機(11億ドル)、2006年、IAIとDRDOがミサイル共同開発(4億8000万ドル)、2009年、バラク8艦載SAMシステムの調達と共同でのインテグレーション(11億ドル)、およびSpider SAMシステム×18セット(10億ドル)といったものがある。2007年には、インド向けの兵器供給に関してフランスを上回り、ロシアに次ぐ2番目ともなった。
この他にもインドはアロー2 ABMシステムについても興味を示しているというが、これは共同開発した米国が技術移転を抑えているみたいだ。

イスラエルの防衛産業界は、アジア向けの売り込みを強化しており、2010年は大手3社の従業員数30600人、金額ベースで96億ドルの売り上げがあった。
しかし今年3月に、2009年の贈収賄スキャンダルが発覚したことで、当事者のIMIは10年間のブラックリスト入り、その他のイスラエル企業に対しても、締め付けが厳しくなったと伝えられている。

最後にイスラエル防衛産業について、Oxford Analyticaの分析が出ている。
こんにちイスラエルの防衛産業を支える製品群の開発は、1973年のヨム・キプル戦争と1970年代後半から1980年代にかけてのハイジャック対策における経験から始まった。そこにはUAV、空港警備ネットワークといったものが含まれ、イスラエル軍の装備とされたが、これらは長らく輸出先のいない状態が続いた。イスラエルにとっては一度通った道であるというわけだ。

とは言え、無人兵器システムの普及については、搭載機器の小型高性能化もでかいと思う。

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インドとロシアがMTA開発で合意

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-russia-launch-delayed-medium-transport-aircraft-377608/

10月12日、ニューデリーにおいてインドとロシアのJVによる中型輸送機MTA(=Il-214)について、最終合意に至ったと発表。このためのJVはMTALと呼ばれ、インドのHALと、ロシアのUACが出資して設立される。

MTAの計画進行は遅延を重ねてきたが、インドの政治家からは、これ以上遅延した場合は計画を破棄せよという声もあった。The Hindu紙によれば、インドのAKアントニー国防相も手放しでは歓迎しておらず、別の情報源によれば、計画遅延によって生じたギャップはKC-390などの競合機種を利するかもしれないとの懸念が示されたという。

実のところこの手のグダグダの末に、まともな製品が完成した例が多くないというのは確かかもしれない。インドは特に自国産が失敗続きだ。

ロシア側のUACは、例によって成功を確信しているという類のコメントを出している。なお開発はロシア主導になる模様で、HALの技術者多数が近いうちにモスクワ入りする予定とのこと。

MTAについて復習しておくと、MTOW65ton、ペイロード18~20tonという規模のターボファン双発中型輸送機で、新規開発のPD-14エンジンを搭載する。スパン30mで、計画上は最大速度800km/h。インド軍はAn-32とHS 748、ロシア軍はAn-26とAn-30の後継機として配備する計画となっている。
機体規模はA400MやC-2よりも小さく、C-130Jとほぼ同等でより高速、KC-390とはかなり被る、といった感じ。C-1に近いと言えば近いが、特殊な機体なので比較対象として適切かは微妙。でも大きさだけはだいたい同じと言っていい。
なおPD-14は、MS-21のエンジンとしても使われる予定。設計面ではGE Leap-Xにかなり似ているとの指摘もある。

製造機数については、今年初めの時点で軍用輸送機型がインド向け45機、ロシア向け100機、民間輸送機型が60機程度を見込むとなっていた。

グリペンNGデモンストレータがスイスへ飛来/ダッソーがAESA装備のラファール生産型1号機を納入/エルビットがコロンビアにてミッション・トレーニング・センター建設を受注/イスラエル空軍のF-16が任務復帰/インドネシア空軍にスーパーツカノ、CN295が引き渡される

グリペンNGデモンストレータがスイスへ飛来

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-gripen-demonstrator-arrives-for-latest-swiss-promotion-377312/

10月3日、グリペンF開発機にあたるデモンストレータと随伴機のグリペンDが、スウェーデンのLinköpingからスイス、エメンの第7空軍基地に到着した。飛行時間は2時間ほどだった。
10日間の滞在期間中、スイスの国防委員会に公開されるほか、スイス側のパイロットの操縦でAxalpエアショーにも参加することになっている。

Axalpエアショーは、スイスアルプスの山中、標高2000mあたりにある演習場において実弾射撃とフライトディスプレイが行われる事で有名。死ぬ前に一度ぐらい見てみたい。

参考:地元スイス在住、Daniel Rychcikさんの個人頁。

http://airshow-reviews.com/index.html

スイスでは、今のところF-5後継としてのグリペンE/F選定は覆っていないものの、契約にも至っていない。ダッソーの物言いがついて以来、議論は継続している。今のところ2013年後半から2014年中頃にかけて契約見込み(2018年から納入)と言われている。

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ダッソーがAESA装備のラファール生産型1号機を納入

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-france-accepts-first-aesa-equipped-rafale-377216/

AESA(タレスRBE2)を搭載したラファール最初の生産型は、機体番号C137となる単座型。10月2日、ダッソーのMerignacにて最終組立の後、DGAに引き渡された。Mont-de-Marsan空軍基地に到着するのはもう少し先のことで、さらに実戦配備となるのは2013年中頃とされている。

C137以降の規格はF3-04Tと呼ばれ、RBE2搭載の他にも、機体前部の光学センサ(タレス製)、DDM-NG受動ミサイル接近警告装置(MBDA製)が搭載されている。フランス向けの最新バッチは、空海軍合わせて60機。

ユーロファイター、グリペンに先んじてAESAを搭載することは、選定済みのインドMMRCAだけでなく、ブラジルF-X2向け提案などにおいても重要な要素の一つとなっている。

