Synergy Aircraft/LEMVの初飛行が6月に予定される/Volta Volaré GT4 ハイブリッド動力機/リノの墜落事故調査報告がまとまる/4月の「空飛ぶ自動車」ネタ

Synergy Aircraft

http://www.gizmag.com/synergy-aircraft-efficient-flight/22541/

Synergy Aircraftは、独自の設計思想に基づく個人用航空機をもって、民間航空機業界への参入を計画している。

その中心となるのはダブル・ボックステールと称する一種の結合型複葉主翼であるが、左右の翼が独立したボックスを形成している。胴体、主翼の形状・配置とも亜音速エリアルールに沿って設計され、複葉の両端を胴体と翼端で結合したいわゆるボックスウイングよりも、安定性に優れるという。すべて誘導抗力を極限まで低減することを主眼として考えられているそうだ。
アスペクト比は大きくなり、グライダーに近い。Synergy Aircraftではこの設計により、平均的な構造の小型ジェット機に比べて効率で10倍もの優位性があると主張している。エンジンはジェットエンジンも可能としつつ、ターボプロップが最適とされている。

開発状況は、スケールモデルによる試験が既に完了。現在は5座クラスの原型機製作に進んでいる。

公式頁にフライトの様子などが出ている。

http://www.synergyaircraft.com/index.html

やや煽り過ぎの感もあるが(しなじーとかいう単語自体が既に少々若干アレ)、まあこういうのが出てきた方が色々面白い。とは思う。
2010年のオシュコシュでも展示されてたみたいだ。

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LEMVの初飛行が6月に予定される

http://www.gizmag.com/lemv-first-flight/22675/

フロリダ州タンパで催された業界向けカンファレンスにおいて、ノースロップグラマンは自社のLEMV原型機が、6月6日から10日までの期間に、レイクハーストにて最初の試験飛行を実施すると発表した。
初期の試験飛行の後はフロリダへ移動し、カメラと通信装置などを搭載するゴンドラを取り付け、初冬には無人での大西洋横断飛行が予定されているとのこと。

LEMVは、米陸軍向けではISRプラットフォームとして開発が進められている一方、カナダのDiscovery Air Innovationsは昨年9月、LEMVの重量物輸送機型を導入することで合意している。

http://www.gizmag.com/hybrid-air-vehicles-airship/19746/

2012年から建造を開始、2014年から商用運航する計画。遠隔地への大量貨物空輸が考えられている。

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Volta Volaré  GT4 ハイブリッド動力機

http://www.gizmag.com/volta-volare-gt4-hybrid-airplane/22416/

http://www.popsci.com/technology/article/2012-04/inside-first-production-ready-electric-airplane

Volta Volaré  GT4は、常時モータでプロペラを駆動し、バッテリ残量25%を切った時点からエンジンが回るというシリーズハイブリッドの動力源を持つ。この場合のエンジンは、レンジエクステンダと呼ぶのが正しい。ガソリンエンジンで、排気量は1.6リッター。バッテリのみ(離着陸含む)で300マイルの飛行が可能で、23ガロンの燃料タンクを使い切れば1000マイルほど航続距離を増やせるようだ。
EViation Driveと称するモータが唯一の稼働部品になるので、オーバーホール間隔(TBO)が通常の内燃エンジンより10倍ほど長くできるとしている。
このほど受注がスタートしたとのこと。予価は49万5000米ドル、年内に11機、2013年に36機を製造することになっている。

機体の基本的な形態は、後退角の付いた主翼にスタビレータが立てられ、でっかくなったバリEZみたいな感じで、カナードに推進式プロペラが付いている。
また、EViation Driveは2つの小型モータを組み合わせてアルミ合金製の1つのハウジングに収めたもので、最大出力450kW(離昇時出力に相当か)、巡航出力300kWとされ、20世紀に製造されたあらゆる動力源よりも高効率であると主張する。よくわかんないけど双子発動機チックだ。
バッテリの仕様はリチウムポリマーが236セルで、重量にして900ポンド。機体の自重が2600ポンドだから、その1/3強をバッテリが占めることになる。

性能としては、最大速度(海面高度)は210kt、巡航速度(12500ft)は160ktなどの数字が出てる。
記事中で比較対象になっているセスナCovails TTXというのは4座の小型機で、TTの後継機。固定ギアとしては世界最速と自称しいる。

http://www.gizmag.com/cessna-ttx-corvalis/22076/

それはともかくとして充電はどうすんのかしら。まあ電線無くてもガソリンが手に入れば自前で充電できるけど。

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リノの墜落事故調査報告がまとまる

http://www.gizmag.com/reno-crash-update/22113/

2011年9月11日、ネバダ州リノのエアレース、アンリミテッドクラスの決勝において、P-51D改造レーサーのGalloping Ghostが墜落、パイロットと、観客席の10名が巻き込まれて死亡するという事故が起こった。この事故調査について、4月の話になるがNTSBが最新版を公表。

直接の事故原因は、事故機が最終コーナー(パイロン8、9)を旋回中に振動が発生し、左エレベータのトリムタブが脱落したこと。結果、瞬間的に機首上げ姿勢となった際の高gでパイロットが失神し、コントロールを失い墜落‥とされている。テレメトリデータでは、この時の最大gが制限値の9gを超えていたとのこと。
また人的な要因としては、決勝において事故機のパイロットが、クオリファイを上回るペースで飛ばした事も挙げられている。ただこれはどのチームもギリギリまで追い込むのが通例なので、潜在的な危うさは変わらないかもしれない。

今のところエアレース自体の中止という方向ではなく、機体の安全確保とコース設計の修正といった再発防止対策が示されている。とりあえず観客席は遠ざけられそうだ。
Galloping Ghostに関しては、エンジン出力の向上の他、スパンの切り詰めとキャノピ小型化などの改造が行われていた。

