アルジェリア向けMiG-29受領拒否にまつわる刑事裁判が終了/インド向けMiG-29UPGが引き渡される/ロシア空軍がSu-30SMを正式に受領する/PAK-FA/T-50の4号機が初飛行する/ロシア空軍兵員(パイロット含む)の訓練不足について

アルジェリア向けMiG-29受領拒否にまつわる刑事裁判が終了

http://en.rian.ru/military_news/20121204/177916582.html

アルジェリア向けMiG-29×34機の輸出契約が結ばれたのは2006年で、翌年になり15機が輸出された時点で、同国から仕様を満たしていないとして受領拒否され、正式キャンセル、Su-30へ振り替え導入と続いた。

意図的に仕様を満たさない低品質な製品を引き渡したのであれば、それは詐欺罪にあたるわけであるが、この12月4日、契約時点から6年が経過したことで、時効成立ということになったらしい。

この裁判で捜査の対象になったのは当時の副社長Sergei Tsivilev氏とその補佐役だったOleg Fadeyev氏の2名。であるが、この件にはポーランド向けのパーツにも波及しており、問題のコンポーネントを納めたAviaremsnabという企業の社長と副社長が既に有罪判決を受けている。

http://en.rian.ru/military_news/20090918/156171853.html

2005~2006年の契約で前払いで170万ドル受け取ったのに、新造ではなく1982年から1996年にかけて製造された部品を納めたとある。出荷や検査の証明を偽造したようなので、これはわかりやすすぎる不正だ。

こういうケースでは、元請の方の責任はやっぱり微妙な感じになるのだろう。政治的決着という奴だな。

訴えられたMiGの元副社長は辞めてるみたいだけど。

アルジェリアの受領拒否は当時もかなり話題になったが、ロシア国内ではミサイル作ってる工場がROSBORONEXPORTを訴えたりと、相当揉めている。

http://en.rian.ru/russia/20090914/156118433.html

こっちはどうなったのかよくわからん。

陰謀説まで飛び出したが、ダメだったという事実はかわらん模様。

http://en.rian.ru/analysis/20080530/108905942.html

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インド向けMiG-29UPGが引き渡される

http://www.flightglobal.com/news/articles/russia-delivers-indias-first-upgraded-mig-29s-380053/

http://en.rian.ru/military_news/20121211/178064533.html

インド空軍のMiG-29は、69機が近代化改修されることになっている(金額にして9億ドル程度)が、12月10日、RAC MiGは最初の3機をインドへ引き渡したと発表している。機体はAn-124に搭載されて運ばれたとのこと。

MiG-29UPGの概要については以前から公表されている通りであるが、レーダーとアビオニクスの換装、新型兵装のインテグレーションと40年までの寿命延長となっている。

MiGでの改修は6機の予定で、残り63機はHALにて改修を実施する計画。これらのエンジン、RD-33シリーズ3×120基は、2007年にロシア国内で製造許可が出ている。

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ロシア空軍がSu-30SMを正式に受領する

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-russian-air-force-receives-first-su-30sm-fighters-380051/

12月5日、ロシア国防省はアフトゥビンスク空軍基地にて受入検査を行っていたSu-30SM×2機を、正式に受領したと発表。

11月22日に同基地に到着したこれらの機体は、2012年3月に発注した同型機30機のうち最初の2機にあたり、2015年までに全機が引き渡される予定。

9月21日初飛行だから、2ヶ月半ぐらい経過している。

機体には、赤い星以外のマーキングはほとんど見当たらない。

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PAK-FA/T-50の4号機が初飛行する

http://en.rian.ru/military_news/20121212/178100717.html

12月12日、スホーイは開発中のPAK-FA、T-50の4号機が、コムソモルスク・ナ・アモーレのガガーリン記念工場にて40分間の初飛行を実施したと発表している。なお、1号機が初飛行したのは2010年1月29日だった。当初2007年の予定だったと言われているので、計画は遅れ気味で進行している。遅延の大きな理由の一つに、エンジン開発の難航があった。

現在の計画では2015年からロシア空軍の評価用の機材として10機、続いて最初のバッチの60機が発注見込み。最初の10機がLRIPに相当するのか、試作原型の延長になるのかとか、位置付けはよくわからない。少なくともここまでの4機については、外見上の大きな変化はないように見える。

また記事中、ノボシビルスクの方(NAPO)ではSu-34の製造が進行中であり、近日中に10機をロシア空軍へ引き渡す予定と書いてある。

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ロシア空軍兵員(パイロット含む)の訓練不足について

http://en.rian.ru/military_news/20121207/177979621.html

ロシア国防相は、ロシア空軍のパイロットとその他の専門的な技術者について、訓練が不足していると述べた。その対策として訓練大系の改善と最適化を進めるとしている。

装備の更新は進み始めたが、人員の面では甚だ心許ない状況という話だが、これはロシアが直面している急激な高齢化にも関連している。作戦機数の減少もあるが、冷戦終結からこっちの20年で退役したパイロットは数千人というから話がでかい。

http://en.ria.ru/analysis/20121128/177792414.html

記事中のリンク先は、11月28日付の論評記事になってる。ジューコフスキーの空軍工学アカデミーで、ここ3年、1人の生徒も受け入れてない事や、史上初の宇宙飛行士公募でも300人しか応募がなかった事に触れられている。ここから選抜された人数は8人だった。
同様のリクルートを行ったNASAには、応募者6000人が集まったということからも、ロシア国内での不人気が半端でないことが判る。

長らく続いた賃金・待遇の問題は改善の方向に向かっているものの、宇宙飛行士に関して言えば、長期的なビジョンの欠如が不人気に繋がっているとの見方がある。軌道輸送系と有人宇宙計画では大きな実績を残しているものの、一般国民には何が成果なのかよくわかんないというのが大きいようだ。

以下、セルジュコフ前国防相の空軍の機構改革が失敗して毛嫌いされた話に続く。興味深いがやたらと長いので略。

最初のSu-30SMがロシア空軍に引き渡される/ロシアは欧州MDに対抗して新型ICBMを配備する計画/ロシアは最大射程200km級の新型ロケット砲システムを開発中/J-15の着艦の様子など

最初のSu-30SMがロシア空軍に引き渡される

http://en.rian.ru/military_news/20121122/177669371.html

11月22日、イルクートはSu-30SMの最初の2機をロシア空軍に引き渡したと発表。飛行試験は9月21日から始まったので、それから2ヶ月経っている。
Su-30SMは新型レーダーとTVCを備え、最新兵装がインテグレーションされており、Su-30系としては最終的な姿に至った観がある。その他の変更点は射出座席、通信/航法システムとIFFなど。
ハードウェア的にはSu-30MKIのアップデート版に近い。

2012年3月の契約では、2015年までに30機を納入する計画となっていた。

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ロシアは欧州MDに対抗して新型ICBMを配備する計画

http://en.rian.ru/military_news/20121121/177633695.html

11月21日、ロシア戦略ミサイル軍司令官は、米国が進めている欧州でのMDシステム配備に対抗して新型ICBMを2015年に配備すると発表した。このミサイルは10月にKapustin Yar試験場で実射試験が行われているとのこと。サイロ式か移動式かの判断がされていなかったとのことだが、TELを使った移動式になる見込み。射程3500マイル以上というのは条約で禁止された中距離核に該当しないICBMであることを示すだけで、特に参考にはならない。RS-29 Yarsの軽量型みたいな感じなのだろうか。50ton近い本体を載せるTELはかなりごつい代物になっているし。

欧州、ICBM、TELと来たらSS-20と中距離核兵器全廃条約を思い出す人もさすがにもういい年だと思うが(条約発効からでも30年近く経っている)、まあ何というか、やることは変わらないわけだ。

