オランダ軍のスキャンイーグルUAVがソマリア沖へ展開/スペイン軍のサーチャーUAVがアフガニスタンで500ソーティを記録/ポーランドが独自開発のVTUAV、ILX-27を公開/イスラエル空軍がIAI Heron TP/Eitanの飛行を再開させる/EADS Talarionの実大モックアップが名無しになってILAに展示される

オランダ軍のスキャンイーグルUAVがソマリア沖へ展開

http://www.flightglobal.com/news/articles/dutch-fly-first-scaneagle-mission-off-somalia-375990/

8月8日、オランダ国防省は、ソマリア沖に展開したHNLMSロッテルダム(LPD)からスキャンイーグルUAVを飛行させたと発表している。この任務では、アデン湾上空を9時間にわたって飛行したとのこと。同国のスキャンイーグルUAVは陸軍の保有するもので、19人の分遣隊が乗艦して運用に当たっている。
NATOの対海賊作戦Ocean Shieldにおける活動の一環で、HNLMSロッテルダムは8月4日から旗艦の任に就いた。

スキャンイーグルUAVは、公称では16時間以上の滞空が可能とされている。非武装で、EO/IRペイロードから不審船舶の動向を監視・追跡し、リアルタイムで映像を地上ステーションへ送ることが可能。

またHNLMSロッテルダムには、空軍RNLAFのNetherlands Defence Helicopter CommandからAS532クーガー×2機が、対海賊作戦の支援のために配備されている。

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スペイン軍のサーチャーUAVがアフガニスタンで500ソーティを記録

http://www.flightglobal.com/news/articles/spanish-uav-unit-marks-afghan-milestone-375991/

ISAFの発表によると、アフガニスタンへ展開中のスペイン軍は7月、IAIサーチャーII UAVの500ソーティを記録したとのこと。この部隊はISAFの一部としてヘラート空軍基地を拠点に活動しており、西部地区におけるISR能力を担っている。

スペインのUAV装備計画は、PASI unmanned air system programmeと呼ばれるもので、2008年から現在までIAIサーチャーIIを6機導入した。

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ポーランドが独自開発のVTUAV、ILX-27を公開

http://www.flightglobal.com/news/articles/polish-companies-unveil-rotary-wing-uas-376163/

ポーランド、ウーチにあるMilitary Aviation Works (WZL-1)は、同国の国立航空大Institute of Aviation (ILot)、空軍工科大Air Force Institute of Technology (ITWL)とともに回転翼型のVTUAVを開発中で、最初のデモンストレータILX-27は完成間近であると発表した。

機体としては、原型機3機(疲労試験用、地上試験用、飛行試験用にそれぞれ1機ずつ)が製作中で、制御系はITWLが開発を行っているとのこと。
エンジンはライカミングO-540-F1B5で出力は260shp。主な用途は市街および山岳地における特殊作戦の支援とされ、ペイロード300kgを含めたMTOWは1100kg。全長7.74m、主ローター3枚ブレード、テールローターはフェネストロン式の5枚ブレード、巡航速度215km/h、上昇限度4240mといった性能になる予定。
その他にもインフラ監視、国境警備、偵察、輸送、人員避難(緊急時にストレッチャーに載せて飛ばす感じ?)などに対応可能とされる。また想像図にある通り、ロケット弾等による武装が可能となっている。

機体規模としては、同クラスのエンジンを搭載するロビンソンR-44に近い。キャビンを撤去してコンパクト化、ローターシステムを高級にしたイメージか。

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イスラエル空軍がIAI Heron TP/Eitanの飛行を再開させる

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-air-force-resumes-heron-tp-operations-376204/

イスラエル空軍では今年1月29日の墜落事故を受けて、IAI Heron TP/Eitanの飛行試験を停止していたが、このほど事故調査に一定の結論が出され、飛行が再開される見通しとなっている。事故調査は空軍とメーカーの合同で実施され、IAIの最終的な結論は、製造プロセスに起因する主翼構造の破壊が原因である、とするものだった。事故当初は、離陸した直後の墜落であったことから、(操作もしくは飛行制御のミスか何かで)フライトエンベロープを外れたために墜落したのではという推測もあったが、これは否定されたことになる。

Heron TP/Eitanはイスラエル空軍が保有する最大のUAVで、Heronとは別物。
全長13m、スパン26m、MTOWは4ton以上。離着陸を自動化するなどの特徴がある。実用上昇限度45000ft、連続滞空時間70時間で、MALE-UAVに分類されるが、プレデター系の3倍近い滞空時間を持ち、長距離の進出と海洋監視などにも適合する。

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EADS Talarionの実大モックアップが名無しになってILAに展示される

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-axed-talarion-reborn-as-european-uas-376273/

EADS Talarionは、ドイツ、フランス、スペインに対して提案され、開発資金の提供を要請していたのだが、今年初めにその可能性が絶たれ、プロジェクトは頓挫した形になっている。
そのため、今更ILAで展示されること自体がEADS未練たらたらというか恨み辛みというか、まあそんな感じ。
今回の展示ではTalarionという名称自体が引っ込められて、単にEuropean unmanned aerial systemとだけ書かれているみたい。

基礎的な研究までは完了しているだけに、何とか実用機まで持って行きたかったところだろう。
ある程度はTAIに引き継がれる事になるのかな。

http://www.eads.com/eads/int/en/news/press.a73074f7-f808-4ed6-a92b-373fb92b34b8.html

しかしこれに関連してか、Cassidianのトップ交代が9月3日に起こっており、どうあってもTalarionのお蔵入りは避けられない状況に。新たに就任したBernhard Gerwert氏は、ユーロファイター計画に深く関わってきた人物で、MBDAの大株主でもあるという。

少数のF-22パイロットが飛行を拒否する/LASの改訂版RfPが発出される/A2ADと第5世代戦闘機、nano-UAV/台湾向けF-16に関する新たな動き

少数のF-22パイロットが飛行を拒否する

http://www.flightglobal.com/news/articles/some-f-22-pilots-decline-to-fly-371339/

