リビアで散逸したMANPADSのうち約5000発が見つかる/ブラジル海軍がC-1Aトレーダーの近代化改修を計画/セルビア空軍がUtva Lasta初等練習機を受領

リビアで散逸したMANPADSのうち約5000発が見つかる

http://www.spacedaily.com/reports/US_has_found_5000_missiles_in_Libya_999.html

米国がリビアへ派遣した専門のグループが発見したとのことで、その数は約5000発。ただしNATOの航空攻撃で破壊された分などもあるため、全体でどれだけ残っているかは定かでない。民兵を武装解除する手助けの一環ということみたいだ。

一部では米国が、リビアから散逸した兵器の「買い戻し」を試みたとの噂もあったようだが、これは公式には否定され、MANPADSなどの破壊についていろいろな方法を試みていると述べるに留まった。

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ブラジル海軍がC-1Aトレーダーの近代化改修を計画

http://www.flightglobal.com/news/articles/brazilian-traders-set-for-modernisation-365929/

ブラジル海軍はFMSによりC-1Aトレーダー×8機の購入を決めているが、そのうち4機について近代化改修の予算が付いたとのこと。米海軍の先代COD機で、1980年代まで使われてたもの。

受注したのは、アリゾナ州メサに拠点を置くMarsh Aviationで、金額は1億6700万ドル程度。内容としては、機体のオーバーホールとリエンジン、アビオニクス更新、通信/航法機器のアップグレード、ホース&ドローグ式の空中給油装備追加が予定されている。
元のC-1AのエンジンはライトサイクロンR-1820-8WAで、これをハネウェルTPE331-14GRに変更、さらにHartzell HC-135MA-5という5枚プロペラ装備とする。内容としては、S-2Tと同等。

2011年3月、2機がMarsh Aviationに引き渡され、18ヶ月かけて改修を施されている。2014年4月に完了予定。そして今回契約の4機は2015年10月に引き渡しというスケジュール(当初は空中給油装備機2機だけの予定だったぽい?)。

なおこの改修により、C-1AトレーダーからKC-2ターボ・トレーダーへと改称される。
艦載機で50年ものというのはナニゲに凄い。スカイホークもだが。

残った2機はAEW化する方向で検討されており、2012年後半にも決定の見込み。
搭載するセンサは、Eliradar HEW-784とタレスのサーチウォッチャー2000が候補に挙がっている。どちらもAW101など大型回転翼機AEWシステムとして提案されてるタイプ。
システムインテグレーターとしてエムブラエルが参加するとみられる。

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セルビア空軍がUtva Lasta初等練習機を受領

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-serbia-receives-first-lasta-basic-trainers-eyes-more-mi-17s-366214/

Utva Lastaはセルビア空軍(ViPVO)ではV-54と呼ばれる。最初の機体は10月中旬、Batajnica空軍基地の第252訓練飛行隊に引き渡された。12月9日の時点で2機が配備されている。全発注数は15機で、2012年内に全機が納入される予定とのこと。

本機のエンジンはライカミング製のAEIO-540-L1B5Dで、セルビア軍の装備としては20年以上前のUlva G-4スーパーガレブ以来の新型機配備となる。なお2012年12月というのはセルビア空軍創立100周年にあたるそうだ。

同型機としては、イラク向けのLasta 95N(20機発注)がある。これに対してセルビア軍向けは、ガーミンG500など、より進歩したアビオニクスを有し、訓練にかかる経費を節減できるとしている。
またハードポイントが2カ所あり、57mm無誘導ロケット弾、機関砲ポッド、無誘導爆弾などが搭載できる。

この他セルビア軍では、Mi-17の追加導入を検討中とのこと。

 

INSヴィクラマーディティヤが90%完成/フランス空軍参謀長がMMRCA選定のラファール勝利宣言/オマーン空軍がF-16 Block 50を追加発注へ/南アメリカのA400M発注撤回が前払い金の払い戻しで決着

INSヴィクラマーディティヤが90%完成

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-mig-29k-gets-on-board-indian-aircraft-carrier-366104/

画像のMiG-29Kは、11月にクレーンで搭載されたモックアップらしいが、2012年5月からは公試が予定されており、その中ではSevmashが所有するMiG-29Kを2機使った離着艦も含まれるそうだ。1機は単座のMiG-29K、もう1機は複座のMiG-29KUBになる予定だったけど、後者は試験飛行中の墜落事故で失われた。このため代替として、同じ複座のMiG-35Dデモンストレータを改修して使う事になる模様。

今のところ、インド海軍への引き渡し予定日は、インドの海軍記念日である2012年12月4日となっている。インド側がこの艦に対して投じた金額は、最終的におよそ20億ドルとなった。

艦載機の方は、2003年発注の16機のうち11機が納入され、年内に全てインドに送られる予定とのこと。金額は5億3000万ドル程度だった。
2011年のオプション発注、追加29機は、その先になる。これらはインド国産空母向けとなるはずだが…

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フランス空軍参謀長がMMRCA選定のラファール勝利宣言

http://www.flightglobal.com/news/articles/french-air-force-chief-confident-of-rafale-victory-in-indian-contest-366102/

まあ宣言したってだけですが。

フランス空軍参謀長のJean-Paul Paloméros将軍は、LIMA2011でFlightGlobalのインタビューを受けた。これによると、将軍は自ら操縦桿を握った経験からラファールの性能について自信を持っており、(優れたマルチロール能力から)アジア太平洋地域における空中あるいは地上の脅威への対処によく適している、などと述べている。高い運動性を持ち、AESA、Meteor AAMの装備により、射程距離で優位に立てるとかなんとか。

ラファールのAESA搭載型は、フランス空軍向けのBlock 4以降、2013年からの配備が予定され、Meteorは2010年代半ばに装備されることになっている。

MMRCAへの言及では、ミラージュ2000のアップグレード受注の件を挙げ、印仏の産業界同士が深い結びつきを持っていることを強調している。
次がマレーシア向けの話。LIMA2011の際のインタビューなので、これが主要な話題。
RMAFは18機導入を前提にMRCA選定を行うことになっており、既にフランスにも調査団が送られているそうだ。この時は天候が悪かったみたいだが、却って能力を見せるのには都合が良かったとしている。