なおDGAの発表によると、フランス軍が発注したラファールは合計180機で、うち111機が引き渡し済みとなっている。内訳は、海軍向けM型が36機、空軍向け単座のC型が37機、同じくD型が38機。

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エルビットがコロンビアにてミッション・トレーニング・センター建設を受注

http://www.flightglobal.com/news/articles/elbit-lands-colombian-mission-training-centre-deal-376844/

エルビットシステムズは、コロンビアからミッション・トレーニング・センター(MTC)の建設を受注した。金額は1850万ドルで、2014年竣工予定となっている。正確には顧客名は明かされていないものの、情報筋によるとコロンビアで間違いないとのこと。
コロンビアでは、イスラエルで余剰となったクフィルを導入していることもあるので、状況から見ても不自然ではない。

MTCは、一言で言えば様々な任務シナリオを想定した訓練が可能な施設であるが、同社ではイスラエル空軍向け(主にF-15とF-16のパイロットを対象とする)のMTCを建設した実績がある。

なおコロンビア空軍の主要装備機としては、クフィルの他にA-37やEMB-314スーパーツカノ、OV-10などがある。

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イスラエル空軍のF-16が任務復帰

http://www.flightglobal.com/news/articles/israel-clears-repaired-f-16cd-fighters-for-duty-377190/

イスラエル空軍のF-16C/D Barakは7月、インテイク内の塗装剥離がFODを引き起こし、離陸直後に緊急着陸するというインシデントが2件発生。以来、対策がとられるまで飛行停止措置が続いていた。

対応として、9月末までに古い塗料を除去、再塗装を実施している。原因は、今夏イスラエル国内を襲った異常な高温によるものと結論づけられた。

8月20日付だがロイターの動画ニュース
47度…

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インドネシア空軍にスーパーツカノが引き渡される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-indonesian-air-force-inducts-first-four-super-tucanos-376603/

インドネシア空軍は、OV-10の後継機として2010年11月、スーパーツカノ8機を発注した。2012年7月には8機の追加発注を発表している。
9月初め、ジャカルタのハリム空軍基地に到着したのは、このうち最初のバッチ4機に該当するもの。サンパウロで8月6日に引き渡し式典が行われてから、12カ国を経由して飛来したとのこと。
残りも2013年内、さらに追加分の8機は2014年内の引き渡しが計画されている。

時代がかった巨大なシャークティースが目立つ。OV-10でもこんなのあったなあと思ったが、インドネシアじゃなかったみたい。フィリピンかこれは。

http://www.flightglobal.com/blogs/asian-skies/2012/02/something-fishy-about-this-phi.html

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インドネシア向けのCN295引き渡し式典

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-receives-first-two-c295s-376711/

もう一つインドネシアの新装備の記事。

エアバスのセビリア工場最終組立ラインにおいて、インドネシア向けのCN295、2機の引き渡し式典が行われている。2月のシンガポールエアショーで合意に至った発注機数は9機で、2014年夏までに完納の見込み。

この調達計画では、インドネシア側の作業分担が相当量に上る。地元のPT Dirgantara Indonesia (PTDI)は、後部胴体から尾翼、外板パネルを製造し、整備センターと最終組立ラインも設置することになっている。
セビリアで引き渡された2機に続いて、7機目まではPTDIからの引き渡しという形になり、8機目と9機目はインドネシアで最終組立まで行う。

これらの機体は輸送と救急搬送、人道支援に用いられる。

イスラエルはガス貯蔵施設の防衛にUAVを使用する/ヘルメス450のリエンジン/イランが自国製UAVを公開する/中国はUAVによる海洋監視能力を強化する/パキスタンは自国製UAVの製造を準備中

イスラエルはガス貯蔵施設の防衛にUAVを使用する

http://www.flightglobal.com/news/articles/unmanned-systems-to-help-protect-israeli-gas-reservoirs-377185/

近年、イスラエルの領海内の地中海にてガス田が発見されており、イスラエル空軍と海軍がその防衛に当たっている。このうち空軍は、IAI Heron 1 “Shoval”を海洋監視任務に就けている。他のプラットフォーム(有人のMPAや巡視船を指す?)に比べると能力は劣るものの、そのソーティ数は増加傾向にある。

これらのHeron 1は能力向上が継続的に行われているようで、Elta製のELM-2055 SAR/GMTIペイロードの供給が始まっている。ELM-2055は、モジュラー構造とオープンアーキテクチャが特徴で、小型の戦術UAVから搭載可能な、軽量のシステムとして運用可能ということになっている。

http://www.iai.co.il/34481-34548-en/Groups_ELTA_EltaNumber_Products-ELM.aspx?btl=1

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ヘルメス450のリエンジン

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-air-force-re-engining-hermes-450-fleet-376841/

イスラエル空軍は、運用中のヘルメス450について、リエンジンによる能力向上を計画している。新型のエンジンR902(W)を搭載することで、騒音を減らし、より長時間の滞空と長距離の進出が可能になるとのこと。一部の機体には既に搭載され、静粛性を必要としない任務に就く機体や、訓練用の機体は、そのままになっている。

リエンジンの前には、騒音を低減するためのマフラーのようなものを試したが、結果は芳しくなかったようだ。

R902(W)は燃焼室が拡大され、出力は70hp(52kW)まで増加、滞空時間は従来型の20時間を上回るとされる。

http://www.israeli-weapons.com/weapons/aircraft/uav/hermes_450/hermes_450.html

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イランが自国製UAVを公開する

http://www.spacedaily.com/reports/Iran_unveils_indigenous_drone_999.html

Witness 129 unmanned droneと書かれている。航続距離2000kmで、武装できるということになっているらしい。

ITNの映像ソース。9月25日付。

http://www.youtube.com/watch?v=vRTASaX7XAo

見た目はRQ-170というより、ヘルメス一族に近いというかほぼそのまんまというか。
パレスチナかシリアかどっかで墜ちたのを買い取って解体研究したかトルコ経由か?

