カナダとデンマークでのF-35A導入見直しのその後/F135エンジンのタービンブレードのクラック発生による飛行停止と解除/F-35AとF-35Cを統合する可能性について前海軍作戦部長が言及/結局F-35の飛行性能はどの程度なのか/その他

カナダとデンマークでのF-35A導入見直しのその後

http://www.flightglobal.com/news/articles/canada-releases-industry-questionnaire-on-cf-18-hornet-replacement-383007/

カナダのNational Fighter Procurement Secretariat (NFPS、訳すと国家戦闘機調達事務局)は3月3日、戦闘機製造メーカー4社に対し、アンケート形式で詳細な技術的情報を提供するよう要請した。NFPSを監督する立場にある政府機関Public Works and Government Services Canada (PWGSC)も参加している。宛先はボーイング、ダッソー、ユーロファイター、LM。回答期限は6週間なので、今週で締め切られたはずだ。同種のアンケート草案は1月25日に提示され、5社から回答を得たとのこと。

この動きは2012年の会計監査で、F-35導入に厳しい批判が出て、年末には正式に調達中止となったことを受けてのものであり、遅ればせながら導入プロセスに競争原理を取り入れる形。

http://www.flightglobal.com/news/articles/four-rivals-to-enter-danish-dogfight-383554/

またデンマークでは、F-16AM/BM後継機の選定を正式に決めた。2013~2017年の防衛計画枠組み合意にて採択されている。
LMは、2010年代末までに引き渡す計画としていた。

これに対し、ボーイングがF/A-18E/F、サーブがグリペンE、ユーロファイターがタイフーンをそれぞれ提案し、F-35も含めて4機種からの選定という流れになっている。カナダと同じく競争原理を取り入れる方向となったわけだが、これでF-35の調達条件が若干でも良くなるのかどうかは謎。

今のところ、JSFパートナー国じゃない方でニーズが高まってる感じ。イスラエルといい日本といい。韓国はどうしたいのかよくわからんが。

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F135エンジンのタービンブレードのクラック発生による飛行停止と解除

http://www.flightglobal.com/news/articles/f-35s-cleared-to-resume-flight-operations-382909/

http://www.flightglobal.com/news/articles/engine-crack-that-grounded-f-35-traced-to-thermal-creep-383136/

2月19日、F-35Aの搭載エンジンの1基で、低圧タービン3段目のタービンブレードにクラックが確認され、全てのタイプの全機が飛行停止となる。その後の調査で3月1日にB型、3月5日にA型の飛行が再開された。

クラックの大きさは1/6インチ程度だったとのこと。予防的な飛行停止措置に留まった形で、設計変更などは行われない。
P&Wの見方としては、低高度での超音速飛行試験など、通常の任務よりも過酷な状況で使用された結果とされている。これらの試験飛行では、通常の運用に比べて4倍ほど負荷が大きく、また4回ほどはメーカーの想定した基準を超えて運転されたとのこと。

が、タービンブレードに起因する飛行停止措置が最近でも2度ほどあり、頻度が多いのも事実。
飛行停止が重なると、以後の飛行スケジュールが詰まって運転条件も厳しくなるという流れ。

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F-35AとF-35Cを統合する可能性について前海軍作戦部長が言及

http://www.flightglobal.com/news/articles/former-usn-chief-suggests-dod-should-cancel-f-35a-in-favour-of-c-model-383969/

国防省のCost Assessment and Program Evaluation (CAPE)内部で、A型を廃止してC型に統合する案が存在した。らしい。同一機種とは言え、3種類も並行で開発するのに無理があるので、CTOL型を1種類にすると幸せになれる、という論理展開。

USAFはC型の(A型を下回る)飛行性能を受け入れないとも言われているし、個人的なアイディアに留まってる感じではある。

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F-35関連で3月から4月にかけての話題いくつか。

・オランダ空軍向けF-35A(AN-2)ロールアウト

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-second-rnlaf-f-35-rolled-out-383230/

3月5日付。

・53rd TEGに評価機材としてF-35A×4機が到着

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-testers-prepare-for-f-35-operational-evaluation-383309/

F-35Aの運用評価を行う53rd TEG、その指揮下にある2個飛行隊(エドワーズAFB所属の31st TESとネリスAFB所属の422nd TES)では、年内に合計12機を受領する予定。
正式なOT&Eはまだ先になるが、その前段階として、USAFの人員のみでF-35Aを運用する経験を持つのが目的となっている。実戦に近い環境での運用を行うところまで持ってこなければならないので、先はまだ長い。

・RAFのパイロットがエグリンAFBにてF-35Bの訓練飛行を始める

http://www.flightglobal.com/news/articles/rafs-first-operational-f-35-pilot-flies-first-training-sortie-383642/

3月20日付。RAFの飛行隊長格のパイロットが飛行訓練を開始したとある。
英軍のF-35のパイロットは、12名がVMFAT-501に派遣された形になっており、RAFとRNのパイロットが半数ずつで構成されている。OTが2015~2016年(こちらの要員は2名)で、2018年に17Sqnとして部隊編成する計画。
4月には3機目が引き渡し予定だが、これはソフトウェアがBlock2Aになる。

・F-35B夜間のSTOVLを実施

http://www.flightglobal.com/news/articles/f-35b-completes-first-night-short-take-off-and-vertical-landing-384282/

4月2日、NASパタクセントリバーにてVision Systemsの新型ナイトビジョンカメラISIE-11をHMDに組み込んで実施とある。

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結局F-35の飛行性能はどの程度なのか

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-lockheed-claims-f-35-kinematics-better-than-or-equal-to-typhoon-or-super-hornet-382078/

もう10年近く前からいろんな人がいろんな主張を展開している問題なので、今更感はあるが、ここにきてメーカーの主張やパイロットの証言が出てきてるようだ。F-35Aの調達見直しの話題が目立つようになったのと無関係ではないだろう。

以下長いので要旨のみ。

LMはJSFのどのタイプでも、現存するあらゆる積載状態の第4世代戦闘機と同等がそれ以上の運動性能があると主張。比較対象には音速付近での加速性能で空対空兵装のタイフーン、高AOA時のF/A-18E/Fなどが挙げられた。フライトエンベローブ拡大についての責任者という肩書きのLMのテストパイロットが述べている。

これに対する、ベテランテストパイロットなどのわりと一般的な反論として、ステルス製を重視した面積の小さい操縦翼面では、操作性で劣るのではないかというのが紹介されている。

加速性能については、性能要件が低い方に緩和されたのを、どう解釈するかという感じの話。

http://www.flightglobal.com/news/articles/reduced-f-35-performance-specifications-may-have-significant-operational-impact-381683/

運動性については、実機でのenergy-maneuverability (E-M) diagramが見えてない状態で論じても意味ない、というコメントで終了。

結論は特にないんだけど、第4世代でクリーン状態になってるというのは任務を放棄した状態に等しいので、そこで勝負する話を始めたら負けを認めたようなもんでは?(超訳)というLMの指摘が全てか。

 

F/A-18FにCFTモックアップを装備した実機が公開される/マレーシア向けAEW&Cについて/LIMAでの その他展示/KF-X計画の遅延についてインドネシアが言及/スウェーデンがグリペンE開発完了までの予算を承認

F/A-18FにCFTモックアップを装備した実機が公開される

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-conformal-tanks-add-fuel-to-super-hornet-campaign-383904/

マレーシアで開催の今年のLIMAにて、ボーイングがF/A-18E/FのCFT装備状態を見せている。CFT本体はモックアップとのことで、実際には使用できない。地上展示に入る前に取り付けられたとある。

