米陸軍が野戦用の太陽光/風力発電システムを開発中
http://www.army.mil/article/79471/Army_scientists_develop_deployable_renewable_energy_solutions/
米陸軍の研究部門、U.S. Army Research, Development and Engineering Command (RDECOM)の技術者が取り組んでいるもので、従来の化石燃料を使う野戦用発電機の代替電源として、太陽光発電と風力発電を用いたマイクログリッドを構想している。従来の発電機は後方から補給される燃料に依存するので、兵站上も大きな負担となっており、代替する意義は(環境保護などの題目とは関係なく軍事的に見ても)大きい。アフガニスタンなどで補給線への攻撃が常態化していることは周知の事実。
とは言っても軍隊が消費するエネルギーが極めて膨大であることも事実で、近年はこれを抑えることも大きな課題になってきた。gizmagの方には米連邦政府が消費するエネルギーのうち90%が軍事用途である、と書いてある。ジェット燃料とバイオ燃料を混合して使うというのが実用段階に進んだ他にも、USNでは舶用ディーゼルに代替燃料を混ぜる試みを行っているようだ。
そうした大きな流れの中で、陸軍で手を付けてるのがこれ、ということになる。
RDECOMの構想は大きく分けて2つのシステムがあり、Reusing Existing Natural Energy from Wind and Solar (RENEWS)およびRenewable Energy for Distributed Undersupplied Command Environments (REDUCE)と呼称されている。前者は前進拠点などに設置された通信システム向けの独立した動力源で、構成部品の重量は100ポンド程度、これを70ポンドのケース2つに分けて持ち運ぶ。システムが作動する環境における定格出力は、2台ないし3台のラップトップ端末を動作させる程度で、ピーク出力を5時間ほど持続可能な蓄電装置を有する。
後者は現時点ではより大型で、HMMMVが牽引するサイズ。従来の発電機と再生可能エネルギー源を組み合わせたマイクログリッドを構成し、前線の兵士が電源の接続先などを気にせずに使えるようにする。この手の互換性問題は長年に渡って問題視されてきたものだ。異なるシステム同士を連携させ、事実上一つの動力源と同じに見なせるようにし、化石燃料への依存を減らしてエネルギー効率を高めるのが最終的なゴールとなっている。
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Ecogroomer
http://www.gizmag.com/ecogroomer-ski-groomer/21803/
スキー場のゲレンデを整備する圧雪車の歴史は、普通の雪上車に始まり、長年に渡って改良が加えられて現在は極めて幅広の軌道を有するタイプが主流になっている。更にはハーフパイプ専用などの特殊な付加装備も登場した…という一連の流れが公式の動画で描かれ、これはこれで中々興味深い。
Ecogroomerは更に進歩し、エネルギー効率の高い圧雪車を実現するという触れ込み。まあ環境負荷言うんだったらスキー場自体が(以下略)だろという話もだいたい付いてくるわけであるがそれはおいといて。
この車両は、通常の圧雪車の左右に独立したエンジンを積んだ圧雪装置を展開することで、普通の圧雪車に比べて一度に整備できる面積を200%以上増加できる。つまりゲレンデを往復する回数が半減し、経費と時間が大きく削減できることになる。アームと圧雪装置の分は自重が増加し、さらに別個のエンジンを追加する為に、効率倍増までは行かないが、30~35%の効率改善が見込まれる。初出は去年で、最近になってボルボがエンジン供給する事になった旨の発表を行った。
広いゲレンデの方が有効に使えるのは明白であるが、メーカーでは世界の主要スキーリゾートでこの車両を全面採用した場合、2020年までには2000万ガロンのディーゼル燃料と、1億5000万ドルの経費が節約できるとの独自試算を発表した。料金の引き下げにつながる可能性もあるというものの、この記事を書いた人は懐疑的だな。
現在同社は、リースという形でのセールス活動を行っている。使用時間で料金を請求するということで、スキー場側は導入リスクが比較的低い利点を得る一方、メーカーの利益が上がるようになるのはまだ先のことになりそうだ。
製造にあたっては米国およびカナダの企業と協力し、2012-2013シーズンにはロッキー山脈周辺リゾートへ最初のリースが予定されている。その後は北米全域、欧州と段階的に拡大する計画。
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http://www.gizmag.com/worlds-first-solar-powered-ski-lift/21580/
