人工心臓の動力を無線化する研究/やわらかメモリデバイス/SSC Tuatara

人工心臓の動力を無線化する研究

http://www.gizmag.com/wireless-power-for-heart-pumps/19225/

各種機器に無線で電力供給する仕組みは、最近になって一般で販売されるレベルに下りてきているが、それを医療用に応用する研究も始まっている。

米国ワシントン大とピッツバーグ大の医療センターでは、人工心臓のポンプに対して無線で電力を供給するシステムの開発を試みている。コンピュータサイエンス及び電子工学の教授と心臓外科医が共同で取り組んでいるとのこと。

人工心臓への電力供給を無線にできれば、施術後の患者の40%ほどが感染症にかかる(時には死に至ることもある)というリスクを大きく減らせるだけでなく、風呂に入ったり泳いだりすることも可能となるかもしれない。

システムは特殊な周波数の電磁波を出す送信側コイルと受信側コイル、それと二次電池からなる。仕組み自体はそんなに特別な技術ではない。
コイルの長さと伝達可能距離はほぼ等しいので、数インチ程度の受信コイルを皮膚化に埋め込めば、送信コイルをそれに密着させるだけで済む。これはコードが体外に飛び出すよりもずっとエレガントな解決法と言えるだろう。また二次電池の容量にもよるが、2時間ぐらいは送信コイルを手放して水の中に入ることも可能としている。

現状の実験装置では、水中に沈めた人工心臓のポンプを無線で動かすところまでできている。コイル長と同じ4.3cmの距離で、80%ほどの効率という。次の段階では動物実験が計画されている。

イメージ図では、送信コイルを部屋の中に複数配置して、何も持たずに動き回れる状態が描かれており、うまくいけば、他の電力を使うインプラントにも応用されていくことになるだろう。

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やわらかメモリデバイス

http://news.ncsu.edu/releases/wmsdickeysoftmemory/

http://www.gizmag.com/soft-submersible-memory-device/19227/

ノースカロライナ大で研究されているもの。NSFとエネルギー省が支援している。
ガリウムとインジウムの液体金属から作られており、電子の代わりにイオンの酸化膜が形成されたり消失したりして電気抵抗を変化させる。動作はメモリスタとだいたい同じというから、受動素子というやつだな。

水にも強いので、集積度が上がれば従来の半導体をベースとしたエレクトロニクスデバイスで不可能だった応用が可能になる。体内へのインプラントにもよく適合するだろうと書いてある。

参考として、2008年HPがメモリスタについて発表した時のIEEEでの記述。

http://spectrum.ieee.org/semiconductors/design/the-mysterious-memristor

果たして実用化できるんだろうか。

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SSC Tuatara

http://www.gizmag.com/the-ssc-tuatara-aims-to-claim-bugattis-worlds-fastest-crown/19269/

シェルビースーパーカーズが、世界最速を奪還すべく生み出した最新マシン。数年前から開発中といわれてきたそれが、姿を現した。目標速度は280mphというから、もうその辺にしとけという気もするが、かなりやる気だ。
以前、デザイナーの名前がジェイソン・カストリオタと発表された時にも話題となった。

かつて412.68km/h(256.18mph)という速度記録を打ち立てたアルティメットアエロが、V8ツインターボで出力1183bhpだったのに対し、Tuataraは1350bhp。7リッター、V8クアッドカム、ツインターボだそうだ。この数字は、2010年に431km/h(268mph=奇しくも上海リニアと同じ速さ)を記録したヴェイロンスーパースポーツの1200bhpの、さらに1割ちょい増しということになる。
あちらが1001bhpから199bhp積み増したんなら、こっちも負けてられん、という感じだ。

製造数は1ダース程度だって。
Tuataraという名前はムカシトカゲのことだ。でも特に足が速いってわけでもなさそうだし、その意味するところは「生きている化石」そのものだろう。アメリカ人にしちゃ謙虚とも自虐的とも言えるが、やっぱ本国でも風当たりが強いのかもしれんのう。
化石燃料時代の終わりまでにはまだ時間があるとは言え、自動車に限ってはあんまり先が長くないかもしれず、何年か経ったら意味が生じるネーミングと言えるかもしれない。
つっても前のが「究極」だからなぁ。結構悩んだのかもしれぬ。

全体的には、カストリオタの今までのデザインの集大成という感じで、シャシとカウルの隙間を強調した形になっている。パンチングメタルのように小口をたくさん並べたエア抜き部分が斬新で、爬虫類の鱗を思わせる。

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