F?A-18E/FのCFTに関しては、インターナショナルロードマップとして発表されたものの一部であるが、本国USNがこの夏に試験を予定している。同機種はマレーシアのMRCA向け提案にも入っているので、今回の展示となったようだ。
CFTの容量は全部で3500ポンド。

USNで本当に採用する気があるかどうかは、微妙なところだろうか。現時点では可能なオプションの一つとしてテストしておくだけ、といった感じではある。

とは言え、F/A-18E/Fの遷音速までの加速性能の悪さは、主に機体の抗力の大きさに起因するものであることがわかっており、CFTで抗力が低下することはあり得ないので、パワー不足がより深刻になるだけなのではといった否定的な意見もある。F414の増強型EPEはまだ実物が無く、ファンと高圧タービンコアの再設計が必要とされるため、これをもって解決できるかどうかは定かでない。

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-may-add-conformal-fuel-tanks-to-fa-18ef-super-hornet-fleet-383701/

しかしながらF-35Cの開発遅延がさらに深刻化するとF/A-18E/Fの能力向上を本気で考えなければならなくなるので、何でも試しておくに越したことはない、みたいなことをティールグループのアナリストがコメントしてる。
どちらにしても財政の問題は短期的に解決できるもんではないので、装備化までの道程は長い。

今年のLIMAでは、MRCA提案予定の残りの機種、ラファール、グリペン、タイフーンもフライトを実施した。
ここでは18機程度の導入が予想されているものの、正式なRfPはまだ出てない。また早くから整備性の問題が指摘されたMiG-29Nについて、稼働機数が8機程度まで落ち込んでいるとも言われ、こちらの代替としても2015年以降に10機程度は必要という。
またマレーシア向けのF/A-18Dは、8機が1997年に引き渡された。

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マレーシア向けAEW&Cについて

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-northrop-saab-eye-malaysian-aew-requirement-383892/

同じくLIMAにて、サーブとノースロップグラマンがAEW&Cの提案を計画しているとの報道。今年のLIMAではノースロップグラマンが初めてブースを構えてE-2Dのオペレータ席などを展示した。
E-2Dは今のところUSN向け75機を受注し、国際的な売り込みの最中となっている。メーカーの提案としては、マレーシアに配備することを想定した場合、4機あれば持続的な領域監視が可能としている。4機ならCVN1隻分の機数と同じだ。

サーブが提案しようとしているのはEMB-145などにERIEYEを搭載したAEW&C機で、隣国タイ向けではサーブ340+ERIEYEの2機をグリペン12機をセットで売り込むことに成功している。
サーブの売り文句は、50%の価格で80%の性能というもの。E-2DというかノースロップグラマンのAEWレーダーを意識した言い回しと思われる。契約上のその他の強みは、技術移転とかオフセットの部分になる。

業界筋では、同国のAEW&Cへの潜在的な需要は根強いと見られているものの、財政的な問題も指摘されるところらしい。

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LIMAでの その他展示

・インドネシア空軍のCN295

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-indonesia-displays-new-c295-383957/

インドネシア製のC295のうち、インドネシア空軍向けはCN295となっている。2012年2月のシンガポールエアショーにて調達契約された9機のうちの最初のバッチの2機。のうちの1機がLIMAにて展示された。

・マレーシア空軍のEC725

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-malaysian-ec725-makes-show-debut-383955/

展示されたのは2012年12月に引き渡された機体で、2014年1月までに10機が引き渡される予定。
まだIOCは獲得していない。

この他、回転翼機関係では、アグスタウェストランドとAW139×6機およびAW189×2機の調達契約が結ばれている。

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-weststar-signs-helicopter-deals-with-agustawestland-eurocopter-383934/

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KF-X計画の遅延についてインドネシアが言及

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-confirms-18-month-k-fx-delay-383258/

KF-X計画は3段階に分けて進行することになっている。最初のフェーズはtechnology developmentで、これは2012年12月に完了した。韓国内に設置された共同のR&Dセンターには、インドネシアからも37人が派遣されている。
この後、試作機製造を含むengineering and manufacturingを経て、製造・マーケティング段階のjoint production and joint marketingに至る筋書き。

インドネシア国防省の声明によると、engineering and manufacturingのフェーズに関して、未だ韓国の議会が承認していない旨がDAPAを通じて連絡されたとのこと。DAPAは、昨年末の選挙の影響で遅れたと説明しており、またこれまでに費やした巨額の費用を無駄にすることなく、計画を進行させるとも述べている模様。開発計画全体の費用は50億ドル規模で、インドネシアは20%を負担することになっている。

冒頭にある18ヶ月の遅れというのはよくわからんが、単に韓国の現政権があんまり肯定的ではないのかもしれない。

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スウェーデンがグリペンE開発完了までの予算を承認

http://www.flightglobal.com/news/articles/saab-gets-deal-to-complete-gripen-e-development-383850/

スウェーデンでは空軍のグリペンC×60機をグリペンE仕様に改修する計画を承認しており、これを進める上で必要な契約を相次いで締結している。
今年の2月中旬(FY2014まで、金額は25億クローネ)と3月22日の契約(FY2015~2023まで、金額は107億クローネ)により、開発作業に関わる契約は全て締結されたとのことで、各種の試験機材やリグ、シミュレータまで含め、開発の目処が立った形となる。
引き渡しは2018年から2026年までを予定している。

一方、スイス向けの22機は、取引全体で最大472億クローネという金額が示されてる。

USSOCOMが亜音速弾の事前調査に関するRfPを発出/TrackingPoint社が精密狙撃システムを発表/ラインメタルの試作レーザ兵器が実用型に近づく/ACTUVの活躍(イメージCG)/GPSと電波望遠鏡(VLA)を用いた地下核実験の検出方法について

USSOCOMが亜音速弾の事前調査に関するRfPを発出

http://www.gizmag.com/us-special-forces-subsonic-ammunition/25172/

SOCOMが用いている制式ライフル弾の初速は、弾種によって異なるがおおよそ音速の2~3倍とされている。
これを大きく下げて静粛性を高め、市街戦(殊に隠密作戦、個人あるいは少人数グループへの襲撃など)に使用したい、というのが主な動機となっている。が、大口径の亜音速弾には精度や信頼性の問題がつきまとうので、簡単な話ではない。

SOCOMは本格開発の前段として、SBIRに基づくRfPを発出した。
この手の計画は過去にも存在したが、開発は言うまでもなくうまくいってない。が、材料技術、製造技術の進歩によって実現できれば大成功、みたいな。

確実に機能する亜音速弾は、現在知られている限り小口径のピストル弾が存在するのみで、ライフル弾としては例がない。初速を遅くしつつ、精度を保ち、信頼性の高いライフル弾となると、技術的なハードルは高い。
装薬を減らすことになるから、有効射程距離が著しく縮むのは仕方ないとして、比較的大きなカートリッジに少量の装薬という組合せでは、燃焼が不安定となり、薬室内のガス圧を低下させ、不発や停弾を招く危険性が高くなる。薬室からのガス漏れが起これば、現代的なライフルのガス圧作動式の機構が満足に動かない可能性もある。

これらを解決する具体的な手法としては、新しい形式のカートリッジが必要になる見通しで、高分子系の材料で抜弾抗力を下げたり、ガス漏れ防止用のサボを入れるなどの案が示されてる。

