F/A-18FにCFTモックアップを装備した実機が公開される/マレーシア向けAEW&Cについて/LIMAでの その他展示/KF-X計画の遅延についてインドネシアが言及/スウェーデンがグリペンE開発完了までの予算を承認

F/A-18FにCFTモックアップを装備した実機が公開される

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-conformal-tanks-add-fuel-to-super-hornet-campaign-383904/

マレーシアで開催の今年のLIMAにて、ボーイングがF/A-18E/FのCFT装備状態を見せている。CFT本体はモックアップとのことで、実際には使用できない。地上展示に入る前に取り付けられたとある。

F?A-18E/FのCFTに関しては、インターナショナルロードマップとして発表されたものの一部であるが、本国USNがこの夏に試験を予定している。同機種はマレーシアのMRCA向け提案にも入っているので、今回の展示となったようだ。
CFTの容量は全部で3500ポンド。

USNで本当に採用する気があるかどうかは、微妙なところだろうか。現時点では可能なオプションの一つとしてテストしておくだけ、といった感じではある。

とは言え、F/A-18E/Fの遷音速までの加速性能の悪さは、主に機体の抗力の大きさに起因するものであることがわかっており、CFTで抗力が低下することはあり得ないので、パワー不足がより深刻になるだけなのではといった否定的な意見もある。F414の増強型EPEはまだ実物が無く、ファンと高圧タービンコアの再設計が必要とされるため、これをもって解決できるかどうかは定かでない。

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-may-add-conformal-fuel-tanks-to-fa-18ef-super-hornet-fleet-383701/

しかしながらF-35Cの開発遅延がさらに深刻化するとF/A-18E/Fの能力向上を本気で考えなければならなくなるので、何でも試しておくに越したことはない、みたいなことをティールグループのアナリストがコメントしてる。
どちらにしても財政の問題は短期的に解決できるもんではないので、装備化までの道程は長い。

今年のLIMAでは、MRCA提案予定の残りの機種、ラファール、グリペン、タイフーンもフライトを実施した。
ここでは18機程度の導入が予想されているものの、正式なRfPはまだ出てない。また早くから整備性の問題が指摘されたMiG-29Nについて、稼働機数が8機程度まで落ち込んでいるとも言われ、こちらの代替としても2015年以降に10機程度は必要という。
またマレーシア向けのF/A-18Dは、8機が1997年に引き渡された。

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マレーシア向けAEW&Cについて

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-northrop-saab-eye-malaysian-aew-requirement-383892/

同じくLIMAにて、サーブとノースロップグラマンがAEW&Cの提案を計画しているとの報道。今年のLIMAではノースロップグラマンが初めてブースを構えてE-2Dのオペレータ席などを展示した。
E-2Dは今のところUSN向け75機を受注し、国際的な売り込みの最中となっている。メーカーの提案としては、マレーシアに配備することを想定した場合、4機あれば持続的な領域監視が可能としている。4機ならCVN1隻分の機数と同じだ。

サーブが提案しようとしているのはEMB-145などにERIEYEを搭載したAEW&C機で、隣国タイ向けではサーブ340+ERIEYEの2機をグリペン12機をセットで売り込むことに成功している。
サーブの売り文句は、50%の価格で80%の性能というもの。E-2DというかノースロップグラマンのAEWレーダーを意識した言い回しと思われる。契約上のその他の強みは、技術移転とかオフセットの部分になる。

業界筋では、同国のAEW&Cへの潜在的な需要は根強いと見られているものの、財政的な問題も指摘されるところらしい。

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LIMAでの その他展示

・インドネシア空軍のCN295

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-indonesia-displays-new-c295-383957/

インドネシア製のC295のうち、インドネシア空軍向けはCN295となっている。2012年2月のシンガポールエアショーにて調達契約された9機のうちの最初のバッチの2機。のうちの1機がLIMAにて展示された。

・マレーシア空軍のEC725

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-malaysian-ec725-makes-show-debut-383955/

展示されたのは2012年12月に引き渡された機体で、2014年1月までに10機が引き渡される予定。
まだIOCは獲得していない。

この他、回転翼機関係では、アグスタウェストランドとAW139×6機およびAW189×2機の調達契約が結ばれている。

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-weststar-signs-helicopter-deals-with-agustawestland-eurocopter-383934/

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KF-X計画の遅延についてインドネシアが言及

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-confirms-18-month-k-fx-delay-383258/

KF-X計画は3段階に分けて進行することになっている。最初のフェーズはtechnology developmentで、これは2012年12月に完了した。韓国内に設置された共同のR&Dセンターには、インドネシアからも37人が派遣されている。
この後、試作機製造を含むengineering and manufacturingを経て、製造・マーケティング段階のjoint production and joint marketingに至る筋書き。

インドネシア国防省の声明によると、engineering and manufacturingのフェーズに関して、未だ韓国の議会が承認していない旨がDAPAを通じて連絡されたとのこと。DAPAは、昨年末の選挙の影響で遅れたと説明しており、またこれまでに費やした巨額の費用を無駄にすることなく、計画を進行させるとも述べている模様。開発計画全体の費用は50億ドル規模で、インドネシアは20%を負担することになっている。

冒頭にある18ヶ月の遅れというのはよくわからんが、単に韓国の現政権があんまり肯定的ではないのかもしれない。

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スウェーデンがグリペンE開発完了までの予算を承認

http://www.flightglobal.com/news/articles/saab-gets-deal-to-complete-gripen-e-development-383850/

スウェーデンでは空軍のグリペンC×60機をグリペンE仕様に改修する計画を承認しており、これを進める上で必要な契約を相次いで締結している。
今年の2月中旬(FY2014まで、金額は25億クローネ)と3月22日の契約(FY2015~2023まで、金額は107億クローネ)により、開発作業に関わる契約は全て締結されたとのことで、各種の試験機材やリグ、シミュレータまで含め、開発の目処が立った形となる。
引き渡しは2018年から2026年までを予定している。

一方、スイス向けの22機は、取引全体で最大472億クローネという金額が示されてる。

USAFのF-16近代化改修計画の変更について/台湾向けF-16アップグレードの契約が締結される/B-2向けEHF通信機アップグレード/定期整備中のJSTARSにサボタージュの痕跡が発見される/F-35の低率生産分のアップグレード改修について

USAFのF-16近代化改修計画の変更について

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-air-force-changes-acquisitions-strategy-for-f-16-radar-modernization-377627/

USAFのF-16近代化改修計画は、F-16 Combat Avionics Programmed Extension Suite (CAPES)と呼ばれるもので、レーダーの関する部分はF-16 Radar Modernization Programとされ、CAPESに含まれている。改修を施す機数は、最終的には300機程度が考えられている。

