ポーランドがLIFT選定をキャンセル/IAIがイタリアに対してG550 AEW&Cを提案/KF-Xについてのソウルエアショーのまとめ/アフガニスタン派遣中の英海軍シーキングHC.4+が撤退

ポーランドがLIFT選定をキャンセル

http://www.flightglobal.com/news/articles/lift-off-poland-cancels-armed-trainer-contest-364024/

10月27日、選定期日の前日になってLIFTの選定がキャンセルとの発表があった。RfPも取り下げ。最終的に提案されていたのは、M.346とT-50Pの2機種、機数は16機だった。

ただLIFTの導入が完全に消えるというわけではなく、条件を変更して来年改めて選定するとのこと。変更されるのは戦闘能力に関する項目で、軽攻撃機としての能力については削除される。よって、普通の高等練習機の仕様でRfPが出ると予想されている。機数は未定。ミッションシミュレータとの併用も考えられてるようだ。

ポーランド国防相によると、プログラムコストは30~40%も下げられる見通し。これまでの計画では、16機で4億7600万ドル相当だった。
条件が違うので機数がその比率で減らされるわけでもないと思うが、減額が大きいので16機確保は難しいかもしれない。
ちなみにT-50×16機と言えば、インドネシア向けのが4億ドルぐらいだった。

次の計画では、新練習機は2015年配備予定。それまでの訓練については、米国派遣(T-38による訓練)とPZL TS-11を使った体制を継続することになる。

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IAIがイタリアに対してG550 AEW&Cを提案

http://www.flightglobal.com/news/articles/iai-offers-italy-airborne-early-warning-system-deal-363978/

現在イスラエル空軍のLIFT選定が進行中だが、同国では予算削減圧力が強い。そのため、予算確保が困難な状況の打開策として、M.346を提案するイタリアとはバーター取引という可能性を模索中と伝えられた。
今回、IAIがこれに応えて、AEW&Cの具体的な提案が出てきた格好。内容としては、G550 AEW&C×4機分のフルパッケージというもの。イタリア空軍はAEW&Cを8機配備する計画みたいなので、半数がこの取引で供給されることになる。

イスラエルのLIFTの導入機数ははっきりしないが、25~35機ということなら交換レートは1:6~9だな。

G550 AEW&Cは、イスラエル空軍のほかにシンガポール空軍でも導入している。またイスラエルとイタリアはUvda空軍基地での合同演習において相互運用性を確認している(イタリアのトーネードがG550 AEW&Cの誘導を受けてミッションを実施した)ので、導入のハードルは低いと見られる。これが無くても、導入する可能性は比較的高い。
これと競合するのはB.737AEW&Cとのこと。

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KF-Xについてのソウルエアショーのまとめ

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-south-korea-outlines-strategy-for-indigenous-fighter-363847/

記事としては今までの流れのまとめで、まあちょっと楽観的すぎますよねっていうかスケジュールもコストも性能も全体的に無理だろこれ、というのが書いた人の感想。

根幹部分は結局海外頼りになる可能性が高く(AESAのハードはできてもソフトは無理とかDAPA自身も認めてる)、現時点ですらエンジン買うならうちの他の技術も買えやみたいな状況になってきてる模様。ユーロファイターもボーイングも、自社プレゼンで勝手なKF-X想像図を紛れ込ませていた。

以下トリンブルさんブログから、

ボーイングの。

http://www.flightglobal.com/blogs/the-dewline/2011/10/boeing-sneaks-a-peek-at-kf-x-d.html

ちょっと興味深いのは、ユーロファイターがEADS MAKO/HEATの焼き直しみたいなのを出してきたことだ。

http://www.flightglobal.com/blogs/the-dewline/2011/10/seoul-air-show-eurofighter-sha.html

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アフガニスタン派遣中の英海軍シーキングHC.4+が撤退

http://www.flightglobal.com/news/articles/uk-withdraws-sea-king-transports-from-afghanistan-363839/

英海軍は、2007年からシーキングの輸送型であるHC.4+を派遣していたが、9月30日で最後のミッションを完了、AW101マーリンHC.3/3Aと交代することになる。
RNASヨービルトン所属の、845Sqnと846Sqnのシーキングは、キャンプ・バスチョンに展開し、3800回以上のミッションをこなして累計飛行時間12500時間以上を記録した。この間の、のべ輸送兵員数80000、物資700ton以上となる。
ヨービルトンに戻った後は活動を縮小、訓練支援任務に就き、2016年まで運用される予定。輸送任務はRAFが担当する形となり、そちらは2010年代後半からCH-47が配備予定。

RAFが保有するマーリンHC.3/3Aの機数は24機。

ARMv8/FX-8150/8120が11月4日発売など/HPのPC部門は維持/ノキアが2011Q3出荷の携帯電話端末台数で首位を保つ

ARMv8

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/20111031_487621.html

ARMの新しい命令セットアーキテクチャで、64bit動作モードなどが追加された。命令セット自体はA64と呼ぶらしい。v7までとの互換性はある。というかv7を拡張したのがv8。
アプリケーション向けがARMv8-A、リアルタイム制御向けがARMv8-R、マイクロコントローラ向けがARMv8-M。ライセンス供与は開始されており、より詳しい情報公開は2012年後半、実製品は2014年から。

レジスタ構成などの説明はとりあえずおいといて、製品戦略としては、64bit化でサーバ向け展開の道が開けたことに大きな意義がある。
この発表があった同日、早速Applide Micro Circuits Corp.(AMCC。PowerPCのライセンスを買い取り、組込製品を提供しているベンダ)がARMv8-A採用してサーバ向けプロセッサを開発すると発表している。詳細はこれから情報公開されていくと思われるが、名称はX-Gene、動作クロック3GHzのマルチコア、待機時消費電力300mW未満。その他、ネットワークとストレージ関連の物理層、マルチプロセッサ用ソケットなど。2012年後半からTSMCの40nmか28nmで製造開始予定。

