Vestas V164の開発進む/V3 Solar Cell

Vestas V164の開発進む

http://www.gizmag.com/vestas-v164-wind-turbine-8mw/24414/

現存する風力タービンの中で最大のものは、スペインのGamesaが製作したG10X原型タービンで、ローター直径が128mに達するが、最大出力は4.5MWに留まる。出力が大きいのはEnercon E-126で、ローター径はG10Xにわずかに及ばない126mながら、最大出力は7.58MW。こちらは2007年以来、世界最大の出力ということになっている。

これらに対抗すべく、デンマークのVestasが開発しているのはV164と呼ばれるタイプ。数字はローター径を示す。つまり直径は164m。同社が主張するところでは、タービン容量を増す方針で開発されたとの事で、設計最大出力は8MWとされる。
現在は、2013年1月からの屋内駆動系試験に備えて試験用ベンチを建設しているところ。実環境に設置されるのはデンマークのOesteridとなるが、2014年内は無理と考えられている。このため、スペインで計画中の10MW級風力タービン(最終的には15MWを目指す)、Azimutに先を越される可能性がある。

http://www.gizmag.com/azimut-project-to-develop-worlds-largest-capacity-wind-turbine/17158/

しかし何と言ってもユーロ危機ど真ん中のスペインがやることなので、予定通りに行くかは微妙な気も。

この種の巨大タービンは沖合風力発電に使われるのが一般的。ここまででかくなったら、下手に近付くと気圧変動でどうにかされそうだ。

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V3 Solar Cell

http://www.gizmag.com/v3solar-spin-cell/24352/

太陽光発電所と言えば平らなパネルが大量に並べられた状況が思い浮かぶが、太陽電池の性能向上に頼るだけでなく、配置を見直すなどして更に集光率を高め、発電能力を向上するというアイディアもたくさん提示されている。
V3 Solarもそんな案の一つで、角錐、多面体または円錐形に太陽電池セルを貼り付けるというスタイルから、さらに一歩推し進めたものになっている。

具体的には、円錐形の表面に小三角形のセルを敷き詰めた形をしており、その上を円錐形のレンズで覆った二重構造の円錐になっている。傾斜角度は56%。またSpin Cellの名前の通り、自ら回転する。これらの特長により、平面パネル状の太陽電池に比べて発電能力は20倍になる、とされる。
二重の円錐のうち、レンズは固定で内側だけが回転し、太陽電池セルが過剰に熱せられるのを防ぐ。この動作のためには回転機構が必要となるが、磁力で浮かせるので抵抗によるエネルギー損失はほとんど無く、ごくわずかな動力で回せるようにできている。ついでに磁石も回転させれば、太陽電池から出力されるDCをACに変換できて一石二鳥。

動画を見るとわかるが、結構な勢いで回転してる。

実証のための試験装置は既に製作されており、第三者機関によって平面パネルに対して20倍の効率を達成していることが確認されたと発表。試験においては、熱、回転速度、出力を計測するデータロガーをワイヤレスで接続してデータを取得したとある。
熱的には、集光倍率を20倍とした場合はセルの表面温度がセ氏35度を超えることはなく、恒久的に稼動できることがわかった。今後は倍率を40、50、75倍と高めて分析を行う予定。

同社では、Nectar Designと共同で、高さ1m×幅1mの実用モジュールの設計を行っている。
商用発電向けとしては、大規模太陽光発電所に設置する80万セット分のライセンス契約を締結したとのこと。

英国でVAWTの原型試作/NASAが凧式風力発電の実験/LMとOPTが波力発電技術で協力/電車の電源系のスマートグリッド化

英国でVAWTの原型試作

http://www.gizmag.com/flat-pack-wind-turbine/23358/

英国のキール大学は、30年にわたって直交軸タイプの風力タービン(Vertical Axis Wind Turbine、VAWTとも表記する)を開発している。この概念をMcCamleyという企業が製品化しようとしており、原型タービンを製作した。
VAWTは、輸送と設置が簡単であることや、弱い風でも作動する利点があると言われ続けているものの、回転数が高いぶんベアリングの磨耗が著しいことや、軽量構造などの課題も多く、主流にはなりきれていない。

McCamleyでも同様の利点を主張しており、ビルの屋上等への設置も提案している。風速1.8m/sから作動するため、低い設置位置でも大丈夫、という理屈。出力は1~24MWと主張している。
ではあるが、騒音(大型風力タービンのブレード先端と比べれば低速なので問題は少なそうだが)やら屋上の強度を抜きにしても、風速の大きさ=変換可能なエネルギーの大きさであることに変わりはないので、地上高が確保できなければ出力も相応で、かつ安定した出力も得がたいのではないか?という話でもある。

コメント欄にあるように、ビルの上に据えて水を汲み上げるぐらいでちょうどいいのかもしれん。

そしてそれ以前に、この手の話で試作タービンの出力とか具体的な諸元が公表されてないというのは、あまりいい徴候じゃないのであった。
吹かし過ぎなのと似たり寄ったりではあるな。

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NASAが凧式風力発電の実験

http://www.gizmag.com/nasa-airborne-wind-power/23200/

空中で風力発電するシステムとしては、気球タイプのもの(NASAでは風船の外周にタービン羽を配置したようなのを研究していた)のほか、LaRCでは凧をそのまま使う発電システムも考えられている。
すなわちスポーツカイトの名手が凧を8の字飛行させるのと同じように飛ばし、その際、凧糸にあたるケーブルの繰り出しと巻き取りの運動を、地上側のタービンに繋いで回そう、という大変分かりやすいアイディアが中心になる。繰り出す時にタービンを回すが、巻き取る時のエネルギー損失は1割程度、つまり有効に取り出せるのは残りの9割とのこと。