実現の見通しが立てば原型試作、デモンストレーションと進むことになり、最終的には法執行機関向けにも(どっちにしても特殊部隊だろうけど)供給されるそうだ。

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TrackingPoint社が精密狙撃システムを発表

http://www.gizmag.com/trackingpoint-precision-guided-firearms-scopes-digital/25264/

TrackingPointの社長は、特殊作戦の経験豊富な元海兵隊大尉(イラクでの作戦行動を通してブロンズスター、シルバースターを受勲している)で、除隊後レミントンの副社長を勤めた後、現在に至る。

で、ここに紹介されているのはTriggerPointという精密狙撃システムであり、.338ラプアマグナム弾を使うXS1と、.300ウィンチェスタマグナムのXS2およびXS3という製品を準備している。

拡大映像で目標点をマーキングした後、空気抵抗、風向きなどの補正を加えて正確な弾着ができる方向を指示、その方向に向くまで引き金が引けないよう抑止する、といった動作をするようだが、移動目標に使えるのかとか詳細はよくわからず。
具体的には映像の方を参照。

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ラインメタルの試作レーザ兵器が実用型に近づく

http://www.rheinmetall-defence.com/en/rheinmetall_defence/public_relations/news/latest_news/details_2368.php

http://www.gizmag.com/rheinmetall-laser-test/25504/pictures

2011年に実施した5kW×2門の10kWタイプによるデモンストレーションに続くもので、レーザの出力を向上し30kW×1門+20kW×1門の50kWタイプの試射を実施している。場所は前回同様、同社保有のスイスのOchsenboden試験場。

11月には、3種類の目標への試射が試みられた。
1つ目は1000m先の15mm厚の鋼板、2つ目は3000m先から毎秒50m程度の速度で飛行するターゲットドローン、3つ目は迫撃砲弾をシミュレートした毎秒50mで移動する直径82mmの鋼球で、それぞれ悪天候下でも十分迅速に破壊できたと発表されている。

なお、同社は複数のレーザを束ねて使用する技術はBeam Superimposing Technology
(BST) と呼んでいる。つまり32bitプロセッサ2つで64bit級みたいな(違う)。
写真のうち、2門の方が今回の50kWタイプかな。

実用型では合計100kWを目指すが、2013年は60kWのレーザを試験するとのこと。
これはレーザ出力を(30kWの)2倍にすると書いてあるので、つまり実用型は60+20+20=100という解釈でよいのだろうか。

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ACTUVの活躍(イメージCG)

http://www.gizmag.com/darpa-saic-actuv-drone/25607/

SAICが受注したACTUVのイメージCG映像が公開されている。ACTUVはASW作戦を主要任務とするが、モジュール変更によってISRから小規模な補給まで可能ということだから、多目的USVとした方が適切な気がする。

形態は受注の時のイメージと大体同じで、長期間のディーゼル潜水艦追尾の例を説明している。映像では非武装で、長期間にわたって目標を追尾し、情報を収集して終わる。SAICは60~90日間の作戦行動が可能としているが、あくまで最大ということか、そこまでは長くない。というか相手がディーゼル潜の例だしな。
興味深いのは、搭載した人工知能で目標の欺瞞行動に対応可能というくだりで、民間船舶を利用して追尾を混乱させるといった潜水艦の戦術機動にも対処できるという。つまり目標の位置を推定し、民間船舶などを避けつつ追尾を続けられることになっている。オペレータによる訂正ももちろん可能だが、勝手に動いてくれた方が労力が少なくて済むのは言うまでもなし。
水中の長距離センサは磁気(total field magnetometer array)、短距離センサは高周波アクティブソナー×2基。目標を識別するのはソナーの方になる。

total field magnetometer arrayというのはよくわからんが、ここにはMADのローコスト版みたいな事が書いてある。

http://www.psicorp.com/news_events/display_news.html?id=1217

こんなにうまくいくのかなあというのはおいといて、通して見た感じ、P-8と連携するだけでなく、CVNに積んでたASW機の役割も一部担うように見えるな。でP-8を水上はBAMS、水中はACTUVが補うと。

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GPSと電波望遠鏡(VLA)を用いた地下核実験の検出方法について

http://www.gizmag.com/gps-radio-telescope-underground-nuclear-test-detection/25434/

米オハイオ州立大の研究チームは、GPSの信号記録または電波望遠鏡VLAの観測記録によって、秘密の地下核実験(記事中ではunderground
nuclear explosions、UNEと称している)を検出できることを発見した。

従来、地下核実験を検出する最も確実な方法とされているのは地震計のデータ解析であるが、核分裂反応の規模が小さいと通常爆薬などとの区別が難しくなる。例えば北朝鮮の2006年、2009年の核実験のうち、2006年の時は1キロトン未満と推定されたため、おそらくは失敗と見られたものの地震計のデータだけ判断するのは困難だったという。

オハイオ州立大でGPSを専門に扱うグループは、2009年の核実験の直後、朝鮮半島上空にあったGPS衛星の信号が、訂正によりごく短時間だけ遅延し、その程度がGPS衛星の位置によって異なることに気がついた。核実験に伴う電離層の乱れ(traveling ionospheric disturbance (TID))が、GPS信号に影響を与えることは以前から知られていたが、GPS衛星の位置と訂正の関係についての研究はされていなかった。
核爆発の爆心地から単純にTIDの状態が波のように一定速度で拡がっていったと仮定すると、2009年のデータでは高度300kmあたりを870km/hで移動した計算になる。
その後、2006年のケースと、1992年のネバダ州での核実験のケース、2011年の東日本大震災におけるTIDをGPS信号の記録から確認したところ、核実験と地震によるTIDの発生パターンが異なることや、核爆発の規模でTIDの伝搬速度が異なることがわかった。後者については、1992年の20キロトンの核爆発が、2009年のUNEで起こったTIDの3倍の速度だった、とある。

VLAの方だが、こちらもGPSと同じくTIDに対する訂正を連続的に行うため、基本的には同じ考え方でデータを分析すればよく、VLAの技術者と連携して実際に同様のデータが残っているのを確認できたとのこと。

うまく捉えられるかはGPS衛星の位置関係にもよるし、核拡散の問題をどうこうする技術というわけではもちろんないが、新しい手段を得たのは悪い話ではない。
情報提供者を危険に晒す必要も少なくなるし。

インド海軍向けMiG-29Kの艦上トライアル完了およびMiG-29UPGの進捗/HALがジャギュアのDarin III改修機を初飛行させる/インドの軽航空機レーダーシステム入札について/RAAFのC-130Hが正式に退役

インド海軍向けMiG-29Kの艦上トライアル完了およびMiG-29UPGの進捗

http://www.flightglobal.com/news/articles/mig-29k-carrier-trials-for-india-completed-378416/

ヴィクラマーディティヤの方は引渡しが更に延期となってしまったが、艦載機の試験は予定通り進行し、10月で一通り完了ということになったようだ。

また2008年3月契約の、空軍型MiG-29のアップグレード改修、UPG型は、RAC MiGのLukhovitsy工場にて最初のバッチとなる6機分の作業が完了した。今回の発表が行われたのはこの工場で、10月25日のことだった。
アビオニクスはMiG-29Kとだいたい共通となり、ロシアの技術協力のもと、インドで改修作業のうち90%を行うことになっている。

予定では、2017年末までMiG-29/35の製造がピークということで、金額にして合計60億ドル以上の取引が関係するという。
内訳は、まずインドおよびロシア海軍向けのMiG-29Kがあり、2013年には最初のロシア空軍向けのMiG-35を引き渡すことになっていて、2014年にかけてロシア空軍の追加発注を期待している。

