2013年前半のUSAF爆撃機群に関するまとめ/F-22 Combined Test Forceが1000ソーティを達成/2012年度のCollier TrophyにMC-12がノミネートされる/F-15SAが2月20日に初飛行/ドイツ駐留の81st FWが解散、欧州のA-10装備部隊が姿を消すことに

USAF関連。

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2013年前半のUSAF爆撃機群に関するまとめ

今年はB-2配備20周年。

http://www.afgsc.af.mil/news/story.asp?id=123336776

2月19日、ミズーリ州ホワイトマンAFBにおいて、B-2配備20周年を記念する式典が催されている。509th BW指揮官、Thomas Bussiere准将の訓辞によるとB-2は過去4つの武力紛争(後述)に投入されたとのこと。
また、4月1日はIOC獲得から16年の節目にあたり、12月17日はライト兄弟の初飛行の日(1908年)として有名だが、509th BWの前身、509th Composite Wingが1944年にユタ州Wendoverで編成された日でもあり、更にホワイトマンAFB所属の最初のB-2、スピリットオブミズーリが配備された日でもある。

B-2の起源を辿れば1979年スタートのATB計画にまで遡る。言うまでもなく当時は冷戦の最中であり、核戦力三本柱いわゆるトライアッドの一つを担うものとして考えられていた。今では核爆撃というオプションは現実味を失いつつあるものの、最初から高度のステルス性を与えられていることで、今なおB-2は最も厳重に防御された領域への侵攻すら可能で、核戦力としての意義を保持し続けている…と、少なくともUSAFの公式見解はそうなっている。

1980年代に設計、製造が進められ、1988年初公開。75機の製造が計画されていたが旧ソ連崩壊により21機に削減され、1機が事故で失われて20機となり現在に至る。機体名はスピリットオブアメリカとキティホークを除けば州名が付けられた。

戦略爆撃機として配備された後、最初の改修は通常兵器の運用能力の付与となった。そして1999年、コソボでNATOの作戦に参加。このときのソーティ数はNATO軍全体の1%に過ぎなかったが、目標の11%を攻撃したとされている。
2001年9月11日以降は、アフガニスタンで「テロとの戦い」が始まる。
2003年、「イラクの自由」作戦において開戦後最初の爆撃(“shock and awe” campaign)を行う。戦争全体では投下した爆弾の量は、100万ポンド以上に達した。
2012年、NATOの対リビア軍事行動である「オデッセイの夜明け」作戦に3機が参加。25時間かけて欧州へ進出し、航空機のシェルター破壊任務を遂行、2000ポンドJDAMを45発投下した。

 

同じ4月1日にはスピリットオブフロリダが7000飛行時間を記録。

http://www.af.mil/news/story.asp?id=123343279

この機体は2007年5月に最初に5000飛行時間に達した機体でもあり、6000時間を記録したのは2010年1月で、これも最初だった。

 

最近の改修計画としては、衛星通信に関するものと自己防御システムに関するものがある。

前者は5月15日付。

http://www.irconnect.com/noc/press/pages/news_releases.html?d=10032612

Advanced Extremely High Frequency (AEHF)通信衛星に対応するための改修で、現時点では地上での実証試験が進められている状態。レドンドビーチのノースロップグラマンの施設で4月15日にデモンストレーションを行ったとある。
自社製のAESA型アンテナと海軍のマルチバンド端末により、AEHFの模擬ペイロードを使って行われた。当然ながら、メインはアンテナ。この改修については他にもいろいろなものが含まれてる件は前にも書いたので省略。

現用のMilstarの後継となるAEHF衛星は2001年から開発が始まっているが、まだ6機中2機しか軌道に上がってない。

http://en.wikipedia.org/wiki/Advanced_Extremely_High_Frequency

後者は2月14日付。

http://www.irconnect.com/noc/press/pages/news_releases.html?d=10021861

Defensive management System (DMS)と呼ばれ、現在TDフェーズ2という段階にある。ノースロップグラマンがシステムインテグレータとして受注しており、想定される脅威・環境に対抗可能なシステムを設計、アンテナやアビオニクスといったハード、ソフトをとりまとめてEMDフェーズに備えることになる。新規開発の技術を避けて、実証済みの技術を用いて開発リスクを下げると称している。

 

B-2が20年目を迎えた一方、それよりも更に以前の爆撃機もアップグレード改修が行われてる。

B-1の最新の改修については、

http://www.acc.af.mil/news/story.asp?id=123334294

337th TESが、Sustainment-Block 16(SB-16)と呼ばれる大規模な改修計画の実証試験を担当する。B-1の改修としては最も大がかりなものとされ、Fully Integrated Data Link(後方操縦席のデジタルアビオニクス部分を変更してLink 16に対応、Joint Range Extension Applications ProtocolによりBLOSでも運用可)とCentral Integrated Test System(後方操縦席のコンピュータ交換とカラーMFDの追加)、Vertical Situation Display Upgrade(前方操縦席(パイロット席とコパイロット席)の2台のモノクロディスプレイを4台のカラーMFDに交換)など。

肝の部分はデータリンクで他はそれを使うためのUIの改善といった感じ。Link 16およびJREAPなどの実証にはUHF無線とLink 16のネットワークが必要なため、その設備を準備するのに50万ドルかかったとある。
337th TESの実証試験は訓練計画にも関連しており、7th BWでの訓練が円滑に行えるよう、機材到着前から整備班含め準備しているとのこと。実証試験は4月からエドワーズAFBで開始予定。

実際にFIDL、VDSUの試験で改修機を飛行させた経験があるパイロットは、全く新しい機体だと思って扱わなければならないぐらい、劇的に変わった、と述べている。

Sniper ATP-SEがダイスAFBのB-1に装備される。

http://www.acc.af.mil/news/story.asp?id=123345084

4月15日付。ATP-SEはネットワーク関係が強化されたもので、Link 16相当の双方向データリンクに対応するため、地上との交信・情報共有が迅速化され、中継能力も備えるようになる。前世代型は1方向データリンクだったので、その違いは大きい。
またデータリンクの情報を保存できるというのも新しい機能で、訓練や分析に有用なデータが残せる。
ATP-SEは前世代のATPと互換性があり、ATPが搭載可能な機種全て(USAFではB-52、F-15E、A-10、
F-16)に搭載できることになっているが、予め訓練が開始されていたこともあってダイスAFBのB-1が最初に装備することになった。

 

2nd BWのB-52HにはSniper XR、AN/AAQ-33が装備される。

http://www.afgsc.af.mil/news/story.asp?id=123341194

ATP-SEよりは旧式だが、従来はLGBを投弾するのに5分間程度、30から40のボタン操作を行う必要があったのに対して、わずか2、3秒で済むという。60年物の爆撃機でも金をかければここまでやれる。あと25年飛べるという調査結果もあるので、数は減らしつつもしぶとく飛び続ける公算。

またティンカーAFBでは7月から衛星通信システムCombat Network Communications Technology (CONECT)の装備がスタートする。

http://www.tinker.af.mil/news/story.asp?id=123353771

これまでB-52では飛行前にアップロードされたミッションデータに従って任務を遂行することしかできなかったが、CONECTの装備によって飛行中にミッションデータを入れ替えることが可能となる。よつて、より柔軟な運用ができることになる。試験はここ数年、エドワーズAFBで行われていた。
主体は衛星通信装備だが、乗員向けの装備としては、最新端末への更新、ノイズキャンセル型のヘッドセットやデジタルインタホンなども含まれてる。
ボーイングが主契約で金額は7600万ドル。この中にはメンテナンスほかの支援と、LRIPの製造が含まれる。LRIP 1は3月契約で8機分、LRIP 2は来年3月契約予定で10機分。全率生産は2015年1月契約見込みで10機分。FY2014での予算は30機分。

最初の改修は、ティンカーAFBでのprogrammed depot maintenanceに合わせて行われる。7月から翌年4月までというから約9ヶ月を要する。

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F-22 Combined Test Forceが1000ソーティを達成

http://www.edwards.af.mil/news/story.asp?id=123345680

4月24日付。

4月19日、エドワーズAFB所属のF-22 CTFにおいて、1000ソーティが記録された。機体は2001年10月に配備されたテールナンバー4007で、飛行しているF-22としては最も古い。AIM-9Mを初めて発射し、2度目にQF-4を撃墜した機体でもある。
着陸後、末尾の007にちなんでジェームス・ボンドのテーマで出迎えられたそうだ。
この飛行は、最新のソフトウェア改修であるインクリメント3.2Aでの初の試験飛行だったため、パイロットはボーイング社のテストパイロットだった。