気球/飛行船タイプの空中風力タービンは、数社が試作を行っているものの、どれもシステムが複雑で高価なものになり、ほぼ民間機の自動操縦系に匹敵するものとなっている。

この研究はシステムの単純化を目指しており、地上からの映像解析で自律的に凧を制御する方式をとる。3月にはWebカメラとノートPC程度を組み合わせたシステムで試験が行われており、同様のシステムとソフトウェアで実験することになっている。地上から目視できる程度の雲の下までなら、これで済ませられるという考え方だ。

凧の大きさは3m程度だが、もっと大型のものや、地球外惑星などでの利用も検討されているようだ。大気密度が低ければ効率も下がるが、太陽電池などよりは高効率かな。風が吹けばだが。
当面は低高度での実験、将来はウォロップス島の制限空域で2000ft(風力発電に適する高度と言われる)まで揚げて実験する予定。

こうした研究は、民間ベースでは予算や納期の都合があって難しいがNASAでやるから問題ない的なことを書いてあるけど、産業化できず税金の無駄に終わる可能性(すごい自動凧揚げロボットができましたで終わる可能性)も結構高い。実運用となれば上空の飛行制限が必要になったり、揚げ降ろしやケーブルの素材など、問題は色々ありそうだ。

あと、これも具体的な諸元が不明なので以下略。

ヘリウム気球の方はMARSと呼ばれている。2009年の記事。

http://www.gizmag.com/magenn-mars-floating-wind-generator/11109/

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LMとOPTが波力発電技術で協力

http://www.gizmag.com/lockheed-martin-oct-wave-energy-project/23284/

Ocean Power Technologies (OPT)は、PowerBuoyテクノロジという波力発電システムの技術を有する企業で、ニュージャージー沖にて米海軍の海上設置レーダーとその通信系を稼動させる為の発電システムを担当した実績がある。
LMと協力することになったのは、USNの実験とオレゴン州クース・ベイでの大規模波力発電の提案(最大200基設置で100MW規模まで実現可能というものだった)などに続くものとなる。今度はオーストラリア南岸のビクトリア州ポートランド沖合いでの波力発電所プロジェクトで、この種の設備としては世界最大規模となる見通し。

PowerBuoyは、記事の作動イメージ映像に出ている通り、海面高さの上下(うねり)をピストンの往復運動に変換するタイプの発電システムで、海中のサブステーションを通して海底ケーブルにより陸に送電する。
海上と海中に設備を置く事によるメンテナンスの困難さを、どう克服するのかについては触れられていない。塩害に耐える材料はもとより、稼動するピストン部分も実際には偏荷重がかかるケースが多いはずで、機械的には相当厳しい環境だ。

現在の計画では、45基のPowerBuoyと5基のサブステーションを設置し、発電機総出力は19MW。エネルギー省と観光省から6650万オーストラリア・ドルの補助金を受ける。
最大100MWとあるが、単純計算すると200基以上要る。

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電車の電源系のスマートグリッド化

http://www.gizmag.com/smart-grid-electric-trains/23239/

従来の電車は、減速時のエネルギーが単に熱になって失われるだけなので、効率を改善するためには、これを回収して利用したい。しかし電車を動かす電力網である第三軌条の方は、大電圧(交流)に耐えられないため、回生ブレーキでエネルギー回収しても、これを介して単純に戻すというわけにはいかない。

南東フィラデルフィア交通局で検討されているプランでは、第三軌条の電圧をサブステーションから監視し、電圧過大(約800V以上)になるとリチウムイオン電池の方に流して蓄電、下がると第三軌条に放電、という負のフィードバックループを形成する。サブステーションは5~6駅間に1箇所程度の割合で配置し、それぞれが大規模なSaft Batteriesのリチウムイオン電池コンテナを備える。このMAX20 Intensium Maxの容量は、プリウス280台分に相当する500kWhだそうだ。
収支がプラスになった分は地域送電網に売電、ということになってスマートグリッドに繋がる。

米陸軍が野戦用の太陽光/風力発電システムを開発中/Ecogroomer/太陽光発電リフト/CSR Project 130/Airborne Wind Turbine

米陸軍が野戦用の太陽光/風力発電システムを開発中

http://www.army.mil/article/79471/Army_scientists_develop_deployable_renewable_energy_solutions/

米陸軍の研究部門、U.S. Army Research, Development and Engineering Command (RDECOM)の技術者が取り組んでいるもので、従来の化石燃料を使う野戦用発電機の代替電源として、太陽光発電と風力発電を用いたマイクログリッドを構想している。従来の発電機は後方から補給される燃料に依存するので、兵站上も大きな負担となっており、代替する意義は(環境保護などの題目とは関係なく軍事的に見ても)大きい。アフガニスタンなどで補給線への攻撃が常態化していることは周知の事実。

とは言っても軍隊が消費するエネルギーが極めて膨大であることも事実で、近年はこれを抑えることも大きな課題になってきた。gizmagの方には米連邦政府が消費するエネルギーのうち90%が軍事用途である、と書いてある。ジェット燃料とバイオ燃料を混合して使うというのが実用段階に進んだ他にも、USNでは舶用ディーゼルに代替燃料を混ぜる試みを行っているようだ。
そうした大きな流れの中で、陸軍で手を付けてるのがこれ、ということになる。