結局のところは、電力効率で勝負するタイプのプロセッサになりそうではあるが、Atom鯖みたいなのと大差なくなるか、それ以上の利点を備えるかで全く話が違ってくる。果たして実パフォーマンスがどの程度になるか。足回りに相当するバスやら何やらも気になるところ。
登場時期はちょっと厳しいかもしれない。2013年になるとIntelの22nmプロセスが立ち上がり、Haswellは待機消費電力1/20とか言ってる。

NVのHPC向けプロセッサ構想ともたぶん関連。

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FX-8150/8120が11月4日発売

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20111028_487109.html

何個売るかは知らないが、公式に発売日がアナウンスされている。
8150の水冷リテールクーラー限定版、8120が4日。8150の空冷リテールクーラーのBOXが一週間遅れの11日。まだ1ドル100円で売れると思ってるのか。何かしらK10を超えてればまだ買う人もいたと思うが、今回さすがに人柱に続く人はごく少数だろう。

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一方、モバイルAPUは好調だった。

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20111028_487084.html

http://www.xbitlabs.com/news/cpu/display/20111028101415_AMD_Beats_Own_Revenue_Forecast_Despite_of_32nm_Chip_Shortages.html

32nmSOIが全然ダメだったわりに好調なのは、利益率が多少マシになってる感じだから?
物凄い勢いで中国に出荷してるという話もあった。

モバイルのAシリーズは結構イイが、最低限メモリソケットは2つ埋めて、デュアルチャネル動作とすべき。2GBが1枚だと正直しょぼい。
だが来年Trinityがこけたら水の泡であり以下略。

またIntelのSandybridge-Eの発売は近付いているものの、X79チップセットが機能面でいまいちっぽい話もある。

http://www.4gamer.net/games/132/G013252/20111027090/

どっちも本命は年越しになりそうだ。

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HPのPC部門は維持

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20111028_487043.html

企業戦略としての中心事業が何かという話か。儲けが薄くてメリット小さくても、PC無けりゃ周辺機器メーカーだしなあ。
中心事業をあえて変える方向に舵を切るとこもあるが、成功するか否かは何とも言えんし。
社内パワーバランス的に、あれだけの規模のPC部門が黙って切られるとも思えない。分社化とかそういう段階を踏む方がまだマシ。
あと、でかすぎて買う方も難しいといった感じなのかも。小さいとこは金出せないし、大手だと独禁法がネックになりかねず、投資家にとってはPC事業=成熟市場で成長の余地が無いと映る。

PC事業が成熟市場と言われて久しいが、新興国向け市場の、100ドルPCだのOLPCだの、ああいうクラスは残ってる。ただし、今まで成功した例は皆無に等しい。どうも普通のPCの考え方で作ったもんは無理っぽい。ハードとソフトとインフラが揃わないことにはやっぱりねえ。
電源切っても表示が維持されるような電子ペーパー系のモニタとか、要素は揃ってきていると思うのだけども、そういうのをHPが作れるかというとまあ難しいか。

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ノキアが2011Q3出荷の携帯電話端末台数で首位を保つ

http://www.xbitlabs.com/news/mobile/display/20111028143043_Nokia_Remains_Top_Mobile_Phone_Vendor_as_Smartphone_Sales_Slow.html

ワールドワイドで見るとノキアもまだシェアが大きいが、主流がスマートフォン化しつつある中でOS移行に失敗すると、一挙に不利になりそう。今のところWP7.5は爆発的に売れる感じじゃないので、既に失敗する方向に向いてる。
あとOS移行の流れに乗ってサムスンが伸び、LGが喰われてる感じ。

Android端末を触ってみると、最適化不足なだけじゃなくて、OS自体のパフォーマンスも大したことないような感触がある。
電話かけるときに「では電話アプリケーションを起動します」みたいな間があるのは何だかなあと思った。体感的にはPC上で常駐させてるIM開くよりトロい。これは電話なのか、電話の機能を持ったというだけのPDAなのか。目的があって使いこなすのでなければ、ただ電池食いで無駄機能山盛りのオモチャ、という認識のままだ。

屋外のイベントとかで、その辺の人がカメラを向ける際に取り出すものは、当然ながら在来携帯電話機が圧倒的であり、スマートフォンはあまり目にしない。その中で使いこなされてるのはiPhoneが多いかもしれん。

 

カメラと言えば、今年は複数の陸自イベントでDS(たぶん)持って一人でうろうろしてる子供を見かけたのだが、どうも同じ子供だったような気がしてならない。
あれは招待客か偉い人の身内かなんかだろか。英才教育なのか。右だか左だかしらねえけど。

ロシア空軍のSu-24が墜落/インド軍はAH-64Dを選定か/PAK-FA/T-50の原型3号機が近日初飛行予定/黒海艦隊の近代化について

ロシア空軍のSu-24が墜落

http://en.rian.ru/mlitary_news/20111020/167881143.html

10月20日、現地時間で正午頃、極東アムール地方のウクラインカ軍用飛行場でSu-24が墜落、乗員2名が死亡した。
ヴォロネジでの整備から戻って着陸を試みたところ、滑走路を飛び出して出火したという。着陸脚のタイヤのトラブルと見られており、安全が確認されるまでロシア空軍はSu-24全機を飛行停止とする。

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インド軍はAH-64Dを選定か

http://en.rian.ru/world/20111025/168096811.html

インドの国防省筋によると、計画している22機の攻撃ヘリコプター選定に関し、Mi-28Nは技術的理由により落選とし、より結果の良かったAH-64Dを選定するとのこと。検討の結果、Mi-28Nは20項目で要求性能を満たせなかったとか。

記事中にもあるが性能比較表。

http://en.rian.ru/infographics/20110217/162649795.html

この選定では22機に留まるものの、将来のオプション契約を含めると少なくとも6億ドルに達すると考えられている。またこの先は大型ヘリコプター×12機(Mi-26T2とCH-47F)と中型ヘリコプター×197機(Ka-226TとAS550)の入札も控えているので、ロシアの回転翼機輸出全体としても痛手になるかもしれない。インドは次の10年で全部合わせて700機を導入する見込み。
現在ロシアから供給を続けているのは、2008年契約のMi-17-B5×80機。