またアジア太平洋地域で今まで不選定に終わったのは、政治的要因が強かったからだ(特に韓国のF-X1とシンガポールでF-15E系にやられた件)と述べた。

最後にUAE向けの話が出ている。UAEはかつてミラージュ2000-9を60機も導入した上得意であり、ある意味ではMMRCAよりも必死にならざるを得ない部分もある。フランス空軍も全面協力で売り込み中だそうだ。

冷戦終結からこっち、フランスの防衛産業を取り巻く状況も様変わりしてきた観はあるが、この先はどうなるのか。ラファールが最後のフランス製有人戦闘機になっちゃったりするのか。

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オマーン空軍がF-16 Block 50を追加発注へ

http://www.flightglobal.com/news/articles/omani-f-16-deal-means-continued-wait-for-eurofighter-366030/

オマーンは2008年頃からタイフーン発注を検討していたものの、同国はとりあえずF-16の追加発注を選択したようだ。この決定により、タイフーンの導入があったとしても、その時期は遅れる見込みが強まった。
英国情報筋からは、2012年初頭にも政府間取引が行われるという話もあったというが。

12月14日の発表では、F-16Cが10機、F-16Dが2機の合計12機、金額は6億ドルとのこと。現在オマーン空軍は、F-16 Block50をC型8機、D型4機保有している。これらの機体は2016年11月までに納入予定で、LMのフォートワース工場で組立が行われて、支援と兵站も提供することになる。

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南アメリカのA400M発注撤回が前払い金の払い戻しで決着

http://www.flightglobal.com/news/articles/south-africa-back-in-play-for-airbus-military-a400m-after-refund-366174/

南アフリカは2005年にA400M×8機を発注、計画のパートナー国となったが、4年後の2009年11月、コスト超過と計画遅延を理由にキャンセルを決定した。この時点で南アフリカは、米ドル換算で3億7900万ドルほどの払い戻しを要求したものの、その決着まで2年かかったことになる。

長引いた理由の一つには、A400Mのサプライチェーンに、南アフリカの産業も深く関わってるから、というのもある。エアバスミリタリーによれば、デネル傘下のDenel AerostructuresとAerosudは機体の上部構造、翼胴フェアリングウイングチップ、断熱材とギャレーなどを製作しているし、コブハム南アフリカでも衛星通信アンテナを製作してるそうだ。

今回の払い戻しに関しては、具体的な金額は明らかになっていないが、エアバスミリタリー側が代替機種かA400Mを提供するという形になるみたいだ。南アフリカ側の窓口は、南アフリカ軍装備を公式に取り扱うArmscorとなる。公社?

南アフリカのA400Mのキャンセルに対して積極的に仕掛けたのはLMで、先日C-130XJを提案したばかり。

A400Mの現状については、今も飛行試験が忙しい。型式証明はエンジンの問題と、性能不足によって2012年Q2、つまり最大3ヶ月の遅延となる。生産1号機は最終組立中のMSN7そのもので、2013年3月フランス納入予定。製造ペースについては、2015年には月産2.5機まで引き上げる事になっている。今のところ発注数は8カ国で174機。

空自F-X選定まとめ

プレスリリースだけ貼っておこう。

http://www.mod.go.jp/j/press/news/2011/12/20a.html

国内メーカー関連

http://www.mod.go.jp/j/press/news/2011/12/20b.html

選定の経緯など

http://www.mod.go.jp/j/press/news/2011/12/20a.pdf

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順を追っていくと、F-35が主要な候補に挙がったのは、ゲイツ国防長官(当時)がF-22輸出と追加発注にとどめを刺したついでに日本に持ってきた時で、2009年だった。この時の提案の時点で既に2個sqという話で、えっ3個sqじゃないの、とか、全数ノックダウンに近い展開なんでは、とかのツッコミが一部から入り、某国の手のメディアが大騒ぎした。
結果としては、この提案をベースに話が進んだという認識でいいのかな。

2009年当時の、JSF計画不参加で国内メーカー絡むの無理だろ的ムードから一転、国内製造分担(おそらく米国分から)4割を引き出し、さらにエンジンのライセンス生産まで取り付けたのは大きな収穫と言えるだろう。どの程度かは不明ながら、そもそも第5世代戦闘機のエンジンで量産化に成功したものは数えるほどしかない。というか、F135以外にはF119しかない。PAK-FAやJ20はまだ暫定エンジンで飛んでる。
これはF-2後継機の件が具体化する際にも効いてくると思う。

何にせよ、F-35の能力についてはステルス性単体よりもセンサフュージョンとか情報処理能力の高さとか、その辺は第6世代にも繋がる道筋でもあるし、導入の意義は大きいはずだ。
似たようなことを陸でやろうとして失敗したのがアパッチ導入という話もあるが。乱暴過ぎか。

不具合の件も微妙に論点ずらして報じられてるけど、そこまで致命的とは思えない。若干の飛行制限掛かるとかその程度じゃないかという。ただIOC獲得スケジュールの方がどうなるもんやらさっぱりだ。どうせ訓練は米国内だし、いっそ空自の人員を参加させてみてはどうかという気もするが、流石に無理ぽいな。

判らないといえば、パートナー国入りしないで情報提供料10億でカタが付くのかどうかという点が判らない。
この辺りは来年度の概算要求、8月までにLMと交渉を詰めるということになっている。最初の4機は間違いなくFMSだ。

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ただ10年で40機であれば、1個sq編成するだけで2020年代に突入するペースと予想され、どう見てもF-4EJ退役後の戦力の空白を容認する決定と思える。だが、それでいいということになったんだろう。たぶん。
F-22が前方展開すれば済むという面もある。

こうなったら凄いMLUで既存機を能力向上して貰いたいところだが、あんまり熱心じゃなさそうだな。
でもF-2なんかは既にJ/AAQ-2も装備し始めてるし、かつてのスーパー改まであと一歩じゃよね。あ、CFTは無くていいです。

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評価の詳細に関しては、一部報道にあった配点と一緒にまとめておくと。