RDECOMの構想は大きく分けて2つのシステムがあり、Reusing Existing Natural Energy from Wind and Solar (RENEWS)およびRenewable Energy for Distributed Undersupplied Command Environments (REDUCE)と呼称されている。前者は前進拠点などに設置された通信システム向けの独立した動力源で、構成部品の重量は100ポンド程度、これを70ポンドのケース2つに分けて持ち運ぶ。システムが作動する環境における定格出力は、2台ないし3台のラップトップ端末を動作させる程度で、ピーク出力を5時間ほど持続可能な蓄電装置を有する。
後者は現時点ではより大型で、HMMMVが牽引するサイズ。従来の発電機と再生可能エネルギー源を組み合わせたマイクログリッドを構成し、前線の兵士が電源の接続先などを気にせずに使えるようにする。この手の互換性問題は長年に渡って問題視されてきたものだ。異なるシステム同士を連携させ、事実上一つの動力源と同じに見なせるようにし、化石燃料への依存を減らしてエネルギー効率を高めるのが最終的なゴールとなっている。

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Ecogroomer

http://www.gizmag.com/ecogroomer-ski-groomer/21803/

スキー場のゲレンデを整備する圧雪車の歴史は、普通の雪上車に始まり、長年に渡って改良が加えられて現在は極めて幅広の軌道を有するタイプが主流になっている。更にはハーフパイプ専用などの特殊な付加装備も登場した…という一連の流れが公式の動画で描かれ、これはこれで中々興味深い。

Ecogroomerは更に進歩し、エネルギー効率の高い圧雪車を実現するという触れ込み。まあ環境負荷言うんだったらスキー場自体が(以下略)だろという話もだいたい付いてくるわけであるがそれはおいといて。
この車両は、通常の圧雪車の左右に独立したエンジンを積んだ圧雪装置を展開することで、普通の圧雪車に比べて一度に整備できる面積を200%以上増加できる。つまりゲレンデを往復する回数が半減し、経費と時間が大きく削減できることになる。アームと圧雪装置の分は自重が増加し、さらに別個のエンジンを追加する為に、効率倍増までは行かないが、30~35%の効率改善が見込まれる。初出は去年で、最近になってボルボがエンジン供給する事になった旨の発表を行った。

広いゲレンデの方が有効に使えるのは明白であるが、メーカーでは世界の主要スキーリゾートでこの車両を全面採用した場合、2020年までには2000万ガロンのディーゼル燃料と、1億5000万ドルの経費が節約できるとの独自試算を発表した。料金の引き下げにつながる可能性もあるというものの、この記事を書いた人は懐疑的だな。

現在同社は、リースという形でのセールス活動を行っている。使用時間で料金を請求するということで、スキー場側は導入リスクが比較的低い利点を得る一方、メーカーの利益が上がるようになるのはまだ先のことになりそうだ。
製造にあたっては米国およびカナダの企業と協力し、2012-2013シーズンにはロッキー山脈周辺リゾートへ最初のリースが予定されている。その後は北米全域、欧州と段階的に拡大する計画。

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http://www.gizmag.com/worlds-first-solar-powered-ski-lift/21580/

http://www.skilift-tenna.ch/index.php

関連して太陽光発電を取り入れたリフトの記事。

スイスの小さな町、Tenna(人口112人)のスキー場で、世界初という太陽光発電採用のリフト装置が建設された。イス型の搬器が付いておらず、立ったままロープで引っ張られるタイプのリフトになっている。450mの区間に約80枚の太陽電池パネルが取り付けられて最大で9万kWhを発電でき、輸送能力は毎時800人に達する。とは言え、天候に左右される以上は太陽電池のみとはいかず、通常の送電網とも接続されているようだ。また、このシステムはリフトが稼動しない夏場も機能するから、地元の町にも給電できる。ちょっとした太陽光発電所だ。
太陽電池パネルは日照に合わせて向きを変えるようになっており、常時動くことでパネル表面が雪で覆われることも防げる。

建設にかかった費用は、概算で通常の2倍程度だったというが、その大部分は寄付で賄われたとのこと。

ちなみにリフト券は1日券25スイスフラン、7日券100スイスフラン。安いな。
関連URLを見た感じ、日本のスキー場はかなりヤバイが、スイスも色々大変らしい。

http://www.swissinfo.ch/eng/swiss_news/Swiss_ski_resorts_must_diversify_to_survive.html?cid=31710328

暖冬が続いて雪不足とか(冬季オリンピックでも話題になったが)、オーストリアに客が流れたとか。スイスフラン高(というよりユーロ不安)の影響も小さくない。

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CSR Project 130

http://www.gizmag.com/csr-project-130-steam-locomotive/22670/

Coalition for Sustainable Rail (CSR)はミネソタ大の環境研究所(IonE)と非営利団体Sustainable Rail International (SRI)が共同で取り組んでいるもの。Project 130は「バイオ石炭」を利用して蒸気機関車を走らせることを目標とし、カーボンニュートラルかつ世界最速蒸気機関車のタイトルを狙う。130は130mph、209km/hを意味する。
画像の蒸気機関車、Locomotive 3463は1937年製造。75年もののこの機関車は、2011年11月にカンザス州トピーカのグレート・オーバーランド・ステーション博物館からCSRに寄贈された。

http://en.wikipedia.org/wiki/ATSF_3460_class

バイオ石炭とは、石炭に類似したエネルギー密度と物性をもつ生物由来の固形燃料を指す。このためかつて石炭を燃やして走った蒸気機関車のボイラーがそのまま使えるという理屈であるが、本物の石炭と違って有害な重金属などは含まれていないし、燃焼時の煤煙も灰も少ない。植物由来であればカーボンニュートラルとも言える。
初期の研究では、通常のディーゼル機関車と比べてより高速、高加速、高出力重量比を達成できると見ている。

Project 130はデモンストレーションに過ぎないが、鉄道輸送に蒸気機関車が復活するきっかけになる可能性もある。

つまるところ、メンテナンス性と出力特性は蒸気機関車がディーゼル機関車に勝るという話のような気がするが、極端な話、外燃機関と内燃機関では違って当然なので、直接比較することにはあまり意味がない。
最終的にはバイオ石炭とやらの供給次第ということになるだろう。

