年末からこの2ヶ月ほどの間にコンシューマゲーム機関連の話題がいろいろ出たので適当にまとめておきたい。
ログインできない間に書き足していったらやけに長くなった。
・WiiU
年末商戦で唯一投入された新型据置機としては、まずまずの出足だったみたいだが、実際に発売されてみるとパフォーマンス微妙?みたいな空気になっている。そこそこ高性能という予測は、プロセッサの製造プロセスが32か28nmというのが前提だったので、40nmプロセスで製造されているとなると大分話が違う。電源とか冷却が大掛かりになるのを嫌うのはわかるけど、初期の製品ではシュリンク前提で消費電力高めに行っても良かったんじゃないかという気がした。
となると、パフォーマンスで有利なのは世代の新しいGPU部分のみということになり、今後のソフトメーカー側のマルチプラットフォーム戦略にうまく乗れるかどうかという点については、やや不安を残す。
また、初期出荷分の大きなアップデートや、ゲームパッドでのプレイに意外と制約があるなど、任天堂らしくない未完成感がある。と思ったけど3DSも段階的にアップデートして行ったんだっけか。
とは言え今後の手当てがどこまでできるかの方が重要だろう。
むしろファーストタイトルが遅れてるっぽいのは痛いかもしれん。サードの動きも表面上は活発でない。
モーションセンサ対応よりは2画面化の方が作りやすそうに思えるが、移植性の問題は残る。
国内においては3DSの地位はそれなりに磐石に見える。が、海外は各種タブレット勢に押されてる感が否めず。2013年はポケモン次第?
若年層にフォーカスしたタブレット製品が直接の競合だろうけど、それより普通のタブレットの方が売れたっぽいな。やはり差別化ポイントが独自サービスのみ、というのはリスクが高いか。
参考:
国内の初動はWiiの2割減。
http://mantan-web.jp/2012/12/11/20121211dog00m200019000c.html
1/23の任天堂ダイレクト。直近の発売タイトル未定。
http://www.nintendo.co.jp/wiiu/direct20130123/index.html
・PS3
海外においてはSCEファーストのデベロッパを複数解散、国内においては徐々に独占コンテンツがアニメ系に偏ってきているのが現状で、何のかんのでモデル末期感が高まりつつある。特に国内では、裏表のあらゆる手段を駆使して優位を保とうとした(と思う)が、前世代一強だったPS2からの世代交代は、ほぼ失敗した、と結論しちゃっていいだろう。
開発費の高騰と大きな逆ザヤはソニー本体にも大きなダメージを与える結果に繋がったと言われ、既にブルーレイ市場も頭打ち気味とソニー全体の凋落をある面では体現している。というか独占・引き抜きの規模がしょぼすぎて泣ける。Vitaの出て1年でハード末期みたいなムードといい…
その辺を強く印象付けたのが、2012年末の「PSアワード17年ぶりミリオン無し」との報道だった。ただし機種別の推移を詳しく見ると、PSPがDS後退期にMHでヒットを飛ばして何とか面目保ってただけで、PS2時代から市場縮小し始めていたのが如実にわかる。
参考:
プレイステーションアワード : PSソフト、ミリオンなし 初回以来17年ぶり
http://mantan-web.jp/2012/12/03/20121203dog00m200034000c.html
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全然関係ないが、最近セガの旧作XBLAやってて思ったこと。
今あるゲームのフォーマットって、対ユーザの部分に限って言えば、間口を広げる努力が中心になって発達してきた経緯がある。アーケードゲームの時代、ゲームの操作に慣れるところからゲームが始まっていたのが、だんだんと初見でもそれなりに遊べるよう変化していった。
その流れは1990年代中頃まででだいたい完成の域に達してしまって、以後は3Dに置換したり、間口を広げるセミオート化、あるいはその逆の極端な複雑化に走るばかりだった。
ネットワークが発達してからは対人プレイが隆盛してきたけど、これも複雑なルールは受け入れられにくいように見えるし、プレイヤー同士のコミュニティなどの別種の問題も抱え、最後は袋小路に行っちゃいそうな感じがする。
ゲームの可能性を拡大したという意味では、任天堂が先鞭を付けたUIの変革の方も大きいのだが、ソフトメーカー側が対応していくにはリスクが伴い、時間も掛かる。そしてWiiリモコンにしろMoveにしろKinectにしろ、結構露骨に敬遠された経緯がある。
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・XBOX360
年末商戦は、ワールドワイドでは欧米の市場縮小の煽りを受けつつ、前年比での下げは最小限に留めた模様。
従来のライフサイクルを当てはめれば末期もいいとこのはずなのに、SmartGlassなどの新機能が追加されたりと異例の機能拡張を遂げている。
この状況からすると、次世代機最大のライバルは現行機という流れになりかねない。と感じる一方、ここに来てまだ360に投資を続けるということは、別の展開の準備を兼ねてるようにも思える。XBOX TVと呼ばれるものが怪しいが、次世代ハードの開発は非常に厳しい守秘義務契約の元で進行していると言われており、実体は不明。
国内は色々とダメ。MS自ら市場を立ち枯れさせたツケであるが。
でも日本を抑えたSCEは死にかけており、いくらPS3がXbox360にハード販売数で並んだとか追い越したとか喧伝されたところで、利益には繋がってないのが丸わかり。そういう目線で見ればこの方針で成功…なのかなあ。ユーザとしては納得いかねえけど。