F-35が決定的に優位に立てたのは、100点中50点が「性能」に振られていたからで、ここで最高評価を取っている。

またその次に地味に効いてるのが経費評価(22.5点)。取得費用でF/A-18E/F、燃費でタイフーンが高評価だったにも関わらず、両機ともそのままでは、プローブ&ドローグ式の空中給油にしか対応してなかった。対して、F-35Aは米空軍機であるため普通にフライングブーム式。これはKC-767Jをそのまま使えるかどうかという話に直結した。
これについては、イタリアのKC-767Aの方は初めから両方に対応しているので、改修すれば何とかなるのはわかっている。が、ポッドを追加するとかしないと無理で、そのコストを入れるとF-35が僅差のトップ評価となったとある。ただ、一時は空自のJ型にもプローブ&ドローグ対応させる検討が行われた、という話もあったような気はする。

その一方、明確に劣ったのは国内企業参画(22.5点)。事前の情報通りならタイフーンが9~10割+ブラックボックス無し(?)、F/A-18E/Fが7~7.5割、F-35Aが4割という比較になったはずだ。4割というのはF-2の6割よりも更に低く、かなりギリギリの線と言える。ボーイングも、技術開示はやっぱり渋かったんだなあ、という感想。
後方支援は大差なしだが、元々の配点5点だったので大勢に影響しなかった。

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最後に米国防総省が出したプレスリリースを貼っておこう。

http://www.defense.gov//news/newsarticle.aspx?id=66555

eye-wateringというのは目を見張るようなとかそんな感じ?

MRJ地上試験装置の模擬飛行を開始/ホンダジェット量産3号機(F2)が飛行試験に加わる/ガルフストリームG200の最終号機ロールアウト/ボーイング747-8Iが型式証明を取得/アメリカの老舗エアラインを襲ったえすえふ映画の呪い

MRJ地上試験装置の模擬飛行を開始

http://www.flightglobal.com/news/articles/mitsubishi-aircraft-starts-iron-bird-test-on-mrj-366307/

http://www.mrj-japan.com/j/news/news_111222.html

12月22日付。MRJの開発試験の一つ、油圧操縦リグ装置による模擬飛行試験がスタートした。
今後3年ほどにわたって各種の試験と実証、故障のシミュレーションなどが行われる計画となっている。

アイアンバードと呼ばれており、フライトデッキ、油圧系とフライトコントロール系、ソフトウェアから成る。設置された場所は当然名古屋。

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ホンダジェット量産3号機(F2)が飛行試験に加わる

http://www.flightglobal.com/news/articles/f2-hondajet-joins-the-flight-test-team-366227/

http://www.honda.co.jp/news/2011/c111221.html

こういうニュースは日本語でも載せるのね。

11月18日、量産3号機(F2)が初飛行、試験内容はニュースリリースの通りで、基本的な性能およびシステム確認を実施している。
なお量産2号機(ST1)は構造試験用で、これを用いた制限荷重試験は全て完了したとある。2012年には量産4(F3)、5号機(F4)と構造試験機が追加される予定となっている。

量産3号機(F2)は、ファンが改修されたHF120エンジンを搭載している。これは型式証明が1年延期の原因となった箇所であり、2012年後半にもエンジンの型式証明(FAA Part 33)を新たに取得する見通し。

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ガルフストリームG200の最終号機ロールアウト

http://www.flightglobal.com/news/articles/gulfstream-closes-g200-era-with-number-250-366233/

12月20日付。ガルフストリームG200は、G150とともにIAI傘下のギャラクシー・エアロスペースが開発した、世界初のスーパーミッドサイズ・ビジネスジェット機で、2001年に会社ごとガルフストリームに買収されて現在に至る。1998年の開発当時には、ギャラクシー・ビジネスジェットと呼ばれていた。

製造完了までにG200は250機ほどが作られたことになり、以降はG280に引き継がれる。G280もまた、機体はイスラエルのIAIが製造し、ダラスで内装と塗装工事が行われる形になる。

G280は元々G250と呼ばれていたが、7月に改称された。その理由は、250という数字が北京語でマヌケとか白○(なぜか変換できない)といったネガティブな意味合いになるからだそうだ。中国市場を考えると、それは変えておいた方が良い、という判断らしい。

スーパーミッドサイズは競合機種が登場し始めており、G200ほどは売れないとの見方もあるが、ここは元祖の意地が見られるかどうか。

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ボーイング747-8Iが型式証明を取得

http://www.flightglobal.com/news/articles/faa-gives-nod-to-boeing-747-8-intercontinental-366029/

http://www.boeing.jp/ViewContent.do?id=69362&Year=2011&aContent=%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0747-8%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%8D%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%80%81FAA%E3%82%88%E3%82%8A%E5%A4%89%E6%9B%B4%E5%9E%8B%E5%BC%8F%E8%A8%BC%E6%98%8E%E5%8F%96%E5%BE%97

12月14日付。ボーイング747-8I(インターコンチネンタルのI)は、476席級の同社最大の旅客機であり、2011年にボーイングが型式証明を取得した機種としては、8月の787、747-8Fに続く3番目となる。EASAの型式証明も、12月15日付で取得した、はず。型式証明のための飛行試験が完了したのは10月31日だった。

エンジンはGEnx-2B。MTOWは442ton、胴体全長76.3m、スパン68.5m。

747-8Fと747-8Iの遅れは2年間ということになるが、どちらも概ね同様のサプライチェーン、設計変更、飛行試験結果が直接の原因で、787の遅れに引き摺られた部分もある。
ともあれ2012年Q1には引き渡し可能となる見込みで、ロンチカスタマーのルフトハンザ(VIP輸送型9機+386席型の20機)、アルクエア(2機)、大韓航空(5機)の38機が発注確定。
この他には、エアチャイナが5機発注の中国政府承認待ち、また6月に言及された詳細未公表の15機発注については、香港航空ではないかと予想されている。

ついでだからJALの787の写真とかも貼っておこう。

http://mainichi.jp/norimai/air/graph/20111214JAL/

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アメリカの老舗エアラインを襲ったえすえふ映画の呪い

http://www.flightglobal.com/blogs/hyperbola/2011/11/sci-fi-movie-curse-may-have-do.html