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Airborne Wind Turbine

http://www.gizmag.com/floating-wind-turbines/21976/

http://www.altaerosenergies.com/

Altaeros Energiesという企業が開発中のAirborne Wind Turbine (AWT)は、ダクト状にしたヘリウム気球の内側に風力タービンを設け、上空に浮かべて発電しようという構想で、実験はメイン州ライムストーンのLoring Commerce Centerで行われた。この時の高度は350ftだった。
このシステムのメリットは、従来の風力発電よりも高くタービンを配置することで、地表面よりも強い風を利用できて高出力が得られるというもの。騒音や振動といった問題も解決できる。設計高度1000ftで稼動させる想定では、風力は地表面のほぼ5倍となり、経費を最大65%節減できるという。
試作にあたっては、マサチューセッツ州セイレムのDoyle Sailmakersが協力した。

現状、具体的な仕様がいまいちわからんのが難点だが、やたらと土地が要る風力発電所のイメージを覆すものではあるだろう。映像で見る限り、1基あたり大型トレーラーを横に数台並べた程度で済む。

Eco Wave Powerが開発中の波力発電機/沖合風力発電設置の新方式WindFlip/ゼロエミッションの水素製造施設構想/フィヨルドの地下にデータセンターを建設

Eco Wave Powerが開発中の波力発電機

http://www.gizmag.com/eco-wave-power-developing-two-new-wave-power-devices/20989/

イスラエルのEco Wave Power(EWP)社は新しい形式の波力発電機を開発している。防波堤など、安定した構造物の壁面に設置する独自のもので、船首のような流線型のフロート/ブイにも特徴がある。波の往復でシリンダを動かして発電する構造になっており、EVPでは石炭火力発電よりも安価に電力供給が可能、また天然ガスの火力発電や風力やソーラー系などに対しても有利と主張している。
形状の異なる2種類のフロート、Wave CrapperとPower Wingは設置条件によって選択可能となっている。Wave Crapperの方がコンパクトで設置場所の制約が小さい。また、海面状況に応じてきめ細かくフロートの姿勢をコントロールすることが大きなポイントで、いずれもフロートを常時海面と平行に保ち、荒天時には自動的にフロートを引き上げる仕組みを持つ。Power Wingの方は、海中の構造物と一体になるように沈めておく事もできる。
Wave Crapperは狭い間隔で多数を並列に設置するのに対して、Power Wingはそれぞれが独立した形で取り付けられ、波高の差が多少あっても稼働する。
陸側にシリンダとオイルタンクがあるため、メンテナンスは容易。万一の破損時にも海洋汚染などのリスクは小さい。

現段階では、ウクライナ流体力学研究所の実験施設を使ってサブスケールでの実証を完了し、もう少し規模の大きい(体積にして40倍程度)実験を準備中となっている。商用規模の建設の一歩手前まで来ている状態。
この中規模の実験施設は設計上、最大波高1.5mという条件ではフロート1基あたり年間87600kWhの発電能力を有するとのこと。
次のステップは商用発電所となり、1000世帯程度に供給可能な規模で計画中。容積20000リットルのフロート1基で発電能力は90kWh以上、年間788400kWh。

フロートの製造については特許を取得しているようだ。また水中部分の防食処理、陸上部分のメンテナンス性などを考慮した結果、運用寿命は30年としている。この辺はどこまでの海面状況に適応できるかと、可動部分の寿命と防食次第だろう。補修に結構かかりそうな気もするけど。

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沖合風力発電設置の新方式WindFlip

http://www.gizmag.com/windflip-offshore-wind-turbine-transport/20994/

従来工法での沖合風力発電設置は、大型船に積載して運搬・設置するか、風車を立てたまま曳航して運搬・設置するかというのが普通であるが、揺れる船上で長時間の作業が必要であったり、立てたまま運ぶのは浅海では困難であったりして、簡単ではなかった。
WindFlipはノルウェーにおいて、まだコンセプトを発表した段階ではあるものの、これよりもっと簡単な方法を提案している。専用の半水没型はしけを用いて、風車の支柱を斜めに傾けた状態にしてタグボートで曳航し、設置場所で切り離してはしけのバラストタンクに注水、垂直に立ててそのまま設置してしまおうというものだ。
これだと浅海でも問題ないし、支柱の大部分が水面に出ているから曳航速度も多少マシになる。

専用はしけの平面形は100m×30mで、曳航速度は最大8kt程度を想定。バラストタンクははしけの姿勢を細かく制御するため、29分割されている。設置(係留)が済むと圧縮空気でタンクを排水し、はしけは元の姿勢に戻る。

同じ企業のHyWindという構想に関連。

http://www.gizmag.com/hywind-floating-wind-turbine/11961/

風力タービンを強固な土台に据えるのではなく、浮いた状態で運用するものだ。

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ゼロエミッションの水素製造施設構想

http://www.gizmag.com/hypersolar-hydrogen-fuel/21228/

HyperSolar社は太陽エネルギー利用の水素製造施設を構想している。二酸化炭素などを排出することはなく、環境負荷はゼロとされる。

これをどのように達成するかというと、ナノスケールの粒子を用い、光合成と類似したプロセスを経て水素を分離する、ということになっている。廃水の利用を前提としているようだが詳細は明らかにされていない。
類似したものとしては米国アラバマ州のエモリー大が研究中の、water oxidation catalyst(WOC)に関する研究が存在する。

http://www.gizmag.com/sunlght-hydrogen-power/14504/

この企業は太陽電池の効率改善に関する技術も有する、と主張しているものの、全体的に胡散臭い気がしないでもない。

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フィヨルドの地下にデータセンターを建設

http://www.gizmag.com/fjord-cooled-data-center/20938/

ノルウェーのグリーン・マウンテン・データセンターは、NATOの弾薬庫跡を民間転用したものでフィヨルドの岩盤をくり抜いて建設されている。ここでは電気的な冷却装置の代わりに、水温がセ氏8度程度の地下水を利用することができ、30%ほど運用コストを削減できるとのこと。
サーバを稼働させる電力は3つの発電所から外部供給されるものの、ノルウェーでは水力発電が盛んなことから、事実上カーボンフットプリントがゼロということになっているそうだ。まあ運用中はそうだとしても、機材入れ替えたりはするけどナ。