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PAK-FA/T-50の原型3号機が近日初飛行予定

http://en.rian.ru/mlitary_news/20111027/168170067.html

業界筋によると原型3号機の初飛行が近日中に行われる予定で、4号機の組立も最終段階に達しているとのこと。

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黒海艦隊の近代化について

http://en.rian.ru/world/20111025/168100444.html

ロシアはウクライナからセバストポリを租借する形で黒海艦隊を配置しているが、ソ連崩壊後の1997年の契約条件は、あくまでも「現状を認めるだけ」で、増強も、現地での近代化工事も許されないという、ロシアにとって厳しいものだった。租借期間の問題を2010年にクリアし、2042年まで延長する契約が成立したものの、条件は基本的に変わってないみたい。

ということでロシアが取り決めに従えば、黒海艦隊は順調に旧式化するしかなくなる。それはまずいというので、二国間交渉が行われているようだ。ロシア国防相は新たに2つの合意を取り付けるべく、10月19日にウクライナを訪問した。交渉のネックになってるのは装備の近代化に関する部分だそうだ。
ということは1対1の艦船交代はだいたいOKなんかな。

1997年合意の範囲では、フリゲート×15隻、ディーゼル潜水艦などが配備される計画となっている。

 

また黒海艦隊については、イタリアとの合同演習の話も出ている。

http://en.rian.ru/world/20111030/168256326.html

黒海艦隊所属のカシン級対潜艦スメトリーヴィが、イタリアとのIoniex 2011合同演習に参加するためセバストポリを出航した。
この艦はカシン級最後の一隻になるらしい。1960年代の設計だが、1990年代に近代化改修を受けて、Kh-35/SS-N-25とMNK-300 VDSを備える。

Ioniex合同演習は2年に1回実施されているもので、11月上旬に行われる予定。また潜水艦救難艦も参加するようだ。
これか?ロシアの潜水艦をサルベージするには小さすぎると書いてあるが。

http://warfare.ru/?catid=302&linkid=2159&title=kommuna-submersible-support-ship/salvage-lifting

フランスのE-2Cアップグレード/通算300機目のユーロファイターが納入される/RAFのNo.6 SqnがBERSAMA LIMA 11演習に参加/インドネシア空軍が中古F-16とC-295を導入

フランスのE-2Cアップグレード

http://www.dsca.mil/PressReleases/36-b/2011/France_11-24.pdf

10月18日、米国防総省はフランスのE-2CアップグレードをFMSで実施する事で合意した。金額は1億8000万ドル。4機分のアップグレード機材、装備品と訓練、兵站支援までを含む。
フランスが求めたウェポンシステム及びセンサアップグレードは、Mode 5/S IFFのAPX-122およびAPX-123、ALQ-127 ESMシステムで、数はそれぞれ5セット分。元請けはノースロップグラマン。
これによりフランスのE-2Cは、最新のNATO標準に準じたIFFを備えるということになる。

http://www.sisostds.org/StandardsActivities/StudyGroups/Mode5SIFFSGMode5SelectIdentificationFri.aspx

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通算300機目のユーロファイターが納入される

http://www.eurofighter.com/media/news0/news-detail/article/press-release-eurofighter-delivers-to-the-spanish-air-force-the-typhoon-nr-300.html

300機目を受領したのはスペイン空軍となり、Ejercito del Aireで引き渡しが行われたようだ。ただしスペシャルマーキング(カッティングシート?)は身震いするほどダサい。

現時点でのユーロファイターの納入実績が書かれてるので少し書き写しておくと、これまで6カ国(英独伊西、サウジアラビア、オーストリア)、16の部隊で、11機種の戦闘機を更新した。リビア展開を含めて平均以上の運用実績を示し、累計飛行時間は13万時間に達する。

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RAFのNo.6 SqnがBERSAMA LIMA 11演習に参加

http://www.raf.mod.uk/news/archive/typhoon-trail-26102011

BERSAMA LIMA 11演習は、英国を含む環太平洋の5カ国(英国、シンガポール、マレーシア、ニュージーランド、オーストラリア)で構成されるFive Powers Defence Agreement (FPDA)の創設40周年を記念して行われている大規模演習。10月17日~11月4日まで、航空機68機、水上艦艇19隻、潜水艦2隻が参加する予定。

http://www.navy.gov.au/Exercise_Bersama_Lima_2011

No.6 SqnはRAFルーカーズをホームベースとする部隊で、タイフーン(トランシェ2)を装備している。ここからマレーシアのRMAFバターワースまで、ヨルダン、オマーン、スリランカを経由し、4日間かけて移動した。支援に当たったのはRAFブライズノートン、No.101 SqnのVC-10。移動距離は7000マイルに達し、トランシェ2においては、これほどの長距離展開は初めてとなった。単座と複座1機ずつかな。

No.6 Sqnは、通常任務の本土QRAから外されての部隊派遣となったが、当局としては、熱帯という厳しい環境で多くの国と連携する演習を行う意義は非常に大きいとし、タイフーンを参加させる方針は以前から決まってたようだ。

この演習に参加した主要な機種は、RAAFのF/A-18とウェッジテイルAEW&C、RMAFのMiG-29とF/A-18、シンガポール(RSAF)のF-15SGとF-16といったものだったようだ。

RAAFのF/A-18E/Fに関しては10月20日、24機が計画通りのスケジュールで納入完了している。

http://boeing.mediaroom.com/index.php?s=43&item=1980

納期について触れられているが、2007年3月発注契約して、2010年3月26日に初回5機納入、今度の2011年10月20日が最終5回目で24機に達した。
やはり納期を守れるというのは強みだ。