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2012年度のCollier TrophyにMC-12がノミネートされる

http://www.acc.af.mil/news/story.asp?id=123339451

米国航空界のアカデミー賞的なものであるが、MC-12とかえらく地味だなと思ったが、本機はUSAFとしてP-51以来のスピード採用であり、かつアフガニスタンで目覚ましい働き(記事によると710名のタリバン指導者、爆弾製造者、野戦指揮官の殺傷および逮捕に直接関わり、プロジェクトリバティ全体で3000名の反政府勢力の兵員を排除したとある)を見せた、というのがノミネート理由となっている。

ちなみに結果は3月12日に発表、5月9日に授賞式が行われ、

http://naa.aero/html/awards/index.cfm?cmsid=62

JPLの火星科学研究所とキュリオシティのチームが選ばれている。

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F-15SAが2月20日に初飛行

http://www.wpafb.af.mil/news/story.asp?id=123339926

各国に改修が進んだ新造F-15が輸出されるようになって、何かUSAF本国仕様のF-15が相対的に性能低くなりそうな情勢であるが、2月にサウジアラビア向けF-15SAが初飛行している。この機体はF-15シリーズとしては試験機F-15 S/MTD以来のデジタルFBWを備えたものとなり、その他ハードポイント増設やIRST、スナイパーXR、AESAレーダーなど、イスラエル配慮で微妙にダウングレードされていたS型を、E型相当以上にアップグレードする形になる。

当面は3機体制で米国内での試験が続けられ、2015年から2019年にかけてデリバリ予定。

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ドイツ駐留の81st FWが解散、欧州のA-10装備部隊が姿を消すことに

http://www.af.mil/news/story.asp?id=123352839

ドイツ駐留の52nd FWは、F-16とA-10を運用してきて、隷下の81st FW(シュパンダーレム基地)にはA-10が配備されていた。この部隊は71年の歴史がある飛行隊であったが、6月18日をもって解散となり、A-10を運用する部隊は無くなった。これは欧州でのA-10の歴史が終わることも意味する。

欧州のA-10は、最大で6個SQが配備されていた。押し寄せるワルシャワ条約機構軍の戦車軍団をちぎっては投げちぎっては投げ(最後は核でry)いった情景がよくイメージされていたものである。

最後のソーティの様子が公式動画であった。

http://www.youtube.com/watch?v=yNUhA_qffqM

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F-35のIOCについて/F-35プログラムコスト下方修正/USAF参謀長がF-35Aの運用コストに言及/F-35製造計画は2015年度以降は安泰か?

F-35のIOCについて

http://www.flightglobal.com/news/articles/pentagon-reveals-dates-for-f-35-initial-operational-capability-386552/

5月31日の国防総省の議会向け報告書(F-35 IMS Version 7)によると、USAF向けF-35AのIOC獲得は2016年8月~12月の間となる模様。
ここで言うIOCは、USAFの標準的な1個飛行隊を編成(定数12~24機)し、実戦環境下で「基本的な(basic)CAS」「限定的な(limited)SEAD/DEAD」任務を達成するのに十分な能力を有することを指す。

しかし2016年の段階では、一応の完成形であるソフトウェア、Block 3Fが間に合わない公算が強い。これは、最新の情報ではBlock 3Fが2017年後半まで開発完了しないと見られているためで、ペンタゴンがまた一歩譲歩した格好。
Block 2BまたはBlock 3iとされるが、明示はされていない。USAF向けの2Bと3Fの間の暫定ソフトウェアといった感じもする。interimのiかな。
今年2月頃の、日本向けF-35のソフトウェアがBlock 3Fでなく3iになるとの報道とも関連する。別に日本向けだけじゃなくて、もう全部遅れてるという。

一方USMCのF-35Bについては、2015年7月から12月にかけてのIOC獲得を目指しており、こちらはBlock 2Bで行く方針を固めている。こちらのIOCは、1個飛行隊10~16機でCAS、対空戦闘、航空阻止攻撃、assault support escort(USMCの用語で、MAGTFの空挺作戦の護衛を指す)、および武装偵察を含む。またAutonomic Logistic Information System V2ソフトウェアまでは入る。将来Block 3Fにアップデート予定というのはUSAFと同じだ。
Block 2Bでは短射程AAMは使えないが、AMRAAMは使える。

http://www.flightglobal.com/news/articles/f-35a-launches-first-amraam-386882/

F-35 AF-1からの最初のAIM-120C5 AMRAAM空中発射試験が6月に行われてる。

Block 3FでIOCを獲得するスケジュールをとるのはUSNのF-35Cで、2018年8月から2019年2月にかけてのIOC獲得とされている。

現在の最新版はBlock 2Aで、5月6日に最初の機体、AF-25がエグリンに到着した。

http://www.flightglobal.com/news/articles/eglin-afb-receives-its-first-block-2a-f-35-385643/

2Bも年内予定。

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F-35プログラムコスト下方修正

http://www.flightglobal.com/news/articles/f-35-programme-costs-down-49bn-says-pentagon-report-386339/

こちらも国防総省の報告書からの話題で、2012年度SARの要約によるとF-35のプログラムコストは、全体で3310億ドルから3260億ドルに減少したとのこと。実際のコストダウンは49億ドルほどになる模様。

内訳は、まず減少分が人件費の削減、78億5000万ドル。初期製造コストの圧縮、11億2000万ドル。2011年SARで指摘された分は、機体およびエンジンの下位のプログラムについてのコスト配分見直しで9億8100万ドル。予備部品と支援コストの見積修正で6億9800万ドル。基地施設の10億3000万ドル。

ここまでなら凄い頑張ってコスト削減できました、で終わる話なのだが、それで済まないのが恐ろしいところで、F135エンジンなどの開発コストの増加分で70億ドル以上が相殺されているそうだ。
大枠ではそういう勘定になるが、製造の遅れに伴うコストアップを、エンジンの方のスペアパーツ削減や初期のエンジン単価が見積より下がった事などである程度相殺してるらしい。

F135の開発費用については、新たにSDDにおける修正契約が結ばれた。

http://www.flightglobal.com/news/articles/pw-awarded-649m-contract-extension-for-f135-development-387034/

金額としては6億4900万ドルの追加。飛行試験とエンジニアリング支援にかかる費用のほか、2基の予備エンジンとスペアパーツが含まれる。この契約により、F135のSDDフェーズ期間は、2013年9月30日から2016年12月31日まで延長されることとなる。

SDD契約によってP&Wから提供されたF135エンジンの数は、CTOL型の17基、V/STOL型の14基。生産型としてはCTOL型100基とV/STOL型40基を納入したとのこと。

コスト削減に励んでも開発費用がかさむ一方…という現状が、改めてよくわかる。

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USAF参謀長がF-35Aの運用コストに言及

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-estimates-f-35-will-cost-32000-per-hour-to-operate-386430/

まだ運用が始まってない状況ではあるが、1飛行時間あたりのコストは32000ドル程度という数字が挙がっている。2012年度のSARで示された数字と大体同じで、現在のF-16C/Dのそれは1飛行時間あたり25000ドル。ただし長距離の遠征などについてはデータが足りない状態なので、根拠は弱い。とりあえず最大値はこの辺になると言いたいみたいだが、オランダにはF-16の1割増程度と説明した、という話もあったらしい。

http://www.aviationweek.com/Blogs.aspx?plckBlogId=Blog:27ec4a53-dcc8-42d0-bd3a-01329aef79a7&plckPostId=Blog%3A27ec4a53-dcc8-42d0-bd3a-01329aef79a7Post%3Af5843809-1a12-42de-8d48-e4d13eac94d5

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F-35製造計画は2015年度以降は安泰か?

http://www.flightglobal.com/news/articles/pentagon-procurement-chief-cautiously-optimistic-about-f-35-production-ramp-up-387071/

これまでのF-35開発・製造の歴史は延期とそれに伴うコスト増大の繰り返しだった感がある(http://nation.time.com/2012/07/09/f-35-nearly-doubles-in-cost-but-you-dont-know-thanks-to-its-rubber-baseline/)が、国防総省で装備調達のトップを務めるフランク・ケンダル次官は、新しい問題が発生しない限り(2、3の軽微な計画遅延はあるものの)、と前置きしつつ、FY2015以降の製造見通しは楽観的であると述べている。計画では、米軍向けはFY2015に42機、FY2016に62機、FY2017に76機、FY2018に100機…となる。

また、こちらでもライフサイクルコストに絡んで運用コストにも言及されている。今出ている数字は過去の試算に基づいたものであって、更新が必要と発言。数字としては下がりつつあると述べた。