ACCの長であるMike Hostage大将は4月30日、ラングレーAFBでの共同会見において、ごく少数のF-22パイロットが飛行を拒否している事について述べた。まだ進行中の事象らしく、センシティブな問題であるとしたが、F-22における酸素発生装置関係のトラブル(11例あった)が完全に解決されないまま、任務に復帰させた事が理由になっている。この件は何度も報じられた通り、5ヶ月の飛行停止と調査が行われ、その後も累計12000時間ほど飛行しているが、未だ原因は明らかとなっていない。このため、不安を抱くパイロットがいるのも全く不思議ではないと言える。

彼らの処遇については、搭乗するよう強制することも、簡単に他の任務に就けることも難しいようだ。結局のところは再発リスクを可能な限り抑えたから大丈夫、と説得するしかないみたい。

会見の中でもう一つ、UAEへの展開についても触れられている。昨年と同じくAl  Dhafra基地へ展開したと見られるが、公式にはコメントが出ていない。ある情報源によると、UAEへの展開は航空遠征軍のルーチンに組み込まれ、ホロマンAFBの49FW / 7FSから派遣されたとのこと。

で、ここの記事に出てる写真の最後のF-22は5月2日、ジョージアのマリエッタ工場でUSAFに引き渡されている。

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-usaf-receives-last-f-22-raptor-371401/

式典が催され、USAFからは参謀長のノートン・シュワルツ大将なども出席した。テイルナンバーは10-4195。
5月4日には4193とともにエレメンドルフ統合基地へ移動したはず。

以下、沿革と改修予定について書かれてる。改修に関する部分を要約しておくと、

2014年内にインクリメント3.2A、これはソフトウェア改修で、電子的保護技術と戦闘情報識別の強化、Link 16と機載センサ情報の統合などが含まれる。

そのフォローアップにあたるのが3.2Bで、3.2Aのソフトウェア改修にAIM-120DとAIM-9Xのインテグレーションが加えられる。改修キットの調達に関するマイルストンBが2012年12月予定。これが通るとFY2016から調達開始、FY2017Q3から引き渡し、FY2018Q1に改修を実施となる。
3.2Bはさらに細かくアップデートが分かれており、兵装関連は2017年以前に搭載可能となる計画。2013年のアップデート4でAIM-120D、2015年のアップデート5でAIM-9Xを、一応運用できるようにする。
一方、GAOの勧告で削られた要素もある。SDBの独立8目標誘導と対地衝突防止システムAuto-GCASがそれで、後者は機上酸素発生装置のトラブル対策としても謳われていたものだ。これさえあれば安心というものではないが、最後の安全装置としては重視されていた。

その先はまだLM社内の研究段階ながら、搭載コンピュータのオープンシステムアーキテクチャ化というのがあって、うまく実現すれば、第5世代の枠を拡げるような、大きな可能性が開けるかもしれない。

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LASの改訂版RfPが発出される

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-issues-new-rfp-for-afghan-las-programme-371483/

5月4日夕刻、USAFはLASのRfPを改めて発出した。入札締切は6月4日。以降のスケジュールは、2013年早々に機種選定、2014年Q3に最初の機体をアフガニスタンへ引き渡す、となっている。

前のLASに関しては、シエラネバダ/エムブラエルのA-29スーパーツカノ、ホーカー・ビーチクラフトのテキサンIIの2機種が選定を争う形となっていたが、今度も入札者は同じと見られる。機数は20機で金額は3億5500万ドル。
前回よりも条件は若干緩められているようだ。デモンストレーション無し。中小企業の参加に関する部分も削られた。

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A2ADと第5世代戦闘機、nano-UAV

http://www.flightglobal.com/news/articles/future-nano-uavs-could-collect-isr-in-heavily-defended-airspace-alongside-raptors-and-f-35s-371189/

A2AD環境に対する偵察、ISR能力を、F-22とF-35、2機種の第5世代戦闘機に与えるという研究が始まっている。その先にはnano-UAV群による同様の能力が提供されることになるだろう、という話だが、実現にはまだ時間がかかる。

F-22とF-35、いずれも高度なセンサを備えており、潜在的な情報収集能力に関して不足はないが、収集したデータをどのように送出するかが課題になっているとのこと。ACCとUSAFの科学諮問委員会が共同で研究に当たっている。

この手の話は、機体規模に限界のあるnano-UAVの方がさらに難しそうな気もするが。

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台湾向けF-16に関する新たな動き

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-to-re-visit-f-16-cd-sales-to-taiwan-371349/

テキサス州選出のJohn Cornyn上院議員が、ウェブサイト上で台湾へのF-16売却に関して触れている。大統領副補佐官兼 director of the office of legislative affairs (OLA、立法問題室長?)からの書簡というもので、台湾へのF-16を含む軍事援助は、次期国防副長官にとり高いプライオリティを持つとかなんとか。言うまでもないがテキサス州にはLMの本拠、フォートワースがある。

もし実現すれば例のF-16V (Block60相当)が提供されることになる可能性が高い。

USAFはUH-1Nの近代化改修についてのRfIを発出/LAS選定仕切り直しでRfP草案がメーカーに送られる/LMがMH-60R/Sの近代化改修を受注/英国向けF-35B BK-1が試験飛行を行う/ノルウェー政府がF-35の更なる価格高騰を牽制

USAFはUH-1Nの近代化改修についてのRfIを発出

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-issues-rfi-for-uh-1n-modernization-370913/

本来、UH-1の後継機となるはずだったCVLSPが、FY2013概算要求から外されたことで、USAFはUH-1Nの近代化改修を正式にスタートさせる運びとなった。4月17日に発出されたRfIでは、今後30年に渡ってmission capable rateを維持するという名目となっており、2週間以内での反応を求めた。

具体的な要求事項は14~18項目あり、耐久性、航続距離、速度、全天候性能と生残性といった全般的な性能向上と、現代的な通信/航法システムの装備が含まれている。
それって要はUH-1Y相当じゃないの?という気もするが。

海兵隊で余剰となったUH-1Nを入れる計画も存在するので、それらを改修して装備するつもりなのかもしれない。

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LAS選定仕切り直しでRfP草案がメーカーに送られる

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-issues-new-afghan-las-draft-rfp-to-contractors-370855/

アフガニスタンに供与するLASの選定は、一度はA-29スーパーツカノを提案したエムブラエルが勝ち取ったものの、ホーカー・ビーチクラフトが異議を唱えて白紙に戻された経緯がある。現在も係争中で、どう転んでもブラジルの航空宇宙業界と遺恨が残るのは確実。
4月17日に各メーカーに草案の段階ということもあって、内容は公開されていない。どこが変わったとかも全く不明のまま。

