英国でVAWTの原型試作
http://www.gizmag.com/flat-pack-wind-turbine/23358/
英国のキール大学は、30年にわたって直交軸タイプの風力タービン(Vertical Axis Wind Turbine、VAWTとも表記する)を開発している。この概念をMcCamleyという企業が製品化しようとしており、原型タービンを製作した。
VAWTは、輸送と設置が簡単であることや、弱い風でも作動する利点があると言われ続けているものの、回転数が高いぶんベアリングの磨耗が著しいことや、軽量構造などの課題も多く、主流にはなりきれていない。
McCamleyでも同様の利点を主張しており、ビルの屋上等への設置も提案している。風速1.8m/sから作動するため、低い設置位置でも大丈夫、という理屈。出力は1~24MWと主張している。
ではあるが、騒音(大型風力タービンのブレード先端と比べれば低速なので問題は少なそうだが)やら屋上の強度を抜きにしても、風速の大きさ=変換可能なエネルギーの大きさであることに変わりはないので、地上高が確保できなければ出力も相応で、かつ安定した出力も得がたいのではないか?という話でもある。
コメント欄にあるように、ビルの上に据えて水を汲み上げるぐらいでちょうどいいのかもしれん。
そしてそれ以前に、この手の話で試作タービンの出力とか具体的な諸元が公表されてないというのは、あまりいい徴候じゃないのであった。
吹かし過ぎなのと似たり寄ったりではあるな。
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NASAが凧式風力発電の実験
http://www.gizmag.com/nasa-airborne-wind-power/23200/
空中で風力発電するシステムとしては、気球タイプのもの(NASAでは風船の外周にタービン羽を配置したようなのを研究していた)のほか、LaRCでは凧をそのまま使う発電システムも考えられている。
すなわちスポーツカイトの名手が凧を8の字飛行させるのと同じように飛ばし、その際、凧糸にあたるケーブルの繰り出しと巻き取りの運動を、地上側のタービンに繋いで回そう、という大変分かりやすいアイディアが中心になる。繰り出す時にタービンを回すが、巻き取る時のエネルギー損失は1割程度、つまり有効に取り出せるのは残りの9割とのこと。
気球/飛行船タイプの空中風力タービンは、数社が試作を行っているものの、どれもシステムが複雑で高価なものになり、ほぼ民間機の自動操縦系に匹敵するものとなっている。
この研究はシステムの単純化を目指しており、地上からの映像解析で自律的に凧を制御する方式をとる。3月にはWebカメラとノートPC程度を組み合わせたシステムで試験が行われており、同様のシステムとソフトウェアで実験することになっている。地上から目視できる程度の雲の下までなら、これで済ませられるという考え方だ。
凧の大きさは3m程度だが、もっと大型のものや、地球外惑星などでの利用も検討されているようだ。大気密度が低ければ効率も下がるが、太陽電池などよりは高効率かな。風が吹けばだが。
当面は低高度での実験、将来はウォロップス島の制限空域で2000ft(風力発電に適する高度と言われる)まで揚げて実験する予定。
こうした研究は、民間ベースでは予算や納期の都合があって難しいがNASAでやるから問題ない的なことを書いてあるけど、産業化できず税金の無駄に終わる可能性(すごい自動凧揚げロボットができましたで終わる可能性)も結構高い。実運用となれば上空の飛行制限が必要になったり、揚げ降ろしやケーブルの素材など、問題は色々ありそうだ。
あと、これも具体的な諸元が不明なので以下略。
ヘリウム気球の方はMARSと呼ばれている。2009年の記事。
http://www.gizmag.com/magenn-mars-floating-wind-generator/11109/
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LMとOPTが波力発電技術で協力
http://www.gizmag.com/lockheed-martin-oct-wave-energy-project/23284/
Ocean Power Technologies (OPT)は、PowerBuoyテクノロジという波力発電システムの技術を有する企業で、ニュージャージー沖にて米海軍の海上設置レーダーとその通信系を稼動させる為の発電システムを担当した実績がある。
LMと協力することになったのは、USNの実験とオレゴン州クース・ベイでの大規模波力発電の提案(最大200基設置で100MW規模まで実現可能というものだった)などに続くものとなる。今度はオーストラリア南岸のビクトリア州ポートランド沖合いでの波力発電所プロジェクトで、この種の設備としては世界最大規模となる見通し。
PowerBuoyは、記事の作動イメージ映像に出ている通り、海面高さの上下(うねり)をピストンの往復運動に変換するタイプの発電システムで、海中のサブステーションを通して海底ケーブルにより陸に送電する。
海上と海中に設備を置く事によるメンテナンスの困難さを、どう克服するのかについては触れられていない。塩害に耐える材料はもとより、稼動するピストン部分も実際には偏荷重がかかるケースが多いはずで、機械的には相当厳しい環境だ。
現在の計画では、45基のPowerBuoyと5基のサブステーションを設置し、発電機総出力は19MW。エネルギー省と観光省から6650万オーストラリア・ドルの補助金を受ける。
最大100MWとあるが、単純計算すると200基以上要る。
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電車の電源系のスマートグリッド化
http://www.gizmag.com/smart-grid-electric-trains/23239/
従来の電車は、減速時のエネルギーが単に熱になって失われるだけなので、効率を改善するためには、これを回収して利用したい。しかし電車を動かす電力網である第三軌条の方は、大電圧(交流)に耐えられないため、回生ブレーキでエネルギー回収しても、これを介して単純に戻すというわけにはいかない。
南東フィラデルフィア交通局で検討されているプランでは、第三軌条の電圧をサブステーションから監視し、電圧過大(約800V以上)になるとリチウムイオン電池の方に流して蓄電、下がると第三軌条に放電、という負のフィードバックループを形成する。サブステーションは5~6駅間に1箇所程度の割合で配置し、それぞれが大規模なSaft Batteriesのリチウムイオン電池コンテナを備える。このMAX20 Intensium Maxの容量は、プリウス280台分に相当する500kWhだそうだ。
収支がプラスになった分は地域送電網に売電、ということになってスマートグリッドに繋がる。