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ついでだから4月の「空飛ぶ自動車」ネタふたつ。

・TERRAFUGIA

http://www.terrafugia.com/news_media.html

一般メディアでも報じられたと思うが、結構いいところまで進んできた。納入まであとちょっとらしい。

・PAL-V

http://pal-v.com/

馬鹿っぽさではこっちが圧勝。この1950年代っぽさがたまらぬ。

中国の056型コルベットが進水/停泊中の022型/J-20の2号機など

056型コルベットが進水

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-23/200423_2141607.htm

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-24/200499_2142518.htm

5月23日に進水したようだ。ウィキペだとフリゲートと書いてあるが、2000ton未満と推定される排水量からするとコルベットに近い。
ウィキペの元ネタ中国網記事。

http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2011-05/23/content_22623157.htm

と、日本国周辺の軍事兵器の該当項目。

http://wiki.livedoor.jp/namacha2/d/056%B7%BF%A5%B3%A5%EB%A5٥åȡ%CA056%B7%BF%B7ڷ%BF%B8%EE%B1Ҵϡ%CB

これらの記述は基本的には模型の写真から装備を予想しているもので、現物は喫水線下はもとより見えないし、甲板上の兵装にはカバーが掛けられてて、まだ詳細不明ということになっている。
タイ向けの艦(パタニ級)の自国版という感じではある。ヘリ格納庫はたぶん無い。

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停泊中の022型

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-21/200249_2139206.htm

この手の波浪貫通型船型は、近くで見るとやたらと大きく見える。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-18/200161_2137803.htm

演習中の映像のようだ。

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J-20の2号機

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-14/199756_2132433.htm

5月中旬から写真に撮られるようになってきた。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-11/199624_2133904.htm

5月10日にタキシー試験が目撃される。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-17/200002_2135691.htm

で、初飛行。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-15/199846_2133605.htm

#2001と比べると、シート背面の角度が違う。従来の13度傾斜のものではなくて30度ではないかという推測。これはF-16と同じ‥なんだっけ?

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-18/200144_2137592.htm

あと空中給油装置のドアらしきものが確認されていたり、

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-14/199756_2132433.htm

インテイク部分に何か可変式のベーンみたいのが追加されている。この辺はそのうちもっと明瞭な写真が撮られると思う。

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よくわからんがUAVの展示会みたいのがあったみたい。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-22/200359_2140815.htm

S-100も展示されている。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-05-22/200359_2140822.htm

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2月だが昇竜UAVが撮影されている。飛行してるのかなこれ。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-02-02/192848_2039792.htm

インドがPC-7 Mk.II調達でピラタスと契約/サウジアラビアは新型練習機を導入する/バングラディシュはUSAFで余剰のC-130E購入を検討/オマーンがC-295を発注/サウジアラビア向けタイフーンについて

インドがPC-7 Mk.II調達でピラタスと契約

http://www.flightglobal.com/news/articles/pilatus-signs-pc-7-mkii-contract-with-india-372270/

インドはピラタスと、PC-7 Mk.II×75機の調達契約を締結した。金額は5億スイスフラン以上とされている。内容は、概ね今月初めにインド内閣が承認したと報じられた通り。
機体と訓練システム機材の引き渡しは2012年Q4からを予定しており、契約には地上訓練設備と兵站支援が含まれているとのこと。オプション契約条項は3年間の期限付きだが、ピラタスは楽観視しているようだ。

技術移転と、30年間運用する前提でのインド国内の整備施設もあり。オフセットは30%。

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サウジアラビアは新型練習機を導入する

http://www.flightglobal.com/news/articles/saudi-arabia-signs-102-aircraft-military-training-deal-372229/

BAEシステムズによると、サウジアラビアは次世代の訓練システム向け機材として、ホーク×22機とピラタスPC-21×55機の導入を決定している。
5月23日の政府間取引は、総額およそ16億英ポンドと発表された。BAEシステムズが全部まとめて請ける形。

今後、サウジアラビア空軍の主力となる機体はタイフーンとF-15SAの改修型で、これらの搭乗員訓練に用いられることになる。
現用の練習機はホーク65/65A×45機(うち29機は1987年から1988年にかけて納入された古い機体)、ピラタスPC-9×47機。これらが順当にそれぞれの後継機種に移行することになる。自国産でもないのにこういう継続性が見られるケースは、わりとまれな気がするが、それだけ両国の防衛協力の結びつきが強いということだろう。

PC-21の引き渡し時期は2014年以降で、ホークは2016年以降。この他に初等練習機25機が含まれるとのことだが、機種は公表されていない。パッケージとしてはシミュレータ、支援機材、サウジ側の人員訓練などを含む。

PC-21は今のところスイスとUAEに採用され、ホークは最新型のホークT.2/128×28機がRAFに引き渡されたが続く発注がない状態だった。

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バングラディシュはUSAFで余剰のC-130E購入を検討

http://www.flightglobal.com/news/articles/bangladesh-seeks-four-refurbished-c-130es-from-usa-372217/

バングラディシュ空軍は現在、C-130Bを4機保有している。これらは1960年から1962年にかけて配備されたもので、50年にわたって使われてきた大ベテラン。これらを近代化するため、USAFで余剰となったC-130Eの購入を打診していた。

B型と言えば相当初期型。震災後の救援で日本にも来てましたね。

http://flyteam.jp/photo/Bangladesh%20-%20Air%20Force/Lockheed%20C-130B%20Hercules%20-L-282-/28404

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/3/0330_04.html

米国DSCAによると、バングラディシュ向けに提案されているC-130Eは、機体の再生、オーバーホールと改修、兵站支援までが含まれ、訓練とその他支援機材、T56エンジン20台が加えられている。
金額は1億8000万ドルで、米国内での改修などについては、競争入札で業者を選定することになっている。