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・次世代コンシューマゲーム機
後藤記事の、半導体大手のプロセスルール開発の停滞が大きく影響した、という説明は、かなりの程度当たってると思われるが、今のところ一番割を食ったのがWiiUということになる。
また残る2社の情報戦は、1月中頃から急に激化した感がある。そのタイミングを見るに、MSのカウントダウン公開が引き金になったのは明白。開発機のスペックを実機のスペックと混同させようとする意図もありそうでわけわからん。
次世代のPSとXboxが似たような構成になるといった出所不明のネタ(しかもリサイクルというか既視感のある噂)が唐突に流布したり、ソニーの幹部がわざわざ言及したり。
この手の仕込みは現世代の発表前と似ているが、PS3発表時の「一強ハードの後継機で超高性能カスタムプロセッサ搭載、打倒Wintel(懐かしい)」というような楽勝ムードは皆無で、大手メディアもPS3/Vitaの世代交代失敗を記事にする有様で、効果は決して高くなさそうに思える。そのうえ、ソニー本体の財務状況というハードルは技術面のそれよりも明らかに高い。
まあその辺は目をつぶるとして。
PS4(仮)については、メモリ容量などの細かいスペックはともかくとして、APUを中心とする構成が、ほぼ確定のように見られている。
こうなるとPSPとPSVitaの関係のように、互換性は絶望的。
PS3互換の奥の手として、クライアント側の処理を多めに取ったクラウドゲーミングを主軸とすることも考えられるが、たとえ通信量を減らせても同期とレイテンシの問題は残るような気がするんだよなあ。
それはそれとして興味深いのは、ハード構成がSteamboxと似通ってくる点。Windows排除したらこっちも互換性は無くなるし、AMDのAシリーズを使うと予想されてる。
でももっと突っ込んで考えると、PlayStation OSを活用する云々という事になれば、今度こそ最新プロセスでA15の多コア仕様にして、「やけに高パフォーマンスなスマートテレビ端末」+「クラウドゲーミングでPS2/3互換」みたいのの方が良くないか。ARM系ならVitaのタイトルがそのまんま動かせるかもしれないし、Androidとの互換性も保ちやすい。x86を選んでもWindowsやPCゲームとの親和性は高いがそれだけの話で、OS自体を移植する手間もコストもかかる。
以上を踏まえると、一番磐石に見えるのは次世代Xboxということになるが、最初に書いたプロセスルール問題がどう影響するか、さっぱり見えない。
今年はXboxTV、来年は次世代Xboxみたいな展開もありえるだろうか…
個人的なところで言えば、現世代で最大の収穫はFORZAシリーズだった。だからFORZA5とかHORIZON2が出たら、本体が日本で発売されなかろうが、とりあえず買うと思う。
次世代Xboxの日本発売を疑問視する説には、ある程度の説得力はあるが、逆にある程度の反論も可能なので、ぶっちゃけ不毛であり割愛。
参考:
とりあえず後藤記事を。ただし次世代Xboxに関してはほとんど言及されてない。
Steamrollerが消えたAMDロードマップの変化と、次世代ゲーム機の行方
※現在、Steamrollerに関してはロードマップ上でKaveriが復活し、2013年内出荷となっている。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/20121121_574241.html
AMDのカスタムAPUを使う次世代PlayStation
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/20121225_580059.html
それから最新の平井社長インタビュー。PlayStation OSの活用に言及したり、また単体ハードとしてのPS4は出ない、と読めなくもないので、後々重要になってくるかも。小粒感とかフェアウェイとか相変わらず意味判らんけど。
http://japan.zdnet.com/cio/sp_12executive/35027310/4/
・その他新ハード
どれもこれもとりあえず出してみる、みたいな実験ハードっぽさが凄い。
胡散臭さの質は異なるが特にSHIELD(GPU使ったクラウドゲーミングのプロモ用と見られている)とOUYA(ビジネスモデル的に到底うまく行きそうには思えない)はどっちも胡散臭い。
成功するには敷居を極限まで下げて無理矢理普及させるか、キラータイトルを用意するかしかないけど、どっちもかなり難しいだろう。
参考:
NV関係の後藤記事。
NVが最大限に我田引水してゲーム業界の状況を説明するとこんな感じなのか。みたいな。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/20130115_581641.html
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/20130116_581782.html
CESで発表された新ハードのまとめ。プレスリリース読むより楽程度の情報しかないけど。
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20130118_582130.html
http://www.4gamer.net/games/036/G003691/20130119001/
Android系は正直どうなのかなあ。外付けのデバイスを標準化するのって案外骨だし、「そこまでしてやりたいゲーム」を用意するのが大変そう。その手のゲームは手頃さが売りで、専用ハードとは相反する。