カナダ空軍の近代化プロジェクト
http://www.spacedaily.com/reports/Canada_upgrades_air_defense_radars_999.html
総額8000万ドルのうち、金額的にはF-35×65機の導入が最大の目玉で、移動式戦術レーダーシステム2セットが含まれる。これはハイチの時のような、災害時の展開でも運用する事を想定した装備。
タレスのカナダ現地法人との契約で、製造から納入まで全てカナダで行うため、雇用機会の創出も多少でき、全額がカナダの経済に流れる。
F-35の導入について、野党は反対の構えを見せている。カナダの財政も決して良好ではないから、こうした主張も一定の説得力はあるはず。
*
LRASMのフェーズ2契約をLMが受注
LRASMはLong Range ASMの略で、AGM-84ハープーンの後継と考えて概ね間違いない。海軍とDARPAが発注。
基本的な要求事項としてステルス性が求められており、フェーズ1でLMが2案の設計を行っている。次の段階がフェーズ2で、機体の製作と実射デモンストレーションの実施まで進む。センサについてはBAEシステムズも関与。
これらの試作は航空機搭載型のLRASM-Aと艦載型のLRASM-Bから始まるが、どちらの設計も両方に用いられるようになっている。前者は2発分のデモンストレーションまでの契約で6030万ドル、後者はVLSからの4発のデモンストレーションまでで1億5770万ドル。
LRASM-Aは、要求仕様と同じくステルス性を有するJASSM-ERのエアフレームを流用、センサとその他のサブシステムに変更があるが、亜音速巡航ミサイルという基本的なところは同一。
LRASM-Bは、ラムジェット推進の超音速巡航ミサイル、ラムジェットとセンサ一式が新規で優先的に開発され、ロバスト性とステルスおよび超音速飛行性能のバランスを取るようにしている。
どう考えても-Aの方が安く作れそうだが、安価でステルス性が高いのと、高価で速いのと、総合的に見てどっちが優れているかも調べたいということのようだ。-Bの想像図らしきものが載っているが、先端部にインテイクとショックコーンがあり、ヤホント/オニクス/ブラモス系のと似た感じに。
米国においては、超音速巡航ミサイルの技術はICBM以前に途絶えたはずで、ロシア製の現物を入手して研究したりとかもやってそうではあるな。
*
米海軍研究所のFEL開発
http://www.spacedaily.com/reports/ONR_Achieves_Milestone_In_Free_Electron_Laser_Program_999.html
自由電子レーザと言うからには自由電子を作り出さないといかんわけで、12月20日の試験では、高エネルギー状態の自由電子を生成するインジェクタを動かし、良好な結果を得たという。これは予定よりも9ヶ月早いそうだ。ただし艦載試験は2018年ということになっているから、まだまだ先。
15kWの技術実証装置からかなり時間が経ってるが、FY2010には、目標とするMW級レーザの基礎研究と原型まで進んだ。
*
MQ-9リーパーの新型センサが性能不足との判定
http://www.spacedaily.com/reports/New_US_drone_spy_cameras_fail_Air_Force_test_study_999.html
問題になったのはGorgon Stareと言う名称の光学監視システムで、リアルタイムで監視対象の車輌や個人を追跡しつつ、都市全体の映像を送れるように設計されているはずだった。
監視可能な範囲は3マイル(四方?)、9個のカメラを積んで、動く物全てを捉える。現在の機載センサが監視可能な範囲はごく限定的で、複数目標の追尾も困難であることを考えれば、相当に野心的なハードウェアの筈だった。ここまでの開発期間は2年、4億ドルが費やされた。
しかし、エグリンAFBで10月から行われたテストでは、日中も夜間も、人間や、より大きい目標を追跡するのも困難との結果が出る。全然ダメって事だな。
これは1月にリークされた報告書の草稿メモから明らかになったもの。本来は12月30日に報告されることになっていたものの草稿がリークされたようだ。
これによれば、映像の品質がしばしば低かったり遅延が生じ、複数カメラの映像を合成するのもままならなかった。その上、座標の生成が不正確になるという技術的な問題が明らかになる。これは誤射・誤爆に繋がる非常にまずい不具合。