MRJの製造ライン増強を検討
http://www.mrj-japan.com/j/news/news_121213.html
http://www.flightglobal.com/news/articles/skywest-firms-deal-for-100-mrj90s-380176/
12月13日、スカイウェストのMRJ導入で調印の後、製造ライン増設を検討という発言が出ている。
広報部長代理の桜井氏によると、このクラスの需要が予想より高まっていると見ており、現計画の月産5機から10機まで引き上げることが検討されているとのこと。
製造ラインを増設するとして、小牧南工場とは別の場所、あるいは米国などの外国も考えられている模様。ただしそれを具体化するのは2015年Q4の型式証明取得後となるので、最終的な判断はまだ先の話となる。小牧南工場のラインについても、試験機の部品製造は進められているものの、まだ完全な状態ではないので、初飛行の頃(2013年Q4)には円滑な稼働体制に持っていく予定とされている。
なお試験機の最終組立は間近だそうだ。
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CSeriesの状況
http://www.flightglobal.com/news/articles/supplier-issues-delay-cseries-first-flight-to-2013-378644/
ボンバルディアCS100(110席タイプ)の初飛行は、結局2012年内は断念されている。11月に入った段階で「サプライヤーの問題」により、2013年6月末までの初飛行延期が発表された。
詳細は明らかにされていないが、これまでにはParker Hannifin AerospaceのFBWシステムと、瀋陽が製造するのウイングボックス/中央胴体部分で問題が出た経緯あり。
今のところCSeries全体としての受注状況が芳しくないため、多少の遅れも影響はさほど無い、と見られている。
CS300は130席タイプで計画されているが、AirAsiaの受注競争で160席のA320neoに負けた例もある。
CS300の詳細設計が開始となっており、座席数を増やした160席タイプも視野に入れているようだ。これは基本的には単純に座席を増やすだけで済まし、設計変更としては、耐空性証明で要求される後部のドア増設などに留まる見込み。派生型なので、CS100よりも早く設計が完了すると予想されている。
160席になると、2強の旅客機と正面から競合することも可能になる。が、相手が悪いのは確かなので、事業としてどうなんかなあという気がしないでもない。
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ATRが新型の90席ターボプロップ旅客機の検討を終える
ATRは、顧客からの強い要望を元に90席のターボプロップ旅客機開発を検討しており、開発前の作業を概ね完了、親会社のEADS及びアレニア・アエロマッキのゴーサインを待つばかりとなっている。
新型機は、従来の機体とは設計思想を共有するものの、別物の新規設計であり、全ての構成要素が一回り大きいとされる。またATRでは、開発の承認が得られれば5年で型式証明取得が可能と予想している。
ただしEADS傘下のエアバスがA320neoやA350に取り組んでいることもあるので、FGでは開発がすぐに承認される可能性は高くないと見ているようだ。
90席のターボプロップに興味を持っているキャリアとして、Lion Airのコメントが出てる。他にはマレーシア航空など。この辺がロンチカスタマーになる可能性はある。
ターボプロップの競合他社であるボンバルディアの出方次第という面も強い。こちらもQ400の派生型開発により、90席クラスで対抗する計画だけはある。
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ダイヤモンドエアクラフトがDA42でFBWの試験を行う
http://www.flightglobal.com/news/articles/diamond-tests-fly-by-wire-on-da42-380035/
EU出資のプロジェクト、small aircraft future avionics architecture (SAFAR)の一部として進行しているものだそうで、4重デジタルFBWをDA42に適用して試験を行っているとのこと。
パイロットの操作によって機体構造に過剰な負荷がかかったり、空気力学的な無理が生じないように制御するシステムであり、離着陸および飛行の自動化を目指す上での重要なステップとなっている。
一般の固定翼民間機、つまりGA分野ではFBWを実用化した機体は存在しない。近年では、回転翼機でロシアの一部機種、ベル525がFBWを備え、エムブラエルもレガシー500でFBWを採用している。欧州においてはエアバスが1980年代に実用化したのはよく知られている通り。