DSCA曰く、地域レベルでの人道支援や国際貢献、PKO活動、対テロなどに役立つ(そして米国の国益にも適う)とのこと。

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オマーンがC-295を発注

http://www.flightglobal.com/news/articles/oman-orders-c295s-for-airlift-maritime-patrol-duties-372092/

5月19日、オマーン空軍はエアバスミリタリーに対してC-295×8機を正式発注した。エアバスミリタリーによると、このうち5機が普通の輸送型で、3機がかねてより提案されていたMPA型とのこと。これらはスペイン国内、セビリアのサン・パブロ工場で製造される。

オマーン空軍の現用輸送機は、ショートSC7・スカイヴァン3Mが5機。これらは1970年から1975年にかけて引き渡された機体で、やはり相当に古い。C-295 MPAに該当する機体は無かったようだが、領海内の海洋監視、海賊、不法入国・密輸etcへの対応に力を発揮するはずだ。

契約金額は公表されていない。特筆すべき事項としては、原油流出に備えたpollution control systemというものが初めて装備されるとある。貨物パレットに搭載されるタイプらしい。

これかしら。

http://www.biotector.com/pages/applicationsfolder/airbusfolder/airbus.html

C295の受注は今年に入って既に24機と好調。というか去年が5機とどん底だった模様。
同社では30機受注を予想している。カメルーンとの商談などがあるようだ。オマーンのように旧式機を代替する需要が大きくなっているから、市場としてはそこそこ有望ではある。

また、もう一つの新しい派生型、C295 AEW&Cについては、3カ国と予備的な交渉が行われたというが、国名は明らかにされなかった。

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サウジアラビア向けタイフーンについて

http://www.flightglobal.com/news/articles/saudi-arabian-typhoons-to-get-capability-boost-371967/

Al Saram計画において、サウジアラビア(RSAF)向けのタイフーンは72機が発注されているが、うち48機分の契約の修正が話し合われる中で、組立作業は一端中断される形となっていた。この交渉は今年初めに修正契約が締結されて決着し、1月には組立作業が再開される。現在はウォートンのBAEシステムズの工場で、最初の機体の最終組立が始まったところ。

RSAF向けのタイフーンはトランシェ2が基本となっているが、修正後の契約では将来の改修・能力向上に備えた変更が加えられることになった。変更は大きく2つで、AESA搭載改修、およびCFTの設置点が設けられるとのこと。

現在、RSAFのタイフーンは24機が配備済みで、すべてTaif空軍基地に属している。今後は、短期的にはターゲティングポッドとPGMの装備を計画中。フランス製か米国製。
72機という大規模な導入となっているため、利益を上げるかどうかという点を除けば、ほとんどユーロファイター主要4カ国に準じた扱いになってるようだ。

BAEシステムズ・サウジアラビアは従業員5300名、うち3500名がサウジアラビア国民という。

SELEXガリレオがグリペンE/F向けの新型AESAを準備/ロシア空軍はSu-25の後継機を発注、PAK-FAのスケジュール、An-124-100Mなど/日本近海で中国艦艇とVTUAVが確認される/米国防総省はJ-20が2018年頃配備されると予測する

SELEXガリレオがグリペンE/F向けの新型AESAを準備

http://www.flightglobal.com/news/articles/selex-nears-aesa-radar-delivery-for-gripen-372125/

SELEXガリレオは、数週間以内にグリペンデモ向けのAESA、レイブンES-05の最新タイプを納入すると発表。試験はスコットランド、エジンバラにあるフィンメカニカの施設で行われていて、7月のファーンボロで展示されたあと、飛行試験が開始されることになっている。

スウェーデン空軍向けのグリペンアップグレードとしては、AESAに続いてIRSTの開発も進められている。製品名はスカイワード-Gで、2012年末から2013年初頭にかけて試験用に納入される見通し。これはグリペン専用の内装IRSTとして開発されているが、SELEXガリレオではより多くの機種にインテグレーションできるよう、ポッド型で供給する事も想定している。

記事の残りはタイフーン向けのCAPTOR-Eについてで、現在のスケジュールは2013年Q2に試験用レーダを納入し、2013年内にタイフーンに搭載して飛行試験を開始するといったものになっているようだ。生産契約もこのあたりになり、製品として納められるのは2015年頃の予定。まだ主要4ヶ国での話し合いは続いており、不透明な部分が多い。
今のところ確定しているのはサウジアラビア向けで、新造のトランシェ3A向けと、トランシェ2の改修オプションに入る予定。UAEとマレーシア、他の潜在顧客向けは提案中。

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ロシア空軍はSu-25の後継機を発注、PAK-FAのスケジュール、An-124-100Mなど

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-air-force-to-order-su-25-replacement-372103/

ロシア空軍でSu-25の後継となる次期対地攻撃機については、Yak-130の本格的な攻撃機型、Yak-131も提案されていたが、こちらは正式にキャンセルし、新しい全天候攻撃機の発注に踏み切ることを決定した。これは既に調達計画に加えられ、2020年までの配備を目指すとのこと。
現用のSu-25の最新型はSu-25SMとなるが、新造機ではなく、80機程度の改修が発注されている(このうち30機以上が引き渡し済)。

次期攻撃機については、以前も出た情報程度しか出てない。ステルス性を有し、新型レーダーを装備して、STOL性を特徴とする云々。

また、Yak-131キャンセルの理由として乗員防護の不足が挙げられてる。シュトルモビクの伝統を受け継ぐとなれば、練習機程度じゃ無理なのも道理と言えよう。

PAK-FA/T-50については、2013年に空軍へ原型機が引き渡され、性能試験が行われる見込み。開発は計画通りに進行中とされている。なお以前の発言では2015年までに14機が製作される事になっていた。

An-124-100Mは最初の3機がロシア空軍に引き渡された。既存機10機程度を改修、これと別に、ペイロードが150tonまで増加したAn-124-300について、新造機10機程度を導入する計画としている。