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LMがMH-60R/Sの近代化改修を受注

www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-martin-awarded-new-contract-to-modernize-usn-mh-60-fleet-370490/

NAVAIRの発表によると、MH-60R(ASW型)のコクピット改修とミッションアビオニクス162機分をLMに発注した。金額は10億5000万ドル。
MH-60S(補給/SAR型)の分はコクピット改修62機分が発注済となっており、R型も同メーカーにより同等の改修が施されるという展開で、契約が修正された形となる。
背景には、複数年契約によるコスト低減があり、LMでは1年ごとに10%以上のコスト低減効果があると見込んでいるようだ。

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英国向けF-35B BK-1が試験飛行を行う

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-lockheed-flies-uks-first-production-f-35-370710/

4月13日、英国向けのF-35B BK-1は、LMのテストパイロットの手により試験飛行を実施した。飛行時間は45分間。
この機体は一連の試験飛行と英国の受入検査を経て、今年後半からエグリンAFB、33FWでの訓練に用いられることになる。

国際共同計画らしくなってきたところであるが、英国MoDはF-35BからF-35Cに切り替えた後、まだB型に戻そうか迷ってる、という話が出ている。その大きな理由は、QE2級をCATOBAR空母化するコストが、試算より大きくなりそうだ、というもの。
これがネックになるなら、F-35Cじゃ高すぎるけどラファールやF/A-18E/Fならいいや、といった話ではなくなる。どう考えても、1隻だけじゃカネがかかる。

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ノルウェー政府がF-35の更なる価格高騰を牽制

http://www.flightglobal.com/news/articles/further-dramatic-f-35-cost-increases-could-force-norway-to-reconsider-programme-370856/

長々と書いてあるけど、内容としては、F-35が最高の選択肢であることに変わりはないがこれ以上騰がったらどうなるかわからんわよ、といった公式ステートメントなので一言で言うと牽制。
現時点でさえ、ノルウェー最大の防衛調達計画だった1977年のF-16導入を上回るので、経済が悪いわけじゃないとは言え、簡単にはいそうですかともならない事情がある。

調達機数は52機を予定。F-16の運用寿命は2020~2022年あたりで尽きるので、そこから逆算して決まっている。すなわち、2015年と2016年に2機ずつ、2017年に6機、以降2023年までだと年間7機ずつとなるが、2024年まで延びる可能性もある。

延期される可能性については、予算の関係ではなく、技術的な問題点が1つある。凍結した滑走路上での運用に配慮して、ドラッグシュートが欲しい、というのがそれで、まだLMは解決策を提示できていない。もし2015年までに解決されなければ、ノルウェー側としては受け入れられず、引き渡しを先送りしてでも手を打たせる事になる。
何かF-35Cのアレスティングフック問題と似た雰囲気だが、あちらがうまく行ったら何とかなるのだろうか。

他の要求事項としては、同国のJoint Strike Missleのインテグレーションと、米国が計画へ参加することを求めてる。
JSMの元のNSMは、ブラウンウォーターな領域で使うことを想定した巡航ミサイルで、艦載もしくは地上発射型。対地/対艦攻撃に対応するのが特徴だった。JSMはこれを航空兵器に変更したもので、F-35Aの兵装ベイに収まるようにできている。
21世紀のミニトマホークといった趣だ。

http://www.kongsberg.com/en/kds/products/missile%20systems/jointstrikemissile/

最後にC-130J墜落事故について触れられているが、調査はまだ継続しており、墜落原因は特定されていない。
やはり雪が解けるまで調査は難しいみたいだ。

ISAF本部が2011年8月のEQ-4B墜落を公式に認める/NGMのキャンセルが決まる/MRMUASのキャンセルが決まる/F-15SEの透視図と解説

ISAF本部が2011年8月のEQ-4B墜落を公式に認める

http://www.flightglobal.com/news/articles/isaf-confirms-2011-global-hawk-crash-368257/

ISAFによると2011年8月21日、EQ-4Bがパキスタン領内、南西部のジャララバード市内に墜落したとのことで、原因などは明らかにされていない。
事故当日には、ISAFからUAVが不時着したとのプレスリリースが出ているものの、その内容は明らかになっていなかった。

EQ-4BはRQ-4 Block 20を改修して戦場航空機搭載通信ノード(Battlefield Airborne Communication Node、BACN)を搭載したタイプで、2機が存在し、もう2機が改修中とされている。

事故の模様を伝える非公式な情報によると、墜落地点はNaranj Bagh地区で、空港からは離れた所らしい。民家2件が損害を受けたが、死傷者は無かったとされている。また、事故状況を撮影したとされる映像からは火災の発生が見て取れるという。
ISAFの初期の報告では機体トラブルの可能性が示唆されている。
また、ジャララバードにグローバルホークは常駐していないことになっている。

USAFの事故調査委員会AIBによると、事故の区分はクラスAで、これは200万ドル以上の損害または死亡事故を含むものになっているので、事故機が全損となった可能性は高いようだ。

グローバルホークの運用に近い情報源によると、アフガニスタンでは2度の緊急着陸事例が起きており、米中央軍コマンド管轄地域内(アフガニスタン、パキスタン、イラク、イランetc)では2機が墜落していると言われる。

現時点でノースロップグラマンはコメントを出していない。

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NGMのキャンセルが決まる

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-cancels-amraam-replacement-368249/

2月13日、USAFは、NGMの開発計画を正式にキャンセルした。AIM-120 AMRAAMとAGM-88 HARMを代替するものとして主要メーカーが熱心に開発を続けており、2011年末の時点では当局も優先度が高いなどと発言していたのだが、最終的には総額150億ドルともいわれるプログラムコストが重荷となったようだ。
しかし2015年にはMeteorが配備されるし、ロシアや中国の次世代AAMも出てくるので、技術的な優位が失われる危険性も大きい。

なお、NGMの技術開発に深く関わる、DARPAのT3計画については、去就は不明。

空対空戦闘の蓋然性が恐ろしく低くなっているのは確かだが、下手するとMeteorとAARGMで凌ぐことになりかねん感じ。
でもよく考えたら、今までだってAIM-54退役からこっちは最大射程距離で負けてんだよな。AIM-120Dが最終的に射程100km台まで達すればそれでいいのかもしらん。