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中国はUAVによる海洋監視能力を強化する

http://www.spacedaily.com/reports/China_to_promote_drones_for_marine_surveillance_999.html

新華社通信の報道によると、連雲港でUAVを使用した海洋監視の実験を行ったとのこと。
日本語記事あった。

http://www.xinhua.jp/socioeconomy/politics_economics_society/310767/

記事だけ読むとなんか凄そうなことを始めたかと思わされるも、写真を見ると機体が雑多すぎて何がしたいのかよくわからんという。

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パキスタンは自国製UAVの製造を準備中

http://www.spacedaily.com/reports/Pakistan_readies_production_of_UAVs_999.html

パキスタン国防相が国内メディアとの対談において、自国製UAVの製造について言及している。
同国におけるUAVに関わる産業は、パンジャブ行政区、イスラマバードの東に位置するKamraの、Pakistan Aeronautical Complex (PAC)という国有企業が最大手になる。

PACでは、SELEXガリレオの技術協力によりファルコUAVを製造している。

http://www.selexgalileo.com/EN/Common/files/SELEX_Galileo/Products/FALCO.pdf

http://www.airforce-technology.com/projects/falco-uav/

この機種は元々非武装で気象観測と情報収集のために作られたものであるが、PACでは武装型を開発する予定。これがファルコXNと呼ばれるタイプで、自国製としているものにあたる(後述)。
当初パキスタンは米国製のUAVを欲していたが断られ、PACに独自開発を進めさせるも失敗に終わった経緯がある。

一方、小型UAVの分野においては、Integrated Dynamicsという地元企業が1997年以降、政府と民間向けの市場にUAVを供給している。

またPAC以外のUAVメーカーも数社が存在するものの、世界で7番目という規模の設備を持ち、パキスタン軍向けの航空機をも製造するPACが、飛び抜けて大きな存在であるのは間違いない。

ファルコXNについては、MALE-UAVに分類される機体で、基本的な形態はファルコに準じる。

http://www.pac.org.pk/falco.html

MTOW500kgで、滞空時間14時間。自律飛行モードも備えるなど、それなりに進歩的な機体となっている。

ハネウェルがイスラエル向けM346のエンジンを受注/イラク空軍向けC-130Jが初飛行/RNZAFはP-3K2の乗員訓練を開始する/ボーイングがF-15KのMROセンター建設を発表

ハネウェルがイスラエル向けM346のエンジンを受注

http://www.flightglobal.com/news/articles/honeywell-receives-israeli-order-for-m-346-engines-376125/

ハネウェルが、イスラエル(イスラエル国防省、IMOD)向けのM346に搭載するエンジンF124-GA-200を受注したと発表している。金額は7億3500万ドルとされるが、基数は明らかにされていない。この契約にはスペアパーツとメンテナンスサポートが含まれる。

プレスリリースによれば、F124/F125シリーズの累計飛行時間は70万時間以上に達しているとのこと。
TFE731の軍用タイプとして始まった同型式のエンジンは、1979年に初めて運転された。AIDC経国に搭載されたのが始まりで、以後、大口の採用としてはホーク/T-45でアドーアに負けてたが、M346でやや復活した。
推力倍増計画(F125X)も存在したが、実現はしないだろう。12000ポンド級双発の経国とか胸厚。

イスラエルのM346に関するまとめがあったのでついでに。

ttp://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-firms-to-support-but-not-assemble-nations-m-346-trainers-376324/

結局のところ、イスラエル国内での組立というのが無くなって、1億ドルほどのオフセット契約で決着する模様。

M-346×30機について、イスラエル国内で面倒見るのはIAIとエルビットのJV、TORシステムズ。金額は全部足して6億300万ドルでIMOUと合意。

イタリア側は、ガルフストリームG550 AEW&Cを2機、地上管制系と兵站支援などのパッケージ合わせて7億5000万ドル。

またイタリアのTelespazioとIAIが、監視衛星の共同開発および製造で合意している。金額1億8200万ドル。

イスラエルの企業の分担をまとめると、IAIはAEW&C機と監視衛星、エルビットはM-346の運用と若干のアビオニクス機器の供給という感じらしい。

http://www.ibtimes.com/prnews/20120910/tor-the-elbit-systems-iai-partnership-and-israeli-ministry.htm

TORはエルビットの方が主体っぽい。訓練にまつわるインフラ整備は3年で1億1000万ドル、20年分の運用経費3億1000万ドル。

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イラク空軍向けC-130Jが初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-iraqs-first-c-130j-makes-flight-debut-376108/

9月5日のLMの発表によると8月中旬、マリエッタ工場でイラク向けC-130Jの1号機が初飛行したとのこと。
この機体は今年後半に引き渡し予定で、ストレッチ型のC-130J-30となっており、発注数は6機。軍用および人道支援用途で運用される。

イラク空軍は既にC-130Eのリファービッシュ機を3機運用している。これらは1963年から1964年にかけてUSAFに配備された機体だった。

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RNZAFはP-3K2の乗員訓練を開始する

http://www.flightglobal.com/news/articles/nz-conducts-training-sorties-with-upgraded-orion-376013/

王立ニュージーランド空軍のP-3K2は、L-3コミュニケーションズがアップグレード改修を施した近代化改修機で、航法および通信機器を一新、グラスコクピット化され、新しいセンサシステムとミッションシステムを有する。
ニュージーランド政府は2010年の防衛白書にて、現用のP-3とC-130の扱いについて触れた。これによれば、2030年まで運用してその後は無人機という選択肢を含めて選定するとされている。

