USSOCOMが亜音速弾の事前調査に関するRfPを発出
http://www.gizmag.com/us-special-forces-subsonic-ammunition/25172/
SOCOMが用いている制式ライフル弾の初速は、弾種によって異なるがおおよそ音速の2~3倍とされている。
これを大きく下げて静粛性を高め、市街戦(殊に隠密作戦、個人あるいは少人数グループへの襲撃など)に使用したい、というのが主な動機となっている。が、大口径の亜音速弾には精度や信頼性の問題がつきまとうので、簡単な話ではない。
SOCOMは本格開発の前段として、SBIRに基づくRfPを発出した。
この手の計画は過去にも存在したが、開発は言うまでもなくうまくいってない。が、材料技術、製造技術の進歩によって実現できれば大成功、みたいな。
確実に機能する亜音速弾は、現在知られている限り小口径のピストル弾が存在するのみで、ライフル弾としては例がない。初速を遅くしつつ、精度を保ち、信頼性の高いライフル弾となると、技術的なハードルは高い。
装薬を減らすことになるから、有効射程距離が著しく縮むのは仕方ないとして、比較的大きなカートリッジに少量の装薬という組合せでは、燃焼が不安定となり、薬室内のガス圧を低下させ、不発や停弾を招く危険性が高くなる。薬室からのガス漏れが起これば、現代的なライフルのガス圧作動式の機構が満足に動かない可能性もある。
これらを解決する具体的な手法としては、新しい形式のカートリッジが必要になる見通しで、高分子系の材料で抜弾抗力を下げたり、ガス漏れ防止用のサボを入れるなどの案が示されてる。
実現の見通しが立てば原型試作、デモンストレーションと進むことになり、最終的には法執行機関向けにも(どっちにしても特殊部隊だろうけど)供給されるそうだ。
*
TrackingPoint社が精密狙撃システムを発表
http://www.gizmag.com/trackingpoint-precision-guided-firearms-scopes-digital/25264/
TrackingPointの社長は、特殊作戦の経験豊富な元海兵隊大尉(イラクでの作戦行動を通してブロンズスター、シルバースターを受勲している)で、除隊後レミントンの副社長を勤めた後、現在に至る。
で、ここに紹介されているのはTriggerPointという精密狙撃システムであり、.338ラプアマグナム弾を使うXS1と、.300ウィンチェスタマグナムのXS2およびXS3という製品を準備している。
拡大映像で目標点をマーキングした後、空気抵抗、風向きなどの補正を加えて正確な弾着ができる方向を指示、その方向に向くまで引き金が引けないよう抑止する、といった動作をするようだが、移動目標に使えるのかとか詳細はよくわからず。
具体的には映像の方を参照。
*
ラインメタルの試作レーザ兵器が実用型に近づく
http://www.gizmag.com/rheinmetall-laser-test/25504/pictures
2011年に実施した5kW×2門の10kWタイプによるデモンストレーションに続くもので、レーザの出力を向上し30kW×1門+20kW×1門の50kWタイプの試射を実施している。場所は前回同様、同社保有のスイスのOchsenboden試験場。
11月には、3種類の目標への試射が試みられた。
1つ目は1000m先の15mm厚の鋼板、2つ目は3000m先から毎秒50m程度の速度で飛行するターゲットドローン、3つ目は迫撃砲弾をシミュレートした毎秒50mで移動する直径82mmの鋼球で、それぞれ悪天候下でも十分迅速に破壊できたと発表されている。
なお、同社は複数のレーザを束ねて使用する技術はBeam Superimposing Technology
(BST) と呼んでいる。つまり32bitプロセッサ2つで64bit級みたいな(違う)。
写真のうち、2門の方が今回の50kWタイプかな。
実用型では合計100kWを目指すが、2013年は60kWのレーザを試験するとのこと。
これはレーザ出力を(30kWの)2倍にすると書いてあるので、つまり実用型は60+20+20=100という解釈でよいのだろうか。
*
ACTUVの活躍(イメージCG)
http://www.gizmag.com/darpa-saic-actuv-drone/25607/