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HALがジャギュアのDarin III改修機を初飛行させる

http://www.flightglobal.com/news/articles/hal-conducts-maiden-flight-of-upgraded-jaguar-fighter-379631/

インド空軍のジャギュア近代化改修は、Darin IIIと呼ばれる仕様で、ミッションコンピュータ、エンジン、コクピット計器とデジタルビデオレコーダ、INS/GPS航法システム、オートパイロット、RWRなどを一新、電源も強化される。

設計から改修までの全作業をHALが担当することになっており、オーバーホール部門が実際の改修を、Mission & Combat System Research & Design Centreが設計を行う。

現状ではエンジンはアドーア811のままだが、本命の代替エンジンはハネウェルF125INとする方向で交渉中。
F125INについてはハネウェルがメーカーサイトを開設している。

http://www.honeywellforjaguar.com/

ホットスクランブル時の離陸滑走距離は23%短縮、推力は17~40%の増加、航続距離は36%の増加、最大ペイロードは2000kg増加などと主張している。
改修機数は125機分なので、エンジンの数では250基以上ということになる。

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インドの軽航空機レーダーシステム入札について

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-to-compete-follow-on-aerostat-radar-deal-378530/

インドでは、過去にラファエル製の軽航空機(気球)搭載レーダーシステムを2セット導入したが、2011年に運用上の問題と経費・修理費に関わる報告が出されている。
その後の詳しい展開は不明だが、インド側としては別のシステムの導入を検討する方針に傾いており、2013年中頃の入札という非公式な情報も出てきている。

このシステムは、低高度を飛来する脅威(航空機と巡航ミサイルを含む)の探知を主眼とするもので、新たに入札が予想されるメーカーには、BAEシステムズ、IAI、LM、ノースロップグラマン、タレス、ロシア(Rosboronexport)が挙げられている。さらにラファエルも、新型レーダーを含むタイプの提案で応じる模様。

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RAAFのC-130Hが正式に退役

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-raaf-retires-c-130h-after-34-years-of-service-379634/

RAAFのC-130Hは、導入から34年が経過しており、東ティモール、イラク、アフガニスタンへ展開したほか、人道支援にも活躍した。バリ島やカンボジアからのオーストラリア国民の避難に用いられた事にも触れられている。

これらの機体のうち、4機がリファービッシュ処置後インドネシアへ譲渡され、2機はRAAFリッチモンドで訓練任務に就き、4機はポイント・クックの博物館に送られた。
2012年末で退役となるのは6機であるが、これらもインドネシアへ譲渡される方向で進んでいるようだ。

退役は当初のスケジュールよりも早いため、早期退役という形になっている。これにより節約できる4年間の維持費は、2億5000万オーストラリアドルとのこと。
C-130Hに代わる輸送機部隊としては、C-130J×12機とC-17×6機で、さらにC-27J×10機の追加も決まっている。

デンマークはリンクス後継にMH-60Rを選定/AW169原型3号機、AW149開発状況/バングラディシュ陸軍向けのAS365 N3+ ドーファン/最初の民間向けMi-171がインドネシアに納入される/ユーロコプターX3の今後の展開など

デンマークはリンクス後継にMH-60Rを選定

http://www.flightglobal.com/news/articles/denmark-confirms-mh-60r-selection-to-replace-lynx-helicopters-379331/

11月21日、デンマーク国防省は、現用のリンクスを更新する海上輸送ヘリコプターとしてMH-60Rを選定、金融省の承認を得たと発表。リンクス後継には、ウェストランド系の直接の後継機種であるAW159リンクス・ワイルドキャットも提案されていたが、これは選定されなかった。

今回選定されたMH-60Rは、2016年から2018年にかけてKarup空軍基地にて9機が引き渡され、2017年から現用のリンクス90B(7機が現役)と交代し始める事になっている。

この機種はオーストラリア海軍でも24機が採用され、元々のUSN向けと合わせて170機ほどが配備されている。こちらはS-70Bからの更新という形だったが、リンクスの後継に収まったのはデンマークが多分初。

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AW169原型3号機、AW149開発状況

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-third-aw169-prototype-takes-to-the-skies-379452/

11月23日、AW169の原型3号機がイタリアのCascina Costaにて初飛行に成功した。飛行時間は35分程度。
メーカーのアグスタウェストランドからは、原型4号機は2013年初めの初飛行を予定し、2014年の型式証明取得と納入というスケジュールに変化はないとの公式発表が出ている。

2010年7月にロンチされたこの機種は、6tonのAW139と10tonのAW189の下の、4.5ton級10人乗りで、ユーロコプターのドーファンまたはEC145に対抗する。エンジンはPW210の双発。

原型1号機は5月、2号機は7月初飛行で、累計飛行時間は100時間超。この原型3号機は折りたたみ式の降着装置を有しており、主に人工気象室での試験に供される。具体的には寒冷地及び高温・高地試験、カテゴリーA性能試験、その他オプションの型式証明などを予定している。

AW149の方は、軍用のAW189の原型機4機のうち、2機が民間向けのAW149に近付けた仕様で製作されており、これらの累計飛行時間は800時間を超えた。2013年中頃の型式証明を目指す。

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バングラディシュ陸軍向けのAS365 N3+ ドーファン

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-bangladesh-army-inducts-two-eurocopter-dauphins-379585/

写真の提供元はユーロコプター南西アジアとなっている。シンガポールに拠点を置き、フルモーションシミュレータを含む地上での訓練は、ここで行われるとのこと。

蛙っぽいカラーリングだな。

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最初の民間向けMi-171がインドネシアに納入される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-russian-helicopters-delivers-first-civilian-mi-171-to-indonesia-379483/

ロシアンヘリコプターは、Mi-171の民間型をインドネシアの鉱業会社に納入したと発表した。顧客名は明らかにされていない。

写真では機体にAIRFASTという文字が見えるが、これはチャーター会社のエアファスト・インドネシアの塗装とのことで、機体の運用と整備を行う契約を結んでいると考えられる。
鼻先がMi-8から引き継がれたガラス張りで、外見はかなり伝統的なイメージだ。キャビンも丸窓だし。

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ユーロコプターX3の今後の展開など

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-eurocopter-test-pilots-praise-x3-handling-376412/

9月のILAの記事だが、計画のまとめになっているので遡ってメモ。

X3のテストパイロットを務めたHervé Jammayra氏は、同機がほぼ事前のシミュレータ通りの挙動を示したことと、固定翼機並の加速性能を賞賛している。

7月から8月にかけての北米デモンストレーションツアーを終え、飛行時間は2年間で120時間に達したとのこと。

また飛行中の動力の配分に関して幾つかの情報が出てる。
設計上の目標速度は220kt、時速400kmだったが、これは最大出力の80%ほどで232ktを達成できた。
メインローターとプロペラの動力配分は速度域によって変化する。小翼の発生する揚力は最大で40%を占め、つまりメインローターの揚力は減少するわけだが、今度はプロペラの方で対気速度を維持して揚力を保つためのパワーが増大する。
一方、巡航時のメインローターは出力25%程度で済み、ピッチを減らせるので、振動がかなり抑えられるという。

こうして見ていくとわかる通り、小翼の面積は設計上、かなり重要な要素と考えられた。また小翼の追加はオートローテーション特性の変化(減少)にも繋がるとされている。
これについて、試験を担当したエンジニアのDominique Fournier氏によると、X3のオートローテーション特性は、ドーファンとほぼ同様であることが飛行試験で確認されたとのこと。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-eurocopter-plans-x3-type-helicopter-during-next-seven-years-376405/

ユーロコプターのCEOは、次の6~7年で実用機に発展させる事を示唆したものの、型式証明に時間を要する可能性があるとも発言している。

どんな機体になるか、という点については、はっきりした回答を出さなかったが、X3のような中型機だけでなく、小型から50人乗りといった大型まで対応できるとする。

とは言えガス・油田向けが最初の目標であることには変わりないようで、原油価格が1バレル80ドル以上といった水準であれば、調査目的での長距離進出に対するニーズが高まると考えている模様。
この他には、高速性能がVIP輸送やSARといったミッションにも適応するとも述べている。

珠海航空ショー2012 その2

まとめがこの頁。

http://tuku.military.china.com/military/html/3036/3036-51424_1.html

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J-20の公式スケールモデル?