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インドネシア空軍が中古F-16とC-295を導入

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-to-acquire-24-used-f-16s-and-nine-cn295s-364007/

F-16×25機は全て米軍、ANGを余剰になったBlock25で、Block52+相当にアップグレードされるとのこと。業界筋によるとFMSでの取引となり、インドネシア下院は承認済み。

C-295×9機は金額にして3億2500万ドル、2014年前半に配備される計画。フォッカーF27の直接の後継ではないようだが、代替ともなる。なお10月初めには、PTDIがエアバスミリタリーと共同で製造するパートナーとして発表されている。

準惑星エリスの直径が計測される/ロゼッタ探査機による小惑星Lutetiaの観測について

準惑星エリスの直径が計測される

http://www.spacedaily.com/reports/Dwarf_planet_sized_up_accurately_as_it_blocks_light_of_faint_star_999.html

2010年11月、チリ、ESOのLa Silla天文台にあるTRAPPIST望遠鏡で、エリスの掩蔽現象が観測された。その結果を元に計測された大きさは、冥王星にほぼ等しいとのこと。詳細はネイチャー誌10月27日号に掲載予定。アルベドが高いことから、表面は薄い氷の層で覆われ、大気が凍結している可能性がある。

観測に先立ち、MPG/ESOの口径2.2mの望遠鏡を用いて掩蔽される方の星を特定した。
TRAPPISTの主鏡は0.6m。TRANsiting Planets and Planeteslmals Small Telescopeという正式名の通り、太陽系内の惑星観測用に作られてる。特に遠方の天体を観測する上では観測精度が重要で、海王星よりも小さな天体を観測する場合は高い観測精度と、周到な計画の両方が必要になる。

地球上でエリスの影が落ちる範囲の、掩蔽現象が観測可能と予測された観測施設は26あったが、直接観測できたのはチリにある2つのみだったとのこと。その1つがTRAPPISTで、もう1つはサンペドロ・デ・アタカマの2つの望遠鏡だった。
これらの観測結果を総合して検討した結果、エリスはほぼ球形であろうとの結論。極端に高い山などがあればまた話は違うが、氷を多く含む天体においてはその可能性は低いと見られる。

今回の観測により測定されたエリスの直径は2326km(精度12kmで)。この数値は、冥王星の推定直径である2300~2400kmに極めて近く、従来の推定直径3000kmよりもかなり小さい。冥王星は大気があるので、掩蔽観測でも正確な計測は難しいとされている。
またエリスの質量は衛星の運動を観測することで推定でき、冥王星より27%重く、密度は2.52g/cm3と考えられている。脚注にある月の密度は3.3g/cm3。エリスの構造は、氷が15%、岩石が85%で、岩石の核を100kmほどの氷の層が取り巻いていると推定される。

エリス表面の反射率アルベドは0.97と極めて高く、土星の衛星エンケラドスとほぼ同じ。率で言えば新雪よりも高い。これはスペクトル解析によれば、窒素を多く含んだ氷と凍ったメタンが1mm未満という極めて薄い層を成しているためとされる。近日点で太陽との距離は57億kmぐらいになるが、この時は表面の物質が気化して、極薄い大気を持つ可能性がある。
表面温度は-238度、夜の側はさらに低い。

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ロゼッタ探査機による小惑星Lutetiaの観測について

http://www.spacedaily.com/reports/Rosetta_reveals_the_science_and_mystery_of_Asteroid_Lutetia_999.html

2010年7月10日、ESAの小惑星探査機ロゼッタは、第2の観測対象である21番小惑星、Lutetiaに最接近した。最接近時の距離は3170kmで、搭載されたOSIRISイメージングシステムにより、太陽光の当たる北半分の462枚の画像を撮影、表面の50%ほどを観測することに成功している。OSIRISによる観測と解析は、ドイツのマックス・プランク研究所が中心となって行われた。NASAの保有するDSNの70m級アンテナがマドリード近くにあり、ここを経由して観測と追跡が実施されている。
またこの時、Lutetiaの不規則な形状と、大雑把に121km×101km×75kmといったサイズが明らかになった。

Lutetiaは火星-木星軌道間に存在する小惑星としては最大の天体の一つで、1852年に発見され、金属質のM型小惑星と分類された最初の天体でもあった。しかしその後の電波観測では、M型としてはアルベドが低すぎる事が判明し、可視光と赤外光の観測では輝石コンドライトと炭素質コンドライト、つまり典型的なC型小惑星のように見える。

今回の観測に続く解析では、撮影された領域に存在するクレーターが350個以上確認される。その大きさは600mから55kmまで、深さは最大10kmまで。分布には偏りがあってクレーターの密集したところの方が古く(Achaia地域)、およそ36億年前のものと判定された。それ以前は、球形に近かったのではないかと推定されている。

比較的新しい方のクレーターは北極周辺にあり、直径21kmのクレーターが固まっている(Baetica地域)。最初の衝突で舞い上がったエジェクタの大部分は脱出速度に達せず、表面に降下してクレーター周辺に堆積した。この地域は堆積したエジェクタの影響で、アルベドが低くなった。一方、Achaia地域の明るさは均一。こちらは太陽の輻射、高エネルギー粒子、微小隕石によって一定の割合で「風化」し、全体的に暗くなったものと考えられる。

その他の特徴的な地形としては、火星の衛星フォボスに類似した、大規模な地溝帯のネットワークが確認されている。

表面観測のもう一つの目玉がVisible, InfraRed and Thermal Imaging Spectrometer (VIRTIS)で、可視光と赤外光の領域で、波長ごとの情報をイメージング分光する機器。ハイパースペクトル分光、スペクトル反射分布地図、温度分布地図を取得できる。
表面のスペクトル特性は、地球からの観測と同じく、やはり均一であり、ケイ酸塩やミネラルの水和物や水の痕跡は見つからず、衝突してきた天体の性質は特定できなかった。しかしその分布からは、鉄分を多く含む炭素質コンドライトや頑火輝石コンドライトが主成分である可能性が示唆されてる。
温度分布は、太陽の当たる側で表面温度170Kから245Kまで。50~100ミクロンの粒子の層で覆われていると推定され、スペクトル分布の均一さと合わせて考えれば、表面に均一に広がっているものと思われる(月のレゴリスに相当)。