P-3K2改修については、2004年10月に2億9100万米ドルで契約し、改修原型機となるs/n:NZ4204は、2005年9月からテキサス州グリーンヴィルにて改修を受けた。これは2008年後半にニュージーランドへ戻される予定だったが、改修に伴うトラブルが複数発生した。アビオニクス入れ替えとグラスコクピット化の際の飛行制御にまつわる問題の他、主翼ストラップのファスナに不良が発見された2010年には、半年もの飛行停止措置がとられたりしている。結局、RNZAFがこれを受領したのは3年遅れの2011年5月になった。

この9月下旬には新たに2機が引き渡し予定で、うち1機が受入試験中となっている。試験・評価計画においては、まずSARと海洋監視任務に関する能力を確認する。
訓練任務は、オークランド近郊のRNZAF Whenuapaiを中心に行われる。

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ボーイングがF-15KのMROセンター建設を発表

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-to-set-up-f-15k-mro-centre-in-s-korea-376031/

ボーイングは、F-15KのMRO(maintenance, repair and overhaul)センターを韓国の大邱に建設すると発表した。大邱空軍基地に隣接する経済特区に建てられるようだ。

次のF-X IIIに向けて外堀を埋めてきてるが、既に韓国のF-15Kは60機ほどの勢力になっているので、これらの稼働率を高めるというだけでも意義は大きいと言える。

オランダ軍のスキャンイーグルUAVがソマリア沖へ展開/スペイン軍のサーチャーUAVがアフガニスタンで500ソーティを記録/ポーランドが独自開発のVTUAV、ILX-27を公開/イスラエル空軍がIAI Heron TP/Eitanの飛行を再開させる/EADS Talarionの実大モックアップが名無しになってILAに展示される

オランダ軍のスキャンイーグルUAVがソマリア沖へ展開

http://www.flightglobal.com/news/articles/dutch-fly-first-scaneagle-mission-off-somalia-375990/

8月8日、オランダ国防省は、ソマリア沖に展開したHNLMSロッテルダム(LPD)からスキャンイーグルUAVを飛行させたと発表している。この任務では、アデン湾上空を9時間にわたって飛行したとのこと。同国のスキャンイーグルUAVは陸軍の保有するもので、19人の分遣隊が乗艦して運用に当たっている。
NATOの対海賊作戦Ocean Shieldにおける活動の一環で、HNLMSロッテルダムは8月4日から旗艦の任に就いた。

スキャンイーグルUAVは、公称では16時間以上の滞空が可能とされている。非武装で、EO/IRペイロードから不審船舶の動向を監視・追跡し、リアルタイムで映像を地上ステーションへ送ることが可能。

またHNLMSロッテルダムには、空軍RNLAFのNetherlands Defence Helicopter CommandからAS532クーガー×2機が、対海賊作戦の支援のために配備されている。

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スペイン軍のサーチャーUAVがアフガニスタンで500ソーティを記録

http://www.flightglobal.com/news/articles/spanish-uav-unit-marks-afghan-milestone-375991/

ISAFの発表によると、アフガニスタンへ展開中のスペイン軍は7月、IAIサーチャーII UAVの500ソーティを記録したとのこと。この部隊はISAFの一部としてヘラート空軍基地を拠点に活動しており、西部地区におけるISR能力を担っている。

スペインのUAV装備計画は、PASI unmanned air system programmeと呼ばれるもので、2008年から現在までIAIサーチャーIIを6機導入した。

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ポーランドが独自開発のVTUAV、ILX-27を公開

http://www.flightglobal.com/news/articles/polish-companies-unveil-rotary-wing-uas-376163/

ポーランド、ウーチにあるMilitary Aviation Works (WZL-1)は、同国の国立航空大Institute of Aviation (ILot)、空軍工科大Air Force Institute of Technology (ITWL)とともに回転翼型のVTUAVを開発中で、最初のデモンストレータILX-27は完成間近であると発表した。

機体としては、原型機3機(疲労試験用、地上試験用、飛行試験用にそれぞれ1機ずつ)が製作中で、制御系はITWLが開発を行っているとのこと。
エンジンはライカミングO-540-F1B5で出力は260shp。主な用途は市街および山岳地における特殊作戦の支援とされ、ペイロード300kgを含めたMTOWは1100kg。全長7.74m、主ローター3枚ブレード、テールローターはフェネストロン式の5枚ブレード、巡航速度215km/h、上昇限度4240mといった性能になる予定。
その他にもインフラ監視、国境警備、偵察、輸送、人員避難(緊急時にストレッチャーに載せて飛ばす感じ?)などに対応可能とされる。また想像図にある通り、ロケット弾等による武装が可能となっている。

機体規模としては、同クラスのエンジンを搭載するロビンソンR-44に近い。キャビンを撤去してコンパクト化、ローターシステムを高級にしたイメージか。

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イスラエル空軍がIAI Heron TP/Eitanの飛行を再開させる

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-air-force-resumes-heron-tp-operations-376204/

イスラエル空軍では今年1月29日の墜落事故を受けて、IAI Heron TP/Eitanの飛行試験を停止していたが、このほど事故調査に一定の結論が出され、飛行が再開される見通しとなっている。事故調査は空軍とメーカーの合同で実施され、IAIの最終的な結論は、製造プロセスに起因する主翼構造の破壊が原因である、とするものだった。事故当初は、離陸した直後の墜落であったことから、(操作もしくは飛行制御のミスか何かで)フライトエンベロープを外れたために墜落したのではという推測もあったが、これは否定されたことになる。

Heron TP/Eitanはイスラエル空軍が保有する最大のUAVで、Heronとは別物。
全長13m、スパン26m、MTOWは4ton以上。離着陸を自動化するなどの特徴がある。実用上昇限度45000ft、連続滞空時間70時間で、MALE-UAVに分類されるが、プレデター系の3倍近い滞空時間を持ち、長距離の進出と海洋監視などにも適合する。