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MRMUASのキャンセルが決まる

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-cancels-medium-range-uas-contest-368241/

MRMUASは、USNが主体となり、MQ-8A/Bの後継機となるVTUAVを選定するというもので、途中から米陸軍との共同プロジェクトになった。ただし、MRMUASとしてはキャンセルになるものの、MQ-8A/Bの後継機としては、単にMQ-8Cファイアスカウトが選定された格好。28機の導入が予定されている。

MRMUASが立ち上がって競争入札になっても、MQ-8Cがかなり先を走っていた事実は変わらないし、ファイアスカウトがMQ-8A/Bの拡大型である利点も大きかったと言える。陸上運用でも特に問題は出てないようだし、つまるところMQ-8のエアフレームをシュバイツァー303からベル407に置き換えただけで、能力的には十分だったわけだ。

一方、固定翼の艦載UASにあたるUCLASSは、2年先送りされつつ継続となる模様。これで期間はFY2020までとなる。

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F-15SEの透視図と解説

http://www.flightglobal.com/news/articles/cutaway-technical-description-how-boeing-developed-the-f-15-silent-eagle-367978/

タダ見だと解像度が足りないが、まあ雰囲気程度は。

記事の方は1970年代後半、F-111後継機としてF-15Bを改造したところからスタートしている。MDとヒューズが最大離陸重量を2割増しにするため内部構造を改設計し、後席をWSO席にしてCFTを付けた。その後、MDはボーイングになり、ヒューズはレイセオンになったが、1984年、F-16E(XL)を退け、F-15Eとして選定される。
ここまでが30年近く昔の話で、現在、E型系列は5ヶ国の空軍に400機以上が配備されることとなった。
最新の状況では、サウジアラビア向けF-15SAの契約が確定したことで、あと6年以上にわたって製造が継続する事も決まっている。

この記事では、F-15SEの構想が出てくるきっかけは2007年、韓国がFX選定の中で「第5世代戦闘機であること」を要求仕様に入れた時点であるとしている。この条件は後に撤回されるが、F-15がF-35と直接競合した最初の例だった、というのは確かかもしれない。2007年と言えば、まだF-22輸出型とかも可能性があった頃だ。

2008年後半から社内で検討が始まったというが、何しろF-15はステルス戦闘機の概念が確立するはるか以前の設計なので、後からどうこうできる部分はかなり限られている。

設計の修正によって得られるステルス性は限定的となるが、ボーイングでは最も有望な顧客(韓国)の求めるミッションへの適応は十分であると見ている。つまりCFTの分の燃料は必要ないし、ステルス性は「防御的」な空対空戦闘に対応可能といったものだ。厳重に防御された敵性空域への縦侵攻撃は初めから想定していない。CFTをウェポンベイにした理由がこれだ。
なお、RAM塗布によるステルス性の向上について、当初ボーイングは正面RCSがF-35と同等になるとしていたが、その後はステルス性が目標に達したと述べるに留まっている。また垂直尾翼の傾斜はオプションらしい。

試験機が公開された2009年3月の時点では、AESAのAPG-63(v)3はまだシンガポール向けのSG型にしか搭載されていなかったし、電子戦装備もアナログのTEWSだった。このうち後者はBAEシステムズがdigital electronic warfare suite (DEWS)を供給することになって、大きく能力が向上する見込み。
BAEシステムズはF-22搭載のALR-94、それから発達したF-35搭載のASQ-239「バラクーダ」を供給していることもあり、DEWSの能力はそれらに匹敵すると考えられている。たとえばTEWSなどでは単機では電波源のベクトルしか特定できず、寮機とのデータリンクによる三角測量方式でなければ位置は特定できないが、ASQ-239などでは単独で位置を特定できる。
これらの能力から、DEWSとHARMを組合せれば、EF-111に近いものにもなる。

試験機公開後にわかった他の情報としては、操縦系統のFBW化というのがある。これはサウジアラビアがF-15SAを発注する際、DEWSの導入とともに要望したもので、それをSE型にフィードバックするようだ。
また大型タッチスクリーンの導入、暗視装置を統合してケーブルを軽量化した第2世代JHMCSの試験も開始されているとのこと。
残った要素はIRSTで、ステルス性に配慮してパイロンに搭載せず内装式とする。これは搭載位置をはじめとして未定の部分が多い模様で、F-35のEOTSのような平面構成のバルジを付ける、または胴体の上面か下面かも決まっていないようだ。F/A-18のインターナショナルに似た取り付け方法も考えられる。

MQ-8Bのアフガニスタン派遣を延長/MQ-8Bの武装化/MQ-8Bの情報収集用ペイロードTwister/フランスが無人型H-6Uの海上トライアルを実施する計画

MQ-8Bのアフガニスタン派遣を延長

http://www.spacedaily.com/reports/US_Navy_Extends_Afghan_Tour_of_Duty_for_Northrop_Grumman_Built_Fire_Scout_999.html

米海軍はノースロップグラマンと協力して、5月からMQ-8Bをアフガニスタンへ派遣している。その活動は主に監視任務で、リアルタイムの監視映像を撮影、現地部隊へ提供している。時間にして、一か月に300時間ほどとのこと。

9月28日、ノースロップグラマンはMQ-8Bを2012年10月まで運用する契約を、NAVAIRシステムコマンドより受注。金額は1865万ドル。

運用実績としては、5か月で400フライト以上、累計飛行時間1500時間。何と言っても滑走路が要らないというのが大きな利点で、迅速に目標まで到達できるという。

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MQ-8Bの武装化

http://www.spacedaily.com/reports/Navy_to_Arm_Northrop_Grumman_Built_Fire_Scout_Unmanned_Helicopter_999.html

9月23日、ノースロップグラマンはNAVAIRシステムコマンドよりMQ-8Bの火器管制システム開発を受注した。金額1700万ドルで、2013年3月に最初のシステムを納入する予定。

搭載兵装は、レーザ誘導70mmロケット弾のAPKWS。BAEシステムズが開発し、2010年から製造されているもの。ロケットモータと弾頭の間に誘導装置を挟む形になっている。

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MQ-8Bの情報収集用ペイロードTwister

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-adds-classified-payload-to-mq-8b-fire-scout-364239/