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日本近海で中国艦艇とVTUAVが確認される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-schiebel-camcopter-s-100-operated-from-chinese-frigate-372045/

画像は054A型フリゲートから小型の無人ヘリコプターが離着艦しているところ。海上自衛隊が撮影して公表した。同様の写真が公表されたのは2011年6月に続いて2度目となるが、艦船に搭載されている様子がはっきりわかるのは初めて。
実運用に入っているのか試験中なのかは定かでない。

業界筋ではオーストリアのSchiebelが製造したCamcopter S-100であるとされており、このタイプは2年前に中国が18機ほど購入したことが公然の秘密となっている。このサイズで艦上運用できるVTUAVは他に存在せず、他の中国製のVTUAVとも似ていない。
ただしSchiebelは、個々の取引についてはノーコメントということで、公式には中国への販売を認めていない。

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米国防総省はJ-20が2018年頃配備されると予測する

http://www.flightglobal.com/news/articles/chengdu-j-20-could-enter-service-by-2018-372082/

米国防総省は年次報告の中で、J-20が2018年前半までに部隊配備されるという予測に言及した。J-20が姿を見せた後も、配備されるのは2020年代であろうという予測を変えていなかったが、今回はそれが訂正された形になる。
operational capabilityという言葉で表現されているが、機数が揃って要員の訓練も十分にできた状態として定義されるとのこと。

 

米軍用機で見つかった中国製パーツ偽装問題の顛末/MC-130Jのフルモーションシミュレータ訓練が開始される/台湾へのF-16売却を認める法案が米下院を通過

米軍用機で見つかった中国製パーツ偽装問題の顛末

http://www.flightglobal.com/news/articles/china-made-counterfeit-parts-found-in-us-military-aircraft-senate-372155/

米上院軍事委員会は、一部の米軍機(C-27J、C-130J、P-8Aなど)で見つかった、機能しない偽装電子機器の供給元が中国であった事を報告した。調査は個別のパーツ数にして100万、1800ケースが対象となり、報告書は112ページにのぼる。

報告書には、具体的なルートについての調査結果もある。2011年11月にL-3ディスプレイシステムズで生産したコクピットの表示装置の例では、偽のメモリチップが入っており、発見された時点で500以上が取り付けられていた。カリフォルニアの卸業者を通してシンセンの会社から買ったものだった。報告書では、2009年と2010年に数万個単位で同じ会社から買ったと結論されている。

P-8Aの例は凍結を検出する部品で、2011年8月17日にボーイングから海軍へ報告が上がったが、その18か月前、2010年1月に製造者のBAEシステムズも海軍に報告を上げている。こちらもカリフォルニアの会社から買ったが、さらにそこはフロリダの会社から買っており、製造元まで辿るとこれも別のシンセンの会社に行きついた。

対策としては、元請に渡す前にちゃんと試験しましょう、という話になるのだが、サプライチェーン的な意味で国防上の弱点となる深刻な話でもあるので、同委員会では対策を法制化する準備を進めているそうだ。

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MC-130Jのフルモーションシミュレータ訓練が開始される

www.flightglobal.com/news/articles/afsoc-mc-130j-crews-start-training-in-new-full-motion-sims-372209/

ニューメキシコ州のカートランドAFBにおいて、空軍特殊戦(AFSOC)のMC-130Jの乗員訓練が開始される。2月からAETCにて準備が進められていたもので、フルモーションシミュレータを使用した訓練となる。MC-130J weapons system trainer (WST)は、FAAのレベルDフルモーションシミュレータと同等のものに、実機同様のミッションシステムのシミュレータを組み込んだもので、各種センサ、EW、NVG環境と戦場における脅威などを再現する。さらにシミュレータをネットワークで結び、複数の基地に設置されたシミュレータで同じ仮想環境における訓練が実施できたりもする。

MC-130J専任となるコンバット・システム・オペレータ(CSO)は3月から転換訓練を開始した。またHC-130Jの搭乗経験があるCSOの訓練は4月からで、同じくパイロットとロードマスターは5月から開始されている。なおHC-130JとMC-130Jは同じシミュレータで訓練できる。

シミュレータでできることが拡大されたため、訓練のうち80%は座学とシミュレータ、残り20%は飛行訓練となった。AFSOCはmulti-function training aid (MFTA)を導入を命じられた最初の組織でもあり、今後も日常的な訓練などに、その役割は広がっていく見込み。将来のAC-130Jでもシミュレータ訓練が大きな役割を果たしそうだ。

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台湾へのF-16売却を認める法案が米下院を通過

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-house-of-representatives-mandates-taiwan-f-16-sale-372084/

5月18日、台湾へのF-16売却を認める法案が米下院にて賛成多数で可決。ただし上院で同様の結果になる可能性は低いと見られている。

台湾への輸出に関する部分は、テキサス州選出のKay Granger共和党議員が防衛関連法案に書き加えたものだった。上院での支持は限定的で、同じテキサス州選出の上院議員などはこれを評価している。
オバマ大統領はここ数カ月、F-16売却についての対応を変更することを示唆しているが、一連の動きはF-16改修に関して中国側の反応が予想されたほど激しくなく、実際には一部のイベントが流れた程度に留まっ、て事務レベル協議と高レベル対話は継続されていた事と関連している。

MRJの100席タイプが正式発表される/ボンバルディアがリアジェット70/75を発表/セスナ・キャラバンの中国展開でJV設立/ホーカー・ビーチクラフトが80周年を祝う/セスナ・サイテーション・ロングチュード

MRJの100席タイプが正式発表される

http://www.flightglobal.com/news/articles/mitsubishi-targets-2017-18-to-deliver-100-seat-mrj-372207/

5月23日、三菱航空機はMRJ90をストレッチした100席タイプ、MRJ100Xを正式に発表した。このタイプは2017~2018年にかけて引き渡しが開始される見込み。潜在顧客となる各エアラインとの協議の結果、今回の発表に至ったとのこと。
想定する市場は欧州。欧州は米国と異なり、パイロットの労働協約(Scope Clause)による制約が無い分、リージョナル機の大型化が進みやすい傾向がある。