この他、ドップラー変移法による質量計測を実施し、地球上からの観測よりも高精度で質量が計算されたが、これまでの結果よりも小さい値になったとのこと。しかし画像観測から得られた体積も小さく、密度は3.4g/cm3と算定される。この数値は今まで観測された小惑星の密度、1.2g/cm3~2.7g/cm3に比べて大きく、既知の小惑星で最大。

といった感じで、中身を直接知る手がかりは割と限定的だったようなのだが、高密度であるのは内部構造が多孔性で、その隙間に鉄のような重い金属が入り込んだ状態、という説が考えられてる。小惑星が形成されてから比較的早い時期に溶けた金属が浸透して冷え固まったなど。
Lutetiaは太陽系内で極めて古い天体と考えられているので、これは地球型惑星など、もっと新しい時期に形成された天体とのミッシングリンクとなる。重爆撃期ぐらいの微惑星が現在まで残っている、と考えるのはそれなりに感動的だ。

ZENBOOK国内発売がアナウンスされる/ソニエリがソニー完全子会社化/Trinityのスライドが流出ほか

ZENBOOK国内発売がアナウンスされる

http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20111026_486307.html

i5モデルの国内導入は見送りになったものの、海外価格を米Amazonとかで見た感じ、わりと円相場が反映された価格になっている。一応モバイルとは言え、この価格だとi5モデルとの住み分けは難しい。また、ちょいクロック高くて厚いU36SDよりも安くなる。いずれもi7つっても2C4Tだから大差ないと言えばない。

家電量販店だとこの価格に10%ポイントが付いたりするので、結構安い。
液晶の質は見てみないとわからんが、13.3インチの1600×900に飛びつく人も一定数いそう。

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ソニエリがソニー完全子会社化

http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20111027_486671.html

ソニーが手放すという憶測もあったけど、エリクソンが手を引く形なのかこれは。
あと、フォースクリーンの中にゲーム入ってないんですけど。

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http://vr-zone.com/articles/report-amd-trinity-details-revealed/13807.html

例のトルコ某サイトからTrinityのスライドが流出。この手のリークサイトにしてはなかなか潰されないし、GFの方の出資者とかから資料が流れてんのだろうか。

とりたてて今までのリークを覆すような新しい情報は無いが、CPUコアがBulldozerの次のPiledriver、2M4CのL3無しでL2が4MB、GPUコアはHD6000と同世代のVLIW4アーキテクチャになると明記されている。5000から6000で3割も上がったっけ?演算ユニットの構成変えるのか。またIntel QSVに対抗してVideo Compression Engineというのが追加されることになっている。
今のところ、11月から製造に入って来年早々から量産というスケジュール。

FX-6100/4100のベンチが出てきているけど、Bulldozerは想像以上にダメっぽい。コネコの人柱な方々ですら引くレベル。
OCもあんまり伸びてないんだよな。製造プロセスとアーキテクチャ両方ダメで、性能上がらず価格下げられないダメの相乗効果といった感じ。

第一世代FXは、とりあえず出しただけの見切り発車で、次が出たら即フェードアウトしそうな雰囲気が濃厚だ。
もう一化け二化けしないとVIAみたいに特定用途しか生き残れなくなりそうなので、次はマジで何とかしていただきたい。コストパフォーマンスの改善も。

結果論だけども、AMDに2つの新アーキテクチャを同時進行させるだけの開発リソースが無かった、ということになるのかやっぱり。

Brazosプラットフォームの世代交代については別のとこから。

http://vr-zone.com/articles/report-amd-brazos-2.0-in-q1-2012/13808.html

Brazos2.0というコードネーム。APU自体は名前が変更されてCPU部にもTurboCOREが付くだけ。FCHの機能は一部変更される。それほど大きな変更じゃない。
今のところBrazosは半年ごとにマイナーチェンジしてるので、次が来年Q1になってもおかしくはない。予定通りにいけば、さらにその次はQ3で、28nm製品(Krishna/Wichita)になるはずだが。

 

最近、E-350オンボードのM/Bがアホのように安いからひとつ買ってみようかと思い始めた。PC-Q11のケースだけ転がしておくのがもったいない。
問題はE-350でやることがあんまりないことだ。ホームサーバぐらい?
Mini-ITXは初めてなので、とりあえず組んでみて制約や問題点を把握しておくのもいいか。

Z68にしてSSD+HDDでいんてるスピードレスポンスナントカでメイン機をMini-ITXにしようかという構想もあるにはあるが、冷静になってみるとIvybridgeまであと半年(弱?)。まだそこまでしなくてもいいような気がしてきた。

皮肉にもFXのアレさ加減を見るにつけ、X6-1055TのままSSD入れるだけでも、まだしばらくやれそうに思えるというのが何とも言えん。

F-22の飛行禁止措置が解除、全面復帰へ/IAIがパンサーUASの自動離着陸試験を実施/アパッチAH.1の艦上運用に関する問題点など/将来の英軍のISR能力について

F-22の飛行禁止措置が解除、全面復帰へ

http://www.spacewar.com/reports/F-22_fighters_back_in_the_air_US_Air_Force_999.html

5月から9月までの異例とも言える長い飛行禁止の後、一応の対策がとられて、基地ごとに限定的に飛行を再開したり止めたりしていたが、24日月曜にエルメンドルフ、25日火曜にラングレーでそれぞれ飛行禁止措置が解かれ、全面復帰することになった。
トラブルの詳細は未だに公表されていない。

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IAIがパンサーUASの自動離着陸試験を実施

http://www.flightglobal.com/news/articles/iai-outlines-progress-with-panther-tiltrotor-uas-363859/