アメリカン航空破綻(チャプター11適用)の時の記事で、まあイイ歳の人しかわからん話ですが、「サイレント・ランニング」(1972年米国公開)にアメリカン航空が出ていたという話。ヴァリイ・フォージの船体側面に書かれている。

http://www.regrettablesincerity.com/?p=3998

でまあ最後はアレするわけだが、宇宙船に書かれたエアラインのマークというのは、たぶんもっと有名な「2001年宇宙の旅」のパンナムのシャトルというのがあった。

この手の映画に出たから/CMに出たから云々という話は昔から変わらずある。まあどうでもいい小ネタですな。

オーストラリア海軍のシーキングが退役/アグスタウェストランドがヴェクターからメンテナンス業務を引き継ぐ/AW189原型機が初飛行/無人型K-MAXがアフガニスタンで活動を始める

オーストラリア海軍のシーキングが退役

http://www.flightglobal.com/news/articles/australian-navys-sea-kings-make-final-flight-366040/

12月15日付。オーストラリア海軍のシーキングは35年間現役にあったが、このフライトを以て全機が退役ということになった。HMAS Albatrossから離陸し、シドニーとキャンベラの上空を飛行したとのこと。

これらのシーキングはウェストランド製だった。うち5機を海外へ売却予定となっている。
後継機はMRH90。ただしこれはまだ運用上の問題を抱えており、今後の動向が注目される。

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アグスタウェストランドがヴェクターからメンテナンス業務を引き継ぐ

http://www.flightglobal.com/news/articles/agustawestland-takes-sea-king-work-back-from-vector-366215/

ヴェクター・エアロスペースは、シーキングとリンクスAH.9のメンテナンス業務について、英陸海軍と10年契約を結んでいたが、これをアグスタウェストランドが引き継ぐことになる。具体的にはトランスミッション、ローター、ローターヘッド部についてのメンテナンスだった。
ヴェクターは今年6月末にユーロコプターに買収された。つまりEADS傘下となったわけだが、この件については英軍事予算の縮小に影響された部分が大きい。ヴェクター自体の仕事ぶりについては満足いく物だったとされているが、国防総省は回転翼機部隊の規模縮小を決定している。結果、今後の主力であるAW101やAW159については、組立工場にて修理やオーバーホールまで対応できる規模になってしまうとのこと。つまりは外注に出すほどの仕事が無くなるという話だ。

これに伴い、メンテナンスの拠点は、ヴェクターの施設があるパースシアのAlmondbankから、ヨーヴィルへ移転され、シーキングの大規模なメンテナンス計画であるSKIOS (Sea King Integrated Operational Support)も引き継がれる事となる。
なおヴェクターはAlmondbankから撤退する訳じゃなく、オーバーホール施設として存続させるそうだ。他では人員削減を進めるところもある。ロンドンにあるクロイドン工場ではRRコンウェィエンジンしか扱ってないので、これらの運用寿命が尽きる2013年には閉鎖予定。またゴスポートにあるフリートランズ工場でも人員削減が実施された。これもチヌーク、リンクス、シーキングの整備をやってたところだ。

以下はアグスタウェストランドの話で、リンクスワイルドキャットの引き渡しは2012年3月で4月から配備というスケジュールになっている。これに関連してWildcat Integrated Support and Training (WIST)と呼ばれる、配備に向けた訓練と支援計画が存在するが、これはまだ交渉中とのこと。

さらにはアグスタウェストランドの親会社の話が続く。今年に入ってからフィンメカニカの財政状況が危機的という話が出ていて、部門単位での売却を余儀なくされるも、航空宇宙関連は基幹事業と位置付けられ存続する模様。ただしDRSとSELEXは大規模リストラ予定で、Alenia AeronauticaとAlenia Aermacchiは合併という形になる。
なお他の売却部門は、道路・鉄道部門とエネルギー事業部門と伝えられている。

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AW189原型機が初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/agustawestlands-aw189-takes-to-the-skies-366329/

12月21日、AW189の原型1号機が、アグスタウェストランドの有するCascina Costaにおいて初飛行を実施した。
ハンドリングと基本的なシステム確認を実施し、予定通りに飛行を終えたとのこと。
原型1号機はアビオニクスの試験と、海洋向け装備の型式証明に用いられる予定で、原型2号機は来年から飛行試験に加わり、2013年には型式証明を取得、運用可能となる計画。

AW189はAW149の民間型、8ton級双発で、Bristow Helicopters、Bel Air、Weststar Aviation Servicesなどのoffshore operatorから受注見込みとされている。

初飛行の様子。

http://www.agustawestland.com/mediagallery

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無人型K-MAXがアフガニスタンで活動を始める

http://www.flightglobal.com/news/articles/unmanned-k-max-operational-in-afghanistan-366340/

無人型K-MAXが9月のQRAで選定されてから3ヶ月経った。12月15日から16日にかけ、貨物無しの状態で試験飛行を実施したとのこと。中央軍管轄のどこかとしか発表されていないが、USMCの大規模な拠点がある場所は限られているので、アフガニスタン中央部か南部の辺りを飛行していると予想されている。

K-MAXはforward operating bases (FOB)からcombat outposts (COP)間の補給にのみ使用される計画となっており、従来この種の任務は、実行するのが米軍自身にせよ請負業者にせよ、最も危険で高価値な任務とされているものだった。そして空輸の需要は常に高い。
基本的にはMQ-8Bなどと同様の、評価目的の派遣という形をとるが、夜間の山岳地への補給など、K-MAXでないと難しい状況も想定されている。基本的には夜間だからといって特別な装備を必要としないのが売りだ。IRサーチライトは付いてるらしい。

2012年にはA160Tも派遣されることになっている。

ユアシェイプ2012とかAC:AHとか

いつのまにかデータベース復活していた。よく考えたらCGIのも予備で置いてあったけど使うの忘れてた。

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今月はユアシェイプ2012とか(投げ売りの)AC:AHとか買ったのでちょっとその辺を。