R-36M2後継の方は2018年以降という話が9月に出ているが、2022年だとかいろんな説があってまだ流動的っぽい。

http://en.rian.ru/military_news/20120903/175742805.html

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ロシアは最大射程200km級の新型ロケット砲システムを開発中

http://en.rian.ru/military_news/20121119/177581650.html

ロシア国防省のNikolai Donyushkin中佐は、最大射程200km級のロケット砲システムを開発していると発表。200km級となるとMLRSというかATACMSに相当するシステムと思われるが、ここまでくるとロケットというより戦術弾道ミサイルに近く、実際にATACMSの場合はディジグネーションがM39からMGM-140に変更された経緯もある。
が、本当に単なる長射程ロケットという線も無くはない。

ロシア軍の現用地対地ロケットは、122mmのBM-21 Grad、220mmのBM-27 Uragan、300mmのBM-30 Smelchが主力であり、それぞれ改良型のTornado-S(300mm)とTornado-G(122mm)、Uragan 1-M(220mm)が受入検査中という状況。この中では、2012年内にTornado-Gを30セット導入し、BM-21のGradを更新する予定となっている。
またTornado-Sの300mm(9M528?)は、誘導システムにGLONASSを用いることで、有効射程が120kmとされている。

システム名称としては9A52-4 Tornado。

http://www.military-today.com/artillery/9a52_4.htm

車体はようやく現代的なキャブオーバーになっているが、車体部分の近代化は諸外国の方がはるかに先行した(部品供給などの事情もあったと思われる)。ウィキペに何種か写真が付いてる。

http://en.wikipedia.org/wiki/BM-21

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珠海航空ショーの画像。数社の通信社の分をまとめてある。

http://www.en.rian.ru/photolents/20121114/177430590.html

ルノホート1号の図解

http://en.rian.ru/infographics/20121123/177606256.html

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・遼寧艦上のJ-15試験機

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-25/210262_2271789.htm

新華社通信が報じた際の映像みたい。しかしWS-10の信頼性とか(ロシアがSu-33より劣ると見た根拠の一つはエンジン)判らんことも多い。
どうでもいいのだが遼寧って簡体字で書いたら原型留めてないような。

・J-10BのRCS試験?

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-23/210237_2271401.htm

大小様々のアンテナが向けられている。試験の一部という感じの写真。

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「中国先端武器北展」というので3軍の各種装備模型とパネル展示が出ている。あと宇宙ステーション。
見た感じ現用か試験中のものが多く、国産空母とかは無し。

たぶん093型SSN。一応スクリューまで付いてる。この辺はあまり見たことない。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-10-29/209107_2254152.htm

V-22のエンジンがSSCに採用される/ロシア海軍はKa-62を採用する/MQ-8CにZPY-1を搭載する計画ほか

V-22のエンジンがSSCに採用される

http://www.flightglobal.com/news/articles/rolls-royce-osprey-engines-to-go-directly-to-hovercraft-application-377977/

http://www.rolls-royce.com/marine/news/2012/121022_ship_to_shore.jsp

SSC、Ship to Shore Connectorは、LCACの後継となるUSNの次世代上陸舟艇(ホバークラフト)で、テクストロンが主契約(チームにはL-3とアルコアが入る)となって開発中。

http://www.lowriskssc.com/newsevents.html

http://www.defenseindustrydaily.com/Ship-to-Shore-Connector-the-USNs-New-Hovercraft-07460/

最終的にはLCACの発達型になったため、見た目、特別に革新的というわけではないがそれはおいといて、2012年から本格的な開発がスタートした。

これに採用されるMT7は、RR(旧アリソン) AE1107をほぼそのまま流用したものだそうだ。AE1107はRR社内呼称で、V-22のエンジンそのものであり、T406として制式化されている。

従来から舶用ガスタービンは航空用を転用した製品が多く成功を収めてきた。代表例としては、古典的なGE CF6→LM2500から、最新のRRトレント800→MT30に至るまで存在するが、コア部分だけ共通という程度であったりして、100%そのまま転用という例は少ない。MT30(DDG-1000、LCSからQE2級まで採用された)の場合、80%がトレント800と共通。

MT7では、ブリードエアシステムや電力制御系、設置位置の関係でPTO軸を変更した程度で、吸気ハウジングから排気系に至る本体の設計は全く同じとのこと。必要なくなった航空用の補機類は省かれたという感じかな。T406開発において、艦上運用のための塩害対策などが、最初から施されたのも大きかったようだ。
プレスリリースでは、LCACより25%パワーアップして燃料消費率は11%改善すると書いてある。なお、1隻につき搭載されるエンジンは4基。

MT7とT406が基本的に同一のエンジンであるということは、LHDなどの艦上でV-22とSSCを同時に運用する場面でも都合が良い。予備部品も同じで済むし、人員の訓練も同様。

今回の選定によりRRは、2015年後半に最初のエンジンを納入することになっており、翌2016年から試験開始、2018年からLRIPと続く。
USNでは73隻のSSCを揃えることにしているので、順調に行けばRRは73隻分のエンジン、予備を含めると300基以上を供給することになる。
V-22の製造が早期に終了する可能性があることを考えると、その穴を埋めてお釣りが来る数ではあるだろう。開発と製造はRRのインディアナポリス工場にて行われることになっている。

コアを共有するAE2100(搭載機はC-130など)、AE3007(搭載機はERJ145、サイテーションX、RQ-4など)は、2011年末時点でそれぞれ1580基、3150基のベストセラーとなっている。

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ロシア海軍はKa-62を採用する

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-navy-to-buy-ka-62-maritime-helicopters-377667/

イズベスチヤ紙の報道によれば、ロシア海軍は小型艦艇の搭載機としてKa-62を選定、2014年の導入を目指し、年内に海軍型の仕様を確定するとのこと。カモフではこれより以前から計画を進めていた模様だが、カモフから提案したとかそういう経緯は伝えられていない。予備的な検討結果を踏まえて進んでいてもおかしくはない。

ロシアで艦載ヘリコプターと言えばKa-27が存在するが、同軸反転ローターということで、占有スペースは小さくとも全高は5mと大きめ。重量は12tonに達する。これは2500ton程度の、プロジェクト20380とその系列への搭載には適さないとの判断。
3000ton未満のフネで、Ka-27を搭載できるように格納庫を高く、大きくすると、トップヘビーとなって復原性と操舵性の問題が生じ、シーステート5以上では転覆の危険もあると結論付けられている。
Ka-62はKa-60を大型化した機体で、MTOWは6ton程度とされる。民間型がKa-62という話もあるが、ここではKa-62海軍型といった表現なので意味合いはやや微妙。大雑把にAS365/565より大きくて、AW139やS-76Cに近く、H-70よりは小さい。
2011年にチュルボメカのArdiden 3Gエンジンを積むことが決まったが、公式頁のエンジン型式はTV3-117 VMAになっている。性能的にはほぼ同等で、原型機や競合機種のエンジンよりも強力だ。FADEC化もされている。はず。

http://www.russianhelicopters.aero/en/helicopters/civil/ka-62.html

http://www.motorsich.com/eng/products/aircraft/turboshaft/tv3-117vma/

カモフによると、搭載機材についての詳細はまだはっきりしていない。音響分析装備、軽量魚雷やディッピングソナー等、ASW仕様を想定しているようだ。要求仕様が年内に固まれば先に進むだろう。
機体側の改修としては、主ローターブレードとテール部の折りたたみ構造が採用されることになっている。

またこれとは別に、Ka-27も艦載機として運用が続けられるが、現在、近代化改修型のKa-27Mが北海艦隊でトライアル中という。レーダーが強化され、360度全方位の索敵半径拡大、多数の水上/対空目標を同時に追尾可能とし、また耐用年数を10~15年延長する計画となっている。

http://en.rian.ru/mlitary_news/20121015/176638594.html

RIAノーボスチに載ってた。

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MQ-8CにZPY-1を搭載する計画

http://www.flightglobal.com/news/articles/ausa-northrop-pitches-starlite-for-mq-8c-377947/