古い資料だが、この辺参照。

http://www.jadc.or.jp/JADCF04.pdf

100席タイプの開発が具体的になったのは2011年で、インターナショナル・リース・ファイナンスのえらい人、Steven Udvar-Hazy CEOが100席タイプの必要性に言及したこともあった(2011/5/11のエントリ参照)。そして現実に受注は伸びておらず、90席まででは市場開拓に限界が見えていた。
そのあと社長談話で100席タイプについて触れ、平成30年頃に実現としていた。つまり先月27日に発表されたように、標準型が2015年Q3就航と1年遅れても、影響はあんまり無い。遅れの原因が製造に関連する部分だから当然か。

三菱航空機では年内の200機受注を目標としている。現状はオプション抜きで70機、オプション入れても130機。

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米国では、1990年代後半からパイロットの労働協約に関係して50席のリージョナル機が山ほど就航していたが、これらの寿命が尽き始めており、また燃費も良くないため、今年になって特需が来ている、という記事。

http://www.flightglobal.com/news/articles/analysis-airframers-bet-on-big-orders-from-us-regionals-372008/

当時との変化としては、協約による制限が緩和されたため、50席から70~80席の機体に焦点が移った。エムブラエルによれば、年内に5件以上の大型契約、400機以上の受注が見込まれているそうだ。ボンバルディアも近いうちに契約が成立する見込みに関しては同意している。

FlightGlobal調べでは、この2社が製造した40~50席クラスのジェット旅客機は、9つの航空会社により508機が運航されている。エムブラエルの方がやや多く54%となるものの、シェアはほぼ拮抗状態。このクラスの耐用年数はおおよそ15年だが、導入から10年以上が経過している機体が多くなってきた。
新型機導入を計画中とされるエアラインのうち、最大手はスカイウェスト。スカイエクスプレスとスカイウェストの2つあわせて、CRJ200×132機、ERJ-145×117機、CRJ100×4機が現役。
これと似た機材構成のエアラインにはアメリカンイーグルがある。ERJ-135×21機、ERJ-145×82機(ただし破産とリストラを経てどう転ぶかはまだ不明)。
いずれにしても、より大型の機体を投入する事で、収益性の改善が見込まれるところとなっている。

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ボンバルディアがリアジェット70/75を発表

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-bombardier-relaunches-entry-level-learjet-pair-as-learjet-70-and-75-371784/

エアフレームはリアジェット40/45と共通で、内装、キャビンマネジメントシステム(CMS)、アビオニクスとエンジンが変更される。
ガーミン製の7インチポップアップ式タッチスクリーンモニタなど最新アビオニクスは、グローバル5000/6000とだいたい同じ。
エンジンはTFE731-40BRで推力が10%向上、航続距離が100nmほど延びて2000nmに達する。また、5000ft級の滑走路が使える。

同社ではウィチタにおいて、秘密裏にこれらの機体の試験を開始しており(どのみち外見では識別できなそうだが)、リアジェット75は来年前半、70はその半年以内に就航予定となっている。またこれを受けて、現在のリアジェット40/45は2013年で製造を完了する計画。

75の試験機は今後6か月で3号機から5号機が初飛行する予定で、5号機が生産型と同じ仕様になる。

リアジェットのファミリーの中では60XRが旧世代のまま残り、製造は当面継続される見込み。

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セスナ・キャラバンの中国展開でJV設立

http://www.flightglobal.com/news/articles/cessna-and-avic-unit-to-form-caravan-joint-venture-371496/

セスナ社は、中国でのセスナ・キャラバンの最終組立と販売、カスタマーサポートを行うJVの設立に関して、中国AVICのGA部門、CAIGAと石家荘市との合意に至ったと発表。製造はカンザス州で行われる。
セスナ社の中国進出に関連する話題としては、3月の共同開発機の発表に続くものとなる。

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ホーカー・ビーチクラフトが80周年を祝う

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-hawker-beechcraft-stresses-business-as-usual-371772/

ただし連邦破産法チャプター11申請中。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-hawker-beechcraft-to-be-under-new-ownership-after-25-billion-debtequity-swap-371776/

まあ出資者は居るみたいだけど。

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セスナ・サイテーション・ロングチュード

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-cessna-launches-longitude-midsize-business-jet-371790/

セスナ社は開発中のラチチュードのストレッチ型により、スーパーミッドサイズ市場に参入することを発表した。サイテーション・ロングチュードと名付けられており、全16機種の製品ラインナップ上では高速ミッドサイズのサイテーション・テンの上、最上位機種となる。
8席で価格は2590万ドル。このクラスはホーカー4000、ガルフストリームG280、ダッソー・ファルコン2000LX、ボンバルディア・チャレンジャー605、エムブラエル・レガシー650といった有名メーカーの機種がひしめく激戦区で、後発のセスナ社としては、価格競争力と4000nmに及ぶ航続距離を武器に参入する事となった。
基本が価格勝負とは言え、従来の固定した顧客をしっかり囲い込むための機種、という面も強い。

エンジンはスネクマ・シルバークレスト。推力11000ポンド双発。低騒音でカーボンフットプリントも小さいとする。
スパン87ftの主翼は新設計で後退角30度、ウイングレット付き。T尾翼。フライトコントロールはフラップ制御がFBWで、その他の動翼、昇降舵、補助翼、方向舵、多機能スポイラ、エアブレーキとスラットが油圧となっている。アビオニクスとAPUのメーカーは未発表。

2016年中盤の初飛行を目指している。
製造はウィチタかその他の海外拠点ということだが、中国も含まれてそうだな。

スーパージェット100事故関連

スーパージェット100事故関連

・スーパージェット・インターナショナルの公式声明

http://www.flightglobal.com/news/articles/superjet-international-stresses-confidence-in-programme-as-crash-probe-continues-372189/