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-21/210115_2269675.htm

動翼が可動するモデルで、どこまで正確なのかは謎。
別ページでロシアンナイツのパイロット達が手にしている。1/72程度だろうか。

そういえばロシアンナイツはホームベースの土地が民間の手に渡ってどうのこうのという話があったが、活動はしてるのね。

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エンジン関連

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-12/209690_2262294.htm

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現用もしくは将来のパイロット装備

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-14/209826_2264580.htm

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-14/209826_2264590.htm

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歴史的な機体の地上展示

MiG-15bisらしい

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-07/209524_2260070.htm

1930年のPLAAF最初の航空機で、レーニン号と命名されたもの

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-08/209581_2260774.htm

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-18/209953_2267004.htm

このあたりは復元機で、普段は屋内で展示されてるみたい。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-07/209516_2259956.htm

その他地上展示はJ-6とかJ-8IIとかもあり。

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前回はタイミング的に宇宙関係の展示が凄かったが、今回は天宮宇宙ステーションのモックアップが出てる。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-10/209634_2261543.htm

あと、神舟9号の改修されたカプセルも。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-18/209947_2266913.htm

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ウェポン類展示が目立つ。

FT-1/3/5が基本型のJDAMもどきで、FT-2/6がJDAM-ERもどきFT-3A/6AがLJDAMもどき かな?

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-10/209632_2261498.htm

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-12/209696_2262450.htm

SD-10/PL-5E/TY-90/PL-9C/LD-10とLS-6系誘導爆弾(JDAMもどきその2)

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-10/209627_2261385.htm

パネル展示

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-09/209593_2260912.htm

BP-12A(短距離弾道ミサイル)、C-701(SSM)、YZ-100系(小型クラスター爆弾)、YZ-200系(小型誘導爆弾)、CM-400AKG(スタンドオフ性を有する超音速ASMでFC-1などに搭載可)、CM-502KG(短射程の小型ASM)、CM-602G(地上発射型巡航ミサイル)、C-705KD(空中発射型巡航ミサイルでC-705ASMの派生型)
説明は省略。英文である程度わかる。

で模型展示はこっち。Cが付くASM/SSMファミリ。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-10/209631_2261466.htm

250kg/500kg級のディスペンサ(CS/BBC5など)、とか貫通爆弾的なもの。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-10/209629_2261447.htm

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-14/209824_2264563.htm

標的用ミサイルのランチャーを積んだ車輌とBW-II超音速SSM。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-14/209823_2264550.htm

SAMシステム関連の展示(パネルは読めるが模型には布が被さった状態)

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-10/209635_2261554.htm

CS/BBF1(250kg級のFAE)

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-16/209877_2265403.htm

 

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C4ISRに関するパネル展示

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-16/209874_2265291.htm

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FLIRとかターゲティングポッド

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-14/209819_2264511.htm

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飛行展示では民間ではブライトリングのチームが参加したほか、パキスタン空軍がJF-17、ロシア空軍がロシアンナイツのSu-27で持ち込んでおり、機材輸送でそれぞれC-130とIl-76が飛来した模様。

デモフライトではWZ-10と、

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-11/209645_2261711.htm

WZ-19が目玉だったのかな。しかし天気いまいち。前回もこんな感じだったが。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-11-11/209647_2261750.htm

改良型Iron Domeの試射が成功/ブラジルの新型装輪APCについて

先週から下書きに放り込んでおいたら、イスラエルで新たな武力衝突が始まってしまったという。もうちょっと書き足そうと思ったけどとりあえず公開しとこう。

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改良型Iron Domeの試射が成功

http://www.spacedaily.com/reports/Israel_success_in_new_missile_defence_test_999.html

イスラエル空軍は、Iron Dome改良型の試射に成功と発表した。同国のメディアは中距離ミサイルの迎撃が可能になったと伝えている。
Iron Domeのシステム一式は、探知/追尾レーダー、射撃統制装置、3基のランチャーに20発の迎撃体を備え、4~70km以内の目標を迎撃する。1回の迎撃に要するコストは約5万ドルと報道されているようだ。この辺の費用対効果については幾つか記事が引っかかる。

http://www.spacedaily.com/reports/Israel_success_in_new_missile_defence_test_999.html

ここではGrad一発が1000ドルと書いてある。正確性はともかく、価格的に迎撃する方と桁が一つ(以上)違うのはほぼ間違いない。

次のエルサレム・ポスト紙の論説記事では、非効率で、軍部内でもそのような意見が存在することを認めつつ、なおIron Domeの価値があることを主張している。

http://www.jpost.com/Opinion/Editorials/Article.aspx?id=261602

国民の生命財産の保護、発生しうる損害額の大きさという題目のほか、敵がより多くのロケット弾を用意しなければならなくなるという抑止効果、攻撃の規模が大きければ大きいほどイスラエル側が捕捉・対処しやすくなる事、そしてパレスチナ側の経済規模が小さい事から、ロケットによる攻撃は相対的に高いものにつく(=経済規模の差があるので単純に金額の多寡を比べても意味がない)などの根拠を挙げている。
莫大な予算を投じて開発したからというのも当然あるだろうが、概ね政府の主張をなぞった感じの記事になっている。

もちろんそのカネで和平を進める方向に~という類の意見もアリだろうけど、ここの記事にそんなコメント書きこもうもんなら漏れなくテロリスト認定されそうだ。

 

やや関連で、先般のUAVによる領空侵犯の件の続報が先月末の記事にあった。

http://www.spacedaily.com/reports/Iran_has_Israel_drone_data_defence_official_999.html

イランのTVで、イラン国防委員長のEsmaeel Kosari氏が、ヒズボラの無人機から得たリアルタイムの中継データを入手していると述べた。事実であればイスラエル国内の核施設周辺、「制限空域」内の画像がイランに渡ったということになるが、匿名のイスラエル空軍将校はこれに懐疑的な見方を示した。カメラが搭載されていたとは思われないとしつつも、調査が続けられている事は認めている。

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ブラジルの新型装輪APCについて

http://www.spacewar.com/reports/Brazils_armored_personnel_carrier_on_way_999.html

ブラジルは老朽化したEE-9、EE-11 APCの後継となる6輪のVBTP-MR/グアラニAPCを、イタリアのイヴェコSpAと共同開発している。これには初の海外顧客としてアルゼンチンが興味を示しているとのこと。

http://www.defenseindustrydaily.com/VBTP-A-New-APC-for-Brazil-06048/

ここに至るまでには長い紆余曲折があって、その辺の経緯がこの記事の主題となっている。
かつての兵器市場においては、ブラジルのメーカーにもそれなりの存在感があったのだが、イラン-イラク戦争(1988年終戦)の後、大きく後退した。それに続く湾岸戦争の後、米国製の武器が中東で大量に導入される展開となり、ブラジル製の兵器が入る余地はなくなった。結果として1993年、EE-9、EE-11などのAPCなどを開発、供給していた自国のEngasaというメーカーも破産してしまう。