ノースロップグラマンは、USN向けのMQ-8C ファイアスカウトCに、AN/ZPY-1 STARLite地上監視レーダーを搭載する計画を明らかにした。
ZPY-1の本体部分にあたるAESAは、重量20kgほど。アンテナの視界は110度で、ジンバル支持のマウントで360度回転する構造になっている。

http://www.es.northropgrumman.com/solutions/starlite/

http://www.youtube.com/user/northropgrummanmedia

SAR/GMTI/DMTIモードを有し、4.3nm(8km)の距離から歩行中の人間を捕捉できる。陸軍のMQ-1Cへ搭載されているのも同型だが、こちらは探知距離を拡張したタイプとなっている。MQ-8Cへ搭載する場合は、海上での運用を主とするので、そのための改設計が必要となる見込み。
ノースロップグラマンにとっては自社製品なので、改修もインテグレーション自体も大きな問題ではなさそうだが。

また海外への輸出が考えられているといい、複数のNATO加盟諸国が興味を示したとされる。

STARLiteに関してはこのほか2機種へのインテグレーションについても発表された。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ausa-northrop-grumman-integrates-starlite-radar-onto-two-additional-uavs-378007/

TigerShark UAVへのインテグレーションは始まったばかりで、2013年のデモンストレーションフライトを予定している。

http://www2.l-3com.com/uas/tech_uas/tigershark.htm

また、RQ-7にはインテグレーション済みとされる。いずれも公式の計画では確認できず、顧客も明らかにされていない。
しかし両機種を本格的に運用しているのはSOCOMなので、特殊戦に関連している可能性が高いようだ。あとNAVAIR。

http://www.navair.navy.mil/index.cfm?fuseaction=home.NAVAIRNewsStory&id=4610

なお米陸軍のMQ-1C向けの納入数は、87台だそうだ。

PAK-DAの進行状況とロシア空軍戦略爆撃機の将来

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-russians-next-generation-bomber-takes-shape-377251/

長文の上、話がかなり飛んでるので、恣意的にまとめる。

PAK-DAについては不明な点が多いものの、ロシアの国内報道では、これまでの経過についての情報が出ているらしい。
冷戦崩壊後の最悪の時期にあってさえ、ツポレフなどが将来型の航空機について様々な検討を続けていたことは、(ネットでも散見されるやや怪しげなコンセプト図や模型の数々からも)よく知られているが、以下は今のPAK-DAに直接繋がるところを時系列に沿ってまとめる。

ロシア空軍当局が、ツポレフに対して次世代長距離爆撃機に関する性能要件を示したのが、2007年。これに国防予算が割かれたのが2008年で、長期の防衛装備調達計画GPV-2015にも追加された(その後GPV-2020にも引き継がれる)。さらに翌年、2009年になると、両者の間で3年間の概念研究契約が結ばれる。これは機体の空気力学的な検討とシステムアーキテクチャに関する部分を含んでおり、本格的に動き出したのは2010年とされている。

つまりツポレフによる概念研究が今年まで続いていたことになり、その成果にあたる原設計が2012年8月に承認されたことで、概念研究段階は一応の完了を見たわけだ。
なお、ロシア空軍創設100周年記念式典で、PAK-DA開発が始まっている、という発言があったのも8月。
6月頃にロシア政府内でPAK-DAに懐疑的な見方を示した副首相もいたが、最終的にはプーチン大統領が、PAK-DA開発を含めたロシア空軍側の希望を一通り実現すると約束した事で、一応の決着を見ている。

今後の展開は、公式には2015年から2020年までにデモンストレータ、あるいは試作原型機一式を製作し、2020年から製造開始して、2022年に飛行試験、2025年部隊配備、となっている。ただしこれには業界筋でも懐疑的な見方があって、一連の開発を終えるまでには15~20年かかるとも言われているらしい。仮にそうなれば、配備時期は2030年代までずれ込むだろう。

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なお、記念式典の際にはPAK-DA以外の次世代軍用機(第6世代と呼んでいる)として、「戦略的UAV」にも触れられているという。こちらはPAK-DA以上に情報が無いが、ロシア的には長時間滞空型のミサイルキャリアみたいのが好きそうだな。イメージとしてはRQ-4が武装したみたいな。根拠はない。

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さて、PAK-DAについての技術的な情報が極めて乏しい、というのは、ロシア国内でも同様みたいで、記事ではヒントになりそうな事柄を幾つか提示するに留まる。この辺は米国がNext Generation Bomberキャンセル後の情報を一切公開してないのと同じだろう。

一つはTsAGIのSSBJ研究に伴う一連の風洞実験で、これはMach 5程度の極超音速で飛行する機体を想定、低騒音化とソニックブーム低減が大きなテーマだった。軍用機向けの応用も十分考えられる内容ではある。

もう一つは、公式には直接の関連がないものの搭載兵装。PAK-DAでは搭載兵装も新規開発するとされているが、それには次世代(第2世代)超音速巡航ミサイルが含まれる可能性もある。
ブラモス2などとして構想されているものは、Mach 10から12という極超音速飛行が可能な推進システムを有する。この速度は、第1世代のヤホント/オニキス/ブラモスの3~4倍にあたり、抵抗が増大することから、燃料消費率も大きくなることが予想される。結果として同規模のエアフレームなら、射程距離はおそらく縮む。
そこから、高いステルス性を利して目標に接近する、という運用も考えられるのでは?という推測。
仮に秒速4km/sとかになると弾道ミサイルの終末速度以上で、迎撃困難なのは確かだが、実現性はどうなのかなあとは思うが本題ではないので止めておく。

逆に不安要素とも言えるのが、エンジン技術。PAK-FA/T-50の原型機のエンジン、117SがMAKS2011でフレームアウトをやらかしたのも記憶に新しいが、エンジンの世代の壁を超えるのは、ある程度、他所から持ち込み可能なアビオニクスなどとは状況が完全に異なる。
別の段落の話題から引っ張ると、Tu-160でもそのエンジン、クズネツォフNK321が稼働率低下(しばしば50~60%まで低下したという)の主因となった経緯がある。寿命も短いとされ、対策としてNK32Mという改良型が開発されているものの、業界筋では2016年までは無理との情報も。
PAK-FAのエンジンとしては、117Sの先にアーティクル129というのが計画されてるとかで、このエンジンの技術がPAK-DAに持ち込まれるかもしれない。と書いてあるんだけど129とか他で聞いたことないなぁ…

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次に運用に関してまとめると、こちらはある程度、答えが見えてきている。核攻撃だけでなく、通常兵器のPGMなどを搭載し、重防御された目標に対する縦深攻撃にも投入可能とする、というものだ。こちらを主として、核戦力は現用機の寿命延長で維持するというシナリオも現実味を帯びつつある(現用爆撃機の近代化改修については後述)。
機体だけでなく兵装を新規開発するという方針と合わせ、従来の作戦機とは異なる種類の抑止力を備えるといった言葉も出てきている。

正直なところ、ここまでの情報を総合すると物凄いコストがかかりそうな事になっているのだが、そこはロシア人の考えることだしなあ。次に具体的な情報が出てくるのは3年は先だろうか。

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経済的な側面についてどう考えられているのかも、詳細は不明であるが、原油価格が高止まりなら大丈夫じゃろみたいな投げやりな意見が書かれてる。
一方、核戦力として評価するなら、SLBMやICBMと比較されるのは避けられない。こっち方面で逆転するのはかなり難しいと思うけど、空軍の主張通りの超兵器なら…いやでもコストが…

PAK-FAと決定的に違うのは、輸出がほとんど見込めなさそうなことだ。これまで、この種の機体は、少数のTu-22MやTu-95/142が輸出されただけしか実績がない。おそらく、ロシア一国で全て負担することになる。