従来計画だと、F-16 Radar Modernization ProgramにおいてはCAPESの主契約(prime integrator)のLMに対し、発注側がレーダーを支給しLMが機体に組み込む、という形式になっていたのだが、このレーダーはCFE (Contractor Furnished Equipment)として取り扱われることになった。つまりは主契約のLMがレーダー選定、調達から組み込みまでを行うことになるらしい。

何度か出ているが、F-16向けAESAはノースロップグラマンのSABRとレイセオンのRACRの2機種が存在する。前者はF-22のAPG-77、F-16E/FのAPG-80、F-35のAPG-81と関連しており、後者は同様にF-15CのAPG-63(v)3、F/A-18E/FのAPG-79、F-15EのAPB-82と関連する。今のところF-15系の改修でレイセオンの方に実績がある。

LMでは、既に両方のレーダーを自社のシステムインテグレーションラボにおいて試験したとのことで、実際に飛行試験まで行われているようだ。しかし自分のところに決定権が回ってくるとは考えてなかったため、どちらがどうという判断はしていない。ただ、どちらもUSAFの要求性能を満たしているのは確認済とのこと。
とは言え、2018年Q4までに24機の引き渡しというCAPESのスケジュール、実際のインテグレーションと標準化に2~3年かかることから逆算すると、時間はあまりない。レーダーだけでなくアビオニクス統合、コクピットの中央表示装置の交換、EW能力の強化、データリンクなどのインテグレーションがあるため、レーダーは最重要ではあるものの、要素としては一部分に過ぎない。

なお、このあたりの開発は台湾向けと共通で進められるようだ。LMとしては、世界で使われているF-16の新たな標準仕様とすることを望んでいる(例外となるのはBAEシステムズと契約した韓国のF-16アップグレード)。
このアップグレード改修キットは、台湾向けとUSAF向け合わせて550セットが確定。
これと別に輸出向け新造機は100機程度が契約見込みとなっている。

AESA以外で進行中の案件としては、機体寿命延長に関する研究。試験機はジグ上に設置済みで、10月11日に事前チェックを終えた。本試験は年内に開始予定となっている。

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台湾向けF-16アップグレードの契約が締結される

http://www.flightglobal.com/news/articles/lockheed-martin-wins-185bn-contract-to-upgrade-taiwans-f-16s-377178/

7月の政府間合意(総額38億ドル)の一部となるもので、金額は18億5000万ドル。ROCAFのF-16A/B×145機について改修を実施する。
内容は概ねUSAFのCAPESに準じるが、この時の発表では、レーダーに関して未定とされていた。
上の記事はこの直後に出てきたので、USAF向けと同様の経過を辿ると考えられる。輸出と共通化するから、LMの方に主導権を移したような感じなのかな。

一方、韓国の方はLMから離れたのでどうなるか全くわからん。同国の調達官庁DAPAによると2013年に選定予定ということにはなっている。こちらはC/D型で機数は134機。

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B-2向けEHF通信機アップグレード

http://www.flightglobal.com/news/articles/northrop-begins-production-of-b-2-satcom-upgrade-377584/

ノースロップグラマンはB-2のEHF通信機アップグレード、インクリメント1の生産を開始した。9月28日に契約したもので、金額は1億800万ドル。このインクリメント1では、単に無線機を交換するだけでなく、プロセッサの交換、ネットワークケーブルの光ファイバ化やディスクドライブの大容量化といった内容が含まれており、メーカーでは全体的な情報処理能力が大きく拡大されるとしている。

EHFインクリメント1のOTは、ソフト、ハードとも7月末に完了。ノースロップグラマンによると、SDD段階で少数の機体に新しいサブシステムを搭載しはじめているとのこと。

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定期整備中のJSTARSにサボタージュの痕跡が発見される

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-investigating-potential-jstars-sabotage-incident-377576/

ルイジアナ州レイク・チャールズ(ノースロップグラマンが保有・運営する施設)にて定期整備中のE-8の1機で、ワイヤが切断されているのが発見された。
同施設内の他の機体を点検したところ、もう1機でも同様の状況が確認され、USAFは何者かによる意図的なサボタージュの疑いありとして、調査を開始している。

現在E-8の整備と保管は、ノースロップグラマンがこの施設で一手に引き受けている状態となっているようだ。
ノースロップグラマンからのコメントは記事の時点では無し。

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F-35の低率生産分のアップグレード改修について

http://www.flightglobal.com/news/articles/jpo-plans-to-award-lockheed-upgrade-contract-for-93-f-35s-377526/

F-35 JPOではLMに対し、標準仕様のBlock 3未満に該当する低率生産分の機体について、アップグレード改修を発注予定。具体的にはLRIP-2からLRIP-5までの93機がこれにあたる。3iとか3Fというのはよくわからんが、LRIP-5ではBlock 2Bにとどまった。

参考:Acrobat起動注意。

www.f-16.net/f-16_forum_download-id-16260.html

http://s3.documentcloud.org/documents/274217/dod-quick-look-ahern-report.pdf

現状、JPOは競争入札を想定していない(=LMへの指名発注)が、競争入札を求めるメーカーなどが出てくる可能性には触れている。
LMではこれに対し、経費見積のデータを出すなどの対応を行う。

ただしLRIPの初期の機体をアップグレードするには多大な経費がかかるとの指摘もある。そうした見解を提示している一人がレキシントン研究所のダン・グール氏。
製造スケジュールを先送りしたのは、Block 3で本格的な量産を開始して、事後の改修にかかるコストを下げるためであり(その分Block 3未満の機数は減ってるのだから)、あえて遡って手を加えるのは本末転倒、という結論となる。
加えて、Block 3未満の機体でも現用のF-16などよりも優れている部分はあるのだから、そのまま使ってもいいのではないか?というような意見も出されている。

F-16というか、Block 2まではイメージ的にはF-117みたいな感じなのだが。レーダーとかは強いけどガンもないし。
せめて機外搭載ぐらいはできるようにした方がいいのでは。

ハネウェルがイスラエル向けM346のエンジンを受注/イラク空軍向けC-130Jが初飛行/RNZAFはP-3K2の乗員訓練を開始する/ボーイングがF-15KのMROセンター建設を発表

ハネウェルがイスラエル向けM346のエンジンを受注

http://www.flightglobal.com/news/articles/honeywell-receives-israeli-order-for-m-346-engines-376125/

ハネウェルが、イスラエル(イスラエル国防省、IMOD)向けのM346に搭載するエンジンF124-GA-200を受注したと発表している。金額は7億3500万ドルとされるが、基数は明らかにされていない。この契約にはスペアパーツとメンテナンスサポートが含まれる。

プレスリリースによれば、F124/F125シリーズの累計飛行時間は70万時間以上に達しているとのこと。
TFE731の軍用タイプとして始まった同型式のエンジンは、1979年に初めて運転された。AIDC経国に搭載されたのが始まりで、以後、大口の採用としてはホーク/T-45でアドーアに負けてたが、M346でやや復活した。
推力倍増計画(F125X)も存在したが、実現はしないだろう。12000ポンド級双発の経国とか胸厚。