それから時が流れ、21世紀も10年が過ぎる頃になると、エムブラエルの防衛部門が独立したり、軍民両方の回転翼機のJVを設立したりと、防衛産業を再生する試みと投資が活発となる。

グアラニAPCはこうした背景の中で、ブラジルの企業と協力関係にあり、ラテンアメリカで広く事業展開しているイタリアのイヴェコに発注された。2009年12月に結ばれた開発契約は、金額にして32億ドルとされる。国内の産業基盤を再生するために必要な条件として、技術情報へのアクセスを求める内容だった模様。

グアラニAPCは戦闘重量20ton級で、エンジンはフィアット傘下のFPT製ディーゼル(旧イヴェコ・モータース)、自動変速機付。開発はイヴェコ・フィアット・オットーメララJVとなっている。プーマ装甲車も同様の体制で開発されているが、車体の規模が一回り以上大きい。

http://www.maesco.com/products/iveco/iveco.html

ドライバーを除く輸送兵員数は10名で、C-130またはKC-390で空輸可能。水陸両用性能がある。
空輸可能である点や車体規模はストライカーに近いが、実際に空輸を行うかはまた別の話。

またエルビットが遠隔操作銃塔を供給する契約を締結した。

http://www.spacedaily.com/reports/Elbit_To_Supply_Brazil_Remote_Controlled_Weapon_Stations_999.html

ブラジルの現地法人はAres Aeroespacial e Defesa S.A. という名前。12.7mmまたは7.62mmを搭載できるもので、REMAXという製品名が付いている。

http://www.ares.ind.br/produtos/terrestre/remax

標準型に搭載されるようだ。

元はイヴェコが自主開発したSuperAVという8輪APCで、これはA400Mで空輸可能とされていた。これを更に遡るとチェンタウロの車体を再設計したIFV型、VBM Frecciaに行き着く。
と、Military-Todayに書いてある。

http://www.military-today.com/apc/iveco_superav.htm

いずれも20tonを超えており、M113など従来の装軌APCの後継として考えられている。

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非公式だがCMIの90mm砲搭載型を3DCGにした人がいる。

http://www.oxygino.com/site/?p=2253

他にもKC-390とか怪しい架空機とか頑張りすぎです。全体的にかっこよさ優先の割り切りが素敵だ。

Oxygino Aviation Art  http://www.oxygino.com/site/

米陸軍がUAVからの迫撃砲弾発射をテスト/米海軍はUCLASSのRfP(草案)を2012年内に発出する見込み/トルコがAerostar UAV運用を打ち切り?/イラン空軍機が米国のUAVを攻撃

米陸軍がUAVからの迫撃砲弾発射をテスト

http://www.generaldynamics.com/news/press-releases/detail.cfm?customel_dataPageID_1811=18078

米陸軍ARDECは、ゼネラルダイナミクスと協力してUAVから迫撃砲弾を発射するテストを行った。小型UAVが搭載可能なPGMのデモンストレーションとされている。

使用されたUAVは、L-3のタイガーシャークUAVで、オクラホマ州フォートシルに近いレンジにて、高度7000ftから3発の迫撃砲弾を発射した。これらは標準的な81mm迫撃砲弾であり、GPSとINSを利用して目標に指向される誘導キットと組合せ、目標地点の7m以内に着弾したとのこと。
メーカーではAir Drop Mortar (ADM)と呼んでおり、この実験では10ポンドクラス誘導弾の例を示した形となった。なおタイガーシャークUAVのペイロードは30ポンド。
また誘導キットはゼネラルダイナミクスが特許を取得したもので、Roll Controlled Fixed Canard (RDFC)と名付けられている。
詳細は陸軍の資料にて。

http://www.dtic.mil/ndia/2012armaments/Wednesday13995habash.pdf

これの空中発射型がADM。普通のM821砲弾と信管で9.1ポンドのところ、RDFCを追加した重量は10.8ポンド。また120mm迫撃砲弾にも適用可能。

http://www.defenseindustrydaily.com/Mortars-from-Aircraft-The-Shadow-Knows-05226/

このクラスでは、レイセオンのSTMが12ポンド(製品名がPyroとなっている)でGPS/INS誘導またはSAL誘導の小型PGM。またLMがシャドウホークという11ポンドのSAL誘導の小型PGMのデモンストレーションを実施している。こちらはRQ-7を使ったデモンストレーションだった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-unveils-gravity-bomb-for-uav-371344/

コストでは81mm迫撃砲弾+誘導キットのADMが有利っぽいが、GPS/INS誘導のみなので精度はSALなどに比べて劣ると思われる。
このクラスになると大抵の小型UAVに搭載可能で、自衛隊が導入するRQ-21みたいのでも積めるはずだ。

 

これらに先行して、米海軍NAWCなどで開発されていたのがスパイクというやつで、重量は更に軽く5.3ポンド(試作原型時)、全長25インチだった。歩兵携行型の無誘導ロケットとATGMの中間にあたるもので、SAL誘導。小型UAVへの搭載も考慮されていた。

http://www.designation-systems.net/dusrm/app4/spike.html

http://defense-update.com/products/s/spike_laser.htm

推進システムを有するため、弾頭は1ポンドと小さい。射程距離は2200m程度。
主に低価値目標に対して用いられる安価な誘導兵器として開発が進められた。2003年末からSDD、2007年に実射が行われたようだが、その後の進展は不明。

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米海軍はUCLASSのRfP(草案)を2012年内に発出する見込み

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-to-issue-draft-rfp-for-new-unmanned-strike-aircraft-before-years-end-378562/

UCLASSについては8月に一部の要求仕様(の草案)が開示されたという話が出ていたが、2012年末までにRfP草案が出る見込みとのことで、ここで全体像がはっきりする事になる。
2020年のIOC獲得に間に合うのか微妙な気もするが、その段階では艦上機として完成させる事は必須でない上、最初から発展性なりアップグレード余地を求められているので、当初の能力は、相当限定されたものに留まるのかもしれない。

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トルコがAerostar UAV運用を打ち切り?

http://www.flightglobal.com/news/articles/turkey-set-to-axe-aerostar-uav-deal-378532/

トルコは2005年、イスラエルのIAIからヘロンUAV(地上管制ステーションはエルビット)を調達する契約を締結したが、その後、計画の遅れによってAerostar UAVを繋ぎとして導入している。
ヘロンUAVの方は、二国間の関係悪化とは関係なく運用されている模様であるが、Aerostar UAVの方はここ数ヶ月間、運用に問題があるという情報が出ていたようだ。今回の報道もトルコ側から出ているもので、運用打ち切りと機体(3機)の返還を検討、となっている。メーカーのAeronautics Defense Systemはこれを否定した。

Aerostar UAVについては、10月にポーランド軍が2機の調達(約3500万ドル)をキャンセルしたばかりか、補償金の支払いまで求めている。
こちらも運用上の問題とされていたので、如何に二国間関係が悪化してるとはいえ、政治的にどうこうというよりは、何かしら問題がある装備なのか、セールスがよほど巧みだったのか。いずれにしてもいただけない話ではある。

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イラン空軍機が米国のUAVを攻撃

http://www.spacedaily.com/reports/Iranian_jets_fired_on_US_drone_in_Gulf_Pentagon_999.html