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そして最後に現用爆撃機群の今後についてだが、Tu-95MS、Tu-160、Tu-22M3の3機種ともに近代化改修を施し、あと20~30年の運用継続が計画されている模様。
2012年現在、核戦力としてカウントされているのは66機で、11機がTu-160、55機がTu-95MS。弾頭数は200。大量の亜音速巡航ミサイルを搭載して任務にあたる。

幸か不幸か、冷戦終結以降の長距離航空部隊は、核パトロールが停止され、稼働率の極端な低下に見舞われるなどしたため、全体的に飛行時間が短くなった。現在でもTu-22M3で年間300時間、Tu-95MSが同200時間、Tu-160が同100時間というデータがでており、エアフレームの寿命自体はそこそこ残っているらしい。

機種ごとに言うとTu-160はアビオニクスの改修とともに、亜音速巡航ミサイル(Kh-55とKh-101)用のロータリー式ランチャー搭載改修を実施しており、2016年から第2段階の改修を10機に施すことになっている。こちらには先に触れたリエンジンも含んでそうだ。

Tu-95MSは一通りの近代化改修を終えていて、次の段階としては、こちらもリエンジンが検討されている模様。元々当局は、現用エンジンであるNK-12のラインを再開させようとしていたものの、問題が発生したので、代替エンジンへの換装案が出てきたらしい。
代替エンジンとしてはプログレスD-27が考えられている。An-70にも搭載された最新のターボプロップ/プロップファンエンジンであり、軽量だが出力はほぼ同等。代替とはいうものの、他にはちょっと見あたらないか。
米国ではB-52のリエンジン案が頓挫したが、ロシアでは核爆撃機を維持する方針が決まっているようなので、おそらくは実施するだろう。Tu-160よりも重要な存在になっているし。

Tu-22M3については詳細が出ていないが、30機の改修を8年かけて実施するとのことで、更に30機の追加改修も検討中という。
Tu-22Mは、チェチェンやアフガニスタンで戦術的な運用が行われてきたが、公式に初めて戦闘損失とされるのは、2008年8月の北オセチアでの被撃墜らしい。

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記事内容的にはこんなもんであるが、読んでいてすっきりしない点も幾つかある。結局は縦割りっぽくツポレフ任せなのかというのが一番大きな疑問だ。
まあロシア人の考えることですし以下略としかならんのだけど。

ブラモスの誘導システムはGRONASSに対応する/IAIがインド向けUAVの近代化改修を受注/インドとロシアがMTA開発で合意

ブラモスの誘導システムはGRONASSに対応する

http://www.spacedaily.com/reports/Indian_BrahMos_using_Russian_GPS_system_999.html

イズベスチヤ紙が報じたところでは、ブラモスの長距離誘導システムはGRONASSに対応しているとのこと。ロシアの装備としては、Kh-555とKh-101(2013年配備予定)において採用されているとの情報がある。
匿名の関係者によると、GRONASSを利用することで、その射程距離は300マイル以上に達するという。
核搭載可能という話は前から出ていたっけか。下手な弾道ミサイルより対処しにくいような気がするが。

また、タイムズ・オブ・インディア紙の記事によると、10月8日の週にTalwar級第2バッチの1番艦、INS Teg(カリーニングラードのYantar造船所で竣工、4月27日引渡し)からブラモスの試射が行われ、成功している。この試射では、高機動飛行して目標に命中したと伝えられている。

海軍向けは2005年から配備されており、現在は空軍向けの空中発射型の調達が進行中。8月時点では金額11億6000万ドル、200発以上という装備計画が明らかにされている。これらは45機のSu-30MKIが搭載可能。

これとは別に、Su-30MKIのうち約40機を近代化改修する計画がある。金額は37億7000万ドルで、内容はHUD、Sigma-95航法システム(GPSと慣性航法装置の複合)、レーダー、LITENINGターゲティングポッドのインテグレーションなど。11月1日予定のプーチン大統領訪印時に調印となる見通し。
両国が合意すれば、2014年から2015年にかけて引渡しというスケジュールになる。

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IAIがインド向けUAVの近代化改修を受注

http://www.spacedaily.com/reports/Israels_IAI_wins_958M_India_drone_deal_999.html

IAIは、インド向けに提案していたヘロン及びサーチャーUAVの近代化改修案が採用され、総額9億5800万ドルの契約を締結したと発表した。
UAVはイスラエル防衛産業の主要な輸出品であるのは周知の事実であるが、グローブス・ビジネス・デイリー紙(が引用したインド国内報道)によれば、1990年代以来、インドはIAIから合計150機程度のUAVを購入しているというから、相当の数になる。改修の大きなポイントは衛星通信を経由した管制・操作への対応とのことで、機体の能力の範囲でより長距離のミッションが可能となる。
現在、陸軍の運用するサーチャーUAVは約100機で、西、東、北の国境線(要するに海以外全部)に沿って配備されている。空軍はサーチャーII及びヘロンUAVを運用している。

8月の米議会の調査では、イスラエルの兵器輸出額は2004年から2011年までに129億ドルとのことで、世界で8番目(米露仏英独中伊の次)とされている。世界的な軍縮の流れに影響を受けはしたものの、特にIAIに関してはインド向けの取引が支える形となった。
主なものだけでも、2004年、Phalcon AWACS×3機(11億ドル)、2006年、IAIとDRDOがミサイル共同開発(4億8000万ドル)、2009年、バラク8艦載SAMシステムの調達と共同でのインテグレーション(11億ドル)、およびSpider SAMシステム×18セット(10億ドル)といったものがある。2007年には、インド向けの兵器供給に関してフランスを上回り、ロシアに次ぐ2番目ともなった。
この他にもインドはアロー2 ABMシステムについても興味を示しているというが、これは共同開発した米国が技術移転を抑えているみたいだ。

イスラエルの防衛産業界は、アジア向けの売り込みを強化しており、2010年は大手3社の従業員数30600人、金額ベースで96億ドルの売り上げがあった。
しかし今年3月に、2009年の贈収賄スキャンダルが発覚したことで、当事者のIMIは10年間のブラックリスト入り、その他のイスラエル企業に対しても、締め付けが厳しくなったと伝えられている。

最後にイスラエル防衛産業について、Oxford Analyticaの分析が出ている。
こんにちイスラエルの防衛産業を支える製品群の開発は、1973年のヨム・キプル戦争と1970年代後半から1980年代にかけてのハイジャック対策における経験から始まった。そこにはUAV、空港警備ネットワークといったものが含まれ、イスラエル軍の装備とされたが、これらは長らく輸出先のいない状態が続いた。イスラエルにとっては一度通った道であるというわけだ。

とは言え、無人兵器システムの普及については、搭載機器の小型高性能化もでかいと思う。

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インドとロシアがMTA開発で合意

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-russia-launch-delayed-medium-transport-aircraft-377608/

10月12日、ニューデリーにおいてインドとロシアのJVによる中型輸送機MTA(=Il-214)について、最終合意に至ったと発表。このためのJVはMTALと呼ばれ、インドのHALと、ロシアのUACが出資して設立される。

MTAの計画進行は遅延を重ねてきたが、インドの政治家からは、これ以上遅延した場合は計画を破棄せよという声もあった。The Hindu紙によれば、インドのAKアントニー国防相も手放しでは歓迎しておらず、別の情報源によれば、計画遅延によって生じたギャップはKC-390などの競合機種を利するかもしれないとの懸念が示されたという。

実のところこの手のグダグダの末に、まともな製品が完成した例が多くないというのは確かかもしれない。インドは特に自国産が失敗続きだ。

ロシア側のUACは、例によって成功を確信しているという類のコメントを出している。なお開発はロシア主導になる模様で、HALの技術者多数が近いうちにモスクワ入りする予定とのこと。