5月9日の事故後、同社CEOからの初めての声明となるもので、製造は継続しており、計画には今のところ何の変更もないと述べている。ミネソタ州ミネアポリスで催されたリージョナル・エアライン協会の年次総会において発表された。
ロンチカスタマーの、メキシコシティ所在のLCC、インタージェット社への引き渡しは今年後半というスケジュールになっているが、これについてはノーコメントだった。

・事故調査の経過

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-to-lead-superjet-inquiry-372168/

事故から6日後の5月15日、現場からボイスレコーダが回収された。当初はロシア側が解析を行うような兆しがあったものの、インドネシア側は譲歩せず、自国の輸送安全委員会(NTSC)が主導することになっている。とは言え、インドネシア国内で調査を続けるには、解析のための機材や、事故状況の分析などについてロシア側の助力に頼ることになる。

また、アエロフロートへの引き渡しは延期されておらず、5月17日、生産8号機(s/n:95014)が正式受入となっている。この機体は5月23日にモスクワへ飛ぶ。

・ムルパティ・ヌサンタラ航空が新型機導入を保留に

http://www.flightglobal.com/news/articles/merpati-may-cancel-plans-for-arj21s-and-sukhoi-superjet-371888/

事故の当事者となったインドネシア国営のムルパティ・ヌサンタラ航空は、新型機導入を保留とする方針を明らかにした。これにはスーパージェット100だけでなく、ARJ21も含まれている。
具体的には、ロードファクターが9割を超えるまで新型機導入は保留とする方針で、スーパージェット100はキャンセルとなり、ARJ21の方はまだはっきりしていない。後者は2月のシンガポールエアショーで40機購入の覚書を交わした段階に留まっている(2年以内に確定見込みとされた)。ARJ21は、200機以上の受注を集めたとは言え、その大半は自国エアラインとリース(とミャンマーとラオスが各2機)であり、ムルパティ・ヌサンタラ航空は大口の海外顧客としては初のカスタマーと目されていたため、AVICにとっても影響は大きい。

計画の変更については、事故が影響を及ぼしたのは確かだが、財政的な問題が主。
先週、同社は2011年度決算で7500億Rp(8250万ドル)の巨額赤字を計上し、責任者が更迭された。昨年は5160億Rpにのぼる公的資金も注入されている。
経営が悪化した理由は、急成長中の民間航空会社との競争が激化したためで、対策として東部の遠隔地を結ぶ路線に軸足を移そうとしている。
スーパージェット100は小規模な空港でも運用できるのに最適として選定されたが、それどころでなくなったというのが実情らしい。

F-22の飛行を制限する追加措置について/USAFはA-10の代替をF-35Bとする構想を断念/米国防長官はF-35BとMV-22を支持する/RRがF-35Bのリフトシステムを受注

F-22の飛行を制限する追加措置について

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-defence-secretary-orders-additional-f-22-safety-measures-371943/

パネッタ米国防長官はUSAFに対し、F-22のパイロットの安全を確保するためとして、緊急着陸が可能な範囲での飛行に制限する措置を指示した。DoDによると、この命令は対策が十分なされるまで無制限に適用されるものであるとのこと。

問題の「低酸素症に似た症状」に関しては何度か報じられている通り、2008年以来14件が報告されたにも拘らず、原因が特定できないという異例の状況が続いている。
ブリードエアの混入による酸欠という推測も公にされたが、内部では排気圧が上昇し過ぎて減圧症となる可能性も取り沙汰されているという。

当局がこうした措置を講じざるを得なかった原因の一つに、飛行を拒否したF-22パイロットのうち2名が、TVに出演した事が挙げられている。TVを通じて、社会的な波紋も大きくなったようだ。

また、この措置による影響であるが、米国内においては、主に平時の防空任務において長距離飛行を行う部隊が影響を受けることになる。具体的にはアラスカ州エレメンドルフ-リチャードソン統合基地に所属の3rd WGと傘下の477th FGが該当。

http://www.477fg.afrc.af.mil/

一方、UAEに展開した7th FSは影響を受けない。

国防長官は、今後の対策についても早めるよう命令を出した。計画されている対策は、機上酸素発生装置の予備系統を増設するというもの。これは異常時に自動的に作動し、バックアップとして機能する。
スケジュールとしては、11月末までに試験を完了し、12月から1か月に10機のペースで改修を施すよう求められている。
また、毎月の進捗を報告するように指示しているそうだ。

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USAFはA-10の代替をF-35Bとする構想を断念

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-f-35b-cannot-generate-enough-sorties-to-replace-a-10-371985/

USAFはA-10後継機として、F-35Bの配備を検討していたが、CASなどで十分に任務を達成できないと結論した。
そのあと、先月ぐらいからいきなり出てきたAirSea balttleについてのとってつけたような言及がある。しかし、この関係は実体がまだ無いようなもんなので、わりとどうでもいいというかよくわかりません。
空海軍に属する各プラットフォーム間での、次世代データリンクを軸にした情報共有とかが謳われているものの、現場レベルで不要な情報が溢れるといった懸念も既にある。リソース配分の最適化だとか、実際やるとなったら難しそうだ。

とりあえずF-35関連記事としては、USAFのシュワルツ参謀長がBは役立たずと発言したらUSMCの元航空指揮官が反論したといった文脈で押さえておく。

具体的な反論の一つが、B型の方が1日当たりのソーティ数(key performance parameters (KPP))が多く要求されているというもので、B型が1日4ソーティに対してA、C型が1日3ソーティとされた。実際にSDDフェーズにおいても、B型が約6、A型が約3.5、C型が弱といった実績になっているらしい。CAS機としての要求が入っているのはB型だけなので、まあこれは順当なところ。A-10と比べてどうかというのは、A-10と同じような運用ができるかと言ったらそりゃ無理だろう、というのはなんとなくわかる。