SAICが受注したACTUVのイメージCG映像が公開されている。ACTUVはASW作戦を主要任務とするが、モジュール変更によってISRから小規模な補給まで可能ということだから、多目的USVとした方が適切な気がする。
形態は受注の時のイメージと大体同じで、長期間のディーゼル潜水艦追尾の例を説明している。映像では非武装で、長期間にわたって目標を追尾し、情報を収集して終わる。SAICは60~90日間の作戦行動が可能としているが、あくまで最大ということか、そこまでは長くない。というか相手がディーゼル潜の例だしな。
興味深いのは、搭載した人工知能で目標の欺瞞行動に対応可能というくだりで、民間船舶を利用して追尾を混乱させるといった潜水艦の戦術機動にも対処できるという。つまり目標の位置を推定し、民間船舶などを避けつつ追尾を続けられることになっている。オペレータによる訂正ももちろん可能だが、勝手に動いてくれた方が労力が少なくて済むのは言うまでもなし。
水中の長距離センサは磁気(total field magnetometer array)、短距離センサは高周波アクティブソナー×2基。目標を識別するのはソナーの方になる。
total field magnetometer arrayというのはよくわからんが、ここにはMADのローコスト版みたいな事が書いてある。
http://www.psicorp.com/news_events/display_news.html?id=1217
こんなにうまくいくのかなあというのはおいといて、通して見た感じ、P-8と連携するだけでなく、CVNに積んでたASW機の役割も一部担うように見えるな。でP-8を水上はBAMS、水中はACTUVが補うと。
*
GPSと電波望遠鏡(VLA)を用いた地下核実験の検出方法について
http://www.gizmag.com/gps-radio-telescope-underground-nuclear-test-detection/25434/
米オハイオ州立大の研究チームは、GPSの信号記録または電波望遠鏡VLAの観測記録によって、秘密の地下核実験(記事中ではunderground
nuclear explosions、UNEと称している)を検出できることを発見した。
従来、地下核実験を検出する最も確実な方法とされているのは地震計のデータ解析であるが、核分裂反応の規模が小さいと通常爆薬などとの区別が難しくなる。例えば北朝鮮の2006年、2009年の核実験のうち、2006年の時は1キロトン未満と推定されたため、おそらくは失敗と見られたものの地震計のデータだけ判断するのは困難だったという。
オハイオ州立大でGPSを専門に扱うグループは、2009年の核実験の直後、朝鮮半島上空にあったGPS衛星の信号が、訂正によりごく短時間だけ遅延し、その程度がGPS衛星の位置によって異なることに気がついた。核実験に伴う電離層の乱れ(traveling ionospheric disturbance (TID))が、GPS信号に影響を与えることは以前から知られていたが、GPS衛星の位置と訂正の関係についての研究はされていなかった。
核爆発の爆心地から単純にTIDの状態が波のように一定速度で拡がっていったと仮定すると、2009年のデータでは高度300kmあたりを870km/hで移動した計算になる。
その後、2006年のケースと、1992年のネバダ州での核実験のケース、2011年の東日本大震災におけるTIDをGPS信号の記録から確認したところ、核実験と地震によるTIDの発生パターンが異なることや、核爆発の規模でTIDの伝搬速度が異なることがわかった。後者については、1992年の20キロトンの核爆発が、2009年のUNEで起こったTIDの3倍の速度だった、とある。
VLAの方だが、こちらもGPSと同じくTIDに対する訂正を連続的に行うため、基本的には同じ考え方でデータを分析すればよく、VLAの技術者と連携して実際に同様のデータが残っているのを確認できたとのこと。
うまく捉えられるかはGPS衛星の位置関係にもよるし、核拡散の問題をどうこうする技術というわけではもちろんないが、新しい手段を得たのは悪い話ではない。
情報提供者を危険に晒す必要も少なくなるし。