アルジェリア向けMiG-29受領拒否にまつわる刑事裁判が終了
http://en.rian.ru/military_news/20121204/177916582.html
アルジェリア向けMiG-29×34機の輸出契約が結ばれたのは2006年で、翌年になり15機が輸出された時点で、同国から仕様を満たしていないとして受領拒否され、正式キャンセル、Su-30へ振り替え導入と続いた。
意図的に仕様を満たさない低品質な製品を引き渡したのであれば、それは詐欺罪にあたるわけであるが、この12月4日、契約時点から6年が経過したことで、時効成立ということになったらしい。
この裁判で捜査の対象になったのは当時の副社長Sergei Tsivilev氏とその補佐役だったOleg Fadeyev氏の2名。であるが、この件にはポーランド向けのパーツにも波及しており、問題のコンポーネントを納めたAviaremsnabという企業の社長と副社長が既に有罪判決を受けている。
http://en.rian.ru/military_news/20090918/156171853.html
2005~2006年の契約で前払いで170万ドル受け取ったのに、新造ではなく1982年から1996年にかけて製造された部品を納めたとある。出荷や検査の証明を偽造したようなので、これはわかりやすすぎる不正だ。
こういうケースでは、元請の方の責任はやっぱり微妙な感じになるのだろう。政治的決着という奴だな。
訴えられたMiGの元副社長は辞めてるみたいだけど。
アルジェリアの受領拒否は当時もかなり話題になったが、ロシア国内ではミサイル作ってる工場がROSBORONEXPORTを訴えたりと、相当揉めている。
http://en.rian.ru/russia/20090914/156118433.html
こっちはどうなったのかよくわからん。
陰謀説まで飛び出したが、ダメだったという事実はかわらん模様。
http://en.rian.ru/analysis/20080530/108905942.html
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インド向けMiG-29UPGが引き渡される
http://www.flightglobal.com/news/articles/russia-delivers-indias-first-upgraded-mig-29s-380053/
http://en.rian.ru/military_news/20121211/178064533.html
インド空軍のMiG-29は、69機が近代化改修されることになっている(金額にして9億ドル程度)が、12月10日、RAC MiGは最初の3機をインドへ引き渡したと発表している。機体はAn-124に搭載されて運ばれたとのこと。
MiG-29UPGの概要については以前から公表されている通りであるが、レーダーとアビオニクスの換装、新型兵装のインテグレーションと40年までの寿命延長となっている。
MiGでの改修は6機の予定で、残り63機はHALにて改修を実施する計画。これらのエンジン、RD-33シリーズ3×120基は、2007年にロシア国内で製造許可が出ている。
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ロシア空軍がSu-30SMを正式に受領する
12月5日、ロシア国防省はアフトゥビンスク空軍基地にて受入検査を行っていたSu-30SM×2機を、正式に受領したと発表。
11月22日に同基地に到着したこれらの機体は、2012年3月に発注した同型機30機のうち最初の2機にあたり、2015年までに全機が引き渡される予定。
9月21日初飛行だから、2ヶ月半ぐらい経過している。
機体には、赤い星以外のマーキングはほとんど見当たらない。
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PAK-FA/T-50の4号機が初飛行する
http://en.rian.ru/military_news/20121212/178100717.html
12月12日、スホーイは開発中のPAK-FA、T-50の4号機が、コムソモルスク・ナ・アモーレのガガーリン記念工場にて40分間の初飛行を実施したと発表している。なお、1号機が初飛行したのは2010年1月29日だった。当初2007年の予定だったと言われているので、計画は遅れ気味で進行している。遅延の大きな理由の一つに、エンジン開発の難航があった。
現在の計画では2015年からロシア空軍の評価用の機材として10機、続いて最初のバッチの60機が発注見込み。最初の10機がLRIPに相当するのか、試作原型の延長になるのかとか、位置付けはよくわからない。少なくともここまでの4機については、外見上の大きな変化はないように見える。
また記事中、ノボシビルスクの方(NAPO)ではSu-34の製造が進行中であり、近日中に10機をロシア空軍へ引き渡す予定と書いてある。
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ロシア空軍兵員(パイロット含む)の訓練不足について
http://en.rian.ru/military_news/20121207/177979621.html
ロシア国防相は、ロシア空軍のパイロットとその他の専門的な技術者について、訓練が不足していると述べた。その対策として訓練大系の改善と最適化を進めるとしている。
装備の更新は進み始めたが、人員の面では甚だ心許ない状況という話だが、これはロシアが直面している急激な高齢化にも関連している。作戦機数の減少もあるが、冷戦終結からこっちの20年で退役したパイロットは数千人というから話がでかい。
http://en.ria.ru/analysis/20121128/177792414.html
記事中のリンク先は、11月28日付の論評記事になってる。ジューコフスキーの空軍工学アカデミーで、ここ3年、1人の生徒も受け入れてない事や、史上初の宇宙飛行士公募でも300人しか応募がなかった事に触れられている。ここから選抜された人数は8人だった。
同様のリクルートを行ったNASAには、応募者6000人が集まったということからも、ロシア国内での不人気が半端でないことが判る。
長らく続いた賃金・待遇の問題は改善の方向に向かっているものの、宇宙飛行士に関して言えば、長期的なビジョンの欠如が不人気に繋がっているとの見方がある。軌道輸送系と有人宇宙計画では大きな実績を残しているものの、一般国民には何が成果なのかよくわかんないというのが大きいようだ。
以下、セルジュコフ前国防相の空軍の機構改革が失敗して毛嫌いされた話に続く。興味深いがやたらと長いので略。