ともあれUSAFがB型を導入する可能性はこれで消滅したようで、全機A型となるのが確実となった。

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米国防長官はF-35BとMV-22を支持する

http://www.flightglobal.com/news/articles/panetta-reiterates-support-for-f-35b-and-mv-22-371994/

5月17日、USMC航空部隊が創設100周年を迎え、記念式典が行われた。パネッタ国防長官も出席し、演説を行っている。
その中で、F-35BとMV-22への強い賞賛を(改めて)表明したという話。

これがすぐ何かに繋がるということでもなかろうが、予算が削られたり復活したりとごちゃごちゃになってる現状では、まあいろいろ大変ですよねという感じ。

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RRがF-35Bのリフトシステムを受注

http://www.flightglobal.com/news/articles/rolls-royce-awarded-propulsion-system-order-for-f-35b-371306/

前の記事と前後するが5月1日、LRIP-4が確定するのと時を同じくして、RRはP&Wから、LRIP-4のF-35B、17機分のリフトシステムを受注した。金額は3億1500万ドル。リフトシステムはLiftSystemと表記される。製品名と考えていいのかなこれは。同社では、生産量が増えればコスト低減効果も大きくなると見ている。
これまでに納入した数は試験機などの32機分で、今年後半にはLRIP-5での受注を見込んでるとのこと。

エストニア空軍がR44に夜間暗視装置を装備/AW169が初飛行/カザフスタンでEC725を現地組立、EC145を追加/Mi-38の製造と型式証明取得について/Ansatの民間型式証明取得について/ホンダジェット原型3号機が初飛行

エストニア空軍がR44に夜間暗視装置を装備

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-estonian-air-force-r44s-get-night-vision-upgrade-371099/

エストニア空軍は、4座のロビンソンR-44を4機保有している。これらの機体は捜索・救難活動を主任務としており、今回その能力を高めるべく、2機について夜間暗視システムを装備したという話。米企業のREBTECHが、サプライヤのNight Flight Conceptと協力し、エストニア空軍の採用したNVGと互換性のある機材を納めた。

艶消しオリーブドラブ単色のR-44は結構珍しい。機体のシンプルさもあって1960年代の雰囲気が漂う。

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AW169が初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-agustawestland-completes-first-flight-of-aw169-371819/

AW169は、6tonのAW139と10tonのAW189の下に来るlight intermediate級、中軽量級に属する4.5tクラスの新型機で、2010年のファーンボロで発表された。2014年の型式証明取得を目指して開発されている。
初飛行したのは試作原型機で、アグスタウェストランドの主任テストパイロットらが飛ばし、システムと操縦性についての基本的な確認を行ったとのこと。
今後、試験機として今年後半に2機が追加されて3機となり、2013年には4機目が追加されることになっている。

同社では、これまで50機以上の受注があるとした。

特徴の一つとして挙げられているのが、タービンエンジンをAPUとして運転するモードを備えることで、別途APUを搭載する必要が無くなっている。

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カザフスタンでEC725を現地組立、EC145を追加

http://www.flightglobal.com/news/articles/kazakhstan-to-assemble-20-ec725-helicopters-371737/

ユーロコプターは、今月初めにカザフスタンの首都で開催されたKADEX-2012において、EC725×20機の現地生産と、EC145×8機の追加発注でカザフスタンと合意した。

カザフスタンでは空軍向けでEC145を45機発注しており、既に6機が引き渡されている。今回の追加分は、SAR仕様の2機と、国家非常事態省向けの6機、合わせて8機の追加となった。
追加分のEC145は、アスタナ空港に隣接したユーロコプター・カザフスタンの施設で組立が行われる予定で、EC725も同施設でのラインで組立する計画となっている。

カザフスタン政府はこの他、民間モデルのEC225をVIP輸送用途で選定した。
従来、空軍が保有する回転翼機はロシア系で占められていた。機種はMi-17、Mi-24、Mi-26など。
微妙に被ってないような気もするな。旧ソ連では中型双発に相当する機体が無いも同然だったから。

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Mi-38の製造と型式証明取得について

http://www.flightglobal.com/news/articles/mi-38-ready-for-serial-production-soon-with-certification-in-2015-371299/

ロシアンヘリコプターのカザン工場では、Mi-38の原型3号機を製作中。Mi-38は最大40人乗り。機体規模としては、36人乗りのMi-17と82人乗りのMi-26の中間にあたる。MTOWは15.6ton、スリング可能な貨物重量は6ton。

この原型3号機には、遅れてきたクリモフの新型エンジンTV7-117Vが搭載されている(1、2号機は、暫定的にP&Wのエンジンを搭載した)。

カザン工場によると、Mi-38の連続製造準備は既に完了しており、2015年にはTV7-117V搭載機の型式証明が取得可能としている。

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Ansatの民間型式証明取得について

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-helicopters-in-push-to-certificate-ansat-for-civil-use-by-year-end-371309/

Ansatはロシア初のFBW採用ヘリコプターで、双発軽量機。ロシア製としては比較的手薄だが、市場規模の大きなところを狙っていた。しかし10年前に初飛行したものの、型式証明取得には至っていない。MTOWは3600kg、乗客9名。
カザンヘリコプターでは、操縦系をFBWから油圧に変更したタイプを計画し、現在までに2機の試作機が製作された。うち1機は最近、初のデモンストレーション飛行を実施している。
このタイプは、年内にロシア当局の民間型式証明を獲得見込みとのことで、比較的順調に進行中。

FBWを当面諦めるような形になっているが、遠因は2008年7月の韓国で起こった墜落事故。事故調査では外部要因による事故だったと結論付けられたが、メーカーの立場としては、FBWで民間型式証明が取得できない場合を考えて在来型の操縦系を持ったタイプを開発する必要があった、としている。