MTAについて復習しておくと、MTOW65ton、ペイロード18~20tonという規模のターボファン双発中型輸送機で、新規開発のPD-14エンジンを搭載する。スパン30mで、計画上は最大速度800km/h。インド軍はAn-32とHS 748、ロシア軍はAn-26とAn-30の後継機として配備する計画となっている。
機体規模はA400MやC-2よりも小さく、C-130Jとほぼ同等でより高速、KC-390とはかなり被る、といった感じ。C-1に近いと言えば近いが、特殊な機体なので比較対象として適切かは微妙。でも大きさだけはだいたい同じと言っていい。
なおPD-14は、MS-21のエンジンとしても使われる予定。設計面ではGE Leap-Xにかなり似ているとの指摘もある。

製造機数については、今年初めの時点で軍用輸送機型がインド向け45機、ロシア向け100機、民間輸送機型が60機程度を見込むとなっていた。

米海軍研究所がガスタービン機関用の燃料を海水から精製する技術を研究/レイセオンがUSN向けの次世代電源技術開発で契約/INSヴィクラマーディティヤの引き渡しは年内間に合わない/ウクライナ海軍がイルカの軍事訓練を再開

米海軍研究所がガスタービン機関用の燃料を海水から精製する技術を研究

http://www.gizmag.com/jet-fuel-seawater/24287/

必要なエネルギーとかを度外視してすごく簡単に言うと、海水から炭化水素っぽいものを得られれば良いわけで、つまり海水中の二酸化炭素と水素を取り出して液化すると一丁上がりという構想。

現在、米海軍の活動は、15隻の補給艦によって支えられている。燃料の供給量は年間6億ガロン、22億7000万リットルに及ぶが、化石燃料は基本的に海外依存する部分が多く、戦略的な弱点ともなり得るため、それを自前である程度まかなえるようになるとしたら、話が大きく変わってくる。

さて海水中の二酸化炭素は、炭酸、炭酸塩、重炭酸塩のような形で存在しており、重量比だと3%ほどになる。これは大気中の二酸化炭素の1.4倍に相当する。
NRLの化学者は、炭化水素を作る方法としてフィッシャー・トロプシュ法(FT法)という、効率は悪くコストも掛かるが、確立された手法を採用した。石炭を液化したりするのに使われているものの、前述のように効率が悪いので、実用できる範囲は限られている。
海水の電気分解から始まる細かい化学的プロセスの話は原文参照として結論だけ書くと、触媒の改良などである程度効率を改善する見通しが立ったということらしい。

NRLではメキシコ湾上で試験を行い、より効率を高めて実用レベルまで引き上げることを目標として、研究を続けている。価格見積としては1ガロンあたり3ドルから6ドルといったあたりで、高く見積もれば航空用ジェット燃料の2倍程度となる。
コスト面の他にも問題はあり、できる炭化水素の純度が極めて高いために漏出時の危険が大きかったりもするし、何と言っても膨大なエネルギーを投入しなければならない。

海上で完結して大出力の動力源といえば、まあ原子炉というわけであるが、そういう工場船みたいのを作るかどうかとなるとまた別の話。

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レイセオンがUSN向けの次世代電源技術開発で契約

http://www.spacewar.com/reports/Raytheon_to_develop_next_generation_power_technology_for_naval_systems_999.html

レイセオンはONRと、Compact Power Conversion Technologies (CPCT) programという名目の2つのフェーズ2契約を締結した。水上艦艇と潜水艦の両方に適用する電源技術で、効率化による燃料消費の低減と構造設計上の自由度を高めるというものになっている。期間は1年間。

主な要素はBi-Directional Power Converter (BDPC)とPower Management Controllerの2つ。
BDPCは双方向電力変換器を艦艇に応用、装置の重量と容積を減らし、効率98~99%を達成する。1種類のBPRCで複数の種類の機器電源に対応可能となるので、冗長性を高める。適用範囲は高出力レーダー、蓄電装置、モータと、他の脈動する負荷とある。

PMCは名称そのまま、艦艇全体の電力制御をインテリジェント化して、その配分を最適化する。
従来はシステムごとに分散していた電源系の機器を大幅に減らすことができ、蓄電装置系統を一元化したり、既存の機器をより効率的に動作させたりすることも可能となる。

レイセオンでは、これらの技術により、フットプリントを減らして将来の人員削減に繋がるとしている。

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INSヴィクラマーディティヤの引き渡しは年内間に合わない

http://www.spacewar.com/reports/Russia_to_Deliver_Indian_Carrier_in_Fall_2013___Minister_999.html

INSヴィクラマーディティヤ、旧アドミラル・ゴルシコフは当初、インド海軍への引き渡しを2008年に定めていたのだが、遅延を重ねてかれこれ4年。最新の引き渡し予定は2012年のインド海軍記念日、12月4日に定められ、この日程で公試や艦載機の試験が行われてきた。

しかしここにきて、間に合わないどころかほぼ1年延期、という悪い意味でのビッグサプライズが発生。原因は機関不良。英ウィキペの記述では9月17日、公試において全速運転ができず失格という判定が下った、となっている。8基のボイラーのうち何基が故障したのかは不明。

そして10月10日、インドのA・K・アントニー国防相との会談を終えた後の、セルジュコフ国防相の発言によれば、同艦の引き渡しが2013年Q4まで先送りされることが確実となったようだ。
インド側はこれに関して多くを語っていないが、インドのメディアは1億ドル以上の違約金を要求するかもしれないと予想している。

ここまでの経緯は何度か書いたような気がするが、2005年の最初の契約時点では改修費用9億4700万ドルだったのが、2度の遅延を経て23億ドルまで膨れあがった。

この艦は、改修前から機関に問題を抱えていたことで知られている。1994年にはボイラーが爆発するという事故に見舞われ、1年間のドック入りを余儀なくされた。そして修理が終わってわずか1年で退役、売りに出されている。どう考えてもこの時ちゃんと修理できてなかったくさいが、機関部は軍艦として極めてクリティカルな部分。引き渡し前提ならさすがにちゃんとしたのかと思いきや、なってなかったみたい。
某コピペ風に言うなれば、アドミラルゴルシコフちゃんは生まれつきしんぞうが弱く…という感じで救われない。

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ウクライナ海軍がイルカの軍事訓練を再開

http://www.spacewar.com/reports/Ukraine_Brings_Back_Naval_Killer_Dolphins_999.html

イルカの軍事利用に関してはUSN、サンディエゴ基地のが有名だが、東側ブロックでこれに匹敵するのは、旧ソ連が1973年頃、黒海艦隊の根拠地セバストポリに設置した訓練施設となる。現在この施設はウクライナ海軍の管轄下にあり、冷戦終結後、イルカは水族館に移った。これらは対人セラピー活動などを名目として部隊を維持しつつも、軍事訓練は長らく行われていなかったようだ。
しかし、セバストポリのある情報源によると、最近ウクライナ海軍によって、イルカ10頭の軍事訓練が再開されたとのこと。

かつてイルカの任務とされたのは、海中警備と侵入者(ダイバー)の排除、敵艦艇への爆薬の設置(というか自爆攻撃?)、機雷の探知といったものだったが、今回明らかにされているのは、港湾の防御・警備に関するもので、頭部に装置を取り付けてブイや水中武器(水中銃やナイフ)を装備させ、海底を警備して不審物を発見したらその位置にブイを浮かべる、またはダイバーを殺傷する訓練とされている。今年は既に海中での警備行動について訓練を実施しているという。

ポーランド軍の回転翼機入札が70機に拡大される/ブラジル向けEC725とAS565/550のアップグレード/ポーランドはエアロスターUAVの導入をキャンセル/ロシアンヘリコプターのサプライチェーン再構築の試み

ポーランド軍の回転翼機入札が70機に拡大される

http://www.flightglobal.com/news/articles/poland-ups-military-helicopter-contest-to-70-aircraft-377192/