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ユアシェイプ2012は、体から前方の奥行き検出が向上するも、レッグカールの後足など、体の後方の検出はあまり変わってない。体の影になるから、直接センサで取得するのは原理的に難しそう。単に判定自体が緩くなってるところはある。特にタイミング。
あと、腕立て・腹筋、ランニングやジャンプロープができる程度に足許の検出が良くなった。というより、センサ全面が有効にされて視野が広がった感じ?実際のところはわからんけど、従来は視野の最外縁部は捨てていたのかもしれない。

全体の作りとしては、操作性と個人認識が向上してエクササイズメニューが3倍ぐらいに増えた一方、年齢性別などのプロフィール情報を入力しなくなったことで、カロリー消費量表示が大雑把になった印象。まあ元々目安程度だったと言えばそうだけど。←プロフィール情報入力がアップデートで追加されたみたい。たぶん強制にはなってない。でもアナウンスがあったわけでもなく、気がつかない人は気がつかなさそう。

ソフト側で勝手にメニューを組み立てるモードも消滅し、全面的にやりたいもんを適当にやれ、というスタイルに移行した。目標に合わせた推奨メニューに合わせて適当にやる形式で、軽い目標設定だとワークアウトは一切推奨に入らない、といった具合だ。ワークアウトは部位毎に分かれているが、ダンベル使うのと腕立て腹筋は本格派のきつさ。

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AC:AHは航空戦の範囲を拡げ、地域紛争のグダグダ感や混乱した戦場の雰囲気を出してるのは悪くない。
AH-64Dや、そもそも操縦できないパート(AC-130U、MH-60)があるのも賛否が分かれるが、個人的にはガンシューも好きなので以下略。生々しいからどうとかそういうのは却下。ナンバリングじゃない理由もその辺だと思われるし。
まあ地味だというのは否定できないところだろう。

しかしゲームとしては6から進歩したと言い切れないとこが辛い。
ビジュアル面では狭くなった代わりに煙出して色減らしてますみたいなトレードオフが目に付くし、結果として画面の視認性は悪くなっている。新システムの目玉であるDFMやASM、途中に入る演出は、デメリットも少なくない。DFMがあるから接近戦が増えて高度失いやすくなった。ASMは却って対地攻撃を難しくしてる気もするんですが墜落防止ONならいいのか。

悪く言おうと思えばなんぼでも言えるのは確かだけども、連続DFMなどは爽快感があってよかったです。
でもDFMでないと墜ちない敵はどうかと思います。
敵がPOPして来てすぐ包囲されるのは、ゲームのテンポを上げようとしているんだろうけど、やたらと忙しいばかりの上、DFMでないと墜ちない敵が混ざってくるので、結局難易度は抑えられてないと思った。

DLCに関しては基本買わないという方針にしているので、どうでもいいです。今度の新アイマス機もハセガワから出るんかしら。ロービジと合わせて2倍になるが。

あ、あとキャンペーンでスコア算定と表示が一切無いというのはマジだった。これは普通にイミフ。

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VITA発売から一週間経ったが、電池のもちがどうとかいう以前に、ハードウェアトラブルみたいのが異常に多く報告されたのは予想外だった。
懸案の電池はまあ、省電力寄りの設定をちゃんと決めてネットワークも落とせば3DSと同程度以上という結論みたい。オン繋ぎっぱなしでどうなるかはよくわからんけど。45nmプロセスにしては頑張ったと言えよう。ダウンクロックだろうが動けばいいのだ。

一方、フリーズ多発はニュースサイトのヘッドラインに載っちゃうレベルで多いらしい。ソニーの初期型というだけで済まされる問題じゃなくなっている。GPSがうまく働かないという話もちらほらあり、ハード的な完成度がちょっとアレな感じに。思えば初公開時のカンファレンスでもフリーズしており、そこから対策が間に合ってないとしたら結構深刻なのかもしれない。
ハードリセットボタン無し、電池交換不可の仕様により、フリーズしてソフトリセットも失敗した場合、電池切れまで待たないと落ちないというのが恐ろしい。

結果として、3DSの優勢が揺らぐほどの盛り上がりにはなっていない。
さらに海外ではホリデー商戦を一回パスしてしまったため、3DSとの販売台数の差は埋めがたい物となってしまっている。

そういえばリッジレーサーが酷いという話もあった。

http://www.amazon.co.jp/バンダイナムコゲームス-リッジレーサー/dp/B005MNO7BI/

現時点で、71レビューの☆1.5。こんな一体感のあるカスタマーレビュー欄は見た事ねえです。マジで。

未完成を値段そのままにDLCで売りつけるというのはさすがにねえ。本体無料、とまでは言わずとも、メディア実費で配る体験版レベルの内容みたいだし。
30fpsのリッジというのは携帯機版ではあったらしいが、ショボいのは否めず。

ちなみに本体のアマゾンのレビューは☆の数が意外と多いのだが、☆4や5で不満の長文書いてる人もいたり。
あんまりちゃんと読んでないけど。

ゲームギアみたいで親しみは感じるが、まあ要らんな。

米空軍がRBS-FGE計画で3社と契約/DARPAが空中発射型衛星打ち上げに関するBAAをリリース/Stratolaunchシステムについて

米空軍がRBS-FGE計画で3社と契約

http://www.aviationweek.com/aw/generic/story.jsp?id=news/awst/2011/12/12/AW_12_12_2011_p32-403128.xml&channel=defense

http://www.flightglobal.com/news/articles/air-force-awards-reusable-booster-contracts-365835/

reusable booster system flight and ground experiments (RBS-FGE)の位置付けとしては、アトラスVおよびタイタンIV(EELV)の後継開発に繋がるもの。垂直離陸/水平着陸型で再使用可能な打ち上げシステムを目指す。二段式で、一段目はLO2を使う複合サイクルエンジンのブースタ、二段目は使い捨てから再使用型への発展も視野に入れる。だいたい既存技術で実現可能なものになるはず。

契約した3社は、アンドリュー・スペース、ボーイング、LM。オハイオ州デイトンのAFRL主導で発注している。金額は最高で2億5000万ドル。限定的な飛行試験は2015年から開始予定となっている。このデモンストレータはRBSパスファインダーと呼ばれ、Xプレーンに相当する。
この段階は、Indefinite Delivery / Indefinite Quantity (IDIQ)という契約形態で、あくまでもデモンストレータを飛ばすまで。最終的には競争入札に移行するようだ。AWの記事では各社200万ドルずつで、2012年後半に設計審査により1社選定、2015~2016年にかけて飛行試験と書いてある。また現用EELVからのコスト削減幅は50%以上と見積もられる。
更新時期は2025年というからだいぶ先の話だ。