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EADS Talarionの実大モックアップが名無しになってILAに展示される

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-axed-talarion-reborn-as-european-uas-376273/

EADS Talarionは、ドイツ、フランス、スペインに対して提案され、開発資金の提供を要請していたのだが、今年初めにその可能性が絶たれ、プロジェクトは頓挫した形になっている。
そのため、今更ILAで展示されること自体がEADS未練たらたらというか恨み辛みというか、まあそんな感じ。
今回の展示ではTalarionという名称自体が引っ込められて、単にEuropean unmanned aerial systemとだけ書かれているみたい。

基礎的な研究までは完了しているだけに、何とか実用機まで持って行きたかったところだろう。
ある程度はTAIに引き継がれる事になるのかな。

http://www.eads.com/eads/int/en/news/press.a73074f7-f808-4ed6-a92b-373fb92b34b8.html

しかしこれに関連してか、Cassidianのトップ交代が9月3日に起こっており、どうあってもTalarionのお蔵入りは避けられない状況に。新たに就任したBernhard Gerwert氏は、ユーロファイター計画に深く関わってきた人物で、MBDAの大株主でもあるという。

インドネシア空軍の今後の調達計画について/イスラエルのCH-53にインシデント、飛行停止措置がとられる/インドが最初のEMB-145 AEW&Cを受領/シンガポール向けM-346がロールアウト

インドネシア空軍の今後の調達計画について

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-to-rely-on-upgraded-f-16s-and-k-fx-fighters-375272/

インドネシアはSu-27/30を合わせて10機調達している。将来はSu-30×6機を加え、1個sqの定数まで引き上げることを計画していたが、予算上の制約からこれを断念し、より優先度の高い輸送機調達を急ぐことにした模様。現用の輸送機はC-130B×4機とC-130H×9機だが、C-130の1機(H型の民間仕様、L-100-30(P)とウィキペに書いてある)は、2009年に墜落事故を起こし、100名近い死者が出ている。墜落原因はちょっと調べたところでは出てこない。詳しく報じられないままだったようだ。
これらに代えて新しく調達する機材は、RAAFで余剰となったC-130H×4機と、CN-295となる。

戦闘機に関してはSu-27/30は現有機で十分ということにして、それを補うのは、こちらもUSAFで余剰となったF-16×24機となり、今後20年ほど使う計画。その先に来るF-16とF-5の後継機がKFXということで、今の所3個sqの配備を計画している。1個sq定数は16~22機というから、予備機を合わせても最大70機前後か?
既にKT-1を導入してT-50も選定済みなので、韓国側産業界との繋がりも当面は強固だろう。
しかしKFXは、何のかんのでF-50のステルス版というか、今のJF-17みたいな事になりそうな気がするのだが。対米依存はどうしょもなさそうな。

その他、OV-10の後継機はEMB-314を選定しており、最初のバッチにあたる4機は受領済み。次は12機なので最終的に16機を調達予定となっている。主な任務としては、暴動鎮圧、監視、偵察といったもの。
AS332を更新する回転翼機と、無人または有人MPAへの需要もある。

インドネシア国軍及び官僚としては、新しい航空機の調達を巡り、次の5ヵ年計画(2014~2019年)で予算を付けたい意向とされている。政府の意向では20%のオフセット、あるいは共同生産を求めているとかで、請けるメーカーも限定されてきそうな流れだ。

ちなみに引き渡されたEMB-314の写真。アジア太平洋地域では同国が最初のカスタマーとなった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-receives-first-four-super-tucanos-375185/

あと、陸軍と海軍はベル412EPを調達している。

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesian-army-receives-four-bell-412s-375500/

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イスラエルのCH-53にインシデント、飛行停止措置がとられる

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-air-force-grounds-ch-53-fleet-after-emergency-landing-375598/

8月16日、イスラエル空軍のCH-53 Yasurの1機が、Tel Nof空軍基地から離陸直後に緊急着陸するというインシデントが発生した。乗員3名に怪我などはなし。現在、原因を調査中であるが、初期の調査ではローターブレードの問題という可能性が指摘されている。

これらの機体はYasur 2025という計画に基づいて近代化改修が施されたばかりだが、老朽化は否めないのが現状。交換用のギアボックスをシコルスキーから調達するだけでなく、頻繁なクラック検査が必要とされている。今のところ、CH-53Kの導入までは使い続ける予定。

なお改修に際しては、EWシステムとSATCOMを中心に、20程の新機材がインテグレーションされた。その中には独自の高度維持/ホバリング安定化システムとレーザ妨害装置、ディスプレイの更新なども含まれる。

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インドが最初のEMB-145 AEW&Cを受領

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-receives-its-first-emb-145-aewc-aircraft-375588/

これはインドが2008年に発注した3機のEMB-145 AEW&C(金額は2億800万ドル)のうち最初の機体にあたるもので、このほどエムブラエルの本拠地であるブラジルのSão Josė dos Camposにて、インドに引き渡されている。飛行試験と地上試験はここを中心に行われたようで、エムブラエルとDRDOが定めた設計仕様に沿って開発された。この後、DRDOのミッションシステム統合を経て、インド空軍に加わる見込み。

インド向けのEMB-145 AEW&Cは、DRDOの設計したレーダーを搭載し、空中給油能力が付与され、冷却性能が強化されているとのこと。
同型機はこれまでに10機が製造され、ブラジル、ギリシャ、メキシコで運用されているが、インド向けとは異なり、全てサーブのErieyeレーダーを搭載している。
冷却云々は、より長時間の滞空を想定したためか、単に技術的に厳しかったからか、あるいは高性能なレーダーを搭載したものと思われる。

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シンガポール向けM-346がロールアウト

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-alenia-aermacchi-rolls-out-first-m-346-for-singapore-375218/