10月2日、ポーランド首相の発表によると、ポーランド軍向け回転翼機の予定発注数が、26機から70機まで拡大されるとのこと。これに伴って10月上旬に新たな入札プロセスが開始される見込みで、手始めにメーカーとの技術的な協議が行われる。
元々はMi-8/17の代替機を導入する計画だった。

今のところ、正式提案に至りそうなのはユーロコプターEC725、PZL-Świdnik/アグスタウェストランドAW149、PZL Mielec/シコルスキーS-70i。このうちユーロコプターは、アグスタウェストランドと共同でNH90を提案することも検討していたが、9月の段階で撤回、EC725に切り替えた。シコルスキーは、要求仕様に応じてS-76DやS-92を提案する準備もあるとしている。
またAW149に関しては、政府機関向け(Mi-2の後継機)としても提案予定。
以上は9月上旬、ポーランドで開催のMSPOにて出た情報。

http://www.flightglobal.com/news/articles/poland-nears-lift-off-in-military-helicopter-contest-376162/

今回の70機は、現地通貨にして100億ズロチ、米ドルで31億ドルに相当する金額で、陸軍の戦術輸送型48機、空軍のSAR型10機、海軍のASW型6機とSAR型6機を含む。

ポーランド当局としては、入札時期は2012年末から2013年初めで、契約は2013年5月まで、2014~2015年から2022年にかけて納入、といったスケジュールを想定している。

ポーランドへの技術移転と現地生産が条件となっていて、その点では、PZL各社とのJVを設立済みのAWとシコルスキーが先行、ユーロコプターが参入を伺うという図式と言える。また整備やオーバーホール全般は、ポーランド国内、ウーチの軍事航空工廠WZL-1に集約されることになる。

当初の情報では、導入リスクを考慮してか標準的な設計のプラットフォームと規定し、改修などは認めない方向だったが、今回は1機種で複数のタイプをカバーする都合からか若干緩和される模様。

ポーランドでは、VIP輸送機とMi-24後継機の選定も計画されている。後者は2018年入札予定。

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またこれに関連して、ユーロコプターはEC725の選定に自信を見せた。性能面でリードしている、というのが主な根拠であり、ポーランド政府および業界とも話し合いを進めているとのこと。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ec725-will-lead-polish-competition-claims-eurocopter-boss-377237/

10月2日、ブラジルのHelibrasが建設したEC725組立ラインの落成式典にて、ユーロコプターのCEOがインタビューに答えている。

そちらの詳細記事。

ブラジル向けEC725とAS565/550のアップグレード

http://www.flightglobal.com/news/articles/brazils-ec725-introduction-gathers-pace-377239/

ブラジル軍はEC725を合計50機発注していて、ここまで4機(陸海空軍向けとVIP輸送向けの各1機)の引き渡しを受けている。2012年に3機を受領した後、今回完成した組立ラインが稼働し始める2013年からはペースを上げ、年に8機、13機と増加する見込み。

50機のうち、16機が海軍向けで、その更に半数はエグゾゼAM39を装備する。エグゾゼはMBDAの製品であるが、その推進システムは地元ブラジル企業のAvibrasが供給することになるため、一部が現地調達という形。インテグレーション作業が進行中で、2013年完了予定となっている。

これと別に、Helibrasが担当するAS565のアップグレード、パンテラMk.2の引き渡しが12月予定。2機目は2013年3月予定で、問題がなければ22機の改修契約につながる。
このアップグレードでは、エンジン強化とそれに伴うギアボックスの改良、4軸自動操縦装置と自己防御装置が 追加される。
また同様の改修は、AS550フェネックにも施されることになっており、11月から計画がスタートする予定。

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ポーランドはエアロスターUAVの導入をキャンセル

http://www.flightglobal.com/news/articles/poland-cancels-aerostar-uav-purchase-377210/

ポーランド軍は2010年、IAI製のエアロスターUAVを2機導入することで合意し、同年の後半からアフガニスタンへ配備したが、これには実戦環境における、強風下あるいは他の地面効果が影響を受ける環境での自動離着陸(ATOL)能力の強化という条件が付けられていた。
結論から言えば、この部分で能力不足の問題が発覚し、両者の意見は一致しなかったため、キャンセル→補償請求、という流れになっている模様。IAIからの公式声明は出ていないが、ここ数ヶ月では他にも問題が発生していて、それにも取り組んでいたという情報もある。

エアロスターの全長は4.5m、スパン7.5mで、MTOW210kg。滞空時間12時間、巡航速度60kt。

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ロシアンヘリコプターのサプライチェーン再構築の試み

http://www.flightglobal.com/news/articles/mil-kamov-aftersales-system-to-battle-counterfeit-parts-problem-377197/

旧ソ連時代に作られたヘリコプターの大量の予備部品は、ソ連崩壊以降、特にCIS各国とアフリカから流出、メーカーが公式に確認できない状態で出回ることになって、独立系の整備工場が乱立、サプライチェーンは崩壊状態となった。

サプライチェーンの再構築は、ロシアンヘリコプター設立の動機の一つにもなっている。2012年内には、まずCIS各国と欧州の全てのパートナーに対して認証体制を確立する。窓口はロシアンヘリコプターの子会社である、ヘリコプター・サービス・カンパニーという企業。
運用当事者や認証を受けた整備工場は、インターネットから予備部品を発注できる上、ドキュメンテーション類も電子化され、取り扱いを容易とする。

アフリカ方面の対策としては、南アフリカのデネル・アビエーションと協定を結び、サハラ以南の地域における定期整備の実施を委託した。実際には組立とコンポーネントのオーバーホールまで実施する能力があるので、最終的にはそこまで任せることになる。

Su-30SMが初飛行/MiG-29KとM/M2の今後/Ka-52のアビオニクス等についてRDCがメーカーと契約/ロシアの新聞にAS355の写真が掲載される/セルビア空軍創設100周年

Su-30SMが初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-irkut-launches-su-30sm-test-campaign-376814/

9月21日、イルクーツクに近いIAZ工場において、Su-30SMが初飛行を実施している。スホーイのテストパイロット2名が搭乗し、2時間ほどのフライトを行った。
Su-30SMはロシア本国向けとして開発されているもので、Su-30MK系の発達型となる。初期の輸出型との違いは、レーダーと通信機、IFFのほか、ロシア空軍仕様の各種装備と射出座席とされている。最新兵装は一通りインテグレーション済み。

ロシア空軍は2012年3月、Su-30SM×30機を発注しており、今年後半から2015年までに受領予定となっている。

こっちの記事は製造現場の写真が出てる。

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-irkut-to-deliver-russias-first-su-30sm-early-376580/

PAK-FA戦力化までのギャップを埋め、マルチロール戦闘機であると同時に、訓練用途でも運用されると書いてある。
が、複操縦装置はなさそうだしPAK-FAは単座だしで何だかよくわからん。兵器システム関連の訓練のことか?

あと2011年に発注されたYak-130の引渡しについても少し書かれており、これによると55機のうち15機を年内に引き渡す予定で、ロシア空軍側も正式受領する準備を進めているとのこと。

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MiG-29KとM/M2の今後

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-mig-29-production-takes-off-as-indian-carrier-trials-near-end-376268/

INSヴィクラマーディティヤ(旧アドミラル・ゴルシコフ)の引渡しは、インド海軍記念日にあたる2012年12月4日とされている。
ILAにおける9月中旬時点の発表によると、MiG-29K/KUBを用いた同艦上でのトライアルは進行中だが、スキージャンプによる発艦は未実施のようで、引渡しまでには間に合わせると書いてある。

年間の製造数は、昨年2011年の11機に対し、2012年は24機となる見込み。目標としては年間36機の製造を掲げている。
ただしK/KUB型について言えば、インド海軍向けは最初のバッチ16機のあと29機の追加発注、ロシア海軍向けは2月発注の24機で、今のところその先は無い。必然的に、陸上型のM/M2に期待を寄せることになる。
STOBAR空母向け艦載機って結構ニッチだよな。

メーカーとしては、K/KUBに準じた新しいレーダーと拡張性のあるオープンアーキテクチャのアビオニクス、多様な搭載兵装などが既に出来上がっている事を、優位点として挙げた。あとクラシックMiG-29の大きな弱点とされたエンジン寿命も、RD-33MKでは解消された事になってる。

またコストパフォーマンスについても自信を見せ、(冷戦終結後)早い段階で西側の戦闘機導入を検討した多数の国々(※かつてのMiGのユーザーを意識した言い回しと思われる)は、その方針を見直していると述べている。どこまで本当なのかは謎。
米国からの直接的な軍事援助、あるいは多少なりとも経済的に余裕のあるところはF-16を採用し、その後も特に不満は出てないようなイメージだが、反米寄りの非同盟諸国向けという感じ?