このデータセンターは、ノルウェーのRogaland郡、Boknafjordに位置しており、総床面積21000平米。3棟の2階建に相当する作りになっていて、内部はこんな感じらしい。

http://www.youtube.com/watch?v=EaeokJECyIs

世界征服を企む人向けの物件ですね。

アフリカ向けUAV輸送網の提案/CNRP製の風力タービン開発/大規模太陽熱発電施設EnviroMission

アフリカ向けUAV輸送網の提案

http://www.gizmag.com/matternet-goods-transporting-uav-network/19663/

http://matternet.net/

米国シリコンバレーにあるマターネットというベンチャー企業が提案している物で、小型UAVとその地上管制ステーションを配置し、小規模な空輸網を展開するという案。このベンチャー企業はシンギュラリティ大(私大らしいがすげー名前だ)から出てきたとある。

設計中のUAVの機体は、電動クアッドローター型のVTUAVで、1kg 積載で3km飛行できる。実用機の開発目標としては、1ton積んで10km飛行できる機体となっている。

アフリカ大陸には、まともな道路も繋がってない孤立した村が多数あって、季節によっては地上から近付くこともままならんような地域も珍しくない。そうした場所に医薬品やその他の物資を届けるには、空輸以外の手段がないのが現状。
なので、単純に片道5kmの往復といった運用ではなくて、点在する村々を、太陽電池などで自給する型の地上ステーションで結ぶ輸送網を構想しているようだ。

しかし最初からそこまでやるのは無理なので、まず2点間を結ぶシステムの実現を目指す。最小構成と言える、2つの地上ステーションと1機のUAVをセットにした価格は、約2500ドルとの見積。同社によると運用経費はオートバイ便程度とのこと。

将来的には人工知能によるロジスティクス管理とか夢一杯。

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CNRP製の風力タービン開発

http://www.gizmag.com/carbon-nanotube-reinforced-polyurethane-blades/19685/

風力タービンのブレードは、軽くて丈夫であるに越したことはない。特に直径100m近い大径の場合、その効果は顕著となる。
最新の軽量高剛性素材と言えるCNRPでタービンブレードを製作しているのは、ケース・ウェスタン・リザーブ大の研究者。原型タービンの大きさはまだ29インチだが、CNRPの機械的特性としてはカーボン系の5倍、アルミニウム系の60倍の引張強度を有する。

疲労試験では、グラスファイバー強化エポキシの8倍長持ちしたとある。グラスファイバー強化ビニル・エステルと比べると更に差は大きくなる。
研究チームでは、カーボンナノチューブの最適な分散条件を検討してるとのこと。

でかいの作るのはまだ大分先になりそうだな。

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大規模太陽熱発電施設EnviroMission

http://www.enviromission.com.au/EVM/content/home.html

http://scppa.org/pages/projects/lapaz_solartower.html

http://www.gizmag.com/enviromission-solar-tower-arizona-clean-energy-renewable/19287/

数年前にあった、太陽熱を集めてタワー内に上昇気流を発生させ、タワーのてっぺんに付けたタービンを回すという計画が動き出したようだ。元はオーストラリアの砂漠でやろうとしてたが、米国アリゾナ州の砂漠に建設する方向で話が進んでる模様。
透明な巨大な漏斗をひっくり返して地面から浮かせて置いて、漏斗の口にタービンを配置するといったイメージ。

計画では、タワーの高さは800m超、先端部の直径130m。タービン出力は200MW級となっている。
この発電量は、既に南カリフォルニアの電力会社が買い取ることが決まってて、稼働すれば30年にわたり、約15万戸に電力を供給することになる。建設費用は7億5000万ドルで、試算では11年で元が取れるという。稼働開始は2015年で、施設としての耐用年数は80年が目標。

構造が単純で効率も60%といいことずくめだが、実証施設よりも遥かに巨大なフルスケールの施設が実際に稼働して、どんだけ問題が出るかは、まだ誰にも判らない。

前のはこれだった。

http://wired.jp/wv/archives/2005/02/25/高さ1000メートル、新型太陽熱発電所『ソーラータ/

気象に影響を及ぼす可能性がどうのこうのというのもあったような気がするが。

波力発電船コンセプト/完全エネルギー自給型集合住宅/風力発電所の効率改善について/街灯の光量制御で消費電力8割削減する研究

波力発電船コンセプト

http://www.fhcmi.org/Projects/02.html

http://www.gizmag.com/wave-power-system-on-ships/19251/

フラウンホーファー研究機構が提案している物で、運用イメージは公式動画にある。港から出港した後、沖合で発電して二次電池に蓄電、港に戻って送電装置と接続するといった感じ。
港はグリッド送電網の端末になっており、電力需要の増減に応じ、沖合での発電と港内での送電のサイクルを組み立てる。

固定設置する波力発電所に対する主な利点としては、悪天候時に自航して待避できること、送電のための水中ケーブル(大抵は高くつく)が不要であること、永久的な構造物は衝突防止等のため一定の規格を満たさないと建造できないが船なら関係ないこと。