楽観的とは言うものの、飛行試験計画はまだ40%ほどしか終わってないという現実もあるので、勝利宣言にはまだ早い。つまり、2年間で相応の進歩を遂げたのも事実であるが、まだ計画に潜むリスクの全てが解消されたわけではないとしている。

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もう一つ、F-35Bの運用コストにまつわる記事があった。

http://www.flightglobal.com/news/articles/paris-usmc-works-to-reduce-f-35b-operating-costs-387410/

パリショーでのUSMC当局者(航空部隊の副司令にあたるロバート・シュミーデル中将)の発言から。

USMCでは、F-35Bの運用コスト低減に熱心に取り組んでおり、状況によってはA型と同等レベルまで抑制できるかもしれないという。MV-22の運用コストについて、20%ほども低減した実績がある。これには修理や特定の整備を、機体を送り返さずに飛行隊または中間レベルの施設で実施するという手法を用いたとのことで、同様のアプローチをF-35Bにも適用することを検討しているようだ。

現場と少し離れたところでは、机上でのコスト見積条件を、より現実に即したものに修正していくという事も考えられている。例えばSTOVL飛行の割合が現実とかけ離れた数字になっていたりするらしい。

最後の一点はシミュレータの活用というところで、部隊の活動のおよそ半分をシミュレータで行い得る可能性を示唆している。ネットワーク化されたシミュレータによって再現度はかなり高まっており、さらに実機の訓練では実施できないような厳しい環境を作り出すこともできるため、訓練飛行の大部分をシミュレータで代替するのみならず、それ以上の事も可能になるから、というのがその根拠となっている。

X-48Cの飛行試験計画が完了する/X-47Bの模擬着艦試験と艦上試験/MQ-4C トライトンBAMSが初飛行/最初のF-35CがUSNに引き渡される/インド海軍が最初のMiG-29K飛行隊を編成

X-48Cの飛行試験計画が完了する

http://boeing.mediaroom.com/index.php?s=43&item=2649

http://www.nasa.gov/centers/dryden/news/NewsReleases/2013/13-08_prt.htm

4月12日付。
ボーイングは、4月9日の30回目のフライトをもって、X-48Cの飛行試験計画を全て完了したと発表した。2012年8月12日から始まる18ヶ月間の計画は、大部分がNASAとの共同作業で、将来型航空機の研究としてAFRLも関与するものだった。この間のフライトは、1回に大凡30分、飛行高度は最大で10000ft、速度は140mph程度に達したとのこと。
計画の中心はBWB型航空機の飛行制御に関する実証で、離陸、着陸時と飛行中のいずれの状況においても、従来型航空機と同様に効果的に制御できることが示された、としている。具体的には、低速域のフライトエンベロープと操縦性の確認といった内容だったようだ。

X-48Cの設計はボーイングで、機体を製作したのは英国のCranfield Aerospace。見た目のB型との違いは、エンジンが1基減って双発となり、まともな垂直尾翼が付いて完全な全翼型ではなくなった。というわけで、そのまんまB型を拡大して内部構造を描いた想像図の姿で具現化することは、おそらくない。
また、B型より明確に進歩した点として、操縦性が挙げられている。機体側の修正だけでなく、ソフトウェア側の改善も効いており、将来の実用機に至る飛行制御システムが確立されたとしている。

低騒音と高効率が最大の利点とされ、今後もBWBの開発は継続し、遷音速で飛行可能な試験機に進むとの声明が出ているが、具体的な情報は無し。

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X-47Bの模擬着艦試験と艦上試験

http://www.northropgrumman.com/mediaresources/pages/NewsArticle.aspx?art=http://www.irconnect.com/noc/press/xml/nitf.html?d=10031586

http://www.navy.mil/submit/display.asp?story_id=74120

5月4日、NASパタクセントリバーにおける模擬着艦試験の模様。

http://www.youtube.com/watch?v=1Z2vpnbEbXc

5月14日、CVN-77 ジョージHWブッシュ艦上でカタパルト発艦試験が行われた。

http://www.youtube.com/watch?v=0Rf0rDIhGv0

甲板上からの映像。

http://www.youtube.com/watch?v=604rQM5rhXQ

その後のタッチアンドゴーの様子など。

http://www.youtube.com/watch?v=sIWVs8xtiv8

http://www.youtube.com/watch?v=pKtlfQ1YYJI

http://www.youtube.com/watch?v=YxYyQhh5agM

http://www.youtube.com/watch?v=Hitw0UTd9Rc

ブラストディフレクタは使われていない。

エレベータ上ではこんな感じ。

http://www.air-attack.com/images/single/1192/X-47B-moved-onto-an-aircraft-elevator-aboard-the-aircraft-carrier-USS-George-HW-Bush.html

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MQ-4C トライトンBAMSが初飛行

http://www.navy.mil/submit/display.asp?story_id=74320

5月22日に初飛行している。制限空域内を80分ほど飛行し、高度20000ftまで上昇したとある。
今後の試験を通じて、P-8Aを補完しうる作戦能力を実証していくこととなる。将来は5カ所の海外拠点を含む海軍基地(ディエゴ・ガルシア/ハワイ州、NASジャクソンビル/フロリダ州、嘉手納/日本、NASポイントマグー/カリフォルニア州、NASシゴネラ/イタリア)に配備される予定。

パームデールにおける組立工場内とタキシング試験。

http://www.youtube.com/watch?v=mxs1ONqMSLM

初飛行の様子。パームデールから実施された。

http://www.youtube.com/watch?v=FMyH9UkHz2I

カラーリングが昔の海軍機みたいだ。

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ベル・ボーイングがMV-22/CV-22を99機受注

http://boeing.mediaroom.com/index.php?s=43&item=2699

6月13日のプレスリリースでは、機数がUSMC向けMV-22が92機、USAF向けCV-22が7機の合計99機、NAVAIRとの5年契約となり、金額は約65億ドルとされている。複数年契約とすることで10億ドルほどの経費節減だそうだ。また最大で23機を追加できる条件となっている。

このプレスリリースによると、現在運用中のV-22は200機以上で、総飛行時間は18万5000時間、このうち半分は過去3年で記録されたとされている。

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最初のF-35CがUSNに引き渡される

http://www.navy.mil/submit/display.asp?story_id=74982

6月22日、エグリンAFBにて編成された米海軍戦闘攻撃飛行隊VFA-101が、最初のF-35Cを受領したとのこと。

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LMがUCLASSのコンセプト映像を公開

http://www.youtube.com/watch?v=9Em14UbNUeA

4月の話なのだが、UCLASSのコンセプト映像が公開されている。スカンクワークスの名前がクレジットされており、F-35CとRQ-170の技術に基づいている。最後にちらっと出てくるがVARIOUSもまだ諦めてないのね。

http://www.lockheedmartin.com/us/products/various.html

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インド海軍が最初のMiG-29K飛行隊を編成

http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2013-05-11/india/39185964_1_indian-navy-ins-hansa-mig-29kub

http://en.rian.ru/world/20130511/181089289/Indian-Navy-Commissions-First-MiG-29K-Fighter-Squadron.html

新編成されたのはINAS 303 “ブラック・パンサーズ”で、5月11日、ホームベースとなるINSハンサにて式典が行われている。母艦となるヴィクラマーディティヤに関しては、年内引き渡しに間に合うのかなあ。このところ「今年中に引き渡し」というのが半年1年ペースで遅延してる印象なのだが。

カナダとデンマークでのF-35A導入見直しのその後/F135エンジンのタービンブレードのクラック発生による飛行停止と解除/F-35AとF-35Cを統合する可能性について前海軍作戦部長が言及/結局F-35の飛行性能はどの程度なのか/その他

カナダとデンマークでのF-35A導入見直しのその後

http://www.flightglobal.com/news/articles/canada-releases-industry-questionnaire-on-cf-18-hornet-replacement-383007/

カナダのNational Fighter Procurement Secretariat (NFPS、訳すと国家戦闘機調達事務局)は3月3日、戦闘機製造メーカー4社に対し、アンケート形式で詳細な技術的情報を提供するよう要請した。NFPSを監督する立場にある政府機関Public Works and Government Services Canada (PWGSC)も参加している。宛先はボーイング、ダッソー、ユーロファイター、LM。回答期限は6週間なので、今週で締め切られたはずだ。同種のアンケート草案は1月25日に提示され、5社から回答を得たとのこと。

この動きは2012年の会計監査で、F-35導入に厳しい批判が出て、年末には正式に調達中止となったことを受けてのものであり、遅ればせながら導入プロセスに競争原理を取り入れる形。

http://www.flightglobal.com/news/articles/four-rivals-to-enter-danish-dogfight-383554/