米海軍はMQ-8BにTwisterと呼ばれる情報収集のためのペイロードが搭載されることを明らかにした。
関連して11月初め、ノースロップグラマンはTwisterをインテグレーションする契約を受注している。金額100万ドル。

米海軍は、詳細な情報は機密事項であるとして、Twisterの詳しい説明は行わず、kill-chain element(発見・識別・追跡・評価)を改善して向上させるとしか言ってない。が、政府の公示情報ではFLIRシステムズがベンダに入ってるという。ここの製品では、Safire III EO/IRセンサがMQ-8Bにインテグレーションされた実績がある。

MQ-8Bは、既に後継機の話が出ているものの、FCSから外れて海軍が使うようになってから、着々と実績を積み上げている。こちらの現場の方は、まだ使い倒す気満々という印象だ。

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フランスが無人型H-6Uの海上トライアルを実施する計画

http://www.flightglobal.com/news/articles/france-to-conduct-at-sea-trials-with-unmanned-little-bird-364222/

フランスの、タレスとDCNSが共同で行っている計画で、D2ADと呼ばれているもの。海上トライアルは、今年初めに米国で行われたトライアルに続くもので、来年に予定され、自動着艦システムなどを試す。安全のためパイロットは搭乗ことになっている。

この計画では、タレスは測位系や飛行経路系などのアビオニクスを、DCNSは母艦側の運動制御やハープーンシステム(着艦拘束システムのこと?)を、それぞれ提供する形。

無人型H-6Uそのものというよりも、無人機の艦上運用全般に関わるものと位置付けられてるようだ。

ポーランドがLIFT選定をキャンセル/IAIがイタリアに対してG550 AEW&Cを提案/KF-Xについてのソウルエアショーのまとめ/アフガニスタン派遣中の英海軍シーキングHC.4+が撤退

ポーランドがLIFT選定をキャンセル

http://www.flightglobal.com/news/articles/lift-off-poland-cancels-armed-trainer-contest-364024/

10月27日、選定期日の前日になってLIFTの選定がキャンセルとの発表があった。RfPも取り下げ。最終的に提案されていたのは、M.346とT-50Pの2機種、機数は16機だった。

ただLIFTの導入が完全に消えるというわけではなく、条件を変更して来年改めて選定するとのこと。変更されるのは戦闘能力に関する項目で、軽攻撃機としての能力については削除される。よって、普通の高等練習機の仕様でRfPが出ると予想されている。機数は未定。ミッションシミュレータとの併用も考えられてるようだ。

ポーランド国防相によると、プログラムコストは30~40%も下げられる見通し。これまでの計画では、16機で4億7600万ドル相当だった。
条件が違うので機数がその比率で減らされるわけでもないと思うが、減額が大きいので16機確保は難しいかもしれない。
ちなみにT-50×16機と言えば、インドネシア向けのが4億ドルぐらいだった。

次の計画では、新練習機は2015年配備予定。それまでの訓練については、米国派遣(T-38による訓練)とPZL TS-11を使った体制を継続することになる。

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IAIがイタリアに対してG550 AEW&Cを提案

http://www.flightglobal.com/news/articles/iai-offers-italy-airborne-early-warning-system-deal-363978/

現在イスラエル空軍のLIFT選定が進行中だが、同国では予算削減圧力が強い。そのため、予算確保が困難な状況の打開策として、M.346を提案するイタリアとはバーター取引という可能性を模索中と伝えられた。
今回、IAIがこれに応えて、AEW&Cの具体的な提案が出てきた格好。内容としては、G550 AEW&C×4機分のフルパッケージというもの。イタリア空軍はAEW&Cを8機配備する計画みたいなので、半数がこの取引で供給されることになる。

イスラエルのLIFTの導入機数ははっきりしないが、25~35機ということなら交換レートは1:6~9だな。

G550 AEW&Cは、イスラエル空軍のほかにシンガポール空軍でも導入している。またイスラエルとイタリアはUvda空軍基地での合同演習において相互運用性を確認している(イタリアのトーネードがG550 AEW&Cの誘導を受けてミッションを実施した)ので、導入のハードルは低いと見られる。これが無くても、導入する可能性は比較的高い。
これと競合するのはB.737AEW&Cとのこと。

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KF-Xについてのソウルエアショーのまとめ

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-south-korea-outlines-strategy-for-indigenous-fighter-363847/

記事としては今までの流れのまとめで、まあちょっと楽観的すぎますよねっていうかスケジュールもコストも性能も全体的に無理だろこれ、というのが書いた人の感想。

根幹部分は結局海外頼りになる可能性が高く(AESAのハードはできてもソフトは無理とかDAPA自身も認めてる)、現時点ですらエンジン買うならうちの他の技術も買えやみたいな状況になってきてる模様。ユーロファイターもボーイングも、自社プレゼンで勝手なKF-X想像図を紛れ込ませていた。

以下トリンブルさんブログから、

ボーイングの。

http://www.flightglobal.com/blogs/the-dewline/2011/10/boeing-sneaks-a-peek-at-kf-x-d.html

ちょっと興味深いのは、ユーロファイターがEADS MAKO/HEATの焼き直しみたいなのを出してきたことだ。

http://www.flightglobal.com/blogs/the-dewline/2011/10/seoul-air-show-eurofighter-sha.html

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アフガニスタン派遣中の英海軍シーキングHC.4+が撤退

http://www.flightglobal.com/news/articles/uk-withdraws-sea-king-transports-from-afghanistan-363839/

英海軍は、2007年からシーキングの輸送型であるHC.4+を派遣していたが、9月30日で最後のミッションを完了、AW101マーリンHC.3/3Aと交代することになる。
RNASヨービルトン所属の、845Sqnと846Sqnのシーキングは、キャンプ・バスチョンに展開し、3800回以上のミッションをこなして累計飛行時間12500時間以上を記録した。この間の、のべ輸送兵員数80000、物資700ton以上となる。
ヨービルトンに戻った後は活動を縮小、訓練支援任務に就き、2016年まで運用される予定。輸送任務はRAFが担当する形となり、そちらは2010年代後半からCH-47が配備予定。

RAFが保有するマーリンHC.3/3Aの機数は24機。

米国籍テロリスト殺害の波紋/無人型K-MAXが来月アフガニスタン展開へ/THAADの実射試験/米陸軍にAN/APQ-64センチネルレーダーシステムが納入される/QF-16のソフトウェアをボーイングがデモンストレーション/Tactical Air Defense Service/Tactical Air SupportがEMB-314を受領