イスラエルのM346に関するまとめがあったのでついでに。

ttp://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-firms-to-support-but-not-assemble-nations-m-346-trainers-376324/

結局のところ、イスラエル国内での組立というのが無くなって、1億ドルほどのオフセット契約で決着する模様。

M-346×30機について、イスラエル国内で面倒見るのはIAIとエルビットのJV、TORシステムズ。金額は全部足して6億300万ドルでIMOUと合意。

イタリア側は、ガルフストリームG550 AEW&Cを2機、地上管制系と兵站支援などのパッケージ合わせて7億5000万ドル。

またイタリアのTelespazioとIAIが、監視衛星の共同開発および製造で合意している。金額1億8200万ドル。

イスラエルの企業の分担をまとめると、IAIはAEW&C機と監視衛星、エルビットはM-346の運用と若干のアビオニクス機器の供給という感じらしい。

http://www.ibtimes.com/prnews/20120910/tor-the-elbit-systems-iai-partnership-and-israeli-ministry.htm

TORはエルビットの方が主体っぽい。訓練にまつわるインフラ整備は3年で1億1000万ドル、20年分の運用経費3億1000万ドル。

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イラク空軍向けC-130Jが初飛行

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-iraqs-first-c-130j-makes-flight-debut-376108/

9月5日のLMの発表によると8月中旬、マリエッタ工場でイラク向けC-130Jの1号機が初飛行したとのこと。
この機体は今年後半に引き渡し予定で、ストレッチ型のC-130J-30となっており、発注数は6機。軍用および人道支援用途で運用される。

イラク空軍は既にC-130Eのリファービッシュ機を3機運用している。これらは1963年から1964年にかけてUSAFに配備された機体だった。

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RNZAFはP-3K2の乗員訓練を開始する

http://www.flightglobal.com/news/articles/nz-conducts-training-sorties-with-upgraded-orion-376013/

王立ニュージーランド空軍のP-3K2は、L-3コミュニケーションズがアップグレード改修を施した近代化改修機で、航法および通信機器を一新、グラスコクピット化され、新しいセンサシステムとミッションシステムを有する。
ニュージーランド政府は2010年の防衛白書にて、現用のP-3とC-130の扱いについて触れた。これによれば、2030年まで運用してその後は無人機という選択肢を含めて選定するとされている。

P-3K2改修については、2004年10月に2億9100万米ドルで契約し、改修原型機となるs/n:NZ4204は、2005年9月からテキサス州グリーンヴィルにて改修を受けた。これは2008年後半にニュージーランドへ戻される予定だったが、改修に伴うトラブルが複数発生した。アビオニクス入れ替えとグラスコクピット化の際の飛行制御にまつわる問題の他、主翼ストラップのファスナに不良が発見された2010年には、半年もの飛行停止措置がとられたりしている。結局、RNZAFがこれを受領したのは3年遅れの2011年5月になった。

この9月下旬には新たに2機が引き渡し予定で、うち1機が受入試験中となっている。試験・評価計画においては、まずSARと海洋監視任務に関する能力を確認する。
訓練任務は、オークランド近郊のRNZAF Whenuapaiを中心に行われる。

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ボーイングがF-15KのMROセンター建設を発表

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-to-set-up-f-15k-mro-centre-in-s-korea-376031/

ボーイングは、F-15KのMRO(maintenance, repair and overhaul)センターを韓国の大邱に建設すると発表した。大邱空軍基地に隣接する経済特区に建てられるようだ。

次のF-X IIIに向けて外堀を埋めてきてるが、既に韓国のF-15Kは60機ほどの勢力になっているので、これらの稼働率を高めるというだけでも意義は大きいと言える。

インドネシア空軍の今後の調達計画について/イスラエルのCH-53にインシデント、飛行停止措置がとられる/インドが最初のEMB-145 AEW&Cを受領/シンガポール向けM-346がロールアウト

インドネシア空軍の今後の調達計画について

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-to-rely-on-upgraded-f-16s-and-k-fx-fighters-375272/

インドネシアはSu-27/30を合わせて10機調達している。将来はSu-30×6機を加え、1個sqの定数まで引き上げることを計画していたが、予算上の制約からこれを断念し、より優先度の高い輸送機調達を急ぐことにした模様。現用の輸送機はC-130B×4機とC-130H×9機だが、C-130の1機(H型の民間仕様、L-100-30(P)とウィキペに書いてある)は、2009年に墜落事故を起こし、100名近い死者が出ている。墜落原因はちょっと調べたところでは出てこない。詳しく報じられないままだったようだ。
これらに代えて新しく調達する機材は、RAAFで余剰となったC-130H×4機と、CN-295となる。

戦闘機に関してはSu-27/30は現有機で十分ということにして、それを補うのは、こちらもUSAFで余剰となったF-16×24機となり、今後20年ほど使う計画。その先に来るF-16とF-5の後継機がKFXということで、今の所3個sqの配備を計画している。1個sq定数は16~22機というから、予備機を合わせても最大70機前後か?
既にKT-1を導入してT-50も選定済みなので、韓国側産業界との繋がりも当面は強固だろう。
しかしKFXは、何のかんのでF-50のステルス版というか、今のJF-17みたいな事になりそうな気がするのだが。対米依存はどうしょもなさそうな。

その他、OV-10の後継機はEMB-314を選定しており、最初のバッチにあたる4機は受領済み。次は12機なので最終的に16機を調達予定となっている。主な任務としては、暴動鎮圧、監視、偵察といったもの。
AS332を更新する回転翼機と、無人または有人MPAへの需要もある。

インドネシア国軍及び官僚としては、新しい航空機の調達を巡り、次の5ヵ年計画(2014~2019年)で予算を付けたい意向とされている。政府の意向では20%のオフセット、あるいは共同生産を求めているとかで、請けるメーカーも限定されてきそうな流れだ。

ちなみに引き渡されたEMB-314の写真。アジア太平洋地域では同国が最初のカスタマーとなった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-receives-first-four-super-tucanos-375185/

あと、陸軍と海軍はベル412EPを調達している。

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesian-army-receives-four-bell-412s-375500/

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イスラエルのCH-53にインシデント、飛行停止措置がとられる

http://www.flightglobal.com/news/articles/israeli-air-force-grounds-ch-53-fleet-after-emergency-landing-375598/

8月16日、イスラエル空軍のCH-53 Yasurの1機が、Tel Nof空軍基地から離陸直後に緊急着陸するというインシデントが発生した。乗員3名に怪我などはなし。現在、原因を調査中であるが、初期の調査ではローターブレードの問題という可能性が指摘されている。