またデンマークでは、F-16AM/BM後継機の選定を正式に決めた。2013~2017年の防衛計画枠組み合意にて採択されている。
LMは、2010年代末までに引き渡す計画としていた。

これに対し、ボーイングがF/A-18E/F、サーブがグリペンE、ユーロファイターがタイフーンをそれぞれ提案し、F-35も含めて4機種からの選定という流れになっている。カナダと同じく競争原理を取り入れる方向となったわけだが、これでF-35の調達条件が若干でも良くなるのかどうかは謎。

今のところ、JSFパートナー国じゃない方でニーズが高まってる感じ。イスラエルといい日本といい。韓国はどうしたいのかよくわからんが。

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F135エンジンのタービンブレードのクラック発生による飛行停止と解除

http://www.flightglobal.com/news/articles/f-35s-cleared-to-resume-flight-operations-382909/

http://www.flightglobal.com/news/articles/engine-crack-that-grounded-f-35-traced-to-thermal-creep-383136/

2月19日、F-35Aの搭載エンジンの1基で、低圧タービン3段目のタービンブレードにクラックが確認され、全てのタイプの全機が飛行停止となる。その後の調査で3月1日にB型、3月5日にA型の飛行が再開された。

クラックの大きさは1/6インチ程度だったとのこと。予防的な飛行停止措置に留まった形で、設計変更などは行われない。
P&Wの見方としては、低高度での超音速飛行試験など、通常の任務よりも過酷な状況で使用された結果とされている。これらの試験飛行では、通常の運用に比べて4倍ほど負荷が大きく、また4回ほどはメーカーの想定した基準を超えて運転されたとのこと。

が、タービンブレードに起因する飛行停止措置が最近でも2度ほどあり、頻度が多いのも事実。
飛行停止が重なると、以後の飛行スケジュールが詰まって運転条件も厳しくなるという流れ。

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F-35AとF-35Cを統合する可能性について前海軍作戦部長が言及

http://www.flightglobal.com/news/articles/former-usn-chief-suggests-dod-should-cancel-f-35a-in-favour-of-c-model-383969/

国防省のCost Assessment and Program Evaluation (CAPE)内部で、A型を廃止してC型に統合する案が存在した。らしい。同一機種とは言え、3種類も並行で開発するのに無理があるので、CTOL型を1種類にすると幸せになれる、という論理展開。

USAFはC型の(A型を下回る)飛行性能を受け入れないとも言われているし、個人的なアイディアに留まってる感じではある。

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F-35関連で3月から4月にかけての話題いくつか。

・オランダ空軍向けF-35A(AN-2)ロールアウト

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-second-rnlaf-f-35-rolled-out-383230/

3月5日付。

・53rd TEGに評価機材としてF-35A×4機が到着

http://www.flightglobal.com/news/articles/usaf-testers-prepare-for-f-35-operational-evaluation-383309/

F-35Aの運用評価を行う53rd TEG、その指揮下にある2個飛行隊(エドワーズAFB所属の31st TESとネリスAFB所属の422nd TES)では、年内に合計12機を受領する予定。
正式なOT&Eはまだ先になるが、その前段階として、USAFの人員のみでF-35Aを運用する経験を持つのが目的となっている。実戦に近い環境での運用を行うところまで持ってこなければならないので、先はまだ長い。

・RAFのパイロットがエグリンAFBにてF-35Bの訓練飛行を始める

http://www.flightglobal.com/news/articles/rafs-first-operational-f-35-pilot-flies-first-training-sortie-383642/

3月20日付。RAFの飛行隊長格のパイロットが飛行訓練を開始したとある。
英軍のF-35のパイロットは、12名がVMFAT-501に派遣された形になっており、RAFとRNのパイロットが半数ずつで構成されている。OTが2015~2016年(こちらの要員は2名)で、2018年に17Sqnとして部隊編成する計画。
4月には3機目が引き渡し予定だが、これはソフトウェアがBlock2Aになる。

・F-35B夜間のSTOVLを実施

http://www.flightglobal.com/news/articles/f-35b-completes-first-night-short-take-off-and-vertical-landing-384282/

4月2日、NASパタクセントリバーにてVision Systemsの新型ナイトビジョンカメラISIE-11をHMDに組み込んで実施とある。

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結局F-35の飛行性能はどの程度なのか

http://www.flightglobal.com/news/articles/in-focus-lockheed-claims-f-35-kinematics-better-than-or-equal-to-typhoon-or-super-hornet-382078/

もう10年近く前からいろんな人がいろんな主張を展開している問題なので、今更感はあるが、ここにきてメーカーの主張やパイロットの証言が出てきてるようだ。F-35Aの調達見直しの話題が目立つようになったのと無関係ではないだろう。

以下長いので要旨のみ。

LMはJSFのどのタイプでも、現存するあらゆる積載状態の第4世代戦闘機と同等がそれ以上の運動性能があると主張。比較対象には音速付近での加速性能で空対空兵装のタイフーン、高AOA時のF/A-18E/Fなどが挙げられた。フライトエンベローブ拡大についての責任者という肩書きのLMのテストパイロットが述べている。

これに対する、ベテランテストパイロットなどのわりと一般的な反論として、ステルス製を重視した面積の小さい操縦翼面では、操作性で劣るのではないかというのが紹介されている。

加速性能については、性能要件が低い方に緩和されたのを、どう解釈するかという感じの話。

http://www.flightglobal.com/news/articles/reduced-f-35-performance-specifications-may-have-significant-operational-impact-381683/

運動性については、実機でのenergy-maneuverability (E-M) diagramが見えてない状態で論じても意味ない、というコメントで終了。

結論は特にないんだけど、第4世代でクリーン状態になってるというのは任務を放棄した状態に等しいので、そこで勝負する話を始めたら負けを認めたようなもんでは?(超訳)というLMの指摘が全てか。

 

F/A-18FにCFTモックアップを装備した実機が公開される/マレーシア向けAEW&Cについて/LIMAでの その他展示/KF-X計画の遅延についてインドネシアが言及/スウェーデンがグリペンE開発完了までの予算を承認

F/A-18FにCFTモックアップを装備した実機が公開される

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-conformal-tanks-add-fuel-to-super-hornet-campaign-383904/

マレーシアで開催の今年のLIMAにて、ボーイングがF/A-18E/FのCFT装備状態を見せている。CFT本体はモックアップとのことで、実際には使用できない。地上展示に入る前に取り付けられたとある。

F?A-18E/FのCFTに関しては、インターナショナルロードマップとして発表されたものの一部であるが、本国USNがこの夏に試験を予定している。同機種はマレーシアのMRCA向け提案にも入っているので、今回の展示となったようだ。
CFTの容量は全部で3500ポンド。

USNで本当に採用する気があるかどうかは、微妙なところだろうか。現時点では可能なオプションの一つとしてテストしておくだけ、といった感じではある。

とは言え、F/A-18E/Fの遷音速までの加速性能の悪さは、主に機体の抗力の大きさに起因するものであることがわかっており、CFTで抗力が低下することはあり得ないので、パワー不足がより深刻になるだけなのではといった否定的な意見もある。F414の増強型EPEはまだ実物が無く、ファンと高圧タービンコアの再設計が必要とされるため、これをもって解決できるかどうかは定かでない。

http://www.flightglobal.com/news/articles/us-navy-may-add-conformal-fuel-tanks-to-fa-18ef-super-hornet-fleet-383701/

しかしながらF-35Cの開発遅延がさらに深刻化するとF/A-18E/Fの能力向上を本気で考えなければならなくなるので、何でも試しておくに越したことはない、みたいなことをティールグループのアナリストがコメントしてる。
どちらにしても財政の問題は短期的に解決できるもんではないので、装備化までの道程は長い。

今年のLIMAでは、MRCA提案予定の残りの機種、ラファール、グリペン、タイフーンもフライトを実施した。
ここでは18機程度の導入が予想されているものの、正式なRfPはまだ出てない。また早くから整備性の問題が指摘されたMiG-29Nについて、稼働機数が8機程度まで落ち込んでいるとも言われ、こちらの代替としても2015年以降に10機程度は必要という。
またマレーシア向けのF/A-18Dは、8機が1997年に引き渡された。

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マレーシア向けAEW&Cについて

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-northrop-saab-eye-malaysian-aew-requirement-383892/