概念図上では全長50m級の船に搭載されており、フロートの上下運動で発電、船上では20MWh蓄電可能。コスト試算では、固定型の波力発電所30~65セント/kWhに対し、15セント/kWhと半分以下にできるとしている(船舶としての所要コスト除く)。
このサイズでは大発電所ほどの能力はなく、常時稼働もできないが、それで済むような環境には適応しやすくコスト面でも有利、という話のようだ。
スマートグリッドと組み合わせたオンデマンド発電向け。

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完全エネルギー自給型集合住宅

http://www.gizmag.com/renewable-energy-development-in-denmark/19248/

デンマーク国内のオールボア・ウォーターフロント再開発計画に提案された物で、C.F.モラー設計事務所と、Cenergiaというエネルギー専門コンサルタントの共同プロジェクトとなっている。
C.F.モラーは、同国で最も長い歴史があり、最大規模の建設コンサルタントみたい。公共建築から景観設計、都市計画レベルまで手掛けている。

1棟60戸の集合住宅は、画像のとおり、4階から12階までの傾斜した屋根部分を全て太陽電池パネルとする。総面積は1200平米で、年間104000kWhの発電能力となり、これが電力需要の大部分を賄う(1戸あたり年間1740kWh)。補助的にEV充電用として風力発電タービン4基を設置する。

概念図だと、暖房は海水の温度差利用でヒートポンプを使うみたいに書いてある。1740kWhだと月に145kWhか…冷房とかなければ大丈夫なんかな。それでも一家4人とかだと厳しい気がするが。その他、雨水の利用で建物内に植物を育て、空気清浄作用に期待する。

こういう蟻塚タイプは昔から提案されるが、あんまり流行らないんだよなあ。

参考として総務省の電力調査統計でも。

http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm

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風力発電所の効率改善について

http://www.gizmag.com/optimizing-wind-turbine-placement/19217/

風力発電システムの効率は、既に成熟技術の域に達しつつあると考えられているが、Caltechの研究者はこれを一段引き上げる実地研究を行っている。そして、タービンの配置を最適化することで、敷地面積あたりの出力を、少なくとも10倍以上高めることが可能、との結論に達したという。

一般的な横軸型風車horizontal-axis wind turbine (HAWT)の場合、間隔をとって配置した方が効率が高まる(一般的な設置間隔はローター径の7倍だが、最大効率になるのは同15倍)という研究があるが、敷地内に設置可能なタービンの数は減る。また大型化(より高く、大径に)することで隣接するローターまわりの気流の影響(エネルギーロス)は減らせるが、高コストになるだけでなく、飛行生物やレーダー反射への影響が増大してしまう。

そうした理由から、研究チームのJohn Dabiri教授は、縦軸型風車vertical-axis wind turbine (VAWT)を選択。このタイプは従来、単体での効率が低いのと、構造疲労の問題のため、主流とはなれなかった。しかし現世代の空気力学と材料で新たに設計すれば、問題は解決可能とのこと。この人は航空力学と生物力学が専門だそうだ。
個々のVAWTは一本のポールを立てるようなもんなので、設置間隔が狭くて済み、風力の利用効率が高いため、後流の影響もほとんどない。

研究チームは2010年夏、実地研究のためにField Laboratory for Optimized Wind Energy (FLOWE)というのを設置。
ここに準備された24基のVAWTは、それぞれ高さ10m、幅1.2mほどのサイズ。これらを6基ずつの4組に分け、1組を比較対照として固定配置し、残り3組を様々な配置にして、回転数と発電出力を測定、比較した。
その結果、タービン径の4倍、つまり5mほど離れたら、隣接VAWTからの影響は完全に無くなることがわかったとのこと。つまり同規模の風力発電所では、VAMTはHAWTよりもずっと多く配置できるということになる。
具体的な数字では、FLOWEに相当するHAWTだと1平米あたりの出力が2~3Wなのに対して、VAWTでは21~47Wと、10倍以上の出力が達成できる。

今後はタービンの大型化を目標としており、設計を改良して、実地でもより大型のタービンを設置、研究する計画。

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街灯の光量制御で消費電力8割削減する研究

http://www.gizmag.com/motion-sensing-streetlight-system/19199/

無人状態では暗くなる街灯。オランダのデルフト大キャンバス内で実験しているもので、開発したのは卒業生のChintan Shah氏。
街灯の光源はLEDで、人や自動車が接近したときに光量100%になり、その他の場合の最小光量は20%に設定されている。故障やLED寿命は速やかに制御室へ通報される仕組み。

まだセンサ設定は微調整中(猫とか揺れる木の枝に反応したら困る)とのことだが、全体としては実用化間近であり、Chintan Shah氏は商用化をにらんでTvlightという企業を設立したそうだ。

誰もが一度は思ったことがあるだろうアイディアを具体化したものと言えるが、まとまった区画分設置することになるから導入コストも相当だろうなぁこれ。

独シーメンスの6MW級風力タービン/ドイツの港湾における風力発電と脱原発政策

独シーメンスの6MW級風力タービン

http://www.winddaily.com/reports/Siemens_unveils_wind_turbine_prototype_999.html

http://www.siemens.com/press/en/presspicture/?press=/en/presspicture/2011/renewable_energy/soere201104/soere201104-06.htm

シーメンスAGは6月9日、デンマーク、Hovsoreの風力発電施設で、SWT-6.0-120と呼ばれる大型風力タービンの原型を設置したと発表。Offshoreとあるけどそのまま洋上じゃなく、海風を利用できる海岸部みたい。
(風力タービンを並べた場所をwind farmと呼ぶのはほぼ一般名詞扱い?)