記事に出てるのがLMのコンセプト図で、

他にはアンドリュー・スペースのそれらしいのが公式にあった。

http://www.andrews-space.com/content-main.php?subsection=MTA4

ボーイングはAstroxという企業と密接に協力し、X-37を使った試験も行っているとされる。

Astrox公式。

http://www.astrox.com/

設計ツールと概念研究の専門という感じ。複数のコンセプトについて検討しているのは確かのようだ。

*

1ヶ月ほど前の記事だが。

DARPAが空中発射型衛星打ち上げに関するBAAをリリース

http://www.flightglobal.com/news/articles/darpa-solicits-air-launch-proposals-364537/

このbroad area announcement (BAA)は、DARPAが小型衛星打ち上げ用の空中発射型プラットフォームの情報を収集するためのもので、計画はairborne launch assist space access (ALASA)と呼ばれている。概念図はボンバルディア風だ。

現状では情報収集の次の段階に移るかどうかも定かではないが、具体的な条件はある程度示されている。ロケット本体重量は5000ポンド程度、軌道投入可能なペイロードが100ポンド程度といったものであり、投入軌道は書いてないものの、規模としては現用のオービタルサイエンスのペガサスシリーズよりも大分控えめな感じ。この種のプランにはMiG-21やMiG-31といった戦闘機から発射するプランから、An-225を使う物までいろいろあった。

ALASAに関しては、低コストで小型衛星を軌道投入するというところを最重視しており、6月のNASAとDARPAの共同報告書では既存航空機の改修が3000ドル程度で可能である、との結論に達している。

ペガサス以外のこの手のシステムがうまく行かなかった理由はいろいろあるが、ペイロードが足りなかったり、固体ブースタを積むことの危険性があったりで、安易に出来そうな割に、実現までのハードルは高かった。一応成功したペガサスにしても、ペイロードなどの打ち上げ能力を確保するために大型化しており、初期にはNB-52、その後はL-1011トライスターが母機で、いずれも多発の大型機を使うから、運用経費も嵩む。

ここら辺の問題については、ある程度、それこそジェット燃料程度には安全性の高いハイブリッドロケットが出てきたり、衛星自体のダウンサイジングが著しく進んだことで、小型の母機で小型衛星(マイクロサットまたはナノサット級)を打ち上げるスタイルでも、そこそこに実用性は高くなった、と考えられているようだ。

確かに母機がリージョナルジェットぐらいまでになれば、運用経費が相当下がりそうではある。

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Stratolaunchシステムについて

http://www.flightglobal.com/news/articles/massive-air-launch-system-unveiled-365958/

Stratolaunchは、MSの創設者の一人であるポール・アレン、こないだスケールド・コンポジットから身を引いたバート・ルータンと、NASAの前長官マイケル・グリフィンという、ある意味オールスターの出資によるプロジェクトで、SpaceShipOne/Twoを拡大したような二段式の打ち上げシステムとなっている。

打ち上げ能力は、LEOまで6200kg、または乗客6名。大型ではあるが、全体としてはSpaceShipOne/Twoと同様の構成となり、母機の形態はWhiteKnight1/2と似た双胴機となっている。ただしジェットエンジン6発の大型機となる。他方、子機はSpaceXのロケットエンジンを搭載し、そのまま低軌道まで到達可能なもので、完全に新規設計。機体の概要は後述するが、2015年に母機の飛行試験、2016年に空中発射を実施する計画とのこと。

バート・ルータンによれば、これは既に予備設計の段階ではなく、詳細設計もかなり進行しており、実機の製造までそう長くかからないと述べている。また地上発射に対する空中発射の利点は僅かで、軌道投入能力で比較すれば5~10%程度の優位性しかないことを認めつつ、工業的にはそれが決して小さいものではないとした。
射点設備とかに制約されないので、運用が柔軟に出来るというのは一つの大きな利点だろう。

母機のサイズはスパン115m、MTOWは50ton超で、ジェットエンジンの6発機。外寸と重量はエアバスA380に匹敵する。モハベで製造されることになっており、子機を抱えて離陸するための滑走路長は3600mのお化け。運用拠点となる空港などについては未公表であるが、プレスリリースにはKSCの名前があるという。
KSCと言えば、スペースシャトル着陸施設が存在することで有名だ。滑走路長は15000ft、つまり4572mあるので、十分に長い。さらにSCAで運ばれてきたシャトルを下ろす施設も付随しているので都合がいい、かもしれない。

打ち上げ能力で言うと、かつてのデルタII、現用だとオービタルのアンタレス(旧名タウルスII)に匹敵するため、中小規模の通信衛星の打ち上げに適するとしており、まずはそちらのメーカーに売り込む方針とのこと。
この辺の詳細は、競争力を保つためまだ明らかにされていないものの、子機のエンジンにはSpaceX自慢のマーリンを使った多段式であることは確定しているようだ。

何か晩年のハワード・ヒューズを思わせる吹かしっぷりだが、この計画に関してはSpaceShipOneの飛行試験が完した2004年10月からスタートし、100名ほどが参加しているそうで、洒落や冗談ではなく本気でやってるのは間違いない。というかスペースシャトルの退役と、スペースシャトル向けの施設流用を実現できるか見ておいて、発表に踏み切ったという感じか。

ポール・アレンはX-Prizeの頃にSpaceShipOneへ出資していたが、SpaceShipTwoになってからはあまり関係していない。その裏にはこういう計画があった、という話になるわけだ。

空中発射式のプラットフォームは、滑走路から飛ばせる分、柔軟な運用が可能…というのは一般論であるが、これほどのサイズになるとジェット旅客機が発着可能なクラスの施設が必要になる。最低でも12000ft級滑走路。
まあアメリカなら何とでもなるか。

F-22最終号機がロールアウト/F-22の墜落事故と機上酸素供給システムの関連が報告される

F-22最終号機がロールアウト

http://www.af.mil/news/story.asp?id=123283566

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-lockheed-rolls-out-last-f-22a-from-marietta-plant-366000/