米国籍テロリスト殺害の波紋

http://www.spacewar.com/reports/Outside_View_Is_targeted_killing_legal_999.html

9月30日、米国籍を持つ二人のテロリストが、CIAの指揮する米軍の無人機の攻撃によって殺害された。
外国の我々から見れば、今更何言ってんだという感覚であるが、米国内においては、CIAとかが司法手続き抜きで米国籍の人間をやっちゃうことについて、法的な問題(憲法違反)がないかという問題提起となっているようだ。

この攻撃における法的な手続きとしては、司法省の出した覚書をホワイトハウスが承認、それからCIAがソマリアでの攻撃を指揮したという流れになっている。この後、司法省の職員がコメント出したりいろいろあったみたいだがここでは省略。

オバマ政権になってから、無人機による攻撃の回数は、前任のジョージ・ブッシュ大統領2期8年間に実施した回数の4倍になるという。オバマ大統領だからとかそういう話じゃないが。

ただ非正規戦は、そもそもグレーゾーンなわけで、大っぴらにやってる方がおかしい、という状況でもある。その辺は良くも悪くもアメリカというか…

そして10月7日でアフガニスタン進駐から10年。

http://www.spacewar.com/reports/All_change_all_the_same_Afghan_Taliban_10_years_on_999.html

タリバンの方はどんどん兵員が補充されてるみたい。若い世代の多くは、1990年代の内戦の頃にパキスタンに逃れたアフガニスタン人であるとか。
タリバンが政権を握った1996年から2001年までは、テレビやインターネットを禁じていたが、今の若い世代はそうではなく、ネット上の動画などのプロパガンダを通じてタリバンに触れる者も多いという。

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無人型K-MAXが来月アフガニスタン展開へ

http://www.spacedaily.com/reports/The_Navy_and_Marine_Corps_Select_Lockheed_Martin_Kaman_Unmanned_K_MAX_for_Afghanistan_Deployment_999.html

海軍はK-MAXの5日間にわたるQuick Reaction Assessment(QRA)を完了し、先週、海軍と海兵隊の求めるCargo UASの能力を充足するという公式報告を出した。

海軍が作戦運用する貨物輸送用UASとしては初めてのもので、輸送能力は1日6000ポンドに達するとのこと。
K-MAXの運用を担当するチームは、カリフォルニア州Twenty-nine Palmsでの訓練と飛行試験を終え、来月からの展開に備えて輸送準備を行っている。このチームは現役の作戦指揮官とオペレータ、LM従業員からなる。

カマンとLMの協力関係は2007年以来のものだ。

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THAADの実射試験

http://www.spacedaily.com/reports/THAAD_Weapon_System_Achieves_Intercept_of_Two_Targets_at_Pacific_Missile_Range_Facility_999.html

試験の通し番号はFTT-12になる。場所はハワイ州、カウアイ島の太平洋試射場。
これは2回の迎撃試験を含んでいた。1回目は空中発射された短距離弾道ミサイル、2回目は少し間をおいて海上発射された短距離弾道ミサイルを標的として実施されている。
2005年以来、今回を含む12の実射試験の間に、9回の模擬迎撃が行われ、全て成功となった。

カウアイ島に展開したのは、2008年に編成された陸軍の「アルファ・バッテリー」で、第4防空旅団、第11防空連隊所属。テキサス州フォートブリスから8月中ごろに移動してきた。

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米陸軍にAN/APQ-64センチネルレーダーシステムが納入される

http://www.spacewar.com/reports/US_Army_to_Procure_56_Sentinel_Battlefield_Radars_From_ThalesRaytheonSystems_999.html

タレス・レイセオンシステムズが供給する移動式の戦場防空レーダーで、Xバンドの3次元フェイズドアレイレーダー。メーカー発表では56セットを受注となっている。

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QF-16のソフトウェアをボーイングがデモンストレーション

http://www.spacewar.com/reports/Boeing_QF_16_Aerial_Target_Program_Demonstrates_Software_for_USAF_999.html

空軍がボーイングに発注したQF-16 Full Scale Aerial Target programでは、最大で126機のF-16を標的機のQF-16に改造することになっている。
2010年3月の契約(総額7000万ドル)に含まれる最初の6機の改造については、今年9月末から1機目の改造作業をスタートさせているとのこと。

ボーイングのパートナー企業であるBAEシステムズはニューヨーク州ジョンソンシティのSILでデモンストレーションを実施。ハードとソフト及び地上管制系の能力について試験を行っている。SILでの試験により問題点を洗い出せば、実機での飛行試験や製造の前段階で時間を節約できる。

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Tactical Air Defense Service/Tactical Air SupportがEMB-314を受領

http://www.spacewar.com/reports/Tactical_Air_Defense_Services_Super_Tucano_Aircraft_Delivered_and_Flying_999.html

Tactical Air Defense ServiceとTactical Air SupportのJVでリースした機体だそうだ。

米国の軍事請負でも他に使われてない、ということは米国内で唯一作戦可能なEMB-314ということになるのか。

米国防省、年次報告でJ-20に言及/An-148の製造について/An-3のコストダウン型/Yak-130の墜落事故

米国防省、年次報告でJ-20に言及

http://www.flightglobal.com/articles/2011/08/26/361283/chinas-j-20-to-be-effective-capability-by-2018-pentagon.html

まとめると「運用能力の獲得は2018年」「戦闘機というより長距離攻撃プラットフォーム」「エンジン技術が開発の障壁」といったところのようだ。

その他、空軍力近代化のペースについても書かれてるようで、2000年時点で「近代的な」プラットフォームの比率はわずか2%程度だったのに対して、現在では25%に達しているとする。これは主にSu-27/Su-30/J-11とJ-10の配備の進行を指している。

また戦闘機1680機のうち、台湾を航続距離に収める機数は330機。これは台湾の保有戦闘機338機とほぼ等しい数で、攻撃機・爆撃機については620機のうち160機が台湾まで到達可能としている。
空中給油なしで台湾に到達できる機数はこれらの合計、490機となるものの、実際にやるとなれば、ミッションプロファイルと展開状況によって変動することは言うまでもない。