IAIは開発中のティルトローターUAS、パンサーの離着陸試験を行っている。2012年早々には、潜在顧客に対してデモンストレーションを実施する予定。

パンサーのティルトローターは、ローター軸を90度上向きに回転させる形式(+ホバリング用に固定されたローター1基)だが、やはりというかホバリング状態と水平飛行のモード移行が、開発の焦点になったとのこと。原型機は数百時間の飛行時間を記録しているそうだ。
また、モード移行それ自体が完全に自動化されているのも特徴で、オペレータが操作を訓練する必要が無く、単に離陸とか着陸とかのコマンドを発するだけでいい。

MTOWは65kg、連続滞空6時間。また電動モータを使うため静粛性が高い。
パンサーの小型版として、MTOWが12kg、連続滞空2時間のミニパンサーが開発中。さらに発展型として、燃料電池の採用も計画されている。実現すれば滞空時間はさらに向上するはずだ。

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アパッチAH.1の艦上運用に関する問題点など

http://www.flightglobal.com/news/articles/uk-eyes-apache-modifications-after-libyan-experience-363865/

英陸軍のアパッチAH.1はHMSオーシャンに搭載され、5月29日から8月24日にかけて、NATOのユニファイド・プロテクター作戦に参加した。トリポリやブレガでの作戦を含む、25の任務を完遂、100以上の目標に対して攻撃を実施したとのこと。事前の作戦計画では40の任務が想定されたものの、防空網の脅威や情報不足のため、投入されなかったことも多かった。

改修が必要であるとされるのは、主に艦上からの作戦から得た教訓が元になっている。不時着水した時の対処が難しい(すぐ沈まないようにする装備の追加やキャノピ投棄システムの追加)点や、Iバンド(NATOの?)トランスポンダのバッテリ強化などが挙げられている。
構造的な欠点としては、例えばメインローターブレーキなどは強風下で十分でなかったとか、そういうのが幾つかあるらしい。

英国のアパッチは長期的に艦上運用される計画はないものの、今回のリビア展開のような短期のケースは今後も起こり得る。即改修に至るような話ばかりでもないが、元々陸上機だから問題が出るのも仕方ないところだ。この辺はUSNCのAH-1T/W/Zとかだと大丈夫なんだろうか。

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将来の英軍のISR能力について

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-budget-pressures-to-determine-future-of-uks-surveillance-aircraft-363522/

リビアとアフガニスタンでは、センチネルR.1、シーキングMk.7 ASaC、退役が先送りされたニムロッドR.1が投入されたが、将来は予算の都合で不透明な部分が多い。

センチネルR.1は2002年から2004年にかけて就役した。その飛行時間は、5機全部の累計で10000時間ほど。うち、リビアで2000時間とアフガニスタンで5300時間、計7300時間以上飛んでいる。しかしSDSRに従えば、アフガニスタンでの展開が終わったら早期退役することになっている。これは2015年からNATO主導の作戦に地上部隊をあまり出さないようにする、という方針と関連しているが、そうなれば10年で退役ということになる。

予定通りに進めて、有人ISR機を一旦手放すと、投入可能な機体は無人機を残すのみ。それら、MQ-9リーパーとウォッチキーパーは長距離の進出ができないし、英仏共同の無人機(英MoDではスカベンジャーと呼称)はもっと広範囲の監視が可能だが、SAR/GMTIを搭載したセンチネルと同じ役割が務まるか、どこまで使えるかは未知数。

またセンチネルR.1に加えて、UORによりキングエア350CER×4機を、シャドウR.1として導入することにしているが、アフガニスタン後の処遇はまだ発表されてないとのこと。

シーキング後継については、サーチウォッチャー2000とケルベロス・ミッションシステムをAW101に移植するタレスUK案と、LMがAW101のHM.2アップグレードと一緒に提案している次世代監視システムがある。後者はHM.2仕様の機体ならどれでも搭載でき、レーダーに関してはF-35のSARに使われた技術が入ってるとも言われている。
下手すると忘れられそうな気さえするが、シーキング後継は艦載AEW機としても必須なんだよなあ。その前に空母どこ?というのもあるが…

ノースロップグラマンがコンボイ防護の新技術をデモンストレーション/英国LMが英陸軍ウォリアーのアップグレード契約を受注/アージュンMk.2のトライアル日程/JLTVが爆破試験をクリア/タレスがF88 Austeyrの改良を受注

ノースロップグラマンがコンボイ防護の新技術をデモンストレーション

http://www.spacewar.com/reports/Northrop_Grumman_Demonstrates_Advances_in_Ground_Vehicle_Protection_999.html

ノースロップグラマンはキャンプ・ロバーツにおいてSmart Integrated VehicleArea Network (SiVAN)技術のデモンストレーションを行った。SiVANを介して各車両のセンサ情報と、各乗員の状況認識、Tactical Operation Center (TOC)を結びつけることで、情報を共有し、TOCのオペレータが正確な状況を判断することができる。

端末はメッシュ状の無線ネットワークを形成し、足したり切り離すことが容易で、あらゆる天候下で機能する。基盤技術はオープンアーキテクチャなので、将来技術にも迅速に対応できることになっている。

デモンストレーションでは典型的な状況の一つとして、前線基地(FOB)を離れる際の車列をシミュレートしたとのこと。

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英国LMが英陸軍ウォリアーのアップグレード契約を受注

http://www.spacewar.com/reports/UK_Defence_Selects_Lockheed_Martin_UK_for_Contract_to_Upgrade_Warrior_Vehicles_999.html

英国LMはWarrior Capability Sustainment Programme (WCSP)の契約を英MoDより受注した。普通に書くとMLUというやつだ。
金額は、10億ポンドのうち6億4200万ポンド。WCSPによりウォリアーの運用期間は2040年代まで延長される。雇用は600人ほど。