8月7日、イタリアのベニスに近いVenegono Superiore工場にて、シンガポール向けM-346のロールアウト式典が行われた。納入時期は今年後半となっている。
2010年9月に受注した12機のうち最初の機体ということになる。アレニアはシンガポールの地元STエアロスペースと共同して働いており、2011年から20年にわたって後方支援を行う契約。

シンガポールの訓練課程はフランスのCazaux空軍基地で行われているので、M-346の配備先はフランスということになり、現用のA/TA-4SUと交代する。なおパイロットの最初の2名は、イタリアで訓練を受けた。

イタリアの航空当局DNAは、7月にM-346の耐空証明を与えたが、これは同時にシンガポール空軍の耐空証明を兼ねることで合意している。

ジャベリンATGMの車載発射機JVL/米国がIron Domeに援助、多層MD計画への関与を強める方向/Iron Domeの射程距離延伸

ジャベリンATGMの車載発射機JVL

http://www.spacedaily.com/reports/Javelin_Missile_Proves_New_Capability_during_Vehicle_Launched_Norwegian_Tests_999.html

ジャベリンATGMは現在、LMとレイセオンのJV、Javelin Joint Ventureが開発などを担当しているが、これとノルウェー国防省が協力して、車載発射機の実射試験を実施したとのこと。
ノルウェー国内のRena試験場において、冬季に行われたようだ。

ピラーニャVに、Kongsberg Protector RWSとJavelin Vehicle Launcher (JVL)を搭載した車輌で、射距離800mと1650mの2回の試射が行われ、直撃を記録している。
このRWSはほぼあらゆる種類のプラットフォームに搭載可能で軽火器から中口径砲を装備でき、JVLは車輌のFCSと接続してジャベリンを運用可能となる。

http://www.techreleased.com/javelin-missile-proves-new-capability-during-vehicle-launched-norwegian-tests/

ここの画像だと2連装のランチャーになってる。

ジャベリンは数年前のマルチメガヒットFPSで妙に有名になったが、それ以前は歩兵携行装備のひとつに留まっていたので、TOW一族などに比べて地味だった気がする。
しかしTOWは発達型のFOTTとかが計画倒れ状態だし、自律誘導する利点などもあるので、今後はジャベリンの方がJVLとして車載にも採用されていくのかもしれない。

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米国がIron Domeに援助、多層MD計画への関与を強める方向

http://www.spacedaily.com/reports/US_to_bolster_Israels_anti-rocket_shield_Panetta_999.html

http://www.spacedaily.com/reports/US_aids_Israel_missile_seeks_joint_deal_999.html

5月17日、パネッタ米国防長官は、イスラエルのIron Dome導入について、年内に7000万ドルの資金援助を実施すると述べた。
イスラエルの財政状況は苦しく、Iron Domeを3個高射隊分配備したあと、発注済みの2個分(年内に配備予定)に予算が付かない事態となった。これを米国がFY2012予算による緊急援助で補う状況となる。

両国間ではイランの核開発計画を巡って、イスラエルが軍事行動を主張する一方、米国が経済制裁の効果を確認するまで様子見とするなど、緊張状態ともなっていた。
米国がイスラエルへの援助を増額することで手打ちという事にもなる。

以前伝えられた通りなら、Iron Domeで全人口をカバーするには13ないし14個が必要であり、これを早急に満たすとなると複数年契約で短期間に大量発注する必要がある。ハーレツ紙では、そのあたりを根拠として複数年契約の6億8000万ドルという予想を出していた。今回は単年度の援助となるが、今後3年にわたって継続する方向とも発表されている。

この金額を含んだ米国からイスラエルへの軍事援助は年間30億ドル規模となる。またIron Dome全体への投資で言うと、その金額は2億500万ドルに達しており、追加されるであろう6億8000万ドルは、通常の軍事援助と別枠になる見込み。

 

下の方の記事では、米国が金を出す一方で多層MDへの関与を強める可能性があると書かれてる。現在はラファエルとIAIが開発しているが、これを米国メーカーにも金が回るようにする、という話っぽい。軍事援助じゃなくてMD共同開発の一部に取り込むとなれば、予算の枠が違ってくるし、米国の技術なりコンポーネントが入ると、イスラエル単独での輸出といったことも不可能になる。
これは、イスラエルにとっては米国外への輸出が難しくなる以上のデメリットにはならず、わざわざ輸出して予算の足しにする必要もなくなる。防衛費削減の流れが変わらないのなら応じる可能性が高い。

なおMDAは、20年以上前のアロー開発の頃から、イスラエルとの協力関係をより緊密にする事を主張していた経緯がある。メーカーつながりで見ると、IAIはボーイング、ラファエルはレイセオンとの関係が深い。

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この報道から約2週間経って、ラファエルはIron Domeの射程距離延伸という計画を明らかにした

http://www.spacedaily.com/reports/Rafael_seeks_to_boost_range_of_Iron_Dome_999.html

エルサレムポスト紙によると、これはイスラエルの多層MDのうち、開発が遅れているDavid’s Slingのストップギャップ案という。
現在配備されているIron Domeの射程距離は2.5~43マイル、人口密集地に着弾するかどうかを判別して迎撃する。迎撃体はTarmisという小型ロケット弾で、2機1組で迎撃する。コストは5~10万ドル。

1個高射隊は、それぞれ20発のTarmisを備えた発射機3基から構成される。こちらの記事では上のとちょっと違ってて、現在4個高射隊が配備、全人口を効果的に防護するために必要な数は20個高射隊となっている。

David’s Slingのカバーする範囲は射程距離190マイルとなるが、これは2013年以降となる。

X-47BのエドワーズAFBでの飛行試験が一段落/X-37B OTV-2が着陸/Taranisデモンストレータの初飛行予定が2013年に延期/イスラエルのUAVメーカーが24時間滞空可能な小型UAVを開発中