発電出力6MW級、ローター直径は393ftとのこと。Vestasの計画の7MW級よりもこっちが先になった。
発電機室とローター合わせた総重量は350ton未満。規模の割に軽量らしく、メーカーでは風力タービンの新標準と称している。ローターは3.6MW級のと同様、接着部のない構造、塔と支持構造も軽量化されており、全体のコスト低減に貢献するという。

このシステムは単に大きいだけでなく、大型タービンほど効率が低下する(出力重量比で小型の方が優れる)という長年の課題を解決する実証機と位置づけられている。重量増加に伴う機械効率の問題などが想像できるが、軽量で頑丈な機械というのは、あらゆる分野で永遠の命題と言っても差し支えないだろう。
他の原型タービンも年内に全て設置する計画で、2013年まで試験運転に供され、2014年からこのクラスの全率生産を計画している。

またシーメンスはフランスのAlstomと6MW級風力タービンの共同開発を発表、ベルギーのBelwindとも3月に次世代システムのデモンストレーションについて協力関係を結んだ。
NER300(EUETS(EU排出量取引制度)により資金供給される)と関連しており、欧州投資銀行は総額72億ドル相当の炭素排出許可証を今月から販売開始する予定。

http://www.deljpn.ec.europa.eu/modules/media/news/2010/101109b.html

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ドイツの港湾における風力発電と脱原発政策

http://www.winddaily.com/reports/German_ports_future_blowing_in_the_wind_999.html

北海に面したニーダーザクセン州クックスハーフェンは伝統のある港湾都市だったが、近年はコンテナ船の大型化などにより、貿易港としての役割をハンブルクやロッテルダムに取られる形となってその重要性は低下した。現在の人口は52000人で、漁港と水産加工、老人ホーム、また観光地として成り立っている。そのため、新たな産業の目玉として2007年から(洋上)風力発電の誘致を試みる政策を打ち出し、専用のターミナルと運搬用の道路を建設、牧草地を工業団地に転換するなどの事業を展開する。比較的小規模な風力発電施設は既に建設されてるようだ。

http://www.thewindpower.net/wind-farm-10957.php

http://www.visit-germany.jp/JPN/destination_germany/master_tlregion-id105.htm

ドイツ議会は今月末、原発廃止をにらんで50億ユーロの予算を洋上風力発電につけると予想されており、クックスハーフェン当局はこれをまたとない好機として注目している。クックスハーフェンの強みは、風力発電誘致の取り組みが早かったので、他のライバルであるブレーマーハーフェンなどよりも2~3年先行していることだという。
設置イメージは、水深20~40mの海底に三脚型の支持構造を置き、海面から高さ100mほどある塔にローターを取り付けるといったもの。

ドイツにおける風力発電量の最終目標は、20の原子力発電所がもたらしていた25000MWを置き換えることで、これは2030年までの目標となる。現在は3つのwind farmが稼働中で、約20カ所に建設許可が下り、別の約20カ所でも計画が進められている状況。
これらは北海沿岸部の洋上か海岸が主体になるが、英・蘭に比べて洋上風力発電計画が遅れているのは、浅海での設置に関わる規制が厳しかったからだとか。
風力発電は天候に左右されるので、適地とされる北海においても年間85日程度の稼働なら運がいい方だそうだ。

ただし建設費用の問題は依然として大きい。wind farmを一つ稼働させるだけで10億ユーロかかるというから、50億ユーロでは全然足りず、個人投資も鈍い経済環境とあって先行き不透明としか言いようがない。
それに2030年までに不足する分は、原発あるとこから電力買わなきゃいかん状況になるのも予想されてるし、別の環境問題として取り上げる勢力も根強い。これはイタリアも同じような話になるだろう。
日本?どっかから売ってもらうんじゃね?よくしらんけど。

超大型風力発電タービン計画/人工「葉」の開発について

超大型風力発電タービン計画

http://www.gizmag.com/vestas-v164-wind-turbine/18319/

Vestasという企業が計画している風力発電機で、V164として提案されている。164は164mを表し、そのまま風車の直径を意味する。発電機の能力は7.0MWで、同社のV112(3.0MW)の2倍以上となる予定。

現在、世界で最大の出力を持つ風力タービンはドイツのEnercon E-126というやつで、こちらは直径126mだが、発電能力は最大で7.58MW(定格7.5MW)に達している。確か日本で紹介されてたこともあると思う。

http://www.enercon.de/en-en/66.htm

V164は海上、特に北海への設置を想定しており、英国、フランス、ドイツ、スウェーデンといった国々へ売り込む計画。
風車のブレード全長はロンドンのバス9台分を上回る。
具体的なコストは書かれてないが、10ヶ月運転すれば元がとれるという事は書いてあるな。

Vestasは創業110年以上の老舗。その歴史は、1898年にデンマークのハンセンさんが小さな鍛冶屋を買い取ったところから始まる。窓枠など金属製品の製造が主体だった。WW2直後の1945年、VEstjysk STaalteknik A/S、Vestasと改名、工場火災に見舞われたりとかもありつつ順調に発展していった。
風力タービンをやりだしたのは1970年代以降。21世紀に入って急激に成長を遂げる。このあたりはEUの再生可能エネルギー政策や、中国進出とも関連しているようだ。

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MITが実用レベルの人工「葉」を開発

http://www.gizmag.com/worlds-first-practical-artificial-leaf/18247/

artificial leafというやつで、太陽光により水を水素と酸素に分解するデバイス。水素は燃料電池を動かしたり貯めたりできる。この種のアイディアは何十年前からあるが、これまでは高価な材料を使う不安定なものしか実現できていなかった。ここで言ってるのは、米国立再生エネルギー研究所が10年以上前に試作したものの事らしい。