英国LMではサプライヤー企業をまとめてWarrior Tranceformation Team (WTT)と呼ぶ。これにはラインメタルとかキャタピラーUKとかCTAとかが入る。
WCSPは、搭載兵器ではCT40ウェポンシステム(40mmテレスコのCTWS)の搭載が中心。その他、オープンアーキテクチャの車載エレクトロニクスや装甲防御の改良など。

http://www.defenseindustrydaily.com/WCSP-Britains-Warriors-to-Undergo-Mid-Life-Upgrade-05967/

によるとWCSPは、

WFLIP (Warrior Fightability Lethality Improvement Programme) : 砲塔とセンサ、火力向上
WMPS (Warrior Modular Protection System) : モジュラー装甲システム
WEEA (Warrior Enhanced Electronic Architecture) : 車載エレクトロニクスの全面的な刷新
ABSV (Armoured Battlefield Support Vehicle) : 装甲回収車型の開発

といった4つの要素から成る。
BAEシステムズ案が今年2月に却下となり、残ったLM案が通った格好。

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アージュンMk.2のトライアル日程

http://www.spacewar.com/reports/Indias_upgraded_Arjun_tank_set_for_trials_999.html

DRDOは、今年12月か来年1月に次のトライアルを開始すると発表している。前回のトライアルまでに、改善に伴う試験項目89のうち、56まで完了しているとのこと。今のところ、最終トライアルは来年6月の計画。
Trust of Indiaの報道では、射距離5~6マイルからのLAHATの実射も予定されてるという。本国イスラエルのメルカバでは1992年から運用されてるが、120mmライフル砲では実績が無い。

トライアルが全て通って合格となれば、2014年からT-55に代わって部隊配備が開始されることになる。

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JLTVが爆破試験をクリア

http://www.spacewar.com/reports/LockMart_JLTV_Meets_Mine_Resistant_Vehicle_Protection_Levels_at_40_Percent_Less_Weight_999.html

LMが開発中のJLTVはHMMMVの後継候補の一つ。また派生車種としてCombat Tactical Vehicle、Combat Support Vehicleなどとファミリーを形成することになってる。
爆破試験は公的なもので、IED保護基準として定められているもの。JLTVのEMD車輛で実施された。LMの発表では、IED保護車両の基準を満たす、同等の現用全地形車両に対して、40%軽量であるとのこと。
軽量であるため、CH-47やCH-53に搭載可能で、機動性も確保できる。

TDフェーズにおいて、LM社内では20回以上の爆破試験、200回以上の実弾試験を行っているそうだ。

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タレスがF88 Austeyrの改良を受注

http://www.spacewar.com/reports/Thales_to_upgrade_Australias_Steyr_rifles_999.html

いわゆるステアーAUGの改良という話。F88として制式化されたオーストラリア向けの製造は、ライセンスを得た現地のAustralian Defense Industriesが担当しており、これが現在はタレス・オーストラリア傘下になってるそうだ。工場はニューサウスウェールズ州のリスゴーにある。
オーストラリアが1985年に正式採用した後、ニュージーランドも正式採用して、ここで製造したのを輸入している(1988年から最初の5000丁はオーストリアから輸入)。

2011年8月の時点でSteyrを使ってる国はアルゼンチン、ボリビア、エクアドル、アイルランド、ルクセンブルク、サウジアラビア、チュニジア、パキスタンなど。米国税関取締当局でも使ってる。

タレス・オーストラリアの計画では、軽量化してバランスを向上し、NATOスタンダードのピカティニーレイルを介して各種のサイトやセンサを取り付けられるようにする。(本家のバリエーションだと、Steyr A3系などがレイルマウント有りになっている)
グレネードのアタッチメント付くとか書いてるし、結構違う形になるのかもしれない。

ハイブリッド飛行船ソーラー・シップ/Rotundus GroundBot/C919、MS-21の挑戦

ハイブリッド飛行船ソーラー・シップ

http://www.gizmag.com/solar-ship-hybrid-airship/20263/

ソーラー・シップという名称は企業名そのものでもある。カナダの企業。
名前から想像できるように、太陽電池を一面に貼り付けたハイブリッド飛行船。ただし形状は全翼デルタそのもののように平たい。横倒しのハート形風船にも近いが、断面形状は翼形になっており、前進すると揚力を発生して浮く。
下面にはスタビレータが2枚、後縁には動翼が付いてる。動力装置は太陽電池とバッテリと電動モーターでプロペラを回す。

全体としては、一般的なヘリウム飛行船というより、ヘリウムで機体の荷重を持たせる航空機に近い。つまり、ある程度は離着陸距離が必要になり、滞空時間も犠牲になるが、高速で飛行でき、頑丈に作れて、地上では航空機に準じた取り扱いが可能になる利点がある。
ヘリウムの浮力が少ない分を空気力学的な揚力で補えば、ペイロードと航続距離は確保できるという考え方みたい。

同社は既に全長10mのプロトタイプを製作し、実際に飛行させた。
実用型としてはCaracal、Chui、Nanuqという大きさの異なる3種類のコンセプト機を設計中。輸送やISRミッションが十分に可能なサイズとなっている。ただし滞空時間は日のオーダーじゃない感じなので、長くて普通のMALE-UAV程度かも。
ペイロードは750kg/2500kg/30ton、最大速度は120km/h/100km/h/120km/h、航続距離は2500km/5000km/6000km、離着陸距離はCaracalとChuiが無荷重で50m、積載状態で100m。Nanuqは同100m、200m。

最大でペイロード30tonを6000km、燃料代不要、というのはインパクトがあるが、飛行船の係留設備以上の難物になりかねないサイズだから、やっぱりちょっと厳しいかもしれない。

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Rotundus GroundBot

http://www.gizmag.com/rotundus-groundbot/20259/

球形の自走式カメラというかUGVというかゼロイドのご先祖様みたいな。

Rotundusはスウェーデンの企業で、IRや360度カメラ、マイク、スピーカー、更には放射線量計や火炎、煙、微生物、爆発物探知用の各種センサを搭載でき、外装は密閉構造で、陸地でも雪上でも、さらに水に浮くから水上もいける。