これらの機体はYasur 2025という計画に基づいて近代化改修が施されたばかりだが、老朽化は否めないのが現状。交換用のギアボックスをシコルスキーから調達するだけでなく、頻繁なクラック検査が必要とされている。今のところ、CH-53Kの導入までは使い続ける予定。

なお改修に際しては、EWシステムとSATCOMを中心に、20程の新機材がインテグレーションされた。その中には独自の高度維持/ホバリング安定化システムとレーザ妨害装置、ディスプレイの更新なども含まれる。

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インドが最初のEMB-145 AEW&Cを受領

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-receives-its-first-emb-145-aewc-aircraft-375588/

これはインドが2008年に発注した3機のEMB-145 AEW&C(金額は2億800万ドル)のうち最初の機体にあたるもので、このほどエムブラエルの本拠地であるブラジルのSão Josė dos Camposにて、インドに引き渡されている。飛行試験と地上試験はここを中心に行われたようで、エムブラエルとDRDOが定めた設計仕様に沿って開発された。この後、DRDOのミッションシステム統合を経て、インド空軍に加わる見込み。

インド向けのEMB-145 AEW&Cは、DRDOの設計したレーダーを搭載し、空中給油能力が付与され、冷却性能が強化されているとのこと。
同型機はこれまでに10機が製造され、ブラジル、ギリシャ、メキシコで運用されているが、インド向けとは異なり、全てサーブのErieyeレーダーを搭載している。
冷却云々は、より長時間の滞空を想定したためか、単に技術的に厳しかったからか、あるいは高性能なレーダーを搭載したものと思われる。

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シンガポール向けM-346がロールアウト

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-alenia-aermacchi-rolls-out-first-m-346-for-singapore-375218/

8月7日、イタリアのベニスに近いVenegono Superiore工場にて、シンガポール向けM-346のロールアウト式典が行われた。納入時期は今年後半となっている。
2010年9月に受注した12機のうち最初の機体ということになる。アレニアはシンガポールの地元STエアロスペースと共同して働いており、2011年から20年にわたって後方支援を行う契約。

シンガポールの訓練課程はフランスのCazaux空軍基地で行われているので、M-346の配備先はフランスということになり、現用のA/TA-4SUと交代する。なおパイロットの最初の2名は、イタリアで訓練を受けた。

イタリアの航空当局DNAは、7月にM-346の耐空証明を与えたが、これは同時にシンガポール空軍の耐空証明を兼ねることで合意している。

RRスネクマが設立される/F-15SEデモンストレータにJHMCS IIがインテグレーションされる/韓国がF-16のアビオニクスアップグレード(レーダー除く)でBAEシステムズを選定

RRスネクマが設立される

http://www.flightglobal.com/news/articles/rolls-royce-snecma-powers-up-next-generation-military-engine-study-374930/

7月30日、名称そのまんまの英仏エンジンメーカー2社のJV設立が発表されている。これは次世代軍用機エンジン研究を主目的とするもので、より大きなfuture combat air systems (FCAS)というデモンストレーション計画においても、JVとして契約を結ぶことになる。
FCASも英仏共同研究計画であり、英国のBAEシステムズとフランスのダッソーが協力して行う。7月始めに調印された最初の契約では、18ヶ月ほどの共同研究が予定され、次世代航空戦力のあり方にも踏み込むという題目を掲げるが、当面は両国のUCAVデモンストレータ、TaranisとNEURONの成果をもとに話を進めるようだ。

これらの機体はいずれもアドア951を搭載しているので、短いタームではこれを実用UCAV向けに発達させる、という流れのようだ。アドア開発当時はRRとチュルボメカだったが、今はここも(サフラングループ傘下の)スネクマ傘下になっている。将来的にエンジン単体で外国に輸出することもありえなくはない。
アドアは英仏共同エンジンの成功例と言える(日本に輸出したときは揉め事の種になったが…)。最新の共同開発エンジンと言えばドイツとスペインのメーカーも参加したユーロプロップのTP400、ということになるものの、成功例と言い切れるかはまだわからない。開発も難航したし。

将来、この枠組みを基礎としてユーロファイターやラファールの後継機のエンジンも共同開発ということになれば、EJ200とM88の次が統合されることになるが、あるとしても当分先だろう。

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F-15SEデモンストレータにJHMCS IIがインテグレーションされる

http://www.flightglobal.com/news/articles/boeing-integrates-joint-helmet-mounted-cueing-system-into-f-15se-374904/

ボーイングは、ビジョンシステムズインターナショナル(VSI)製のJHMCS II/Hを、F-15SEデモンストレータにインテグレーションしたと発表。これは現用のJHMCSの改良型とのことで、小型化してバランスが改善され、ケーブル類も軽く取り回しが良くなっているそうだ。

http://boeing.mediaroom.com/index.php?s=13&item=2027

見たところ、バイザー部分が出っ張る感じはあまりなくなっている。

http://www.vsi-hmcs.com/index.php/jhmcs-ii

JHMCS IIは、低コストで従来の装備にレトロフィット可能という点は従来のJHMCSと同様であるが、HMDの向きを検出する方式などの違いで2種類ある。
II/Mは磁気トラッキング式で従来のサブシステムと互換性があるタイプ。
II/Hはopt-inertialとあるので、光学式とジャイロの併用みたいな感じ?で従来サブシステムとの互換性はなく、新しいAircraft Interface Unit (ACIU)と接続される。これは軽量化されて冷却も不要となったもので、こちらのII/Hが全くの新型ということになる。
600KEASまで対応。

ボーイングによると、デモンストレータの最近の飛行試験はこのシステムのインテグレーションも含んでおり、期間としては3ヶ月以内に完了したとのこと。

ちなみにF-35のHMDの次ではSTRIKEYE HMDSというのが開発中。機能面ではJHMCS IIから更に発達し、イメージ映像ではF-35Bにインテグレーションされている。CASに完全対応みたいな。

http://www.vsi-hmcs.com/index.php/jhmcs-ii?id=55

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韓国がF-16のアビオニクスアップグレード(レーダー除く)でBAEシステムズを選定

http://www.flightglobal.com/news/articles/seoul-names-bae-systems-for-f-16-avionics-upgrade-374962/

韓国DAPAはROKAFの134機のF-16についてアップグレードを計画しており、このほどアビオニクスに関する部分に関して、LMではなくBAEシステムズを選定すると発表した。これにはAESAレーダーが含まれておらず、そちらの選定は今のところ2013年前半まで先送りする予定としている。

同様の提案は、台湾向けでは競争入札にすらならなかったので、BAEシステムズにとっては大きな収穫となる。なおF-16絡みなので、米国のFMS経由での契約という形となり、金額は10億ドル程度。