同じくLIMAにて、サーブとノースロップグラマンがAEW&Cの提案を計画しているとの報道。今年のLIMAではノースロップグラマンが初めてブースを構えてE-2Dのオペレータ席などを展示した。
E-2Dは今のところUSN向け75機を受注し、国際的な売り込みの最中となっている。メーカーの提案としては、マレーシアに配備することを想定した場合、4機あれば持続的な領域監視が可能としている。4機ならCVN1隻分の機数と同じだ。

サーブが提案しようとしているのはEMB-145などにERIEYEを搭載したAEW&C機で、隣国タイ向けではサーブ340+ERIEYEの2機をグリペン12機をセットで売り込むことに成功している。
サーブの売り文句は、50%の価格で80%の性能というもの。E-2DというかノースロップグラマンのAEWレーダーを意識した言い回しと思われる。契約上のその他の強みは、技術移転とかオフセットの部分になる。

業界筋では、同国のAEW&Cへの潜在的な需要は根強いと見られているものの、財政的な問題も指摘されるところらしい。

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LIMAでの その他展示

・インドネシア空軍のCN295

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-indonesia-displays-new-c295-383957/

インドネシア製のC295のうち、インドネシア空軍向けはCN295となっている。2012年2月のシンガポールエアショーにて調達契約された9機のうちの最初のバッチの2機。のうちの1機がLIMAにて展示された。

・マレーシア空軍のEC725

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-malaysian-ec725-makes-show-debut-383955/

展示されたのは2012年12月に引き渡された機体で、2014年1月までに10機が引き渡される予定。
まだIOCは獲得していない。

この他、回転翼機関係では、アグスタウェストランドとAW139×6機およびAW189×2機の調達契約が結ばれている。

http://www.flightglobal.com/news/articles/lima-weststar-signs-helicopter-deals-with-agustawestland-eurocopter-383934/

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KF-X計画の遅延についてインドネシアが言及

http://www.flightglobal.com/news/articles/indonesia-confirms-18-month-k-fx-delay-383258/

KF-X計画は3段階に分けて進行することになっている。最初のフェーズはtechnology developmentで、これは2012年12月に完了した。韓国内に設置された共同のR&Dセンターには、インドネシアからも37人が派遣されている。
この後、試作機製造を含むengineering and manufacturingを経て、製造・マーケティング段階のjoint production and joint marketingに至る筋書き。

インドネシア国防省の声明によると、engineering and manufacturingのフェーズに関して、未だ韓国の議会が承認していない旨がDAPAを通じて連絡されたとのこと。DAPAは、昨年末の選挙の影響で遅れたと説明しており、またこれまでに費やした巨額の費用を無駄にすることなく、計画を進行させるとも述べている模様。開発計画全体の費用は50億ドル規模で、インドネシアは20%を負担することになっている。

冒頭にある18ヶ月の遅れというのはよくわからんが、単に韓国の現政権があんまり肯定的ではないのかもしれない。

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スウェーデンがグリペンE開発完了までの予算を承認

http://www.flightglobal.com/news/articles/saab-gets-deal-to-complete-gripen-e-development-383850/

スウェーデンでは空軍のグリペンC×60機をグリペンE仕様に改修する計画を承認しており、これを進める上で必要な契約を相次いで締結している。
今年の2月中旬(FY2014まで、金額は25億クローネ)と3月22日の契約(FY2015~2023まで、金額は107億クローネ)により、開発作業に関わる契約は全て締結されたとのことで、各種の試験機材やリグ、シミュレータまで含め、開発の目処が立った形となる。
引き渡しは2018年から2026年までを予定している。

一方、スイス向けの22機は、取引全体で最大472億クローネという金額が示されてる。

BAEシステムズ/ノースロップグラマンがGCVコンセプトを公開/LEMVがキャンセルされる/Upward Falling Payloads project/英陸軍がアフガニスタンで超小型VTUAVを配備

WP3.5にしたら、何か自動リンクが効かなくて適当なプラグインで対応したりとか。

gizmagの軍事関係から遡って拾っておく。

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BAEシステムズ/ノースロップグラマンがGCVコンセプトを公開

http://www.gizmag.com/bae-gcv-hybrid-tank/25113/

2012年11月の記事。GCVは米陸軍のM2ブラッドレーを更新する次世代の歩兵戦闘車として構想されており、2020年代には配備されることになっている。

http://www.army-technology.com/projects/ground-combat-vehicle-gcv/

BAEシステムズ/ノースロップグラマンのほかにGDランドシステムが主契約。GDの方は情報がほとんどないが、LMやデトロイトディーゼル、レイセオンが参加している。またKMW/ラインメタル(米国メーカーとしてはボーイングが参加)からプーマをベースにした車両なども提案されたが、契約には至らなかった。

かつてFCSの中で有人戦闘車両ファミリとしてXM1202 MCSが構想されたが、これもBAEシステムズとノースロップグラマンのチームが設計を担当していた。
腰高な感じは多少似ているものの、GCV案はディーゼルと電気モータのハイブリッド動力に最大の特徴がある。また現用のM2が、設計当初は想定外だった脅威に対処する過程で、徐々に重装甲化していった経緯を踏まえ、RG-33 MRAP以上の装甲防御が求められたため、モジュラー装甲を最初から取り入れている。がその結果、戦闘重量63.5tonと恐ろしい重さになった。この数字は普通のM2の2倍を超えてM1と同等。いくら機動性を確保し、モジュラー装甲が取り外しできて、RfPにおいても(C-130などでは空輸しないから)最大重量は規定してない、といってもやり過ぎ感は漂う。C-17でも1両しか載らん。またこの重量は、走破性にも影響する。

QinetiQが開発したTDSは総合出力1100kW級、駆動系全体が小型軽量で、構造も簡単になる反面、電池は重くかさばるはずであり、ハイブリッド動力による燃料消費率の改善は2割程度と微妙。しかし静粛性が必要な場合にはモータ駆動が有利であったり、走行状態よりもむしろアイドリング時の燃料消費を抑えられるのが大きいとされている。実際の作戦行動の中で、どれだけの時間待機しているかというのを考えれば、決して無視できない利点と言える。
なんかバランス的にシャーマンみたいな感じにも見えるけど、でかい砲塔は無人。

あとネックになりそうなのは値段。M2は最終的に平均単価316万ドル程度に落ち着くところ、こちらは1300万ドル。調達数が多いだけに、ここは問題視されそうだ。

ここまでくると、メルカバみたいなMBT兼兵員輸送車でいいような気もする。またMCSみたく水子になっても致し方あるまい。
というかプーマ改修が一番安上がりでリスクも低い気が。

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LEMVがキャンセルされる

http://www.gizmag.com/lemv-airship-canceled/26274/

初飛行以来、再び巨大飛行船の時代が!とごく一部の期待を集めたLEMVであるが2月14日、米陸軍宇宙・MDコマンドは正式に計画キャンセルを発表した。

計画では、高度20000ftで21日間滞空し、ISRミッションを遂行することになっていた。キャンセルの理由は時間切れ。元々、2012年春にはアフガニスタンで運用されてるはずだったから、まあこれはしょうがない。アフガニスタン撤退も目前に迫ったこの時期まで来ると、存在意義は薄れる。納期は大事ですよね。

http://www.popsci.com/technology/article/2013-02/army-cancels-airship

なお、試験機での滞空時間は6日程度に留まり、2年間に費やされた金額は、3億6500万ドルにのぼったそうだ。
また予算の問題に目処が付くとしたら、国境監視の方で復活する可能性はあるとも予想されている。

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Upward Falling Payloads project

http://www.darpa.mil/NewsEvents/Releases/2013/01/11.aspx

近年のISR任務においては、UAVとセンサの発達が著しいが、それらをどのように前方展開するかという点に関しては、陸上基地から飛ばすか艦艇に搭載して進出させる以外になく、極端な話をするとDASHの頃からあんまり進歩がないとも言える。

ここでは、無人のシステムを深海底に沈めておいて、必要なときに活動させるという構想が打ち出されている。これにはUAVだけでなく、ASWのためのセンサ、囮、分散系ネットワークを構成するノードとしての機能も考えられており、その内容は多岐にわたる。
隠密性の観点からも深海底の利用は優れた解の一つであるが、現場に急行するのではなくて初めから備えておくという発想の転換と見る方が重要なのかもしれない。実現性は謎。

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LCS-5ミルウォーキーに新型の軸流ウォータージェットが搭載される見込み

http://www.gizmag.com/lcs-water-jets/26114/

このウォータージェットはRRとONR、NSWCが共同で開発していたもので、軸流ウォータージェットMk-1と呼称されている。
これまでのLCSでは商用の機関が流用されており、キャビテーション(プロペラ/タービンの設計が不十分だったためと書いてある)に起因する艦体の腐食が発生するなどの問題があったという。この辺の話はあんまり報じられてなかった気がする。見てなかっただけかもしらんけど。