http://www.skilift-tenna.ch/index.php
関連して太陽光発電を取り入れたリフトの記事。
スイスの小さな町、Tenna(人口112人)のスキー場で、世界初という太陽光発電採用のリフト装置が建設された。イス型の搬器が付いておらず、立ったままロープで引っ張られるタイプのリフトになっている。450mの区間に約80枚の太陽電池パネルが取り付けられて最大で9万kWhを発電でき、輸送能力は毎時800人に達する。とは言え、天候に左右される以上は太陽電池のみとはいかず、通常の送電網とも接続されているようだ。また、このシステムはリフトが稼動しない夏場も機能するから、地元の町にも給電できる。ちょっとした太陽光発電所だ。
太陽電池パネルは日照に合わせて向きを変えるようになっており、常時動くことでパネル表面が雪で覆われることも防げる。
建設にかかった費用は、概算で通常の2倍程度だったというが、その大部分は寄付で賄われたとのこと。
ちなみにリフト券は1日券25スイスフラン、7日券100スイスフラン。安いな。
関連URLを見た感じ、日本のスキー場はかなりヤバイが、スイスも色々大変らしい。
http://www.swissinfo.ch/eng/swiss_news/Swiss_ski_resorts_must_diversify_to_survive.html?cid=31710328
暖冬が続いて雪不足とか(冬季オリンピックでも話題になったが)、オーストリアに客が流れたとか。スイスフラン高(というよりユーロ不安)の影響も小さくない。
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CSR Project 130
http://www.gizmag.com/csr-project-130-steam-locomotive/22670/
Coalition for Sustainable Rail (CSR)はミネソタ大の環境研究所(IonE)と非営利団体Sustainable Rail International (SRI)が共同で取り組んでいるもの。Project 130は「バイオ石炭」を利用して蒸気機関車を走らせることを目標とし、カーボンニュートラルかつ世界最速蒸気機関車のタイトルを狙う。130は130mph、209km/hを意味する。
画像の蒸気機関車、Locomotive 3463は1937年製造。75年もののこの機関車は、2011年11月にカンザス州トピーカのグレート・オーバーランド・ステーション博物館からCSRに寄贈された。
http://en.wikipedia.org/wiki/ATSF_3460_class
バイオ石炭とは、石炭に類似したエネルギー密度と物性をもつ生物由来の固形燃料を指す。このためかつて石炭を燃やして走った蒸気機関車のボイラーがそのまま使えるという理屈であるが、本物の石炭と違って有害な重金属などは含まれていないし、燃焼時の煤煙も灰も少ない。植物由来であればカーボンニュートラルとも言える。
初期の研究では、通常のディーゼル機関車と比べてより高速、高加速、高出力重量比を達成できると見ている。
Project 130はデモンストレーションに過ぎないが、鉄道輸送に蒸気機関車が復活するきっかけになる可能性もある。
つまるところ、メンテナンス性と出力特性は蒸気機関車がディーゼル機関車に勝るという話のような気がするが、極端な話、外燃機関と内燃機関では違って当然なので、直接比較することにはあまり意味がない。
最終的にはバイオ石炭とやらの供給次第ということになるだろう。
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Airborne Wind Turbine
http://www.gizmag.com/floating-wind-turbines/21976/
http://www.altaerosenergies.com/
Altaeros Energiesという企業が開発中のAirborne Wind Turbine (AWT)は、ダクト状にしたヘリウム気球の内側に風力タービンを設け、上空に浮かべて発電しようという構想で、実験はメイン州ライムストーンのLoring Commerce Centerで行われた。この時の高度は350ftだった。
このシステムのメリットは、従来の風力発電よりも高くタービンを配置することで、地表面よりも強い風を利用できて高出力が得られるというもの。騒音や振動といった問題も解決できる。設計高度1000ftで稼動させる想定では、風力は地表面のほぼ5倍となり、経費を最大65%節減できるという。
試作にあたっては、マサチューセッツ州セイレムのDoyle Sailmakersが協力した。
現状、具体的な仕様がいまいちわからんのが難点だが、やたらと土地が要る風力発電所のイメージを覆すものではあるだろう。映像で見る限り、1基あたり大型トレーラーを横に数台並べた程度で済む。