X-47BのエドワーズAFBでの飛行試験が一段落

http://www.gizmag.com/x-47b-flight-test-first-phase-completed/22958/

5月15日、X-47Bの2号機は、2011年2月4日から行われてきた、エドワーズAFBにおける耐空飛行試験を完了。その後NASパタクセントリバーへ移動し、空母艦上の環境に適合させる試験の一環として、電磁波干渉試験に入っている。1号機は昨年12月から同試験に供されている状態。

耐空飛行試験の間には、初の巡航モード飛行やテイルフックの出し入れ、自律飛行による航空史上初のタッチアンドゴー、高降下率・大荷重状態での着陸などが行われた。ノースロップグラマンでは、海軍やAFFTCとの共同作業も円滑で大きな成功を収めたと結論している。

UCAS-Dとしての次の段階は、今後数ヶ月以内にスタートする艦上トライアルになるので、現在はその準備が進められているところ。カタパルト射出と着艦、艦上ハンドリングの無線操作など、ソフトウェアに関するチェックが主体となっている。
その後、2013年に発着艦から着陸復航に至るまでの一通りの自律的なフライト(launch, recovery, bolter and wave-off performanceとある)をデモンストレーションし、2014年に空中給油試験を行う。

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X-37B OTV-2が着陸

http://www.gizmag.com/x-37b-otv-2-first-flight/22980/

6月16日午前5時48分、ヴァンデンバーグAFBにX-37B OTV-2が着陸した。軌道上(LEO)での活動期間は469日に達している。

SPACECOMの下で運用されていて具体的な打ち上げ目的は公表されていないものの、再使用コストやターンアラウンドのデモンストレーションも含まれていると見られ、半年後にはOTV-1を再度打ち上げる予定。

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Taranisデモンストレータの初飛行予定が2013年に延期

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-taranis-demonstrator-tested-as-first-flight-slips-into-2013-373226/

6月19日、BAEシステムズは2010年7月から開発しているステルスUCAVデモンストレータ、Taranisの初飛行予定が、2013年初めまで延期と発表した。計画には1億4000万英ポンド程度の費用がかかっている。
進行状況については、ランカシャー、ウォートンの試験施設でRCS測定試験までが完了しているとの事。結果はMoDの防衛科学技術研究所にて評価中であるが、かなり有望なデータが得られたとしている。

この2年間、パートナー企業との協力で相当量の試験及び開発作業が行われており、RR担当のエンジンについては、ブリストルのフィルトンにてインテイクの試験を行っている。TaranisとX-45/47のぱっと見で全く違うところのひとつがインテイクの形状だ。開口面積自体を大きく取った、比較的単純な二等辺三角形になっているように見える。
それはともかくこの画像をじっと見ていると、土偶の頭みたいに見えてこないこともない。

BAEシステムズ社内でTaranisが進行する一方、来月のファーンボロでは、英仏共同でのUCAS技術要件研究に調印することとなっており、約1500万英ポンドの契約になる見込み。パートナーとなるのはダッソーで、同程度の金額で調印することになっている。
ダッソーはNeuronデモンストレータを開発中で、2012年内に初飛行予定のはず。2000年代初頭の実験機AVE-C/Dに続くものだが、2005年のパリでモックアップを公開して以来、欧州の主要メーカーに協力を求めるなどしていた。
ここら辺の情報交換が主になると思われるが、今後の展開はまだよくわからない。

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イスラエルのUAVメーカーが24時間滞空可能な小型UAVを開発中

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-manufacturers-join-forces-on-long-endurance-uav-373248/

イスラエルのBlueBirdとUAS Technologiesの2社は、24時間滞空可能なMTOW24kgクラスの小型UAVを開発している。
UAS TechnologiesのUAS 20というタイプをもとに、滞空時間を大きく延ばした設計になっている。機体のサイズは、全長1.6m、スパン4.1m。最高速度72kt、巡航速度42ktで、最大高度16000ft、作戦可能距離は100km。

メーカーの説明では、エンジン搭載型で24時間滞空、電動モータ搭載型で12時間滞空が可能としており、現在2機の原型機が飛行試験中とのこと。

ペイロードとして挙げられているControp T-Stampというのは、Stabilized Miniature Payloadという製品ラインに属しており、TはTriple Sensorを指す。つまり昼間カメラ・夜間カメラ・レーザポインタの3つを統合しており、総重量3kg。
EO/IRペイロードほど本格的ではなく、ハード的にはいわゆるCCTV(中国のTVじゃない方)のようなものだが、ジャイロ内蔵の安定化装置付きでINS/GPS航法装置と連接し、目標追尾ができたりする。

http://www.controp.com/default.asp?catid={DB78AD58-D2ED-4CCB-8BDB-4316330FB7B7}&details_type=1&itemid={37D2B387-FD7A-4F21-A0E9-14F4533113D8}

ちなみにTD-StampというのがEO/IRペイロード版で、総重量5kgだそうだ。

戦闘状態において小型UAVの生残性は、今後厳しくなることも予想されるが、非軍事用途でなら関係ないし、何よりも機体、運用とも低コストで済む利点は大きい。

スウェーデンがAeroVironmentのスモールUASを導入/イスラエルがEW対応のUAVを開発中/USNがMQ-4Cを公開する

スウェーデンがAeroVironmentのスモールUASを導入

http://www.spacedaily.com/reports/Swedish_Defence_Materiel_Administration_Orders_AeroVironment_Puma_AE_and_Wasp_Small_Unmanned_Aircraft_Systems_999.html

スウェーデンが導入するのはプーマAEとワスプ、合わせて12機で、契約には地上管制局と兵站支援、訓練が含まれる。
メーカーでは、機種が違っても同じコンソールで操作できるので、任務や目的に合わせて複数の機種を使い分けるなど、柔軟な運用が可能であるとしている。相互運用性が大きな強みの一つということになる。