米国防総省は、ペルシャ湾の公海上空でイラン空軍の戦闘機が米軍のUAV、MQ-1を攻撃したと発表している。インシデントは11月1日に起こったが、大統領選挙の後で公式発表された。
位置はイランの海岸線から16海里のあたりで、攻撃を仕掛けたのはSu-25、警告ではなく撃墜を意図した発砲だったとされている。MQ-1に命中弾はなく、そのまま帰投した。以後、攻撃を受けるケースは発生していない。ミッション自体は、ルーチンとなっているイラン側の監視であり、今後も継続するとのこと。

米国はペルシャ湾方面に対して、2個CVBGの配備や、UAEへのF-22の展開といった形で軍事的プレゼンスを強めている。
またこれと別に米国務省は、国際衛星放送の妨害とインターネット接続における検閲を止めるよう要求しており、後者については検閲を外部から強制的に停止させるような言い回しをしているみたいだ。

A330MRTTの給油ブーム脱落事故について/A400Mの飛行試験で、トランザールC160との空中給油試験が進行中/ラファールのMereor BVRAAM分離試験/BAEシステムズとEADSの合併交渉断念およびその背景/BAEシステムズの海外事業

A330MRTTの給油ブーム脱落事故について

http://www.flightglobal.com/news/articles/airbus-military-explains-cause-of-a330-boom-detachment-377845/

9月10日、UAE向けの3機のA330MRTTのうち最初の機体が、顧客受入前飛行中に給油ブームを落下させるインシデントが発生した。場所はスペイン領空内で、高度27000ftを飛行中に分離、落下した。幸運にも人的被害を含め、地上には被害らしい被害が生じなかったとされている。

この機体の給油ブームには、顧客要望による独自の仕様として、予備のブーム巻き上げ用ホイストが設置されており、これがインシデントの原因になったと結論されている。また通常の使用条件では起こり得ないとし、既に問題点は修正されたとのこと。

インシデント発生直後から、他のA330MRTTでもブーム操作に制限が加えられている事態となっていたが、スペインの耐空性証明当局INTAは調査結果と対策を確認した後、これを解除した。前述のように、現用のA330MRTT、英国、オーストラリア、サウジアラビアの機体には、もともと予備のホイストは設置されていない。

ということで、深刻な影響を受けるのはUAE向けの分のみということになった。5月時点では9月と12月に1機ずつの納入を予定されていたが、この日程は変更される方向で協議中。
UAE向けは、今年前半の段階でF-16へのブームからの給油、ミラージュ2000へのドローグからの給油についてOT&Eが完了していた。本当に引き渡し直前の出来事だったのね。

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A400Mの飛行試験で、トランザールC160との空中給油試験が進行中

http://www.flightglobal.com/news/articles/a400m-advances-refuelling-trials-with-french-transall-377753/

エアバスミリタリーは、A400Mの飛行試験のうち、フランス空軍のトランザールC160からの給油試験を実施中となっている。写真は、12分間のドライコンタクトを行った際のもの。まだ燃料を流すところまで行っていない。

受油側はグリズリー1/F-WWMTで、実際の給油を含む試験は来年になる予定。

A400Mの空中給油に関する飛行試験は、以前RAFのVC-10との組み合わせでも実施された。ただしVC-10は2012年度いっぱい、2013年3月31日をもって退役することが決まっているので、RAF向けは間に合わずという結果に。C160もA400M配備とともに退役の見通し。

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ラファールのMereor BVRAAM分離試験

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-rafale-clears-meteor-safe-separation-test-377798/

フランスのDGAは、CEV飛行試験センターにおいて、ラファールからのMeteor BVRAAM分離試験を2度実施している。発表によると、Cazaux空軍基地を中心に10月4日と10日に試験が行われた。機体は複座のB301号機だった。

フランスでは2010年12月、MBDAに200発を発注した。空軍と海軍のラファールに装備する計画で、2018年からの配備を計画している。
ユーロファイター、グリペンでも運用可能となるから、あとはF-35へのインテグレーションが実現すれば、2020年代まで西欧の標準AAMの地位を確固たるものにできるだろう。

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BAEシステムズとEADSの合併交渉断念およびその背景

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-bae-eads-merger-a-test-of-national-resolve-to-change-377578/

9月12日から、欧州の2大軍需メーカーの合併交渉として注目を集めたこの一件であるが、10月10日、双方の株主多数の反対により、断念との公式発表で一旦幕となった。
どちらも株式の多くは政府機関が保有する格好なので、単純な民間会社の合併とは様相が異なった。が、米国の防衛産業への影響どうこうという以前にあっさり頓挫したのは、意外と言えば意外。当事者がどう予想していたかはともかく、それだけ抵抗が強かったということになるか。

ランド研究所によると、どのような見地から分析しても欧州の固定翼軍用機(特に戦闘機)製造設備は過剰であるとのことで、3機種が存在する状態は、仮に防衛予算が上昇傾向だったとしても効率が悪い。現実には、予算は急激に削減されるか横ばいであるために発注数は削られ、次世代(早ければ2030年代と考えられる)の概念研究に影響が及ぶのは避けられない状況となっている。

この部分に補足すると、2020年代あたりまでは無人機と現用機の併用として、問題はその次、第6世代相当の話となるが、欧州ではまだあまり話が出てこない。今のうちに再編して、地域レベルで合理化・一本化するのが得策と言いたいみたい。各国とも次世代戦闘機に着手する初期段階なので、タイミングとしても悪くない。でもそう考えると、合併だけが唯一の選択肢、というわけでもなさそう。どっちかというと外交や経済政策の問題が大きい。

この設備過剰という見解は、欧州だけでなく米国でも支持されていたようだ。当初はBAEシステムズとEADSの合併に対し、米政府が反対するのではとも言われたものの、そこまで行くはるか以前、英独仏各国政府間の話し合いの段階で終了してしまったので、本当のところはよくわからない。
BAEシステムズは合併という手段で米国市場へ進出し、過去10年で米国向けの取引が収益の半分を占めるまでになった。これとEADSの合併ということになれば、米国内における競争力が強まることが予想されたわけであるが、業界はともかくとして、国防総省当局は、実はそれを望んでいた節もあるという。国防省内で、米国のメーカーがコスト意識を強めることが必要、と一般的に考えられているとしたら、その可能性も確かに高い。KC-Xの時も、一度はEADSの提案したKC-45を選定したわけだし、国内政治が関わらなければ展開は変わる。
その国内政治にしても、米国内の雇用が確保されれば切り崩す余地が生じるので、BAEシステムズの築いた米国部門が効いてくる。かもしれない。

ともあれ英国-欧州側の政治的なハードルが高かったのは間違いの無いところだが、最終的に引導を渡す形になったのは、両社に直接関係する投資グループの対立だった。BAEシステムズの筆頭株主(13.3%)であるInvescoは、公式発表において、合併はBAEシステムズの米国部門にとって損失であろうと述べている。筆頭株主が反対する合併交渉って…
なお、欧州におけるこの種の合併の成功例としては、MBDAのケースがある。

いろいろ書いてあるけど、次世代の前に何とかしたいというのが各メーカーの本音で、とにかく共倒れでみんな失業、という事態は避けたい。共倒れなら、目先の合理化で雇用が脅かされるよりも、はるかに重大な結果となる。

民間部門と重なって成長できるところ(大型機と回転翼機)は集約が進んだ。対して軍用機以外の技術には直接繋がり難い戦闘機は、ハードルが高いということでいいのかな。
無人機はよくわからん。民間転用が本格的になれば、ある程度は勝手に集約されていきそうだが、機体規模と性質によっては戦闘機並のインフラが必要になるし。
あとは各国の政策の問題になるだろう。今度こそ共同開発で何とか…は、無理か?