カメラのサイズから想像できるが、直径は60cmと大きめ。サッカーボールの3倍ぐらい。まさにゼロイド。重量25kg。泥沼とか雪原は無理ぽい。埋まる。
航法装置としてはGPS内蔵で、移動速度は最大10km/h、稼働時間はミッションプロファイルによるが8~16時間とのこと。充電は3~4時間。

空港、鉄道、発電所、国境警備からイベント警備までに適する。

あと、人手不足の秘密基地のセキュリティにも最適だと思う。
動画はオレンジ警報みたいだな。

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C919、MS-21の挑戦

http://www.flightglobal.com/news/articles/china-russia-make-inroads-with-narrowbodies-363440/

C919は中国AVIC、MS-21はロシアのイルクート航空機製造と、いずれもバックに国が付いてボーイングとエアバスの牙城に挑戦しようとしている。
2機種とも2014年の初飛行を目指しており、国内を中心に受注数を増やしてロンチにこぎつけた。

C919の方は、パリショーにおいて、大手LCCのライアンエアが200機発注するとかしないとかで話題になったが、同社はボンバルディアとも協力しており、まだ流動的。ただし2012年前半で737の納入が終わるので、次の手を打つタイミングになっているのだけは確か。新型機の納入は2017年以降ということになっている。
1号機のスチールカットは今年12月を予定。2016年に中国で就航し、FAAとEASAの型式証明を取得する計画もある。
またロンチエンジンのLeap-X1Cのほか、AVIC民間航空エンジン部門とMTUの共同開発でCJ-1000Aというエンジンを開発中とのこと。2020年実用化予定。
AVICはARJ21の遅延に直面しているが、これがC919開発にどう影響するかは定かでない。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0922&f=national_0922_169.shtml

一方、MS-21はイリューシンファイナンスの135機など200機の受注を集めた。2012年末までに最終設計段階に達し、2014年初飛行、2016年型式証明取得、2017年就航を目指す。
基本型MS-21の派生型に続いて、ショートボディの-200と-300を設計、その後大型化した-400の設計に進む。最大で各型合計1200機を製造する計画。
またMS-21では高い国産化率を達成するという目標があり、2025年にグローバルでの売上10%とともに国産化率70%を目指し、国内産業界のパートナーシップ契約が結ばれてる。スーパージェットやTu-204SMなどとも住み分けるようにする。

これらが海外輸出されるときに大きな壁となって立ちはだかるのが、A320neoとB.737MAXということになるわけで、両者ともあまりでかいことは言ってない。イルクートの方はMAKSで、このクラスの市場規模は非常に大きいから、もう一社ぐらい入る余地ができるんじゃないか、みたいな見解を示している。

有人型X-37C/SpaceXがドラゴン宇宙機のミッションアボートシステムの事前設計確認を完了

有人型X-37C

http://www.gizmag.com/x37b-manned-spaceplane/20175/

10月10日、ボーイングとUSAFが行ったAIAAの講演で明らかにされたもの。
C型はX-37B OTVのエアフレームを大型化してペイロードを増やす。かなり大雑把に言って、衛星打ち上げ以外の軍事用途でのスペースシャトルの代替になることが示唆されている。

軍用小型宇宙機という構想は、X-20ダイナソアまで遡れる。アトラスVの先端部に剥き出しで搭載されてる想像図もX-20を連想させるが、ペイロードが大きく、軌道上での活動期間もはるかに長い。ペイロードベイの中身を換装することで、人員輸送から各種の軌道上のミッションまで対応可能な機体となるはずだ。無人であれば、軌道上に最大270日間オンステーション可能。ちょっとした衛星よりも長く運用できることになる。

X-37Bは当初より最大gが1.5と小さく設定されており、精密機器を積んだり、人員の搭乗にも適する設計。安全率に関しては無人と有人では9の数が一つ違うので、そこは配慮されることになるだろう。下段のアトラスVは有人打ち上げの条件をクリアできたはず。
人員輸送の場合は燃料タンクを与圧区画に変更し、6名が搭乗可能とされる。

軌道爆撃とか色々言われてるが、政治的にめんどくさすぎるしコストもかかるので、まずやらないと思う。スクラムジェットが全部見込みなしとなった場合のバックアップ程度とか想像してるのだがどうなのだろうか。

同じくアトラスVを使う有人宇宙機としては、シエラネバダコーポレーション(SNC)のドリームチェイサー計画がある。こちらは来年滑空試験を行うようだ。

http://www.gizmag.com/dream-chaser-space-plane-drop-tests/20136/

SNCはヴァージンギャラクティックと協力しており、エンジンにはSpaceShipTwoのハイブリッドロケットと同じものが使われるそうだ。
ヴァージン側としては、弾道飛行の次のソリューションという位置付けにしている。7人乗り、想定される再使用回数は50~100回、目標とする一人当たりの打ち上げコストは500万ドル。2014年にISSとドッキング予定。

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SpaceXがドラゴン宇宙機のミッションアボートシステムの事前設計確認を完了

http://www.space-travel.com/reports/SpaceX_Completes_Key_Milestone_to_Fly_Astronauts_to_International_Space_Station_999.html

打ち上げ失敗時に備えるミッションアボートシステムの設計は、CCDevの中でも重要なマイルストンとして位置づけられており、今度のが4つめの重要マイルストンに該当するそうだ。
このシステムは従来のアポロまでで採用されたような、塔状のユニットをてっぺんにくっつけるといったものではなくて、カプセルの側面に引き込み式で組み込まれるようだ。途中で投棄する必要がないため、打ち上げ直後から軌道上までのあらゆる段階で機能する上、帰還後も再使用できるという、非常に革新的なものとなる予定。

ドラゴンの能力は最大7人を同時にISSへ送り届けるというもので、1座席あたり2000万ドル。ソユーズの1座席あたり6700万ドルよりも遥かに安いとされる。