12月13日、LMのマリエッタ工場にて最後のF-22がロールアウトし、これを記念する式典が催されたとのこと。
このあとジョージアへ移動することになっている。
テールナンバー4195、米空軍への引き渡しは2012年Q1後半からQ2初めを予定している。

F-22の製造は、最初のパーツが作られたのが1994年、最終組立ライン稼働が1995年、1号機ロールアウトが1997年で、そこから数えると丸15年間続いたことになる。高価であることから製造ペースはゆっくりとしたものとなり、全製造機数は187機に留まり、年数の割に機数は少ない。それでも最終的には、人工にして300%の製造時間削減を達成したと書いてある。

コストダウンできず高価に留まることと製造機数とは、典型的なニワトリと卵の関係なので、ちょうど冷戦終結のタイミングと製造計画の策定・スタートが重なったのがF-22の不幸だった、とはよく言われる話だ。
少なくとも、750機製造だった場合には単価はもっと安くなるはずだった。

下の記事では今後のF-22に関連する設備などがどうなるかということについて、少し触れられている。

まず製造治具類は破棄されずに、保管される。また製造に関わる知識や経験も保存する計画。これは将来のMLUに備えた措置とされているが、同時に再生産の可能性も僅かながら残すことにもなる。機数が少ないだけに、MLUの役割は大きくなりそうだ。
マリエッタ工場のF-22の組立ラインに関しては、F-35の主翼中央部の組立スペースに変更される。

なおマリエッタ工場では、他にC-130JやC-5M、P-3Cの新造主翼外皮などを作ってる。

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F-22の墜落事故と機上酸素供給システムの関連が報告される

http://www.flightglobal.com/news/articles/f-22-oxygen-system-malfunctioned-moments-before-crash-366028/

昨年11月にアラスカにてF-22が墜落したが、この事故に関する空軍の報告書がまとまったという話題。それによると、墜落の前に機上酸素発生装置(OBOGS)が故障し、パイロットのジェフリー・ヘイニー空軍大尉が緊急用のemergency oxygen supply (EOS)を作動させることができなかったものとしている。
下の方に書いてあるが、EOSを作動させようとして誤って機首下げ操作をしてしまった可能性が高い、という結論で、シミュレータによる検証により、ある程度立証されているようだ。酸欠による意識喪失という可能性は、報告書では除外されている。

パイロットエラーという結論に変更は無いものの、ハネウェルのOBOGSについての疑いは事故の2ヶ月後、2011年1月から明らかになっており、飛行高度制限をかけ、5月からは全機について4ヶ月以上の飛行停止を強いられることとなる。飛行は9月から再開されたが、根本的な原因は未だ不明のままだ。

墜落事故の状況に話を戻すと、調査委員会は事故機のOBOGSが酸素供給を停止した後、パイロットは31秒にわたったEOSを起動できなかったとしている。F-22の機載コンピュータはエンジンベイからブリードエアが漏出したのを確認すると、火災防止のためブリードエアシステム自体を止めるから、酸素供給もカットされる。しかし、大元の漏出した原因の方ははっきりわかっていない。

米空軍がアベンジャーUAVを発注/アレニアとEADS CassidianがUAVの共同研究に関する協定に調印/MBDAがGBU-44の製造をノースロップグラマンから受注/デンマークのUAV選定失敗と代替案

米空軍がアベンジャーUAVを発注

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-air-force-orders-general-atomics-avenger-365902/

試験機という名目だが、実際はRQ-8Bなどと同様、緊急措置的なアフガニスタンへの展開を含んでおり、既に1機が引き渡されているとのこと。ゼネラルアトミクスにとってアベンジャーUAVの受注は初めて。
この機体は自主開発され、2009年には初飛行を行った。飛行性能としては速度400kt以上で高度60000ftを飛行可能となっている。

米空軍のプレスリリースではRQ-9リーパーよりも高速かつ長距離の展開が可能で、搭載量は増加、センサペイロードの容量も大きいとしている。また翼下ハードポイント4カ所とウェポンベイを有する。ペイロードは2000ポンド以上。
なお、この発注についてはRQ-170がイランに捕獲された一件よりも先に動いていた模様で、特に関連はないらしい。

アベンジャーUAVはプレデターCとも呼ばれる通り、プレデター/リーパー系の発展型であるため、機体そのものが大きく変更されていても、システムとしての共通性はかなり高い。ここら辺も導入のハードルが低い点と思われる。新機種だから別途地上ステーションが必要、といったことがない。
ただしこれは、米空軍が既にゼネラルアトミクスのシステムを大量に導入しており、同社がその実績を大きなアドバンテージとして活用できるからであって、ゼロから提案の米海軍UCLASS(海軍向けはシーアベンジャーと呼ばれる)のようなケースでは、そこまで利点にはならなそう。実績的にはでかいけども。
四軍の装備統合の流れは確かにあったが、F-35をピークに後退している印象がある。陸上航空基地は空海軍の統合が進むものの、艦載機については別枠で話が進んでいるものが多い。

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アレニアとEADS CassidianがUAVの共同研究に関する協定に調印

http://www.flightglobal.com/news/articles/cassidian-alenia-join-forces-for-uav-projects-365997/

12月14日、EADS Cassidianとアレニアは、MALE-UAVとUCAVの二つの分野において、共同研究の道を模索する協定に調印した。欧州のUAV開発に関しては、昨年英仏が協力するという新展開があったが、ここでは独伊の協力という形になる。

EADSはMALE-UAVのTaralionを、フランス、ドイツ、スペイン向けとして長期にわたって開発してきたが、ここまで受注には成功していない。またバラクーダUCAVデモンストレータも飛ばしたが、その先はあまり進展してないようだ。
現時点では前者の方を優先してアレニアと協力することになる。2018年の配備に間に合わせるには2015年までに原型機を飛ばす必要があるとのこと。
このスケジュールは、英仏のTelemosが2015~2020年配備というのと対応する。UCAVはその先。