DAPAではAESAレーダーを先送りした理由として、アビオニクス(兵器システム、ミッションコンピュータの更新、MFDの導入を含む)に比べて緊急性が低いこと、インテグレーションに要する時間がレーダーより長いことを挙げているが、現実問題としてAESAの機種がUSAFと統一されていなければインターオペラビリティや兵站上の問題も発生しうるので、そちらの動向を見てからという形になっている。

HMNZSカンタベリーに初めて着艦するNH-90の映像/ヴィクラマーディティヤに初めてMiG-29KUBが着艦する/中国で試作艦載AEW機の存在が確認される

HMNZSカンタベリーに初めて着艦するNH-90の映像

http://www.flightglobal.com/news/articles/video-nh90-lands-aboard-hmnzs-canterbury-for-first-time-374854/

ニュージーランド海軍のHMNZSカンタベリー(2代目)は、強襲揚陸艦…と書いてあるが、いわゆるシーリフトを担う戦略輸送艦にも分類される、多目的なフネらしい。プロテクター計画にて整備された。
民間のRoRo貨物船を元に設計されており、最近よくあるヘリコプター甲板を有するカーフェリーみたいな感じになっている。LCMは搭載できるがウェルドックはないみたい。

http://www.navy.mil.nz/visit-the-fleet/cant/default.htm

因みに初代カンタベリーはリアンダー級フリゲイトで、2005年退役。

この艦は既に就役済みだが、水陸両用部隊の編成は2015年となっており、ヘリコプターの運用はその最初のステップと位置付けられている。
ニュージーランド空軍はイロコイ(UH-1)の後継機としてNH90×8機を発注しており、2011年11月に2機を受領、2012年内に残り6機も引き渡されることになっている。

21世紀になって多目的艦と称する艦が増えてきたけど、規模も艦型もバラバラなので分類上は不都合ありまくり。共通してるのは、ガチの戦争でどれだけ役に立つのか不透明なところぐらいか?(特に商船構造のフネ)
ヘリコプターが運用できる揚陸艦としてみると、英国式ならコマンドー空母とかになるのかね。

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ヴィクラマーディティヤに初めてMiG-29KUBが着艦する

http://www.flightglobal.com/news/articles/indian-navy-confirms-mig-29kub-landing-aboard-vikramaditya-374864/

FlightGlobalがインド海軍に電話取材したところでは、ロシア、白海で試験中の空母ヴィクラマーディティヤに、初めてMiG-29KUBが着艦、その後スキージャンプを使って発艦したとのこと。トライアルで使用されているのはロシアの機体で、操縦もロシア人パイロットだった。固定翼機が着艦するのは、同艦が大規模改修を受けて以来初めてのこととなる。
艦上試験の日程は6月からの数ヶ月とされ、インドには2012年内の引渡しが予定されている。

この試験が開始された際の報道で、インド海軍がラファールMを艦載機として導入する可能性もある、というのが出てた。

http://www.flightglobal.com/news/articles/indian-aircraft-carrier-enters-sea-trials-as-navy-eyes-rafale-372925/

MiG-29KとラファールMを比べると、後者が若干小さくエンジンパワーもやや低い為、STOBARだと若干不利なような気がしないでもないが、プラットフォーム全体としては西側の兵装を使えたり、偵察ポッドなどの装備も充実しており、柔軟性がある。

とは言えインド海軍としては、性能の多少の優劣よりも、MMRCAで空軍型を大量導入することによるコストメリットの方を期待してるみたいだ(フランスのことなので、M型となると普通に吹っかけてきそうだが)。
なおライセンス国産のラファールM導入の場合、Tejasちゃんがどうなるかは不明。仮想敵がJ-15となれば色々厳しいのは間違いない。

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中国で試作艦載AEW機の存在が確認される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-images-emerge-of-possible-chinese-carrier-borne-aewc-testbed-374858/

機首にJZY-01と書かれたこの機体は、Y-7(An-26)ベースのAEW機テストベッド、あるいはデモンストレータとと考えられている。
艦載機にしては、主翼の折畳み機構も、強化された着陸脚も、テイルフックも存在しないように見えるのであるが、ロトドームとE-2Cに酷似した尾翼周りだけでもそう見えてしまう、という感じ。確かに格納庫の天井高に収める都合などで、大抵の機体で尾翼の改修は必須だが、形がもう、そのまんまに近い。

実際に機材が搭載されたかすら不明ながら、このような機体の存在は、中国がCATOBAR空母の保有を目指していることを示唆するもの…なのかなあ…別に隠されてるわけでもないし…
「とりあえず形だけ真似てみた」感が物凄いのだけども。

ニュージーランド海軍のSH-2について

ニュージーランド海軍のSH-2について

・HMNZSオタゴにて艦上トライアル

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-new-zealand-operates-sh-2g-from-patrol-vessel-372351/

HMNZSオタゴは2006年進水のOPVで、この艦名としては2代目。先代はフリゲート(1960~1983年まで就役)だった。

http://www.navy.mil.nz/know-your-navy/official-documents/navy-today/nt10webformat/nt154/new-otago.htm

http://www.strategypage.com/military_photos/military_photos_20100322231225.aspx

主要な任務は、対テロ、監視及び偵察、臨検、護衛とSARといったもので、EEZの哨戒などが想定されている。
同型艦にHMNZSウェリントンがあり、計画名をとってプロテクター級、または1番艦の名前からオタゴ級と呼ばれる。
排水量1900tonと、ヘリコプター運用艦としては小型。格納庫があるようだが、シャッター小さく見えるな。

SH-2GとHMNZSオタコによる艦上トライアルは5月に実施され、ハウラキ湾とベイ・オブ・プレンティにて、日中と夜間、様々なシーステートの環境で飛行試験が行われた。発着艦回数は161回にのぼったとのこと。
従来、王立ニュージーランド海軍のSH-2Gは、Anzac級フリゲートで運用されていたので、このクラスでヘリコプターを運用した前例は無い。

・SH-2Gの後継としてSH-2G (I)を検討

http://www.flightglobal.com/news/articles/new-zealand-in-negotiations-for-new-seasprite-helicopters-373288/

NZ政府の交渉先であるカマン側から発表されたもので、米国務省から交渉の正式承認が下りたとしている。取引の内容はSH-2G (I)×11機とフルモーションシミュレータ、スペアパーツその他を含む。去年から非公式な話し合いが持たれていたようだ。
現用のSH-2G×5機の老朽化はかなり深刻であり、2011年8月には、飛行時間が減少傾向になっている事が報告された。FY2009/2010においては目標1240~1370時間に対して882時間に留まったという。2001年に導入しているが、艦載機の寿命は一般に短い。

金額については未公表。しかし2億3000万NZドルという予想額が出ている。

http://www.stuff.co.nz/national/7179929/NZ-Navy-bargaining-for-unsafe-helicopters