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BAEシステムズの海外事業

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-bae-targets-international-business-after-dropping-merger-plans-377557/

FGなので、英国側の話に詳しい。
BAEシステムズは、米国への進出を果たしはしたものの、今後は予断を許さない状況になる。例の10年で米国防予算5000億ドル一律カットの措置が現実になると、影響は免れない。一方、地元の英国防予算は、2010年のSDSR以来、横ばいで推移していて成長は望み薄。
必然的に海外へ目を向けることとなる。

最近の大成功事例が、8月の韓国のF-16アビオニクスアップグレードで、約130機、10億ドルの契約で元請になった。この種の事業も将来性が見込まれる分野であるが、長期的な協力関係も同様に重要視している。古くからの顧客で、いわばホームとも言えるのがサウジアラビア。
ここのタイフーン×72機の輸出が最大のもので、今年は練習機での契約が続いた。ホーク165×22機とPC-21×55機を含む金額は、16億英ポンドに達する。設備の方でも整備とアップグレードを実施可能な施設の建設について交渉中。タイフーンについての契約金額は明らかでないものの、70億英ポンドを超えるという。

が、タイフーンに関しては今のところ、それ以上の輸出には繋がっていない。オマーン向け12機(トランシェ3になる)の交渉は、現在進行中となっている。ラファールを差し戻して再交渉に至ったUAEには触れられていないが、やはり当て馬扱いなのか。

IAI Heron 1が海上哨戒デモンストレーションを計画/スイスがイスラエル製UAV、2機種の評価を完了/イラクがMi-28NEとL-159を発注/インド向け重量物輸送ヘリコプター入札でMi-26T2苦戦か

IAI Heron 1が海上哨戒デモンストレーションを計画

http://www.flightglobal.com/news/articles/video-iai-demonstrates-heron-uavs-maritime-credentials-377663/

IAIは、10月22日からのEuronavalでHeron 1の海上哨戒デモンストレーションを計画しており、14日にイスラエル国内でのリハーサルを実施、映像を公開している。

Heronを使用するシステムとしては、インド向けの輸出実績があるほか、自国の有人哨戒機で1978年から運用されているビジネスジェット機改修型のシースキャン(IAI ウェストウィンド1124にセンサを搭載した機体)を更新しつつあるとのこと。
イスラエル軍のHeronはEltaのレーダーとTamamの長距離EO/IRセンサを搭載、運用は空軍と海軍が合同で行っている。

IAIのMarat UAS工場でマーケティングマネージャを務める退役海軍大尉は、Heronが有人哨戒機に対しても有利であると述べた。特長として、ベイへの搭載能力と電源系に余裕があるので多様なセンサを使えることと、特殊なアンテナを装備した艦艇であれば、電磁波的に静粛を保ちながらコントロールすることも可能となることを挙げている。
ペイロードは250kgで、複数ペイロードの搭載に対応する。
その他、典型的な哨戒ミッションでは比較的低高度(5000~8000ft)で運用することになるが、衛星通信装置も備える。

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スイスがイスラエル製UAV、2機種の評価を完了

http://www.flightglobal.com.ej.b.hpi.transer.com/news/articles/switzerland-completes-israeli-uav-evaluations-377780/

スイスはイスラエル製UAVのうち、IAIのHeron 1とElbitのエルメス900の2機種を国内に持ち込み、評価飛行を行った。この結果は2014年にMALE-UAVの要求仕様に盛り込まれることになっている。

この2機種と、それぞれのメーカー間の競合関係はかなり熾烈で、2国間取引に影響を及ぼすこともあった。コロンビア向け契約では一度キャンセルされる要因ともなった後、今年5月にエルビットの2機種採用で決着した経緯がある。

http://www.flightglobal.com/news/articles/auvsi-elbit-systems-wins-colombian-uas-contract-375153/

エルメス900および450を今後2年間で引き渡す契約になっている。

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イラクがMi-28NEとL-159を発注

http://en.rian.ru/business/20121009/176508350.html

イラク現体制は、米国への軍事面での依存を減らす方向に動いており、ロシアとMi-28NE×30機の導入で合意した。ロシアからの兵器輸入はフセイン体制以来となる。
10月9日、マリキ首相のモスクワ訪問時に合意となったもので、Pantsir-S1防空システム×50セットの調達も合わせて発表された。

現在、ロシア軍にはMi-28N×64機が配備されており、最終的には200機に達する計画。
イラクでは以前、A型の輸出型(=昼間戦闘用でレーダーもFLIRもないD型?)を調達しようとしたものの、一度断念している。NE型はN型の輸出型で、フル装備ならAH-64Dに匹敵すると言われているが詳細不明。ちなみにインド向け提案はAH-64Dに負けたっぽい。

http://en.rian.ru/mlitary_news/20120821/175340796.html

かつてはロシア/旧ソ連とイラクとの軍事的関係は密接かつ、長期に及んだ。旧ソ連時代を通して、フセイン体制下での兵器輸入額は、軍用機、戦車から艦艇も含めた30年の総額で305億ドル。軍用機に限っても、固定翼機1000機、回転翼機350機という規模だった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/iraq-orders-mi-28-attack-helicopters-377547/

今回の動きは、モスクワとの関係を回復させる試みと捉えられている。

L-159の方は、

http://www.flightglobal.com/news/articles/iraq-advances-negotiations-for-czech-l-159-trainers-377611/

交渉については以前から伝えられていたが、チェコとの関係は、かつてフセイン体制下でL-29/39を導入していた経緯に続くものになっている。
ただしこちらは、単純に対米依存云々ともちょっと違う気がするが(この手の軽攻撃/練習機は米国製が無く、決定版的な機種も存在しない)、F-16の訓練ならあんまり特殊な要件にはならなそうではある。

こちらもイラクのマリキ首相がチェコを公式訪問、プラハにて首脳会談を行う前に、アエロ社(Aero Vodochody)のOdolena Voda工場を視察したとのこと。

L-159は単座攻撃機のA型が72機製造され、10機が複座練習機に改修されたが、チェコ空軍ではA型は24機が運用されるのみで、残りは保管状態。
2011年末の報道では、イラクは24機の調達を希望していて、10億ドル規模の取引であるとされていた。英ウィキペの記述もこれに沿ったもののようで、B型ベースのBQ型というのがイラク向け、新造機24機とチェコで保管中のT1が4機になってる。

ロイターでは「24機で合意」になってて7ヶ月以内に最初の機体が引き渡しとされている。

http://www.reuters.com/article/2012/10/12/iraq-military-idUSL5E8LCB4620121012

新造にしては早いのだが、既存のT1?
どうやらT1×4機とBQ×24機みたい。

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インド向け重量物輸送ヘリコプター入札でMi-26T2苦戦か

http://en.rian.ru/world/20121009/176496827.html

インド向けの重量物輸送ヘリコプター入札では、輸送機、哨戒機、そして攻撃ヘリコプター同様、米国機のCH-47Fが最大の競合相手として立ちはだかる展開となっている。ロシアが提案しているのはMi-26T2で、基本設計は古いが最新のアビオニクスとグラスコクピットを備えた機体。設計の古さはCH-47もいい勝負だが、MTOWではCH-47Fの22668kgに対して2.5倍の56000kgと圧倒的ではある。
ただし機体規模の分、取得コストとライフサイクルコストで不利なのは否めず。

トライアルの結果により、年末までには選定の見込み。
契約締結後は3年以内に最初の機体を納入することになっている。