Mk-1は従来よりも高性能であり、LCS-5ミルウォーキーから搭載されるとのこと。なお、1隻につき4基が搭載され、エンジン自体の寿命を延ばし維持費も節約できることになっている。
性能が向上する反面、ノイズが増大するとの指摘もあるようだが、元々ウォータージェットだからなぁ…静粛性なにそれおいしいの状態だと思うが。

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英陸軍がアフガニスタンで超小型VTUAVを配備

https://www.gov.uk/government/news/miniature-surveillance-helicopters-help-protect-front-line-troops

http://www.gizmag.com/black-hornet-nano-uav/26118/

その辺で売ってる室内用ヘリコプターラジコンより小型の、ナノUAVとも呼ばれるクラスで、名称はブラックホーネット。長さ10cm、高さ2cm程度。遠隔操作の有効距離は800m。完全充電で30分ほど飛べて、最高速度は35km/hという。GPS誘導と直接操作の両方に対応し、静止画と動画をリアルタイムで送れる。

ノルウェーの企業が開発したPD-100から、さらに一回り小型化した機体のようだ。

http://www.proxdynamics.com/products/pd_100_prs/

こちらは全長20cm。

コメント欄では価格についての議論が熱い。160セットで2000万ポンドなら、単純な割り算で1機あたり12万5000ポンドだが、PD-100という原型があったとしても、そこから全長を半分にするまで小型化しているわけだし、開発費も相応にかかってそうではある。

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3銃身のリボルバーの記事

http://www.gizmag.com/triple-barrel-revolver-surfaces/22523/

から情報元の骨董ピストルのところに行ったら数時間経っていた。

http://www.horstheld.com/default.htm

19世紀頃までの試行錯誤の歴史はたいへん興味深いものであるが、日本では現物見れるとこほとんど無いよな。

USSOCOMが亜音速弾の事前調査に関するRfPを発出/TrackingPoint社が精密狙撃システムを発表/ラインメタルの試作レーザ兵器が実用型に近づく/ACTUVの活躍(イメージCG)/GPSと電波望遠鏡(VLA)を用いた地下核実験の検出方法について

USSOCOMが亜音速弾の事前調査に関するRfPを発出

http://www.gizmag.com/us-special-forces-subsonic-ammunition/25172/

SOCOMが用いている制式ライフル弾の初速は、弾種によって異なるがおおよそ音速の2~3倍とされている。
これを大きく下げて静粛性を高め、市街戦(殊に隠密作戦、個人あるいは少人数グループへの襲撃など)に使用したい、というのが主な動機となっている。が、大口径の亜音速弾には精度や信頼性の問題がつきまとうので、簡単な話ではない。

SOCOMは本格開発の前段として、SBIRに基づくRfPを発出した。
この手の計画は過去にも存在したが、開発は言うまでもなくうまくいってない。が、材料技術、製造技術の進歩によって実現できれば大成功、みたいな。

確実に機能する亜音速弾は、現在知られている限り小口径のピストル弾が存在するのみで、ライフル弾としては例がない。初速を遅くしつつ、精度を保ち、信頼性の高いライフル弾となると、技術的なハードルは高い。
装薬を減らすことになるから、有効射程距離が著しく縮むのは仕方ないとして、比較的大きなカートリッジに少量の装薬という組合せでは、燃焼が不安定となり、薬室内のガス圧を低下させ、不発や停弾を招く危険性が高くなる。薬室からのガス漏れが起これば、現代的なライフルのガス圧作動式の機構が満足に動かない可能性もある。

これらを解決する具体的な手法としては、新しい形式のカートリッジが必要になる見通しで、高分子系の材料で抜弾抗力を下げたり、ガス漏れ防止用のサボを入れるなどの案が示されてる。

実現の見通しが立てば原型試作、デモンストレーションと進むことになり、最終的には法執行機関向けにも(どっちにしても特殊部隊だろうけど)供給されるそうだ。

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TrackingPoint社が精密狙撃システムを発表

http://www.gizmag.com/trackingpoint-precision-guided-firearms-scopes-digital/25264/

TrackingPointの社長は、特殊作戦の経験豊富な元海兵隊大尉(イラクでの作戦行動を通してブロンズスター、シルバースターを受勲している)で、除隊後レミントンの副社長を勤めた後、現在に至る。

で、ここに紹介されているのはTriggerPointという精密狙撃システムであり、.338ラプアマグナム弾を使うXS1と、.300ウィンチェスタマグナムのXS2およびXS3という製品を準備している。

拡大映像で目標点をマーキングした後、空気抵抗、風向きなどの補正を加えて正確な弾着ができる方向を指示、その方向に向くまで引き金が引けないよう抑止する、といった動作をするようだが、移動目標に使えるのかとか詳細はよくわからず。
具体的には映像の方を参照。

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ラインメタルの試作レーザ兵器が実用型に近づく

http://www.rheinmetall-defence.com/en/rheinmetall_defence/public_relations/news/latest_news/details_2368.php

http://www.gizmag.com/rheinmetall-laser-test/25504/pictures

2011年に実施した5kW×2門の10kWタイプによるデモンストレーションに続くもので、レーザの出力を向上し30kW×1門+20kW×1門の50kWタイプの試射を実施している。場所は前回同様、同社保有のスイスのOchsenboden試験場。

11月には、3種類の目標への試射が試みられた。
1つ目は1000m先の15mm厚の鋼板、2つ目は3000m先から毎秒50m程度の速度で飛行するターゲットドローン、3つ目は迫撃砲弾をシミュレートした毎秒50mで移動する直径82mmの鋼球で、それぞれ悪天候下でも十分迅速に破壊できたと発表されている。

なお、同社は複数のレーザを束ねて使用する技術はBeam Superimposing Technology
(BST) と呼んでいる。つまり32bitプロセッサ2つで64bit級みたいな(違う)。
写真のうち、2門の方が今回の50kWタイプかな。

実用型では合計100kWを目指すが、2013年は60kWのレーザを試験するとのこと。
これはレーザ出力を(30kWの)2倍にすると書いてあるので、つまり実用型は60+20+20=100という解釈でよいのだろうか。

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ACTUVの活躍(イメージCG)

http://www.gizmag.com/darpa-saic-actuv-drone/25607/

SAICが受注したACTUVのイメージCG映像が公開されている。ACTUVはASW作戦を主要任務とするが、モジュール変更によってISRから小規模な補給まで可能ということだから、多目的USVとした方が適切な気がする。

形態は受注の時のイメージと大体同じで、長期間のディーゼル潜水艦追尾の例を説明している。映像では非武装で、長期間にわたって目標を追尾し、情報を収集して終わる。SAICは60~90日間の作戦行動が可能としているが、あくまで最大ということか、そこまでは長くない。というか相手がディーゼル潜の例だしな。
興味深いのは、搭載した人工知能で目標の欺瞞行動に対応可能というくだりで、民間船舶を利用して追尾を混乱させるといった潜水艦の戦術機動にも対処できるという。つまり目標の位置を推定し、民間船舶などを避けつつ追尾を続けられることになっている。オペレータによる訂正ももちろん可能だが、勝手に動いてくれた方が労力が少なくて済むのは言うまでもなし。
水中の長距離センサは磁気(total field magnetometer array)、短距離センサは高周波アクティブソナー×2基。目標を識別するのはソナーの方になる。

total field magnetometer arrayというのはよくわからんが、ここにはMADのローコスト版みたいな事が書いてある。

http://www.psicorp.com/news_events/display_news.html?id=1217

こんなにうまくいくのかなあというのはおいといて、通して見た感じ、P-8と連携するだけでなく、CVNに積んでたASW機の役割も一部担うように見えるな。でP-8を水上はBAMS、水中はACTUVが補うと。

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GPSと電波望遠鏡(VLA)を用いた地下核実験の検出方法について

http://www.gizmag.com/gps-radio-telescope-underground-nuclear-test-detection/25434/

米オハイオ州立大の研究チームは、GPSの信号記録または電波望遠鏡VLAの観測記録によって、秘密の地下核実験(記事中ではunderground
nuclear explosions、UNEと称している)を検出できることを発見した。

従来、地下核実験を検出する最も確実な方法とされているのは地震計のデータ解析であるが、核分裂反応の規模が小さいと通常爆薬などとの区別が難しくなる。例えば北朝鮮の2006年、2009年の核実験のうち、2006年の時は1キロトン未満と推定されたため、おそらくは失敗と見られたものの地震計のデータだけ判断するのは困難だったという。