中国の”anti-access” strategyについては省略。

あと、最近のJ-20。

http://tuku.military.china.com/military/html/2011-08-27/182048_1886192.htm

平面が比較的判る画像。スジボリとかの参考…にはならんな。

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An-148の製造について

http://www.flightglobal.com/articles/2011/08/17/360829/maks-kievs-aviant-plant-turns-to-an-148-production.html

MAKSの残り。

アントノフは、キエフのKiGAZ航空機製造工場にAn-148/158の製造ラインを新設する計画で、2012年以降、両タイプ合わせて12機/年のペースでの量産を行う予定。
工場をアントノフ傘下にしてからの3年で、投資額は2億ドルを超えたそうだ。

ここはAn-32の製造を行っているが、アフガニスタンとインドからの受注分が製造終了したら、An-148/158とAn-70の製造へと完全に転換される。

アフガニスタンの分は6機が最終組立段階、インドの分はアップグレードと寿命延長で、5機が引き渡し済みとのこと。

あちらの輸送機もついに新世代になるのか、と思うと感慨深いな。An-70もAn-148も10~20年足踏みしたが…

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An-3のコストダウン型

http://www.flightglobal.com/articles/2011/08/16/360822/maks-antonov-to-test-fly-lower-cost-an-3.html

これもMAKSの残り。

An-2と言えば物凄い数が製造された星形空冷エンジンの複葉機だったが、初飛行から40年近く経った1990年代になり、ターボプロップ搭載型のAn-3が作られた。これはオムスクの弾道ミサイル工場で少数生産され、An-2と同様、極地のような厳しい環境での運用が可能な信頼性の高い機体だった。しかしロシア国内の普通の環境で使うには高価すぎるという事にもなってしまい、An-2の代替とはならなかった。

そんな経緯から、より安価な派生型が今更計画されている。エンジンはウクライナのMotor-Sich(要するにクリモフ)が開発しているAl-14-Xとなる予定。このエンジンは現在ベンチテスト中との事。この新An-3はAn-2を直接代替する機材となり、年内に飛行試験を実施予定。

今、何機ぐらい現役なのだろうか。
中国でも運輸5として製造しているが…

数年間南極に放置されていたAn-2。

http://www.adventure-antarctica.de/2003/09/26/antonov-biplane-bubble-panorama/

これは2001年のロシア隊がAdventure Network Internationalの救助活動に使った後、置いていった機体で、撮影は2003年とある。2005年に修理してマクマード基地から船便で輸送されたとか。

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古い記事だがYak-130の墜落事故

http://www.flightglobal.com/articles/2010/06/01/342633/russia-investigates-cause-of-yak-130-crash.html

5月30日、Yak-130がリベツク市付近で墜落した。乗員は2名とも脱出に成功している。
2ヶ月経ってるが、続報はない。まあロシアだし。

ロシア空軍は同機種を150機程度導入予定。姉妹機のM346とは異なり、クリモフAl-222-25ターボファンエンジンを装備する。今はM346の方が高性能になってるのね。

リビアとアルジェリア(16機)からも受注しているが、リビア向けはどうなるのか。

C-27Jがアフガニスタンで初の戦闘任務/E-2DのLRIPロット3契約/C-5Mスーパーギャラクシー8機目

C-27Jがアフガニスタンで初の戦闘任務

http://www.flightglobal.com/articles/2011/08/10/360585/c-27j-spartan-makes-combat-debut-in-afghanistan.html

8月4日、カンダハル空港から初の戦闘任務に出撃したとのこと。

これらのC-27Jはオハイオ州ANGマンスフィールドの179th AW、164th ASに属する2機で、C-130に代わって配備された。運用するのは7月31日に新編成された702nd Expeditionary Airlift Squadron (EAS)。
前進基地への補給と空中投下が主任務となる。

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E-2DのLRIPロット3契約

http://www.spacewar.com/reports/Northrop_Grumman_Awarded_795_Million_in_E_2D_Advanced_Hawkeye_Contracts_999.htmlhttp://www.spacewar.com/reports/Northrop_Grumman_Awarded_795_Million_in_E_2D_Advanced_Hawkeye_Contracts_999.html

ノースロップグラマンは米海軍から、E-2DアドバンスドホークアイのLRIP-3、5機分の製造について契約を獲得した。7億6100万ドルの固定金額、指定企業契約となる。またLRIPロット2に1機追加という契約変更で、この分は3400万ドル増だそうだ。あとFY2012予定のロット4、5機分の部材調達も関連するみたい。

SDD機のDelta Oneは2007年初飛行。米海軍(ノーフォーク、NASチャンバースのVAW-120)に引き渡されたのはまだ5機と書いてある。

http://www.as.northropgrumman.com/products/e2dhawkeye/index.html

http://www.wavy.com/dpp/military/Navy-accepts-new-E-2D-Advanced-Hawkeye

現在はさらに6機がメーカーで製造中。海軍ではOT&EからIOC獲得に至る途上にある。予定では、今年あたりIOC獲得のはず。と思ってたら

http://www.navair.navy.mil/index.cfm?fuseaction=home.displayPlatform&key=7A0B9668-52B6-4D81-B430-A0638015EE31

NAVAIR公式だと2012Q1になってた。全規模生産が2013年以降で、艦隊配備がFY2015。製造数は2022年までに73機ですって。

ついでに透視図。

http://www.defenseindustrydaily.com/e-2d-hawkeye-the-navys-new-awacs-03443/

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C-5Mスーパーギャラクシー8機目

http://www.spacewar.com/reports/Eighth_C_5B_Inducted_To_Become_Super_Galaxy_999.html

#85-0003は、C-5Mに改修された8機目になるそうだ。もとは1986年製造のC-5Bで、2003年のイラク戦以降、世界の様々な地域で活動してきた。日本にも飛来したことがあるみたい。飛行時間は19000時間、4500回の着陸を記録している。
USAFに引き渡されて以来、デラウェア州ドーヴァーAFBに所属。436th AW。

http://www.dover.af.mil/library/factsheets/factsheet.asp?id=4047

年内には、さらに2機が改修される予定。

チトーの核シェルターが現代芸術に/ウクライナの対アフリカ兵器輸出が拡大/オーストラリア陸軍が3年遅れでNary警備車輌を導入

チトーの核シェルターが現代芸術に

http://www.spacedaily.com/reports/Titos_top_secret_nuclear_shelter_goes_artsy_999.html