同型のUASは米国のほか、オーストラリア、チェコ、デンマーク、エストニア、フランス、イタリア、レバノン、オランダ、ノルウェー、サウジアラビア、シンガポール、スペイン、タイ、ウガンダとイギリスでも採用された。

http://www.avinc.com/uas/small_uas/

ワスプの方は、DARPA主導のMicro Air Vehicle (MAV)として開発が進められたもの。USAFとUSMCが採用した。
ワスプAE(All Environment)というのが最新タイプで、連続飛行時間は20%増加した。USAFは前モデルに続いてBattlefield Air Targeting Micro Air Vehicle (BATMAV)としてこれを採用する事を決めた。

http://www.spacedaily.com/reports/AeroVironment_Introduces_Digital_Wasp_AE_Small_Unmanned_Aircraft_System_999.html

適合性試験と評価は1年にわたって行われており、USAF以外の採用も期待できる。

もう一つあったのが、米国FCCによるAeroVironment製UASを使ったデモンストレーション。

http://www.spacedaily.com/reports/AeroVironment_to_Deploy_Small_UAV_For_Federal_Communications_Commission_Post_Disaster_Comms_Demo_999.html

Deployable Aerial Communications Architecture (DACA)と呼ばれるもので、災害時などの通信確保を主な目的とする。非軍事用途ということで、メーカーの期待も大きいようだ。

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イスラエルがEW対応のUAVを開発中

http://www.spacedaily.com/reports/Israel_encrypts_UAVs_as_cyberwar_widens_999.html

イスラエルは電子的攻撃への対抗手段を備えたUAVの開発を進めている。ここで言及されているものはエルビット製のスカイラーク1UAVをプラットフォームとし、スカイレイダー計画と呼ばれているが、こちらのデータを暗号化し、敵のデータをハッキングするといった大きな構想の一部を成している。広義のサイバー戦に含まれるものと言える。

イスラエルがこうした手段の開発に本腰を入れるようになったのは、ヒズボラによるUAVのデータ通信妨害を深刻に捉えるようになったためだった。
1997年9月、レバノン南部Ansariyaへの強襲作戦で、海軍特殊部隊Flotilla 13が待ち伏せされ、撤退中に指揮官を含む11名が戦死した事があったが、当時は単に不運だったなどとして片付けられており、これが「攻撃地点を監視していたUAVのデータ通信が妨害された結果、作戦が失敗した」と認められるまでには、長い時間がかかった。

直接のきっかけとなったのは2010年8月、ヒズボラがレバノンのハリリ元首相暗殺事件(2005年2月)にイスラエルが関与した証拠として、UAVによる監視映像を公開したことだった。ヒズボラのリーダー、ハッサン・ナスララーは、映像はハリリ元首相がベイルートの住居から議事堂に至る移動ルートをイスラエルが空中から監視していた証拠であると主張。
イスラエル軍当局はこの一件を調査して、映像が本物であると断定、上記の作戦失敗はヒズボラがUAVによる監視を逆手にとったものであったと結論づけた。

ハリリ元首相暗殺事件では、こうしたヒズボラの主張にも関わらず2011年、ハーグの国際法廷がヒズボラの人間に逮捕状出してるが、直接関係ないので省略。
参考として「中東の窓」ブログを勝手にリンク。
http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/3833510.html

ヒズボラのバックにいるのは言うまでもなくイラン、革命防衛隊であり、イラン自体の技術が脅威となっているのはもちろん、さらにその向こうにはロの国とか中の国とか北の某国とか‥まあ憶測でしかないわけですが。

この書き方だと、まだすべてが妨害されているわけではないという印象を受けるがどうだろうか。もしくは短距離でしか影響を及ぼせないとか。
どちらにしてもイスラエルとしては、ヒズボラの仕掛けるEWに対抗していく以外の選択肢はない。振り返ってみると、2000年代はヒズボラがイスラエルの想定を上回り続け、大きな損害を与え続けたが、次のラウンドはもう始まっている。

しかし大規模な軍用ワームとか、意外と出てくるの遅かったなあとか思ったり。
インフラが整備されてから産業機械系のネットワーク化が浸透するまで、時間が結構かかったという見方もできるか。

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関連で、UAVの生残性を高めることをイスラエルのメーカーが検討しているという記事。

http://www.flightglobal.com/news/articles/israel-looks-to-make-unmanned-systems-harder-to-destroy-372924/

イスラエルの情報筋によると、ロシアは既に小型UAVを探知するレーダーシステムの開発を行っているとされ、イスラエルではこうした技術の拡散に備えて、UAVの生残性を高める必要があると考えられている。

具体的なことは言及されなかったものの、ある程度大型のUAVであればEW装備を搭載する方法があり、小型UAVを敵の警戒が厳重な地域に投入するケースでは多数のUAVを同時に運用するなどの手段が例示されている。

UAVが有人の作戦機と同様にありふれた物になった結果と言える。ロシアの場合はグルジア侵攻などの戦訓も影響してそうだ。

従来のUAVは、そのペイロードのほとんどをISR機材などに充てていたが、近いうちにパワーソースの許す限り自衛EW装備などを持たなければならない時代が来るのかもしれない。
ラジコン機クラスだと煙幕ぐらいしか思いつかんが。

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USNがMQ-4Cを公開する

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-northrop-unveils-first-mq-4c-triton-for-us-navy-373027/

開発中は単にBAMSと呼ばれてきたものだが、愛称はTritonとなっている。カタカナだとトリトーンもしくはトライトンだな。
公開された機体は、2機の試験機のうちの1機で、2号機は約1ヶ月前にロールアウトしているとのこと。

アンヴェイル・セレモニーの動画。

http://www.youtube.com/watch?v=9pi06lQw7PA