オハイオ州立大でGPSを専門に扱うグループは、2009年の核実験の直後、朝鮮半島上空にあったGPS衛星の信号が、訂正によりごく短時間だけ遅延し、その程度がGPS衛星の位置によって異なることに気がついた。核実験に伴う電離層の乱れ(traveling ionospheric disturbance (TID))が、GPS信号に影響を与えることは以前から知られていたが、GPS衛星の位置と訂正の関係についての研究はされていなかった。
核爆発の爆心地から単純にTIDの状態が波のように一定速度で拡がっていったと仮定すると、2009年のデータでは高度300kmあたりを870km/hで移動した計算になる。
その後、2006年のケースと、1992年のネバダ州での核実験のケース、2011年の東日本大震災におけるTIDをGPS信号の記録から確認したところ、核実験と地震によるTIDの発生パターンが異なることや、核爆発の規模でTIDの伝搬速度が異なることがわかった。後者については、1992年の20キロトンの核爆発が、2009年のUNEで起こったTIDの3倍の速度だった、とある。

VLAの方だが、こちらもGPSと同じくTIDに対する訂正を連続的に行うため、基本的には同じ考え方でデータを分析すればよく、VLAの技術者と連携して実際に同様のデータが残っているのを確認できたとのこと。

うまく捉えられるかはGPS衛星の位置関係にもよるし、核拡散の問題をどうこうする技術というわけではもちろんないが、新しい手段を得たのは悪い話ではない。
情報提供者を危険に晒す必要も少なくなるし。

アルジェリア向けMiG-29受領拒否にまつわる刑事裁判が終了/インド向けMiG-29UPGが引き渡される/ロシア空軍がSu-30SMを正式に受領する/PAK-FA/T-50の4号機が初飛行する/ロシア空軍兵員(パイロット含む)の訓練不足について

アルジェリア向けMiG-29受領拒否にまつわる刑事裁判が終了

http://en.rian.ru/military_news/20121204/177916582.html

アルジェリア向けMiG-29×34機の輸出契約が結ばれたのは2006年で、翌年になり15機が輸出された時点で、同国から仕様を満たしていないとして受領拒否され、正式キャンセル、Su-30へ振り替え導入と続いた。

意図的に仕様を満たさない低品質な製品を引き渡したのであれば、それは詐欺罪にあたるわけであるが、この12月4日、契約時点から6年が経過したことで、時効成立ということになったらしい。

この裁判で捜査の対象になったのは当時の副社長Sergei Tsivilev氏とその補佐役だったOleg Fadeyev氏の2名。であるが、この件にはポーランド向けのパーツにも波及しており、問題のコンポーネントを納めたAviaremsnabという企業の社長と副社長が既に有罪判決を受けている。

http://en.rian.ru/military_news/20090918/156171853.html

2005~2006年の契約で前払いで170万ドル受け取ったのに、新造ではなく1982年から1996年にかけて製造された部品を納めたとある。出荷や検査の証明を偽造したようなので、これはわかりやすすぎる不正だ。

こういうケースでは、元請の方の責任はやっぱり微妙な感じになるのだろう。政治的決着という奴だな。

訴えられたMiGの元副社長は辞めてるみたいだけど。

アルジェリアの受領拒否は当時もかなり話題になったが、ロシア国内ではミサイル作ってる工場がROSBORONEXPORTを訴えたりと、相当揉めている。

http://en.rian.ru/russia/20090914/156118433.html

こっちはどうなったのかよくわからん。

陰謀説まで飛び出したが、ダメだったという事実はかわらん模様。

http://en.rian.ru/analysis/20080530/108905942.html

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インド向けMiG-29UPGが引き渡される

http://www.flightglobal.com/news/articles/russia-delivers-indias-first-upgraded-mig-29s-380053/

http://en.rian.ru/military_news/20121211/178064533.html

インド空軍のMiG-29は、69機が近代化改修されることになっている(金額にして9億ドル程度)が、12月10日、RAC MiGは最初の3機をインドへ引き渡したと発表している。機体はAn-124に搭載されて運ばれたとのこと。

MiG-29UPGの概要については以前から公表されている通りであるが、レーダーとアビオニクスの換装、新型兵装のインテグレーションと40年までの寿命延長となっている。

MiGでの改修は6機の予定で、残り63機はHALにて改修を実施する計画。これらのエンジン、RD-33シリーズ3×120基は、2007年にロシア国内で製造許可が出ている。

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ロシア空軍がSu-30SMを正式に受領する

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-russian-air-force-receives-first-su-30sm-fighters-380051/

12月5日、ロシア国防省はアフトゥビンスク空軍基地にて受入検査を行っていたSu-30SM×2機を、正式に受領したと発表。

11月22日に同基地に到着したこれらの機体は、2012年3月に発注した同型機30機のうち最初の2機にあたり、2015年までに全機が引き渡される予定。

9月21日初飛行だから、2ヶ月半ぐらい経過している。

機体には、赤い星以外のマーキングはほとんど見当たらない。

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PAK-FA/T-50の4号機が初飛行する

http://en.rian.ru/military_news/20121212/178100717.html

12月12日、スホーイは開発中のPAK-FA、T-50の4号機が、コムソモルスク・ナ・アモーレのガガーリン記念工場にて40分間の初飛行を実施したと発表している。なお、1号機が初飛行したのは2010年1月29日だった。当初2007年の予定だったと言われているので、計画は遅れ気味で進行している。遅延の大きな理由の一つに、エンジン開発の難航があった。

現在の計画では2015年からロシア空軍の評価用の機材として10機、続いて最初のバッチの60機が発注見込み。最初の10機がLRIPに相当するのか、試作原型の延長になるのかとか、位置付けはよくわからない。少なくともここまでの4機については、外見上の大きな変化はないように見える。

また記事中、ノボシビルスクの方(NAPO)ではSu-34の製造が進行中であり、近日中に10機をロシア空軍へ引き渡す予定と書いてある。

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ロシア空軍兵員(パイロット含む)の訓練不足について

http://en.rian.ru/military_news/20121207/177979621.html

ロシア国防相は、ロシア空軍のパイロットとその他の専門的な技術者について、訓練が不足していると述べた。その対策として訓練大系の改善と最適化を進めるとしている。

装備の更新は進み始めたが、人員の面では甚だ心許ない状況という話だが、これはロシアが直面している急激な高齢化にも関連している。作戦機数の減少もあるが、冷戦終結からこっちの20年で退役したパイロットは数千人というから話がでかい。

http://en.ria.ru/analysis/20121128/177792414.html

記事中のリンク先は、11月28日付の論評記事になってる。ジューコフスキーの空軍工学アカデミーで、ここ3年、1人の生徒も受け入れてない事や、史上初の宇宙飛行士公募でも300人しか応募がなかった事に触れられている。ここから選抜された人数は8人だった。
同様のリクルートを行ったNASAには、応募者6000人が集まったということからも、ロシア国内での不人気が半端でないことが判る。

長らく続いた賃金・待遇の問題は改善の方向に向かっているものの、宇宙飛行士に関して言えば、長期的なビジョンの欠如が不人気に繋がっているとの見方がある。軌道輸送系と有人宇宙計画では大きな実績を残しているものの、一般国民には何が成果なのかよくわかんないというのが大きいようだ。

以下、セルジュコフ前国防相の空軍の機構改革が失敗して毛嫌いされた話に続く。興味深いがやたらと長いので略。

インド海軍向けMiG-29Kの艦上トライアル完了およびMiG-29UPGの進捗/HALがジャギュアのDarin III改修機を初飛行させる/インドの軽航空機レーダーシステム入札について/RAAFのC-130Hが正式に退役

インド海軍向けMiG-29Kの艦上トライアル完了およびMiG-29UPGの進捗

http://www.flightglobal.com/news/articles/mig-29k-carrier-trials-for-india-completed-378416/

ヴィクラマーディティヤの方は引渡しが更に延期となってしまったが、艦載機の試験は予定通り進行し、10月で一通り完了ということになったようだ。

また2008年3月契約の、空軍型MiG-29のアップグレード改修、UPG型は、RAC MiGのLukhovitsy工場にて最初のバッチとなる6機分の作業が完了した。今回の発表が行われたのはこの工場で、10月25日のことだった。
アビオニクスはMiG-29Kとだいたい共通となり、ロシアの技術協力のもと、インドで改修作業のうち90%を行うことになっている。