王立オーストラリア海軍も、SH-2GをAnzac級で運用することを目的として導入。しかし、耐空性の問題で任務が制限されるなど評価は芳しくなかった。またこちらでも(I)仕様へのアップグレード計画が存在したが、政権交代の影響を受けてキャンセルとなる。この時は性能に関する問題と、安全性に関する問題が取り沙汰され、21世紀の耐空性基準を満たさないとまで言われた。
その辺の経緯から、記事でも地雷扱いになっている。にもかかわらず、NZ国防相は「当時の問題は解決されており、また機種転換すると訓練などで多大なコストがかかるので、他の選択肢は考えてない」といったことを述べたそうだ。

SH-2Gの最新カタログ。

http://www.kaman.com/files/file/PDFs/Helicopter%20PDFs/Seasprite.pdf

艦載多目的ヘリコプターといった位置付けで売り込まれている。現状ではH-70系やNH90などより小型であることが、ほぼ唯一の利点になっていると言っても過言ではない。オーストラリア海軍においても、当初はOPVへの搭載計画があった。
他国では、艦載機としてはポーランドが4機をO.H.ペリー級に搭載して運用。エジプトの10機は対潜型。こちらはペリー級やノックス級を保有している。

艦載兵器関連/台湾に雄風IIEが配備される?/LCS-3が予定より2ヶ月早く引き渡される/オーストラリアが次世代潜水艦の建造計画に着手

艦載兵器関連

・RAMのランチャーからグリフィンBの発射試験が行われる

http://navaltoday.com/2012/04/20/usa-navy-fires-raytheons-griffin-b-missile/

http://www.spacedaily.com/reports/US_Navy_Fires_Raytheon_Griffin_Missile_From_RAM_Launcher_999.html

4月の記事。
USNの発表によると、レイセオンは2011年Q3に、小型空対地ミサイルのグリフィンBを、改修したRAMのランチャーから発射するデモンストレーションを行った。地上に設置されたランチャーから約2マイル先の静止目標に対して発射され、命中している。
グリフィンの誘導方式はGPSまたはレーザで、空中発射型のグリフィンAはHARVEST HAWKにインテグレーションされた。グリフィンBは回転翼機、固定翼機からの運用に加えて地上発射も可能となったタイプ。信管は目標に応じて空中爆発、着発、遅発のモードが選択できる。全長43インチ、重量33ポンド、弾頭重量13ポンド。

改修は必要だが、RAMのランチャーから撃てるASuMということで、FACとの交戦や対地攻撃にRAMが使えるようになる。
砲ほど柔軟に運用できるわけではないにせよ、対空戦闘以外へ用途を広げるのは比較的容易になりそうだ。

・LMがExLSをオーストラリアで試験

http://www.spacedaily.com/reports/Lockheed_Martin_New_Standalone_Launching_System_Significantly_Reduces_Weapons_Integration_Costs_999.html

5月5日、LMは、オーストラリア南部でRAAF管理下のウーメラ・テストレンジにおいて、ExLSからの発射試験を実施した。

この垂直型発射機はExtensible Launching System(ExLS)と呼ばれるもので、Mk.41から派生した小規模VLS。ランチャー外部のサブシステムから制御されて、大型ミサイルを撃てるMk.41やMk.57などとは異なり、単体で完結したシステムとなっている。ただし、底部に制御系を納めたため、キャニスタを上げ底したような形になり、小型のミサイルしか搭載できない。これに適合するのはNLOS-LS/PAMやRAM Block 2、Nulkaデコイなどで、1基につき4発が搭載可能。

http://media.defenseindustrydaily.com/images/ORD_ExLS_Insert_Explained_lg.jpg

NLOS-LSとの関連が強かったが、周知の通り、同計画は2010年正式キャンセル。
ExLSは、単体でセル1基から搭載できることから、既存のVLSよりも小型の艦艇に搭載でき、在来艦艇へのインテグレーションか容易というのを前面に押し出している。

Nulkaは艦船そのもののデコイで、主に対巡航ミサイル防御用となる。豪州BAEシステムズで開発された。
この試験では2発のNulkaの発射が行われている。

http://www.nrl.navy.mil/tew/5710/

他のミサイル等に対しては、上げ底部分(アダプター)を変更することで対応でき、コスト的な効率も良いとしている。

・USNがトマホーク Block IVを発注

http://www.spacedaily.com/reports/US_Navy_awards_Raytheon_contract_for_Tomahawk_999.html

2011年のオデッセイ・ドーン作戦で射耗した分を含む追加発注で、総額3億3800万ドル。

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台湾に雄風IIEが配備される?

http://www.spacedaily.com/reports/Taiwan_deploys_anti-China_missiles_report_999.html

5月28日、台湾の地元マスコミが雄風IIEの配備を報じた。雄風IIEは射程500kmクラスの巡航ミサイルと言われており、中国本土を射程に収める可能性がある。
言い換えると、台湾が中国本土を攻撃可能なミサイルを初めて装備したと言うことになる。詳細は不明だが、100発程度が配備されたとも。

これとは直接関係無いが、

http://www.spacewar.com/reports/Taiwan_probes_stealth_boats_missing_computer_999.html

6月11日、台湾の最新鋭ミサイル艇、光華6号艦の1隻でラップトップコンピュータの紛失事故が発生と報道される。5月下旬のこととされており、場所は左営海軍基地。初期の調査では、紛失の状況などがほとんど判明していないという。
この機材は民間所有となっているものだが、6ヶ月間にわたって秘話通信装置の試験のために持ち込まれていた。物が物だけに、情報漏洩となれば結果は重大なものになる。

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LCS-3が予定より2ヶ月早く引き渡される

http://www.spacewar.com/reports/US_Navy_Littoral_Combat_Ship_Delivered_Two_Months_Early_999.html

LMの方のLCSとしては2隻目、全体では3番艦のLCS-3 フォートワースは今年5月、予定より2ヶ月早くUSNの受入検査(五大湖で行われた)に合格し、引き渡された。
新世代の艦艇としては異例の前倒しスケジュールであり、これにはUSNも大喜び。

http://www.spacewar.com/reports/Third_US_Littoral_Combat_Ship_Completes_Acceptance_Trials_999.html

トライアルの内容について報じられた記事。4月30日から5月4日までの日程で行われ、4時間の全速航行と対空・対水上戦のデモンストレーションなどを行っている。

LCS-3フォートワースはLCS-1フリーダムに続く2隻目で、さらにLCS-5ミルウォーキー、LCS-7デトロイトが建造中。LCS-9リトルロック、LCS-11スー・シティは3月に予算がついたので、部材調達などがスタートしている。
こっちのLCSチームにはフィンカンティエーリも入ってるのね。

偶数番のLCS、ノースロップグラマン/オースタルの方は、LCS-2インデペンデンスの後がLCS-4コロナードで、1月に進水し、今年後半に受入検査を経て引き渡し予定、LCS-6ジャクソン、LCS-8モンゴメリーはモジュール建造がスタートしている。

http://www.austal.com/us/media/media-releases/12-01-11/Austal-Launches-2nd-Littoral-Combat-Ship.aspx

