B61-12の開発
米空軍のB61核爆弾は1960年代から配備されているが、50年を経て-3、-4、-7、-10の4つの主要な派生型が残った。このうち3と4と10は可変威力の戦術核タイプで、10は不活性化され備蓄状態にある。7は最高威力の戦略核タイプのため、大型爆撃機にしか搭載できない。その弾頭の一部は低威力に設定のうえ、ペネトレータの11にそのまま転用された。ここまでは機密指定解除された公文書から判っているものの、具体的な威力についてはいくつかの説があるようだ。一説には、7のまま配備されている分は最大340キロトンになっているというが…
最新のB61-12は-11以来の派生型で、PGMキットを適用したものになる。ボーイングが2012年からUSAFおよびNNSA(およびNATO諸国)と共同開発しており、7月1日、ネリスAFBにてF-15Eを使った飛行試験が成功したと発表された。当り前だけど一応、弾頭は不活性と付け加えられてる。運用開始時期は2020年代前半を予定。運用する機種はF-35A(Block 4以降)、F-16、B-2A、それとNATOではトーネード、といった機種名が挙げられている。
EMDフェーズの区切りごとに評価して次に進むか決めていくが、生産に至るかどうかの最終判断としてはFY2018。ここの判断は単なる戦力の近代化というだけでなくB83戦略核の段階的削減とも関わっているとの事なので、米国の核戦略上、極めて重要な計画と位置付けられている。
関連する記事として
Center for Strategic and International Studiesというシンクタンクのクラーク・マードックなる人物は、F-35Cに核運用能力を付与する事についての提案を行った。簡単にまとめると、戦略核三本柱による核の傘だけでは地域の安定に対して(特に同盟国の保護をアピるという点で)不十分だから、冷戦時に戦術核を前線展開していたような体制を部分的に回復する必要があり、その手段としてCVGに核戦力を持たせるのはどうか、という提案。
三本柱の更新はDoDがかねてより要求しているところだが、そんなん金かかってイカンという現実に対する代案、みたいな感じ。付け加えると、それに伴ってもっと戦術核を使いやすく改良すべきである、というのがこの人の主張みたい。
http://www.flightglobal.com/news/articles/pentagon-firming-f-35-block-4-configuration-412762/
F-35Aの核運用能力に関してはBlock 4に盛り込まれる可能性がある。その仕様が確定するのは今年、2015年後半だそうだ。
なおALISのソフト不具合の件は未だに引き摺ってる模様。
6月25日の公聴会における発言から。2021年から2035年にかけて、核戦力の更新・近代化と維持に必要な予算は、平均して180億ドルに達する。金額ベースではDoDの予算の5%を占めるが、まだ全体が見えてないLRS-B、それと対になる新型スタンドオフ兵器等の全コストを含めると、7%にまで達するとの試算もある。
以下は記事中のグラフにもある通り、2020年代にLRS-Bとオハイオ級後継の開発と生産のピークが重なったら、前者の方がどうやったって分が悪い。みたいなお話。なおオハイオ代艦については2021年から建造が本格化する。その数は14隻で、金額では残り2本を合計したよりもでかい。これは核戦力としての優先順位がそのまんま反映されてる形だ。
主契約メーカーの選定は一応この夏に行われるとの事だが、どうなのかなあ。ボーイング/LMとノースロップグラマンの2チームにまでは絞られたから、決まるだろか。
*
T-X選定に連続g要件追加で既存機種脱落(1機種除く)
7月10日、AETCがT-Xの要求仕様の補足説明として、旋回性能に関する要件を出した。連続旋回時のgで6.5、目標7.5はM346派生のT-100やホーク系では性能不足で、T-50なら何とかというレベルになっている。目標に近づけるという意味では、新設計の方が更に有利という事になるだろう。
RfPに先立って5月に行われた説明会にはアレニア、ボーイング、LM、ノースロップ、レイセオンとテキストロンが参加した。T-Xの名前が出てきた当初、ボーイング以外は既存機を軸に提案する方向だったのだが、どうも新設計の方に分がありそうな雲行きになってきた。現在、新設計を検討しているのはボーイング/サーブのチーム、ノースロップグラマン/LMのチーム。この他、テキストロンはスコーピオンで何とかしたいらしい(今飛んでるあれはデモンストレータ?)。
今後のスケジュールとしては2016年にRfPの草案、2017年に正式なRfPで、2023年のIOC獲得を目指す。ただし設計要件としては年内にも段階的にリリースする方針。開発段階には航空機6機と地上訓練システム3セットが含まれ、以後は2029年まで346機が製造される見通し。
値段と納期が優先されるかと思ったら全然そんなことはなかったというかロビー活動が凄そうだ。