予定では、2017年末までMiG-29/35の製造がピークということで、金額にして合計60億ドル以上の取引が関係するという。
内訳は、まずインドおよびロシア海軍向けのMiG-29Kがあり、2013年には最初のロシア空軍向けのMiG-35を引き渡すことになっていて、2014年にかけてロシア空軍の追加発注を期待している。

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HALがジャギュアのDarin III改修機を初飛行させる

http://www.flightglobal.com/news/articles/hal-conducts-maiden-flight-of-upgraded-jaguar-fighter-379631/

インド空軍のジャギュア近代化改修は、Darin IIIと呼ばれる仕様で、ミッションコンピュータ、エンジン、コクピット計器とデジタルビデオレコーダ、INS/GPS航法システム、オートパイロット、RWRなどを一新、電源も強化される。

設計から改修までの全作業をHALが担当することになっており、オーバーホール部門が実際の改修を、Mission & Combat System Research & Design Centreが設計を行う。

現状ではエンジンはアドーア811のままだが、本命の代替エンジンはハネウェルF125INとする方向で交渉中。
F125INについてはハネウェルがメーカーサイトを開設している。

http://www.honeywellforjaguar.com/

ホットスクランブル時の離陸滑走距離は23%短縮、推力は17~40%の増加、航続距離は36%の増加、最大ペイロードは2000kg増加などと主張している。
改修機数は125機分なので、エンジンの数では250基以上ということになる。

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インドの軽航空機レーダーシステム入札について

http://www.flightglobal.com/news/articles/india-to-compete-follow-on-aerostat-radar-deal-378530/

インドでは、過去にラファエル製の軽航空機(気球)搭載レーダーシステムを2セット導入したが、2011年に運用上の問題と経費・修理費に関わる報告が出されている。
その後の詳しい展開は不明だが、インド側としては別のシステムの導入を検討する方針に傾いており、2013年中頃の入札という非公式な情報も出てきている。

このシステムは、低高度を飛来する脅威(航空機と巡航ミサイルを含む)の探知を主眼とするもので、新たに入札が予想されるメーカーには、BAEシステムズ、IAI、LM、ノースロップグラマン、タレス、ロシア(Rosboronexport)が挙げられている。さらにラファエルも、新型レーダーを含むタイプの提案で応じる模様。

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RAAFのC-130Hが正式に退役

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-raaf-retires-c-130h-after-34-years-of-service-379634/

RAAFのC-130Hは、導入から34年が経過しており、東ティモール、イラク、アフガニスタンへ展開したほか、人道支援にも活躍した。バリ島やカンボジアからのオーストラリア国民の避難に用いられた事にも触れられている。

これらの機体のうち、4機がリファービッシュ処置後インドネシアへ譲渡され、2機はRAAFリッチモンドで訓練任務に就き、4機はポイント・クックの博物館に送られた。
2012年末で退役となるのは6機であるが、これらもインドネシアへ譲渡される方向で進んでいるようだ。

退役は当初のスケジュールよりも早いため、早期退役という形になっている。これにより節約できる4年間の維持費は、2億5000万オーストラリアドルとのこと。
C-130Hに代わる輸送機部隊としては、C-130J×12機とC-17×6機で、さらにC-27J×10機の追加も決まっている。

デンマークはリンクス後継にMH-60Rを選定/AW169原型3号機、AW149開発状況/バングラディシュ陸軍向けのAS365 N3+ ドーファン/最初の民間向けMi-171がインドネシアに納入される/ユーロコプターX3の今後の展開など

デンマークはリンクス後継にMH-60Rを選定

http://www.flightglobal.com/news/articles/denmark-confirms-mh-60r-selection-to-replace-lynx-helicopters-379331/

11月21日、デンマーク国防省は、現用のリンクスを更新する海上輸送ヘリコプターとしてMH-60Rを選定、金融省の承認を得たと発表。リンクス後継には、ウェストランド系の直接の後継機種であるAW159リンクス・ワイルドキャットも提案されていたが、これは選定されなかった。

今回選定されたMH-60Rは、2016年から2018年にかけてKarup空軍基地にて9機が引き渡され、2017年から現用のリンクス90B(7機が現役)と交代し始める事になっている。

この機種はオーストラリア海軍でも24機が採用され、元々のUSN向けと合わせて170機ほどが配備されている。こちらはS-70Bからの更新という形だったが、リンクスの後継に収まったのはデンマークが多分初。

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AW169原型3号機、AW149開発状況

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-third-aw169-prototype-takes-to-the-skies-379452/

11月23日、AW169の原型3号機がイタリアのCascina Costaにて初飛行に成功した。飛行時間は35分程度。
メーカーのアグスタウェストランドからは、原型4号機は2013年初めの初飛行を予定し、2014年の型式証明取得と納入というスケジュールに変化はないとの公式発表が出ている。

2010年7月にロンチされたこの機種は、6tonのAW139と10tonのAW189の下の、4.5ton級10人乗りで、ユーロコプターのドーファンまたはEC145に対抗する。エンジンはPW210の双発。

原型1号機は5月、2号機は7月初飛行で、累計飛行時間は100時間超。この原型3号機は折りたたみ式の降着装置を有しており、主に人工気象室での試験に供される。具体的には寒冷地及び高温・高地試験、カテゴリーA性能試験、その他オプションの型式証明などを予定している。

AW149の方は、軍用のAW189の原型機4機のうち、2機が民間向けのAW149に近付けた仕様で製作されており、これらの累計飛行時間は800時間を超えた。2013年中頃の型式証明を目指す。

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バングラディシュ陸軍向けのAS365 N3+ ドーファン

http://www.flightglobal.com/news/articles/picture-bangladesh-army-inducts-two-eurocopter-dauphins-379585/

写真の提供元はユーロコプター南西アジアとなっている。シンガポールに拠点を置き、フルモーションシミュレータを含む地上での訓練は、ここで行われるとのこと。

蛙っぽいカラーリングだな。

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最初の民間向けMi-171がインドネシアに納入される

http://www.flightglobal.com/news/articles/pictures-russian-helicopters-delivers-first-civilian-mi-171-to-indonesia-379483/

ロシアンヘリコプターは、Mi-171の民間型をインドネシアの鉱業会社に納入したと発表した。顧客名は明らかにされていない。

写真では機体にAIRFASTという文字が見えるが、これはチャーター会社のエアファスト・インドネシアの塗装とのことで、機体の運用と整備を行う契約を結んでいると考えられる。
鼻先がMi-8から引き継がれたガラス張りで、外見はかなり伝統的なイメージだ。キャビンも丸窓だし。

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ユーロコプターX3の今後の展開など

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-eurocopter-test-pilots-praise-x3-handling-376412/

9月のILAの記事だが、計画のまとめになっているので遡ってメモ。

X3のテストパイロットを務めたHervé Jammayra氏は、同機がほぼ事前のシミュレータ通りの挙動を示したことと、固定翼機並の加速性能を賞賛している。

7月から8月にかけての北米デモンストレーションツアーを終え、飛行時間は2年間で120時間に達したとのこと。

また飛行中の動力の配分に関して幾つかの情報が出てる。
設計上の目標速度は220kt、時速400kmだったが、これは最大出力の80%ほどで232ktを達成できた。
メインローターとプロペラの動力配分は速度域によって変化する。小翼の発生する揚力は最大で40%を占め、つまりメインローターの揚力は減少するわけだが、今度はプロペラの方で対気速度を維持して揚力を保つためのパワーが増大する。
一方、巡航時のメインローターは出力25%程度で済み、ピッチを減らせるので、振動がかなり抑えられるという。

こうして見ていくとわかる通り、小翼の面積は設計上、かなり重要な要素と考えられた。また小翼の追加はオートローテーション特性の変化(減少)にも繋がるとされている。
これについて、試験を担当したエンジニアのDominique Fournier氏によると、X3のオートローテーション特性は、ドーファンとほぼ同様であることが飛行試験で確認されたとのこと。

http://www.flightglobal.com/news/articles/ila-eurocopter-plans-x3-type-helicopter-during-next-seven-years-376405/

ユーロコプターのCEOは、次の6~7年で実用機に発展させる事を示唆したものの、型式証明に時間を要する可能性があるとも発言している。

どんな機体になるか、という点については、はっきりした回答を出さなかったが、X3のような中型機だけでなく、小型から50人乗りといった大型まで対応できるとする。

とは言えガス・油田向けが最初の目標であることには変わりないようで、原油価格が1バレル80ドル以上といった水準であれば、調査目的での長距離進出に対するニーズが高まると考えている模様。
この他には、高速性能がVIP輸送やSARといったミッションにも適応するとも述べている。