LCSでは押され気味だが、オースタルは高速輸送艦のJHSV-2チョクトー・カントリーとJHSV-3を受注して建造が始まっている。元々の計画だと10隻建造予定で、艦名もだいたい付いてたのだが、番号と名前が振り直されてるようだ。過去の予算で部材調達が先行していたようなので、2隻目以降の建造が決まってからの着工は早かった。

http://www.austal.com/en/products-and-services/defence-products/naval-vessels/joint-high-speed-vessel-jhsv.aspx

しかしTSV-1XスピアヘッドとJHSV-1スピアヘッドは別物であったりしてややこしい。
ただでさえあの辺の高速輸送艦試用期間の流れは陸軍が絡んでややこしいのに。名前変えてください。

*

一方DD(X)ことDDG-1000の方は中々話が進んでないが、建造は進行中。
艦体ブロックが構内を移動して組み立てられる様子を早送りで。3月にバス鉄工所で撮影されたもの。

http://defensetech.org/2012/04/05/awesome-video-ddg-1000-coming-together/

搭載センサなどの中身については、レイセオンの関与する部分が大きい。

http://www.raytheon.com/capabilities/products/zumwalt/

*

オーストラリアが次世代潜水艦の建造計画に着手

http://www.spacewar.com/reports/Australia_kicks_off_submarine_replacement_999.html

オーストラリア国防省は、Expert Panel of the Future Submarine Industry Skills Planという将来潜水艦計画専門の組織を設け、関連する造船・防衛産業各メーカー及び教育機関との協議を始めた。産業界からはLM、レイセオン、ボーイング、タレス、サーブシステムズ、BAEシステムズなどの主要な海軍システムインテグレータと、ASC、オースタル、BAEシステムズとフォルガーチエンジニアリングなど、主要な地元造船会社が参画する。次の30年にわたって造船業界の雇用にも大きな影響を与えるので、政府機関の代表者だけではなく、組合の代表者も加わる。
オーストラリアでは5月に、将来潜水艦を建造するための最初の段階として、2億1400万ドルの研究費用を計上した。推進システムの地上試験設備も計画されている。Future Submarine Projectと呼ばれ、数は12隻、通常動力潜水艦となるところまでは確定。オーストラリア最大の軍事的プロジェクトとなる見込み。

この組織の管轄には、各種システムの設計計画から建造計画、部材調達、リスクマネジメント、予算及び財務管理までが含まれ、難易度の高い作業にあたる熟練工(溶接、ボイラー、電気などの各専門工)が足りるかどうかも調査されることになっている。コリンズ級のときは溶接の問題もあったんだっけ。今は一応、世界最強通常潜みたいな持ち上げられ方になってるけど…

またオーストラリア政府は、独自開発以外の選択肢として、フランスのDCNS、ドイツのHDW、スペインのニルヴァーナから購入することも検討している。ここら辺もコリンズ級のときと同じだ。DCNSならスコルペヌ型、HDWならType212か214、ニルヴァーナならS-80が代表的。
昨年暮れの2011年12月には3社に対してRfIが発出され、地上試験設備についてはバブコック造船に研究を委託した。

また、これとは別に現用のコリンズ級6隻を維持する必要もある。1996年から就役し、退役は2025年以降とされているので、継続的なアップデートが欠かせない。起こり得る旧式化問題について、同級の設計を提供し、建造にも携わったスウェーデン、コックムス造船と検討を進めているとのこと。

PAK-DAの任務と用途はなお不透明?/パキスタンが核搭載可能な空中発射型巡航ミサイルの試射に成功/イタリア空軍のF-16ADF全機がリース期間を終えて米国へ帰還/韓国がCBU-105D/B SFWの売却を要請

PAK-DAの任務と用途はなお不透明?

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-pak-da-bomber-in-doubt-says-minister-372687/

ロシアのドミトリ・ロゴージン副首相がイズベスチヤ紙のインタビューに答えたところでは、PAK-DAは伝統的な長距離核戦力を復活させるわけではないと述べた。防空システムやMDの発達に対して優位に立てないといった話をしている。
PAK-DAの開発はツポレフ設計局が担当し、Tu-160を大幅に改設計する案(VG翼を最後退位置にするとデルタ翼になるアレ)も公になっているものの、実際のところはわからんことが多い。2020年に原型機、2025年に配備というスケジュールもかなり大雑把な感じだ。

世界的には戦略爆撃機の時代は終焉を迎えて久しく、2030年代に戦略核積んでパトロールというのも想像しただけで時代錯誤の感は凄まじいものがある。

ただし目的がはっきりせずに迷走の気配なのは、米国のB-52およびB-1B後継も同様で、目的と手段が入れ替わってるというか空軍組織内部の縄張り争いというか、その辺も含めて似たり寄ったりだ。
違うのはロシアが伝統的に巨人機好きという点ぐらいか。

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パキスタンが核搭載可能な空中発射型巡航ミサイルの試射に成功

http://www.flightglobal.com/news/articles/pakistan-tests-nuclear-capable-raad-air-launched-cruise-missile-372647/

この巡航ミサイルは、パキスタンが自国で開発したもので、Hatf-VIII (Ra’ad)と名付けられている。初めて試射成功が伝えられたのは2011年4月。ミラージュIIIから発射される映像が流れた。

地形追従飛行が可能な、機動性の高い巡航ミサイルで、射程350km以上。
USAFのALCMを縮小した感じだが、搭載する機体がミラージュIIIまたはJF-17というから、ギリギリ1発搭載できるかどうかというレベルと考えられる。F-16の方がまだマシっぽいものの、政治的に差し支えがあるのだろう。

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イタリア空軍のF-16ADF全機がリース期間を終えて米国へ帰還

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-italys-last-f-16s-returned-to-usa-372691/

Peace Caesar計画の中でイタリア空軍へリースされたF-16ADFは、ユーロファイターの配備と入れ替わりでその役目を終えた。
段階的に返却のためのフェリーフライトが実施され、6月1日、最後の6機(単座型5機と複座型1機)がアリゾナ州ツーソンへ着陸したとのこと。イタリア空軍のパイロットが操縦し、SAR機としてC-130Jが1機随伴、USAFのタンカーが支援した。5月28日、Trapani-Birgi空軍基地を離陸、途中、アゾレス諸島で悪天候のため足止めされたが、最終的には無事にフライトを終えている。