開発チームを率いるMITのDaniel Nocera博士によると、試作品はポーカーカード(要するにトランプ大?)ほどの大きさで、シリコンとエレクトロニクス、ニッケル、コバルト触媒からできている。実験室では性能低下なしに45時間連続作動したという。技術的なポイントであるニッケルとコバルト触媒の働きについては別記事あり。

http://www.gizmag.com/electrode-materials-hydrogen-fuel/15118/

自然界の光合成の10倍の効率で機能すると書いてある。

博士は、効率をさらに向上することができるとしており、その開発を行う企業Sun Catalytixも設立したそうだ。
また途上国における実際の運用モデルとしては、1ガロンの水と太陽光で1日分の電力を賄えるといった感じ。そもそも水あんのかよという地域もあるが、まあそれはそれ。

この種の研究は、米国以外の諸国でも盛んに行われている。中国とオランダの例がGizmagで取り上げられてるので元記事参照。ただし産業化の一歩手前まで来てるのはこの記事のやつだけだと思う。

Sahara Forest Project/インド初の大規模潮力発電所

ヨルダンの砂漠緑化プロジェクト

http://www.gizmag.com/sahara-forest-project-pilot-plant-approved/17633/

一種の淡水化プラントを中心とした緑化計画で、プロジェクトにはSahara Forest Projectというたいへん大仰な名前が付いている。

実用試作となる最初の施設は、ヨルダン南部に位置する沿岸都市アカバに建造される。技術面はノルウェーでの研究がベースになっている。2009年12月、コペンハーゲンにおける国連気象カンファレンスで国際的に提唱されたもの。それから半年後の2010年6月、ヨルダン国王(アブドラ2世)がノルウェーを訪れたのだが、国王がこの計画のプレゼンにすっかり参ってしまった、というような話。

システムの働きは、別に特別なトリックというわけではない。要点は海水を巨大な温室に引き込んで蒸発させ、淡水に変えるだけ。これと太陽熱発電を組み合わせてポンプを動かし、海水と空気を循環させる。
淡水を利用した周辺地域の灌漑はもちろんのこと、温室それ自体は藻類を栽培してCO2を吸収、またバイオマスとしても利用可能。
規模は大きいが、全体的には比較的ローテクで安価な、合わせ技型のアプローチと言える。スケーラビリティに富み、自己完結型というのもポイント高いところか。
イメージ図は公式参照。こうしてどんどん拡大していくわけだ。

http://www.saharaforestproject.com/

今後についてだが、最初の施設はあくまで研究用。2011年中はここで徹底的に研究が行われ、2012年にはデモンストレーションセンター建設に着工、商業規模での開発が2015年スタート予定となっている。

ぶっちゃけ、金満エレビエンにハイテク押し売りするより実がありそうな話じゃないかなぁ。いや、商売は商売なんですけどね。

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インド初の潮力発電所にゴーサイン

http://www.gizmag.com/indias-first-tidal-power-plant-gets-the-go-ahead/17618/

持続的な経済発展を支えるのはやはりエネルギー。とは言うもののインドぐらいの人口規模となれば、多少やっても焼け石に水という感もあったりするがそれはおいといて、インドでは初めてとなる大規模な潮力発電所建設計画が動き出した。

建設の主体はロンドンに拠点をおくアトランティスリソース社。同社は最近、1MW級の潮力タービンを発表するなど、この分野では世界的にも有力な企業。中国と韓国への展開も計画されており、今後も潮力発電所の需要は相当の拡大が見込めるとしている。
今回、アトランティスリソース社とグジャラト州政府がMoUを交わしたことで、今年早々にも着工の見通しとなった。規模としてはまず50MW級の施設を建設。将来は250MW以上まで拡張可能としている。コストは米ドルにして1億6400万ドルという。

カリフォルニア州が融解塩を使う太陽熱発電プラントの建設を承認

http://www.gizmag.com/california-first-molten-salt-solar-power-plant/17298/

太陽光を利用した発電システムのデメリットの一つに、太陽光がなければ発電できないという至極単純なものがある。昼間に使う電力だけならいいが、それだと夜間は発電が完全休止となる上、昼間であっても供給過剰になった分は捨てるしかなくなる。余りを現存する二次電池系で蓄積するのは現実的でないから、別のシステムが必要であろう、というのが出発点。大規模になるほど困る。

この問題を解決するため、SolarReserveという企業は融解塩を利用したエネルギー蓄積技術を持ち込んだ。結果、カリフォルニア州はこれを承認し、同州初の太陽エネルギー発電所、Rice Solar Energy Projectに採用されることとなった。
施設は塔型の太陽熱発電所であり、塔周辺に配置された反射鏡によって、頂点部のレシーバを加熱する。ここまではオーソドックスな太陽熱発電だが、熱媒体が水ではなくて、融解塩を使う。融解塩で別の水循環系(ランキンサイクル)を熱し、蒸気タービンを作動させる型式となっている。
融解塩は硝酸ナトリウムと硝酸カリウムの混合物で、毒性はなく不燃性、かつ安価。

融解塩の蓄熱タンクは537.8℃(華氏だと1000℃)以上まで加熱される。熱効率は98%以上と高く、タンク自体の蓄熱量は発電所を日没後8時間にわたってフル稼働させるのに十分との事。

この技術の実証試験Solar Twoが実施されたのは意外と古く、1995年から1999年にかけて、モハビ砂漠で10MW級の施設を使って行われていたという。この設備の規模では日没後3時間程度の発電が可能だった。
今回の発電所は150MWと大出力で、リバーサイド郡に建設され、年間45MWhを供給可能。
建設は2011Q3から始まることになっている。