米の国は、近年また敵が増える傾向も見えるので、MiGとしてはそれを商機と捉えてるのかもしれない。アフリカでは、エジプトで親米政権が倒れたりしたし。

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Ka-52のアビオニクス等についてRDCがメーカーと契約

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-helicopters-signs-ka-52-avionics-deal-376792/

ロシアンヘリコプター社は、Ka-52とKa-27/29のアビオニクスのアップグレードについて、ラメンスコイェ設計社(RDC)と長期契約を結んだと発表。
2013年から2020年までの期間にわたるもので、手始めにKa-52の艦載型にあたるKa-52Kのアビオニクスを供給することになる。Ka-27/29の方はグラスコクピット化と航法系のアップグレードとのことで、いずれもKa-52とKa-31で既に装備されたものをレトロフィットする。またアビオニクスについては、オープンアーキテクチャが謳われている。

RDCは、ロシアンヘリコプターと同様にOboronpromという持ち株会社の傘下にある企業なので、形式はともかく体制としては従来通りということになるのかなあ。

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ロシアの新聞にAS355の写真が掲載される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-prompt-russian-defence-ministry-to-confirm-eurocopter-purchase-376662/

問題の新聞のWeb版はこちら。Nezavixima Gazetaと書いてある。9月18日付。

http://www.ng.ru/regions/2012-09-18/5_muscles.html

記事はしらんが、特殊部隊の訓練というのは見て取れる。
写っているAS355は、これまで公式には発表されていなかったもので、報道を受けてロシア政府が説明したところでは、2011年に購入されたとのこと。
これについては、過去に地元メディアの報道で、当時の国防相が個人的に発注したものであるが使われておらず、不必要なものだったとの批判が出たことがある。ユーロコプター側はコメントを拒否した。販売元としては自家用扱いなのかな。それはないか。

説明によるとこれらの機体は、ロシア軍の輸送と特殊任務に用いるもので、ロシア空軍向け訓練用途での評価を行う予定という。
モスクワ近郊のChkalovskaya空軍基地に配備され、フランスから技術者と搭乗員教育のための要員を招くことも決まっている。

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セルビア空軍創設100周年

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-serbian-air-force-marks-centenary-376315/

9月2日、ベオグラードに近いBatajnica空軍基地において、創設100周年を祝うエアショーが開催された。海外からはロシア、イタリア、米国の軍用機が飛来している。

ショーのハイライトは、各々の単独飛行展示のほか、セルビア空軍の最新装備であるUtva Lasta練習機5機による編隊飛行、4機のJ-22オラオと6機のG-4スーパーガレブによる戦術的デモンストレーション(たぶん模擬対地攻撃)と、2機のMiG-29と1機のMiG-21による模擬戦闘といったものだったようだ。

1999年には敵同士だった、USAFのF-16とセルビア空軍のMiG-29が並んで駐機される場面も見られたとのこと。

なお業界的に言うとセルビア空軍は、将来の軍用機市場が注目を集めているところでもある。

プーチン大統領が軍事技術(兵器)の輸入についてコメント/ロシアは外国製のMBTは導入しない/ロシア海軍装備の開発、潜水艦などの話題/BTR-82Aの訓練の様子/S-400の訓練の様子/ソ連映画ポスター集

プーチン大統領が軍事技術(兵器)の輸入についてコメント

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120831/175542547.html

8月31日、プーチン大統領はロシア国内での安全保障会議の席で、ロシアが手っ取り早く導入可能な兵器と軍事技術が外国製であったことについて、外国との協力は可能であり、恥ずべきことではないと述べている。が、その一方、自国の軍需工場が輸入品のノックダウン生産しかできなかった状況について、受け容れ難いものだったとも述べた。これについては、もっと政府の調達担当部門が効果的に動くべきとしている。

また、過去30年にわたって軍需産業が現代化する機会を幾度か逸したことを指摘し、今度こそ現代化の成果を上げなければならないとした。このとき、同様のことを1930年代にソ連が成し遂げたという例を引き合いに出している。技術移転も伴っていたから、状況は現在に近いといえば近い。でもその後大粛正でまた停滞に入りかけたような気もするが、歴史的事実として戦争には勝ったからいいのか。

この発言に関連して大統領は、軍需産業のうち、もっとも民間投資を必要とする分野をピックアップするためのデータベース開設を提案したとのこと。

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ロシアは外国製のMBTは導入しない

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120824/175409016.html

こちらも8月31日、ロシアの軍産複合体を担当するドミトリー・ロゴージン副首相は、ロシアの機甲部隊装備(装甲車輌)について、大規模な輸入は計画していないと述べた。
外国製の装甲車輌の導入については、評価するための少数の輸入や、ロシアで開発が遅れている分野の車輌については共同生産を行うとした。これは同じ週に、イタリアのチェンタウロ装輪自走砲が初めて陸揚げされたことを踏まえてのコメントとされている。
オットー・メララ側の発表では、最初の2輌はそれぞれ105mm砲搭載と125mm砲搭載であり、モスクワ近郊で試験中とされる。

ロシアとしてはもちろん、主要装備として外国の戦車を買うなどあり得ぬ、というのが公式な立場となるが、そもそも西欧諸国は経済危機のただ中にあってさえ、最新型MBTを売ってくれるところなどなかった、という事情もボロリと漏らしている。
この御方もプーチンに名指し批判されて大変だな…

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ロシア海軍装備の開発、潜水艦などの話題

・ロシア版イージス戦闘システム

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120831/175538466.html

ユナイテッド・シップビルディングの防衛部門を率いるAnatoly Shlemovは、ロシア国内で米国のイージス戦闘システムに相当するシステムの開発を既に受注していると述べたが、詳細についてのコメントは拒否した。
開発しているのはPVO Almaz-Anteiとされる。

防空戦闘はイージス戦闘システムの役割の一部なのだが、この文脈だと防空システムだけのような気もする。MD能力の有無も不明だが、S-500の艦載タイプとは別の話なのかな。

・UUV

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120831/175539837.html

同じくAnatoly Shlemovの発言からで、特殊作戦向けのUUVを開発しているという件。旧ソ連におけるUUV開発は1980年代後期に端を発するとのことで、有人ミゼットサブのプロジェクト865ピラーニャ(NATOコードネームLosos)にとって代わるものだったという。
ピラーニャの静粛性は極めて高く、またチタンの船殻で構成されており、MADによる探知や触雷を免れることができたと言われている。12隻の建造が計画されたが、のち6隻に縮小、完成したのは2隻に留まったとされる。これを中止させたのがUUV開発計画だった、と言いたいらしい。

米海軍の構想に類似とあるが、ストレートに特殊作戦向けのUUVとかは、あんまり印象にない。むしろ667ANみたいなミゼットサブ母艦と一緒に復活させると言われた方がしっくり来るような。