FMS契約によりF-16ADFのリースが決まったのは2001年3月。防空戦闘機F-104ASAの退役とユーロファイター就役のギャップを埋めることを目的とし、当初は2003~2010年、累計飛行時間45000時間、単座型30機と複座型4機といった内容だった。
ホームベースとしたのはTrapani-BirgiとCerviaの両空軍基地。
2009年、ユーロファイター就役の遅れに合わせて契約期間延長が決まる。契約金額はそのまま、2012年中頃、47800時間までの延長となっていた。戻されても別に使い道は無いからサービスしたようだ。

これらのF-16は2003年12月から防空任務に就き、その一部はリビアでのユニファイド・プロテクター作戦にも参加している。

そういえばイタリアのF-16のドキュメンタリー見たなあ。確かパイロット養成が盛んに行われてた頃のイタリアのTV番組かなんかで、レポーターの女性が突撃取材してゲロゲロ吐いてたのは覚えている。

それはそれとしてTrapani-Birgi空軍基地で5月末に撮影されたF-16。

http://www.youtube.com/watch?v=1U7CkACJ8d0

と、F-104ASAの現役当時の映像。

http://www.youtube.com/watch?v=gX0NXVdGKGk

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韓国がCBU-105D/B SFWの売却を要請

http://www.flightglobal.com/news/articles/seoul-requests-325m-sensor-fused-weapon-deal-372652/

CBU-105D/B Sensor Fused Weaponは、テキストロンが開発したクラスター爆弾代替兵器の類で、重量は1000ポンド級。CBU-97にWCMDと呼ばれるPGM化キットを適用したもので、子弾のBLU-108を10発内蔵する。受動IRセンサアレイと能動レーザセンサで目標を識別し、命中しなければ高度15m程度の空中で自爆するか、着弾後に弾頭を不活性化する機能を有する。メーカーの試験を根拠とした信頼性は99%以上とされ、米国の他にインド、オマーン、トルコ、UAEなどが採用した。
DSCAでは同志討ちやコラテラルダメージを減らし、全体の攻撃効率を高めると称している。

韓国は2010年4月、SFWの導入を決めている。実弾367発の他、訓練用のキャプティブ弾が28発と模擬弾7発などを含む金額は、総額で3億2500万ドル。

先ごろF-5代替として採用が決まった、FA-50へのインテグレーションが計画されているようだ。
FA-50については、1月の最初の契約は20機で6億ドルと発表された。現用のF-5は150機が就役しているので、60機から、最大150機の採用が見込まれるところとなる。

中央日報にもちょっと書いてた。

http://japanese.joins.com/article/286/153286.html

SELEXガリレオがグリペンE/F向けの新型AESAを準備/ロシア空軍はSu-25の後継機を発注、PAK-FAのスケジュール、An-124-100Mなど/日本近海で中国艦艇とVTUAVが確認される/米国防総省はJ-20が2018年頃配備されると予測する

SELEXガリレオがグリペンE/F向けの新型AESAを準備

http://www.flightglobal.com/news/articles/selex-nears-aesa-radar-delivery-for-gripen-372125/

SELEXガリレオは、数週間以内にグリペンデモ向けのAESA、レイブンES-05の最新タイプを納入すると発表。試験はスコットランド、エジンバラにあるフィンメカニカの施設で行われていて、7月のファーンボロで展示されたあと、飛行試験が開始されることになっている。

スウェーデン空軍向けのグリペンアップグレードとしては、AESAに続いてIRSTの開発も進められている。製品名はスカイワード-Gで、2012年末から2013年初頭にかけて試験用に納入される見通し。これはグリペン専用の内装IRSTとして開発されているが、SELEXガリレオではより多くの機種にインテグレーションできるよう、ポッド型で供給する事も想定している。

記事の残りはタイフーン向けのCAPTOR-Eについてで、現在のスケジュールは2013年Q2に試験用レーダを納入し、2013年内にタイフーンに搭載して飛行試験を開始するといったものになっているようだ。生産契約もこのあたりになり、製品として納められるのは2015年頃の予定。まだ主要4ヶ国での話し合いは続いており、不透明な部分が多い。
今のところ確定しているのはサウジアラビア向けで、新造のトランシェ3A向けと、トランシェ2の改修オプションに入る予定。UAEとマレーシア、他の潜在顧客向けは提案中。

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ロシア空軍はSu-25の後継機を発注、PAK-FAのスケジュール、An-124-100Mなど

http://www.flightglobal.com/news/articles/russian-air-force-to-order-su-25-replacement-372103/

ロシア空軍でSu-25の後継となる次期対地攻撃機については、Yak-130の本格的な攻撃機型、Yak-131も提案されていたが、こちらは正式にキャンセルし、新しい全天候攻撃機の発注に踏み切ることを決定した。これは既に調達計画に加えられ、2020年までの配備を目指すとのこと。
現用のSu-25の最新型はSu-25SMとなるが、新造機ではなく、80機程度の改修が発注されている(このうち30機以上が引き渡し済)。

次期攻撃機については、以前も出た情報程度しか出てない。ステルス性を有し、新型レーダーを装備して、STOL性を特徴とする云々。

また、Yak-131キャンセルの理由として乗員防護の不足が挙げられてる。シュトルモビクの伝統を受け継ぐとなれば、練習機程度じゃ無理なのも道理と言えよう。

PAK-FA/T-50については、2013年に空軍へ原型機が引き渡され、性能試験が行われる見込み。開発は計画通りに進行中とされている。なお以前の発言では2015年までに14機が製作される事になっていた。

An-124-100Mは最初の3機がロシア空軍に引き渡された。既存機10機程度を改修、これと別に、ペイロードが150tonまで増加したAn-124-300について、新造機10機程度を導入する計画としている。

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日本近海で中国艦艇とVTUAVが確認される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-schiebel-camcopter-s-100-operated-from-chinese-frigate-372045/

画像は054A型フリゲートから小型の無人ヘリコプターが離着艦しているところ。海上自衛隊が撮影して公表した。同様の写真が公表されたのは2011年6月に続いて2度目となるが、艦船に搭載されている様子がはっきりわかるのは初めて。
実運用に入っているのか試験中なのかは定かでない。

業界筋ではオーストリアのSchiebelが製造したCamcopter S-100であるとされており、このタイプは2年前に中国が18機ほど購入したことが公然の秘密となっている。このサイズで艦上運用できるVTUAVは他に存在せず、他の中国製のVTUAVとも似ていない。
ただしSchiebelは、個々の取引についてはノーコメントということで、公式には中国への販売を認めていない。

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米国防総省はJ-20が2018年頃配備されると予測する

http://www.flightglobal.com/news/articles/chengdu-j-20-could-enter-service-by-2018-372082/

米国防総省は年次報告の中で、J-20が2018年前半までに部隊配備されるという予測に言及した。J-20が姿を見せた後も、配備されるのは2020年代であろうという予測を変えていなかったが、今回はそれが訂正された形になる。
operational capabilityという言葉で表現されているが、機数が揃って要員の訓練も十分にできた状態として定義されるとのこと。