Ansatの設計はミル設計局が担当し、伝統に則ってシンプルで堅牢な設計を採用、昼夜を問わず、また悪天候下でも運用できるように考えられている。Ansatはタタール語でeasyという意味だそうだ。

MTOWを4.5tonまで引き上げたタイプでは、クリモフが開発中のVK-8エンジンを搭載する事になっているものの、設計に着手するかどうかはロシアンヘリコプターの判断に委ねられている。

一方、販売面ではうまくいってない。今のところまとまった数を発注したのはロシア軍のみ。機数は非公表だが訓練用のAnsat-U(FBWありの型)が30機程度と見られる。
2008年7月の事故の時点では、韓国に対して林業向け1機と警察向け4機を引き渡し済みで、ラオスから1機、タタールスタン市から救急搬送用の1機発注を受けていた。また別の1機は、カザフスタン国内でミサイルの誘導装置を試験するために使われているという。

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ホンダジェット原型3号機が初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/ebace-hondajet-flies-third-test-aircraft-371795/

ホンダジェット開発においては、F1、F2、F3の3機が飛行試験機、ST1が構造試験機で、ST1については設計の150%荷重までの試験を完了している。
原型3号機、F3では、主にアビオニクスと電装系の試験が実施される予定。

EBACEの展示では、オプションのガーミン3000を含んだコクピットが公開された。操縦士席と副操縦士席それぞれに14インチのprimary flight display (PFD)が取り付けられる。また新たな機能として、乗客が操作できるiPadを使っての機内環境コントロール(音響、照明、室温など)も披露された。

開発状況の方では、昨年10月からエンジンの再設計に取り組んでいるが、GE側の発表では8月にも型式証明を取得できるとの見通しが示されている。

ロシアがチェンタウロ装輪戦闘車を試験/ヨルダンがTOS-1を導入/インドがM777超軽量りゅう弾砲を導入/ロシア海軍は年内に新型防空システムを試験する/ロシア副首相が極超音速兵器への懸念を表明/ロシアの2022年以降の新型ICBMについて/対独戦勝67年パレードの様子

ロシアがチェンタウロ装輪戦闘車を試験

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120512/173407220.html

5月12日、オットー・メララの発表では、ロシアがチェンタウロを試験中であり、採用を検討しているとのこと。

試験車輌は、105mm砲搭載型と125mm砲搭載型の2輌で、既にモスクワ近郊の試験場に持ち込まれているという。またこれに加えて120mm砲搭載型と30mm砲搭載型も送られ、6週間の日程でトライアルが実施予定となっている。
その後はトライアルの結果次第となるものの、ロシア側は年内に評価を完了し、採用となれば共同生産のためのJV設立も検討している。Rosoboronexportの情報筋によればKAMAZが関与する可能性が高いとのこと。

ただしライセンス生産の可能性は高くないと見られ、ロシア側の関係者からは、生産技術の研究のために導入する程度という話も出ている。イヴェコのLMVも、半ノックダウン生産で組立をロシアで実施するに留まった。

125mm砲搭載型って2A46系?
どっちかというと国際貢献用途って感じだが、広大な国土と装輪の相性が悪いというわけでもないだろう。あんまりロシア人好みな感じとも思えないけども。

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ヨルダンがTOS-1を導入

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120510/173368204.html

アンマンで開催された特殊作戦関連のSofex-2012にRosoboronexportが参加し、その中で発表されたもの。
TOS-1(30連装MLRS)の砲塔部分を、T-72じゃなくてM60の車体に搭載する形で改修するらしい。

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インドがM777超軽量りゅう弾砲を導入

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120511/173396191.html

なぜかロシアの報道だが、記事の元はインドのIANS通信社のようだ。
M777は米国製だが、BAEシステムズの陸上兵器部門が製造している。インドの発注は145門で、金額は6億6000万ドル。

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ロシア海軍は年内に新型防空システムを試験する

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120512/173404790.html

Almaz-Anteiは、年内に新しい艦載防空システムの試験を実施すると発表した。Poliment-Redutと呼ばれ、陸上型のVityaz中距離防空システム(ミサイルは9M96、いわゆるS-400)を、艦載型に転用したものとなる。開発遅れも指摘されていた。
射程などは、だいたいスタンダードSAMに相当するはず。

同社の他の発表としては、S-500防空システムの開発が進行中であることと、航空機搭載用の防空レーザシステムの開発についても触れている。後者はAL-1に相当するものになるはずだが、そちらは主にMD用途での費用対効果が疑問視され、計画が凍結されてしまった。それを踏まえた上で、同社は有望な計画と称しており、開発進行中とのこと。

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ロシア副首相が極超音速兵器への懸念を表明

http://en.rian.ru/world/20120511/173391392.html

極超音速兵器はロシアにとっても脅威であり、新たな軍拡競争につながりかねないという発言。そのまんまなのであまり書くことはないが、ロシア政府の指導的立場の人物が、この手の兵器に関して表立って言及したのは初めてかもしれない。

と思ったけど昨年、ロシア国防相による「我が国の防空システムはAHWなどの極超音速兵器にも対処可能」との発言があった。

http://en.rian.ru/mlitary_news/20111122/168930933.html

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ロシアの2022年以降の新型ICBMについて

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120508/173310124.html

昨年後半、現用のR-36M2(SS-18サタン)に代わるICBMの開発について言及されたが、開発期間を10年とみて、2022年という時期が設定されたようだ。NPO Mashinostroyeniyaによると、新ICBMは液体燃料で、重量100tonクラスの大型ミサイルとなる。

http://en.rian.ru/infographics/20091228/157404221.html

1970年代に開発、1991年から配備。70基ほどが現役。

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最後に5月9日の対独戦勝67年パレードの様子。

http://en.rian.ru/russia/20120509/173265643.html

http://en.rian.ru/photolents/20120509/173333389.html