・ボレイ級SSBNの配備

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120831/175536382.html

これも同じ発言元。ユーリ・ドルゴルキーは北海艦隊、アレクサンドル・ネフスキーは乗員訓練を経てその1年後に太平洋艦隊に配属される予定。2隻とも北海艦隊に籍を置いて乗員訓練が行われるため、太平洋艦隊への配備が後になるという事のようだ。
以前の情報では、2隻とも太平洋艦隊への配備というのもあったが、政治的発言だったのか、別の計画だったのかは判然としない。

・黒海艦隊向けのディーゼル潜が起工される

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120817/175263174.html

黒海艦隊向けのキロ級は、プロジェクト636.3と呼ばれるタイプで、Varshavyanka級と呼称されている。
1隻目のノボロシスクは2010年、2隻目のRostov-on-Donは2011年に起工しており、今回のStary Oskolが3隻目となる。計画では6隻が建造予定。現在黒海艦隊で実働体勢にあるのは877型が1隻だけなので、全部揃うとかなりの戦力になる。
このあたりはウクライナの動向とも関係するところだが、今のところ親露政権なので、合意は成立してる。

636.3型は、隠密性が高められた877型の改良型。対潜水艦、対水上艦戦闘に対応しつつ、浅海域での作戦能力と対地攻撃能力を有する。乗員52名、水中速度20kt、電動時は45日間活動可能で巡航航続距離400マイル。主武装は533mm魚雷×18、ASM(3M54)×18。
自動化が進められ、運用コストも安くなっているとされる。全体的に877EKMより強い。

http://www.naval-technology.com/projects/kilo877/

636型はベトナム向けの建造も始まった。ベトナムは2009年に6隻を発注している。金額はおよそ20億ドルで、2016年までに引き渡される予定。

ついでに。フランスの外務相は、ロシアのシリア内戦への対応が、自国とミストラル級の取引には影響しないとの立場を表明している。第3国への輸出となれば別だが、二国間では影響なしとの見解。

http://en.rian.ru/world/20120829/175498868.html

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BTR-82Aの訓練の様子

http://en.rian.ru/video/20120823/175385008.html

最新型のターレットはこんな感じらしい。14.5mmはBTR-80と同じかな。

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S-400の訓練の様子

http://en.rian.ru/video/20120818/175278541.html

夜間訓練で全天候性能をアピール。

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ソ連映画ポスター集

http://en.rian.ru/photolents/20120827/175457032.html

時期は1920年代から1930年代前半かな。味わい深いフォント。

RAAFがホーク127をT2同等へアップグレードする計画/MBDAが将来型の精密攻撃兵器システムを公開/フィンメカニカグループがロシアにMPAのミッションシステムを提供/EADSが銀行設立を検討

RAAFがホーク127をT2同等へアップグレードする計画

http://www.flightglobal.com/news/articles/australia-to-upgrade-hawk-trainers-to-rafs-t2-standard-374492/

オーストラリア国防相は、RAAFのホーク127について、最新のRAF向けと同等のT2相当にアップグレードする計画を明らかにした。総額は2500万オーストラリアドル。
ホーク127の機数は33機で、すべて1999年から2001年にかけて引き渡されたもの。RAAFウィリアムスタウンと同ピアースに配備されている。

BAEシステムズによると、この改修はMLUにあたるもので、T2やサウジ向け165と同じ、OC2ソフトウェアスタンダードへの変更が計画されている。

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MBDAが将来型の精密攻撃兵器システムを公開

http://www.flightglobal.com/news/articles/farnborough-mbda-unveils-future-vision-for-armed-uavs-373994/

7月9日のファーンボロにおける恒例イベント、Concept Visionにて公開されたもの。3回目の今年は、20年以内に実現可能な将来のUAV兵器システムというお題で、CVS301 Vigilusというのを公開している。

http://www.mbda-systems.com/files/docs/DS-vigilus-2012.pdf

http://www.mbda-systems.com/mediagallery/#/videos/2922

Caelusは監視用のUAVで重量は約100kg、最大で2時間滞空でき、1kgのペイロードには弾頭もしくは散布用センサが搭載できる。これと対になるGladiusは小型のPGMで、重量7kg、弾頭重量1kgで、最大射程は16nm(30km)とされる。
イメージ映像に出てくるのは飛行船タイプの無人プラットフォームで、4基のランチャーを下面に搭載している。これはArmatusと呼ばれ、独自機構のラッチを有し、無線で制御されるため配線などを必要とせず、様々なプラットフォームにインテグレーションできるのが特徴。
初期の概念の段階で、BAEシステムズやCassidian、SELEXガリレオ、またMBDAと取引のある各国軍とも話し合いを持って揉んだアイディアだそうだ。

20年後の戦場で、のんびり飛行船だの小型UAVだのが飛べるかどうかというと疑問も残る。そのくせ重装備の敵を相手にしてるあたりがまあ何というか、あくまでプロモですよねという感じだが、あくまで非対称戦の延長で考えられてるように見える。

古い意味の大戦争が一回あったら、そのときは携帯端末や衛星データリンクなんかが丸ごと使えなくなるようなケースも出てくるんじゃないかなあ。非対称戦が日常になりすぎてて忘れられがちだが、対抗策は常に研究されてるはずで、有事には衛星が落とされる可能性だって高い。

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フィンメカニカグループがロシアにMPAのミッションシステムを提供

http://www.spacedaily.com/reports/Russia_and_Italy_to_jointly_develop_patrol_aircraft_999.html

ファーンボロにおいてフィンメカニカとRosoboronexportが、Il-38とBe-200のミッションシステム開発に協力することで合意とある。SELEXガリレオなど、フィンメカニカ傘下の3社の名前が挙がっている。第三国への輸出が考えられているようだが、まずは市場調査からスタートすることになる。
協力の形としては、イスラエルとロシアが協力したAWACSなんかと同様とされる。

先進的なMPAは伝統的な哨戒任務(ASW含む)のみならず、領海の監視や組織犯罪への対応(対海賊なども含むいわゆるローエンフォースメント)、環境および資源調査も可能であり、それなりの市場があるだろう、という見込みに基いている。

大型機はあんまり受けないんじゃないかと思わないでもないが、A-50EIとかがインド向けで進行したのと同じく、既に売る相手がいるのかもしれない。つーかインドの可能性も高いなこれ。

近年、イタリアとロシアの軍事協力が拡大する傾向にあるのは確かだ。Yak-130からM.346を開発した後も協力関係は続いており、またロシア非常事態省がアグスタウェストランドのヘリコプターを導入し、共同生産の予定もある。陸ではイヴェコLMVが採用されている。

他のファーンボロでのロシア関係の話題として、イリューシンファイナンスがパナマのSouth America Aircraft Leasingとの取引で、An-148/158×12機の引渡しが確定してるそうだ。
SSJ110を東南アジア某エアラインへ40機というのは成立したか不明。

UPIの記事の方が詳しい。

http://www.spacewar.com/reports/Finmeccanica_gains_multinational_deals_999.html

SELEXガリレオはATOSミッションマネジメントシステム、これは空中監視プラットフォームの核となる部分。WASSは軽量の航空魚雷を、SELEX Elsagは通信系をそれぞれ担当する。このうちSELEX Elsagは1990年代からロシアと協力関係にあったという。

契約条件は明らかにされていない。

あと、こっちはフィンメカニカグループ側の記事なので、NATO AGSにおいてSELEXガリレオが地上管制局を担当したことや、SELEX Elsagが広帯域データリンクを担当したことなどが書かれている。

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EADSが銀行設立を検討

http://www.spacewar.com/reports/Defence_group_EADS_eyes_launching_own_bank_999.html

EADSグループの資産は100億ユーロぐらいあって、その辺の銀行に置いといたらどうなるかわからん、ということで、自衛のための銀行設立が(ある程度)現実味を帯びている模様。
欧州金融危機もここまで?という感じの話題。なお、最悪のケース、つまりユーロ圏崩壊の場合の影響は「予測不能」であり対策もへったくれも無いらしい。