チトーはWW2終結から1980年に死ぬまでユーゴスラビアを独裁統治したが、外国の侵略を絶えず恐れてもいた。
その命を受けた旧ユーゴスラビア陸軍、JNAは、大規模な地下核シェルターを26年掛けて築造することになる。コニツから8km、サラエボから50kmほど離れた、ボスニア・ヘルツェゴビナの南ビイェラシュニツァ山をくりぬいて築造され、現代のユーロに換算した総工費は32億ユーロとも言われる。施設の存在は入り口にあたる3つの白い建物が示すのみだった。
チトーの死の前年、1979年に完成を見たこの施設は、Military Installation D-0と呼ばれる事になった。総面積6500平米、病院や洗浄室、指揮命令センターがあり、チトーとその妻、及び350名ほどの指導層を収容する事ができた。内部の環境はセ氏21~23度、湿度60~70%に保たれ、電力供給が絶たれた18秒後には、ドイツ製の2台の発電機(550kW)が作動するように設定されていた。
そしてその存在は、一般国民に知らされることすらなく、施設の「最高機密」扱いは、1992年のボスニア内戦勃発まで続く。この年、JNAのSerif Grabovica退役大佐ら15人が、その存在を明らかにした。
彼らは3つの入り口を爆薬で塞ごうとしたが、Almir Gakicという人がワイヤを切って阻止したとか。この人が現在、施設を管理する立場になっている。内部にはチトーの肖像画もまだいくらか残っているそうだ。

現在、Military Installation D-0は、アートギャラリーとして使われる事になった。これが初めてのイベントとなり、タイムマシンと銘打った現代芸術の展示が行われている。

ギャラリーの主催者に言わせれば、チトーは核攻撃からの身の安全を守ることについて金に糸目をつけなかったわけだが、彼の治めたユーゴスラビアが、血みどろの普通の戦争でバラバラになったという皮肉を体現している、とかなんとか。

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ウクライナの対アフリカ兵器輸出が拡大

http://www.spacewar.com/reports/Africa_increases_imports_of_Ukrainian_arms_999.html

Ukrspetsexport によると、2010年のウクライナからのアフリカ諸国への兵器輸出額は、前年比で約20%増加。これは一昨年から続く傾向で、2009年には前年比で約14%の増加だったとのこと。

コメルサント・ウクライナ紙によると、主要な輸出先はスーダン及びコンゴ民主共和国。T-55とT-72、合わせて250輌という。どちらもきな臭い…というか、スーダンなどはダルフール方面の反政府軍との戦闘が続いてるだけに、国際社会で物議を醸すのも当然。そのスーダン向けには自走ロケットや自走砲や榴弾砲、AK-47を1万丁などの輸出も含む。
さらにここには含まれないが、6月にはエチオピアへT-72×200輌以上の販売も決めている。

ただしこの発表された数字には疑問を呈する声もある。Ukrspetsexportの元ディレクターにあたるSergei Bondarchuk氏は、自分の知りうる限り、オプション契約分が未契約ではないかと指摘。

ウィキリークスで暴露された米国の外交文書の中でも、米国がウクライナの兵器輸出に関して懸念を表明した旨の内容が記されてるそうだ。
具体的には2009年12月、キエフでの兵器拡散防止についての会談で、米副国務次官補が、南スーダン向けに輸出されたT-72の衛星写真(ケニアに陸揚げされた状況を撮影したもの)を提示。それまでUkrspetsexportは、南スーダンへの輸出を否定していたため、ウクライナ側でちょっとした騒ぎになった…というもの。
Ukrspetsexportは、自国生産の兵器だけでなく、自国で余剰の兵器や、旧ソ連の備蓄というか残置というか余剰兵器も売ってるとのこと。

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オーストラリア陸軍が3年遅れでNary警備車輌を導入

http://www.spacewar.com/reports/Australian_army_soon_to_get_Nary_vehicles_999.html

オーストラリア陸軍呼称のNaryというのは、英国のスパキャット社が製造している6×6 HMT 400で、英陸軍でも採用、ジャッカルと呼称している車輌。こちらは2009年からアフガニスタンで成功を収めている。

オーストラリアの発注額は5000万ドル。31輌。NaryとはSAS所属のDavid Nary准尉(故人)の名前からとられている。
2005年、クウェートでSASが訓練してたら、Nary准尉がオーストラリア軍の車輌にひかれ、その事故で殉職してしまった。彼はオーストラリア出身者としては、2003年のイラクでの軍事作戦が開始されて以来、最初の死者だったそうだ。

http://www.youngdiggers.com.au/nary

英軍向けジャッカルとの相違点は、チヌーク輸送ヘリコプターで輸送できない(つまり重い)点が挙げられている。またオーストラリア軍向けの別途のシステムインテグレーションが含まれているというが、その内容は明らかでない。業界筋では、米国のエレクトロニクスと通信系が統合されてないとも言われているようだ。これが事実だと、盗聴の危険が生じたりもする。

メーカーのスパキャットによると、これらの車輌のベースとなっている6×6 HMT400は、エアサスで車高を可変できる他、対弾に対地雷への重防護を施され、多種多様な任務に対応する、とされている。
この重防護はJankel Armoringが開発したもの。Jankelは1954年、少量生産のスポーツカーから始まった会社だが、いろいろあって1980年代からJankel Groupとなり、VIP向けのリムジンを手掛けるようになる。防弾車輌開発の下地はこの時からできてて、1995年にはフォードとGMの4×4シャシをベースにした、法執行機関向けの装甲車を世に送り出す。その後は、ランドクルーザーをベースにした装甲車をより安価に提供するようになり、21世紀からはイラク、アフガニスタン向けの対地雷車輌で、世界の防衛産業に確固たる地位を築く。

http://www.jankel.com/home/

ジャッカルの場合は、総重量16755ポンド、ペイロード4630ポンド。燃料と装甲を積んだ状態で12125ポンド。6気筒6.7リッターのカミンズ製ディーゼルエンジンにより最高速度80mph。
スパキャットではこの車輌の製造について、バブコックと組んだ。バブコックは潜水艦の建造で有名な、プリマスのデベンポート造船所を使い、ジャッカルの製造を一手に引き受けている。