アレニアの計画でMALE-UAVに対応するのがSky-Y、UCAVがSky-Y。いずれも試験機を飛行させるところまでは行った。またアレニアは、ダッソーのNeuronデモンストレータにも関与し、こちらは2012年初飛行予定となる。

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MBDAがGBU-44の製造をノースロップグラマンから受注

http://www.flightglobal.com/news/articles/mbda-acquires-us-munitions-factory-from-northrop-grumman-365939/

GBU-44ヴァイパーストライクは、RQ-7など比較的小型の戦術UAVに搭載可能な小型PGMとして開発された物で、重量は20kg程度。現時点では米海兵隊と特殊戦コマンド向けで発注されている。MBDAが請けたのはその製造で、ラインはすぐにも稼働するとのこと。なお金額は明らかになってない。

GBU-44は今後の大量発注が見込まれるというだけでなく、このための製造設備は、MBDAが米軍向け市場に本格参入する足がかりともなる。製造設備ごとノースロップグラマンから買った、という形になるようだ。場所はレッドストーン兵器廠。
これまでの数年間、MBDAの米国現地法人であるMBDA Incは、GBU-39 SDB向けの折り畳み翼、ダイアモンドバックの供給を行ってきた。トレードショーでは米軍向けとしてSaber STM、Zuni誘導ロケットとMeteor BVRAAMなどを展示しているので、これらが提案されていくものと考えられている。

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デンマークのUAV選定失敗と代替案

http://www.flightglobal.com/news/articles/denmark-scours-market-for-unmanned-systems-365931/

最近、デンマークの代表団が市場調査の一環でイスラエルを訪問し、イスラエル空軍及び同国のメーカーと会ってきたとのことで、それを元に複数の種類の任務に対応するイスラエル製UAVの導入を決めた模様。

デンマークは2002年、フランスのSagemからSperwer戦術UAVを導入したのだが、一連のトラブルに見舞われて装備計画はキャンセルとなり、2005年2月に運用を停止した経緯がある。
これらは2006年になってカナダに売却された。カナダはSperwer(カナダでのディジグネーションはCU-161)をアフガニスタンに持ち込んだが、これも2009年で運用を終了してIAIヘロンに引き継いでいる。

この機種はフランスを含む数カ国で導入されたが、カナダ、デンマークの他にもスウェーデン、オランダで退役となっており、やや失敗作感が漂う。現用中の国はフランス(センサ性能向上型の追加発注含む)、ギリシャ。
米国のどっかのANGで使われてるというのも英ウィキペに載ってたけど、ソース不明。

カタログデータ的な能力についてはこんな感じ。

http://www.army-technology.com/projects/sperwer-uav/

http://defense-update.com/products/s/sperwer.htm

インドのSu-30MKI墜落現場/インド向けEMB-145 AEW&Cが初飛行/RoKAF向け737ピースアイの2機目が納入される/韓国内でRQ-4の導入価格について懸念高まる

インドのSu-30MKI墜落現場

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-indian-air-force-crew-eject-from-stricken-su-30mki-365999/

12月13日、インド西部のPune付近でSu-30MKIが墜落した。搭乗員2名は脱出に成功している。地上の被害らしい被害は無さそうだ。

Su-30MKIの事故は2009年の導入以来3度目のことで、事故機は全てHALで製造したものらしい。事故原因についてはまだ初期の調査中だが、FBW系という情報もある。

丸焼け。

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インド向けEMB-145 AEW&Cが初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-embraer-flies-first-aew-modified-emb-145-for-india-365741/

12月6日、インド向けのEMB-145 AEW&Cが、ブラジル国内のSão José dos Camposにおいて初飛行を実施した。2012年中頃に納入される予定の機体で、エムブラエルが受注している。初飛行は成功裏に終わったとのこと。搭載機材はDRDOが開発したもので、3機を改修する予定となっている。

これまでのEMB-145のAEW&C型としては、Erieye搭載の機体が合計10機製造され、ブラジルの他にギリシャ、メキシコへ引き渡された。

性能はよくわからんが、Erieye搭載機より更にゴテゴテしているのはわかる。小さいレドームが付いてたりベントラルフィンらしきものが追加されたり。

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RoKAF向け737ピースアイの2機目が納入される

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-south-korea-receives-second-737-peace-eye-365972/

ボーイングは韓国の金海空軍基地で、737AEW&Cことピースアイの2機目を納入した。これは1機目と異なり、KAIの泗川工場で転換改修を受けた機体となる。この工場では、あと2機のB.737-700を転換改修することになっている。

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韓国内でRQ-4の導入価格について懸念高まる

http://www.flightglobal.com/news/articles/seoul-raises-concerns-about-global-hawk-price-365969/

韓国ではHALE-UAVとしてRQ-4 Block 30Iを導入する計画を立てており、公開入札も予定しているが、RQ-4についてはDAPA内部で価格面の懸念が高まってる、という業界筋の情報がある。

これについては今年初め、4機のRQ-4と1セットの地上ステーションで8億5000万ドル、最初の2機は2015年と2016年に納入、という話が出ていた。
米国防総省はU-2とRQ-4 Block30を用いて北朝鮮の活動を監視しているが、これを韓国にも担わせたいという立場。韓国向けのRQ-4はBlock30Iと呼ばれるもので、COMINT/SIGINTペイロードを省いたBlock30の輸出型となっている。

今回の韓国内の報道によると、HALE-UAVのための予算が8億5000万ドルより遥かに低い4500億ウォン、約3億8700万ドルであるということで、RQ-4には全然足りない。そのことを裏付ける、というほどではないが、ソウルエアショーではノースロップグラマンでは8億5000万ドルという数字に対してノーコメントを貫き、FMS価格=米政府次第であるとした。
で、今回の報道には続きがあり、AeroVironmentのグローバルオブザーバを候補に入れているということも同時に報じられているそうだ。確かにRQ-4を超える性能が予定されてはいるが、こちらはRQ-4の後継ぐらいの位置で、まだ売り物とかいう段階には程遠い。2015年の段階でもどうか、まして輸出は今から開発に参加しても微妙ではというレベル。

なお、RQ-4の韓国向け輸出は、ミサイル関連技術規制には抵触しないという結論が9月に出ており、そのあたりの障害はクリアされているようだ。